JP2016117694A - 水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法 - Google Patents

水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016117694A
JP2016117694A JP2014259504A JP2014259504A JP2016117694A JP 2016117694 A JP2016117694 A JP 2016117694A JP 2014259504 A JP2014259504 A JP 2014259504A JP 2014259504 A JP2014259504 A JP 2014259504A JP 2016117694 A JP2016117694 A JP 2016117694A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aquatic
product
composition
aquatic products
charcoal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014259504A
Other languages
English (en)
Inventor
福見 勉
Tsutomu Fukumi
勉 福見
森山 雅美
Masami Moriyama
雅美 森山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Publication of JP2016117694A publication Critical patent/JP2016117694A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/80Food processing, e.g. use of renewable energies or variable speed drives in handling, conveying or stacking
    • Y02P60/87Re-use of by-products of food processing for fodder production

Landscapes

  • Feed For Specific Animals (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)
  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】水産生物に対する病害防除効果をより高めることができる、水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法の提供。【解決手段】木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を水産生物に施与する水産生物用組成物。前記木酢液又はその水溶液であって、木クレオソートを含有しないものを用い、前記木炭粉末の100質量部に対して、前記木酢液又はその水溶液を、前記木酢液に含まれる酢酸の量に換算して0.0012〜12質量部となる量で混合して分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有する水産生物用組成物。前記水産生物の養殖の若年期に前記複合乾燥物を施与することが好ましい。また、前記水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに前記複合乾燥物を施与することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、木酢液を利用した、水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法に関する。
魚類やエビ、カニなどの水産生物の養殖において、ウイルスや細菌などによる感染性の病害が一旦発生すると、養殖中の水産生物の全廃棄処分など被害は甚大となるので、その対策として、飼料に抗生物質を添加したり、稚魚にワクチンを投与したりすることなどが行われている。しかしながら、抗生物質の使用には、耐性菌の出現のおそれや、残留すると消費者が口にしてしまうという問題がある。一方、ワクチンの投与は、その効果を高めるために、有効なアジュバント等と組合せる必要があった。
このような問題に対して、下記特許文献1には、木酢液にラクトフェリン、さらにビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類を配合することを特徴とする魚類用飼料添加物の発明が開示されており、生餌あるいは配合飼料とともに給餌することにより、養殖魚の抗病性を与え、成長促進を図ることができることが記載されている。
