本発明に係るイオン・オゾン風発生装置の詳細を説明する前に、図1〜図4を参照し、本発明に係るイオン・オゾン風発生装置(後述の第4実施形態及び第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置)の概要を説明する。ここで、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、本明細書中にて一例として挙げている実施形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、ある実施形態についての変更例は、別の実施形態の変更例であると理解すべきであり、また、ある変更例と別の変更例が独立して記載されていたとしても、当該ある変更例と当該別の変更例を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。更に、実施形態や変更例において示す具体的一例としての数値{例えば、後述する、放電電極や対向電極の径や長さ・厚さ、放電電極と対向電極との電圧差、放電電極と対向電極との離間距離、等}は、あくまで一例であり、各実施形態や変更例の趣旨を大きく逸脱しない限りにおいては、適宜変更してもよいものであると理解すべきである。
まず、図1を参照しながら、本発明の一の形態(後述の第4実施形態)に係るイオン・オゾン風発生装置100−4の概要について説明する。
図1に示されるように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4は、針状の放電電極120−4と環状の対向電極130−4とを備え、且つ、これらの電極間で発生したイオン風を導入可能な筒状のイオン風ガイド部材140−4(ガイド部材140−4)を備えている。より具体的には、ガイド部材140−4は、イオン風が噴出する開口部である噴出口141−4(狭窄部141−4)(本形態では、部材において最も断面積が狭い箇所となる狭窄部141−4が噴出口141−4でもある。)と、当該噴出口141−4よりも径(環径)が大きい、吸気口となる吸気開口部142−4と、吸気開口部142−4から噴出口141−4へ向かって縮径されている縮径部140r−4(傾斜部)と、を有する。このように、本形態においては、吸気開口部142−4の径(環径)が、対向電極130−4の径(環径)よりも大きく構成されている(例えば、ガイド部材140−4の中心軸方向で見た際に、噴出口141−4から対向電極130−4が環として視認し得るよう構成されている)ことを主な特徴とする。尚、具体的なイオン風の流路としては、対向電極130−4で発生したイオン風がガイド部材140−4の内部空間を通り、吸気開口部142−4側から噴出口141−4側へと移動し、噴出口141−4から噴出することとなる(イオン風発生の原理等は後述する)。尚、噴出口141−4(狭窄部141−4)及び吸気開口部142−4等は、ガイド部材140−4における各構成部(縁部)を指しているが、当該構成部(縁部)によって形成される空間を指す場合もある。
次に、図2を参照しながら、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4の作用・効果について説明する。
従来のガイド部材を配したイオン・オゾン風発生装置としては、例えば、図2(b)に示すように、{対向電極に、図A8や図A9に示された、噴出口側に向かって直線的に断面径が小さくなる(断面径が縮径する)形状を有する切頭円錐状のガイド部材140を設けた装置}が挙げられる。従来、このような切頭円錐状のガイド部材を配する理由は、ガイド部材内部でイオン風を集約することでイオン風の風力を増そうとするものであった。本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4は、一見すると、このような従来型のイオン・オゾン風発生装置と類似しているように思われる。しかしながら、本形態に係るガイド部材140−4は、従来のガイド部材140とは異なる概念に基づき創作されたものである。
具体的には、本発明者は、ガイド部材の形状を様々に変更し実験を行った結果、ガイド部材140−4の噴出口141−4の形状を大きくする(噴出口141−4の環径を、対向電極130−4の環径よりも大きく設計する)ことで、図2(a)に示すように、ガイド部材がイオン風を集約するのではなくむしろ拡散する方向に機能する(発生するイオン風が拡散する)ことを見出した。このような本形態に係る効果の原理に関しては、本発明者は下記のように予想している。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4によれば、噴出口141−4の環径を対向電極130−4の環径よりも大きく構成することにより、放電電極120−4と対向電極130−4との間で発生したイオン風は、ガイド部材140−4の噴出口141−4付近まで、対向電極130−4の形状(環形)にある程度沿った形で前面に押し出されると考えられる{尚、図2(b)はイオン・オゾン風発生装置100−4の断面概念図であり、放電電極120−4の放電点120x−4と、対向電極130−4における受電点130x−4及び受電点130y−4と、において放電が行われている様を点線矢印で示しているが、対向電極130−4は放電点が連続して形成されているため、放電電極120−4から対向電極130−4のエッジ部全体に対して放電が行わる}。この場合、イオン風が通過し易い部分(対向電極130−4の環軸方向で投影した際に、噴出口141−4の影に対して対向電極130−4に該当する領域)と、イオン風が通過し難い部分(対向電極130−4の環軸方向で投影した際に、噴出口141−4から対向電極130−4を型抜きした部分に該当する領域)との間で、気圧が不均一なものとなる。そのため、イオン風とは別に、吸気開口部142−4からガイド部材140−4の内壁面に沿って噴出口141−4側へと向かう風(上記イオン風が通過し難い部分を通過する風)が生じる。その結果、噴出口141−4にて噴出口141−4の外周方向にイオン風を引張する乱流が発生し、イオン風を巻きこんでイオン風を拡散させるものと考えられる。更に、本形態によれば、ガイド部材140−4と、対向電極にて発生したイオン風との間の距離が離れ易いよう構成されているため、噴出口141−4に至るまでにイオン風がガイド部材140−4と接触し難くなり(更には、上記イオン風が通過し難い部分を通過する風が、イオン風自体を保護し)、ガイド部材140−4内部におけるイオン風の減衰が抑制されると考えらえる(更には、ガイド部材140−4と接触され難い状態のまま、イオン風がガイド部材140−4の内壁に沿った形で集約される)。その結果、噴出口141−4まで十分な風量の(十分なイオンを含む)イオン風が到達し、さらにそのイオン風が噴出口141−4にて拡散されるため、噴出口141−4近傍でのオゾン濃度を低めつつも、イオンを広範囲に送達させることが可能となる。尚、イオン風と、吸気開口部142−4側から流入する風とで、イオンの濃度が異なることも、イオン風を拡散させる乱流の発生に関与し、イオン風の拡散効果をより高めている可能性がある。
他方、図2(b)に係る従来の装置のように、ガイド部材140の噴出口141の環径を、対向電極の環径と同等又はそれ以下とした場合、吸気口を通過する風(対向電極の外側から回り込む風)が、ガイド部材140内部でイオン風に合流する。その結果、全体として一体となった風が噴出口141から噴出するため、上記のような、イオン風を噴出口141の外周方向に引張する乱流が生じ難いものと考えられる(その結果、噴出口141近傍でのオゾン濃度が高いままとなる)。また、ガイド部材140とイオン風が接触し易いため、ガイド部材140内部でイオン風の減衰が生じてしまう結果、発生するイオン風が風力に乏しい場合があり、イオン(イオン風)を広範囲に送達させ難くなる。
このように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4は、ガイド部材140−4の形状を変更することで、送風機等を別途設けずに効率のよい拡散を行い、対象空間に送達されるイオン量を維持(イオンを広範囲に送風)しつつも、噴出口141−4の近傍でのオゾン濃度を低めるものである。
次に、図3を参照しながら、本発明の二の形態(後述の第5実施形態)に係るイオン・オゾン風発生装置100−5の概要について説明する。
図3に示されるように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、内部空間を有する筒状の対向電極130−5と、対向電極130−5の内部空間に一部(先端)が挿入された状態である、針状の放電電極120−5と、を備える。より具体的には、対向電極130−5は、イオン風が噴出する開口部である噴出口130α−5(狭窄部130α−5)(本形態では、部材において最も断面積が狭い箇所となる狭窄部130α−5が噴出口130α−5でもある)と、噴出口130α−5よりも径(環径)が大きい、吸気口となる吸気開口部130β−5と、吸気開口部130β−5から噴出口130α−5へ向かって縮径されている縮径部130r−5(傾斜部)と、を有する。このように、本形態においては、吸気開口部130β−5の径(環径)が、噴出口130α−5の径(環径)よりも大きく構成されていることを主な特徴とする。尚、噴出口130α−5や吸気開口部130β−5等は、対向電極130−5における各構成部(縁部)を指しているが、当該構成部(縁部)によって形成される空間を指す場合もある。
次に、図4を参照しながら、上述の構造を有するイオン・オゾン風発生装置100−5の作用・効果について説明する。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、上述のような構造となっているので、図4に示すように、放電電極120−5と、対向電極130−5の内壁面全体と、の間で放電が行われる(尚、本形態においてはその端となる針の先端からの放電が主に行われるが、針の先端以外も放電点となり得るため、図4においては放電電極120−5の放電点が針の先端のみではないように模式的に描写されている)。より詳細には、対向電極130−5の内壁面及びエッジ部と放電電極120−5(特に、放電電極120−5の先端)との距離が、吸気開口部130β−5から噴出口130α−5に亘ってある程度保持されることから、対向電極130−5のエッジ部のみでの局所的な放電とならずに、対向電極130−5の内壁面全体という広い面積において分散的且つ安定的に繰り返し放電(面放電)が行われる。その結果、局部的な放電が減少し、発生するイオン風中に含まれるオゾン濃度を低減させることが可能となる。更には、対向電極130−5は、吸気開口部130β−5側から噴出口130α−5に向かって徐々に断面積が小さくなる形状となっているので、吸気開口部130β−5付近で生じたイオンを含め、対向電極130−5内部で発生したイオン(イオン風)が、噴出口130α−5付近まで確実に誘導されることとなる。その結果、イオン濃度が高くトルクのあるイオン風が噴出するのである。
他方、単なる円筒状の対向電極と、当該筒状の入口に対向する放電電極と、を設けた従来のイオン・オゾン風発生装置の場合には、そのエッジ部(放電電極と対向する筒の端部)にて局部的な放電が行われ易い結果、オゾン濃度が高められたイオン風が発生する場合がある。更には、対向電極から発生したイオン風が、対向電極の内壁面とイオン風の反作用の影響によって減速されてしまい、対向電極内部にイオン風が滞留し易くなる。その結果、筒状電極から噴出するイオン風は、オゾン濃度が高い一方でイオン風の風力が十分ではない(周囲に拡散可能な程度の風力を持たない)場合があった。
このように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、対向電極130−5と放電電極120−5との対向関係に着目した上で対向電極130−5の形状を設計することで、オゾンの発生量自体を抑え、且つ、トルクのあるイオン風を生じさせるものである。
本発明に係るイオン・オゾン風発生装置は前述したような構成(イオン・オゾン風発生装置100−4及びイオン・オゾン風発生装置100−5)が例として挙げられるが、このような構成に至るまで様々な態様のイオン・オゾン風発生装置が創作された。以下、そのような一例を第1実施形態〜第3実施形態とし、第1実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置について詳述することで、まずイオン風が発生する原理的な説明を行い、次いで、本発明に想到するまでに創作されたイオン・オゾン風発生装置の態様として、第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置について説明していく。そして、そのようなイオン・オゾン風発生装置の創作において見出された各種理論に基づき工夫を重ねた上で創作するに到った、本発明に係るイオン・オゾン風発生装置(イオン・オゾン風発生装置100−4及びイオン・オゾン風発生装置100−5)並びにその周辺技術となる他の構成について、第4実施形態及び第5実施形態にて順次詳述していくこととする。
≪第1実施形態≫
まず、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、針状電極と対向電極とを有する電極対を有し、前記針状電極と前記対向電極との間に電位差を発生させてコロナ放電によりイオン、オゾン及びイオン風を発生させる。また、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、前記対向電極が平面状の主環状対向電極と、前記主環状対向電極を取り囲む平面状の副環状対向電極とを有し、前記針状電極の先端と前記主環状対向電極の最長距離が、前記針状電極の先端と前記副環状対向電極の最短距離よりも短いことを特徴とする。
当該構成により大風量のイオン風が得られる。単なる筒状あるいは一つの平面円形の対向電極の場合、放電は最短距離にある対極の筒状電極内側や平面円形電極の内側に沿ってドーナツ状に放電しドーナツ型イオン風が発生するので、イオン風中心のドーナツ中心部は無風状態である。したがって発したイオン風が無風中心部を誘風するエネルギーを使うロスがある結果、イオン風は弱くなる。本実施形態のように主環状対向電極と、副環状対向電極を設けることにより当該問題は解決される。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、針状電極と対向電極とを有する電極対を有し、前記針状電極と前記対向電極の間に電位差を発生させてコロナ放電によりイオン・オゾン、及びイオン風を発生させる。尚、イオン風は、一般的に、コロナ放電時に針状電極から放出されるイオンが対向電極へ向かって泳動する間に空気分子との衝突を繰り返すことで、針状電極から対向電極に向かって生じる空気流であるとされている。すなわち、放電時に発生するイオンの流れ方向に従って発生する気流である。以下、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の詳細な構造について説明する。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の概略構造を、図A1に示した。ここで、図A1(a)は当該装置の対向電極の概念正面図であり、図A1(b)はイオン・オゾン風発生装置100の概念側面図である。本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100は、針状電極120と対向電極130とを有する電極対110を有する。ここで、対向電極130は、針状電極120の延長線軸上に配された最内部に位置する円形環状電極131と、当該電極と同軸上に配された半径の異なる外側円形環状電極132を有する。すなわち、これらの環状電極は、環状平面に対して垂直であり、且つ、当該環の重心(円中心)を通る軸上に位置するように配されている。環状の対向電極の中でもこのように円形形状を有する対向電極を使用することにより、針状対向電極の先端から、対向電極の各所との距離が概ね等しくなるため、放電ムラが少なくなる。また、このように針状電極が環の軸上に配されていることにより、特に主環状対向電極から発生するイオン風が強くなる。
これらの環状電極131及び132は、ブリッジ139等の連結部材により通電可能に架橋されていることが好適であり、このように構成することにより、各環状電極を等電位にすることができると共に、これらの電極の位置関係を調整しやすくなる。例えば、波状部材で連結した場合、主環状対向電極と、副環状対向電極の間に略三角形の形状を有する部分が形成されてしまうため、コロナ放電にムラが発生してイオン風が大量に前方に押し出されなくなる。そのため、イオン風発生の邪魔にならないように、連結部材と副環状対向電極との接続部と、連結部材と主環状対向電極との接続部を結ぶ概念直線が前記主環状対向電極の重心を通過するように連結部材を配することが好適である。このように連結することにより、放電ムラに起因する、イオン風の発生ムラが生じにくくなる。
対向電極を構成する主環状対向電極及び副環状対向電極は、同一平面内に配されていることが好適である。主環状対向電極より副環状対向電極の放電効率を徐々に弱くしているのは距離であるため、同一平面に配することにより当該距離の変化をつけやすくなるため好適である。
なお、針状電極120と対向電極130は、それぞれ電圧印加手段又はグランドに接続されており、使用時には当該電極間に電位差を発生させて放電が行なわれる。ここで、針状電極120の先端部Pと最内部の主環状対向電極131との位置関係が、最もイオン風を発するのに適した位置関係にあることが好適であり、このような距離に配することにより、対向電極のより中心に位置する半径の小さい環状対向電極となるにつれて比較的強いイオン風が発せられることとなり、結果的に大風量のイオン風を得ることができる。このような位置関係にあれば、環状対向電極は同一平面上に配されていてもよく、別平面に配されていてもよい。尚、図中先端部Pから環状対向電極に示した破線矢印はコロナ放電によるイオンの泳動方向を示す。
