JP2016119363A - モードロックレーザ装置及び計測装置 - Google Patents

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Hideo Iwase
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Abstract

【課題】出力されるレーザビームを広い波長域で可変し得るモードロックレーザ装置、及び、そのモードロックレーザ装置を用いた計測装置を提供する。【解決手段】第1のミラーとアウトプットカプラとの間で往復する第1のレーザビームの光路上に位置するとともに、第2のミラーとアウトプットカプラとの間で往復する第2のレーザビームの光路上に位置する利得媒体と、励起光源と、光路分岐機構と、光路分岐機構と第1のミラーとの間における第1のレーザビームの光路上に配された可飽和吸収体と、光路分岐機構と第2のミラーとの間における第2のレーザビームの光路上に配され、第2のレーザビームの波長を可変にする波長可変機構とを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、モードロックレーザ装置及び計測装置に関する。
誘導ラマン散乱、2光子吸収による蛍光、アンチストークスラマン散乱などの非線形光学効果を利用して物質を同定あるいは観察する非線形光学計測装置は、医療や工業等において有用であることから、大きな注目を集めている。
非線形光学効果は、照射光の電磁場強度が大きいほど強く現れるため、非線形光学計測装置に用いられる光源には、高いピークパワーをもつパルスビームの出力が求められる。
ピークパワーの高いパルスビームを出力し得る光源の1つとして、モードロック固体レーザ装置(モードロックレーザ装置)が知られている。モードロックレーザ装置は、レーザビームを共振させる共振器と、レーザビームに光エネルギーを与える利得媒体と、利得媒体を励起する励起光源とを備えている。利得媒体は共振器の内部に配置されており、励起光源から出力される励起光により励起される。励起された利得媒体は、誘導放出過程を介して、共振器内で共振するレーザビームに光エネルギーを与える。
モードロックレーザ装置は、レーザビームに周期的に損失を与える変調器(モードロッカー)を備えている。モードロッカーの変調周期は、レーザビームが共振器を往復する時間(ラウンドトリップ時間)の逆数と一致するように調整されている。モードロッカーの変調周期がラウンドトリップ時間の逆数と一致するとき、発振するレーザビームが、パルス列(pulse train)として共振器から出力される。かかるレーザビームのパルス幅は、例えば1ナノ秒以下である。共振器から出力されるパルス列の繰り返し周期は、モードロッカーの変調周期、すなわちラウンドトリップ時間の逆数と等しくなる。このようなパルス列の発生機構は、モードロックと称される。
モードロックレーザ装置は、共振器内におけるレーザビームの光路長を適宜設定することにより、パルス幅や繰り返し周期を適宜設定し得る。レーザビームのパルス幅は、例えば数fs〜1nsの範囲内で適宜設定し得る。またレーザビームの繰り返し周期は、例えば1MHz〜1GHzの範囲内で適宜設定し得る。このようにして生成されるレーザビームは、例えば1kW以上のピークパワーを有する。よって、モードロックレーザ装置は、非線形光学計測装置の光源として適している。
また、近時では、波長が互いに異なる2種類のパルスレーザビームを出力し得るモードロックレーザ装置も提案されている(非特許文献1参照)。
M. R. X. de Barros and P. C. Becker, "Two-color synchronously mode-locked femtosecond Ti:sapphire laser", Optics Letters, Vol.18, Issue 8, pp. 631-633 (1993).
しかしながら、非特許文献1のモードロックレーザ装置では、出力されるレーザビームの波長を必ずしも十分に広い波長域で可変し得なかった。
本発明の目的は、出力されるレーザビームの波長を広い波長域で可変し得るモードロックレーザ装置、及び、そのモードロックレーザ装置を用いた計測装置を提供することにある。
本発明の一観点によれば、第1のミラーと、第2のミラーと、アウトプットカプラと、前記第1のミラーと前記アウトプットカプラとの間で往復する第1のレーザビームの光路上に位置するとともに、前記第2のミラーと前記アウトプットカプラとの間で往復する、前記第1のレーザビームの中心波長と異なる中心波長の第2のレーザビームの光路上に位置する利得媒体と、前記利得媒体を励起するための励起光源と、前記第1のレーザビームの前記光路上及び前記第2のレーザビームの前記光路上に配され、前記第1のレーザビームの前記光路と前記第2のレーザビームの前記光路とを分岐する光路分岐機構であって、前記アウトプットカプラと前記光路分岐機構との間においては、前記第1のレーザビームの前記光路と前記第2のレーザビームの前記光路とは一致しており、前記光路分岐機構と前記第1のミラーとの間における前記第1のレーザビームの前記光路と前記光路分岐機構と前記第2のミラーとの間における前記第2のレーザビームの前記光路とは互いに異なっている、光路分岐機構と、前記光路分岐機構と前記第1のミラーとの間における前記第1のレーザビームの前記光路上に配された、又は、前記第1のミラーと一体化された可飽和吸収体と、前記光路分岐機構と前記第2のミラーとの間における前記第2のレーザビームの前記光路上に配され、前記第2のレーザビームの波長を可変にする波長可変機構とを有することを特徴とするモードロックレーザ装置が提供される。
