JP2016123711A - 血液浄化器の循環試験装置及び試験評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の使用環境下と同一の血流及び血圧の状況を作り出し、非臨床環境下で血液浄化器の試験を効果的に行うこと。
【解決手段】本発明の循環試験装置10は、血液浄化器50の入口側ポート51と同出口側ポート53との間に接続され、血液浄化器50を介して試験用液体が循環可能に設けられた循環路14と、試験用液体を入口側ポート51に送り込む第1のポンプ17と、循環路14における出口側ポート53の下流側に設けられ、人体の静脈を模擬して試験用液体の流れを調整する静脈モデル20,21と、静脈モデル20,21の下流側となる循環路14の流路接続部14Aと血液浄化器50の浄化ポート54との間に接続されるバイパス路15と、血液浄化器50の中空膜体52を透過した試験用液体の一部をバイパス路15から流路接続部14Aに導く第2のポンプ18とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血液浄化器の循環試験装置及び試験評価方法に係り、更に詳しくは、血液の濾過や透析の際に血液中の老廃物等を除去する血液浄化器について、実際の使用環境と同一の環境下で非臨床的に試験を行うための血液浄化器の循環試験装置及び試験評価方法に関する。
急速に腎機能が低下する急性腎不全等の重症患者に対しては、血液中の老廃物等を人工的に除去するために、数日間に亘って血液を浄化する持続的腎機能代替療法が適用される。この療法では、血液を浄化するためのフィルターとして機能する血液浄化器として、持続緩除式血液濾過器(以下、単に「血液濾過器」と称する)が用いられる。この血液濾過器は、慢性腎不全等の患者に適用される透析に用いられる血液浄化器(透析器)よりも、長期間に亘って使用される。従って、血液濾過器としては、血液の流路となる中空糸膜内の経時的な血栓の形成を抑制し、当該血栓の形成による血液流路の目詰まりを少なくする性質を有する製品の開発が求められる。現状では、血液濾過器の抗血栓性の試験として、動物実験やin−vitro実験が行われているが、動物実験では、個体差等により抗血栓性の比較評価を正確に行うことができず、in−vitro実験では、実際の使用環境の血流や血圧を模擬した試験法が存在しない。
例えば、特許文献1には、血液透析器、血液濾過器等の血液処理装置のリーク試験装置が開示されている。このリーク試験装置は、実際の使用環境とは大きく異なる圧力下で、血液処理装置内に存在する中空繊維膜内に水を通過させて、中空繊維膜の損傷による圧力値の変化により、血液処理装置内を通過する水漏れの有無を検出するものである。
特開平10−15059号公報
前述の通り、特許文献1に開示された発明も含め、現状のin−vitro実験では、実使用環境下での血流や血圧を模擬した血液浄化器の試験装置が存在しないため、患者による使用を経ない非臨床下での試験においては、実際の使用結果と異なる抗血栓性のデータが出てしまう場合もある。従って、このような現状の試験は、抗血栓性に優れた血液浄化器の開発に効果的に寄与できるものとは言えない。
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、実際の使用環境下と同一の血流及び血圧の状況を作り出し、非臨床環境下で血液浄化器の試験を効果的に行うことができる血液浄化器の循環試験装置及び試験評価方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、主として、入口側ポートから流入した血液が中空膜体内を介して出口側ポートから排出される際に、血液中の老廃物等を前記中空膜体で分離して浄化ポートから外部に排出することで、血液の浄化を行う血液浄化器に対し、試験用液体を用いて大気非接触の閉鎖回路下で性能評価試験を行うための装置であって、前記入口側ポートと前記出口側ポートとの間に接続され、前記血液浄化器を介して前記試験用液体が循環可能に設けられた循環路と、前記試験用液体を前記入口側ポートに送り込む第1のポンプと、前記循環路における前記出口側ポートの下流側に設けられ、人体の静脈を模擬して前記試験用液体の流れを調整する静脈モデルと、当該静脈モデルの下流側となる前記循環路の流路接続部と前記浄化ポートとの間に接続されるバイパス路と、前記中空膜体を透過した前記試験用液体の一部を前記バイパス路から前記流路接続部に導く第2のポンプとを備える、という構成を採っている。