イオン風を発するのに適した位置関係について図A2の模式図を用いて説明する。図A2(a)においては、最内部に位置する環状対向電極131の断面を用いて、環状対向電極131と針状電極120の先端部Pとの位置関係を示し、図A2(b)においては環状対向電極132と先端部Pとの位置関係を示した。
はじめに、先端部Pと環状対向電極131との位置関係にある場合、イオンは電極に向かって矢印の方向に従って泳動する。すなわちイオン風は、理論上、先端部Pからθ1の角度を持って発生することとなる。したがって、全体的にみれば、先端部Pを頂点とする円錐の頂点から底面の端部を結ぶ母線方向にイオン風が発生することとなる。すなわち、環状対向電極の外方向に向かってもイオン風が発生するが、全体としては主に環状対向電極の中心からイオン風が前面方向に押出されることとなる。一方、図A2(b)に示す環状対向電極132のように比較的大きな半径を有する輪状電極である場合、イオン風は、理論上、先端部Pからθ2の角度を持って発生することとなる。すなわち、当該角度がより大きくなるため、この電極に由来するイオン風は環状対向電極の外側方向に発せられる成分が多くなり、前面方向に押出されるイオン風の風量が小さくなる。
また、コロナ放電は針状電極から近い位置にある対向電極に対して起こり易くなる。環状対向電極は中心に位置するものにつれて、針状電極の先端部Pからの距離が近くなる。すなわち、コロナ放電が起きる確率も中心に位置する環状対向電極のほうが高くなるので、発生するイオン風の絶対的風圧も中心に位置する環状対向電極のほうが大きくなる。
以上、説明したように、最内部に位置する環状対向電極131は、イオン風が発生する方向としても有利であり、更には、イオン風の発生する絶対的な風圧も大きい。したがって、図A1に示すような対向電極は、環状電極の半径が小さくなるにつれて環状対向電極から発せられるイオン風が強くなるように配されている状態にある。このように配されることによって、外部の電極から発せられるイオン風によって滞留が起きず、中心から発せられるイオン風に巻き込まれるようになるので風量が大きくなるともに、放電により発生したイオン及びオゾンをイオン風によって前面へと押出す作用が得られるため、殺菌・消臭の効果も高くなる。また、最内部に位置する環状対向電極131と先端部Pとの距離が、コロナ放電において最も良好に放電し易い距離に保たれていることがより好適である。但し、対向電極の環状部の径を単に大きな径にすると大きく放電反応するがドーナツ状に放電する為、対向電極の環状中心に対向電極部を有しない事を起因とした、無風中心部も大きくなり放電ムラが出来ドーナツ状イオン風が発生し、結果発生イオン風外周と中心部が無風状態となりドーナツ状イオン風が無風域を誘風する為に強風を発しない。環状部の径が小径だと風圧の強いイオン風を発するが発生量は少ない為、主環状対向電極外周に二次発生極である副環状対向電極を配する事で、中心は主流風を小径にて風圧を強く発しながら外周は径が大きく風圧は弱いが風量のある副流風を発する。すなわち、本実施形態に係る対向電極は、大径だと風圧は弱いが風量は多い、小径だと風圧は強いが風量は少ない現況の問題を解した、イオン風の発生を同電位にて大風圧と大発生量の両立した形状となる。
対向電極を平面状とすることにより、対向電極から発生したイオン風が、壁面等の障害物とイオン風の反作用の影響によって減速されること無く、主環状対向電極から発生した主イオン風と、副環状対向電極から発生した副イオン風とが、即座に合成されるため、主イオン風は発生直後に周囲の副イオン風によって追い風による相乗効果を早く得られるため、より大風量のイオン風を得ることができる。一方、対向電極が例えば筒状等の場合には、対向電極内に壁面が存在するため、対向電極から発生したイオン風が、壁面とイオン風の反作用の影響によって減速されてしまう。このように、対向電極を平面状とすることにより、筒状等にした場合と異なり、大風量のイオン風を得ることができるようになる。また、対向電極の形状を筒状等とするのではなく平面状とすることで、装置を小型化させることができ、このように装置を小型化させたとしても、従来のようにイオン風の風量を低下させることがない。また、平面状とすることにより、対向電極の洗浄が容易になる。なお、例えば、上述した特許文献9におけるような金網状の対向電極とした場合も、各対向電極が環状でない且つ各対向電極における平面状の法線ベクトルが略同一方向でないため、各対向電極における放電ムラが発生し易く且つ対向電極から発せられるイオン風の風力が均一化されない等の影響により、対向電極から発生したイオン風が減速されてしまう(各対向電極にて発生したイオン風が最適に合成されない)ため、好ましくない。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、前記針状電極の先端と前記主環状対向電極の最長距離が、前記針状電極の先端と前記副環状対向電極の最短距離よりも短い。このような距離関係に針状電極と対向電極が配されることによって、主環状対向電極の中心に形成された開口部から、最も風圧の強いイオン風が発生し、周辺の副環状対向電極から風圧の弱いイオン風が発生するため、大量のイオン風を得ることができる。このような針状電極と対向環状電極の位置関係から外れると、イオン風は主環状対向電極と副環状対向電極の間の空間から主にイオン風が発生してしまい、均等風となってしまうため、空中放出イオン風は弱くなり、更にはガイド部材を設けた場合にも反作用が起きる。
対向電極130を構成する環状対向電極は、図A1に示すように2つに限定されるわけではなく、図A3に示すように環状対向電極131〜133のように、環状対向電極が多数設けられていてもよい。尚、図A3(a)は当該装置の対向電極130の概念正面図であり、図A3(b)はイオン・オゾン風発生装置100の概念側面図である。ここでは、3つの環状対向電極を用いた場合について説明したが、このように対向電極を構成する環状対向電極は針状電極との距離関係を満足すればいくつ設けられていてもよい。このように多数の電極を設けることにより、一の電極が汚れて放電しなくなったとしても他の電極により放電できるので、装置の動作安定性の向上に繋がる。
図A4に示すように、本実施形態に係る対向電極は、多角形であってもよい。この場合も、各針状電極と対向電極とが、前記針状電極の先端と前記主環状対向電極の最長距離が、前記針状電極の先端と前記副環状対向電極の最短距離よりも短い位置に配されている。尚、図A4(a)は当該装置の対向電極の概念正面図であり、図A4(b)はイオン・オゾン風発生装置100の概念側面図である。このように三角形の形状であっても、主環状対向電極から発生するイオン風が副環状対向電極から発生するイオン風よりも小さくなり、大風量のイオン風を得ることができる。また、ここでは主環状対向電極は円形状に表したが、三角形以上の多角形であってもよい。また環状対向電極は、多角形である場合、辺数が多いほうが、針状電極との最短距離となるポイントが多くなるため、放電ムラが発生しにくくなるため有利である。
図A5に示すように、針状電極121〜123のように、針状電極が複数設けられていてもよい。この場合、全ての針状電極と対向電極とが、前記針状電極の先端と前記主環状対向電極の最長距離が、前記針状電極の先端と前記副環状対向電極の最短距離よりも短い位置にされている。尚、図A5(a)は当該装置の対向電極の概念正面図であり、図A5(b)はイオン・オゾン風発生装置100の概念側面図である。このように針状電極を複数設けることにより、単極の場合より、絶縁破壊が多く発生し分子の衝突が起こり易くなり押出す能力が高まるので、大量のオゾンを発生させることができる。
図A6は、本実施形態に係る対向電極の一例を示した概略図である。ここでは、板に孔を設けることにより、対向電極を形成している。図A6(c)は、円形状の対向電極を有する板状対向電極130cの概念図である。当該対向電極は、第一対向電極130c−1と、第二対向電極130c−2とを有する。第一対向電極130c−1は、円形状の主環状対向電極131c−1が中心に形成されており、その周囲に、円形状の副環状対向電極132c−1が形成されており、副環状対向電極132c−1の外周には、更に、副環状対向電極133c−1、134c−1、135c−1が形成されている。またこれらの対向電極の間には、連結部材139c−1が形成されている。また第二対向電極も同様に、円形状の主環状対向電極131c−2が中心に形成されており、その周囲に、円形状の副環状対向電極132c−2が形成されており、副環状対向電極132c−2の外周には、更に、副環状対向電極133c−2、134c−2が形成されている。またこれらの対向電極の間には、連結部材139c−2が形成されている。これらの板状対向電極に対して適切な位置に針状電極を配して使用する。
図A6(b)は、板状対向電極130bの概略構成を示す図である。板状対向電極130bは、主環状対向電極の形状が円形状であり、周囲の副環状対向電極の形状が六角形である。板状対向電極130bは、第一対向電極130b−1、第二対向電極130b−2を有する。第一対向電極130b−1の中心部には、円形状の主環状対向電極131b−1が形成されており、その周囲には六角形状の副環状対向電極132b−1が形成されており、更にその外周には、副環状対向電極133b−1、134b−1、135b−1が形成されている。またこれらの対向電極の間は、連結部材139b−1により連結されている。
第二対向電極130b−2も同様に、中心に円形状の主環状対向電極131b−2が形成されており、その周囲に、六角形状の副環状対向電極132b−2〜134b−2が形成されており、これらの電極は連結部材139b−2によって連結されている。
図A6(a)は、板状対向電極130aの概略構成を示す図である。板状対向電極130aにおいては、円形状の主環状対向電極と、その周辺に環状の副環状対向電極が形成されている。板状対向電極130aは、第一対向電極130a−1と、第二対向電極130a−2を有する。第一対向電極130a−1の中心部には、円形状の主環状対向電極131a−1が形成されており、その周辺に複数の副環状対向電極132a−1が形成されている。図A6(a)においては、副環状対向電極132a−1の代表的な一例を示したが、主環状対向電極131a−1の周辺に形成されている132a−1も同様に副環状対向電極である。このように形成することにより、副環状対向電極の間に形成される部材が、主環状対向電極から放射線状に広がっている状態となるため、主環状対向電極から発生するイオン風に加えて、当該主環状対向電極から遠ざかるにつれて連続的にイオン風の風量が小さくなる。第二対向電極132a−2も第一対向電極と同様に中心に主環状対向電極131a−2及び副環状対向電極132a−2を有する。
尚、図A6(d)は、上記の板状対向電極130a〜cの共通の側面図である。
図A7に示すように、本形態に係る電極対110を複数有するイオン・オゾン風発生装置が好適である。尚、図A7はイオン・オゾン風発生装置100の概念平面図である。中心に配された電極対の左右に2つの電極対が配されており、中心に配された電極対のイオン風発生方向に対して前記左右に配された2つの電極対のイオン風発生方向がそれぞれ交わるように配されていることが好適である。また各電極対から発生するイオン風が、一点集中するように配置することがより好適である。このような、装置を用いることによって、各電極対から発せられるイオン風を合流させることができ、より大風量のイオン風を得ることができる。
図A8に示すように、切頭円錐状のイオン風ガイド部材140が設けられていることが好適である。尚、図A8(a)は当該装置の対向電極130の概念正面図であり、図A8(b)はイオン・オゾン風発生装置100の概念側面図である。対向電極130の最内部に位置する環状対向電極131から発生するイオン風に対して、外側に位置する環状対向電極から発生するイオン風を集約して(合流させて)イオン風噴出口141へと送ることにより、前面に押出されるイオン風の風量が大きくなる。また、このようにガイド部材を設けたとしても、外側で発生したイオン風は、最内部で発生するイオン風よりも小さいので滞留せずに中心のイオン風に引き込まれるように前方に押出される。ガイド部材は、徐々に開口断面積が小さくなる形状を有している。このような形状を有するガイド部材を設けた場合、対向電極から発生するイオン風が均等風や中心は風圧を発しないドーナツ風では送風作用に対して断面積が小さくなる形状の為、直進したイオン風がガイド部材の内壁に衝突し乱気流が発生してガイド部材内部に反作用が起き微風になるが、主イオン風が強く副イオン風は弱いとガイド部材が小径に絞られた時でも副イオン風が弱い為ガイド部材内壁への衝突も当然弱くなり主イオン風は、副イオン風を巻き込みイオン風を集約し噴出する。
また、ガイド部材140の噴出口141には、送風経路150が設けられていることが好適である。ここで、送付経路は、噴出されるイオン風の風向きを調整できれば特に限定されないが、噴出口141と同じ径を有する管状部材であることが好適である。ここで、送風経路は、その材質は特に限定されず、ホース、塩化ビニル管などが挙げられる。当該送風経路は、後述するように複数の電極対を設ける場合、これらの電極対から発生するイオン風が集約され易いように用いることができる。また、当該電極対単独で用いる場合、当該送付経路によって、殺菌・消臭対象空間等にイオン及びオゾンを送り込んでもよい。
図A9に示すように、これらのガイド部材140が設けられた電極対110を複数設けることが好適である。電極対110を3個設けた場合、中心に配された電極対の左右に2つの電極対が配されており、中心に配された電極対のイオン風発生方向に対して左右に配された2つの電極対のイオン風発生方向がそれぞれ交わるように配されている。また、各電極対から発生するイオン風が、一点集中するように配置することが好適である。このように構成することによって、各電極対から発生するイオン風を合流させることにより大風量のイオン風を得ることができる。
図A10に示すように、ガイド部材140が設けられた電極対110(ここでは図面の容易のため針状電極を省略する)を6個設けることが好適である。図A10(a)は、イオン・オゾン風発生装置の概念平面図であり、図A10(b)はイオン・オゾン風発生装置の概念側面図であり、図A10(c)はイオン・オゾン風発生装置の噴出口側から見た概念正面図である。この場合、電極対を3組ごとに上下の二段構成として、これらの上下段それぞれについて先に示した3個の電極対における配置法に従って配置し{図A10(a)}、これらの3個の電極対の群を当該電極対の群から発生されるイオン風を合流させるように配する{図A10(b)}。ここで各電極対から発生するイオン風が、一点集中するように配置することが好適である。すなわち、上下段の中心に位置する電極対から発生されるイオン風が集約されるような角度に配することによって、各電極対からのイオン風を合流させることができ大風量のイオン風を得ることができる。
<電極対に係る別の形態>
上述のイオン・オゾン風発生装置100によれば、十分な風量のイオン風が得られるものであるが、小型化や携帯化という点では更に改良の余地があった。そこで、上述のイオン・オゾン風発生装置100と比して、より低い電圧でもイオン風を発生可能である(即ち、より小型化することが可能である)と共に、より強いイオン風を安定して発生させることが可能な、本実施形態に係る殺菌・消臭装置の別の形態であるイオン・オゾン風発生装置100に関して詳述する。尚、本実施形態は一例であり、当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても、本実施形態の技術的範囲に属する(具体的な変更例については後述する)。また、本明細書中にて一例として挙げている実施形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、ある実施形態についての変更例は、別の実施形態の変更例であると理解すべきであり、また、ある変更例と別の変更例が独立して記載されていたとしても、当該ある変更例と当該別の変更例を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。更に、実施形態や変更例において示す具体的一例としての数値{例えば、放電電極や対向電極の径や長さ・厚さ、放電電極と対向電極との電圧差、放電電極と対向電極との離間距離、等}は、あくまで一例であり、各実施形態や変更例の趣旨を大きく逸脱しない限りにおいては、適宜変更してもよいものであると理解すべきである。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100の概略構造を図B1に示す。本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100は、1つの主電極対と、主電極対を囲むように設けられた6つの副電極対から主になる。前述のように、電極対とは、放電電極(本実施形態では針状電極)と対向電極とを有する1組の電極であり、主電極対は、その対向電極として、環状対向電極130a(以降、第1対向電極130aとする。)を有し、6つの副電極対は、その対向電極として、環状対向電極130b〜130g(以降、第2対向電極130b〜130g等とする。)を有する。また、いずれの対向電極も、板状部材及び/又は線状部材から構成される。