本発明によれば、可飽和吸収体が、光路分岐機構と第1のミラーとの間における第1のレーザビームの光路上に位置しており、第2のレーザビームの光路上には位置していない。このため、第1のレーザビームは可飽和吸収体によってパルス状となる一方、第2のレーザビームはパルス状となった第1のレーザビームが引き起こすカーレンズ効果によってパルス状となる。このため、第2のレーザビームの波長は、可飽和吸収体の動作波長域内に制限されない。従って、本発明によれば、出力されるレーザビームを広い波長域で可変し得るモードロックレーザ装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す概略図である。 利得媒体の利得波長域と可飽和吸収体の動作波長域と第1のパルスレーザビームの中心波長λ1と、第2のパルスレーザビームの中心波長λ2との関係を示す模式図である。 本発明の第2実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。 利得媒体の利得波長域と、可飽和吸収体の動作波長域と、第1のパルスレーザビームの中心波長λ1、及び、第2のパルスレーザビーム2の中心波長λ2との関係を示す模式図である。 本発明の第3実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。 本発明の第4実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。 本発明の第5実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。 本発明の第6実施形態による計測装置の構成を示す図である。 参考例によるモードロックレーザ装置の構成を示す概略図である。
非線形光学計測装置における計測精度を向上させるためには、波長が互いに異なる複数種の超短パルスレーザビームを使用することが好ましい。例えば誘導ラマン散乱では、中心波長がλpのパルスレーザビームであるポンプ光と、中心波長がλsのパルスレーザビームであるストークス光とを用いる。ポンプ光パルスとストークス光パルスとを同時刻に被検体に照射すると、被検体において生じる非線形光学効果により、ポンプ光パルスのエネルギーの一部が、ストークス光パルスへと変換される。変換後におけるポンプ光パルスのエネルギーを測定することにより、被検体において生じた非線形光学効果の大きさを測定することができる。非線形光学測定装置の小型化を実現するためには、波長が異なる複数種のパルス列が1つの光源より出力されることが望ましい。
本発明の第1実施形態によるモードロックレーザ装置を説明するに先立って、参考例によるモードロックレーザ装置について説明する。図9は、参考例によるモードロックレーザ装置の構成を示す概略図である。
参考例によるモードロックレーザ装置は、波長の異なる2種類のパルスレーザビームを出力し得る2波長発振モードロック固体レーザ装置である。参考例によるモードロックレーザ装置は、平面ミラー82と、凹面ミラー81a〜81dと、レーザビーム95の光エネルギーの一部を出力として取り出すアウトプットカプラ(部分反射ミラー)89とを有しており、これらが相俟って共振器を構成している。また、参考例によるモードロックレーザ装置は、チタンサファイア結晶より成り、レーザビーム95に光エネルギーを与える利得媒体86と、利得媒体86を励起するための励起光源88と、モードロッカーとしての可飽和吸収体83とを備えている。また、参考例によるモードロックレーザ装置は、レーザビームを分割するプリズム(プリズム対)98a、98bと、レーザビームの中心波長を選択するダブルスリット99とを備えている。ダブルスリット99は2つの開口部、即ち、開口部99aと開口部99bとを有している。レーザビーム95は、プリズム98a、98bによってレーザビーム95aとレーザビーム95bとに分割される。ダブルスリット99の開口部99aはレーザビーム95aの光路上に位置しており、ダブルスリット99の開口部99bはレーザビーム95bの光路上に位置している。このため、レーザビーム95aはダブルスリット99の開口部99aを通過し、レーザビーム95bはダブルスリット99の開口部99bを通過する。即ち、プリズム98a、98bを通過したレーザビーム95は、ダブルスリット99の2つの開口部99a,99bによって、中心波長がλAのレーザビーム95aと中心波長がλBのレーザビーム95bとに分割される。
レーザビーム95は、ミラー82とアウトプットカプラ89との間で共振し、発振する。レーザビーム95aとレーザビーム95bとが共振する共振器長はほぼ等しいため、レーザビーム95aとレーザビーム95bのラウンドトリップ時間はほぼ等しくなる。よって、レーザビーム95aとレーザビーム95bとは、繰り返し周波数が等しいパルス列となる。レーザビーム95aの光軸とレーザビーム95bの光軸とは、プリズム98aとアウトプットカプラ89との間で一致している。このため、参考例によるモードロックレーザ装置では、中心波長λA、λBが互いに異なるパルスレーザビーム95a、95bを、光軸の一致したパルス列としてアウトプットカプラ89を介して出力することができる。
しかしながら、参考例によるモードロックレーザ装置では、出力されるパルスレーザビームの波長を必ずしも十分に広い波長域で可変し得なかった。以下、この点について説明する。
参考例によるモードロックレーザ装置には、上述したように、可飽和吸収体83が設けられている。可飽和吸収体83は、強度が低い入射光に対しては吸収体として働き、強度が高い入射光に対しては吸収体としての能力が飽和して透明体として働く物質である。このため、可飽和吸収体83は、高いピーク強度をもつパルスレーザビームが入射した場合にのみ開くゲートとして機能する。従って、可飽和吸収体83は、高いピーク強度をもつパルスレーザビームのみを共振器内で共振させるモードロッカーとして機能する。
参考例によるモードロックレーザ装置では、2種類の蛍光物質の混合物を用いた可飽和吸収体83が用いられている。かかる2種類の蛍光物質としては、HITCIとIR140とが用いられている。HITCIとIR140との混合物を用いた可飽和吸収体83の吸収スペクトル(吸収波長域、動作波長域)は、約750〜875nmである。従って、可飽和吸収体83の吸収波長域である約750〜875nmが、可飽和吸収体83がモードロッカーとして機能し得る動作波長域(動作範囲)となる。
