発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係るアクチュエータ1の断面図である。
アクチュエータ1は、軸部材10と、第一の転がり軸受部61と、第二の転がり軸受部62と、内輪間座51と、外輪駆動部材40と、を有する。
軸部材10は、一方向に延びる棒状の部材である。軸部材10は、中実状の部材でもよく、中空状の部材でもよい。軸部材10としては、例えば、外周面にねじ溝が形成されたボールねじ軸などのねじ軸や、内部に液体または気体の流通路が形成された中空管などを用いることができる。以下、軸部材10の中心軸AXと平行な方向を「軸方向」という。
第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62は、軸部材10を支持する。第一の転がり軸受部61は、単一の転がり軸受20によって構成されている。第二の転がり軸受部62は、単一の転がり軸受30によって構成されている。本実施形態では、第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62は、それぞれ一つの転がり軸受によって構成されているが、第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62をそれぞれ構成する転がり軸受の数は一つに限定されない。第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62は、それぞれ一つまたは複数の転がり軸受によって構成されることができる。
転がり軸受20と転がり軸受30は、例えば、アンギュラ玉軸受である。転がり軸受20と転がり軸受30は、正面組み合わせ(DF組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。転がり軸受20は、内輪21と、外輪22と、転動体23と、を有する。転がり軸受30は、内輪31と、外輪32と、転動体33と、を有する。内輪21および内輪31の内周面は、軸部材10の外周面に嵌合している。
内輪21と内輪31との間には内輪間座51が設けられている。内輪間座51は、内輪21および内輪31と略同じ外径および内径を有する。内輪間座51の内周面は、軸部材10の外周面と嵌合している。第二の転がり軸受部62は、第一の転がり軸受部61および内輪間座51を介して軸部材10の軸方向に隣接する。外輪22と外輪32との間には、内輪間座51に対応する大きさの隙間59が形成されている。
内輪31の内輪間座51側とは反対側には、内輪スペーサ52が設けられている。内輪スペーサ52は、内輪31と略同じ外径および内径を有する。内輪スペーサ52の内周面は、軸部材10の外周面と嵌合している。
内輪21、内輪間座51、内輪31および内輪スペーサ52は、第一の固定具54と第二の固定具55との間に挟み込まれ、それぞれの軸方向の位置が固定されている。第一の固定具54は、内輪21の内輪間座51側とは反対側の側面と接して内輪21の軸方向の移動を規制する。第二の固定具55は、内輪スペーサ52の内輪31側とは反対側の側面と接して内輪スペーサ52の軸方向の移動を規制する。第一の固定具54は、内輪21と略同じ外径および内径を有する。第一の固定具54は、軸部材10の外径を部分的に大きくすることにより形成されている。第二の固定具55は、内輪スペーサ52と略同じ外径を有する。第二の固定具55は、軸部材10とは別体に形成されており、第二の固定具55の内周面は軸部材10の外周面と嵌合している。
外輪32の外輪22側とは反対側には、外輪スペーサ53が設けられている。外輪スペーサ53は、第一の円筒部53aと、第二の円筒部53bと、を有する。第二の円筒部53bは、第一の円筒部53aの内周面から軸部材10側に突出する。第一の円筒部53aは、外輪32と略同じ外径および内径を有する。第一の円筒部53aの内径は、第二の固定具55の外径よりも大きい。第二の円筒部53bは、第一の円筒部53aの外輪32側とは反対側の端部に設けられている。第二の円筒部53bの内径は軸部材10の外径よりも大きい。第二の円筒部53bは、第二の固定具55から軸方向に離間した位置に設けられている。第二の固定具55は、第一の円筒部53aと第二円筒部53bとに囲まれた空間に収容されている。
外輪スペーサ53の外輪32側とは反対側には、外輪駆動部材40が設けられている。外輪駆動部材40は、例えば、外部から印加される電圧に応じて軸方向に伸縮して第二の転がり軸受部62の外輪32に軸方向の力を作用させる圧電素子である。外輪駆動部材40は、蓋部材57に対して軸方向の位置が固定されたハウジング56の第二の円筒部56bと、外輪スペーサ53の外輪32とに挟まれている。このため、外輪駆動部材40が軸方向に伸縮すると、外輪駆動部材40は外輪スペーサ53を介して第二の転がり軸受部62の外輪32を第一の転がり軸受部61の外輪22に近づく方向または遠ざかる方向に変位させる。外輪駆動部材40は、円筒形状を有する。外輪駆動部材40の内径は第二の円筒部53bの内径よりも大きく、外輪駆動部材40の外径は、第一の円筒部53aの外径よりも小さい。外輪駆動部材40は、第二の円筒部材53bの側面と接している。