更に、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100においては、第1対向電極130a及び6つの第2対向電極130b〜130gを全て等しい形状(径の等しい略環状)としている。そして、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100においては、第2対向電極130b〜130gが、第1対向電極130aの外周に沿って且つ相互に隣接して配置されている。結果、これら第2対向電極130b〜130gの外側には、これら第2対向電極130b〜130gと内接する仮想円S(図B1にて、破線で示された箇所)が形成される。
より具体的には、略正六角形状を仮定した際に、6つの第2対向電極130b〜130gの中心が当該略正六角形状の各頂点を成すように、夫々が隣接するように第2対向電極130b〜130gを設ける。言い換えると、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100においては、第2対向電極130b〜130gは、互いに隣接する対向電極の外周同士が当接するように配置されている。例えば、第2対向電極130bの外周は、当該第2対向電極130bに隣接する第2対向電極130c及び130gの外周と、それぞれ当接している。更に、第1対向電極130aを、当該第2対向電極130b〜130gの夫々に更に接するように(即ち、第2対向電極130b〜130gによって仮定された略正六角形状の中心に配されるように)設けるものとして定義することができる。なお、第2対向電極130b〜130gは、必ずしも隣り合う対向電極と隣接(当接)していなくてもよく、近接している状態でもよいが、あまりに離隔し過ぎていると、イオン・オゾン風発生装置100から発生する風力が低下してしまう。そのため、各第2対向電極130b〜130gは、隣り合う対向電極の外周間の距離(特に、最短となる距離)が、第2対向電極130b〜130gの直径以下(或いは直径の1/n以下;nは自然数)であることが好適である。また、第1対向電極130aは、必ずしも全ての第2対向電極130b〜130gと接していなくてもよく、近接している状態でも良いが、第2対向電極130b〜130gの少なくとも一部と接していることが好適である(その場合においても、外周間の最短となる距離が第1対向電極130aや第2対向電極130b〜130gの直径以下或いは直径の1/n以下;nは自然数であることが好適である)。
また、第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gには、対となる放電側の電極として、針状電極120(特に、夫々の対向電極における放電部となる針状電極120a及び120b〜120g)が設けられることで、主電極対及び副電極対を成している。尚、本実施形態に係る各対向電極(第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130g)は、前述したような2重環状構造であり、主環状電極と主環状電極を囲むよう設けられた副環状電極とが、ブリッジによって導通状態にて固定されている。ここで、各々の電極対における、主環状電極、副環状電極及びブリッジの夫々の役割や、これらを有する2重環状電極によるイオン風の発生原理に関しては、前述の通りであるため省略する。尚、各対向電極(第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130g)は、2重環状構造であることには限定されず、一部又はすべてが1重環状構造(又は、3重以上の環を有する多重環状構造)や渦状構造(渦状構造の具体的態様については後述する)であってもよい。
次に、図B2を参照しながら、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100のイオン風発生における作用及び効果に関して説明する。尚、図B2においては、作用及び効果をイメージし易いよう、各対向電極が異なる平面状にて位置するよう図示されている場合があるが、各対向電極が同一の平面状にて位置した場合であっても、同様の作用及び効果をもたらすものであることを補足しておく。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100によれば、第1対向電極130aを略中心(仮想円Sの中心付近)とし、その周囲を囲うように第2対向電極130b〜130gを設ける構成とすることにより、副電極対にて発生したイオン風の追い風によって、主電極対にて発生したイオン風が後押しされる形で前面に押し出されるため、主電極対にて発生したイオン風の風力が削がれることなく、対象物まで送達されることとなる(副電極対による保護効果)。即ち、各電極対をより小さい形状とした場合にも{例えば、対向電極の径が1cm程度(好適な範囲は、5mm〜5cm)、針状電極と対向電極との離間距離を1〜2cm程度(好適な範囲は、1mm〜2cm)、針状電極と対向電極との電位差が3〜100ボルト程度}、十分な風量のイオン風が得られるようになるのである。
また、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100においては、第1対向電極130aの周囲を、隣接した第2対向電極130b〜130gで囲うような構成(可能な限りの第2対向電極を、第1対向電極130aと隣接させる様に設けた構成)としている。このような構成とすることにより、それぞれの電極対により発生したイオン風は、隣接する電極対より発生したイオン風と触れ合う割合が、静止している外気と触れあう割合よりも増大するようになる(即ち、発生したイオン風は、静止している外気と触れあい難くなり、外気との摩擦による抵抗が少なくなる)。
更に、特に第1対向電極130aにて発生したイオン風は、その周囲全てを別のイオン風によって囲われるようになるため、より外気と触れあい難くなり、前述の副電極対による保護効果がより高められることとなる。このように、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100は、噴出するイオン風全体で見た際にも、イオン・オゾン風発生装置100から噴出したイオン風が、静止した外気と触れる領域が少なくなり外気との摩擦の影響を受け難くなると共に、中心のイオン風(主対向電極対にて発生したイオン風)が周囲のイオン風(副対向電極対にて発生したイオン風)によって保護される効果が得られるため、より強いイオン風を遠くの対象物まで送達することが可能となる。尚、このように、各対向電極を隣接させ、各対向電極間に存在する隙間を可能な限り少なくすることで、限られた空間にて、より大きな対向電極を設ける(又は対向電極の数を増やす)ことにより、より大きな風量のイオン風を発生させることも可能となり得る。
また、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100のように、対向電極(第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130g)を全て等しい形状とすることにより、主電極対及び副電極対の夫々の電極対にて発生するイオン風は、その夫々がある程度風量の大きいものとなる(局所的に風量の少ない箇所等が生じない)。更には、これらの第2対向電極130b〜130gを等しい形状としたことにより、副電極対(特に、各第2対向電極130b〜130g)にて発生したイオン風は、外気と触れる領域が、副電極対の設置個所によらず略等しくなることから、イオン風全体における局所的な風量のムラがより少なくなる。従って、このような構成とすることで、イオン・オゾン風発生装置100全体で見た際にも、より安定且つ風量の大きいイオン風を得ることが可能となる。
尚、図B1のように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100は、主電極対及び副電極対における各対向電極同士を隣接させ、夫々が導通可能としている(各針状電極120a〜120gも、同様に夫々が導通可能としている)。このような構成とすることにより、各対向電極(各針状電極)を等電位とすることが可能となり、殺菌・消臭装置全体における電圧の制御を行い易くすると共にイオン風の発生を安定させることが可能となる{但し、これには限定されず、各対向電極(各針状電極)を導通不可能としてもよい}。
また、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100によれば、一つの対向電極(2重環状対向電極)に対して一つの針状電極が存在し(一対一対応となるように存在し)、夫々の電極対にてコロナ放電が行われ得る(複数の電極対にてイオン風が発生し得る)構成としているため、イオン・オゾン風発生装置100全体の動作安定性が保たれると共に、夫々の電極対にて大きな風量のイオン風が得られ更にそれらが合算されることから、安定して大風量のイオン風を得ることが可能となる。
以上、説明したように、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100によれば、イオン風が発せられ得る仮想円を想定し、当該仮想円の円周上にて互いに隣接又は近接する形で対向電極が位置する電極対である副電極対を複数組備え、当該仮想円の円周内にて対向電極が位置する電極対である主電極対を備えることにより、より強いイオン風を、より安定的に発生させることが可能である。ここで、図B1においては、主電極対における環状対向電極及び副電極対における環状対向電極の大きさを全て等しいものとし、副電極対における6つの環状対向電極を、主電極対における環状対向電極に外接するように設けた構成であるが、各対向電極対の形状及び位置関係はこれには限定されず、前述の効果(例えば、副電極対による保護効果)を発揮し得る構成として、様々な構成が考えられるものである。
例えば、図B3に示すように、副電極対における環状対向電極を主電極対における環状対向電極よりも小さい径(環径)とし、主電極対における環状対向電極に外接するように、副電極対における環状対向電極を(各環状対向電極同士が隣接するように)配してもよい。
他方で、図B4に示すように、副電極対における環状対向電極を主電極対における環状対向電極よりも大きい径(環径)とし、主電極対における環状対向電極に外接するように、副電極対における環状対向電極を(各環状対向電極同士が隣接するように)配してもよい。
尚、図B5に示すように、複数の副電極対における環状対向電極を各々同一の形状とせずともよく、一部の副電極対における環状対向電極を大きい径(環径)とし、別の副電極対における環状対向電極をより小さい径(環径)としてもよい。
また、図B6に示すように、主電極対における環状対向電極と、副電極対における環状対向電極とを、同一の平面上(主電極対における環状対向電極を含むような平面)ではなく、異なる平面上に配した構成としてもよい{例えば、図B6では主電極対が、副電極対よりも前面側(イオン風の吹出し方向側)となるように配置している}。
更に、図B7に示すように、主電極対は一つには限定されず、主電極対を複数設けた構成としてもよい(例えば、図B6では第1対向電極130aを3つとしている)。
ここで、図B8に示すように、主電極対及び/又は副電極対における対向電極は、多角形状や円形状及び略円形状に限らず、渦巻状とした態様(巻き数や巻き幅は、あくまで一例である)であってもよい。ここで、図B8(a)に示すような渦巻状と図B8(b)に示すような渦巻状との相違点は、中心に向かって渦巻状を成した際における渦巻きの終点の有無である。特に、各対向電極を、図B8(b)に示すような渦巻状とした場合、各対向電極同士を導通させることが容易となるという利点がある。尚、対向電極を、このような渦巻状とした場合、多重環状構造の場合と比較して、コロナ放電にムラが発生し得ることが懸念されるが、対向電極自体が小型化すればするほど(例えば、対向電極の径が1cm程度)、当該ムラの発生要因となる渦巻状の導線各部と針状電極との距離誤差(多重環状構造からの剥離)が小さくなるため、多重環状構造と同等の効果が得られやすくなることを補足しておく。
尚、図B9に示すように、放電側の電極(例えば針状電極)を、環状放電電極120{図B9(b)}としたり、単に、針状電極が環状にブリッジされた環状放電電極120{図B9(a)}としてもよい。
マイナスイオン・オゾン発生装置は、小型化(携帯化)=イオン風の小風力化となる事態が不可避であるため、コロナ放電により発生するイオン風の風力が極力削がれることなく対象物まで送達されるような何らかの工夫が、商品化の上では肝要となる。但し、あくまでも小型化(携帯化)を目指す以上、送風装置や昇圧型コンバータ等の付加装置を設けることなく、マイナスイオン・オゾン発生装置の必須構成である電極構成に工夫を凝らすことが望ましい。本実施形態によれば、マイナスイオン・オゾン発生装置を小型化(携帯化)したとしても、イオン風を良好に発生させるための手段を提供することができる。
≪第2実施形態≫
上述したイオン・オゾン風発生装置100によれば、十分な風量のイオン風が得られるものであるが、発生するイオン風が略一方向であるという点では更に改良の余地があった{具体的には、発生するイオン風が特定の方向へ向かうものであるが故、例えば、上述のイオン・オゾン風発生装置100を密閉された部屋内の任意の場所に設置した場合、発生するイオン風が部屋の全体に効果的に行き亘らない(発生するイオン風の風力が強いため密閉された部屋内でイオン・オゾン分子が回流はするが、その回流効率が低い)可能性があった}。そこで、上述のイオン・オゾン風発生装置100と比して、より広い範囲にイオン風を発生させることが可能な、殺菌・消臭装置の別の形態であるイオン・オゾン風発生装置100に関して第2実施形態として詳述する。尚、第2実施形態にて示す例示はあくまで一例であり、本実施形態の技術的範囲に属する具体的な変更例については第3実施形態等にて後述する。また、本明細書中にて一例として挙げている実施形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、ある実施形態についての変更例は、別の実施形態の変更例であると理解すべきであり、また、ある変更例と別の変更例が独立して記載されていたとしても、当該ある変更例と当該別の変更例を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。更に、実施形態や変更例において示す具体的一例としての数値{例えば、放電電極や対向電極の径や長さ・厚さ、放電電極と対向電極との電圧差、放電電極と対向電極との離間距離、等}は、あくまで一例であり、各実施形態や変更例の趣旨を大きく逸脱しない限りにおいては、適宜変更してもよいものであると理解すべきである。
先ず、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の概要に関して説明した後に、合わせて、第2実施形態の別の形態である第3実施形態の概要に関して説明する。
第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3が有する電極対310の一例として、図C1及び図C2に示すように、線状の放電部(放電線)321を有する放電電極320と、線状の受電部(受電線)331を有する対向電極330とからなる電極対310が挙げられる(電極対、放電電極、放電部、放電線、放電点、対向電極、受電部、受電線、受電点の詳細に関しては後述する)。より詳細には、放電部321及び受電部331は環状であり、受電部331は放電部321よりも径が大きく、放電部321が配置されている平面と平行した平面に受電部331が配置されているよう構成されている。
尚、図C1に係る電極対310は放電部321及び受電部331が同一円心状に配置されていることで、当該放電部321と受電部331との間で略均一にコロナ放電が発生するよう構成されている。他方、図C2に係る電極対310は放電部321が円外周に突起(棘)を施した形状であり、当該突起の先端において集中的にコロナ放電が発生しやすいよう構成されている。尚、図C1に係る放電電極320(放電部321)と図C2に係る放電電極320(放電部321)とは同一の形状であり、放電電極320(放電部321)の外周はどちらもエッジ状(受電部331へ向かって鋭角をなす形状)になっている。
また、電極対310は、放電部(放電線)321上に点在している放電点322と、受電部(受電線)331上に点在している受電点332との間に電位差を発生させて、多点にて同時にコロナ放電によるイオン・オゾン、及びイオン風を発生させるよう構成されている。即ち、図C1及び図C2に示すような電極対310は、多点にて同時にコロナ放電によるイオン・オゾン、及びイオン風を発生させると、受電部(受電線)331の周囲360度に亘って、広範囲にイオン風が飛散していくこととなる。よって、例えば、電極対310を、掌に収まる程度のサイズ(最大の径が、10〜20cm程度)とし、方形六畳の部屋の天井中央に設けることで、部屋全体にイオン風を飛散させることが可能となり、当該飛散させたイオン風に含まれるオゾンの酸化力によって、部屋内に滞留している悪臭成分を除去(脱臭・除菌)することが可能となるのである。尚、電極対310における、放電部321と受電部331とを逆に配置した場合(受電部331の外側に放電部321が位置する場合)には、受電部(受電線)331の中心に向かってイオン風が集約されることとなるため、例えば、電極対310を、掌に収まる程度のサイズ(最大の径が、10〜20cm程度)とし、ゴミ箱の開口部等に設けることで、ゴミ箱から悪臭成分が漏れだすことを防ぐことができる。
