JP2016124011A - 鋼板の切断方法および切断装置 - Google Patents
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これに対して、例えば特許文献1には、鋼板をレーザ切断する際に、レーザ光照射部周囲に、冷却用の水を霧状に噴霧する切断方法が開示されている。特許文献1の切断方法によれば、切断時に生じる熱応力による熱変形を抑制できることから、切断後の鋼板とレーザ切断装置の先端との接触を防止することができる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、切り離された鋼板と切断装置との接触を防止することができる鋼板の切断方法および切断装置を提供することを目的としている。
<切断装置の装置構成>
はじめに、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係る鋼板Sの切断装置1の装置構成について説明する。切断装置1は、鋼板Sの切断が行われる切断場に設けられ、図1に示すように、筐体2と、レーザ切断機3と、レール4a,4b,5a,5bと、制御部6とを有する。
レール4a,4bは、筐体2の内部に、x軸方向に延在して敷設され、上部には車輪32が配置される。また、レール5a,5bは、y軸方向に延在して敷設され、上部には車輪21が配置される。
制御部6は、筐体2に接続され、筐体2のy軸方向への移動動作、並びにレーザ切断機3のx軸方向への移動動作および切断動作を制御する。
次に、図3〜図5を参照して、本実施形態に係る鋼板Sの切断方法について説明する。
切断装置1にて切断される鋼板Sは、シャー設備等の粗切断設備にて、予め所定の大きさに切断される。鋼板Sの所定の大きさとは、図4(a)に示すように、製品部Saと斜線領域で示すスクラップ部Sbとからなる大きさである。本実施形態では、鋼板Sを切断することで、鋼板Sを製品部Saとスクラップ部Sbとに分割し、所望する大きさの鋼板を製造する。さらに、鋼板Sを切断する際、スクラップ部Sbを複数の領域に分割して切断が行われる。例えば、図4(a)に図示した例では、スクラップ部Sbは、3つのスクラップ部Sb1〜Sb3に分けて切断される。
まず、図1に示すように、枕木7a,7b上に鋼板S1,S2、および枕木7c,7d上に鋼板S3,S4がそれぞれ配される。その後、筐体2およびレーザ切断機3が、切断が行われる所定の位置へと移動し、後述する切断方法によって4枚の鋼板S1〜S4が順に切断される。
なお、スクラップ切断処理において、レーザ切断機3は、レーザ切断機3に設けられた車輪32が回転することで、x軸方向に移動しながら切断処理を行う。また、スクラップ切断処理における、アシストガスG1およびシールドガスG2の流量等の他の条件については、通常切断処理と同様とする。
さらに、レーザ切断機3がスクラップ部Sb2の長辺にあたる、図4(d)に示す切断領域C3の切断開始位置まで移動し、切断領域C3が切断される。切断領域C3は、切断領域C1と同様に、製品部Saとスクラップ部Sbとの境界の一部である。切断領域C3の切断は、図4(b)に示す切断領域C1の切断と同様に行われる。つまり、切断領域C3を切断する際には、通常切断処理によって製品部Saとスクラップ部Sbとが切断される。
以上のように、図4(a)〜4(f)に示す切断処理の工程を経ることで、鋼板Sからスクラップ部Sbが切り離され、鋼板Sが図4(g)に示すように所望する大きさの製品部Saに加工される。また、本実施形態では、図1に示す4枚の鋼板S1〜S4が、この一連の切断処理の工程によって、順に切断される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態では、レーザ切断機3は、ファイバーレーザ切断機であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、結晶レーザ等の他の固体レーザ切断機が用いられてもよい。