参考例によるモードロックレーザ装置では、パルスレーザビーム95aの発振波長は、770〜790nmとなっており、パルスレーザビーム95bの発振波長は、840〜860nmとなっている。即ち、パルスレーザビーム95a、95bの発振波長は、可飽和吸収体83の吸収波長域内となっている。パルスレーザビーム95a、95bの発振波長が可飽和吸収体83の吸収波長域内となるのは、可飽和吸収体83の吸収波長域外においては可飽和吸収体83がモードロッカーとして機能し得ず、レーザビームをパルス状にし得ないためである。このように、参考例によるモードロックレーザ装置では、出力されるパルスレーザビーム95a、95bの発振波長は、可飽和吸収体83の吸収波長域によって制限されていた。
利得媒体86として用いられているチタンサファイア結晶の利得波長域は、約650〜1000nmである。即ち、利得媒体86の利得波長域は、可飽和吸収体83の吸収波長域に対して著しく広い。参考例によるモードロックレーザ装置では、出力されるパルスレーザビーム95a、95bの発振波長が可飽和吸収体83の吸収波長域内に制限されており、利得媒体86が有している広い利得波長域を十分に活用し得ていなかった。
可飽和吸収体の材料としては、蛍光物質の他に、半導体、カーボンナノチューブ、グラフェン等も提案されている。
しかし、これらの材料を可飽和吸収体83の材料として用いても、利得媒体86の利得波長域に匹敵するような広い吸収波長域は得られない。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるモードロックレーザ装置について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す概略図である。
本発明によるモードロックレーザ装置は、波長が互いに異なる2種類のパルスレーザビームを所定の繰り返し周期で射出する固体レーザ装置、即ち、2波長発振モードロック固体レーザ装置である。なお、本願明細書において、レーザビームの中心波長とは、レーザビームのスペクトルの半値幅の中心における波長を意味する。
本実施形態によるモードロックレーザ装置は、ミラー(凹面ミラー)1a〜1dと、ミラー(平面ミラー)2a、2bと、アウトプットカプラ9と、光路分岐機構5とを有しており、これらが相俟って共振器(光共振器)10を構成している。
部分透過ミラー(部分反射ミラー)より成るアウトプットカプラ9と高反射平面ミラーであるミラー2aとの間で第1のレーザビーム11aが往復するようになっている。ミラー2aは、第1のレーザビーム11aの光路の一端に位置している。また、部分透過ミラーより成るアウトプットカプラ9と高反射平面ミラーであるミラー2bとの間で第2のレーザビーム11bが往復するようになっている。ミラー2bは、第2のレーザビーム11bの光路の一端に位置している。第1のレーザビーム11aの中心波長(発振波長)λ1と第2のレーザビーム11bの中心波長(発振波長)λ2とは互いに異なっている。第1のレーザビーム11aの中心波長λ1は、例えば750nm程度とする。第2のレーザビーム11bの中心波長λ2は、例えば825nm〜975nmの範囲で可変し得る。アウトプットカプラ9は、第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bを反射する機能を有するとともに、第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bの一部を出力として取り出す機能をも有する。なお、本願明細書において、部分透過ミラーとは、レーザビームの発振波長において70%以上99%未満の反射率を有するミラーを意味し、高反射ミラーとはレーザビームの発振波長において99%以上の反射率を有するミラーを意味する。
光路分岐機構(光路分割機構)5は、第1のレーザビーム11aの光路と第2のレーザビーム11bとを異なる光路に分岐(分割)するものである。光路分岐機構5は、第1のレーザビーム11aの光路上及び第2のレーザビーム11bの光路上に配されている。光路分岐機構5とアウトプットカプラ9との間においては、第1のレーザビーム11aの光路(光軸)と第2のレーザビーム11bの光路(光軸)とは一致している。一方、光路分岐機構5とミラー2aとの間における第1のレーザビーム11aの光路(光軸)と、光路分岐機構5とミラー2bとの間における第2のレーザビーム11bの光路(光軸)とは、互いに異なっている。
アウトプットカプラ9から凹面ミラー1aに達する第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bが、凹面ミラー1a〜1dにより順次反射されて、光路分岐機構5に達するように、凹面ミラー1a〜1dが配されている。即ち、アウトプットカプラ9から凹面ミラー1aに達する第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bは、凹面ミラー1aにより反射され、更に凹面ミラー1bにより反射されて、凹面ミラー1cに達するようになっている。凹面ミラー1bから凹面ミラー1cに達する第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bは、凹面ミラー1cにより反射され、更に凹面ミラー1dにより反射されて、光路分岐機構5に達するようになっている。
中心波長がλ1の第1のレーザビーム11aは、ミラー2aと光路分岐機構5との間の光路上及び光路分岐機構5とアウトプットカプラ9との間の光路上を伝搬し、共振することができる。また、中心波長がλ2の第2のレーザビーム11bは、ミラー2bと光路分岐機構5との間の光路上及び光路分岐機構5とアウトプットカプラ9との間の光路上を伝搬し、共振することができる。光路分岐機構5により分岐された一方のレーザビームである第1のレーザビーム11aが伝搬する、光路分岐機構5とミラー2bとの間の光路12aを、第1の光路と称することとする。また、光路分岐機構5により分岐された他方のレーザビームである第2のレーザビーム11bが伝搬する、光路分岐機構5とミラー2bとの間の光路12bを、第2の光路と称することとする。また、第1のレーザビーム11aと第2のレーザビーム11bの両者が伝搬する光路分岐機構5とアウトプットカプラ9との間の光路12cを、第3の光路と称することとする。