外輪22、外輪32および外輪スペーサ53の外周面は、ハウジング56の内周面に嵌合している。ハウジング56は、外輪22、外輪32および外輪スペーサ53の外周面と接する第一の円筒部56aと、第一の円筒部56aの内周面から軸部材10側に突出する第二の円筒部56bと、を有する。第二の円筒部56bは、外輪駆動部材40の外輪スペーサ53側とは反対側に設けられている。外輪駆動部材40は、第二の円筒部56bの側面と接している。第二の円筒部56bの内径は軸部材10の外径よりも大きい。外輪駆動部材40の外径は、第一の円筒部56aの内径よりも小さい。外輪駆動部材40の外周面と第一の円筒部56aの内周面との間には隙間が形成されている。
外輪22の外輪32側とは反対側には、蓋部材57が設けられている。蓋部材57の内径は、第一の固定具54の外径よりも大きく、外輪22の内径と略同じである。蓋部材57の外径は、第一の円筒部56aの外径とほぼ同じである。蓋部材57は、第一の円筒部56aの側面にボルトなどにより固定されている。蓋部材57は、外輪22の側面と接して外輪22の軸方向の移動を規制する。外輪22、外輪32、外輪スペーサ53および外輪駆動部材40は、蓋部材57と第二の円筒部56bとの間に挟み込まれている。
第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62とは、外輪駆動部材40を駆動しない状態で、蓋部材57と第二の円筒部56bによって互いに近づく方向に加圧されている。第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62は、この加圧力によって予圧が付与された状態となる。第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62は、蓋部材57とハウジング56によって囲まれた空間に収容されている。
第二の転がり軸受部62は、第一の転がり軸受部61と異なる剛性を有する。後述するように、第一の転がり軸受部61の剛性と第二の転がり軸受部62の剛性とを異ならせることにより、軸部材10の変位量のレンジを容易に変更することが可能となる。例えば、第一の転がり軸受部61の剛性は、第二の転がり軸受部62の剛性よりも大きい。これにより、軸部材10の変位量が大きくなり、軸部材10の変位量のレンジが拡がる。以下、図2ないし図7を用いて、この点を詳しく説明する。
図2および図3は、転がり軸受部の剛性の定義を説明する図である。図2は、転がり軸受部RB1が一つの転がり軸受によって構成される例を示す図である。図3は、転がり軸受部RB2が複数(図3では例えば二つ)の転がり軸受によって構成される例を示す図である。
図2は、外輪ORに軸方向の力F0を作用させて外輪ORを内輪IRに対して軸方向にX0だけ相対変位させた状態を示す。転動体Bは、外輪ORの内周面に設けられた軌道面ORaと、内輪IRの外周面に設けられた軌道面IRaと、に接する。外輪ORを軸方向に変位させると、転動体Bも外輪ORの変位に追随して軸方向に変位する。しかし、転動体Bと軌道面ORaおよび軌道面IRaとの間で反力が生じるため、この反力と力F0とが釣り合う位置で転動体Bおよび外輪ORが停止する。力F0を取り除くと、反力によって転動体Bおよび外輪ORは元の位置に戻る。
このように、転がり軸受部RB1は、軸方向の力F0を加えると、あたかも弾性体のような振る舞いをする。そのため、本実施形態では、外輪ORと内輪IRとが軸方向に相対変位することを「弾性変形」といい、この相対変位量を「変形量」といい、転がり軸受部RB1に発生する反力を「弾性力」といい、単位変形量あたりの力(転がり軸受部RB1に作用させる軸方向の力:せん断力)の大きさを「剛性」という。図2の例では、力F0を相対変位量X0で除算した値F0/X0が転がり軸受部RB1の剛性である。転がり軸受部の剛性とは、外輪と内輪とを軸方向に相対変位させる場合の相対変位のし難さを意味する。2つの転がり軸受部の剛性を比較する場合、外輪及び内輪のうちの一方を固定し、他方に一定の荷重(軸方向の力)を加えて外輪と内輪とを軸方向に相対変位した変化が小さい方を剛性が大きい方の転がり軸受部とする。
図3は、複数の転がり軸受が、一体に弾性変形した状態を示す。図3の例では、複数の転がり軸受に含まれる複数の外輪(外輪OR1、外輪OR2)が、一体となって一つの外輪ORを構成し、複数の転がり軸受に含まれる複数の内輪(内輪IR1、内輪IR2)が、一体となって一つの内輪IRを構成する。それぞれの転がり軸受において、転動体(転動体B1、転動体B2)に作用する反力は異なる場合があるが、その場合も、転がり軸受部RB2の剛性は、単位変形量(外輪ORと内輪IRとの相対変位量)あたりの力(転がり軸受部RB2に作用させる軸方向の力:せん断力)の大きさとして定義される。
剛性は、転がり軸受部の接触角や転がり軸受部を構成する転がり軸受の数によって変化する。接触角は、図2に示すように、軸部材の中心軸を含む断面において、転動体Bが内輪IRの軌道面IRaと接触する第一の点C1と、転動体Bが外輪ORの軌道面ORaと接触する第二の点C2と、を結ぶ直線が、軸部材の中心軸と直交する直線に対してなす角度θである。
