JP2016123984A - 摩擦攪拌用工具及び摩擦攪拌用工具を用いた摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】隅肉摩擦攪拌接合において、内隅部周辺の流動金属がショルダに付着するのを少なく抑えて、一対の金属部材間に表面が滑らかな接合ビードを形成し得る摩擦攪拌用工具及びこれを用いた摩擦攪拌接合方法を提供する。【解決手段】金属部材Wを摩擦攪拌する摩擦攪拌用工具であって、金属部材Wに押し当てられた状態で回転して摩擦熱を付与しつつ軟化した流動金属を攪拌する攪拌プローブ2と、プローブ支持孔33を有し、プローブ支持孔33で回転する攪拌プローブ2を支持しつつ金属部材W上を摺動するショルダ3を備え、ショルダ3のプローブ支持孔33よりもショルダ3の進行方向とは反対側には、攪拌プローブ2で攪拌された流動金属を金属部材W上に均す成形部36が配置され、ショルダ3のプローブ支持孔33よりもショルダ3の進行方向側には、攪拌プローブ2で攪拌された流動金属を成形部36と金属部材Wとの間に導く誘導部39が配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、摩擦攪拌接合(FSW; Friction Stir Welding)や摩擦攪拌処理(FSP; Friction Stir Processing)に用いられる摩擦攪拌用工具及び摩擦攪拌用工具を用いた摩擦攪拌接合方法に関するものである。
従来、上記した摩擦攪拌接合に用いられる摩擦攪拌用工具としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この摩擦攪拌用工具は、一対の金属部材を突き合せて形成された内隅部に対して摩擦攪拌接合を行う隅肉摩擦攪拌接合用工具であって、一対の金属部材に跨って押し当てられた状態で回転する攪拌プローブと、この攪拌プローブを支持するショルダを備えている。
一対の金属部材に跨って押し当てられた状態で回転する攪拌プローブは、一対の金属部材間の内隅部に摩擦熱を付与しつつ軟化した内隅部及びその周辺の流動金属を練り混ぜることで、一対の金属部材同士を一体化させる。
一方、ショルダは、攪拌プローブが貫通するプローブ支持孔を有し、このプローブ支持孔で回転する攪拌プローブを支持しつつ一対の金属部材間の内隅部上を摺動して、内隅部及びその周辺の練り混ざった流動金属を均して接合ビードを形成する。
特開2011-079031号公報
ところが、上記した従来の摩擦攪拌接合用工具では、攪拌プローブの回転で生じる摩擦熱で軟化して練り混ざった流動金属が、摩擦攪拌接合を続けるうちにショルダに付着するようになり、摩擦攪拌接合の終盤においては、ショルダに付着して溜まった流動金属が接合ビードの終端部のみならずその周囲の一対の金属部材を傷つけてしまうという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、例えば、隅肉摩擦攪拌接合に用いた場合において、内隅部周辺の流動金属がショルダに付着するのを少なく抑えることができ、その結果、一対の金属部材間に表面が滑らかな接合ビードを形成することが可能である摩擦攪拌用工具及び摩擦攪拌用工具を用いた摩擦攪拌接合方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様は、金属部材を摩擦攪拌する摩擦攪拌用工具であって、前記金属部材に押し当てられた状態で回転して摩擦熱を付与しつつ軟化した流動金属を攪拌する攪拌プローブと、前記攪拌プローブが貫通するプローブ支持孔を有し、該プローブ支持孔で回転する前記攪拌プローブを支持しつつ前記金属部材上を摺動するショルダを備え、前記ショルダにおける前記プローブ支持孔よりも該ショルダの進行方向とは反対側には、前記攪拌プローブで攪拌された前記流動金属を前記金属部材上に均す成形部が配置され、前記ショルダにおける少なくとも前記プローブ支持孔よりも該ショルダの進行方向側には、前記攪拌プローブで攪拌された前記流動金属を前記成形部と前記金属部材との間に導く誘導部が配置されている構成としている。
本発明の第2の態様は、一対の金属部材を突き合せて形成された内隅部に対して摩擦攪拌接合を行う隅肉摩擦攪拌接合に用いられる摩擦攪拌用工具であって、前記成形部は、前記一対の金属部材の内隅部を形成する部材表面と当接する一対の成形面及び該一対の成形面が交わる成形稜線から成り、前記誘導部は、前記成形部の一対の成形面に一辺がそれぞれ接続し且つ他辺同士が互いに接続することで、前記一対の金属部材の部材表面に対してそれぞれ隙間をおいて配置される一対の誘導斜面を有している構成としている。