尚、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、その基本的な概念として、放電部(放電線)321となる放電電極と、受電部(受電線)331となる対向電極と、を有する電極対を有し、放電時に発生するイオンの流れ方向(ベクトル)に従って発生する気流がイオン風ということになるのであるが、本願発明においては、当該空気流によって生じる負圧及び当該負圧が生じた空間への外気の吸気流によるイオン風の増大効果にも着目している。即ち、環状の対向電極における内周エッジ部と、対向電極の内周側に存在する放電電極と、の間でコロナ放電が発生した際、当該内周エッジ部近傍にて発生しているイオン風が、環状の対向電極における放電電極と対向しない側に放出され、その際に、対向電極の環状部外周側(放電電極と対向しない側)には負圧が発生する。そして、当該負圧が発生した空間に向かって、特に対向電極の外周を取り巻く外気が吸引されることとなり、当該吸引された外気によって環状の対向電極における放電電極と対向しない側に押し出されるイオン風の風力が増大するのである。
次に、図C3は、図C1に係るイオン・オゾン風発生装置100−3又は図C2に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の具体的な使用例を示す概念断面図である。図C3に係るイオン・オゾン風発生装置100−3は、図C1又は図C2に係る放電電極320を1つ、対向電極330を4つ有している。また、図C3に係るイオン・オゾン風発生装置100−3は、固定部材380によって天井400に固定されると共に、天井400から電力を供給されるよう構成されている。尚、カバーユニット350は対向電極330から発生したイオン風を誘導するガイド部材となると共に、イオン・オゾン風発生装置100−3を保護する役割を果たしている。また、当該カバーユニット350は、下部の開口部に吸気口を有し、当該吸気口から吸気することにより、発生するイオン風を増大させることができることとなる。
ここで、図C3に係るイオン・オゾン風発生装置100−3では、4つの対向電極330A〜330D(受電部331A〜331D)は同一の形状・内径となっていると共に、異なる平面上に略平行に配置されている。そのため、1つの放電電極320(放電部321)と近い位置に配置されている対向電極{対向電極330B(受電部331B)、対向電極330C(受電部331C)}における受電点(受電点332B、332C)が、遠い位置に配置されている対向電極{対向電極330A(受電部331A)、対向電極330D(受電部331D)}における受電点(受電点332A、受電点332D)よりも、1つの放電電極320(放電部321)における放電点322からの距離が短くなる。よって、この1つの放電電極320(放電部321)と対向電極{対向電極330B(受電部331B)、対向電極330C(受電部331C)}との間でのコロナ放電の発生割合が最も大きくなり、対向電極330B及び330Cから発生するイオン風の風力が最も大きくなる。そして、この1つの放電電極320(放電部321)とその他の対向電極{対向電極330A(受電部331A)、対向電極330D(受電部331D)}との間でのコロナ放電の発生割合が相対的に低くなり、対向電極330A及び対向電極330Dから発生するイオン風の風力も相対的に弱くなる。このように構成することによって、対向電極330A及び対向電極330Dにより発生されたイオン風の追い風によって、対向電極330B及び対向電極330Cにより発生されたイオン風が後押しされる形で、330B及び対向電極330Cにおける放電電極320と対向しない側に押し出される。このことから、図C3に係る電極対310を小型化したとしても、コロナ放電により発生するイオン風の風力が極力削がれることなく広範囲に行き亘るという効果を奏する。尚、図C3においては、放電電極320と同一平面上に対向電極330を配置していないが、対向電極330を同一平面上に配置するよう構成してもよい。
次に、図C4は、図C1に係るイオン・オゾン風発生装置100−3又は図C2に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の図C3とは異なる態様となる使用例を示す概念断面図である。図C3に係るイオン・オゾン風発生装置100−3との相違点は、4つの対向電極330A〜330D(受電部331A〜331D)の内径を均一ではなく構成している点であり、図C4に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の場合には、放電点322と各受電点(332A〜332D)との距離が、すべて均一の距離となっている。このように構成することで、各受電点(332A〜332D)から略同一の風量のイオン風が発生し、立体的且つ広範囲に亘るイオン風が発生し得ることとなる。尚、図C4においても図C3と同様に、放電電極320と対向電極330とを同一平面に配置するよう構成してもよい。
以上説明したように、第2実施形態及び後述する第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、その基本的な概念として、放電電極と対向電極とを有する電極対を有する点では第1実施形態と同様であるが、放電電極を線状の放電部(放電線)とし、対向電極も線状の受電部(受電線)とするものである。即ち、放電部(放電線)上に点在している放電点と、受電部(受電線)上に点在している受電点との間に電位差を発生させて、多点にて同時にコロナ放電によるイオン・オゾン、及びイオン風を発生させるのである。尚、前述したように、イオン風は、一般的に、コロナ放電時に放電点から放出されるイオンが受電点へ向かって泳動する間に空気分子との衝突を繰り返すことで、放電点から受電点に向かって生じる空気流であるとされている。即ち、放電時に発生するイオンの流れ方向(ベクトル)に従って発生する気流がイオン風ということになるのであるが、本願発明においては、当該空気流によって生じる負圧及び当該負圧が生じた空間への外気の吸気流によるイオン風の増大効果にも着目している。例えば、図A1にて示されるイオン風の発生箇所から明らかなように、環状の対向電極における内周エッジ部においてコロナ放電が発生した際、当該内周エッジ部近傍からイオン風が前面方向(針状電極と対向しない側の方向)に放出されるのであるが、その際に、対向電極の環状部裏側(針状電極と対向しない側の面)には負圧が発生する。そして、当該負圧が発生した空間に向かって、特に対向電極の外周を取り巻く外気が吸引されることとなり、当該吸引された外気によって前面方向に押し出されるイオン風の風力が増大するのである。このことは、放電部(放電線)上に点在している放電点と、受電部(受電線)上に点在している受電点との間に電位差を発生させてコロナ放電によりイオン・オゾン、及びイオン風を発生させる場合も同様であり、受電部(受電線)における放電部(放電線)と対向しない側の開放部には、この負圧によって増大されたイオン風が発生することとなる。以下、このような基本概念に基づく、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の詳細な構造について説明する。
まず、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の概略構造を図C5に示す。図C5(a)は当該装置の電極対310の概念正面図であり、図C5(b)は電極対310の概念側面図である。第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2は、放電電極(本実施形態では環状電極)と対向電極(本実施形態では環状電極)とを有する1組の電極対からなる。ここで、対向電極及び放電電極(特に、放電電極)は、線状部材(但し、線状の電極を環状に囲うよう成形されたもののみならず、円盤状の電極の外周が残るよう穿孔して成形されたものをも含む)から構成されることで、線状且つ環状の放電電極320と線状且つ環状の対向電極330とから電極対310が構成されている。また、放電電極320が線状である場合には、放電電極320の還の外周エッジ(対向電極330と対向する側の還縁)である放電部321も線状となるため、以降、放電電極320と放電部321とを同一部材として記述することがある(即ち、部材としては同一であるが、特に放電が発生する部位を放電部321と称している)。尚、対向電極330が線状である場合にも同様に、対向電極330と受電部331とを同一部材として記述することがある(この場合には、部材としては同一であるが、特に受電が発生する部位を受電部331と称している)。ここで、本例では、電極対310における対向電極330(受電部331)と放電電極320(放電部321)とは略同一の平面上に配置されており、対向電極330(受電部331)と放電電極320(放電部321)とでは、放電電極320(放電部321)の方が周長が小さくなるよう構成されている。また、本例では、放電電極320(放電部321)と対向電極330(受電部331)とが相似であり、同心円状に配置されていることで、放電電極320(放電部321)における放電点322と、対向電極330(受電部331)における受電点332(放電点322から最短距離にある受電点)までの距離が、いずれの箇所においても概ね等しくなるため、放電ムラが少なくなるよう構成されている。
このように構成することで、放電電極320(放電部321)と対向電極330(受電部331)との間に電位差を発生させると、対向電極330(受電部331)の外周{放電電極320(放電部321)と対向しない側の開放部}における全方向(360度方向)にイオン風を発生させることができる(図中の稲妻線がコロナ放電のイメージ図、太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。尚、本例に係る放電電極320(放電部321)と対向電極330(受電部331)とは、図C5(b)においては、説明の都合上、対向電極330(受電部331)が存在する平面と放電電極320(放電部321)が存在する平面との距離を設ける(離隔している)よう図示しているが、実際には、対向電極330(受電部331)と放電電極320(放電部321)とは同一平面上に存在していることが望ましい{即ち、対向電極330(受電部331)と放電電極320(放電部321)とは略同一平面上に存在していれば、このような作用を創出することが可能であるが、放電効率を最大化=放電電極320(放電部321)における放電点322から対向電極330(受電部331)における受電点332までの距離を最少化するという点では、対向電極330(受電部331)と放電電極320(放電部321)とは同一平面状に配置することが望ましいという意味である}。
尚、本例では、放電電極320(放電部321)の還の外側に対向電極330(受電部331)を設けているが、対向電極330(受電部331)の還の外側に放電電極320(放電部321)を設けるよう構成してもよい(即ち、双方の配置を逆転させてもよい)。そのように構成した場合には、対向電極330(受電部331)の還の内側中心方向に向かってイオン風が発生することとなる。即ち、対向電極330(受電部331)の外周{放電電極320(放電部321)と対向しない側の開放部}における全方向(360度方向)にイオン風を発生させる場合において、ある特定の空間に対してイオン風を集約させることもできるのである。このことは、第2実施形態や後述する第3実施形態で例示するすべての構成についても同様のことがいえることを補足しておく。
次に、図C6は、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の使用時及び清掃時の一例を例示している。第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の使用時には、図C6(a)に示すように、イオン・オゾン風発生装置100−2を天井400(例えば、方形の六畳部屋の天井中央付近)に取り付けて使用する。尚、当該取り付け方法は特に限定されず、天井400にイオン・オゾン風発生装置100−2が固定されていれば問題ない(例えば、ネジによって組み付ける等の周知の方法を用いればよい)。本例では、イオン・オゾン風発生装置100−2の電極対310をカバーユニット350が覆う形態にて構成されており、カバーユニット350は、天井400に設置する際に天井400に固定されることとなるカバー部材360と、カバー部材360の蓋となる蓋部材370と、から構成されている。また、カバー部材360と蓋部材370との間には噴出口340が設けられており、電極対310から発生したイオン風が当該噴出口340からイオン・オゾン風発生装置100−2の外部に噴出されることとなる。尚、噴出口340の形状は発生したイオン風が通過できる形状なら問題なく、例えば、スリット状にしてもよいし、カバーユニット350をくりぬいて孔を形成した形状にしてもよい。
そして、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の清掃時には、図C6(b)に示すように、蓋部材370をカバー部材360から取り外すこととなる。尚、同図に示されるように、カバー部材360と放電電極320(放電部321)とが固定されており、蓋部材370と対向電極330(受電部331)とが固定されているよう構成しておけば、イオン・オゾン風発生装置100−2から、蓋部材370と対向電極330(受電部331)とを同時に取り外すことができ、汚れが付着しやすい対向電極330(受電部331)や天井400周辺を簡単に清掃できることとなる。尚、イオン・オゾン風発生装置100−2の使用方法や設置場所はこれには限定されず、例えば、卓上において使用したり、壁に掛けて使用したりしてもよい{その場合には、用途に応じて、放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)の内径を適宜変更すればよい}。
以上が、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の一例であるが、放電電極、対向電極の形状、数及び位置関係はこれには限定されず、広範囲にイオン風を発生し得る構成として、様々な構成が考えられる。そこで、そのような様々な構成の一例を以下に示すこととする。
まず、第2実施形態に係る放電電極320及び対向電極330(受電部331)は、多角形であってもよく、例えば、図C7に示すように三角形であってもよい。尚、図C7(a)は当該装置の電極対310の概念正面図であり、図C7(b)は当該装置の電極対310の概念側面図である。同図に示されるように、電極対310は三角形の形状であっても、三角形の各辺において、略均一な放電が行われるため、全周に亘ってイオン風を発生させることができる(図中の稲妻線がコロナ放電のイメージ図、太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。尚、本例では、放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)は、三角形としたが、三角形以上の多角形であってもよい(また、多角形でなくとも、多くの凹凸を有する形状であってもよいし、当該凹凸が波状となっていてもよい)。但し、放電電極320(放電部321)が三角形ならば対向電極330(受電部331)も三角形というように、放電電極320(放電部321)と対向電極330(受電部331)との頂点の数は同じであることが好適であり、また、放電電極320(放電部321)と対向電極330(受電部331)とは相似関係であることがより好適である。また、放電電極320(放電部321)と対向電極330とが相似関係である場合には、放電電極320(放電部321)の環の重心位置と対向電極330(受電部331)の還の重心位置とが略一致することが好適である。このような構成とすることにより、互いの電極の距離(特に、放電点322と受電点332との距離)を均一に近く出来るため、放電ムラが発生しにくくなる(全周に亘ってイオン風を発生させることができる)。尚、放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)を、多角形とした場合には、辺数を多くすることで、互いの距離(特に、放電点322と受電点332との距離)をより均一に近くし、放電ムラがより発生しにくくなる(そのため、電極形状は円形であることが特に好適である)。
尚、図C8に示すように、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の放電部321(放電電極320の外側360度)は、エッジ部分である放電部321に細かな凹凸が設けられた形状(例えば、のこぎりの刃のような形状のように、多くの凹凸を有する形状)であってもよい。このように構成した場合も、放電部321の凸部(放電点322)と受電部331(受電点332)との間で放電が発生するため、放電部321が当該細かな凹凸を設けない場合と同様に、均一なイオン風が発生し得る(即ち、略均一なイオン風が得られる範囲において、放電部321に細かな凹凸を設ける構成も、放電部321に細かな凹凸を設けない構成と同じとみなすことができるという意味である)。
また、図C9に示すように、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2の放電電極320及び対向電極330の形状は板状であってもよい。このように構成することで、放電電極320及び対向電極330の強度が上がり壊れにくくすることができる。他方、特に、放電電極320の形状を、板状ではなく環状とする(例えば、放電部321のみによって構成される線状電極とする、或いは同図にて示す放電電極320の外周が残る形で穿孔する)ことによって、環の開口部が吸気口となるため、より強いイオン風を発生させることが可能となる。尚、放電電極320及び対向電極330の形状としてはこれには限定されず、一方を板状とし、他方を線状とする等としてもよい(即ち、放電部321と受電部331とが存在していればよい)。