剛性は、接触角θが大きいほど大きい。剛性は、転がり軸受部を構成する転がり軸受の数が多いほど大きい。よって、第二の転がり軸受部62の接触角を第一の転がり軸受部61の接触角と異ならせることにより、第二の転がり軸受部62の剛性を第一の転がり軸受部61の剛性と異ならせることができる。また、第二の転がり軸受部62を構成する転がり軸受の数を第一の転がり軸受部61を構成する転がり軸受の数と異ならせることにより、第二の転がり軸受部62の剛性を第一の転がり軸受部61の剛性と異ならせることができる。
本実施形態では、例えば、第二の転がり軸受部62の剛性は、第一の転がり軸受部61の剛性よりも大きい。そのため、第二の転がり軸受部62の外輪32を外輪駆動部材40によって変位させたときに、第一の転がり軸受部61は第二の転がり軸受部62よりも大きく弾性変形する。よって、軸部材10の変位量が大きくなり、軸部材10を効率よく変位させることができる。
本実施形態では、例えば、第二の転がり軸受部62の接触角は、第一の転がり軸受部61の接触角よりも大きい。第一の転がり軸受部61の接触角は、例えば、15°(C)であり、第二の転がり軸受部62の接触角は、例えば、40°(B)である。括弧内のBとCは、接触角記号を示している。この構成によれば、第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62との剛性比は、1:2となる。
図4は、外輪駆動部材40(図1参照)によって外輪32を駆動しない初期状態を示している。第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62との間には予圧が付与され、予圧によって、内輪21、内輪間座51および内輪31が隙間なく密着した状態となっている。初期状態では、外輪22と外輪32との間の隙間59の大きさはWである。
図5に示すように、外輪駆動部材40(図1参照)が外輪32に軸方向の力Fを加えると、外輪32は軸方向に2X(<W)だけ変位する。外輪22の軸方向の位置は蓋部材57(図1参照)によって固定されている。そのため、外輪22と外輪32との間の隙間59の大きさは2Xだけ小さくなる。外輪32が内輪31に対して軸方向に相対変位することにより、第二の転がり軸受部62が弾性変形する。第二の転がり軸受部62に生じた弾性力F1は、内輪間座51を介して第一の転がり軸受部61の内輪21に作用する。
図6に示すように、外輪22の軸方向の位置は蓋部材57(図1参照)によって固定されている。そのため、内輪21は外輪22に対して軸方向に相対変位し、第一の転がり軸受部61は弾性変形する。内輪21には、弾性力F1とは反対の向きに弾性力が働く。第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62の双方に弾性変形が生じ、それぞれの弾性力が釣り合う位置まで軸部材10が変位する。その結果、内輪21は外輪22に対してX1だけ軸方向に相対変位した位置で停止し、内輪31は外輪32に対してX2だけ軸方向に相対変位した位置で停止する。内輪21と内輪31には、それぞれ同じ大きさの弾性力F2が互いに反対向きに作用している。
本実施形態では、第一の転がり軸受部62の剛性は第一の転がり軸受部61の剛性よりも大きい。そのため、第一の転がり軸受部61の変形量X1は、第二の転がり軸受部62の変形量X2よりも大きい。第一の転がり軸受部61の外輪22の位置は、第二の転がり軸受部62の外輪32を変位させる前と後とで変化しない。そのため、軸部材10の変位量は、第一の転がり軸受部61の変形量X1と一致する。外輪駆動部材40(図1参照)によって外輪32に加えられた変位量2Xは、第一の転がり軸受部61の変形量X1と第二の転がり軸受部62の変形量X2との和に等しい(2X=X1+X2)。そのため、外輪駆動部材40によって外輪32に加えられた変位量2Xを軸部材10の変位量に効率よく変換することができる。
例えば、図7に示すように、第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62の接触角をそれぞれ15°(C)とし、第一の転がり軸受部61および第二の転がり軸受部62の剛性を互いに等しくした場合を考える。この場合、第一の転がり軸受部61の変形量Xと第二の転がり軸受部62の変形量Xは互いに等しくなる。よって、軸部材10の変位量は、外輪駆動部材40によって外輪32に加えられた変位量2Xの半分となり、軸部材10を効率よく変位させることができない。一方、図6に示すように、第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62との接触角を異ならせて、第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62との剛性比を1:2とした場合には、軸部材10の変位量は、外輪駆動部材40によって外輪32に加えられた変位量2Xの2/3となり、図7の例よりも16%も軸部材10の変位量が大きくなる。
