JP2016117856A - サファイア板用研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本開示のサファイア板用研磨液組成物は、シリカ粒子と、無機リン酸塩と、添加剤と、水系媒体とを含有し、25℃におけるpHが8以上である。前記添加剤は、アルカノールアミン、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物、水溶性ビニル系ポリマー、及びポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物から選ばれる1種以上の化合物からなる。無機リン酸塩は、好ましくは、オルトリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩である。
【選択図】なし
Description
成分A:シリカ粒子
成分B:無機リン酸塩
成分C:アルカノールアミン、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物、水溶性ビニル系ポリマー、及びポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物から選ばれる1種以上の添加剤
本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子(成分A)は砥粒として作用する。これらのシリカ粒子としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられるが、研磨された被研磨対象物の平滑性向上の観点から、コロイダルシリカがより好ましい。
変動係数=(標準偏差/平均一次粒径)
本発明の研磨液組成物は、高速研磨と低表面粗さの両立の観点から、無機リン酸塩(成分B)を含有する。無機リン酸塩としては、高速研磨と低表面粗さの両立の観点から、オルトリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩が好ましく、オルトリン酸塩、亜リン酸塩がより好ましい。また、無機リン酸塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種以上であると好ましい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びカリウムが好ましい。これらのなかでも、シリカ粒子の凝集抑制の観点から、無機リン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本発明の研磨液組成物は、表面粗さの低減と研磨速度の向上の観点から、アルカノールアミン、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物、水溶性ビニル系ポリマー、及びポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。ここで、「水溶性」とは、水に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいう。
本発明の研磨液組成物に含まれるアルカノールアミンとしては、サファイア研磨屑の除去速度の向上、及びシリカ粒子の分散性向上の観点から、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。但し、一般式(1)中、aは2以上5以下、bは1以上3以下、cは0以上2以下、b+c=3である。
(H)cN[(CH2)aOH]b (1)
本発明の研磨液組成物に含まれるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物は、被研磨サファイア板と研磨パッドとの摩擦抵抗を低減し、シリカ粒子の被研磨サファイア板と研磨パッドとの間における循環性を改善する観点から、好ましくは下記一般式(2)で示される化合物である。但し、一般式(2)中、nとmは、nとして1以上10以下、mとして0以上3以下、或いはn+mとして2以上13以下、Xはアミノ基、カルボン酸基、アンモニウム基、アミンオキサイド、又はベタインである。
CF3(CF2)n(CH2)mX (2)
本発明の研磨液組成物は、表面粗さ低減の観点から、水溶性ビニル系ポリマー、及びポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物からなる群から選ばれる1種以上の表面吸着剤を含む。水溶性ビニル系ポリマーは、シリカ粒子や被研磨サファイア板の表面に吸着することで表面粗さを低減する観点から、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びn-ポリビニルホルムアミドから選ばれる一種以上の表面吸着剤である。ポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物は、シリカ粒子や被研磨サファイア板の表面に吸着することで表面粗さを低減する観点から、好ましくはポリアルキレングリコールであり、より好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。上記表面吸着剤の中でも、研磨速度の向上の観点から、好ましくはポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物であり、より好ましくはポリエチレングリコールである。
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体(成分D)としては、イオン交換水や超純水等の水、又は水と溶媒との混合媒体等が挙げられ、上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が好ましい。なかでも、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。本発明の成分Dが、水と溶媒との混合媒体である場合、混合媒体全体に対する水の割合は、特に限定されるわけではないが、経済性の観点から、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましく、100質量%が更により好ましい。
本発明の研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、調製することができる。研磨液組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。前記研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度や研磨条件等に応じて適宜決定できる。尚、上記した各成分の含有量は、使用時における含有量である。
本発明のサファイア板の製造方法の一例(「本発明の製造方法の一例」と略称する場合もある。)、及び本発明の被研磨サファイア板の研磨方法の一例(「本発明の研磨方法の一例」と略称する場合もある。)において研磨される被研磨対象の形状について特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状のみならず、レンズ等の曲面部を有する形状であってもよい。また、前記被研磨対象は、スマートフォン等の携帯端末装置のカバーガラスとして用いられるサファイア板、LED用サファイア基板等さまざまであるが、本発明の研磨液組成物は、LED用サファイア基板、スマートフォン等の携帯端末装置のカバーガラスとして用いられるサファイア板の製造方法の研磨工程で使用される研磨液組成物として適している。
