JP2016127626A - 無線給電システム、移動体および情報収集システム - Google Patents

無線給電システム、移動体および情報収集システム Download PDF

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周平 吉田
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Abstract

【課題】無線送電器と無線受電器との位置関係が定常的に変動する良導体媒質中であっても、安定して給電する無線給電システムを提供する。
【解決手段】複数の無線送電器と、複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを備え、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システムとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非接触で電力を供給する無線給電システム、移動体および情報収集システムに関する。特に、海水などの良導体媒質中において非接触で電力を供給する無線給電システム、移動体および情報収集システムに関する。
近年、陸上資源の枯渇が進んでおり、金・銀などを含む赤粘土堆積物やコバルト・リッチ・クラスト、マンガン団塊などの海底資源の重要性に注目が集まっている。通常、このような海底資源は、深度が1000m以上の深海底において探索される。そのため、海底資源探索には、海中で駆動する自律型無人潜水機(以下、AUVと呼ぶ)が用いられる(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)。
海中では内燃機関を搭載することが難しいため、前述のAUVには、リチウムイオン電池等の二次電池によって電力が供給される。現在、このようなAUVの二次電池の充電は、AUVを母船に引き揚げてから実施されている。AUVを母船に引き揚げるためには、AUVの荷重に耐えうる大型クレーンが必要である。そこで、コスト抑制の観点から、大型クレーンなどの設備を用いずに、海中において無線でエネルギーをAUVに供給する無線給電を利用することが求められる。
AUVなどの移動体に海中で無線給電する場合、高い導電率を有する海水への対応が課題となる。海水は4S/m程度の高い導電率を有するため、海中を透過する電磁波は電磁エネルギーを損失してしまい、結果として、高効率・長距離な無線給電を行うことは難しい。
特許文献1には、海水中においても高効率・長距離な無線給電を可能とする電力伝送装置が開示されている。特許文献1の電力伝送装置は、誘電体で包含した電力伝送用コイルのインピーダンスと、海水等の良導体媒質のインピーダンスとで定まる周波数で共振させて電力伝送を行う。
実際の海中においては、潮力や浮力等が発生するため、無線送電器と無線受電器との位置関係が定常的に変動する。そのため、無線送電器と無線受電器との位置関係の変動に伴い、電力伝送特性に変動が生じる可能性がある。
特許文献2には、非接触で電力を受電する第1の水中移動体と、第1の水中移動体に並走しながら給電を行う第2の水中移動体とを有する非接触給電システムについて開示されている。
特許文献3には、複数の送電回路を備える非接触送電装置について開示されている。特許文献3の非接触送電装置によれば、複数の送電回路が発生する信号の位相を制御し、受電回路に各送電回路から到達する磁場の変化の位相が揃うようにする。
国際公開第2014/034491号 特開2014−150697号公報 特開2011−199975号公報
特許文献1の電力伝送装置によれば、海水中において、無線送受電器間に鉛直なポインティングベクトルを形成することが可能となる。そのため、良導体媒質である海水中であっても長距離・高効率な無線給電を行うことが可能となる。しかしながら、実際の海中においては、無線送電器と無線受電器との位置関係が定常的に変動するため、無線送電器と無線受電器との位置関係の変動に伴い、電力伝送特性に変動が生じる可能性がある。このような位置関係の変動が発生すると、例えば、無線送電器および無線受電器の中心軸がずれる軸ずれが生じるため、電力伝送特性が劣化する可能性がある。
特許文献2の非接触給電システムによれば、送電側と受電側とを互いに固定しなくても、互いの位置関係を一定にすることができる。しかしながら、実際には、局所的に生じる潮流の影響は大きく変動するため、近接する二つの水中移動体の距離関係を一定に保つことは難しいという問題点がある。
特許文献3の非接触送電装置によれば、送電回路と受電回路との距離関係や受電回路が必要とする電力に応じて稼働させる送電回路を決定し、各送電回路が発生する信号の位相を制御することによって、送電効率を改善することができる。しかしながら、複数の送電回路から到達する磁場の変化の位相を受電回路において揃えるためには、全ての送電回路と受電回路との距離関係を把握し、各距離関係に応じて送電回路の位相を制御する必要がある。そのため、給電中に送電回路と受電回路との距離関係が変動する度に、各送電回路の稼働状況や信号の位相を再設定する必要が生じる。
本発明の目的は、無線送電器と無線受電器との位置関係が定常的に変動する良導体媒質中であっても、安定して給電する無線給電システムを提供することにある。
本発明の無線給電システムは、複数の無線送電器と、複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを備え、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する。
本発明の移動体は、複数の無線送電器と、複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを有し、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システムを搭載する。
本発明の情報収集システムは、複数の無線送電器と、複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを有し、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システムを搭載する移動体と、移動体から無線給電される少なくとも一つの情報収集機器と、移動体および情報収集機器によって収集される情報を統合的に管理する管理センタとを備える。