次に、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2における放電電極320及び/又は対向電極330は、複数設けてもよく、例えば、図C10に示すように、放電電極320(放電部321)を1つ、対向電極330(受電部331)を3つ{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}設けてもよい。また、図C11に示すように、対向電極を3つ設けた場合には、1つの放電電極320(放電部321)と夫々の対向電極{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}とを図示するように多層に配置して電位差を発生させると、夫々の対向電極330(対向電極330a、対向電極330b、対向電極330c)から同時にイオン風が発生することとなる(図中の稲妻線がコロナ放電のイメージ図、太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。即ち、1つの放電電極320(放電部321)における放電点322と夫々の対向電極{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}における受電点であって放電点322から最短距離にある各受電点(受電点332a、受電点332b、受電点332c)との間で同時にコロナ放電が発生するのである。
ここで、本例では、3つの対向電極330a〜330c(受電部331a〜331c)は同一の形状・内径となっているため、1つの放電電極320(放電部321)と略同一平面状に配置されている対向電極{対向電極330a(受電部331a)}における受電点(受電点332a)が、他の対向電極{対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}における受電点(受電点332b、受電点332c)よりも、1つの放電電極320(放電部321)における放電点322からの距離が短くなる。よって、この1つの放電電極320(放電部321)と対向電極330a(受電部331a)との間でのコロナ放電の発生割合が最も大きくなり、対向電極330aから発生するイオン風の風力が最も大きくなる。そして、この1つの放電電極320(放電部321)と対向電極330b(受電部331b)及び対向電極330c(受電部331c)との間でのコロナ放電の発生割合が相対的に低くなり、対向電極330b及び対向電極330cから発生するイオン風の風力も相対的に弱くなる。従って、このように構成することによって、対向電極330b及び対向電極330cにより発生されたイオン風の追い風によって、対向電極330aにより発生されたイオン風が後押しされる形で前面に押し出される(当該効果に関しては、本実施形態にて前述した通りである)。このことから、本例に示す電極対を小型化したとしても、コロナ放電により発生するイオン風の風力が極力削がれることなく広範囲に行き亘るという効果を奏するものであるといえる。
尚、対向電極330a〜330cの3つの対向電極は同じ形状でなくともよい。例えば、対向電極330a(受電部の径)を最も大きくし、対向電極330b及び対向電極330c(受電部の径)をそれよりも小さくすることで、1つの放電電極320における放電部と各対向電極の受電部までの距離を均一としてもよい。このような構成とした場合には、各対向電極から同一の風量のイオン風が発生することとなる(従って、立体的且つ広範囲に亘るイオン風が発生し得る)。
また、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2における、放電電極320は1つでなくとも複数設けるよう構成してもよく、例えば、図C12に示すように、放電電極320(放電部321)を3つ{放電電極320a(放電部321a)、放電電極320b(放電部321b)、放電電極320c(放電部321c)}、対向電極330(受電部331)を3つ{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}設けてもよく、その場合には、図示するように放電電極と対向電極とが互い違いになるよう配置してもよい(同図の例示において、対向電極間の中間層にて放電電極を1つ設ける態様を例示することができる)。そのように構成することで、或る放電電極又は対向電極に汚れが付着するなどしてコロナ放電が起こらなくなったとしても、当該或る放電電極又は対向電極以外の放電電極又は対向電極のコロナ放電によってイオン風が発生し得ることとなる。
尚、以上の説明において、第2実施形態に係る放電電極320及び対向電極330の形状は、多角形や円に限定されず、環状であればよい(例えば、星型のようなものであっても、同様の効果を奏する)。また、当該放電電極320の環状内は平板状であってもよいが、当該環状内は吸気口の役割を担うため、放電電極320は平板に孔をあけた形状又は線状部材(例えば、針金)で環状を作ったような形状であることが好適である。また、環状の放電電極320の放電部321(放電部のエッジ)の形状は鋭角であることが、放電ムラが少なくなるという観点において好適である。
≪第3実施形態≫
尚、第2実施形態に係る放電電極320及び対向電極330の形状は、環状となるよう構成したが、これには限定されず、例えば、第2実施形態に係る放電電極320及び対向電極330の一部を、重心(放電電極320及び対向電極330の略一致する重心)を通る二本の半直線で切り取ったような形状としてもよい。そこで、このような構成を、本実施形態に係る殺菌・消臭装置の別の形態であるイオン・オゾン風発生装置100−3の第3実施形態として詳述する。尚、第3実施形態においても、その基本的な概念は、放電電極を線状の放電部(放電線)とし、対向電極も線状の受電部(受電線)とするものであることは第2実施形態と同様である。
まず、図C13に示すように、第3実施形態に係る放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)は、図C5にて示した円の形状を、重心を通る二本の半直線で4分の1に切り取った形状となっている{即ち、放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)は、図C5にて示した円の四半分の円弧である}。尚、図C13(a)は第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の電極対310の概念正面図であり、図C13(b)は第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の電極対310の概念側面図である。このように構成することで、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2に比べてイオン風が発生する範囲が狭くなる(本例では、90度)が、形状をより小さくできると共に、後述するように部屋の隅にて使用する等の使用方法又は設置方法(上記第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2とは異なる使用方法又は設置方法)に適する。尚、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の形状は、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2(環状)を、重心を通る二本の半直線で切り取った形状であればよく、切り取る範囲(大きさや角度)は、どのようにしても問題なく(例えば、円の2分の1、8分の1、等)、使用方法(設置場所)に合わせて適宜変更すればよい。
次に、図C14は、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の使用時の一例を例示している。尚、図C14(a)は第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の上面図である。第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の使用時には、図C14(a)に示すように、イオン・オゾン風発生装置100−3を壁500(例えば、方形の六畳部屋の天井角付近)に取り付けて使用する。同図に示されるように、電極対310の形状を、環状であるものから、重心を通る二本の半直線で4分の1に切り取った形状とすることで、部屋の四隅に設置するのに適した形状となる。また、部屋の四隅に設置することで、放電電極320(放電部321)及び対向電極330(受電部331)の形状が環状でなくとも、部屋全体に強いイオン風を行き亘らせることができる。また、放電電極320及び対向電極330を曲線状にすることで、より広範囲に均一なイオン風を発生させることができることとなる(図中の太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。また、図C14(b)は第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3の側面図である。第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3は、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2と同様に、噴出口340が設けられており、当該噴出口340からイオン・オゾン風発生装置100−3の外部へとイオン風が噴出されることとなる(図中の太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。尚、イオン・オゾン風発生装置100−3の取り付け方法は特に限定されず、例えば、図C14(b)に示されるように、天井400や壁500に固定して用いてもよい。また、イオン・オゾン風発生装置100−3は、電極対310をカバーユニット350が覆う形態にて構成されている。カバーユニット350は、天井400及び壁500に設置する際に天井400及び壁500に固定されることとなるカバー部材360と、カバー部材360の蓋となる蓋部材370と、から構成されている。また、カバー部材360と蓋部材370との間には噴出口340が設けられており、電極対310から発生したイオン風が当該噴出口340からイオン・オゾン風発生装置100−3の外部に噴出されることとなる。尚、噴出口340の形状は発生したイオン風が通過できる形状なら問題なく、例えば、スリット状にしてもよいし、カバーユニット350をくりぬいて孔を形成した形状にしてもよい。
尚、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3における放電電極320及び/又は対向電極330は、複数設けてもよく、例えば、図C15に示すように、放電電極320(放電部321)を1つ、対向電極330(受電部331)を3つ{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}設けてもよい。また、図C16に示すように、対向電極を3つ設けた場合には、1つの放電電極320(放電部321)と夫々の対向電極{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}との間に電位差を発生させると、夫々の対向電極330{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}から同時にイオン風が発生することとなる(図中の稲妻線がコロナ放電のイメージ図、太矢印線が発生するイオン風の一部における発生方向に関するイメージ図である)。即ち、1つの放電電極320(放電部321)における放電点322と夫々の対向電極{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}における受電点であって放電点322から最短距離にある各受電点(受電点332a、受電点332b、受電点332c)との間で同時にコロナ放電が発生するのである。
ここで、本例では、3つの対向電極330a〜330c(受電部331a〜331c)は同一の形状・内径となっているため、図C10の電極対310と同様に、1つの放電電極320(放電部321)と対向電極330a(受電部331a)との間でのコロナ放電の発生割合が最も大きくなり、対向電極330a(受電部331a)から発生するイオン風の風力が最も大きくなる。そして、この1つの放電電極320(放電部321)と対向電極330b(受電部331b)及び対向電極330c(受電部331c)との間でのコロナ放電の発生割合が相対的に低くなり、対向電極330b(受電部331b)及び対向電極330c(受電部331c)から発生するイオン風の風力も相対的に弱くなる。従って、このように構成することによって、対向電極330b(受電部331b)及び対向電極330c(受電部331c)により発生されたイオン風の追い風によって、対向電極330a(受電部331a)により発生されたイオン風が後押しされる形で前面に押し出される(当該効果に関しては、前述した通りである)。このことから、第2実施形態に示す環状の電極対を小型化したとしても、設置場所を工夫することで、コロナ放電により発生するイオン風の風力が極力削がれることなく広範囲に行き亘るという効果を奏するものであるといえる。
尚、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3は、前述した第2実施形態と同様に、対向電極330a〜330cの3つの対向電極は同じ形状でなくともよく、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2と同様の効果が得られることとなる。
また、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3における、放電電極320は1つでなくとも複数設けるよう構成してもよく、例えば、図C17に示すように、放電電極320(放電部321)を3つ{放電電極320a(放電部321a)、放電電極320b(放電部321b)、放電電極320c(放電部321c)}、対向電極330(受電部331)を3つ{対向電極330a(受電部331a)、対向電極330b(受電部331b)、対向電極330c(受電部331c)}設けてもよい。そのように構成することで、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2と同様に、或る放電電極又は対向電極に汚れが付着するなどしてコロナ放電が起こらなくなったとしても、当該或る放電電極又は対向電極以外の放電電極又は対向電極のコロナ放電によってイオン風が発生し得ることとなる。
このように、第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−3によれば、第2実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−2よりもイオン風が発生する範囲が狭いながらも、特定の箇所に配置する場合や、特定の範囲(必要な範囲)にのみ、イオン風を発生させる場合に好適である。
以上より、第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、下記の効果を奏することが可能となる。
即ち、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、放電点が連続して形成された放電線と、受電点が連続して形成された受電線とを設け、当該放電線から当該受電線に向かってコロナ放電が発生することで、当該受電線における当該放電線と対向しない側に、イオン・オゾン風を広範囲且つイオン及びオゾンを含むイオン風の風力自体を強めて発生させることができる。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、複数の受電線からイオン風が発生することで、前記効果に加え、より広範囲にイオン風を行き亘らせることができる。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、主受電線から発生するイオン風が、副受電線から発生するイオン風に後押しされる形で前面に押し出されるため、当該イオン・オゾン風発生装置における電極対を小型化したとしても、コロナ放電により発生するイオン風の風力が極力削がれることがないという効果を奏する。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、放電線における或る放電点から或る受電線における受電点であって当該或る放電点との距離が最小となる受電点までの距離と、当該或る放電点から当該或る受電線とは異なる受電線における受電点であって当該或る放電点との距離が最小となる受電点までの距離とが略同一であることにより、各受電点から略同一の風量のイオン風が発生することとなり、立体的且つ広範囲に亘るイオン風が発生し得る。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、前記効果に加え、イオン・オゾン風発生装置の放電部及び受電部を線分にすることによって、当該イオン・オゾン風発生装置を部屋の角隅に設置する場合等において、好適な形状とすることができる。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、前記効果に加え、イオン・オゾン風発生装置の放電部及び受電部を曲線状の線分とし、当該放電部と当該受電部とを同一方向に湾曲させることで、当該イオン・オゾン風発生装置を部屋の角隅に設置する場合に好適な形状となると共に、イオン・オゾン風を広範囲に亘って均等に発生させることができる。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、前記効果に加え、イオン・オゾン風発生装置の放電部及び受電部を環状にすることによって、イオン・オゾン風を当該受電部の周囲360度に発生させることができ、当該イオン・オゾン風発生装置を部屋の天井中央等に設置した場合には、イオン・オゾン風を部屋全体に行き亘らせることができる。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、前記効果に加え、イオン・オゾン風発生装置の放電部と受電部とを相似とすることで、当該放電部の放電点と当該受電部の受電点との距離を均一に近くすることができ、当該受電部から発生するイオン・オゾン風の風量を均一に近くすることができる。