本発明の第3の態様において、前記誘導部は、前記ショルダにおける前記プローブ支持孔の前記金属部材側の開口周縁部に形成された前記ショルダの進行方向及び前記金属部材の双方を向く押し込み斜面を含む構成としている。
本発明の第4の態様において、前記ショルダには、該ショルダと前記金属部材との間にフィラーワイヤを供給するワイヤ導入部が配置されている構成としている。
本発明の第5の態様において、前記誘導部は、前記ショルダにおける前記プローブ支持孔の前記金属部材側の開口周縁部に形成された前記ショルダの進行方向側に位置する誘導溝を含む構成としている。
本発明の第6の態様は、請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦攪拌用工具を用いて、一対の金属部材を突き合せて形成された内隅部に対して隅肉摩擦攪拌接合を行う構成としている。
本発明に係る摩擦攪拌用工具によれば、例えば、隅肉摩擦攪拌接合に用いた場合には、内隅部周辺の流動金属がショルダに付着するのを少なく抑えることができ、その結果、一対の金属部材間に表面が滑らかな接合ビードを形成することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の一実施例に係る摩擦攪拌用工具としての摩擦攪拌接合用工具を示す隅肉摩擦攪拌接合を行っている状況の正面説明図である。 図1の隅肉摩擦攪拌接合を行っている状況の摩擦攪拌接合用工具を示す図1A−A線位置に基づく断面説明図である。 図1における摩擦攪拌接合用工具を工具ホルダに装着した状況の斜視説明図である。 図1に示した摩擦攪拌接合用工具におけるショルダの下方からの全体斜視説明図である。 本発明の他の実施例に係る摩擦攪拌用工具としての摩擦攪拌接合用工具のショルダを示す下方からの全体斜視説明図である。 本発明のさらに他の実施例に係る摩擦攪拌用工具としての摩擦攪拌接合用工具のショルダを示す下方からの全体斜視説明図である。 図6に示した摩擦攪拌接合用工具を用いて隅肉摩擦攪拌接合を行った際の接合ビードの平面説明図である。 従来の摩擦攪拌接合用工具を用いて隅肉摩擦攪拌接合を行った際の接合ビードの平面説明図である。 図6に示した摩擦攪拌接合用工具を用いてギャップがある内隅部に対して隅肉摩擦攪拌接合を行った際の接合ビードの平面説明図である。 従来の摩擦攪拌接合用工具を用いてギャップがある内隅部に対して隅肉摩擦攪拌接合を行った際の接合ビードの平面説明図である。 本発明のさらに他の実施例に係る摩擦攪拌用工具を示す下方からの全体斜視説明図である。
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施例に係る摩擦攪拌用工具を示しており、この実施例では、本発明に係る摩擦攪拌用工具が摩擦攪拌接合用工具である場合を例に挙げて説明する。
図1及び図2に示すように、この摩擦攪拌接合用工具1は、一対の平板状を成す金属部材W,W(例えば、アルミニウムの平板)を突き合せて形成された内隅部Wbに対して摩擦攪拌接合を行う隅肉摩擦攪拌接合用のものであって、一対の金属部材W,W間に跨って押し当てられた状態で回転する攪拌プローブ2と、この回転する攪拌プローブ2を支持するショルダ3を備えている。
この摩擦攪拌接合用工具1は、図3にも示すように、工具ホルダ10を介して図示しない駆動系側に接続されている。工具ホルダ10は、一対の金属部材W,Wの内隅部Wbを形成する部材表面Wa,Waと対向する一対の斜面11,11及びこれらの斜面11,11間に位置する平面部12を有しており、摩擦攪拌接合用工具1は、工具ホルダ10の平面部12の中央に着脱可能に装着されるようになっている。
摩擦攪拌接合用工具1の攪拌プローブ2は、駆動系から与えられる回転力で回転して、一対の金属部材W,W間の内隅部Wbに摩擦熱を付与しつつ軟化した内隅部Wb及びその周辺の流動金属を練り混ぜることで、一対の金属部材W,W同士を一体化させる。なお、攪拌プローブ2の回転数は、500〜1500(rpm)であり、金属部材Wの材質や肉厚により変化する。
一方、摩擦攪拌接合用工具1のショルダ3は、回転する攪拌プローブ2を支持しつつ駆動系から与えられる駆動力により一対の金属部材W,W間の内隅部Wb上を図2矢印方向に摺動して、内隅部Wbの図1及び図2に仮想線で示す練り混ざった流動金属を均して接合部分を成形する。このショルダ3の摺動速度は、金属部材Wの材質や肉厚に加えて金属部材W,W間のギャップの量により変化する。