本発明によれば、無線送電器から発せられるポインティングベクトルの方向を制御することによって、送電器と受電器との位置関係が定常的に変動する良導体媒質中であっても、安定して無線給電する無線給電システムを提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムの構成を示す概念図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおける無線送電器の配置の一例を示す概念図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムの動作に関するフローチャートである。 一般的なポインティングベクトルについて説明するための概念図である。 一般的な無線給電システムにおける軸ずれ率と電力伝送効率との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおいて、各無線送電器に入力される高周波信号の位相が同相の場合におけるエネルギーフローのシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおいて、各無線送電器に入力される高周波信号の位相差が90°の場合におけるエネルギーフローのシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおいて、各無線送電器に入力される高周波信号の位相差が180°の場合におけるエネルギーフローのシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおいて、各無線送電器に入力される高周波信号の位相差が270°の場合におけるエネルギーフローのシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおける磁界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおける磁界強度分布のシミュレーション結果を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおける電界強度分布のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムにおける電界強度分布のシミュレーション結果を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線給電システムの構成を示す概念図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線給電システムにおける無線送電器の配置の一例を示す概念図である。 微小ダイポールから送出される磁界の分布範囲を説明するための概念図である。 本発明の第1および第2の実施形態に係る無線給電システムの磁界の分布を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る無線給電システムにおける無線送電器の配置の一例を示す概念図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る無線給電システムの磁界の分布を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例1の構成を示す概念図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例1における動作に関するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る実施例2の構成を示す概念図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例2における動作に関するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る実施例3の構成を示す概念図である。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る無線給電システムについて図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線給電システム11の構成を示す概念図である。
本実施形態に係る無線給電システム11は、無線送電器111、無線送電器112、移相器121および移相器122を備える。また、本実施形態に係る無線給電システム11は、移相器121および移相器122に高周波信号を入力するための高周波電源(図示せず)を備える。なお、図1には、2台の無線送電器(111、112)を用いる例を示しているが、3台以上の無線送電器を用いてもよい。また、図1には、2台の移相器を用いる例を示しているが、移相器は、1台でもよいし、3台以上を組み合わせてもよい。
本実施形態に係る無線給電システム11においては、図2のように、無線送電器111および無線送電器112の送電面が同じ方向を向くように配置される。すなわち、無線給電システム11においては、無線送電器111および無線送電器112の各送電面が平行になるように配置される。言い換えると、無線給電システム11においては、無線送電器111および無線送電器112の各送電面の法線がなす角が0°になるように設定する。
ここで、本実施形態に係る無線給電システム11を一般的に表現するブロック図(図3)を示す。
本実施形態に係る無線給電システムは、図3のように、複数の無線送電器110(110−1、・・・、100−m)、少なくとも一つの移相器120(120−1、・・・、120−n)を備える(mは2以上の自然数、nは任意の自然数)。無線送電器110と移相器120とは同数でなくてもよく、移相器120が接続されていない無線送電器110があってもよい。また、本実施形態に係る無線給電システムは、移相器120に高周波信号を入力するための高周波電源(図示しない)を備える。高周波電源は、各移相器120に対して個別に設けてもよいし、全ての移相器120に対して共通に設けてもよい。
次に、本実施形態に係る無線給電システム11の各構成要素について説明する。
無線送電器111および無線送電器112は、無線で電力を送電するためのアンテナと、海水中等の水環境下で動作するための防滴構造または防水構造を有する。アンテナは、コイルやパッチアンテナ等を用いて実現する。防滴構造または防水構造は、アンテナを包含するための誘電体や、接続部を保護するための防水コネクタ等を用いて実現する。