(1)本発明の実施形態に係る鋼板Sの切断方法は、ヘッド31の先端からレーザLを照射して鋼板Sを切断する切断装置1を用いて、鋼板Sの製品部Saとスクラップ部Sbとを分割する際に、製品部Saとスクラップ部Sbとの境界の一部C1,C3を切断し、境界の一部C1,C3を切断する場合よりも、鋼板Sの上面からヘッド31の先端までの高さHを高くした状態で、スクラップ部Sbを分割切断することでスクラップ部Sbの一部を鋼板Sから切り離す。上記構成によれば、製品部Saとスクラップ部Sbとを切断する場合よりもヘッド31の高さを高くすることで、スクラップ部Sbが鋼板Sから切り離される際に、切り離された鋼板とレーザ切断装置との接触を防止することができる。このため、ヘッド31の破損等を防止することができ、安定的な操業が可能となるため、生産効率を向上させることができる。また、上記構成によれば、スクラップ部Sbを分割切断するため、切断後のスクラップ部Sbの取り扱いを容易にすることができる。さらに、スクラップ部Sbを分割切断し、分割切断されたスクラップ部Sb1〜Sb3の長さを短くすることで、残留応力により生じる反り量を小さくすることができる。
(3)スクラップ部Sbを分割切断する際に、切断装置1のレーザ出力を低減する。上記構成によれば、過剰に蓄熱することを防止することができるため、(2)の構成のように切断速度を低下させた場合でも、バーニングを防止することができる。
実施例では、鋼板Sの上面からヘッド31の先端(下端)までの高さHを、通常切断処理時には2.0mm、スクラップ切断処理時には4.0mmとして、上記実施形態と同様に鋼板Sの切断処理を行った。また、スクラップ切断処理では、通常切断処理に比べ、鋼板Sの切断速度およびレーザ切断機3のレーザ出力を5%以上20%以下の範囲で低減させた。また、実施例の比較として、比較例では、実施例の通常切断処理と同じ切断条件にて、スクラップ部Sbの分割を含む鋼板Sの切断をすべて行った。
また、実施例および比較例の条件で同じ枚数の鋼板Sを処理した際の、ヘッド31の先端のノズル312の鋼板Sとの接触による破損の発生頻度を図6に示す。図6では、比較例に対する実施例でのノズル発生頻度の相対値を示すため、比較例でのノズル破損頻度を1として指数化した。図6に示すように、実施例におけるノズル破損頻度が0.15となり、鋼板Sとの接触によるノズルの破損頻度を85%低減でき、安定的な操業ができることを確認した。また、安定的な操業による効果として、実施例の方法を適用することにより、比較例に比べ1日当たりに鋼板Sを切断処理する量が4%増加することを確認した。
2 :筐体
3 :レーザ切断機
31 :ヘッド
311 :ヘッド本体
312 :ノズル
312a :シールドガス供給口
312b :ヘッダ
312c :シールドガス供給路
313 :中空部
4a,4b,5a,5b :レール
6a〜6d :枕木
S,S1〜S4 :鋼板
Sa :製品部
Sb :スクラップ部
Claims (4)
- ヘッドの先端からレーザを照射して鋼板を切断する切断装置を用いて、前記鋼板の製品部とスクラップ部とを分割する際に、
前記製品部と前記スクラップ部との境界の一部を切断し、
前記境界の一部を切断する場合よりも、前記鋼板の上面から前記ヘッドの先端までの高さを高くした状態で、前記スクラップ部を分割切断することで前記スクラップ部の一部を前記鋼板から切り離すことを特徴とする鋼板の切断方法。 - 前記スクラップ部を分割切断する際に、前記製品部と前記スクラップ部とを切断する場合よりも、前記切断装置の切断速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の切断方法。
- 前記スクラップ部を分割切断する際に、前記切断装置のレーザ出力を低減することを特徴とする請求項2に記載の鋼板の切断方法。
- ヘッドの先端からレーザを照射して鋼板を切断するレーザ切断機と、
前記レーザ切断機の切断動作を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記レーザ切断機にて前記鋼板の製品部とスクラップ部とを分割する際に、前記製品部と前記スクラップ部との境界の一部を切断し、前記境界の一部を切断する場合よりも、前記鋼板の上面から前記ヘッドの先端までの高さを高くした状態で、前記スクラップ部を分割切断するように前記レーザ切断機を制御することを特徴とする切断装置。
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JP2015000432A JP6183380B2 (ja) | 2015-01-05 | 2015-01-05 | 鋼板の切断方法および切断装置 |
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2015
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