木酢液は、木炭を乾留する際に出る燻煙、水蒸気を集めて冷却して得た液状物を蒸留してなるものであり、水、酢酸を主な成分とし、そのほかにも有機酸、アルコール類、フェノール類など、多様な成分を複合的に含有する水性溶液である。天然由来で自然環境への負荷が少なく、また、医薬品として利用される木クレオソートの製造工程で多量に排出される非利用分であるという事情もあり、水産生物用として汎用性が高まれば、その有効利用が見込まれる。
特開2001−309749号公報
しかしながら、上記特許文献1の実施例の結果にもみられるように、木酢液を添加するのみでは、養殖環境における病害防除効果に乏しいのが現状であった(上記特許文献1の表1、表2、対照区1)。
また、木酢液は、臭いが強く、水や海水に添加すると見えなくなってしまうので、取り扱い性が悪いと共に、木酢液を水産生物が住む漁場に添加しても、たちまち拡散して流出してしまい、その効果を得にくいという問題があった。
したがって、本発明の目的は、水産生物に対する病害防除効果をより高めることができる、水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、以下の構成を有する。
[1]木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有し、水産生物に施与するためのものであることを特徴とする水産生物用組成物。
[2]前記木酢液又はその水溶液であって、木クレオソートを含有しないものを用いる、前記[1]記載の水産生物用組成物。
[3]前記木炭粉末の100質量部に対して、前記木酢液又はその水溶液を、前記木酢液に含まれる酢酸の量に換算して0.0012〜12質量部となる量で混合して分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有する、前記[1]又は[2]に記載の水産生物用組成物。
[4]更に、キチン、キトサン、焼成カルシウム、核酸、アミノ酸、生体染色用の色素からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有する、前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
[5]更に、増粘剤を含有する、前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
[6]前記水産生物の病害の防除のために用いられる、前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
[7]前記水産生物の養殖の若年期に施与されるように用いられる、前記[6]記載の水産生物用組成物。
[8]前記水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに施与されるように用いられる、前記[6]又は[7]記載の水産生物用組成物。
[9]前記水産生物の病害の病原体が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌から選ばれた一種である、前記[6]〜[8]のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
[10]前記水産生物が、海水魚、淡水魚、甲殻類、貝類、海藻から選ばれた一種である、前記[6]〜[9]のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
[11]木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を水産生物に施与することを特徴とする水産生物の養殖方法。
[12]前記水産生物を養殖する養殖設備に前記複合乾燥物を付着させることにより該水産生物に施与する、前記[10]記載の水産生物の養殖方法。
[13]木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を水産生物に施与することを特徴とする水産生物の病害防除方法。
[14]前記水産生物の養殖の若年期に前記複合乾燥物を施与する、前記[13]記載の水産生物の病害防除方法。
[15]前記水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに前記複合乾燥物を施与する、前記[13]又は[14]記載の水産生物の病害防除方法。
[16]前記水産生物の病害の病原体が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌から選ばれた一種である、前記[13]〜[15]のいずれか1つに記載の水産生物の病害防除方法。