無線送電器111および無線送電器112の主面のうち一方が送電面となる。本実施形態では、図5のように、無線送電器111および無線送電器112の送電面が同一の方向(上方)を向いている。
移相器121および移相器122は、高周波電源から入力される高周波信号の位相を調整する機構を有する。移相器121および移相器122は、無線送電器111および無線送電器112の各々の入力端に接続される。位相を調整する機構は、可変インダクタや可変キャパシタ等で実現する。なお、移相器は、無線送電器111および無線送電器112のうち少なくとも一方に設けられていればよい。また、特許文献4(特開2006−319792号公報)のように、移相器を構成する導波管構造の伝送路長を伸縮することによって、導波管構造内を伝送する電磁波の位相を制御するようにしてもよい。
高周波電源は、移相器121および移相器122に高周波信号を入力するための機構を有する。高周波信号を入力するための機構は、汎用信号源および信号源から出力される信号を増幅するための増幅器等を用いて実現する。
以上が、本実施形態に係る無線給電システム11の構成についての説明である。
<動作>
次に、本実施形態に係る無線給電システム11の動作について図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図4において、まず、高周波電源(図示しない)は、移相器121および移相器122に対して高周波信号を出力する(ステップS11)。高周波電源が出力した高周波信号は、移相器121および移相器122に入力される。
次に、移相器121および移相器122は、入力された高周波信号の位相を調整する(ステップS12)。移相器121および移相器122は、位相を調整した高周波信号を無線送電器111および無線送電器112に対して送出する。位相を調整した高周波信号は、無線送電器111および無線送電器112に入力される。
そして、無線送電器111および無線送電器112は、位相が調整された高周波信号を海水中に送出する(ステップS13)。
以上が、本実施形態に係る無線給電システム11の動作についての説明である。
<効果>
以上のように、本実施形態に係る無線給電システムによれば、無線送電器から発せられるポインティングベクトルの方向を制御することによって、潮力や浮力等が発生する海中であっても安定して移動体に給電することが可能となる。
<関連技術>
ここで、本実施形態に係る無線給電システム11を理解しやすくするために、特許文献1(国際公開第2014/034491号)に記載された関連技術について説明する。
特許文献1の電力伝送装置は、誘電体で包含した電力伝送用コイルのインピーダンスと、海水等の良導体媒質のインピーダンスとで定まる周波数で共振させて電力伝送を行う。
特許文献1の電力伝送装置では、図5のように、海水100中において、無線送信器101から無線受信器102に対して鉛直なポインティングベクトル105を形成することが可能となる。図5では、ポインティングベクトル105が電界107の中心を通るように形成される様子を示している。
ポインティングベクトルは、磁界ベクトル(H)と電界ベクトル(E)との外積の時間平均を指し、以下の式1で表される。なお、式1の各パラメータはベクトルである。
式1で示されるポインティングベクトルは、電磁場の持つエネルギーの流れの密度を表す物理量であり、電磁場によるエネルギーフローそのものである。関連技術1の電力伝送装置によれば、良導体媒質である海水100中であっても長距離・高効率な無線給電を行うことが可能となる。
しかしながら、実際の海中においては、潮力や浮力等が発生するため、無線送電器101と無線受電器102との位置関係が定常的に変動する。そのため、無線送電器101と無線受電器102との位置関係の変動に伴い、電力伝送特性に変動が生じる可能性がある。このような位置関係の変動が発生すると、例えば、無線送電器101および無線受電器102の中心軸がずれる軸ずれが生じるため、電力伝送特性が劣化する可能性がある。
図6は、特許文献1の関連技術に基づいた無線送電器101と無線受電器102との軸ずれ率と電力伝送効率との関係を測定した結果を示す図である。なお、軸ずれ率0%は、無線送電器101と無線受電器102とがお互いに対面している状態を示す。軸ずれ率100%は、無線送電器101と無線受電器102との対向面積が0の状態を示す。
図6のように、無線送電器101と無線受電器102との間の軸ずれが増加するにしたがって、電力伝送効率が線形に低下していく。これは、無線送電器101と無線受電器102との間に鉛直なポインティングベクトルが形成されるためである。すなわち、無線送受電器間にエネルギーフローが鉛直に形成されると、軸ずれに弱くなってしまう。それに対し、本実施形態に係る無線給電システム11では、無線送電器間のポインティングベクトルの向きを制御することが可能となるため、軸ずれに対応することができる。
<シミュレーション>
ここで、本実施形態に係る無線給電システムにおいて、高周波信号の位相を調整した場合のシミュレーション結果について図7〜図10を用いて説明する。図7〜図10は、本実施形態に係る無線給電システム12を構成する無線送電器113および無線送電器114から海水中に送出されるポインティングベクトル、すなわちエネルギーフローのシミュレーション結果である。
本シミュレーションにおいて、無線送電器113および無線送電器114はスパイラルコイルを誘電体で包含した同一の構成を有する。無線送電器113は移相器123に接続され、無線送電器114は移相器124に接続されている。無線送電器113および無線送電器114は、海水中に設置されている。無線送電器113および無線送電器114の動作周波数は約10KHzである。
図7〜図10には、4つの異なる条件下におけるポインティングベクトルのシミュレーション結果示す。なお、図7〜図10において、無線送電器113および無線送電器114は図の上側に送電面を向けて配置されており、図の上側を観測面とする。また、図7〜図10において、各無線送電器(113、114)の送電面に対して垂直上方が+Z方向であり、各無線送電器(113、114)の送電面に対して水平に無線送電器113から無線送電器114に向かう方向が+Y方向である。
1つ目の結果(図7)は、無線送電器113および無線送電器114に入力される高周波信号の位相が同相の条件下(同相励起)におけるシミュレーション結果である。この場合、観測面におけるポインティングベクトルの向きは、無線送電器113および無線送電器114の上方では各送電面に対して+Z方向に制御され、無線送電器113と無線送電器114との間では各送電面に対して+Y方向または−Y方向に制御される。
