JP2016126980A - ツイストペア線及びワイヤーハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】特性インピーダンスが良好であり、安価に製造することが可能なツイストペア線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】導体21が絶縁体22で被覆されたコア線2が2本撚り合わせられたツイストペア線本体3と、該ツイストペア線本体3の撚りがほどけないように、周方向が固定具により固定されている固定部4とを有するようにしてツイストペア線1を構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ツイストペア線及びこれを用いたワイヤーハーネスに関するものである。
ツイストペア線は、2本の絶縁電線が撚り合わされて構成されている。ツイストペア線は、2本の電線に流れる電流により発生する磁束を打ち消しあう効果があり、単線と比較してノイズの影響を受けにくいため、CAN(Controller Area Network)通信などの車載LAN通信線等に広く用いられている。
CANと比較して高速通信が可能なEthernet(登録商標)等にツイストペア線を用いる際は、特性インピーダンス等の伝送特性の管理を厳しくする必要がある。例えば、CANの特性インピーダンスの規格は、95〜140Ωの範囲内である。これに対し、Ethernetの規格は、90〜110Ωの範囲であり、CANの特性よりも厳しい特性制限が必要となる。
ツイストペア線の特性インピーダンスは、撚りピッチや、絶縁電線の導体径等の構造、絶縁体の材質等に依存している。ツイストペア線の設計では、上記の要素を設計項目として考慮する必要がある。また、ツイストペア線を利用して、ワイヤーハーネスを組み立てる際は、組立時に撚りがばらけてしまい、2線間の間隔が異なる箇所が形成されると、特性インピーダンス等の伝送特性が悪化してしまい、要求特性を満足できなくなってしまう恐れがある。
上記の問題に対し、例えば絶縁電線に接着層を設けて、コア線を接着層を介して一体化させたツイストペア線が公知である(例えば、特許文献1参照)。具体的な前記接着層としては、ホットメルト接着剤等により電線の線方向に線状に形成されている。
特開2013−84365号公報
しかしながら、上記従来のツイストペア線は、絶縁電線(コア線)に接着層を設ける必要があり、コア線自体のコストが上昇してしまう。そのため、特性インピーダンス等が良好なツイストペア線が高価になり、安価に提供することができないという問題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、特性インピーダンスが良好であり、安価に製造することが可能なツイストペア線及びワイヤーハーネスを提供することにある。
本発明のツイストペア線は、導体が絶縁体で被覆されたコア線が2本撚り合わせられたツイストペア線本体と、該ツイストペア線本体の撚りがほどけないように、周方向が固定具により固定されている固定部とを有することを要旨とするものである。
本発明のツイストペア線において、前記固定部が、線方向に所定の長さに形成されている固定具を用い、前記ツイストペア線の線方向の複数個所が固定されている、複数の固定部から構成されていることが好ましい。
本発明のツイストペア線において、前記複数の固定部は、前記ツイストペア線本体の長さ1mあたり3箇所以上に形成されていることが好ましい。
本発明のツイストペア線において、前記固定部の線方向の総長さが、前記ツイストペア線本体の長さ1mあたり0.05m以上であることが好ましい。
本発明のツイストペア線において、前記固定具が粘着テープであることが好ましい。
本発明のツイストペア線において、前記ツイストペア線本体が、前記コア線の撚りピッチが10〜30mmの範囲内であることが好ましい。
本発明のワイヤーハーネスは上記のツイストペア線を用いたことを要旨とするものである。
本発明は、導体が絶縁体で被覆されたコア線が2本撚り合わせられたツイストペア線本体と、該ツイストペア線本体の撚りがほどけないように、周方向が固定具により固定されている固定部とを有するものであるから、特性インピーダンスに優れたツイストペア線及びワイヤーハーネスを得ることができると共に、それらを安価に提供することが可能である。
本発明のツイストペア線は、上記特許文献1に記載されているツイストペア線と比較して、コア線に接着層等を別に形成する必要がなく、通常のコア線を加工することなく利用することが可能であるから安価に提供することが可能である。更に固定の際の加工は、固定具により固定するだけでよく、作業も容易である。