[17]前記水産生物が、海水魚、淡水魚、甲殻類、貝類、海藻から選ばれた一種である、前記[13]〜[16]のいずれか1つに記載の水産生物の病害防除方法。
本発明によれば、木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を用いるので、木酢液の成分が木炭粉末に吸着保持されて、漁場等に添加しても直ちに拡散して流出してしまうことを抑制できる。また、木炭粉末に吸着させたことにより、木酢液の臭いが低減されて取り扱い性が向上すると共に、水や海水に添加した際に木炭の色が付いて広がるので、拡散領域を視認できる。
また、木酢液に含まれる成分が、それ自体で抗菌作用を有すると共に、ワクチンと共に投与することにより、アジュバント効果をもたらすので、水産生物の病害防除効果をより高めることができる。
本発明で用いる木酢液は、木質原料の乾留により生じた燻煙、水蒸気等の木ガスを冷却して得た液状物を蒸留することにより得られる。木質原料としては、特に制限はなく、Pinus属諸種植物(Pinaceae)、Cryptomeria属諸種植物(Taxodiaceae)、Fagus属諸種植物(Fagaceae)、Afzelia属植物(Intsia属植物)(Leguminosae)、Shorea属植物(Dipterocarpaceae)、Tectona属植物(Vervenaceae)などが挙げられる。より具体的にはカシ、ナラ、クヌギ、ブナ、メルバウ木などの広葉樹、スギ、マツ、ヒノキなどの針葉樹、タケ、ササなどの竹類、ヤシなどの植物、ランブータンなどの果樹、鉄樹、ムランティなどが挙げられる。これらの幹や枝を用いることが好ましい。
木酢液の製造方法についてより具体的に説明すると、木炭の製造時など木質原料の乾留により生じる木ガスを集めて冷却して液状物を得る。この液状物、あるいは場合によってはこれを水蒸気蒸留又は減圧蒸留にかけた粗蒸留物を静置すると上層に油、中間層に水性溶液、下層に木タールが主に分離してくるので、その中間層を採取して、本発明で用いる木酢液とすることができる。更にこの木酢液を蒸留して所望の留分を得、必要に応じて再蒸留したり活性炭のフィルタを通したりするなどして、本発明で用いる木酢液としてもよい。一方下層の木タールを水蒸気蒸留又は減圧蒸留することなどによっても木酢液が採取できるので、これを用いてもよい。更にこの木酢液を蒸留して所望の留分を得、必要に応じて再蒸留したり活性炭のフィルタを通したりするなどして、本発明で用いる木酢液としてもよい。あるいは上記の液状物または粗蒸留物を直接蒸留して所望の留分を得、必要に応じて再蒸留したり活性炭のフィルタを通したりするなどして、木酢液を得ることもできる。蒸留により留分を得る条件としては、例えば常圧で100〜110℃の留分を得ることが好ましい。複数の工程で得られた画分や留分を合わせて、本発明で用いる木酢液としてもよい。木酢液の原料としては、医薬品として利用される木クレオソートの製造工程において排出される非利用分を用いてもよい。
上記のようにして得られた木酢液は、水、酢酸を主な成分とし、そのほかにも有機酸、アルコール類、フェノール類など、多様な成分を複合的に含有する水性溶液である。
また、本発明では、上記木酢液をそのまま用いてもよいが、好ましくは100〜1,000,000倍、より好ましくは1,000〜100,000倍となるように水で希釈して用いる。
本発明では、木酢液又はそれを水で希釈した水溶液であって、木クレオソートを含まないものを用いることがより好ましい。ここで、木クレオソートを含まないとは、日本薬局方所定の木クレオソートの規格に適合しないことを意味する。
一方、本発明で用いる木炭粉末は、木炭を細粉砕機等で粉砕することにより得られる。必要に応じて篩い分け装置等にて所定の粒度に分級してもよい。その粒度に特に制限はなく、例えば全体の75質量%以上が粒径10〜300μmに入るような粒度であることが好ましく、粒径20〜100μmに入るような粒度であることがより好ましい。粒度が細かすぎると木酢液と合わせたときの分散性が悪くなる傾向があるので好ましくない。粒度が粗すぎると水産生物の体内に侵入しにくくなる傾向があるので好ましくない。なお、粒度は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置、超遠心式自動粒度分布測定装置などによって測定することができる。
木炭粉末の木質原料としては、木酢液同様に、特に制限はなく、Pinus属諸種植物(Pinaceae)、Cryptomeria属諸種植物(Taxodiaceae)、Fagus属諸種植物(Fagaceae)、Afzelia属植物(Intsia属植物)(Leguminosae)、Shorea属植物(Dipterocarpaceae) 、 Tectona属植物(Vervenaceae)などが挙げられる。より具体的にはカシ、ナラ、クヌギ、ブナ、メルバウ木などの広葉樹、スギ、マツ、ヒノキなどの針葉樹、タケ、ササなどの竹類、ヤシなどの植物、ランブータンなどの果樹、鉄樹、ムランティなどが挙げられる。これらの幹や枝を用いることが好ましい。