以上のように、本実施形態のアクチュエータ1では、第二の転がり軸受部62の剛性が第一の転がり軸受部61の剛性よりも大きい。そのため、外輪駆動部材40によって第二の転がり軸受部62の外輪32を軸方向に変位させたときに、第一の転がり軸受部61が第二の転がり軸受部62よりも大きく弾性変形する。外輪駆動部材40によって外輪32に加えられた変位量2Xは軸部材10の変位量に効率よく変換され、軸部材10は大きく変位する。よって、軸部材10の変位量のレンジを拡げることが可能となる。
本実施形態では、第一の転がり軸受部61の剛性を、第二の転がり軸受部62の剛性よりも大きくしたが、第二の転がり軸受部62の剛性を、第一の転がり軸受部61の剛性よりも小さくすることもできる。この場合、第一の転がり軸受部61の変形量は第二の転がり軸受部62の変形量よりも小さくなる。軸部材10の変位量は第一の転がり軸受部61の変形量と一致するため、軸部材10の変位量は小さくなる。この場合、軸部材10の変位量が微細に制御されるため、位置決めの分解能が高まる。
[第二の実施形態]
図8は、本発明の第二の実施形態に係るアクチュエータ2の断面図である。
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、第二の転がり軸受部64を構成する転がり軸受の数と、第一の転がり軸受部63および第二の転がり軸受部64を構成する各々の転がり軸受の接触角である。そのため、以下では、その相違点を中心に説明する。また、本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第二の転がり軸受部64を構成する転がり軸受の数は、第一の転がり軸受部63を構成する転がり軸受の数よりも多い。本実施形態では、第一の転がり軸受部63は、例えば、一つの転がり軸受24によって構成されている。第二の転がり軸受部64は、例えば、二つの転がり軸受(転がり軸受70、転がり軸受74)によって構成されている。二つの転がり軸受(転がり軸受70、転がり軸受74)は、外輪どうしおよび内輪どうしが互いに密着しており、互いに一体に弾性変形する。
転がり軸受24と転がり軸受70と転がり軸受74は、例えば、アンギュラ玉軸受である。軸部材10には、転がり軸受24、転がり軸受70および転がり軸受74が軸方向にこの順に並んでいる。内輪間座51は、転がり軸受24と転がり軸受70との間に配置されている。転がり軸受24と転がり軸受70は、正面組み合わせ(DF組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。転がり軸受70と転がり軸受74は、並列組み合わせ(DT組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。
転がり軸受24は、内輪25と、外輪26と、転動体27と、を有する。転がり軸受70は、内輪71と、外輪72と、転動体73と、を有する。転がり軸受74は、内輪75と、外輪76と、転動体77と、を有する。転がり軸受24と転がり軸受70と転がり軸受74の接触角は、いずれも25°(A5)である。第一の転がり軸受部63と第二の転がり軸受部64との剛性比は、1:2である。
本実施形態のアクチュエータ2でも、第二の転がり軸受部64の剛性は第一の転がり軸受部63の剛性よりも大きい。そのため、第二の転がり軸受部64の外輪(外輪72、外輪76)を軸方向に変位させたときに、第一の転がり軸受部63が第二の転がり軸受部64よりも大きく弾性変形する。よって、軸部材10を効率よく変位させることができる。
[第三の実施形態]
図9は、本発明の第三の実施形態に係るアクチュエータ3の断面図である。
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、第一の転がり軸受部65を構成する転がり軸受の数と、第一の転がり軸受部65を構成する各々の転がり軸受の接触角と、ハウジング99の構成である。そのため、以下では、その相違点を中心に説明する。また、本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第一の転がり軸受部65を構成する転がり軸受の数は、第二の転がり軸受部62を構成する転がり軸受の数よりも多い。本実施形態では、第一の転がり軸受部65は、例えば、二つの転がり軸受(転がり軸受20、転がり軸受80)によって構成されている。第二の転がり軸受部62は、例えば、一つの転がり軸受30によって構成されている。二つの転がり軸受(転がり軸受20、転がり軸受80)は、外輪どうしおよび内輪どうしが互いに密着しており、互いに一体に弾性変形する。
転がり軸受80は、例えば、アンギュラ玉軸受である。軸部材10には、転がり軸受20、転がり軸受80および転がり軸受30が軸方向にこの順に並んでいる。内輪間座51は、転がり軸受80と転がり軸受30との間に配置されている。転がり軸受20と転がり軸受80は、正面組み合わせ(DF組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。転がり軸受80と転がり軸受30は、並列組み合わせ(DT組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。