2つ目の結果(図8)は、無線送電器113に入力される高周波信号の位相に対して、無線送電器114に入力される高周波信号の位相が90°進んでいる条件下におけるシミュレーション結果である。この場合、観測面におけるポインティングベクトルの向きは、無線送電器113および無線送電器114の上方では、−Y方向に制御される。
3つ目の結果(図9)は、無線送電器113に入力される高周波信号の位相に対して、無線送電器114に入力される高周波信号の位相が180°進んでいる条件下(逆相励起)におけるシミュレーション結果である。この場合、観測面におけるポインティングベクトルの向きは、無線送電器113の上方では−Y方向、無線送電器114の上方では+Y方向、無線送電器113と無線送電器114との間では+Z方向に制御される。すなわち、隣接する無線送電器間の高周波信号の位相差を180°にすると、無線送電器間において、送電面に対して鉛直なポインティングベクトルを発生することができる。その結果、無線送電器113と無線受電器114との間に横ずれが発生した場合においても高効率に給電することが可能となる。
4つ目の結果(図10)は、無線送電器113に入力される高周波信号の位相に対して、無線送電器114に入力される高周波信号の位相が270°進んでいる条件下におけるシミュレーション結果である。この場合、観測面におけるポインティングベクトルの向きは、無線送電器113および無線送電器114の上方では、+Y方向に制御される。
図7〜図10のように、無線送電器113および無線送電器114に入力される高周波信号の位相を調整することによって、海水中におけるポインティングベクトルの向き、すなわちエネルギーの流れを制御することが可能となる。すなわち、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相差を移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御することができる。通常、上述のような複数の無線送電器を搭載する無線給電システムは、給電対象に備えられた無線受電器に正対して給電することが多い。そのため、図9のように、無線給電システムの複数の無線送電器から無線受電器に向けたポインティングベクトルが形成されるように、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相差が180°になるように設定することが好ましい。なお、複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相差は180°に限らず、ポインティングベクトルが無線受電器の方向に向く位相差に設定することがこのましい。
以下に、ポインティングベクトルの向きが制御されるメカニズムについて説明する。ポインティングベクトルは、特許文献1の関連技術に関して説明したように、磁界ベクトル(H)と電界ベクトル(E)との外積の時間平均、すなわち一周期あたりの時間平均により表され、エネルギーの流れを表す。なお、一周期とは、磁界または電界の位相が0°から360°まで変化する間に経過する時間である。周波数をfヘルツ(Hz)とすると、1/f秒の時間が一周期に相当する。したがって、無線送電器から射出される磁界および電界の空間的な強度が高いと、ポインティングベクトルの強度が高くなる。また、磁界ベクトルおよび電界ベクトルの外積によって、ポインティングベクトルの方向、すなわちエネルギーフローの方向が決定される。
ここで、複数の無線送電器から磁界および電界が送出される場合について考える。複数の無線送電器から磁界および電界が送出される場合、各無線送電器から送出された磁界および電界の干渉が発生する。例えば、同方向を向いた磁界ベクトルが重なった空間においては、磁界ベクトルの強度が強まる。一方、逆方向を向いた磁界ベクトルが重なった空間においては、磁界ベクトルの強度が弱まる。
したがって、各無線送電器から発せられる磁界ベクトルおよび電界ベクトルの方向を制御することによって、磁界および電界の干渉により生じる空間的な強度分布範囲を制御することが可能となる。その結果、ポインティングベクトルの強度および方向を制御することが可能となる。
〔磁界強度〕
図11は、無線送電器113および無線送電器114から発せられる磁界強度のシミュレーション結果である。なお、図11の左側(破線枠内)が同相励起時(位相差が0°)、右側(一点鎖線枠内)が逆相励起時(位相差が180°)における磁界強度のシミュレーション結果である。また、図11には、同相励起時および逆相励起時の各々について、励起開始時(t=0秒)と、励起開始から半周期経過した時間(t=1/f×0.5秒)とにおける磁界強度を示す(fは動作周波数)。なお、図11のシミュレーション結果においては、磁界強度が強くなるにつれて濃いパターンで示している。
図11に示すように、励起開始時(t=0秒)において、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線枠内)の磁界強度は、同相励起時に比べて逆相励起時の方が強くなっている。
図11に示す空間的な磁界強度の分布は、図12に示すように、磁界ベクトルの重ね合わせによって説明できる。図12の左側(破線枠内)に同相励起時、右側(一点鎖線枠内)に逆相励起時における磁界ベクトルの方向を示す概念図を示す。なお、図12には、無線送電器113から発せられる磁界ベクトル123、無線送電器114から発せられる磁界ベクトル124を曲線で示している。磁界ベクトル123および磁界ベクトル124の矢尻は、各磁界ベクトルの方向を示す。
図12の左側のように、同相励起時(破線枠内)は、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線内部)の磁界ベクトルは互いに逆方向を向いている。そのため、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線枠内)の磁界強度は小さくなる。
一方、図12の左側のように、逆相励起時(一点鎖線枠内)は、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線枠内)の磁界ベクトルは同方向を向いている。そのため、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線枠内)の磁界強度は大きくなり、磁界ベクトルはY軸の正方向を向く。