本発明で用いる木炭粉末は、上記木酢液を調製する際の木質原料の乾留により生じた木炭を利用し、その粉砕物を用いてもよい。これによれば資源の有効利用が図られる。なお、本発明で用いる木炭粉末は、市販のものを用いてもよい。
本発明においては、上記木酢液と上記木炭粉末の複合乾燥物を用いる。複合乾燥物は、木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥することにより得ることができる。より具体的には、木炭粉末の100質量部に対して、木酢液又はその水溶液を、前記木酢液に含まれる酢酸の量に換算して0.0012〜12質量部となる量で混合して分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有する。
乾燥は、水分を効率よく除去するために、凍結乾燥や噴霧乾燥で行うことが好ましい。このうち凍結乾燥によれば、得られる乾燥物が養魚場の海水等に再分散させる際にその分散性に優れているので、好ましい。
上記複合乾燥物の調製の際には、必要に応じて、賦形剤等の他の原料を含有せしめてもよい。ただ、特に回収率向上の目的で賦形剤等を添加しなくても、乾燥の際には木酢液の成分が木炭粉末に吸着しつつ水分が除かれるので、木酢液の成分の回収率を損ねることなく木炭粉末との複合乾燥物を得ることができる。また、乾燥処理後、適宜所望の剤形にすることもできる。例えば、粉砕機等で粉砕することにより粉末状に製してもよい。また、造粒手段により顆粒状に製してもよい。それらを打錠して錠剤としてもよい。
上記のように得られた木酢液と木炭粉末の複合乾燥物は、これをそのまま本発明の水産生物用組成物としてもよく、必要に応じて他の原料と組合せて、本発明の水産生物用組成物としてもよい。このような他の原料としては、例えば以下に挙げる成分が挙げられる。
・キチン、キトサン
キチンは、N−アセチルグルコサミンが直鎖状にβ−1,4結合した多糖類である。天然界では、キチンは、カニ殻、エビ殻、イカの甲(イカの胴体の内側にある、透明で骨のようなもの、中骨)、昆虫の甲皮(カブトムシやゴキブリの羽)、キノコの細胞壁等に存在する。なお、天然のキチンは、N−アセチルグルコサミンだけでなく、グルコサミンも構成成分とする多糖である。キチンの原料としてはイカ由来のものが好ましい。これによれば、カニ殻やエビ殻等を原料としたキチンに比べ、水産生物に施与した場合にアレルゲン性が低い。イカ由来キチンは、例えば、イカの中骨等を原料として、アルカリ処理(除タンパク質)や塩酸処理(脱灰)することなどによって得ることができる。
一方、キトサンは、グルコサミンが直鎖状にβ−1,4結合した多糖類である。キチンを濃アルカリ中で煮沸処理し、2位の炭素上のアセトアミド基を脱アセチル化することなどにより得ることができる。
キチンやキトサンは免疫アジュバント作用を有することが知られている。よって、これらを含有することにより、養殖環境における病害防除効果をさらに高めることができる。
・焼成カルシウム
焼成カルシウムは、貝殻等を焼成することにより得られる多孔質性物質である。例えば、ホッキ貝の貝殻を焼成し粉末化したセラミック化ホッキ貝粉末などが製品としても市販されており、容易に入手することができる。焼成カルシウムは免疫アジュバント作用を有することが知られている。よって、これを含有することにより、養殖環境における病害防除効果をさらに高めることができる。
・Poly(I:C)核酸
Poly(I:C)は、Toll様レセプター(Toll−like receptor:TLR)のリガンドである二本鎖RNAである。自然免疫系を刺激するTLRのリガンドとして、ウイルス、病原菌等の攻撃に対する免疫防御機能を発揮する。Poly(I:C)の塩基対数は、免疫応答に対する効果の観点から、300bp以上が好ましい。例えば、100〜1000bpのPoly(I:C)は、一般試薬会社から容易に入手することができる。Poly(I:C)は免疫アジュバント作用を有することが知られている。よって、これを含有することにより、養殖環境における病害防除効果をさらに高めることができる。
・分岐鎖アミノ酸
分岐鎖アミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシンなどが挙げられる。これらは複数を併用してもよい。このうちイソロイシンが特に好ましい。また、生体内でこれらのアミノ酸となるアミノ酸誘導体を用いてもよい。分岐鎖アミノ酸は免疫アジュバント作用を有することが知られている。よって、これを含有することにより、養殖環境における病害防除効果をさらに高めることができる。
・生体染色用色素