<その他変更例や用途について>
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置における、放電電極の形状は立体状(例えば球形状)であってもよい(この場合、対向電極の受電部が存在する平面にて放電電極を切断した際に、立体状の放電電極の断面における外周の形状が、対向電極の受電部と略相似となればよい)。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、殺菌・消臭装置として使用することができるほか、イオン水/殺菌水生成装置としても使用することができる。
本実施形態に係る装置はコロナ放電によりイオン及び/又はオゾンが発生し、更に、大風量のイオン風が発生するため、これらをイオン風により運び、殺菌・消臭対象物に接触させてイオン・オゾン風発生装置として使用することが可能である。また大風量のイオン風が発生するため、ポンプを使用せずにイオン及びオゾンを発生させて殺菌・消臭対象物の配された空間に送り込むことが可能となるので外付け型殺菌・消臭装置として使用することも可能である。
本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、エアーストーン・ナノバブル給気源による海水及び淡水の殺菌・消臭用としても使用可能である。すなわち、ナノバブル発生器にはエアーの取込は必須である為、イオン風ガイド部材と送給経路を結合してナノバブルのエアー給気源として使用することにより、イオン/オゾン風を水中にて反応させイオン水/殺菌水を簡易に作ることができる。これにより、オゾン水とナノバブルの相乗効果による肌の殺菌洗浄により毛穴の奥深くの油脂除去やオゾンの特性である漂白作用を利用した美白効果等、美容への利用、魚介類飼育水槽内の殺菌、消臭の他、水耕栽培の培養液の殺菌等や、厨房等でも水道の吐出圧を動力源として殺菌水を生成し、有効な殺菌・消臭やオゾン水によって油脂の分解等を簡易にて安価で安全に行うことができる。
更に、イオン・オゾン風発生装置の小型化{例えば、イオン・オゾン風発生装置の外形寸法を、長さ7cm×幅7cm×高さ3cm程度、即ち、片手で把持容易な程度まで小型化}を目的とし、電極構成を省スペース化した場合{例えば、直径1cm程度の対向電極(好適な範囲は、5mm〜5cm)を、図B1に示すように配置し、針状電極と対向電極との離間距離を1〜2cm程度(好適な範囲は、1mm〜2cm)とした場合}には、イオン・オゾン風発生装置を衣服のポケットやカバンに入れて、持ち運ぶことが可能となるため、使用者は必要なときに(例えば、自身の身体や衣服に付着した悪臭元を除去したいとき)或いは可能な限り殺菌・消臭対象物に近接させて、イオン・オゾン風発生装置を使用することが容易となる。加えて、イオン・オゾン風発生装置を小型化した場合、飲食店やゲームセンター或いはパチンコホールといった娯楽施設においては施設設備に常設し(例えば、飲食店におけるカウンター、娯楽施設における遊技機設備間の間隙)、隣人からの悪臭元(例えば、煙草の副流煙)を仕切り客毎のパーソナルな空気清浄空間を提供するといった用法も容易となる。
≪対向電極に係る変更例≫
尚、これまでの説明において概念図として示した対向電極(例えば、図B1)は、第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gの夫々を平面状且つ環状となるよう別々の導電部材として成形し、当該別々の導電部材を互いに隣接するよう接合する(例えば、半田付けする)ことで加工していくイメージである(以下、この加工イメージを接合加工と呼ぶ)。他方、構造図として示した対向電極(例えば、図C5〜図C6)は、一枚の平板状の導電部材に環状の貫通孔を穿つことで加工していくイメージである(以下、この加工イメージを穿孔加工と呼ぶ)。このように、加工方法の違いに起因して、本例で示したように、対向電極の全体的な構造が異なるものとなり得る。しかしながら、図A1を用いて前述したように、コロナ放電発生の根本的なメカニズムを考慮すると、針状電極と対向電極との距離が最接近している対向電極の部位(即ち、環状の対向電極における内周エッジ部)において最もコロナ放電が発生する割合が高くなるのであるから、接合加工及び穿孔加工のいずれで加工した対向電極においても、環状の対向電極における内周エッジ部にて良好なコロナ放電が発生することには変わりない。そして、実際に対向電極を製造するに際しては、接合加工よりも穿孔加工の方が、対向電極を成形容易となるのであるが、これは、あくまでも対向電極として平板状のものを想定しているが故にいえることである(仮に、対向電極として円筒状のものを想定した場合、穿孔加工によって対向電極を成形すると対向電極自体が大型化してしまうといった無駄が発生し易く、且つ、穿孔加工自体も困難となるものといえる)。即ち、実際に対向電極を製造するに際しても、対向電極を平板状のものとした方が、対向電極を円筒状のものとするよりも有利であるといえる。
但し、コロナ放電に基づくイオン風発生のメカニズムを考慮した場合、接合加工によって対向電極を成形した場合よりも穿孔加工によって対向電極を成形した場合の方が、発生するイオン風が低減してしまう事態が想定される。ここで、イオン風発生のメカニズムとして一般的には、コロナ放電時に針状電極から放出されるイオンが対向電極へ向かって泳動する間に空気分子との衝突を繰り返すことで、針状電極から対向電極に向かって生じる空気流であるとされているが、本願発明においては、当該空気流によって生じる負圧及び当該負圧が生じた空間への外気の吸気流によるイオン風の増大効果にも着目している。例えば、図A1にて示されるイオン風の発生箇所から明らかなように、環状の対向電極における内周エッジ部においてコロナ放電が発生した際、当該内周エッジ部近傍からイオン風が前面方向に押し出されるのであるが、その際に、対向電極の環状部裏側(針状電極と対向しない側の面)には負圧が発生する。そして、当該負圧が発生した空間に向かって、特に対向電極の外周を取り巻く外気が吸引されることとなり、当該吸引された外気によって前面方向に押し出されるイオン風の風力が増大するのである(この点においても、対向電極を平板状のものとした方が、対向電極を円筒状のものとするよりも有利であるといえる)。
このようなイオン風発生のメカニズムの理解に基づき、穿孔加工によって対向電極を成形する場合における好適態様について詳述する。まず、図D1(左)は、図B1(b)にて示した対向電極を穿孔加工によって成形する場合の概念図であり、同図に示されるように、一枚の平板状の導電部材130に対して、第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gに相当する環状の貫通孔を穿つことで対向電極全体が成形されている。ここで、本例では、環状の貫通孔を穿つ際に生じ得る誤差に鑑み、第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gの夫々が少なくとも数mm(1〜3mm)程度離間するよう配置されている。また、本例では、一枚の平板状の導電部材130を略方形とすることで、例えば、当該略方形の四隅にて導電部材130を軸支するための孔(図C5にて示されるような装置を組み立てるための孔)を設けることができるよう構成されている。
このようにして成形された第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gにおける夫々の対向電極に対する放電部となる針状電極を設け、当該電極間に電位差を発生させると、第1対向電極130a及び第2対向電極130b〜130gにおける内周エッジ部にて主にコロナ放電が発生する(本例では、2重環状構造となっているが、内側の環状構造における内周エッジ部及び外側の環状構造における内周エッジ部の双方においてコロナ放電が発生する)。そして、当該内周エッジ部近傍からイオン風が前面方向に押し出される際に、対向電極の環状部裏側(針状電極と対向しない側の面)には負圧が発生する(ここまでは、図B2にて示される作用と同様である)。しかしながら、当該負圧が発生した空間に向かって、特に対向電極の周囲Sを取り巻く外気であって対向電極と針状電極との間に存在する外気を吸引しようにも、導電部材130によって遮蔽されてしまう事態が想定される。そこで、図D1(右)によって示されるように、当該吸引されるべく外気が導電部材130を通過できるよう、吸引孔130Sを設けておくことが好適となる。尚、吸引孔130Sと第2対向電極130b〜130gの外周間との距離が、あまりにも離隔し過ぎていると、当該吸引されるべく外気と当該負圧が発生した空間との距離が大きくなる且つイオン風の発生方向と当該吸引されるべく外気の移動方向とのズレが大きくなることに起因して、イオン風の風力の増大効果が低減してしまう恐れがある。よって、吸引孔130Sと第2対向電極130b〜130gの外周間との距離は、第2対向電極130b〜130gの直径以下(或いは直径の1/n以下;nは自然数)であることが好適となる。
以上のことから、穿孔加工によって対向電極を成形する場合には、第2対向電極130b〜130gの外側(ある第2対向電極において他の対向電極と隣接しない側)を取り囲むように、吸引孔130Sを設けておくことで、本願発明が着目しているイオン風発生のメカニズムに基づく、対向電極の外周を取り巻く外気の吸引効果、及び、当該吸引効果によって対向電極から前面方向に押し出されるイオン風の風力の増大効果が見込めることとなる。また、イオン風の風力の増大効果のみならず、オゾンを含むイオン風が外気によって希釈されるのであるから、人体へ悪影響を及ぼしてしまう危険性も低下するといったメリットも生まれる。即ち、イオン風の風力を増大させるための装置やオゾンを除去するための装置を別途設けることなく、良好に(良好な)イオン風を発生させることが可能な対向電極を提供すること、且つ、実際に対向電極を製造するに際しても対向電極を成形容易とすることを、本変更例によって(特に、対向電極を平板状のものとしたことによって)達成できるのである。
尚、本例においては、吸引孔130Sを円周状の孔とする点についてのみ例示しているが、これに限定されるわけではない。即ち、接合加工によって成形した対向電極の形状が、より好適なのであるから、当該形状に近づけることを趣旨とした様々な成形方法を挙げることができる。例えば、第2対向電極130b〜130gにおいて、他の対向電極と隣接しない側の円弧に沿って湾曲する形で、吸引孔130Sを設けても良い。また、第2対向電極130b〜130gを取り囲むよう周回させて設けてもよいし、例えば、当該円弧に沿った略三角形の孔を複数設けるよう構成してもよい。加えて、導電部材130を方形とする必要性がないのであれば、導電部材130自体を円形としてもよいし(例えば、図C11における吸引孔130Sよりも外側部分は除去してしまう)、当該円形から更に不要な部分を除去してしまう(第2対向電極130b〜130gにおいて、他の対向電極と隣接しない側の円弧に沿って除去してしまう)、といった成形方法を採ってもよい。但し、図C11(右)によって示されるような形状とした場合、接合加工によって成形した対向電極の形状と比較して、対向電極の環状部裏側(針状電極と対向しない側の面)において負圧が発生した空間への外気(特に対向電極の周囲Sを取り巻く外気であって対向電極と針状電極との間に存在する外気)の吸引路を狭めることができるため、当該外気の吸引力を強めることができる(吸引する外気の風力が増す)という効果も見込める。よって、穿孔加工によって対向電極を成形する場合には、このような効果も踏まえた上で最適な形状となるようデザインすることが望ましいこととなる。
また、図D2(a)及び(b)にて示すように、一見すると、主電極対を複数組有し、それを取り囲むように副電極対が配置されているように見える構成{同図(b)にて太線で図示している複数の環状対向電極を、主電極対における環状対向電極(また、外周に配置された、細線で示す環状対向電極を副電極対における環状対向電極)として捉えられ得る構成}であっても、主電極対を一組有し、それを取り囲むように副電極対が配置されているものの集合体として構成されている場合がある。即ち、同図下段囲み内の「主電極対における環状対向電極イメージ図」にて示すように、夫々太線で示す環状対向電極の内、中央に位置する環状対向電極を主電極対における環状対向電極、その周囲の太線で示している環状対向電極を副電極対における環状対向電極、と捉え、その集合体であるとして理解することも可能であることを補足しておく。よって、図D2(b)にて示す副電極対の外周に沿って吸引孔130Sを設けた場合であっても、主電極対を一組有し、それを取り囲むように副電極対が配置されているものの外周に沿って吸引孔130Sが設けられている、との概念の範囲内であるといえる。
ここで、図C4に係るイオン・オゾン風発生装置100−3のように、放電電極120の放電点と対向電極130の受電点との距離(放電距離)を等しくする、とする構成としては、様々なものが考えられる。例えば図D3(a)に示すように、その断面で見た際に、対向電極130の受電点が、放電電極120の放電箇所(エッジ部)を中心とする円状に複数存在するような構成が考えられる。この場合、当該断面において対向電極130の複数の受電点同士は離隔しており、その離隔された空間からイオン風が噴出する構成となっている。図D3(a)では、対向電極130の断面が円状となるものを例示しているが、その断面は、図D3(b)及び図D3(c)に示す環状(三角形状及び四角形状)であってもよいし、図D3(d)〜図D3(f)に示す線状であってもよい。この場合の放電電極120及び対向電極130の全体的な形状としては、同図に示す放電電極120の長径方向を軸として回転させた形状や、同図に示す放電電極120の短径方向を軸として回転させた形状等が考えられる。
≪第4実施形態≫
ここで、上述した第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、
イオン風を平面状に(360°に亘り)発生させることが可能である(発生するイオン風の方向を多方向なものとすることで、例えば、イオン風を部屋全体に行き亘るよう構成したものである)という点で優れるものであるが、空間全体にイオン・オゾン風を均一に行き亘らせるという点では改善の余地があった。より具体的には、第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、イオン風が平面として噴出するため、当該平面の上側及び下側の空間も含めた、空間全体への広がりを考えた際には、イオン・オゾンが偏在する場合があった。そこで、上述の第2実施形態や第3実施形態とは異なる構成を採用することにより、発生するイオン(イオン風)をより空間的に拡散させることが可能なイオン・オゾン風発生装置を発明した。以下、このようなイオン・オゾン風発生装置を、第4実施形態として詳述する。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4の基本的な構成は、図1に示される通りである。即ち、前述の通り、針状の放電電極120−4と環状の対向電極130−4とを備え、且つ、これらの電極間で発生したイオン風を導入可能な筒状のガイド部材140−4を備えており、ガイド部材140−4は、イオン風が噴出する開口部である噴出口141−4(狭窄部141−4)と、当該狭窄部141−4よりも径(環径)が大きい、風の吸気口となる吸気開口部142−4と、吸気開口部142−4から狭窄部141−4へ向かって縮径されている縮径部140r−4と、を有し、更に、吸気開口部142−4の径(環径)が、対向電極130−4よりも大きくなるように構成されている。尚、ガイド部材140−4は、適宜の方法によりイオン・オゾン風発生装置100−4に固定されればよい。
ここで、図E1を参照し、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4のガイド部材140−4及び対向電極130−4の具体的な構成に関して詳述すると、ガイド部材140−4の噴出口141−4の径(環径)をRA、吸気開口部142−4の径(環径)をRB、噴出口141−4と吸気開口部142−4との距離(ガイド部材140−4の軸方向に対する高さ)をd、対向電極130−4の径(環径)をR1とした際に、RA/R1は、1超であり、好適には1.1〜3.5であり、より好適には1.2〜3であり、特に好適には1.3〜1.8である。尚、RA/R1の上限は特に限定されないが、例えば4未満である。また、RA/RBは、1超であり、好適には1.1〜3であり、より好適には1.2〜3である。更に、RA/dは、特に限定されないが、好適には0.1〜2であり、より好適には0.3〜1.5である。ガイド部材140−4の構成をこのような範囲とすることにより、本形態の効果をより高めることが可能となる。