以上のような磁界ベクトルの重ね合わせによって、無線送電器113と無線送電器114との間(図11の点線枠内)における磁界強度は、同相励起時に比べて逆相励起時の方が強くなる。
〔電界強度〕
図13は、無線送電器113および無線送電器114から発せられる電界強度のシミュレーション結果である。なお、図13の左側(破線枠内)が同相励起時、右側(一点鎖線枠内)が逆相励起時における電界強度のシミュレーション結果である。また、図13には、同相励起時および逆相励起時の各々について、励起開始時(t=0秒)と、励起開始から半周期経過した時間(t=1/f×0.5秒)とにおける電界強度を示す(fは動作周波数)。
磁界強度の場合と同様に、電界強度の空間的分布は同相励起時と逆相励起時とで異なる。特に、無線送電器113と無線送電器114との間(図13の点線枠内)の電界強度は、同相励起時と比較して逆相励起時の方が大きくなっている。
図13に示す空間的な電界強度の分布は、電界ベクトルの重ね合わせによって説明できる。図14に、同相励起時(左側の破線枠内)および逆相励起時(右側の一点鎖線枠内)における電界ベクトルの方向を示す概念図を示す。なお、図14においては、無線送電器113および無線送電器114をZ軸方向から見た電界ベクトルの方向を示す。また、図14には、無線送電器113から発せられる電界ベクトル133、無線送電器114から発せられる電界ベクトル134を曲線で示している。電界ベクトル133および電界ベクトル134の矢尻は、各電界ベクトルの方向を示す。
図14の左側のように、同相励起時(破線枠内)は、無線送電器113と無線送電器114との間(図13の点線枠内)の電界ベクトルは互いに逆方向を向いている。そのため、無線送電器113と無線送電器114との間(図13の破線枠内)の電界強度は小さくなる。
一方、逆相励起時(一点鎖線枠内)は、無線送電器113と無線送電器114との間(図13の点線枠内)の電界ベクトルは同方向を向いている。そのため、無線送電器113と無線送電器114との間(図13の点線枠内)の電界強度は大きくなり、電界ベクトルはX軸の負方向を向く。
図11〜図14のように、逆相で励起した場合においては、磁界ベクトルはY軸の正方向を向き、電界ベクトルはX軸の負方向を向く。その結果、無線送電器113と無線送電器114との間(図11および図13の点線枠内)において、Z軸方向を向くポインティングベクトルが生成される。すなわち、本実施形態によれば、Z軸方向を向くポインティングベクトルを図11および図13の点線枠内に生成することができる。このようなポインティングベクトルを生成すれば、無線受電器が図11および図13の点線枠内に位置する場合に、無線送電器から無線受電器に対して安定して給電することができる。すなわち、本実施形態によれば、無線受電器が無線送電器113および無線送電器114のいずれに対しても軸ずれを生じている場合であっても、安定して給電することが可能となる。
一方、本実施形態によれば、無線受電器が無線送電器113または無線送電器114のいずれかと対向している場合、同相で励起すれば効率よく給電できる。すなわち、本実施形態によれば、無線送電器113または無線送電器114のいずれかに対して無線受電器が軸ずれを生じていない場合、同相で励起することによって無線送電器から無線受電器に対して効率よく給電できる。
図11〜図14の例では同相励起および逆相励起の場合について述べたが、本実施形態によれば、無線送電器113と無線送電器114との位相差を0°〜180°の間で制御することによって、任意の方向にポインティングベクトルを向けることが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、移相器123および移相器124によって無線送電器113および無線送電器114に入射される高周波信号の位相を制御する。その結果、磁界と電界の空間的強度分布および磁界ベクトルと電界ベクトルの方向を制御することが可能となり、ポインティングベクトルの方向を制御することが可能となる。
本実施形態によれば、海水中におけるポインティングベクトルの向きを制御することが可能となるため、潮力・浮力等が発生する海中において、無線送受電器間での軸ずれ等が発生したとしても、安定して移動体に給電することが可能となる。
また、本実施形態に係る無線給電システムは、海中以外であっても、例えば、土中や配管中、炉内等の水分が存在する媒質中であれば同様に動作し、ポインティングベクトルの方向を制御して給電することが可能である。
(第2の実施形態)
次に、図15および図16を用いて、第2の実施形態に係る電力供給システムの構成について説明する。
第2の実施形態に係る無線給電システム21は、第1の実施形態に係る無線給電システム11とは異なり、無線送電器211と無線送電器212とが直交する位置関係になるように配置されていることを特徴とする。すなわち、無線給電システム21においては、図16のように、無線送電器111および無線送電器112の送電面が90°の角度になるように配置される。言い換えると、無線給電システム21においては、無線送電器111および無線送電器112の各送電面の法線がなす角が90°になるように設定する。
なお、第2の実施形態の移相器221、移相器222および高周波電源(図示せず)の各々は、第1の実施形態の移相器121、移相器122および高周波電源(図示せず)と同一であるため、説明は省略する。また、本実施形態に係る無線給電システム21の動作は、第1の実施形態に係る無線給電システム11と同様であるので、詳細な説明は省略する。
<効果>
本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、各無線送電器から発せられるポインティングベクトルを構成する電磁界の干渉する空間的な範囲を増大させることが可能となる。その結果、ポインティングベクトルの空間的な制御範囲を増大させることが可能となる。
第1の実施形態に関する説明で述べたように、電磁界の干渉によって、ポインティングベクトルの制御が可能となる。すなわち、ポインティングベクトルの空間的な制御範囲を増加させるためには、複数の無線送電器が海水中に送出する磁界および電界の干渉する空間的領域を増加させる必要がある。