また、本発明は、前記試験用液体として血液を用い、当該血液を前記閉鎖回路内で一定時間循環した後、前記血液浄化器内に形成された血栓を固定するための固定液を前記閉鎖回路内で一定時間循環させた上で、前記中空膜体を複数領域に分け、各領域における前記中空膜体内に形成された血栓の断面積を計測し、対応する領域の中空膜体の断面積に対する血栓の断面積の割合を血栓形成率として算出し、当該血栓形成率を段階的に区分してスコアリングすることで、前記血液浄化器の抗血栓性を評価する、という手法を採っている。
本発明において、前記第1のポンプで脈動流が発生した試験用液体は、入口側ポートから血液浄化器の内部に流入され、中空膜体を通過して出口側ポートより排出される。ここで、試験用液体が中空膜体を通過する際に、第2のポンプの駆動により、試験用液体の一部が中空膜体を透過してその外側からバイパス路に流れる。バイパス路に流れた試験用液体の一部は、出口側ポートから排出された残りの試験用液体と流路接続部で合流し第1のポンプに戻る。従って、本発明では、試験用液体の容量及び成分を維持した状態で、空気非接触のまま試験用液体を循環させた試験が可能になる。また、第1のポンプの駆動を調整することで、血液浄化器に供給される試験用液体の流量や、血液浄化器の入口圧力を実際の使用環境に近い状態にできる。更に、静脈モデルで、人体の抹消抵抗や静脈圧力を模擬することが可能になり、血液浄化器の出口圧力をも実際の使用環境に近い状態にできる。以上により、本発明における循環試験装置では、実際の血液浄化時における浄化装置と患者が接続された閉鎖回路の状態を患者の介在無しに模擬することができ、実際の使用環境と同一の血流及び血圧の状況下で、血液浄化器の試験を非臨床下で効果的に行うことができる。
また、本発明の試験評価方法によれば、中空膜体の抗血栓性能が、その部位毎に評価されるため、部位毎での血栓形成の程度を対比したり、部位毎に血栓形成の傾向を把握するのに有用となる。
本実施形態に係る血液浄化器の循環試験装置の構成を表す概念図。 内圧調整手段の概略断面図。 中空膜体の分割領域を説明するための血液浄化器の概念図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る血液浄化器の循環試験装置の構成を表す概念図が示されている。この図において、前記循環試験装置10は、血液の濾過や透析等の際に血液中から老廃物等を分離する血液浄化器50に対し、患者への使用を伴わない非臨床環境により、実際の使用時における血流や血圧の状況とほぼ同一の状況下で、抗血栓性等の性能の比較評価を行うことのできる試験用回路として構成されている。
なお、本実施形態では、循環試験装置10で試験される血液浄化器50として、持続緩徐式血液濾過法による治療時に血液を濾過する血液濾過器を対象とし、各種の血液濾過器について、抗血栓性等の比較試験を行うために循環試験装置10が用いられる。なお、前記循環試験装置10においては、血液濾過器に対する試験のための使用に限定されるものではなく、透析に用いられる血液透析器等の各種の血液浄化器の試験に用いることもできる。
前記血液浄化器50としては、患者から脱血された血液の流入口となる入口側ポート51と、入口側ポート51から流入した血液が通過する中空糸膜を多数束ねてなる中空膜体52と、中空膜体52を通過した血液の器外への流出口となる出口側ポート53と、中空膜体の外側に透過した老廃物等を含む液体の排出口となる浄化ポート54とを主として備えた公知の構造のものが、本実施形態での試験に用いられる。
前記循環試験装置10は、大気非接触下において、血液浄化器50を介して試験用液体が循環して流れる閉鎖回路として構成されており、試験用液体が流れる流路11と、流路11の途中に設けられ、流路11内の試験用液体の流量や圧力を実使用環境に合わせるための流体調整機構12とを備えている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、循環試験装置10全体で必要な試験用液体の量が約200mlとなるように設定されている。
本実施形態では、試験用液体として、ヒト血液(全血)が用いられるが、これに限定されるものではなく、ヒト血液に類する血液成分を有する動物の血液や人工血液等の他の液体を試験用液体として用いることもできる。