転がり軸受80は、内輪81と、外輪82と、転動体83と、を有する。転がり軸受20と転がり軸受80の接触角は、いずれも15°(C)である。転がり軸受30の接触角は、40°(B)である。第二の転がり軸受部62を構成する転がり軸受の数は、第一の転がり軸受部65を構成する転がり軸受の数よりも少ない。しかし、第一の転がり軸受部65を構成する各々の転がり軸受の接触角が小さいので、第一の転がり軸受部65の全体としての剛性は、第二の転がり軸受部62の剛性よりも小さい。
ハウジング99は、第一のハウジング部90と、第二のハウジング部93と、を有する。第一のハウジング部90は、外輪22、外輪82および外輪32の外周面と嵌合する第一の円筒部91と、第一の円筒部91の内周面から軸部材10側に突出する第二の円筒部92と、を有する。第二の円筒部92は、外輪82と外輪32との間に設けられている。外輪82は、第二の円筒部92の側面と接している。第二の円筒部92の内径は内輪間座51の外径よりも大きい。第二の円筒部92の軸方向の厚みは内輪間座51の軸方向の厚みよりも薄い。外輪32と第二の円筒部92との間に隙間59が形成されている。
第二のハウジング部93は、外輪スペーサ53の外周面と嵌合する第一の円筒部94と、第一の円筒部94の内周面から軸部材10側に突出する第二の円筒部95と、を有する。第二の円筒部95は、外輪駆動部材40の外輪スペーサ53側とは反対側に設けられている。外輪駆動部材40は、第二の円筒部95の側面と接している。第二の円筒部95の内径は軸部材10の外径よりも大きい。外輪駆動部材40の外径は、第一の円筒部94の内径よりも小さい。外輪駆動部材40の外周面と第一の円筒部94の内周面との間には隙間が形成されている。
蓋部材57は、第一の円筒部91の側面にボルトなどにより固定されている。蓋部材57は、外輪22の側面と接して外輪22の軸方向の移動を規制する。外輪22および外輪82は、蓋部材57と第二の円筒部92との間に挟み込まれ、それぞれの軸方向の位置が固定されている。外輪32、外輪スペーサ53および外輪駆動部材40は、第二の円筒部92と第二の円筒部95との間に挟み込まれ、それぞれの軸方向の位置が固定される。
転がり軸受20と転がり軸受80は、蓋部材57と第二の円筒部92によって互いに近づく方向に加圧されている。転がり軸受20と転がり軸受80は、この加圧力によって予圧が付与された状態で、蓋部材57と第一のハウジング部90によって囲まれた空間に収容されている。第一の転がり軸受部65に作用させる予圧は、許容範囲内で小さく設定されることが好ましい。予圧が小さければ、第一の転がり軸受部65に加えることが可能な限界の荷重(軸方向の力)が大きくなり、軸部材10の変位量も大きくなる。
本実施形態のアクチュエータ3でも、第二の転がり軸受部62の剛性は第一の転がり軸受部65の剛性よりも大きい。そのため、第二の転がり軸受部62の外輪32を軸方向に変位させたときに、第一の転がり軸受部65が第二の転がり軸受部62よりも大きく弾性変形する。よって、軸部材10を効率よく変位させることができる。
本実施形態では、第一の転がり軸受部65を正面組み合わせで配置された二つの転がり軸受(転がり軸受20、転がり軸受80)によって構成されている。そのため、軸部材10に作用するモーメント荷重に対して高い耐久性を付与することができる。よって、第二の転がり軸受部62の軸方向の変形を容易にするために、第二の転がり軸受部62とハウジング99との間に隙間を形成することなどが可能となる。
[第四の実施形態]
図10は、本発明の第四の実施形態に係るアクチュエータ4の断面図である。
本実施形態において第三の実施形態と異なる点は、第二の転がり軸受部66を構成する転がり軸受の数である。そのため、以下では、その相違点を中心に説明する。また、本実施形態において第三の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第二の転がり軸受部66は、例えば、二つの転がり軸受(転がり軸受30、転がり軸受34)によって構成されている。二つの転がり軸受(転がり軸受30、転がり軸受34)は、外輪どうしおよび内輪どうしが互いに密着しており、互いに一体に弾性変形する。第二の転がり軸受部66を構成する転がり軸受の数は、第三の実施形態に比べて多い。そのため、第二の転がり軸受部66の剛性は、第三の実施形態に比べて大きい。
転がり軸受34は、例えば、アンギュラ玉軸受である。軸部材10には、転がり軸受20、転がり軸受80、転がり軸受30および転がり軸受34が軸方向にこの順に並んでいる。内輪間座51は、転がり軸受80と転がり軸受30との間に配置されている。転がり軸受30と転がり軸受34は、並列組み合わせ(DT組み合わせ)で軸方向に並べて配置されている。
転がり軸受34は、内輪35と、外輪36と、転動体37と、を有する。転がり軸受34の接触角は、40°(B)である。第一の転がり軸受部65と第二の転がり軸受部66との剛性比は、1:2である。