ミラー2aとアウトプットカプラ9との間で往復する第1のレーザビーム11aの光路長と、ミラー2bとアウトプットカプラ9との間で往復する第2のレーザビーム11bの光路長とが一致するように、ミラー2a、2bの位置が調整されている。
第1の光路12a上、即ち、ミラー2aと光路分岐機構5との間における第1のレーザビーム11aの光路12a上には、可飽和吸収体3が配置されている。また、第3の光路12c上、即ち、アウトプットカプラ9と光路分岐機構5との間における第1のレーザビーム11a及び第2のレーザビーム11bの光路12c上には、利得媒体(利得媒質)6と、カーレンズ媒体(カーレンズ媒質)7とが配置されている。利得媒体6は、凹面ミラー1cと凹面ミラー1dとの間に位置している。カーレンズ媒体7は、凹面ミラー1aと凹面ミラー1bとの間に位置している。ここでカーレンズ媒体とは、3次の非線形効果により、その屈折率が光の強度に依存して変化する物質である。
また、第2の光路12b上、即ち、ミラー2bと光路分岐機構5との間における第2のレーザビーム11bの光路12b上には、第2のレーザビーム11bの中心波長λ2を調整するための波長可変機構4が配置されている。
第1の光路12a及び第3の光路12cにおいて共振するビーム11aは、励起光源8によって励起された利得媒体6により光エネルギーを受け取り、第1の光路12a上に位置する可飽和吸収体3により損失変調を受けて、パルス状のレーザビームとなる。第1のパルスレーザビーム11aのパルス幅は、例えば1ns以下となる。こうして生成されるパルス状のレーザビーム(第1のパルスレーザビーム、第1のレーザビーム)11aは、第3の光路12c上に位置するカーレンズ媒体7内を伝搬する際に、カーレンズ媒体7の屈折率を変調する。第1のレーザビーム11aがパルス状であるため、カーレンズ媒体7の屈折率は周期的に変調される。第1のレーザビーム11aがカーレンズ媒体7内を通過する際に生じる周期的な屈折率変化は、カーレンズ媒体7内を伝搬して共振するビーム11bのビーム径を周期的に変化させる。具体的には、以下のとおりである。利得媒体6から光エネルギーを受け取った光は、共振器10の中を各ミラーで反射されながら往復する。このような光の往復の際、ミラーにおける透過、ミラーでの散乱、他の光学部品での吸収等によって生じる光エネルギーの損失よりも、利得媒体6から受け取る光エネルギーの方が大きくなると、共振条件を満たし、レーザビームとなる。ここで、共振器10の環境揺らぎ(熱、振動、宇宙線など)により、偶発的にレーザビームがパルス状態(パルスレーザビーム)になると、パルスレーザビームがカーレンズ媒体7を周期的に通過する際に、カーレンズ媒体7の屈折率に変化が生じる。このカーレンズ媒体7の屈折率変化によって、カーレンズ媒体7は、周期的に焦点距離が変わるレンズして作用し、パルスレーザビームのビーム径を周期的に変化させる。このようなビーム径の周期的な変化は、共振器10におけるビームの散乱状態を周期的に変化させ、ビーム11bに周期的な損失をもたらす。このような状態に至ったパルスレーザビームは安定状態となり、以後、共振器10の内部でパルスレーザビームが共振状態となる。即ち、第2の光路12b及び第3の光路12cにおいて共振するビーム11bは、励起光源8によって励起された利得媒体6により光エネルギーを受け取り、第3の光路12c上に位置するカーレンズ媒体7より周期的に損失変調を受け、パルス状のレーザビームとなる。こうして生成されるパルス状のレーザビーム(第2のパルスレーザビーム、第2のレーザビーム)11bの中心波長λ2は、波長可変機構4により調整し得る。第2のパルスレーザビーム11bのパルス幅は、例えば1ns以下となる。
図2は、利得媒体の利得波長域と、可飽和吸収体の動作波長域と、第1のパルスレーザビームの中心波長λ1と、第2のパルスレーザビームの中心波長λ2との関係を示す模式図である。
第1のレーザビーム11aは、可飽和吸収体3を用いてパルス状にされるため、第1のレーザビーム11aの中心波長λ1は、可飽和吸収体3の動作波長域内に位置する。
一方、第2のレーザビーム11bは、可飽和吸収体3を用いることなく、上記のようにしてパルス状にされる。このため、第2のレーザビーム11bの中心波長λ2は、可飽和吸収体3の動作波長域内に制限されることはなく、利得媒体6の利得波長域内において任意に選択し得る。従って、本実施形態によれば、出力されるレーザビームを広い波長域で可変することができる。
このように、本実施形態によれば、可飽和吸収体3が、光路分岐機構5とミラー2aとの間における第1のレーザビーム11aの光路上に配されており、第2のレーザビーム11bの光路上には配されていない。第1のレーザビーム11aは可飽和吸収体3によってパルス状となる一方、第2のレーザビーム11bはパルス状となった第1のレーザビーム11aが引き起こすカーレンズ効果によってパルス状となる。このため、第2のレーザビーム11bは、可飽和吸収体3の動作波長域内に制限されない。従って、本実施形態によれば、出力されるレーザビームを広い波長域で可変し得るモードロックレーザ装置を提供することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるモードロックレーザ装置について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。図1及び図2に示す第1実施形態によるモードロックレーザ装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態は、第1実施形態において上述したモードロックレーザ装置のより具体的な態様を示している。