ここで、海水中に設置された微小ダイポールアンテナ200から放射される磁界210の計算した結果の一例を図17に示す。なお、微小ダイポールアンテナ200から放射される磁界210は、振動周波数1MHz、電流1Aの微小ダイポールを仮定し、磁界の放射方向をz方向として以下の式2および式3を用いて計算した(非特許文献1)。なお、式2および式3において、rおよびφは球面座標上の座標、Hr hmおよびHφ hmは微小ダイポール(水平磁気双極子)から放射される磁界の大きさを示す(hm:horizontal−magnetic dipoles)。また、式2および式3において、ωは角振動数、Iは電流、Sは磁気ダイポールを構成する電流が分布している面積、N:磁気ループのターンの数、ρは自由空間波長単位の放射距離、zはアンテナ深さ、δは表皮深さ、jは虚数単位を示す。
(非特許文献1)R.K.Moore.et.al.、「Dipole Radiation in a Conducting Half Space」、JORNAL OF RESEARCH of the National Bureau of Standards−D. Radio Propagation、1961年11月、65D巻、6号、p.547−563
図17に示すように、海水中に設置された微小ダイポールアンテナ200から放射される磁界210は、海水中に円弧状に拡がっている。
式2および式3の計算結果に基づいて、無線給電器213と無線給電器214とを水平または垂直に配置する場合の磁界の干渉に関する概念図を図18に示す。図18には、無線給電器213の磁界223と、無線給電器214の磁界224とが干渉し合う空間的領域225(図中斜線)の大きさの目安を示す。
図17に示すように、海水中に設置された微小ダイポールアンテナ200から放射される磁界210は、海水中に円弧状に拡がっている。そのため、図18のように、無線給電器213と無線給電器214とを水平に配置する場合(左側破線枠内)に比べて、直交して配置する場合(右側一点鎖線枠内)の方が、磁界の干渉し合う空間的領域225(図中斜線)が広い。同様に、電界の場合においても、図15のように、無線送電器同士を互いに直交して配置することによって、電界の干渉する空間的領域を拡げることが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、各無線送電器を互いに直交して配置することによって、各無線送電器から発せられるポインティングベクトルを構成する電磁界の干渉する空間的な範囲を第1の実施形態と比較して増大させることが可能となる。その結果、本実施形態によれば、ポインティングベクトルの空間的な制御範囲を増大させることができる。
なお、非特許文献1に記載の通り、ダイポールアンテナから送出される磁界および電界のパターンは、空気中と海水中では異なる。具体的には、空気中においては、球座標系において磁界がR方向にのみ分布しているのに対し、海水中においては、磁界がR方向だけではなく、φ方向にも分布している。したがって、上述のような無線送電器の配置方法は自明ではなく、海水等の導電性を有する媒質に適した特有の配置方法であることは明らかである。
また、本実施形態においては、無線送電器同士が直交、すなわち各無線送電器の送電面の法線のなす角が90°になるように配置する場合について述べた。例えば、各無線送電器の送電面の法線のなす角が30°や45°の位置関係に無線送電器が配置されていたとしても、水平に配置される場合に比べてポインティングベクトルの制御範囲を拡げることができる。そのため、実装の都合等を勘案して、各無線送電器の送電面の法線のなす角が90°以外の最適な角度を選択してもよい。
(変形例)
ここで、本実施形態に係る無線給電システムの変形例を図19に示す。図19の変形例は、無線送電器311、無線送電器312、移相器321および移相器322を備える無線給電システム31である。無線給電システム31において、無線送電器311および無線送電器312の各送電面の法線のなす角θは、0°より大きく、90°より小さく設定される。なお、無線送電器311および無線送電器312の各送電面の法線のなす角θは、第1の実施形態では0°であり、第2の実施形態では90°である。ただし、各無線送電器の送電面の法線のなす角θは、図19のように定義される。
図18と同様に、無線給電器313および無線給電器314から発せされる磁界の分布を図20に示す。本変形例によれば、同一の大きさの空間であれば、無線給電器313の磁界323と、無線給電器314の磁界324とが干渉し合う空間的領域225(図中斜線)が第1の実施形態と比べて大きくなる。すなわち、第1の実施形態と比較して、ポインティングベクトルの空間的な制御範囲を増大させることができる。また、各無線送電器の送電面を任意の向きに設定できるため、無線送電器の配置の自由度が大きくなるという効果も得られる。なお、各無線送電器の送電面の法線のなす角θを90°より大きくしても空間的領域225(図中斜線)を大きくすることはできるが、空間的領域225に給電対象を配置させにくくなるので、角θは0°以上90°以下に設定することが好ましい。
また、これまでは、無線送電器311および無線送電器312の各送電面の法線のなす角θを固定するものとしてきたが、角θを可変とするように構成してもよい。角θを可変とすれば、送電側と受電側との距離関係や必要な受電力に応じて、ポインティングベクトルの空間的な制御範囲を最適な範囲に設定することができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る無線給電システム31について説明する。
第3の実施形態に係る無線給電システム31は、第1または第2の実施形態に係る無線給電システムであって、給電したい空間距離d(cm)に対して、無線送電器の動作周波数f(MHz)を以下の式4に基づいて選択することを特徴とする。
(0.2×d/40)<(1/√f)<(1.5×d/40)・・・(4)
本実施形態に係る無線給電システム31の構成および動作は、第1または第2の実施形態に係る無線給電システムと同様であるので、詳細は省略する。
海水中に設置された微小ダイポールアンテナの振動周波数と、一定以上の磁界強度(1A/m)が得られる無線送電気からの距離との関係は、海水中に設置された微小ダイポールから放射される磁界を式2および式3を用いて計算することで求められる。電流1Aの微小ダイポールを仮定すると、微小ダイポールアンテナの振動周波数が1MHzの場合は40cm、10MHzの場合は30cm、100MHzの場合は5cmよりも近い場合に、1A/m以上の磁界強度が得られると算出される。この関係から明らかなように、周波数が低い場合は磁界強度1A/mが得られる範囲が広く、周波数が高い場合には磁界強度1A/mが得られる範囲が狭くなる。式4は、この1MHz〜100MHzの周波数範囲における周波数と距離の関係から求めた式である。