〈2〉 前記無機リン酸塩は、好ましくはオルトリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩であり、より好ましくはオルトリン酸塩及び亜リン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩である、前記〈1〉に記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈3〉 前記無機リン酸塩は、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩であり、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種である、前記〈1〉又は〈2〉に記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈4〉 前記無機リン酸塩は、好ましくはリン酸ナトリウム(Na3PO4)、リン酸カリウム(K3PO4)、リン酸一水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二水素一カリウム(KH2PO4)、リン酸二水素一アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸一水素二カリウム(K2HPO4)、リン酸一水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)、亜リン酸ナトリウム(Na2HPO3)、亜リン酸カリウム(K2HPO3)、次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)、次亜リン酸カリウム(KH2PO2)、及び次亜リン酸アンモニウム(NH4H2PO2)から選ばれる少なくとも1種の無機リン酸塩であり、より好ましくはリン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、及び次亜リン酸アンモニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩であり、更に好ましくはリン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、及び亜リン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩であり、更により好ましくはリン酸一水素二ナトリウムである、前記〈1〉から〈3〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈5〉 前記サファイア板用研磨液組成物に含まれる前記無機リン酸塩の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更により好ましくは0.02質量%以上、更により好ましくは0.05質量%以上、更により好ましくは0.08質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.4質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、更により好ましくは0.2質量%以下である、前記〈1〉から〈4〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈6〉 前記サファイア板用研磨液組成物に含まれる、前記シリカ粒子と前記無機リン酸塩の含有量比[シリカ粒子の含有量(質量%)/無機リン酸塩の含有量(質量%)]は、好ましくは2以上、より好ましく20以上、更に好ましくは100以上であり、好ましくは10000以下、より好ましく5000以下、更に好ましくは2000以下である、前記〈1〉から〈5〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈7〉 前記アルカノールアミンが、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である前記〈1〉から〈6〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
(H)cN[(CH2)aOH]b (1)
但し、一般式(1)中、aは2以上5以下、bは1以上3以下、cは0以上2以下、b+c=3である。
〈8〉 前記アルカノールアミンは、好ましくはエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、及びトリペンタノールアミンからなる群から選ばれる1種以上のアルカノールアミン、より好ましくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれる1種以上のアルカノールアミンである、前記〈7〉に記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈9〉 前記サファイア板用研磨液組成物に含まれるアルカノールアミンの含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である、前記〈1〉から〈8〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈10〉 前記パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物が、好ましくは下記一般式(2)で示される化合物である前記〈1〉から〈9〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
CF3(CF2)n(CH2)mX (2)
但し、一般式(2)中、nとmは、nとして1以上10以下、mとして0以上3以下、或いはn+mとして2以上13以下、Xはアミノ基、カルボン酸基、アンモニウム基、アミンオキサイド、又はベタインである。