本実施形態のアクチュエータ4でも、第二の転がり軸受部66の剛性は第一の転がり軸受部65の剛性よりも大きい。そのため、第二の転がり軸受部66の外輪(外輪32、外輪36)を軸方向に変位させたときに、第一の転がり軸受部65が第二の転がり軸受部66よりも大きく弾性変形する。よって、軸部材10を効率よく変位させることができる。
[第五の実施形態]
図11は、本発明の第五の実施形態に係る搬送装置100の平面図である。図12は、搬送装置100の断面図である。本実施形態において、第一ないし第四の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
搬送装置100は、基台101と、アクチュエータ102と、モータ104と、ナット105と、テーブル106と、ガイド機構107と、センサ109と、を有する。
基台101上には、本発明に係るアクチュエータ102が設置されている。アクチュエータ102は、例えば、第三の実施形態に係るアクチュエータ3と同じ構成を有する。基台101上には、アクチュエータ102のハウジング99が固定されている。アクチュエータ102は、基台101の表面と平行に延びるねじ軸11を有する。ねじ軸11は、軸部材10と接続されている。ねじ軸11には、ねじ溝11aに設けられたボール(図示略)を介してナット105が螺合している。
ナット105の上面には、テーブル106が固定されている。アクチュエータ102の側方には、ねじ軸11と平行に延びるレール107aが設けられている。レール107aにはスライダー107bが接続され、スライダー107bの上面にテーブル106が固定されている。レール107aとスライダー107bにより、ガイド機構107が形成されている。テーブル106は、ガイド機構107によってガイドされつつ、ねじ軸11に沿って移動する。
軸部材10のねじ軸11側とは反対側の端部には、カップリング103を介してモータ104が接続されている。ねじ軸11と軸部材10は、モータ104によって回転駆動される。モータ104は、例えば、ステッピングモータである。テーブル106は、ねじ軸11が回転することにより軸方向に移動する。モータ104の回転量により、テーブル106のおおよその移動量(粗動量)が制御される。
センサ109は、テーブル106の位置を検出する。センサ109は、ねじ軸11を挟んでガイド機構107と反対側に配置されている。これにより、駆動力とスライダー107bの回転誤差との関係が線形となり制御が容易となる。
センサ109によって検出されたテーブル106の位置と目標位置との間にずれがある場合には、アクチュエータ102が軸部材10を軸方向に変位させて、ずれを解消する。具体的には、ずれに対応した大きさの駆動信号が外輪駆動部材40に供給され、外輪駆動部材40が第二の転がり軸受部62の外輪を軸方向に変位させる。この外輪の変位により、第一の転がり軸受部65と第二の転がり軸受部62に弾性変形が生じ、それぞれの弾性力が釣り合う位置まで軸部材10およびねじ軸11が変位する。外輪駆動部材40によって与えられる外輪の変位量によって、目標位置までのテーブル106の微小な移動量(微動量)が制御される。
本実施形態の搬送装置100では、アクチュエータ102によってテーブル106の軸方向の位置が精密に制御される。テーブル106の位置決めの精度は、軸部材10の変位量のレンジによって制御される。本実施形態では、このレンジが第一の転がり軸受部65と第二の転がり軸受部62との剛性比によって容易に変更可能である。目的に応じて変位量のレンジを変更することで、位置決め作業を効率よく行うことができる。
[第六の実施形態]
図13は、本発明の第六の実施形態に係る搬送装置110の断面図である。本実施形態において、第一ないし第五の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
搬送装置110は、基台111と、アクチュエータ112と、モータ114と、ナット116と、ガイド機構118と、を有する。
基台111上には、本発明に係るアクチュエータ112が設置されている。アクチュエータ112は、例えば、第三の実施形態に係るアクチュエータ3と同じ構成を有する。基台111上には、アクチュエータ112のハウジング99が固定されている。
アクチュエータ112は、基台111の表面と平行に延びるねじ軸115と、図示略のボールを介してねじ軸115と螺合するボールナット119と、を有する。軸部材10は、先端部が中空になっている。ねじ軸115は、軸部材10の中空部10aに挿入されている。ボールナット119は、嵌合部119aと、フランジ部119bと、を有する。嵌合部119aの外径は中空部10aの直径と概ね一致する。フランジ部119bの外径は、嵌合部119aの外径よりも大きい。フランジ部119bの外径は第一の固定具54の外径と概ね一致する。フランジ部119bは、嵌合部119aが中空部10aに嵌合した状態で、第一の固定具54に固定されている。
ねじ軸115には、金具117が接続されている。ねじ軸115と金具117は、ナット116により固定されている。金具117には、スライダー118bが固定されている。基台111上には、ねじ軸115と平行に延びるレール118aが設けられている。レール118aにはスライダー118bが接続されている。レール118aとスライダー118bにより、ガイド機構118が形成されている。