また、ガイド部材140−4としては、図1及び図E1に示すような、錐台状(円錐台状)に限定されず、例えば、図E2(a)及び図E2(b)に示すように、ガイド部材140−4の縮径部140r−4が吸気開口部142−4から噴出口141−4に向かって曲線的に断面径{ここでいう断面とは、部材軸(イオン風の進行方向軸)方向に対する内部空間の垂直断面を示す。}が変化する(変化の割合を増しながら徐々に開口断面積が小さくなる)ような、所謂ラッパ形状としてもよい。
ここで、前述の構成でいう狭窄部(狭窄部141−4)とは、部材(ガイド部材140−4)中において、中心軸方向に対する内部空間の断面積が略最小となる箇所であればよく、狭窄部141−4と、噴出口とは一致せずともよい。より具体的には、例えば、図E3(a)及び図E3(b)に示すように、吸気開口部142−4と噴出口(噴出口143−4)との間に狭窄部141−4を設け、吸気開口部142−4から狭窄部141−4に向かって曲線的に断面径が小さくなる(断面が縮径していく)縮径部140r−4を設けると共に、狭窄部141−4から噴出口143−4に向かって曲線的に断面径が大きくなる(断面が拡径していく)拡径部140S−4を設けた構造である。尚、拡径部140S−4を設ける場合の拡径部140S−4及び/又は縮径部140r−4の形状としては特に限定されず、各々独立して、曲線的に断面径が大きくなる(断面が拡径していく)形状や、直線的に断面径が大きくなる錐台状等から選択してもよい。
また、この場合、拡径部140S−4は、曲線的に断面径が変化するような形状(所謂ラッパ形状)であることが好適である。このような形状とすることにより、狭窄部141−4を通過した後のイオン風が存在し難い空気ポケット(図E3(a)において点線で丸く囲った箇所である。)が生じる。即ち、ガイド部材140−4の内壁が、狭窄部141−4から噴出口143−4に向かって拡径していく曲面となるため、狭窄部141−4付近で方向づけられたイオン風が、徐々にガイド部材140−4の内壁曲面から外れてしまう結果、イオン風が存在し難く、気圧が不均一となる空気のポケットが生じる。その結果、当該ポケット部分にて乱流が発生し、噴出口143−4から噴出されるイオン風がより拡散されることとなる。
尚、同様に、拡径部140S−4によって空気ポケットを形成する構造としては、拡径部140S−4が急激に拡張する構造であってもよい。例えば、噴出口141−4が内周縁となる、環状の平面部材を設けた構造(拡径部140S−4が、イオン風の軸方向に対して略垂直方向に延伸している構造)とした場合においても、当該環の外周縁付近では空気ポケットが形成されるものと考えられる。
ここで、本実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4においては、更に、イオン風の進行を阻害するようにイオン風と対向することでイオン風を拡散可能な部材を設けてもよい。より具体的な構成としては、例えば、図E4に示すように、前述の図E3に係るイオン・オゾン風発生装置100−4の噴出口143−4に円錐状のスプリッター145−4を設けた形態である。このような構成とした場合、噴出口143−4から噴出するイオン風がスプリッター145−4によりイオン風が広がり、強制的に拡散されることとなる。更には、スプリッター145−4の背面にて乱流が発生し得るため、よりイオン風が拡散されるものと考えらえる。このようなスプリッター145−4の形状は特に限定されないが、イオン風を効率よく拡散しつつも、イオン風の噴出を妨害しすぎない形状として、先端(イオン風が最初に接触し得る箇所)から、後端(イオン風が最後に接触し得る箇所)にかけて、徐々に断面積が大きくなる(断面が拡径する)形状であることが好適である{例えば、図E4に示すような、錘状(円錐状)である}。尚、スプリッター145−4の最大径部(スプリッター145−4を錐状とした場合、その底面)の径は特に限定されず、イオン風の拡散の程度に応じて適宜設定すればよく、狭窄部141−4の径と同程度の径とする、狭窄部141−4の径の1/4〜1/2程度の径とする等、適宜変更可能である。また、スプリッター145−4の配し方としては、その全てがガイド部材140−4の内部空間に挿入されている形態;その一部がガイド部材140−4の内部空間に挿入されておりその他がガイド部材140−4の内部空間の外側に存在している形態;その全てがガイド部材140−4の内部空間の外側に存在している形態;のいずれであってもよい。また、スプリッター145−4は、適宜の方法によりイオン・オゾン風発生装置100−4に固定されればよい。更に、スプリッター145−4は、前述の図E3に係るイオン・オゾン風発生装置100−4(即ち、拡径部140S−4が設けられた構造)以外にも、前述の図1や図E2に係るイオン・オゾン風発生装置100−4(即ち、拡径部140S−4が設けられていない構造)に対しても同様に設置可能であり、その場合においても、噴出口付近に配置することでイオン風の拡散効果を奏し得る。
ここで、本形態においては、発明の効果を高めるために、ガイド部材140−4の内部空間内に対向電極130−4が存在する(対向電極130−4がガイド部材140−4に覆われる)よう構成しているが、これには限定されず、対向電極130−4の一部又は全てが、ガイド部材140−4の内部空間の外側に存在するように構成してもよい(即ち、対向電極130−4は、吸気開口部142−4が存在する平面で見て、狭窄部141−4側とは反対の領域に存在してもよい)。
また、ガイド部材140−4の噴出口付近でのイオン風の拡散効率をより高めるためには、吸気開口部142−4と噴出口141−4(狭窄部141−4)とを略相似な形状とすることが好適であるが、これには限定されず、吸気開口部142−4と噴出口141−4とを非相似の形状としてもよい(例えば、吸気開口部142−4を円形状とし、噴出口141−4を四角形状とするなどである)。この場合、吸気開口部142−4及び噴出口141−4の形状に合わせて、縮径部140r−4の形状も適宜変更可能である。同様に、吸気開口部142−4の形状を、環状電極130−4と略相似な形状とすることが好適であるが、これには限定されず、環状電極130−4と吸気開口部142−4とを非相似の形状としてもよい(例えば、環状電極130−4を円形状とし、吸気開口部142−4を四角形状とするなどである)。
更に、本形態においては、狭窄部141−4の軸(環軸)と、吸気開口部142−4の軸(環軸)と、対向電極130−4の軸と、が各々略一致するよう構成されているが、発明の効果を阻害しない範囲で、これらの軸の位置がずれたものとしてもよい。
ここで、本形態に係る対向電極130−4は、単環状の構造としているが、これには限定されず、多重環状構造としてもよい。例えば、図E5及び図E6に示すように、主環状電極131−4と、副環状電極132―4とを有するような2重環状構造としてもよい。
ここで、対向電極130−4を多重環状構造とする場合には、ガイド部材140−4の噴出口の環径が、主イオン風を発生させ得る対向電極である主環状電極131−4の環径よりも大きく構成されていればよい(主イオン風と副イオン風とではその流量が異なり、主イオン風が主な要素となるため、多重環状電極で発生したイオン風全体ではなく、主イオン風に着目するのみでも、前記の効果を奏し得る)。また、多重環状電極である対向電極130−4と本形態に係るガイド部材140−4とを組み合わせる場合、主環状電極を含む複数の環状電極の環径よりも大きいように構成してもよいし、多重環状電極全体の径よりも大きいように構成してもよい。例えば、主環状電極131−4の環径R1、副環状電極132−4の環径R2、噴出口141−4の環径RA及び吸気開口部142−4の環径RBに関して、図E5に示すイオン・オゾン風発生装置100−4は、RB>RA>R2>R1の関係を想定しており、図E6に示すイオン・オゾン風発生装置100−4は、RB>R2>RA>R1の関係を想定している。同様に、例えば、主環状電極131−4の周囲に、副環状電極以外の様々な部材(例えば、環状電極を保持するための樹脂材料からなる部材等)を設けた場合にも、当該主環状電極131−4の径と、ガイド部材140−4の噴出口の径とが、上記関係を満たせばよい。
また、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4は、複数の電極対を有する構成(132a−4及び131a−4を含む対向電極130a−4と、放電電極120a−4と、からなる電極対を、複数有する構成)としてもよい。例えば、複数の電極対を図B1に示すような構成とした場合、ガイド部材140−4の配し方としては、(1)図E7(a)に示すように、複数の対向電極をまとめて一つの対向電極と捉えガイド部材140−4を配する方法;(2)図E7(b)に示すように、対向電極の各々にガイド部材140−4を配する方法;等が考えられ、特に限定されない。前記(2)の形態は、あるガイド部材の噴出口から噴出するイオン風が、隣接するガイド部材からのイオン風と混合されることで、装置全体におけるイオン風がより拡散され易くなるという点で好適である。尚、イオン・オゾン風発生装置100−4が複数の電極対を有する場合には、任意の電極対(対向電極)のみに対してガイド部材140−4を配してもよいし、その他の実施形態において説明された構成を適宜に適用可能である。
以上説明したように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、ガイド部材自体がイオン・オゾン風を拡散させる構成であるので、ガイド部材の噴出口付近にて、既にイオン・オゾン風が拡散された状態とし、更に、ガイド部材内部でのイオン風の減衰を抑制することが可能となる。その結果、対象空間中にイオンを拡散させつつも、噴出口近傍の対象物に直接接触するオゾンの量を低めることが出来る(その結果、オゾンによる漂白効果等が望ましくない対象物の付近でも使用することが出来る)。
<第4実施形態の変更例>
以上説明した第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、イオン風の進行方向に沿って狭窄部まで縮径する構造を有し、当該狭窄部が対向電極よりも大きい径となるガイド部材を備えることにより、イオン風の拡散及び噴出口付近でのオゾン濃度の低減を行うものである。次に、上述した概念を、第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の概念(即ち、対向電極を、放電電極の存在する平面と平行となる平面上に配置する構成)に類似する概念に適用した場合の構成を、第4実施形態に係る変更例として詳述する。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4’は、図E8に示すように、電極対として、環状の放電電極120−4’と、放電電極120−4’の存在する平面(平面Xとする。)から見て、平面Xの一方の面側であり、平面Xと略平行の平面(平面A1とする。)上に存在する環状の対向電極130a−4’と、平面Xの他方の面側であり、平面Xと略平行の平面(平面Bとする。)上に存在する環状の対向電極130b−4’と、を有し、更に、当該電極対を覆うように、ガイド部材140−4’が設けられている。
より具体的には、図E8に示すように、ガイド部材140−4’は、切頭円錐状の上部材140a−4’と、切頭円錐状の下部材140b−4’と、上部材140a−4’の底面側と下部材140b−4’の底面側とを繋ぐブリッジ140c−4’と、上部材140a−4’と下部材140b−4’との隙間として形成される噴出口141−4’と、上部材140a−4’の頭部側に設けられた吸気口である空気孔144a−4’と、下部材140b−4’の頭部側に設けられた吸気口である空気孔144b−4’と、ガイド部材140−4’の中心軸方向(空気孔144a−4’及び空気孔144b−4’方向)から噴出口141−4’に向かって、ガイド部材140−4’の高さ(径)が小さくなるように構成された縮径部140r−4’と、縮径部140r−4’の噴出口141−4’とは異なる端側(空気孔144a−4’及び空気孔144b−4’の縁側)に設けられた仮想的な領域である吸気開口部142−4’と、を有する。また、本形態においては、噴出口141−4’の高さ(径)RAと、吸気開口部142−4’の高さ(径)RBと、対向電極130a−4’と対向電極130b−4’との距離R1とが、RB>RA>R1となっている。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4’は、換言すれば、図1及び図2(a)に示されたイオン・オゾン風発生装置100−4の断面の構成部{対向電極130−4の二つの受電点(図2(a)にて、対向電極130−4の上端に該当する受電点130x−4及び対向電極130−4の下端に該当する受電点130y−4)と、放電電極120−4の放電点(図2(a)にて、放電電極120−4の右端に該当する放電点120x−4)及び縮径部140r−4}に関して、その位置関係を保持したまま形成された回転体と見なすことも可能である(この場合、図2における放電点120x−4、受電点130x−4、受電点130y−4及び縮径部140r−4が、図E8における放電点120x−4’、受電点130x−4’、受電点130y−4’及び縮径部140r−4’に、各々対応する)。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4’は、第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4と同様に、噴出口141−4’から噴出するイオン風とガイド部材140−4’との間に隙間が生じるため、当該隙間によって、イオン風が拡散されることとなる。即ち、イオン・オゾン風発生装置100−4’によれば、設置面に対して360°に渡ってイオン風を発生させつつも、噴出口付近でのオゾン濃度を低減させ、イオン風をより空間的に拡散する(対向電極が存在する平面の上下方向に更に拡散する)ことが可能となる。
また、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4’は、図E4に示される第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4(スプリッター145−4を設けた装置)と同様に、その噴出口141−4’から噴出するイオン風をより拡散させるための部材を更に設けてもよい。このような部材としては特に限定されないが、例えば、噴出口141−4’の開口部360°に亘りそのイオン風の経路の一部を阻害するような部材であり、より具体的には、その断面が図E4に示すスプリッター145−4と同様となるような環状(ドーナツ状){内周縁(イオン風が最初に接触し得る箇所)から、外周縁(イオン風が最後に接触し得る箇所)にかけて、徐々に断面積が大きくなる(断面が拡径する)形状}の部材等である。
尚、本形態は、環状(又は線状)の放電電極が乗っている平面を仮定した際に、当該平面に沿ってイオン風を発生させるという点では第2実施形態及び第3実施形態と同様である。従って、発明の効果を阻害しない範囲で、第2実施形態及び第3実施形態にて詳述した概念を適宜に適用することが可能である。
≪第5実施形態≫
ここで、第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、ガイド部材としてイオン・オゾン風が噴出する箇所である噴出口の構成を変更することにより、噴出口近傍でのオゾン濃度を低め、広範囲にイオン風を届かせることが可能な構成であった。次に、第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置とは異なり、コロナ放電時に発生するオゾンの濃度を低減させることを主な目的とした第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5について詳述する。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置の基本的な構成は、図3に示された通りである。即ち、前述の通り、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、内部空間を有する筒状(錐台状)の対向電極130−5と、対向電極130−5の内部に一部(先端)が挿入された状態である針状の放電電極120−5と、を備え、対向電極130−5は、イオン風が噴出する開口部である噴出口130α−5(狭窄部130α−5)と、噴出口130α−5よりも径(環径)が大きい、風の吸気口となる吸気開口部130β−5と、噴出口130α−5から吸気開口部130β−5へ向かって縮径されている縮径部130r−5と、を有する。
ここで、図F1を参照し、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5の対向電極130−5のより具体的な構成に関して詳述すると、噴出口130α−5の径(環径)をRα、吸気開口部130β−5の径(環径)をRβ、噴出口130α−5と吸気開口部130β−5との距離(対向電極130−5の軸方向への高さ)をzとした際に、Rβ/Rαは1超であり、1超であり、好適には1.1〜3であり、より好適には1.2〜3である。また、Rα/zは、特に限定されないが、好適には0.1〜2であり、より好適には0.3〜1.5である。対向電極130−5の構成をこのような範囲とすることにより、本形態の効果をより高めることが可能となる。