〈11〉 前記パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物が、好ましくはパーフルオロアルキルアミノ酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミンオキシド、及びパーフルオロアルキルベタインからなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素系化合物、より好ましくはパーフルオロアルキルベタイン及びパーフルオロアルキルアミンオキシドから選ばれる少なくとも1種のフッ素系化合物である前記〈10〉に記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈12〉 前記サファイア板用研磨液組成物にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、更に好ましくは0.001質量%、更により好ましくは0.005質量%であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以下である、前記〈1〉から〈11〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈13〉 前記サファイア板用研磨液組成物が、前記アルカノールアミンと前記パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物の両方を含み、前記アルカノールアミンとパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物の組み合わせは、好ましくは、ジエタノールアミンとパーフルオロアルキルベタイン、トリエタノールアミンとパーフルオロアルキルアミンオキシド、トリエタノールアミンとパーフルオロアルキルベタイン、より好ましくは、トリエタノールアミンとパーフルオロアルキルベタインである前記〈1〉から〈6〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈14〉 質量比(アルカノールアミン/パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物)が、好ましくは80以上、好ましくは500以下である、前記〈13〉に記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈15〉 前記水溶性ビニル系ポリマーが、好ましくはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びn-ポリビニルホルムアミドから選ばれる一種以上の化合物であり、より好ましくはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びn-ポリビニルホルムアミドから選ばれる一種以上の化合物である、前記〈1〉から〈14〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈16〉 前記水溶性ビニル系ポリマーの重量平均分子量が、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上であり、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下である、前記〈1〉から〈15〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈17〉 前記ポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物が、好ましくはポリアルキレングリコール、より好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体から選ばれる少なくとも一種の化合物である、前記〈1〉から〈16〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈18〉 前記ポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物の重量平均分子量が、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上であり、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下である、前記〈1〉から〈17〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈19〉 前記サファイア板用研磨液組成物が、前記水溶性ビニル系ポリマー及び前記ポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物のうちの少なくとも一種の添加剤を表面吸着剤として含み、前記表面吸着剤の含有量は、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上、更に好ましくは、0.006質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である、前記〈1〉から〈18〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈20〉 サファイア板用研磨液組成物の25℃におけるpHは、好ましくは9以上、より好ましくは10以上であり、好ましくは14未満であり、より好ましくは13未満である、前記〈1〉から〈19〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈21〉 前記シリカ粒子の含有量は、SiO2換算濃度で、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい、前記〈1〉から〈20〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈22〉 前記シリカ粒子の動的光散乱法で測定される平均二次粒径(平均粒径)は、10nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、80nm以上が更に好ましく、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい、前記〈1〉から〈21〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈23〉 前記シリカ粒子の平均一次粒径は、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、150nm以下が更により好ましく、45nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましい、前記〈1〉から〈22〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物。
〈24〉 被研磨サファイア板に対して、前記〈1〉から〈23〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物を供給して、前記被研磨サファイア板を研磨する工程を含む、サファイア板の製造方法。
〈25〉 被研磨サファイア板に対して、前記〈1〉から〈23〉のいずれかに記載のサファイア板用研磨液組成物を供給して、前記被研磨サファイア板を研磨する工程を含む、被研磨サファイア板の研磨方法。