式4によると、振動周波数が大きくなるにつれて、一定以上の磁界強度が得られる距離、すなわち給電可能な距離が小さくなる。一方、振動周波数が小さくなると、一般的に無線送電器のサイズが増大する。そのため、振動周波数が小さい場合には、給電したい空間距離に適した振動周波数の設計が重要である。式4を用いれば、給電したい空間距離d(cm)に応じた無線送電器の動作周波数f(MHz)を求めることができる。すなわち、式4を用いれば、給電したい空間距離d(cm)を満足する最適な周波数を計算して無線送電器を設計することが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、第1または第2の実施形態の効果に加えて、給電したい空間距離dを満足する最適な周波数を計算して無線送電器を設計することが可能となる。その結果、システムの設計コストを低減することが可能となる。
(実施例1)
次に、第1の実施形態の一例である実施例1について図21を用いて説明する。実施例1は、移動体の間で電力を融通し合う例である。
図21のように、実施例1では、移動体441および移動体442は、海水400内を移動する。例えば、移動体441および移動体442は、自律型無人潜水機(以下、AUV)などの潜水機である(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)。
移動体441は、無線給電システム411および無線受電器481を備える移動体である。同様に、移動体442は、無線給電システム412および無線受電器482を備える移動体である。無線給電システム411および無線給電システム412は、第1の実施形態に係る無線給電システムであり、給電対象である移動体に設置された無線受電器を介して電力を給電する。また、無線受電器481および無線受電器482は、上述の無線給電システムから電力を受電する機能を有する。
次に、本実施例の移動体441および移動体442の動作について図22を参照しながら説明する。以下においては、移動体442のバッテリー残量の方が少ないものとする。
図22において、まず、移動体441と移動体442とは、海中音響通信等の通信手段を通じて、相手の移動体のバッテリー残量に関する情報を共有する(ステップS21)。
ここでは、移動体442のバッテリー残量の方が少なくなっていると判断されるため、バッテリー残量が多い方の移動体441は、海中音響通信等の通信手段を通じて、バッテリー量が少ない方の移動体442に接近する(ステップS22)。なお、移動体441のバッテリー量の方が少なくなっていると判断された場合は、バッテリー残量が多い方の移動体442が、バッテリー残量が少ない方の移動体441に接近する。また、バッテリー残量が同程度の場合は、互いに給電し合わないようにしてもよいし、必要に応じていずれかに給電するようにしてもよい。
次に、移動体441は、無線給電システム411によって、無線受電器481を介して移動体442に給電する(ステップS23)。なお、移動体441のバッテリー残量の方が少ない場合は、移動体442が、無線給電システム412によって、無線受電器482を介して移動体441に給電する。
以上が、本実施例の動作についての説明である。
本実施例によれば、潮力・浮力等が発生する海中であっても、一方の移動体から他方の移動体へ安定して無線給電することを可能とする無線給電システムを提供できる。その結果、海中において擬似的な電力ネットワークを形成することが可能となる。
なお、本実施例においては、2台の移動体間で電力を融通し合う例を挙げたが、3台以上の移動体間で電力を融通し合う電力ネットワークを形成してもよい。
(実施例2)
次に、第1の実施形態の一例である実施例2について図23を用いて説明する。実施例2は、少なくとも一つの移動体および固定型センサ(情報収集機器とも呼ぶ)によって収集される情報に基づいて、各移動体と固定型センサとの間で電力を融通し合う例である。
図23のように、実施例2では、移動体541、移動体542、海底センサ560および管理センタ540によって情報収集システム510を構成する。
移動体541は、実施例1の移動体441と同様の無線給電システム511および無線受電器581を備え、海水500内を移動する。同様に、移動体542は、実施例1の移動体442と同様の無線給電システム512および無線受電器582を備え、海水500内を移動する。
海底センサ560は、例えば、水温計や震度計、石油漏れ検知センサ、侵入検知センサ等の固定型センサである。なお、海底センサ560も、移動体541および移動体542と同様の無線受電器(図示しない)を備えるものとする。
管理センタ540は、移動体541、移動体542および海底センサ560によって収集される情報を統合的に管理する。例えば、管理センタは、洋上の母船等である。
次に、本実施例の情報収集システム510の動作について,図24のフローチャートを参照しながら説明する。
図24において、まず、移動体541と、移動体542と、海底センサ560との間で、海中音響通信等の通信手段を通じて、移動体541、移動体542および海底センサ560のバッテリー残量に関する情報を共有する(ステップS31)。なお、管理センタ540から、移動体541、移動体542および海底センサ560のバッテリー残量を各機器に提供するようにしてもよい。
次に、移動体541、移動体542および海底センサ560のいずれかのバッテリー残量が少なくなっていると判断された場合、移動体541または移動体542のいずれかが、バッテリー量が少なくなっている対象に接近する(ステップS32)。
次に、移動体541または移動体542が、無線給電システム511または無線給電システム512を通じて、バッテリー残量が少なくなっている対象に無線受電器を介して電力を給電する(ステップS33)。このとき、移動体541、移動体542および海底センサ560のうちいずれかは、自身の無線受電器を通じて受電する。
そして、移動体541、移動体542および海底センサ560は、収集した海中や海底の調査情報を海中音響通信等の方法を通じて管理センタ540に送信する(ステップS34)。
以上が、本実施例の動作についての説明である。