本実施形態では、利得媒体6として、例えばチタンサファイア結晶が用いられている。利得媒体6を励起する励起光源8としては、例えばYAGレーザの2倍高調波(波長532nm)を出力する励起光源が用いられている。利得媒体6の利得波長域は、例えば650〜1000nm程度となっている。
カーレンズ媒体7としては、例えばサファイア結晶板が用いられている。サファイア結晶板は、利得媒体6として用いられているチタンサファイア結晶の利得波長域である例えば650〜1000nmの波長域において高い透過率を示し、且つ、パルスレーザビーム11a、11bが入射した際に屈折率が変化する。従って、サファイア結晶板は、カーレンズ媒体として機能し得る。
パルスレーザビーム11a、11bの光路を分岐する光路分岐機構5は、プリズム(プリズム対)51a、51bとプリズムミラー52とにより構成されている。凹面ミラー1dにより反射された後にプリズム51aに入射される、互いに異なる波長のレーザビーム11a、11bは、プリズム51a、51bによって異なった角度に屈折された後、プリズムミラー52によって分岐される。本実施形態では、例えば波長が700nm以上、800nm未満の第1のレーザビーム11aは、プリズムミラー52によって第1の光路12aに導かれる。また、例えば波長が800nm以上、1000nm以下の第2のレーザビーム11bは、プリズムミラー52によって第2の光路12bに導かれる。
ミラー(平面ミラー)2bと、ミラー(凹面ミラー)1a〜1fと、アウトプットカプラ9と、光路分岐機構5とが相俟って、共振器10を構成している。ミラー1fは、第1の光路12aの一端に位置している。第1のレーザビーム11aは、光路分岐機構5により分岐された後に、ミラー1eにより反射され、ミラー1fに達するようになっている。ミラー2bは、第2の光路12bの一端に位置している。アウトプットカプラ9は、第3の光路の一端に位置している。共振器10内において共振するレーザビーム11a、11bの一部は、アウトプットカプラ9を介して、モードロックレーザ装置の外部に出力される。アウトプットカプラ9の反射率は、例えば80〜99%の範囲内であり、レーザビーム11a、11bの出力や発振閾値など、必要とされる仕様に応じて適宜選択し得る。
プリズム51a、51b、平面ミラー2b、凹面ミラー1a〜1f、及び、アウトプットカプラ9は、利得媒体6の利得波長域である例えば650〜1000nmの範囲において適切な光学部品として機能し得るように設計されている。
可飽和吸収体3としては、例えば、光強度に対してその透過率が変化する半導体可飽和吸収体が用いられている。カーレンズ媒体7が、光強度に依存する屈折率変化により周期的な損失を生じさせるのと同様に、半導体可飽和吸収体3はその透過率が光強度に依存することにより、パルスレーザビームに周期的な損失を生じさせる。かかる半導体可飽和吸収体は、例えば725〜775nmの波長域において、連続波(CW)レーザビームに対する透過率が約94%となり、パルスレーザビームに対する透過率が約99%となる。半導体可飽和吸収体としては、例えば、低温成長したInGaAs層、AlGaAs層、GaAs層、InGaAs層等が挙げられる。
第1の光路12a及び第3の光路12cにおいて共振するレーザビームは、可飽和吸収体3による周期的な損失によって、中心波長が例えば750nm程度のパルス状のレーザビーム、即ち、第1のパルスレーザビーム11aとなる。第1のパルスレーザビーム11aは、第3の光路12c上に配されたカーレンズ媒体7内を伝搬する際に、カーレンズ媒体7の屈折率を変調する。一方、第2の光路12b上には、レーザビームの共振波長を選択する波長可変機構4が配置されている。波長可変機構4としては、例えば可動スリット41が用いられている。光路分岐機構5によって第2の光路12bに導かれるレーザビームのうちから、例えば幅50nmのスペクトルのレーザビームが可動スリット41によって抽出される。可動スリット41を図3に示す矢印の方向に適宜移動させることによって、可動スリット41により抽出されるレーザビームの中心波長を、例えば825nm〜975nmの範囲内で可変することができる。可動スリット41を通過するレーザビーム11bは、第2の光路12b及び第3の光路12cにおいて共振する。こうして、第2の光路12b及び第3の光路12cにおいて、第2のレーザビーム11bがレーザ発振する。第1のパルスレーザビーム11aの伝搬によってカーレンズ媒体7内において生じる周期的な屈折率変化は、カーレンズ媒体7内を伝搬する第2のレーザビーム11bのビーム径を周期的に変化させる。第2のレーザビーム11bのビーム径の周期的な変化は、励起光と第2のレーザビーム11bとが利得媒体6内において重なり合う面積を変化させ、第2のレーザビーム11bに周期的な損失をもたらす。このような周期的な損失によって、第2のレーザビーム11bはパルス状のレーザビーム(第2のパルスレーザビーム)となる。第2のパルスレーザビーム11bの中心波長は、可動スリット41を適宜移動させることによって、例えば825nm〜975nmの波長域において調整することができる。
図4は、利得媒体の利得波長域と、可飽和吸収体の動作波長域と、第1のパルスレーザビームの中心波長λ1と、第2のパルスレーザビーム2の中心波長λ2との関係を示す模式図である。