前記流路11は、血液浄化器50の入口側ポート51と出口側ポート53にそれぞれ接続されて血液浄化器50を介して試験用液体を一定方向に循環可能に設けられた循環路14と、循環路14中の流体接続部14Aと浄化ポート54を接続するバイパス路15とからなり、試験用液体が図中矢印の方向のみに流れるように構成されている。なお、流路11は、特に限定されるものではないが、ポリ塩化ビニル製のチューブが用いられ、その内部に収容される試験用液体の容量を約150mlとなる長さ及び径のものが用いられている。
前記流体調整機構12は、試験用液体を脈動流にして入口側ポート51に送り込む第1のポンプ17と、中空膜体52を透過した試験用液体の一部を、バイパス路15を通じて流体接続部14Aに導く第2のポンプ18と、出口側ポート53から排出された試験用液体の流れに抵抗を付与する抵抗付与手段20と、抵抗付与手段20の下流側に設けられるとともに、試験用液体を一時的に溜め込むように機能するリザーバ手段21と、第1のポンプ17と血液浄化器50との間に設けられ、流路11内の試験用液体に対する供給及び排出を行うために開閉可能に設けられた開閉ポート23と、流体接続部14Aの下流側に設けられて流路11の内部圧力を所望の状態に維持するための内圧調整手段24と、第1のポンプ17と血液浄化器50の間に設けられ、入口側ポート51に流入する試験用液体の圧力(入口圧力)を計測可能な入口側の圧力計26と、血液浄化器50と抵抗付与手段20との間に設けられ、出口側ポート53から排出された試験用液体の圧力(出口圧力)を計測可能な出口側の圧力計27と、内圧調整手段24と第1のポンプ17の間に設けられ、内圧調整手段24を通過した試験用液体の圧力(静脈圧力)を計測可能な圧力計28と、第1のポンプ17と入口側の圧力計26との間に設けられ、血液浄化器50に流入する血液流量に相当する試験用液体の流量を計測する血液流量計30と、第2のポンプ18と流体接続部14Aの間のバイパス路15の途中に設けられ、血液浄化器50で濾過された液体の濾過流量に相当する試験用液体の流量を計測する濾過流量計31と、流路11を流れる試験用液体の温度を調整する恒温手段33とを備えて構成されている。
これら流体調整機構12の各構成要素は、実際の血液濾過時に用いられる血液浄化装置(図示省略)内で、血液等の回路内に設けられた各機器に高低差が設けられていることによる差圧の影響をも模擬するために、高低差を生じさせる位置関係となっており、当該高低差による重力の影響を加味できるようになっている。なお、特に限定されものではないが、第1及び第2のポンプ17,18は、相互にほぼ同一の高さとなる最高地点に配置され、最下点である循環試験装置10の装置設置面Gから、約600mm〜700mm程度の高さ位置に配置される。また、血液浄化器50は、入口側ポート51が上側で出口側ポート53が下側となる向きで保持され、その上端部分が、前記装置設置面Gから約400mm〜500mm程度の高さ位置となるように配置される。
本実施形態では、前記第1及び第2のポンプ17,18として、それぞれローラポンプが用いられているが、本発明はこれに限らず、以下の駆動が可能な限り種々のポンプに代替することも可能である。ここで、第1のポンプ17は、実際の浄化時に用いられる前記血液浄化装置の血液ポンプの駆動を模擬した脈動流を生成可能に制御される。すなわち、第1のポンプ17は、例えば、供給流量が100ml/min程度で、血液浄化器50の入口圧力が70mmHgになるように駆動制御される。第2のポンプ18は、前記血液浄化装置の濾過ポンプを模擬した出力を可能に制御され、例えば、濾過流量が10ml/min程度となるように駆動制御される。
前記抵抗付与手段20は、人体の末梢抵抗を模擬して循環路14に絞り抵抗を付与するクランプ等によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、弁等の種々の機器を代替的に採用することができる。
前記リザーバ手段21は、抵抗付与手段20と流体接続部14Aとの間に設けられており、循環路14から流入した試験用液体を一時的に溜め込んで流体接続部14A側に流出させる機能を有しており、当該機能により、圧力計28で検出される試験用液体の圧力を人体の静脈圧力を模擬した状態に調整可能となっている。このリザーバ手段21は、循環路14よりも内径の大きい弾性チューブにより構成され、本実施形態では、抗血栓性を有するセグメント化ポリウレタン製の弾性チューブが用いられる。当該弾性チューブは、その内部を通過した後の試験用液体の平均圧力が実際の使用環境下での静脈圧力の平均値(平均静脈圧力)である7mmHg程度になるように設計されている。
これら抵抗付与手段20及びリザーバ手段21は、人体の静脈を模擬して試験用液体の流れを調整する静脈モデルとして機能する。