本実施例によれば、移動体から海中を調査するための移動体や固定型センサなどの機器に安定して無線給電することができる情報収集システムを提供することができる。その結果、海中を調査するための移動体または固定型センサの充電に掛かる時間を削減でき、稼働コストの低い海中調査システムを提供することが可能となる。
なお、本実施例においては、2台の移動体と1台の固定型センサとの間で電力を融通し合う例を挙げたが、移動体が3台以上、固定型センサが少なくとも1台であってもよい。また、移動体が1台、固定型センサが少なくとも1台であってもよい。
(実施例3)
次に、第1の実施形態の一例である実施例3について図25を用いて説明する。実施例3は、実施例2の変形例であり、洋上の母船が管理センタおよび無線給電システムを搭載する。また、実施例3では、無線給電システムを搭載する固定型給電ステーションである海底充電ステーション680が海中に設置されている。
図25のように、実施例3では、移動体641、移動体642、海底センサ660および海底充電ステーション680および管理センタ(移動体641)によって情報収集システム610を構成する。
移動体641は、第1の実施形態に係る無線給電システム11の機能を有する無線給電システム611を備え、海水600上を移動する。また、移動体641は、管理センタの機能を有し、移動体641、移動体642および海底センサ660により収集される情報を統合的に管理する。移動体641としては、洋上の母船を想定している。
移動体642は、実施例1の移動体442と同様の無線給電システム612と、他の機器の無線給電システムからの給電を受ける無線受電器682とを備え、海水600内を移動する。移動体642は、実施例1および実施例2の移動体と同様にAUVを想定している。
海底充電ステーション680は、海底に設置される充電ステーションであり、第1の実施形態に係る無線給電システム11の機能を有する無線給電システム613を備える。海底充電ステーション680は、例えば、海底ケーブルや海底地熱発電機などの電力源と接続されている。なお、海底充電ステーション680は、海底に設置されてもよいし、海底から離れた海中に設置されてもよい。
実施例3の情報処理システム610は、実施例2の情報処理システム510と同様の動作によって、実施例3と同様の効果を得ることができる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
11、12、21、31 無線給電システム
111、112、113、114、211、212、311、312 無線送電器
121、122、221、222、321、322 移相器
200 微小ダイポールアンテナ
400、500、600 海水
411、412、511、512、611、612 無線給電システム
441、442、541、542、641、642 移動体
481、482、581、582、682 無線受電器
560、660 海底センサ
680 海底充電ステーション

Claims (10)

  1. 複数の無線送電器と、
    前記複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、前記無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを備え、
    前記複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を前記移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システム。
  2. 前記移相器は、前記複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相がほぼ逆相になるように設定する請求項1に記載の無線給電システム。
  3. 前記移相器は、前記所定の位相差が180°になるように設定する請求項1または2に記載の無線給電システム。
  4. 前記複数の無線送電器の送電面の法線のなす角によって、前記ポインティングベクトルの空間的な制御範囲が設定される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線給電システム。
  5. 前記複数の無線送電器のうち少なくとも二つの無線送電器の送電面の法線のなす角が0°以上90°以下になるように配置される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線給電システム。
  6. 前記複数の無線送電器のうち少なくとも二つの無線送電器の送電面の法線のなす角が0°になるように配置される請求項5に記載の無線給電システム。
  7. 前記複数の無線送電器のうち少なくとも二つの無線送電器の送電面の法線のなす角が90°になるように配置される請求項5に記載の無線給電システム。
  8. 前記無線送電器と給電対象との間の空間距離と、前記無線送電器の動作周波数とが、
    (0.2×d/40)<(1/√f)<(1.5×d/40)
    ただし、
    d:空間距離(cm)
    f:無線送電器の動作周波数(MHz)
    なる不等式の条件を満たす請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無線給電システム。
  9. 複数の無線送電器と、前記複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、前記無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを有し、前記複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を前記移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システムを搭載する移動体。
  10. 複数の無線送電器と、前記複数の無線送電器のうちいずれかの入力端に接続され、前記無線送電器に入力される高周波信号の位相を可変にする少なくとも一つの移相器とを有し、前記複数の無線送電器に入力する高周波信号の位相を前記移相器によって所定の位相差に設定してポインティングベクトルの向きを制御する無線給電システムを搭載する移動体と、
    前記移動体から無線給電される少なくとも一つの情報収集機器と、
    前記移動体および前記情報収集機器によって収集される情報を統合的に管理する管理センタとを備える情報収集システム。
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