本実施形態によるモードロックレーザ装置では、第1のレーザビーム11aは可飽和吸収体3によってパルス状となるため、第1のレーザビーム11aの中心波長λ1は、可飽和吸収体3の動作波長域内に制限される。一方、第2のレーザビーム11bはカーレンズ媒体7におけるカーレンズ効果によってパルス状となるため、可飽和吸収体3の動作波長域による制約を受けない。このため、本実施形態では、第2のレーザビーム11bの発振波長λ2は、利得媒体6の利得波長域内で任意に選択することができる。このため、本実施形態によれば、出力されるレーザビームを広い波長域で可変し得るモードロックレーザ装置を提供することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるモードロックレーザ装置について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。図1乃至図4に示す第1及び第2実施形態によるモードロックレーザ装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態によるモードロックレーザ装置は、回折格子(回折格子対)53a、53bとプリズムミラー52とにより光路分岐機構5aが構成されているものである。
ミラー(平面ミラー)2bと、ミラー(凹面ミラー)1a〜1fと、アウトプットカプラ9と、光路分岐機構5aとが相俟って、共振器10を構成している。
利得媒体6、可飽和吸収体3、カーレンズ媒体7、ミラー2b、アウトプットカプラ9、及び、凹面ミラー1a〜1fは、第2実施形態と同様に配置されており、第2実施形態と同様に機能する。
回折格子53a、53bによって分離される2つのレーザビーム間の角度(分離角)は、プリズム51a、51bを用いて分離される2つのレーザビーム間の角度(分離角)よりも大きい。従って、回折格子53a、53bとプリズムミラー52とを用いて光路分岐機構5aを構成した場合には、回折格子53aと回折格子53bとの間の距離Lを短くすることができる。このため、本実施形態によれば、モードロックレーザ装置の小型化を実現することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態によるモードロックレーザ装置について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。図1乃至図5に示す第1乃至第3実施形態によるモードロックレーザ装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態によるモードロックレーザ装置は、波長が互いに異なる3種類のパルスレーザビームを所定の繰り返し周期で射出する固体レーザ装置、即ち、3波長発振モードロック固体レーザ装置である。
本実施形態では、回折格子53a〜53dとプリズムミラー52とにより光路分岐機構5bが構成されている。ミラー(平面ミラー)2bと、ミラー(凹面ミラー)1a〜1fと、アウトプットカプラ9と、光路分岐機構5bとが相俟って、共振器10を構成している。
平面ミラー2b、アウトプットカプラ9、及び、凹面ミラー1a〜1fは、第2実施形態と同様に配置されており、第2実施形態と同様に機能する。
本実施形態では、光路分岐機構5bに到達するレーザビームの光路が、回折格子53a、53b及びプリズムミラー52によって2つに分岐される。回折格子53a、53b及びプリズムミラー52によって分岐される2つのレーザビームのうちの一方である第1のレーザビーム11aは、第1の光路12aに導かれる。回折格子53a、53b及びプリズムミラー52によって分岐される2つのレーザビームのうちの他方は、回折格子53c、53dによって更に2つに分岐される。即ち、プリズムミラー52から回折格子53cに到達するレーザビームは、回折格子53c、53dによって、第2の光路12bと第4の光路12dとに更に分岐される。回折格子53c、53dによって分岐される2つのレーザビームのうちの一方である第2のレーザビーム11bは、第2の光路12bに導かれる。回折格子53c、53dによって分岐される2つのレーザビームのうちの他方である第3のレーザビーム11cは、第4の光路12dに導かれる。ミラー2bは、第2の光路12b及び第4の光路12dの一端に位置している。
可飽和吸収体3は、第1のレーザビーム11aが伝搬する第1の光路12a上に位置している一方、第2のレーザビーム11bが伝搬する第2の光路12b上及び第3のレーザビーム11cが伝搬する第4の光路12d上には位置していない。
第2のレーザビーム11bが伝搬する第2の光路12b上及び第3のレーザビーム11cが伝搬する第4の光路12d上には、波長可変機構4aが配置されている。波長可変機構4aとしては、例えば2つの開口部41a、41bを有する可動スリット41が用いられている。中心波長がλ2の第2のレーザビーム11bと中心波長がλ3の第3のレーザビーム11cとが可動スリット41により抽出される。回折格子53c、53dによって分岐された2つのレーザビームのうちの一方、即ち、第2のレーザビーム11bは、第2の光路12b上を伝搬する。
利得媒体6及びカーレンズ媒体7は、第1のレーザビーム11a、第2のレーザビーム11b及び第3のレーザビーム11cのいずれもが伝搬する第3の光路12c上に配置されている。
第1のレーザビーム11a、第2のレーザビーム11b、及び、第3のレーザビーム11cは、共振器10内において共振し得る。平面ミラー2b、アウトプットカプラ9、及び、凹面ミラー1a〜1fの位置は、共振器10内におけるレーザビーム11a、11b、11cの光路長が互いに一致するように調整されている。
レーザビーム11a、11b、11cは、共振器10内において共振し、利得媒体6においてエネルギーを受け取り、発振する。第1のレーザビーム11aは、第1の光路12aに配置された可飽和吸収体3によってパルス状となる。第1のパルスレーザビーム11aのパルス幅は、例えば1ns以下となる。第1のパルスビーム11aは、第3の光路12c上に配置されたカーレンズ媒体7の屈折率を周期的に変調し、カーレンズ媒体7内を通過する第2のレーザビーム11b及び第3のレーザビーム11cに周期的な損失をもたらす。このため、第2のレーザビーム11b及び第3のレーザビーム11cは、モードロック過程によって、パルス状となる。第2のパルスレーザビーム11bのパルス幅は、例えば1ns以下となる。また、第3のパルスレーザビーム11cのパルス幅は、例えば1ns以下となる。パルス状のレーザビーム11a、11b、11cの一部は、アウトプットカプラ9を介して、モードロックレーザ装置の外部に出力される。