前記開閉ポート23は、流路11に対して試験用液体の供給や排出を可能にする解放状態と、当該供給や排出を不能にする閉塞状態とに切換え可能な活栓等により構成される。この開閉ポート23は、試験中における試験用液体のサンプル採取の際や、試験後の試験用液体の交換の際等に解放状態にされる。一方、それ以外の場合は閉塞状態とされ、当該閉塞状態では、回路全体が空気非接触の状態に維持される。
前記内圧調整手段24は、流体接続部14Aの下流側に配置されており、試験中のサンプル採取により流路11を流れる試験用液体の内部容量が減少したときでも、リザーバ手段21で設定した静脈圧力をサンプル採取前の状態に維持可能に機能する。
この内圧調整手段24は、図2に示されるように、循環路14に繋がる弾性チューブ35と、弾性チューブ35を内部に収容する中空のケース36とを備えている。
本実施形態では、前記弾性チューブ35として、リザーバ手段21と同一径で同一素材からなるチューブが用いられるが、本実施形態と同様の作用を奏する弾性を有する限りにおいて、種々の素材のチューブを採用することができる。なお、特に限定されるものではないが、弾性チューブ35の長さは、リザーバ手段21のチューブよりも長く設定されている。
前記ケース36は、弾性チューブ35とほぼ同一の長さを有する箱型に設けられており、特に限定されるものではないが、透明のアクリル製となっている。また、ケース36には、弾性チューブ35の両端側の解放部分を循環路14,14に連通した状態で接続するための接続部38,38と、内部空間に繋がる注入部39とが設けられている。ケース36の内部空間において、弾性チューブ35の外側の空間は、非圧縮性流体が充填される流体充填部40となっており、当該流体充填部40に注入部39が繋がっている。本実施形態では、流体充填部40に充填される非圧縮性流体として、生理食塩水が用いられており、注入部39の解放状態では、外部から流体充填部40に生理食塩水の追加注入が可能となっている。
ここで、リザーバ手段21を通過した試験用液体は、血液浄化器50にから分離した試験用液体と流体接続部14Aで合流した上で弾性チューブ35内に流入する。このとき、試験用液体は、流体充填部40に漏出しないようになっている。試験中に、開閉ポート23からサンプルとして試験用液体が定期的に少量(例えば2ml程度)ずつ採取される場合があるが、この際、回路内の成分を維持するため、流路11内に試験用液体が追加されないことから、流路11を流れる試験用液体の内部容量が減少し、サンプル採取による陰圧が流路11内に発生する。このときに注入部39を解放状態にし、試験用液体の内部容量の変化に応じて、流体充填部40に生理食塩水を注入することにより、流体充填部40のボリュームを変化させて弾性チューブ35を圧縮し、サンプリング後の流路11の内部圧力をサンプリング前の内部圧力に素早く戻すように、流路11の内部圧力が調整可能になる。なお、流体充填部40に充填される非圧縮性流体としては、前述と同等の作用を奏する限りにおいて、他の流体を用いることができる。
以上の構成の内圧調整手段24は、装置設置面Gとほぼ同一の高さに配置される一方、リザーバ手段21は、内圧調整手段24に対してやや高い位置で保持されており、リザーバ手段21と内圧調整手段24との間で高低差が生じている。リザーバ手段21は、高さ調整が可能となるように保持されており、内圧調整手段24との高低差を変化させることで、内圧調整手段24を通過した後の試験用液体の圧力幅を調整可能になっている。すなわち、本発明者らの実験によれば、前記高低差の調整によって、人体の静脈圧力の最高値と最低値の差である脈圧とほぼ同一の圧力幅が得られることが立証された。つまり、試験用液体の圧力幅を人体の脈圧である3mmHg以下にするために、例えば、前記段差が80mm程度に設定される。
なお、試験中にサンプル採取を行わない場合には、内圧調整手段24を省略することもできる。
前記恒温手段33は、流路11内を流れる試験用液体を体温と同程度となる一定温度に維持するように構成され、内部に水が貯められた水槽42と、水槽42内の水温を所定温度に維持するヒータ43とからなる。
前記水槽42は、装置設置面G上に設置されており、特に限定されるものではないが、装置設置面Gに近い領域、すなわち、リザーバ手段21の近傍から内圧調整手段24の近傍までの流路11の部分を水中に設置できるサイズに設けられている。
前記ヒータ43では、水槽42中の水温の調整を行い、水槽42中の流路11の部分を加温制御することにより、流路11を流れる試験用液体の温度を人間の体温(例えば、37℃程度)に近い一定温度に維持するようになっている。