軸部材10のねじ軸115側とは反対側の端部には、カップリング113を介してモータ114が接続されている。軸部材10は、モータ114によって回転駆動される。モータ114は、例えば、ステッピングモータである。モータ114の回転量により、スライダー118bのおおよその移動量(粗動量)が制御される。外輪駆動部材40が第二の転がり軸受部62の外輪を軸方向に変位させることにより、スライダー118bの微小な移動量(微動量)が制御される。
本実施形態の搬送装置110においては、アクチュエータ112によってスライダー118bの軸方向の位置が精密に制御される。スライダー118bの位置決めの精度は、軸部材10の変位量のレンジによって制御される。本実施形態では、このレンジが第一の転がり軸受部65と第二の転がり軸受部62との剛性比によって容易に変更可能である。目的に応じて変位量のレンジを変更することで、位置決め作業を効率よく行うことができる。
[第七の実施形態]
図14は、本発明の第七の実施形態に係るマニピュレータシステム120の概略図である。本実施形態において、第一ないし第四の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
マニピュレータシステム120は、顕微鏡ユニット130と、第一のマニピュレータ140と、第二のマニピュレータ150と、コントローラ160と、試料ステージ170と、を有する。コントローラ160には、例えば、入力手段として、ジョイスティック161やボタン162などが接続されている。
顕微鏡ユニット130は、カメラ131と、顕微鏡132と、を有する。試料ステージ170は、シャーレなどの試料保持部材171を支持する。顕微鏡132は、試料ステージ170の直上に配置される。顕微鏡132とカメラ131とは一体構造となっている。顕微鏡132は、試料保持部材171に向けて光を照射する図示略の光源を有する。
試料保持部材171には、試料を含む溶液172が収容される。試料保持部材171の試料に顕微鏡132から光が照射され、試料保持部材171の試料で反射した光が顕微鏡132に入射すると、試料に関する光学像は、顕微鏡132で拡大された後カメラ131で撮像される。カメラ131で撮像された画像を基に試料を観察することができる。
顕微鏡ユニット130の両側に第一のマニピュレータ140と第二のマニピュレータ150とが分かれて配置されている。
第一のマニピュレータ140は、ピペット保持部材141と、X‐Y軸テーブル144と、Z軸テーブル145と、駆動装置146と、駆動装置147と、を有する。駆動装置146は、X‐Y軸テーブル144を駆動する。駆動装置147は、Z軸テーブル145を駆動する。ピペット保持部材141の先端には、毛細管チップであるキャピラリ142が取り付けられている。
ピペット保持部材141は、Z軸テーブル145に連結されている。Z軸テーブル145は、X‐Y軸テーブル144上に上下動自在に配置されている。駆動装置146および駆動装置147は、コントローラ160に接続されている。
X‐Y軸テーブル144は、駆動装置146の駆動によりX軸方向またはY軸方向に移動する。Z軸テーブル145は、駆動装置147の駆動によりZ軸方向に移動する。Z軸テーブル145に連結されたピペット保持部材141は、X‐Y軸テーブル144とZ軸テーブル145の移動にしたがって移動し、試料保持部材171の試料を、キャピラリ142を介して保持する。第一のマニピュレータ140は、微小操作対象物の保持に用いられる試料保持用のマニピュレータであり、キャピラリ142は、試料保持用のキャピラリである。
X‐Y軸テーブル144とZ軸テーブル145は、キャピラリ142を目標位置の近辺まで移動させる粗動機構として機能する。コントローラ160によって、目標位置までのおおよその移動量(粗動量)が制御される。
ピペット保持部材141には、キャピラリ142の位置を微調整してキャピラリ142を目標位置に位置決めする微動機構143が設けられている。微動機構143は、例えば、第一の実施形態に係るアクチュエータ1である。微動機構143では、軸部材10としてキャピラリ142が用いられている。微動機構143は、キャピラリ142の長手方向(軸方向)にキャピラリ142の位置を調整する。目標位置までのキャピラリ142の微小な移動量(微動量)は、コントローラ160によって制御される。
第二のマニピュレータ150は、ピペット保持部材151と、X‐Y軸テーブル154と、Z軸テーブル155と、駆動装置156と、駆動装置157と、を有する。駆動装置156は、X‐Y軸テーブル154を駆動する。駆動装置157は、Z軸テーブル155を駆動する。ピペット保持部材151の先端には、ガラス製のキャピラリ152が取り付けられている。
ピペット保持部材151は、Z軸テーブル155に連結されている。Z軸テーブル155は、X‐Y軸テーブル154上に上下動自在に配置されている。駆動装置156および駆動装置157は、コントローラ160に接続されている。