イオン交換水500gの入ったビーカー内に、無機リン酸塩の供給源を、その有効分の濃度が所定の値となるように添加した後、次いで、添加剤を添加した。その後、40質量%コロイダルシリカ(平均一次粒径80nm、日揮触媒化成(株)製、カタロイドSI-80P)水分散液625gを添加しこれらを撹拌して、無機リン酸塩と添加剤とを含むシリカ水分散液を得た。その後すぐに、pH調整剤を用いて25℃におけるpHが表1に記載の値になるように調整して、実施例1〜20の研磨液組成物を得た。尚、pH調整剤として、pH値を大きくする場合には、48質量%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製)を水で0.1質量%に希釈したものを用い、pH値を小さくする場合は、62.5%硫酸(テイカ製)を0.1質量%になるように水で希釈したものを用いた。また、無機リン酸塩が、リン酸一水素二ナトリウムである場合は、その供給源として、リン酸一水素二ナトリウム12水和物(和光純薬工業(株)社製)を、亜リン酸ナトリウムである場合は、その供給源として、亜リン酸ナトリウム五水和物(和光純薬工業社製)を、リン酸一水素二カリウムである場合は、その供給源として、リン酸一水素二カリウム(和光純薬工業(株)社製)を、リン酸一水素二アンモニウムである場合は、その供給源として、リン酸一水素二アンモニウム(和光純薬工業(株)社製)を用いた。
無機リン酸塩又はその比較対象化合物の供給源及び添加剤を添加しないこと以外は、実施例1の研磨液組成物と同様にして、比較例1の研磨液組成物を調製した。
トリエタノールアミンを添加せず、研磨液組成物のpHを10.0としたこと以外は、実施例1の研磨液組成物と同様にして、比較例2の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩又はその比較対象化合物の供給源を添加しないこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例3の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩又はその比較対象化合物の供給源を添加しないこと以外は、実施例4の研磨液組成物と同様にして、比較例4の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩の比較対象化合物として塩化ナトリウムを添加したこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例5の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩の比較対象化合物として塩化ナトリウムを添加したこと以外は、実施例4の研磨液組成物と同様にして、比較例6の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩の比較対象化合物としてHEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、イタルマッチ・ジャパン社製)を添加したこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例7の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩の比較対象化合物としてATMP(アミノトリ(メチレンホスホン酸)(イタルマッチ・ジャパン社製)を添加したこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例8の研磨液組成物を調製した。
pH調整剤として、62.5%硫酸(テイカ製)を使用し、研磨液組成物の25℃におけるpHを2.0としたこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例7の研磨液組成物を調製した。
研磨液組成物のpHを7.1としたこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例8の研磨液組成物を調製した。
40質量%コロイダルシリカ(平均一次粒径80nm、日揮触媒化成(株)製、カタロイドSI-80P)水分散液625gに代えて、45質量%アルミナ粒子(平均二次粒径0.8μm、α化率90%、結晶子サイズ32nm)水分散液488gを添加したこと以外は、実施例3の研磨液組成物と同様にして、比較例9の研磨液組成物を調製した。
無機リン酸塩又はその比較対象化合物の供給源を添加しないこと以外は、比較例11の研磨液組成物と同様にして、比較例12の研磨液組成物を調製した。
比較例11及び12の研磨液組成物の調製に使用したアルミナ粒子(砥粒)の体積平均粒子径(平均二次粒径)は、0.5%ポイズ530(花王社製;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)水溶液を分散媒とし、当該分散媒を下記測定装置内に投入し、続いて透過率が75〜95%になるようにサンプル(アルミナ粒子)を投入し、その後、5分間超音波を掛けた後、測定した。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
得られた体積分布粒径の累積体積頻度が50%となる粒径をアルミナ粒子の体積平均粒子径(D50)とし、平均二次粒径として表1に示した。
アルミナスラリー20gを105℃で5時間乾燥させ、得られた乾燥物を乳鉢で解砕して粉末X線回折用サンプルを得た。各サンプルを粉末X線回折法にて分析し、104面におけるピーク面積をα化率99.9%のα―アルミナ(昭和電工社製、WA―1000)のピーク面積と比較した。粉末X線回折法による測定条件は下記のとおりとした。
(測定条件)
装置:(株)リガク製、粉末X線解析装置 RINT2500VC
X線発生電圧:40kV
放射線:Cu−Kα1線(λ=0.154050nm)
電流:120mA
Scan Speed:10度/分
測定ステップ:0.02度/分
α化率(%)=αアルミナ特有ピーク面積÷WA−1000のピーク面積×100
また、結晶子サイズは、得られた粉末X線回折スペクトルから、粉末X線回折装置付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE(MDI社、シェラーの式による自動計算)を用いて算出した。上記ソフトによる算出処理は、上記ソフトの取扱説明書(Jade(Ver.5)ソフトウェア、取扱説明書 Manual No.MJ13133E02、理学電機〔株〕)に基づいて行った。
シリカ粒子の平均一次粒径は、下記の通り、電子顕微鏡(TEM)観察画像において測定される円相当径として求められる粒子径の数平均である。シリカ粒子を日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM-2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF(Ver.3.6)」(販売元:三谷商事)を用いて1000〜2000個のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の円相当径として求められる粒子径を求め、数平均により平均一次粒径を求めた。
シリカ粒子(砥粒)の平均二次粒径(分散粒径)は、動的光散乱(DLS)粒度分布計(マルバーン社製、ゼータサイザーナノS)を用いて下記の条件で測定し、得られる体積換算平均粒径を平均二次粒径(分散粒径)として求めた。
溶媒:水(屈折率1.333)
砥粒:コロイダルシリカ(屈折率1.45、減衰係数0.02)
測定温度:25℃