図1は本発明のツイストペア線の一例を示す平面図である。 図2は図1のA−A線断面の端面図である。 図3は本発明のワイヤーハーネスの一例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明のツイストペア線の一例を示す平面図であり、図2は図1のA−A線断面の端面図である。図1及び図2に示すように、ツイストペア線1は、2本のコア線2、2が撚り合わせられたツイストペア線本体3の周方向が、粘着テープが巻き回された複数のテープ巻部4a、4bからなる固定部4により、ツイストペア線本体3の撚りがほどけないように固定されている。上記粘着テープは本発明の固定具の一例である。
コア線2は、導体21が絶縁体22で被覆された絶縁電線が用いられる。2本のコア線2、2は同一の構造の絶縁電線である。
テープ巻部4a、4bは、ツイストペア線本体3の線方向に、所定の間隔で複数個配置されている。テープ巻部4a、4bに用いられる粘着テープは、市販の粘着テープを用いることができる。粘着テープの材質は、ツイストペア線本体3の撚りがほどけないように、ツイストペア線本体3を周方向から固定可能なものであれば特に限定されない。また粘着テープの厚さは、ツイストペア線1が太径化して特性インピーダンスが変化するのを避けるという観点から、2mm以下であるのが好ましく、更に好ましくは、0.5mm以下である。
固定具は粘着テープに限定されるものではないが、粘着テープによるテープ巻部を用いた場合には、ハーネス組立工程で簡易的に巻くことが可能であり作業が容易である。また粘着テープは、ワイヤーハーネスの結束等に使用されている市販品を利用することが可能であり、コストも安価であり入手が容易という利点がある。
本発明において、固定部4に用いられる粘着テープ以外の固定具としては、例えば熱収縮チューブ、結束バンド等が挙げられる。
ツイストペア線本体3を1箇所で固定して(図示せず)固定部4を1箇所から構成してもよいが、図1に示すように複数のテープ巻部を設けて、固定部4を複数個所に形成することが好ましい。固定部4を複数箇所に分散して形成することで、固定部4の線方向の所定の長さを短くすることが可能である。
固定部4の複数のテープ巻部4a、4bを設ける位置は、上記の一つの固定部(各テープ巻部)の所定の長さにより異なるが、例えばツイストペア線本体の長さ1mあたり3箇所以上の位置に形成するのが好ましく、更に好ましくはツイストペア線1mあたり、4箇所以上である。
複数のテープ巻部4a、4bの間隔は、等間隔であっても、等間隔でなくても、いずれでもよいが、等間隔になるようにするのが好ましい。例えばツイストペア線1mあたり3箇所にテープ巻部を設ける際に、等間隔にテープ巻部を形成する場合、隣接するテープ巻部の間隔は、0.5mに形成すればよい。
固定部4のテープ巻部4a、4bは、各テープ巻部の所定の長さは、同じ長さであっても良いし、異なる長さであってもよい。好ましい上記所定の長さは、ツイストペア線本体3の長さ1mあたり、複数の各テープ巻部4a、4bの長さを合計した総長さで、0.05mになるように形成するのが、各テープ巻部4a、4bがツイスペア線本体の撚りがほどけないように確実に固定することが可能となる点から好ましい。更に好ましくは上記総長さは、ツイストペア線本体3の長さ1mあたり0.07m以上である。
また、上記各テープ巻部4a、4bのそれぞれの長さは、0.02m〜0.07mの範囲内に形成することが、撚りがほどけないように固定することが可能、及び作業が容易である点から好ましい。
ツイストペア線本体3は、コア線2の種類、コア線2の撚りピッチ等は特に限定されない。撚りピッチは、小さくなる程、撚りが密になるので、ほどけにくくなり、特性インピーダンスは良好になる。しかし、撚りの回数が多くなると、製造コストが上昇してしまう。実際の製造において、上記撚りピッチは、ツイストペア線1に要求される特性インピーダンスと製造コスト等を考慮して、適宜、選択されることになる。
例えばEthernetに用いる自動車用ワイヤーハーネス等で、ツイストペア線1の好ましい撚りピッチは、製造が容易である点から10〜30mmの範囲内である。更に好ましい撚りピッチは、15〜25mmの範囲内である。
図3は本発明のワイヤーハーネスの一例を示す平面図である。本発明のワイヤーハーネス5は、上記のツイストペア線1を3本用い、その周囲をコルゲートチューブ等の結束具6で被覆して構成されている。本発明のワイヤーハーネス5において、上記ツイストペア線1は、単独で使用しても良いし、図3に示すように複数本使用しても、いずれでもよい。ツイストペア線の数も、2本或いは4本以上用いても良い。
ワイヤーハーネス5は、結束具6として、コルゲートチューブ、粘着テープを用いたテープ巻き、その他のこの種のワイヤーハーネスに用いられる各種結束手段を用いることが可能である。
本発明のワイヤーハーネスは、CAN通信等の車載LAN通信線として利用可能であり、Ethernetに用いる自動車用ワイヤーハーネスとして好適に用いることができる。
実施例1〜7、参考例1〜3