このように、レーザビームを3つに分岐するようにしてもよい。そして、上述したように、分岐された3つのレーザビームのうちの1つである第1のレーザビーム11aが伝搬する第1の光路1に可飽和吸収体3を配置すればよい。また、3つのレーザビーム11a〜11cの全てが伝搬する第3の光路12c上に、利得媒体6やカーレンズ媒体7等を配置すればよい。本実施形態によれば、中心波長が互いに異なる3種類のパルスレーザビーム11a〜11cを射出し得るモードロックレーザ装置を提供することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態によるモードロックレーザ装置について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態によるモードロックレーザ装置の構成を示す図である。図1乃至図6に示す第1乃至第4実施形態によるモードロックレーザ装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態によるモードロックレーザ装置は、利得媒体6が、カーレンズ媒体を兼ねるものである。利得媒体6として用いられているチタンサファイア結晶は、サファイア結晶にチタンをドープしたものであるため、サファイア基板と同様にカーレンズ効果を奏する。このため、チタンサファイア結晶より成る利得媒体6は、利得媒体として機能するとともに、カーレンズ媒体としても機能し得る。利得媒体6は、凹面レンズ1aと凹面レンズ1dとにより構成される内部共振器62内に配置されている。
また、本実施形態によるモードロックレーザ装置は、ミラーと可飽和吸収体とが一体化されているものである。本実施形態では、第1の光路12aの一端に、可飽和吸収体としての機能とミラーとしての機能とを兼ね備える光学素子3aが配されている。かかる光学素子3aとしては、例えば半導体可飽和吸収体ミラー36が用いられている。半導体可飽和吸収ミラー36は、例えば725〜775nmの波長域において、CWに対して反射率が約94%となり、パルスレーザビームに対して反射率が約99%となる可飽和吸収体として機能するとともに、ミラーとしても機能する。このように、本実施形態では、ミラーと一体化された可飽和吸収体36が第1の光路12aの一端に配されている。
このように、利得媒体6がカーレンズ媒体を兼ねていてもよい。また、レンズと可飽和吸収体とが一体化された光学素子3aを用いてもよい。本実施形態によれば、光学素子の数を低減し得るため、小型化や低コスト化等に寄与することができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による計測装置について図8を用いて説明する。図8は、本実施形態による計測装置の構成を示す図である。図1乃至図7に示す第1乃至第5実施形態によるモードロックレーザ装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態による計測装置(測定装置)は、第1乃至第5実施形態のいずれかによるモードロックレーザ装置が光源部150に用いられている計測装置(非線形光学計測装置)である。ここでは、本実施形態による計測装置が誘導ラマン散乱顕微鏡である場合を例に説明するが、誘導ラマン散乱顕微鏡に限定されるものではない。第1乃至第5実施形態において上述したモードロックレーザ装置は、様々な計測装置に適宜用いることができる。
光源部150からは、ポンプ光(励起光)Pとストークス光Sとが射出されるようになっている。ポンプ光Pの中心波長はλである。ストークス光Sの中心波長は、ポンプ光の中心波長λと異なるλである。ポンプ光Pは、例えば、第1乃至第5実施形態において上述した第1のレーザビーム11aに対応している。ストークス光Sは、例えば、第1乃至第5実施形態において上述した第2のレーザビーム11bに対応している。ポンプ光Pの光軸とストークス光Sの光軸とは、一致している。このように、ポンプ光Pである第1のレーザビーム11aとストークス光Sである第2のレーザビーム11bとを含む出力光が、光源部150から出力されるようになっている。
光源部150から射出されたポンプ光P及びストークス光Sは、集光光学系154で集光されて被検体155に照射される。集光点においては、ポンプ光Pとストークス光Sとによって、被検体155を構成する分子の分子振動に基づく誘導ラマン散乱が生じる。誘導ラマン散乱が生じると、ポンプ光Pの強度及びストローク光Sの強度がそれぞれ変化する。
被検体155を通過したポンプ光P及びストークス光Sは、集光光学系156により集光され、バンドパスフィルタ157に入射される。バンドパスフィルタ157は、ポンプ光Pの波長域の光を透過させるものである。ポンプ光Pは、バンドパスフィルタ157を通過し、信号光として受光素子158により受光される。
受光素子158により取得された情報は、情報取得部159に入力されるようになっている。情報取得部159は、受光素子158により取得された情報に基づいて、画像情報を生成する。
受光素子158と情報取得部159とは、本実施形態による計測装置の検出部の一部を構成している。
情報取得部159により生成された画像情報は、必要に応じて表示部160を用いて表示される。
なお、光源部150から出力されるポンプ光P及びストークス光Sを、図示しない走査手段を用いて走査するようにしてもよい。集光点を適宜走査することにより、被検体155の二次元情報や三次元情報を取得することができる。