シリカ粒子の比表面積は、100℃で24時間乾燥させた粉末サンプルについて、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に200℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置 フローソーブIII2305、(株)島津製作所製)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。実施例1〜20、比較例1〜12の研磨液組成物の調製に用いたシリカ粒子のBET比表面積は40m2/gであった。
上記重量平均分子量は、下記測定条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
〔GPC条件〕
装置:HLC-8320 GPC(東ソー株式会社、検出器一体型)
カラム :GMPWXL+GMPWXL(アニオン)
溶離液 :0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(体積比)
温度 :40℃
流速 :0.5mL/min
試料サイズ:5mg/mL
検出器 :RI
換算標準 :分子量既知の単分散ポリエチレングリコール
pHメーター(東亜電波工業社製、HM−30G)を用い、25℃にて研磨液組成物のpHを測定した。
3インチのサファイア板(c面)に対して下記の研磨条件で、実施例1〜20、比較例1〜12の研磨液組成物を用いて、3時間循環研磨を行った。そして、サファイア板の研磨前後の重量変化を求め、サファイア密度(3.98g/cm3)、サファイア板面積(45.6cm2)から研磨速度(μm/h)を算出した。実施例1〜20、比較例1〜12の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度は、比較例1の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を「100」とした場合の相対値で、表1に示した。
片面研磨機(テクノライズ社製TR15M−TRK1、定盤径38cm)
不織布研磨パッド(ニッタハース社製SUBA800)
研磨荷重300g/cm2
定盤回転数120rpm
キャリア回転数120rpm
研磨液流量80mL/min(循環)
AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて、以下に示す条件で、洗浄後のサファイア板の内周縁と外周縁との中央部分の異なる2箇所を測定し、中心線平均粗さAFM‐Raを測定した。2点の平均値を「表面粗さ」とし、表1に示した。値が小さいほど表面粗さの悪化が抑制されていることを示す。
〔AFMの測定条件〕
Mode: Tapping mode
Area: 5×5μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: OMCL−AC160TS−C3
Line: 512×512
Claims (11)
- シリカ粒子と、
無機リン酸塩と、
アルカノールアミン、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物、水溶性ビニル系ポリマー、及びポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物から選ばれる1種以上の添加剤と、を含み、
25℃におけるpHが8以上の、サファイア板用研磨液組成物。 - 前記無機リン酸塩が、オルトリン酸塩、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩である、請求項1に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 前記無機リン酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる1種以上の無機リン酸塩である、請求項1又は2に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 前記アルカノールアミンが、下記一般式(1)で示される化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物。
(H)cN[(CH2)aOH]b (1)
但し、一般式(1)中、aは2以上5以下、bは1以上3以下、cは0以上2以下、b+c=3である。 - 前記アルカノールアミンが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれる1種以上のアルカノールアミンである、請求項4に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 前記パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物が、下記一般式(2)で示される化合物である請求項1から5のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物。
CF3(CF2)n(CH2)mX (2)
但し、一般式(2)中、nとmは、nとして1以上10以下、mとして0以上3以下、或いはn+mとして2以上13以下、Xはアミノ基、カルボン酸基、アンモニウム基、アミンオキサイド、又はベタインである。 - 前記パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物が、パーフルオロアルキルアミノ酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミンオキシド、及びパーフルオロアルキルベタインからなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素系化合物である請求項6に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 前記水溶性ビニル系ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びn-ポリビニルホルムアミドから選ばれる一種以上の化合物である請求項1から7のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 前記ポリアルキレンオキサイド骨格を含む水溶性高分子化合物が、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1から8のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物。
- 被研磨サファイア板に対して、請求項1から9のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物を供給して、前記被研磨サファイア板を研磨する工程を含む、サファイア板の製造方法。
- 被研磨サファイア板に対して、請求項1から9のいずれか1項に記載のサファイア板用研磨液組成物を供給して、前記被研磨サファイア板を研磨する工程を含む、被研磨サファイア板の研磨方法。
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ADVANCED MATERIALS RESEARCH, vol. Vol.325, JPN6018041228, pages pp.457-463 (2011). * |
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