X‐Y軸テーブル154は、駆動装置156の駆動によりX軸方向またはY軸方向に移動する。Z軸テーブル155は、駆動装置157の駆動によりZ軸方向に移動する。Z軸テーブル155に連結されたピペット保持部材151は、X‐Y軸テーブル154とZ軸テーブル155の移動にしたがって移動し、試料保持部材171の試料を人工操作する。第二のマニピュレータ150は、微小操作対象物の操作(穿孔など)に用いられる試料操作用のマニピュレータであり、キャピラリ152は、試料操作用のキャピラリである。
X‐Y軸テーブル154とZ軸テーブル155は、キャピラリ152を目標位置の近辺まで移動させる粗動機構として機能する。コントローラ160によって、目標位置までのおおよその移動量(粗動量)が制御される。
ピペット保持部材151には、キャピラリ152の位置を微調整してキャピラリ152を目標位置に位置決めする微動機構153が設けられている。微動機構153は、例えば、第一の実施形態に係るアクチュエータ1である。微動機構153では、軸部材10としてキャピラリ152が用いられている。微動機構153は、キャピラリ152の長手方向(軸方向)にキャピラリ152の位置を調整する。目標位置までのキャピラリ152の微小な移動量(微動量)は、コントローラ160によって制御される。
本実施形態のマニピュレータシステム120では、第一のマニピュレータ140と第二のマニピュレータ150が、本発明に係るアクチュエータ(アクチュエータ143、アクチュエータ153)をそれぞれ有する。アクチュエータ143とアクチュエータ153によって、キャピラリ142とキャピラリ152の位置が精密に制御される。キャピラリ142およびキャピラリ152の位置決めの精度は、軸部材であるキャピラリ142およびキャピラリ152の変位量のレンジによって制御される。本実施形態では、このレンジが図1に示した第一の転がり軸受部61と第二の転がり軸受部62との剛性比によって容易に変更可能である。目的に応じて変位量のレンジを変更することで、位置決め作業を効率よく行うことができる。
[第八の実施形態]
図15は、本発明の第八の実施形態に係る機械装置180の概略図である。本実施形態において、第一ないし第五の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
機械装置180は、搬送装置181と、搬入装置187と、搬出装置188と、処理装置185と、を有する。搬入装置187は、ワークSを搬入位置PJ1に搬入する。搬送装置181は、搬入位置PJ1に搬入されたワークSを処理装置185の処理位置PJ2まで搬送する。搬送装置181は、処理装置181によって処理されたワークSを処理位置PJ2から搬出位置PJ3まで搬送する。搬出装置188は、搬出位置PJ3に搬送されたワークSを搬出する。
ワークSとしては、例えば、半導体ウエハやガラス基板などが用いられるが、ワークSはこれに限られない。処理装置185は、例えば、ワークSに露光処理などの処理を行うが、処理内容はどのようなものでもよい。搬入装置187および搬出装置188としては、公知の装置を用いることができる。
搬送装置181は、ワークSを載置して移動するテーブル183を有する。搬送装置181は、例えば、第五の実施形態に係る搬送装置100であり、テーブル183は、第五の実施形態に係るテーブル106である。そのため、ワークSの位置決めを精密に制御することができる。テーブル183の位置決めの精度は、搬送装置181が有する軸部材の変位量のレンジによって制御される。本実施形態では、このレンジが図12に示した第一の転がり軸受部65と第二の転がり軸受部62との剛性比によって容易に変更可能である。目的に応じて変位量のレンジを変更することで、位置決め作業を効率よく行うことができる。
なお、上述の各実施形態では、第一の転がり軸受部の剛性が第二の転がり軸受部の剛性よりも大きい例を主に説明した。しかし、第一の転がり軸受部の剛性を第二の転がり軸受部の剛性よりも小さくすることもできる。本発明では、第一の転がり軸受部の剛性と第二の転がり軸受部の剛性とが異なっていればよい。この構成によれば、第二の転がり軸受部の外輪を軸方向に変位させたときに、第一の転がり軸受部と第二の転がり軸受部は、互いに異なる大きさで弾性変形する。第二の転がり軸受部の外輪に加えられた変位量は、第一の転がり軸受部の変形量と第二の転がり軸受部の変形量との和に等しく、軸部材の変位量は、第一の転がり軸受部の変形量と一致する。そのため、第一の転がり軸受部と第二の転がり軸受部との剛性比を制御することで、軸部材の変位量のレンジを容易に変更することができる。
また、上述の各実施形態では、第一の転がり軸受部と第二の転がり軸受部の内輪および外輪の寸法が互いに等しい例を説明した。しかし、第一の転がり軸受部と第二の転がり軸受部の剛性を異ならせるために、第一の転がり軸受部と第二の転がり軸受部の内輪および外輪の寸法を互いに異ならせてもよい。また、外輪駆動部材の一例として圧電素子を例示したが、外輪駆動部材は圧電素子に限らない。電気的または磁気的な力によって外輪を軸方向に変位させるものを外輪駆動部材として用いてもよい。