このショルダ3は、図4にも示すように、工具ホルダ10の平面部12の中央に図示しないボルトにより装着される平板部31と、この平板部31の工具ホルダ10とは反対側に突出する円筒部32を具備しており、この円筒部32の中心孔はプローブ支持孔33として形成されている。また、このショルダ3の円筒部32には、先端に向けて互いに接近して互いに交わる一対の成形面34,34が形成されている。
この一対の成形面34,34同士が成す角度は、摩擦攪拌接合を行う際に、一対の金属部材W,Wの内隅部Wbを形成する部材表面Wa,Waと当接するように設定されており、この一対の成形面34,34のうちのプローブ支持孔33よりも後端側(ショルダ3の進行方向とは反対側、図4右側)の部分及びこれらの成形面34,34が交わる成形稜線35により、流動金属を均す成形部36が構成されている。
この場合、ショルダ3のプローブ支持孔33よりも前端側(ショルダ3の進行方向側、図4左側)には、攪拌プローブ2で攪拌された流動金属を成形部36と金属部材W,Wとの間に導く誘導部39が配置されている。
この誘導部39は、一対の成形面34,34のプローブ支持孔33よりも前端側に一辺がそれぞれ接続される一対の誘導斜面37,37を有しており、これらの誘導斜面37,37は、各々の他辺同士を互いに接続することで、摩擦攪拌接合を行う際に、一対の金属部材W,Wの部材表面Wa,Waに対してそれぞれ隙間Sをおいて向き合うようになっている。
この実施例において、誘導部39における一対の誘導斜面37,37の互いに接続する他辺同士は、一対の金属部材W,Wの内隅部Wbに対して傾斜する逃げ稜線38を形成している。
この摩擦攪拌接合用工具1を用いた摩擦攪拌接合方法において、すなわち、この摩擦攪拌接合用工具1を用いて、一対の金属部材W,Wを突き合せて形成された内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行う場合において、回転する攪拌プローブ2を支持するショルダ3を駆動系から与えられる駆動力により内隅部Wb上を摺動させる。
このショルダ3の摺動の間、攪拌プローブ2の回転で練り混ざった流動金属のうちのショルダ3の前端側に止まろうとする流動金属は、ショルダ3の誘導部39における一対の誘導斜面37,37と一対の金属部材W,Wの部材表面Wa,Waとの間の隙間Sを通して、成形部36と金属部材W,Wとの間に導かれるので、摩擦攪拌接合を続けても流動金属がショルダ3に付着することがなくなる。
したがって、摩擦攪拌接合の終盤において、流動金属が接合ビードの終端部のみならずその周囲の一対の金属部材W,Wを傷つけてしまうという事態が回避されることとなり、一対の金属部材W,W間に表面が滑らかな接合ビードが形成されることとなる。
また、この摩擦攪拌接合用工具1において、誘導部39における一対の誘導斜面37,37の互いに接続する他辺同士が、一対の金属部材W,Wの内隅部Wbに対して傾斜する逃げ稜線38を形成しているので、ショルダ3の摺動が円滑に成されることとなる。
この際、逃げ稜線38を設けることで、逃げ稜線38と一対の金属部材W,Wの内隅部Wbとの間には空間が形成されるが、この空間を図2に仮想線で示すフィラーワイヤFWのワイヤ導入部41として利用してもよい。このフィラーワイヤFWには、通常、一対の金属部材W,Wと同じ材質のものが使用されるが、敢えて一対の金属部材W,Wとは異なる種類の金属のフィラーワイヤFWを用いてもよい。
なお、この実施例では、一対の誘導斜面37,37の他辺同士を互いに接続させることで逃げ稜線38を形成するようにしているが、この逃げ稜線38と一対の金属部材W,Wの内隅部Wbとの間をワイヤ導入部41として利用する場合には、湾曲面を介して一対の誘導斜面37,37の他辺同士を互いに接続させてもよい。
図5は、本発明の他の実施例に係る摩擦攪拌用工具を示しており、この実施例でも、本発明に係る摩擦攪拌用工具が摩擦攪拌接合用工具である場合を例に挙げて説明する。
図5に示すように、この摩擦攪拌接合用工具1Aのショルダ3Aが先の実施例における摩擦攪拌接合用工具1のショルダ3と相違するところは、ショルダ3Aにおけるプローブ支持孔33の金属部材W側の開口周縁部に、誘導部39としてショルダ3Aの進行方向及び金属部材Wの双方(図5左下方向)を向く押し込み斜面40のみを形成した点にあり、他の構成は先の実施例における摩擦攪拌接合用工具1のショルダ3と同じである。なお、プローブ支持孔33の開口周縁部に形成される押し込み斜面40の縦幅(図5上下方向幅)の寸法は、プローブ支持孔33の口径の10%とすることが望ましい。