次に、前記循環試験装置10を用いた血液浄化器50の抗血栓性の評価試験方法について説明する。
試験対象となる血液浄化器50を設置した上で、試験用液体として血液を流路11に充填した後、第1及び第2のポンプ17,18を駆動する。第1のポンプ17から実際の使用環境と同一となる前述の条件で脈動流が付与された血液は、血液浄化器50の入口側ポート51からその内部の中空膜体52を通過する。この際、第2のポンプ18の駆動により、血液浄化器50に供給された総流量の10%程度の一部血液が中空膜体を透過して浄化ポート54からバイパス路15に排出される。中空膜体52内を通過した残りの血液は、出口側ポート53から循環路14に流れ、抵抗付与手段20及びリザーバ手段21を通過し、バイパス路15に排出された試験用液体の一部と流体接続部14Aで合流し、内圧調整手段24の弾性チューブ35内を通って第1のポンプ17に戻される。
第1及び第2のポンプ17,18は、実際の使用環境に相当する時間(例えば、2日間程度)継続して駆動される。この間、各圧力計26,27,28や各流量計30,31が定期的にモニタリングされ、血液浄化器50の入口圧力、出口圧力やそれらの差圧等の経時的変化に関するデータが取得される。なお、血液浄化器50の入口圧力が初期値(例えば、70mmHg)から、所定値(例えば、150mmHg)まで上昇した際は、前述の駆動時間が経過していなくても、第1及び第2のポンプ17,18が停止され、試験終了となり、試験開始時からの経過時間もデータとして取得される。また、各圧力計26,27,28や各流量計30,31のモニタリングにより、流路11を循環する血液が実際の使用環境と同一となるように、血液流量、濾過流量及び静脈圧力(平均値と脈圧)を維持できるように、各ポンプ17,18の駆動制御、抵抗付与手段20の調整、リザーバ手段21の高さ調整が必要に応じて行われる。また、試験中、所定の時間毎に流路11を流れる血液がサンプルとして採取されてその成分等が都度計測され、当該成分等の経時的変化に関するデータも取得される。なお、サンプル採取されたときに、採取された血液と同量の生理食塩水が内圧調整手段24の流体充填部40に注入され、流路11の内圧が所望とする一定値にほぼ維持される。
試験終了後、循環試験装置10から血液を排出した上で、中空膜体52に形成された血栓を固定するためのグルタルアルデヒド等の固定液を、流路11内で所定時間循環させる。このときの各ポンプ17,18の駆動条件は、血液による試験の際と同一の条件に設定される。そして、循環試験装置10から血液浄化器50を取り出し、当該血液浄化器50について、その入口部分の中空膜体52を目視で観察することにより、血栓形成の有無が評価される。
次に、中空膜体52を図3に示されるように9つの部位に分割し、走査型電子顕微鏡により、部位毎に中空糸膜52の内部の血栓の状態が観測される。すなわち、ここでは、中空膜体52を縦方向に濾過側(同図中左側)、中央、外側の3領域に分け、横方向に入口側(同図中上側)、中央、外側の3領域に分け、これら縦横3×3の領域の各部位につき、次の評価が行われる。
ここでは、1部位につき15本程度の中空糸膜を無作為に抽出してそれぞれの中空糸膜について、血栓形成部分の断面積を計測し、各部位における当該血栓形成部分の断面積の中空糸膜1本当たりの平均値を求める。そして、部位毎に、中空糸膜の平均断面積に対する血栓形成部分の断面積の平均値の割合である血栓形成率を求める。そして、当該血栓形成率を指標として、血液浄化器50の抗血栓性が評価される。特に限定されるものではないが、本実施形態では、部位毎に、血栓形成率を5段階に区分して点数化(スコアリング)される。すなわち、前記血栓形成率が1%未満の場合は0点とし、血栓形成率が1%以上で25%未満の場合は1点とし、血栓形成率が25%以上で50%未満の場合は2点とし、血栓形成率が51%以上で75%未満の場合は3点とし、血栓形成率が76%以上の場合は4点とされる。そして、部位毎に点数を算出する他、前記縦方向の領域毎でも当該点数の平均値を取り、また、前記横方向の領域毎でも当該点数の平均値を取ることで、中空膜体52の血栓形成の傾向を領域毎に把握可能となる。更に、全部位での点数の平均値を取ることで、血液浄化器50全体の抗血栓性の評価点とすることができ、当該評価点が少ない程、抗血栓性が高いと評価される。