このように、本実施形態では、第1乃至第5実施形態のいずれかによるモードロックレーザ装置が光源150として用いられている。第1乃至第5実施形態によるモードロックレーザ装置では、上述したように、光源部150から出力されるレーザビームを広い波長域において可変し得る。このため、本実施形態では、ポンプ光Pの中心波長λpとストークス光Sの中心波長λsとの差を、十分に大きくすることができる。誘導ラマン散乱顕微鏡では、レーザビームの波長λp、λsの逆数の差(1/λp−1/λs)に応じて、さまざまな分子運動の情報を取得することができる。本実施形態によれば、レーザビームの波長λp、λsの逆数の差(1/λp−1/λs)を大きく変化させて測定することが可能であるため、被検体についての豊富な情報を取得することができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、利得媒体6としてチタンサファイア結晶を用いる場合を例に説明したが、利得媒体6はチタンサファイア結晶に限定されるものではない。例えば、利得媒体6として、アレキサンドライト結晶(Cr3+:BeAL)、Cr4+:MgSiO、Tm3+:YAG、又は、Cr:LiSrAlF等を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1のレーザビーム11aの中心波長λ1を750nm程度とする場合を例に説明したが、第1のレーザビーム11aの中心波長λ1は750nmに限定されるものではなく、適宜設定し得る。
また、上記実施形態では、第2のレーザビーム11bの中心波長λ2の可変範囲が825nm〜975nmである場合を例に説明したが、第2のレーザビーム11bの中心波長λ2の可変範囲はこれに限定されるものではなく、適宜設定し得る。
また、上記実施形態では、波長が互いに異なる2種類又は3種類のレーザビームを出力するモードロックレーザ装置を例に説明したが、出力されるレーザビームの波長の種類は2種類又は3種類に限定されるものではなく、4種類以上であってもよい。
1a〜1f、81a〜81d…凹面ミラー
2a、2b、82…平面ミラー
3、3a、83…可飽和吸収体
4…波長可変機構
5、5a、5b…光路分岐機構
6、86…利得媒体
7…カーレンズ媒体
8、88…励起光源
9、89…アウトプットカプラ
98a、98b、51a、51b…プリズム
52…プリズムミラー
99…スリット
41…可動スリット
53a、53b…回折格子
62…内部共振器
36…半導体可飽和吸収ミラー

Claims (8)

  1. 第1のミラーと、
    第2のミラーと、
    アウトプットカプラと、
    前記第1のミラーと前記アウトプットカプラとの間で往復する第1のレーザビームの光路上に位置するとともに、前記第2のミラーと前記アウトプットカプラとの間で往復する、前記第1のレーザビームの中心波長と異なる中心波長の第2のレーザビームの光路上に位置する利得媒体と、
    前記利得媒体を励起するための励起光源と、
    前記第1のレーザビームの前記光路上及び前記第2のレーザビームの前記光路上に配され、前記第1のレーザビームの前記光路と前記第2のレーザビームの前記光路とを分岐する光路分岐機構であって、前記アウトプットカプラと前記光路分岐機構との間においては、前記第1のレーザビームの前記光路と前記第2のレーザビームの前記光路とは一致しており、前記光路分岐機構と前記第1のミラーとの間における前記第1のレーザビームの前記光路と前記光路分岐機構と前記第2のミラーとの間における前記第2のレーザビームの前記光路とは互いに異なっている、光路分岐機構と、
    前記光路分岐機構と前記第1のミラーとの間における前記第1のレーザビームの前記光路上に配された、又は、前記第1のミラーと一体化された可飽和吸収体と、
    前記光路分岐機構と前記第2のミラーとの間における前記第2のレーザビームの前記光路上に配され、前記第2のレーザビームの波長を可変にする波長可変機構と
    を有することを特徴とするモードロックレーザ装置。
  2. 前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームの光路上に位置するカーレンズ媒体を更に有することを特徴とする請求項1記載のモードロックレーザ装置。
  3. 前記アウトプットカプラを介して出力される前記第1のレーザビーム及び前記第2のレーザビームのパルス幅は、1ns以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のモードロックレーザ装置。
  4. 前記利得媒体は、チタンサファイア結晶、アレキサンドライト結晶、Cr4+:MgSiO、Tm3+:YAG、又は、Cr:LiSrAlFを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモードロックレーザ装置。
  5. 前記光路分岐機構は、プリズムとプリズムミラーとを含む、又は、回折格子とプリズムミラーとを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモードロックレーザ装置。
  6. 前記波長可変機構は、可動スリットを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモードロックレーザ装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモードロックレーザ装置を含み、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとを含む出力光を射出する光源部と、
    前記出力光を集光して被検体に照射する集光光学系と、
    前記被検体を通過した前記第1のレーザビームを検出する検出部と
    を有することを特徴とする計測装置。
  8. 前記計測装置は、前記被検体で生じる誘導ラマン散乱を前記検出部により検出する誘導ラマン散乱顕微鏡であることを特徴とする請求項7記載の計測装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018142403A (ja) * 2017-02-24 2018-09-13 国立大学法人名古屋大学 レーザー装置およびその制御方法、質量分析装置

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