この摩擦攪拌接合用工具1Aにおいて、隅肉摩擦攪拌接合におけるショルダ3Aの摺動の間、攪拌プローブ2の回転で練り混ざった流動金属に対して、誘導部39としての押し込み斜面40が金属部材W方向の力を付与するので、一対の金属部材W,W間にギャップがあったとしても、このギャップに流動金属が押し込められて接合ビードに未充填部分が残るようなことが回避されることとなる。
図6は、本発明のさらに他の実施例に係る摩擦攪拌用工具を示しており、この実施例でも、本発明に係る摩擦攪拌用工具が摩擦攪拌接合用工具である場合を例に挙げて説明する。
図6に示すように、この摩擦攪拌接合用工具1Bのショルダ3Bが先の実施例における摩擦攪拌接合用工具1のショルダ3と相違するところは、誘導部39として一対の誘導斜面37,37に加えて押し込み斜面40を含んでいる点にあり、他の構成は先の実施例における摩擦攪拌接合用工具1のショルダ3と同じである。
この摩擦攪拌接合用工具1Bにおいて、隅肉摩擦攪拌接合におけるショルダ3Bの摺動の間、攪拌プローブ2の回転で練り混ざった流動金属のうちのショルダ3の前端側に止まろうとする流動金属は、ショルダ3Bの誘導部39における一対の誘導斜面37,37と一対の金属部材W,Wの部材表面Wa,Waとの間の隙間Sを通して、成形部36と金属部材W,Wとの間に導かれるので、摩擦攪拌接合を続けても流動金属がショルダ3Bに付着することがなくなり、摩擦攪拌接合の終盤において、流動金属が接合ビードの終端部のみならずその周囲の一対の金属部材W,Wを傷つけてしまうという事態が回避されることとなり、したがって、一対の金属部材W,W間に表面が滑らかな接合ビードが形成されることとなる。
加えて、ショルダ3Bの摺動の間において、攪拌プローブ2の回転で練り混ざった流動金属には、誘導部39としての押し込み斜面40から金属部材W方向の力が付与されるので、一対の金属部材W,W間にギャップがあったとしても、このギャップに流動金属が押し込められることとなって、接合ビードに未充填部分が残るようなことも回避されることとなる。
そこで、この実施例における摩擦攪拌接合用工具1Bを用いて、一対の金属部材W,Wを突き合せて形成された内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行ったところ、図7に示すような接合ビードBが得られた。この際、比較のために、従来の摩擦攪拌接合用工具を用いて、一対の金属部材W,Wを突き合せて形成された内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行ったところ、図8に示すような接合ビードBnが得られた。
図7に示すように、この実施例における摩擦攪拌接合用工具1Bを用いて行った隅肉摩擦攪拌接合で得られた接合ビードBにおいて、その終端部Beの表面が始端部Bsの表面とほとんど変わらない滑らかさなのに対して、図8に示すように、従来の摩擦攪拌接合用工具を用いて行った隅肉摩擦攪拌接合で得られた接合ビードBnでは、その終端部Bneの表面が始端部Bnsの表面と比べてささくれ立っていることが判る。
したがって、この摩擦攪拌接合用工具1Bでは、摩擦攪拌接合の終盤において、流動金属が接合ビードBの終端部Beやその周囲の一対の金属部材W,Wを傷つけてしまうようなことがなく、一対の金属部材W,W間に表面が滑らかな接合ビードBが形成されることが実証できた。
また、上記実施例における摩擦攪拌接合用工具1Bを用いて、一対の金属部材W,Wを突き合せて形成されたギャップのある内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行ったところ、図9に示すような接合ビードBが得られた。この際、比較のために、従来の摩擦攪拌接合用工具を用いて、一対の金属部材W,Wを突き合せて形成されたギャップのある内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行ったところ、図10に示すような接合ビードBnが得られた。
図9に示すように、この実施例における摩擦攪拌接合用工具1Bを用いてギャップのある内隅部Wbに対して行った隅肉摩擦攪拌接合で得られた接合ビードBには、未充填部分が生じていないのに対して、図10に示すように、従来の摩擦攪拌接合用工具を用いてギャップのある内隅部Wbに対して行った隅肉摩擦攪拌接合で得られた接合ビードBnには、未充填部分Bngが生じていることが判る。
したがって、この摩擦攪拌接合用工具1Bでは、ギャップのある内隅部Wbに対して隅肉摩擦攪拌接合を行った場合でも、接合ビードBに不具合が生じることを回避し得ることが実証できた。
また、この摩擦攪拌接合用工具1Bでは、従来の摩擦攪拌接合用工具に比べて、1.5〜2.0倍の接合速度で隅肉摩擦攪拌接合を行っても、不具合のない接合ビードBが得られた。