従って、このような実施形態によれば、大気非接触で、所望の流量及び圧力と試験用液体の成分とを維持しながら血液浄化器の評価試験を行うことができ、患者を介さない非臨床環境下において、患者を介した実際の使用環境で行うのとほぼ同一の試験を行えるという効果を得る。
なお、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 循環試験装置
14 循環路
15 バイパス路
17 第1のポンプ
18 第2のポンプ
20 抵抗付与手段(静脈モデル)
21 リザーバ手段(静脈モデル)
24 内圧調整手段
35 弾性チューブ
36 ケース
39 注入部
40 流体充填部
50 血液浄化器
51 入口側ポート
52 中空膜体
53 出口側ポート
54 浄化ポート

Claims (7)

  1. 入口側ポートから流入した血液が中空膜体内を介して出口側ポートから排出される際に、血液中の老廃物等を前記中空膜体で分離して浄化ポートから外部に排出することで、血液の浄化を行う血液浄化器に対し、試験用液体を用いて大気非接触の閉鎖回路下で性能評価試験を行うための装置であって、
    前記入口側ポートと前記出口側ポートとの間に接続され、前記血液浄化器を介して前記試験用液体が循環可能に設けられた循環路と、前記試験用液体を前記入口側ポートに送り込む第1のポンプと、前記循環路における前記出口側ポートの下流側に設けられ、人体の静脈を模擬して前記試験用液体の流れを調整する静脈モデルと、当該静脈モデルの下流側となる前記循環路の流路接続部と前記浄化ポートとの間に接続されるバイパス路と、前記中空膜体を透過した前記試験用液体の一部を前記バイパス路から前記流路接続部に導く第2のポンプとを備えたことを特徴とする血液浄化器の循環試験装置。
  2. 前記静脈モデルは、前記循環路内を流れる前記試験用液体に抵抗を付与する抵抗付与手段と、当該抵抗付与手段の下流側に設けられるとともに、前記循環路内を流れる前記試験用液体を一時的に溜め込むように機能するリザーバ手段とを備え、
    前記リザーバ手段は、前記出口側ポートから排出された前記試験用液体の圧力を人体の静脈圧力を模擬した状態に調整可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の血液浄化器の循環試験装置。
  3. 前記第1のポンプ、前記血液浄化器、前記抵抗付与手段、及び前記リザーバ手段は、順に高い位置から低い位置に向かって高低差を有する状態で前記循環路の途中に設けられていることを特徴とする請求項2記載の血液浄化器の循環試験装置。
  4. 前記試験用液体の容量が減少したときの前記循環路及び前記バイパス路の内部圧力を当該減少前の状態に戻すように調整可能に構成された内圧調整手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の血液浄化器の循環試験装置。
  5. 前記内圧調整手段は、前記流路接続部よりも下流側となる前記循環路の途中で、前記リザーバ手段よりも低い位置に設けられ、
    前記リザーバ手段及び前記内圧調整手段は、それらの高低差を変化させることで、前記静脈圧力を調整可能に設けられることを特徴とする請求項4記載の血液浄化器の循環試験装置。
  6. 前記内圧調整手段は、前記循環路に繋がって前記試験用液体が内部を流れる弾性チューブと、当該弾性チューブを内部に収容するケースとを備え、当該ケースの内部空間のうち前記チューブの外側の空間は、非圧縮性流体が充填される流体充填部として構成され、
    前記ケースには、前記試験用液体の容量が減少したときに、前記流体充填部に前記非圧縮性流体を追加して注入可能な注入部が設けられ、当該非圧縮性流体の注入により、前記循環路及び前記バイパス路の内部圧力が調整されることを特徴とする請求項4記載の血液浄化器の循環試験装置。
  7. 請求項1記載の循環試験装置を用いて、前記血液浄化器の抗血栓性を評価するための方法において、
    前記試験用液体として血液を用い、当該血液を前記閉鎖回路内で一定時間循環した後、前記血液浄化器内に形成された血栓を固定するための固定液を前記閉鎖回路内で一定時間循環させた上で、前記中空膜体を複数領域に分け、各領域における前記中空膜体内に形成された血栓の断面積を計測し、対応する領域の中空膜体の断面積に対する血栓の断面積の割合を血栓形成率として算出し、当該血栓形成率を段階的に区分してスコアリングすることで、前記血液浄化器の抗血栓性を評価することを特徴とする血液浄化器の試験評価方法。
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