以下、本発明の実施例を示す。断面積0.35mmの軟銅導体の外周に、厚さ0.2mmのポリプロピレン系樹脂を押出成形した絶縁電線をツイストペア線のコア線として用いた。該コア線2本をツイスト機で撚り合わせることで、ツイストペア線本体を作製した。得られたツイストペア線本体を1mに調尺切断した。ツイストペア線本体は、表1に示すように、ツイストの撚りピッチを10mm、15mm、25mm、30mmとしたものを準備した。上記のツイストペア線本体を用いて、表1に示す固定箇所の数、固定箇所の総長となるように、ツイストペア線本体の周囲に粘着テープを巻き付けて、撚りがほどけないように固定して固定部を形成して実施例1〜7のツイストペア線を得た。尚、前記固定部は、間隔が均等になるようにした。また、参考のために、固定部を形成しない状態のツイストペア線本体を参考例1〜3とした。得られた実施例、参考例のツイストペア線からワイヤーハーネス組立を実施し、特性インピーダンスを評価した。評価結果を表1に示す。特性インピーダンスの評価方法は、下記の通りである。
〔特性インピーダンスの評価〕
特性インピーダンスの評価はLCRメータによって、オープン・ショート法にて実施した。Ethernetの特性インピーダンスは、中心値に対して±10Ω許容されている。ハーネス組立前とハーネス組立後でツイストペア線の特性インピーダンスの変動が10Ω以内であれば、特に良好であると判断することができる。
Figure 2016126980
ツイストペア線は、コア線のツイストの撚りピッチが小さくなると、撚りがほどけにくくなるので、特性インピーダンスは向上する。しかし、撚りピッチが小さくなると、撚りの回数が多くなるので、製造コストが上昇してしまう。参考例1〜3は固定部を設けずにツイストペア線本体のみで構成した例である。固定部を設けた効果は、撚りピッチが同じところの参考例と実施例を比較して特性インピーダンスの変動を評価する必要がある。参考例1は撚りピッチが10mmと最も小さく形成したものであり、変動値が10Ωであった。これに対し参考例2に示すように撚りピッチを15mmに大きくすると、変動値が15Ωになった。参考例2と同じ撚りピッチが15mmの実施例1、2、6、7は、変動値が、7Ω、5Ω、12Ω、11Ωであり、参考例2と比較していずれも変動値が小さくなっていて、固定部を設けたことによる効果が確認できた。特に実施例1、2の結果は、撚りピッチが参考例1よりも大きいにも関わらず、参考例1よりも変動値が小さく、特性インピーダンスの変動抑制効果が大きいことが確認できた。
実施例5は、撚りピッチが30mmであり、同じ撚りピッチである参考例3と対比すると、固定部のない参考例3の変動値が19Ωであるのに対し固定部を設けた実施例5は変動値が12Ωとなっていて、固定部を設けたことによる効果が確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 ツイストペア線
2 コア線
21 導体
22 絶縁体
3 ツイストペア線本体
4 固定部
4a、4b テープ巻部
5 ワイヤーハーネス
6 結束具

Claims (7)

  1. 導体が絶縁体で被覆されたコア線が2本撚り合わせられたツイストペア線本体と、該ツイストペア線本体の撚りがほどけないように、周方向が固定具により固定されている固定部とを有することを特徴とするツイストペア線。
  2. 前記固定部が、線方向に所定の長さに形成されている固定具を用い、前記ツイストペア線の線方向の複数個所が固定されている、複数の固定部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のツイストペア線。
  3. 前記複数の固定部は、前記ツイストペア線本体の長さ1mあたり3箇所以上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のツイストペア線。
  4. 前記固定部の線方向の総長さが、前記ツイストペア線本体の長さ1mあたり0.05m以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のツイストペア線。
  5. 前記固定具が粘着テープであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のツイストペア線。
  6. 前記ツイストペア線本体が、前記コア線の撚りピッチが10〜30mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のツイストペア線。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のツイストペア線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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