上記した実施例に係る摩擦攪拌接合用工具1,1Bでは、ショルダ3の誘導部39としての一対の誘導斜面37,37をプローブ支持孔33よりも前端側に配置しているが、一対の誘導斜面37,37の一辺を一対の成形面34,34のプローブ支持孔33よりも後端側に接続する、すなわち、誘導部39をプローブ支持孔33よりも後端側に伸ばすようにしてもよい。
上記した実施例では、いずれも本発明に係る摩擦攪拌用工具が摩擦攪拌接合用工具である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、突き合わせ部に対して摩擦攪拌接合を行う突き合わせ摩擦攪拌接合用の工具であってもよい。
すなわち、図11に示すように、この突き合わせ摩擦攪拌接合用工具1Cのショルダ3Cにおいて、誘導部39が、ショルダ3Cにおけるプローブ支持孔33の開口周縁部に形成されたショルダ3Cの進行方向側(図示手前側)に位置する誘導溝37C及び押し込み斜面40Cを含むものとしている。
また、上記した実施例では、いずれも本発明に係る摩擦攪拌用工具が摩擦攪拌接合用工具である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明に係る摩擦攪拌用工具を材料の熱加工処理用工具として、摩擦攪拌プロセスに用いてもよい。
本発明に係る摩擦攪拌用工具及び摩擦攪拌用工具を用いた摩擦攪拌接合方法の構成は、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
1,1A,1B,1C 摩擦攪拌接合用工具(摩擦攪拌用工具)
2 攪拌プローブ
3,3A,3B,3C ショルダ
33 プローブ支持孔
34 成形面
35 成形稜線
36 成形部
37 誘導斜面
37C 誘導溝
39 誘導部
40,40C 押し込み斜面
41 ワイヤ導入部
FW フィラーワイヤ
S 隙間
W 金属部材
Wa 部材表面
Wb 内隅部

Claims (6)

  1. 金属部材を摩擦攪拌する摩擦攪拌用工具であって、
    前記金属部材に押し当てられた状態で回転して摩擦熱を付与しつつ軟化した流動金属を攪拌する攪拌プローブと、
    前記攪拌プローブが貫通するプローブ支持孔を有し、該プローブ支持孔で回転する前記攪拌プローブを支持しつつ前記金属部材上を摺動するショルダを備え、
    前記ショルダにおける前記プローブ支持孔よりも該ショルダの進行方向とは反対側には、前記攪拌プローブで攪拌された前記流動金属を前記金属部材上に均す成形部が配置され、
    前記ショルダにおける少なくとも前記プローブ支持孔よりも該ショルダの進行方向側には、前記攪拌プローブで攪拌された前記流動金属を前記成形部と前記金属部材との間に導く誘導部が配置されている摩擦攪拌用工具。
  2. 一対の金属部材を突き合せて形成された内隅部に対して摩擦攪拌接合を行う隅肉摩擦攪拌接合に用いられる摩擦攪拌用工具であって、前記成形部は、前記一対の金属部材の内隅部を形成する部材表面と当接する一対の成形面及び該一対の成形面が交わる成形稜線から成り、前記誘導部は、前記成形部の一対の成形面に一辺がそれぞれ接続し且つ他辺同士が互いに接続することで、前記一対の金属部材の部材表面に対してそれぞれ隙間をおいて配置される一対の誘導斜面を有している請求項1に記載の摩擦攪拌用工具。
  3. 前記誘導部は、前記ショルダにおける前記プローブ支持孔の前記金属部材側の開口周縁部に形成された前記ショルダの進行方向及び前記金属部材の双方を向く押し込み斜面を含む請求項1又は2に記載の摩擦攪拌用工具。
  4. 前記ショルダには、該ショルダと前記金属部材との間にフィラーワイヤを供給するワイヤ導入部が配置されている請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の摩擦攪拌用工具。
  5. 前記誘導部は、前記ショルダにおける前記プローブ支持孔の前記金属部材側の開口周縁部に形成された前記ショルダの進行方向側に位置する誘導溝を含む請求項1又は3に記載の摩擦攪拌用工具。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦攪拌用工具を用いて、一対の金属部材を突き合せて形成された内隅部に対して隅肉摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌用工具を用いた摩擦攪拌接合方法。
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