また、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5において、放電電極120−5と対向電極130−5との位置関係は特に限定されず、対向電極130−5の内部空間の外側に放電電極120−5を設けるよう構成してもよい(即ち、放電電極120−5が、吸気開口部130β−5が存在する平面から見て、吸気開口部130β−5が存在する領域とは反対の領域に設けられていてもよい)。尚、本形態のように、対向電極130−5の内部空間に放電電極120−5の先端が挿入されるよう構成することにより、対向電極130−5の吸気開口部130β−5との局部的な放電を抑え(対向電極130−5の内壁面全体をより放電部として機能させ)、より均一且つオゾン濃度の低いイオン・オゾン風を発生させることが出来る。他方、対向電極130−5の内部空間の外側に放電電極120−5を配する構成とした場合には、対向電極130−5のエッジ部(例えば、吸気開口部130β−5)との放電の比率が高くなり、対向電極130−5の内壁面との放電が起き難い場合がある(即ち、吸気開口部130β−5との局部的な放電が生じ易くなる)。従って、よりオゾン発生率を低減させるという観点から、放電電極120−5の少なくとも一部(先端)を対向電極130−5の内部空間に挿入するように配することが好適である。
更に、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置は、放電電極120−5が噴出口130α−5側へ貫通しないことが好適である。放電電極120−5が噴出口130α−5側へ貫通する場合(放電電極120−5の先端が噴出口130α−5が存在する平面から見て吸気開口部130β−5と反対の領域にある場合)、噴出口130α−5から吸気開口部130β−5へ向かう逆方向のイオン風が生じ得るため、イオン風の勢いが削がれる場合がある。また、このような観点からは、放電電極120−5の先端が噴出口130α−5側へ貫通しない状況下、放電電極120−5の先端から噴出口130α−5までの距離が、z(噴出口130α−5と吸気開口部130β−5との距離)を基準として、4/5以下であることが好適であり、3/4以下であることがより好適であり、2/3以下であることが特に好適である。また、本形態においては、噴出口から発生するイオン風の主の牽引力となるのは、吸気開口部130β−5側から噴出口130α−5側への方向性となる放電電極120−5と噴出口130α−5近傍との間で発生するイオン風である。従って、噴出口130α−5側へのイオン風の風力を高めるために、放電電極120−5の先端が噴出口130α−5側へ貫通しない状況下、放電電極120−5の先端から噴出口130α−5までの距離が、z(噴出口130α−5と吸気開口部130β−5との距離)を基準として、1/5以上であることが好適であり、1/4以上であることがより好適であり、1/3以上であることが特に好適である。
また、対向電極130−5としては、図3及び図F1に示す錐台状(円錐台状)に限定されず、対向電極130−5の縮径部130r−5が、吸気開口部130β−5から噴出口130α−5に向かって曲線的に断面径が変化する形状としてもよい。この際、対向電極130−5の形状としては、(1)図F2(a)に示すような、対向電極130−5の外部側に凸の形状{球体の一部(球冠)に類似する形状)};(2)図F2(b)に示すような、対向電極130−5の内部側に凸の形状(所謂ラッパ形状);のいずれであってもよい。対向電極130−5を錐台状やラッパ形状とした場合には、オゾン濃度が高まらない程度に放電箇所(放電電極120−5と対向電極130−5との対向関係)に若干のムラが出来、その結果、対向電極内部で、対向電極を多重環とした場合に近い放電関係が形成され、更に、対向電極内部で発生したイオン風が噴出口130α−5に向かって円滑に誘導されるため、イオン風の勢いが強まるものと考えられ好適である。尚、対向電極の構造により対向電極内部で多重環を形成するという観点からは、対向電極内部に、電極の略同心円となるような溝又は凸部を設ける等の構造も考えられる。
また、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、図F3に示すように、複数の電極対を有する構成(対向電極130a−5と、放電電極120a−5と、からなる電極対を複数有する構成)としてもよい。尚、本図は、対向電極130a−5として、図B1に示すような電極配置の構成を適用した場合の一例であるが、イオン・オゾン風発生装置100−5を複数の電極対を有する構成とした場合、その他の実施形態において説明された構成を適宜に適用可能である。
また、本形態に係る対向電極130−5は、その噴出口130α−5を多重環構造としてもよい(噴出口130α−5を副環状電極と見なし、その内部に主環状電極となるような環状電極を更に配してもよい)。このような構成とすることにより、噴出口130α−5に設けられた主環状電極と放電電極との放電で発生したイオン風が、対向電極130−5内部で発生したイオン風を噴出口130α−5方向へ牽引し、噴出口130α−5から噴出するイオン風の勢いが強まると考えられる。
尚、本形態に係る放電電極120−5は、針状電極に限定されず、環状の放電電極を用いてもよい。
以上説明したように、本形態に係るイオン・オゾン風発生装置によれば、発生するオゾン濃度を低め、且つ、対向電極内部で発生したイオン(イオン風)が噴出口へと誘導される構成としているので、トルクのあるイオン風を噴出させ対象空間中にイオンを十分に拡散させつつも、噴出口近傍の対象物に直接接触するオゾンの量を低めることが出来る(その結果、オゾンによる漂白効果等が望ましくない対象物の付近でも使用することが出来る)。
<第5実施形態の変更例>
以上説明した第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、イオン風の進行方向に沿って縮径する構造を有する対向電極130−5を備えることにより、トルクのあるイオン風の発生及びオゾン濃度の低減を行うものである。
次に、上述した概念を、第2実施形態及び第3実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置の概念(即ち、対向電極を、放電電極の存在する平面と平行となる平面上に配置する構成)に類似する概念に適用した場合の構成を、第5実施形態に係る変更例として詳述する。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5’は、図F4に示すように、環状の放電電極120−5’と、当該放電電極120−5’を覆うような対向電極130−5’が設けられている。
より具体的には、図F4に示すように、対向電極130−5’は、切頭円錐状の上部材130a−5’と、切頭円錐状の下部材130b−5’と、上部材130a−5’の底面側と下部材130b−5’の底面側とを繋ぐブリッジ130c−5’と、上部材130a−5’と下部材130b−5’との隙間として形成される噴出口130α−5’と、上部材130a−5’の頭部側に設けられた吸気口である空気孔134a−5’と、下部材130b−5’の頭部側に設けられた吸気口である空気孔134b−5’と、対向電極130−5’の中心軸方向(空気孔134a−5’及び空気孔134b−5’方向)から噴出口130α−5’に向かって、対向電極130−5’の高さ(径)が大きくなるように構成された縮径部130r−5’と、縮径部130r−5’の噴出口130α−5’とは異なる端側(空気孔134a−5’及び空気孔134b−5’の縁側)に設けられた仮想的な領域である吸気開口部130β−5’と、を有する。また、本形態においては、噴出口130α−5’の高さ(径)Rαと吸気開口部130β−5’の高さ(径)Rβとが、Rβ>Rαとなっている。
本形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5’は、換言すれば、図3に示されたイオン・オゾン風発生装置の断面{対向電極130−5の二つの放電線(図3にて、対向電極130−5の上側断面に該当する放電線及び対向電極130−5の下側断面に該当する放電線)と、放電電極120−5の受電点(図1にて、放電電極120−5の針の先端に該当する受電点)}に関して、その位置関係を保持したまま形成された回転体と見なすことも可能である。
本形態によっても、対向電極130−5’内壁面全体にて放電が行われる構造であるため、局部的な放電が減少し、オゾン濃度を低減させることが可能であり、更には、噴出口130α−5’に向かって徐々に断面積が小さくなる縮径部130r−5’を有しているので、吸気開口部130β−5’付近で生じたイオンを含め、対向電極130−5’内部で万遍なく発生したイオンが、噴出口130α−5’付近まで確実に誘導されることとなり、イオン風に含まれるイオン濃度が高められたトルクのあるイオン風とすることが可能となる。即ち、イオン・オゾン風発生装置100−5’によれば、設置面に対して360°に渡ってトルクのあるイオン風を発生させつつも、噴出口付近でのオゾン濃度を抑制することが可能となる。
尚、本形態は、環状の放電電極が存在する平面を仮定した際に、当該平面に沿ってイオン風を発生させるという点では第2実施形態及び第3実施形態と同様である。従って、発明の効果を阻害しない範囲で、第2実施形態及び第3実施形態にて詳述した概念を適宜適用することが可能である。
ここで、上述した第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4及び第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5は、特に噴出口近傍のオゾン濃度を低減させるという点で同一の課題を有する。従って、これらを適宜組み合わせて、より発明の効果を高めたイオン・オゾン風発生装置とすることも可能である。例えば、第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5に対して、第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4にて説明したスプリッター145−4を設けてもよいし、第4実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−4のガイド部材140−4の形状を参照し、第5実施形態に係るイオン・オゾン風発生装置100−5の対向電極130−5の形状を適宜変更してもよい。
次に、本発明を参考実施例及び参考比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪参考実施例I≫
(参考実施例Iの測定方法及び測定条件)
参考実施例Iについて、図C5に示す形状の電極対を備えるイオン風発生装置を用いてイオン風を発生させ、対向電極330(受電部331)の外周において、等間隔に、A点からH点までの8カ所でイオン風の風速を測定した。また、イオン風を発生させる際の放電電極と対向電極との電位差(印加電圧)を7000[V](電流:500μA)とし、測定環境としては、温度を摂氏25度とし、湿度を60%としている。そして、放電電極320(放電部321)の内径を3cmとし、対向電極330(受電部331)の内径を5cmとしている。
測定したイオン風の風速が1.5m/s以上であった場合には風速判定を○印とし、1.5m/s未満であった場合には風速判定を×印として、測定結果を表T1に示す。
(参考実施例Iの測定結果)
表T1に示されるように、風速はすべての測定場所で1.5m/s以上であったため風速判定はすべて○印となっている。このことから、図C5に示す形状の電極対を備えるイオン・オゾン風発生装置を使用した場合には、360度全方向に亘り、均一且つ十分な風量のイオン風が発生することとなる。
≪参考実施例II≫
(参考実施例IIの測定方法及び測定条件)
参考実施例IIについて、図C13に示す形状の電極対を備えるイオン風発生装置を用いてイオン風を発生させ、対向電極330(受電部331)の一方の端部から他方の端部までの間で、I点からK点までの等間隔となる3点を設け、当該3カ所でイオン風の風速を測定した。また、イオン風を発生させる際の放電電極と対向電極との電位差(印加電圧)を7000[V](電流:500μA)とし、測定環境としては、温度を摂氏25度とし、湿度を60%としている。そして、放電電極320(放電部321)は、内径が3cmの円の四半分の円弧とし、対向電極330(受電部331)は、内径が5cmの円の四半分の円弧としている。
測定したイオン風の風速が1.5m/s以上であった場合には○印とし、1.5m/s未満であった場合には×印として、測定結果を表T2に示す。
≪参考比較例I≫
(参考比較例Iの測定方法及び測定条件)
参考比較例Iについて、図A1に示す形状の電極対を備えるイオン風発生装置を用いてイオン風を発生させ、対向電極130の周囲360度に45度毎にL点からS点までの8カ所でイオン風の風速を測定した。また、イオン風を発生させる際の放電電極(針状電極)と対向電極との電位差(印加電圧)を7000[V](電流:500μA)とし、測定環境としては、温度を摂氏25度とし、湿度を60%としている。そして、対向電極130の内径を3cm(円形環状電極131)、5cm(外側円形環状電極132)としている。
測定したイオン風の風速が1.5m/s以上であった場合には風速判定を○印とし、1.5m/s未満であった場合には風速判定を×印として、測定結果を表T3に示す。
(参考比較例Iの測定結果)
表T3に示されるように、風速はすべての測定場所で1.5m/s未満であったため風速判定はすべて×印となっている。このことから、図A1に示す形状の電極対を備えるイオン・オゾン風発生装置を使用した場合には、電極対の周囲にはイオン風が発生しない(又は、発生しても微弱である)こととなる。
[参考実施例1、2及び参考比較例1〜3]
以下、参考例及び参考比較例を用いて、イオン風発生装置の一形態に関して説明を行うが、これには何ら限定されない。
(参考実施例及び参考比較例の測定方法及び測定条件)
参考実施例1、参考実施例2、参考比較例1、参考比較例2、参考比較例3について、図T1〜図T5に示す対向電極を備えるイオン風発生装置を用いてイオン風を発生させ、図T6に示す方法でイオン風の風速を測定した。各装置の電極サイズは下記表T4の通りである。また、イオン風を発生させる際の針状電極と対向電極との電位差(印加電圧)を7000[V](電流:500μA)とし、風速計を載置した台の高さを39mmとした。尚、測定環境としては、温度を摂氏25度とし、湿度を60%としている。
(参考実施例1)
図T1に示すように、参考実施例1の構造は、主電極対と、当該主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を有し、それぞれの電極対を平面状且つ環状等としたものである。
(参考実施例2)
図T2に示すように、参考実施例2の構造は、各対向電極が主環状対向電極と副環状対向電極とを有することとした以外は、実施例1と同様の構造を有したものである。
(参考比較例1)
図T3に示すように、参考比較例1の構造は、一組の電極対を囲うように隣接する複数組の電極対を設けたものである。また、対向電極は、円筒状である。
(参考比較例2)
図T4に示すように、参考比較例2例の構造は、直列に配置された複数組の電極対を設けたものである。また、対向電極は、円筒状である。
(参考比較例3)
図T5に示すように、参考比較例3の構造は、直列に配置された複数組の電極対を設けたものである。また、それぞれの電極対は、平面状且つ環状である。
(参考実施例及び参考比較例の測定結果)
上記の参考実施例及び参考比較例の測定の結果を下記表T5に示す。表T5に示すように、参考実施例1のイオン風発生装置で発生したイオン風の風速は、参考比較例1〜3のイオン風発生装置で発生したイオン風の風速よりも顕著に大きくなっていることが分かる。
また、以下に具体的に述べるが、本測定の結果から、本願発明のように、(A)主電極対と、当該主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を有し、且つ、(B)それぞれの電極対を平面状且つ環状等とすることで初めて、顕著に風力を増幅させる効果を奏することができ、(A)、(B)いずれの構成が欠けても風力の増幅効果は小さいことは明らかである、といえる。
具体的には、参考比較例1と参考比較例2とを対比すると、対向電極が円筒状の場合には、複数の電極対の配置を直列型配置から主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を有する配置に変更しても、風速は0.1m/sしか大きくならず、風力の増幅効果は小さいことが分かる。一方、参考実施例1と参考比較例3とを対比すると、それぞれの電極対を平面状且つ環状等とした場合には、複数の電極対の配置を直列型から主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を有する配置に変更すると、風速は0.3m/sと大幅に大きくなり、風力の増幅効果が大きいことが分かる。
また、参考比較例2と参考比較例3とを対比すると、複数の電極対の配置が直列型配置の場合には、対向電極の形状を円筒状から平面状且つ環状等に変更しても、風速は0.1m/sしか大きくならず、風力の増幅効果は小さいことが分かる。一方、実施例1と比較例1とを対比すると、複数の電極対の配置が主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を有する配置の場合には、対向電極の形状を円筒状から平面状且つ環状等に変更すると、風速は0.3m/sと大幅に大きくなり、風力の増幅効果が大きいことが分かる。
以上のように、本願発明の参考実施例1に係るイオン・オゾン風発生装置は、参考比較例1〜3に係る装置の場合と比較して、発生する風力が著しく大きくなることがわかる。また、主電極対を囲うように位置する複数組の副電極対を設ける配置によるイオン風の増幅効果は、それぞれの電極対を平面状且つ環状等とすることで顕著となることがわかる。
さらに、参考実施例1と参考実施例2との対比より、各対向電極が主環状対向電極と副環状対向電極とを有することで、更に顕著な風力の増幅効果を奏することがわかる。