生体染色用の色素であるフクシン、フクシン酸、塩基性フクシンなどは、一般的に染色試薬として使用されている物質であるが、抗ウイルス作用や抗菌作用を持つことが知られている。細胞染色試薬であるクリスタルバイオレットやゲンチアンバイオレットなども免疫アジュバント作用を有することが知られている。よって、これらを含有することにより、養殖環境における病害防除効果をさらに高めることができる。
・増粘剤
増粘剤を含有することにより、その増粘作用により、上記木酢液と上記木炭粉末の複合乾燥物を、水産生物を養殖する養殖設備によく付着させることができる。これにより、複合乾燥物を養魚範囲から無駄に拡散させることがないとともに、有効成分が徐放されることにより、水産生物に効率的に作用させることができる。増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の水産生物用組成物は、養殖場となる水槽、水域、海域などへの散布、養殖場の水面下に設置される設備への付設、飼料に混合しての給餌、水産生物への注射などによって、水産生物に施与することができる。これにより、上記木酢液と上記木炭粉末との複合乾燥物を水産生物に作用させつつ養殖することができ、病害防除効果等、水産生物の生育に好ましい影響を与えることができる。
本発明の水産生物用組成物の施与は、例えば養魚の水槽に添加するなどの方法により、水産生物の養殖の若年期に行うことが好ましい。これによれば、個体の大きさが小さいのでより限定された養魚範囲で施与を行うことができるとともに、水産生物が若年期に一旦獲得した病害に対する抵抗性は、その後上記複合乾燥物を施与しないか、あるいは施与量を少なくしても維持されるので、効率が良い。
また、本発明の水産生物用組成物の施与は、水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに行うことができる。これによれば、免疫アジュバント作用を発揮して、ワクチンの効果を有効に発揮させることができる。
更に、本発明の水産生物用組成物の施与は、上記複合乾燥物を、網などの水産生物を養殖する養殖設備に付着させることにより行うことができる。これによれば、複合乾燥物を養魚範囲から無駄に拡散させることがないとともに、有効成分が徐放されることにより、水産生物に効率的に作用させることができる。
本発明が適用される水産生物としては、特に制限はないが、海水魚であるブリ、ハマチ、マダイ、カンパチ、フグ、ヒラメ、クロマグロ、シマアジ、マアジ、ヒラマサ、イシダイ、カワハギ、メバル、カサゴ、クロダイ、クロソイ、スズキ、チダイ、イサキ、オオニベ、メジナ、マサバ、マハタ、クエ、ギンザケなど、淡水魚であるコイ、ニジマス、ウナギ、アユ、ウグイなど、甲殻類であるエビ、貝類であるカニ、アワビ、ホタテ、ハマグリ、アサリ、アカガイ、藻類であるワカメ、コンブ、ノリなどが挙げられる。
本発明が適用される病害としては、特に制限はないが、細菌性の病害であるビブリオ菌感染、レッドマウス病菌感染など、ウイルス性の病害であるコイ科魚類に感染するコイ春ウイルス血症(SVC)ウイルス感染、コイヘルペスウイルス感染、サケ科魚類に感染するウイルス性出血性敗血症ウイルス感染、流行性造血器壊死症ウイルス感染、ピシリケッチア、マダイイリドウイルス(RSBI: Red Sea Bream Iridovirus)感染、マスストロベリー病ウイルス感染、ウイルス性神経壊死症ウイルス(NNV: Nervous Necrosis Virus)感染、伝染性膵臓壊死ウイルス感染など、アニサキスなどの寄生虫による病害などが挙げられる。
本発明の水産生物用組成物と併用するワクチンとしては、危険性のある生ワクチンよりも、感染能を失わせた抗原のみからなる不活化ワクチンが好ましい。ウイルス、細菌、リケッチア等の病原体の不活化ワクチンは、一般的な手法に従って作製することができる。例えば、ウイルスの不活化ワクチンの形態としては、完全ウイルス粒子であるビリオン、不完全ウイルス粒子、ビリオン構成粒子、その翻訳後修飾体、ビリオン非構成タンパク質、その翻訳後修飾体、感染防御抗原、中和反応のエピトープなどが挙げられる。病原体の不活化は、物理的(例えば、X線照射、熱、超音波)または化学的(ホルマリン、水銀、アルコール、塩素)手法により行うことができる。
本発明の水産生物用組成物の施与量は、適用する水産生物の種類、個体の大きさ、養殖の時期、目的等によって異なり、適宜設定すればよいが、典型的には、例えば、水産生物1匹当たり上記複合乾燥物の量に換算して0.01mg〜100gの量が好ましい。また、体重当たりでは、0.1〜1g/100g体重の量で施与することが好ましく、それを3〜14日間隔、より好ましくは7〜10日間隔で施与することが好ましい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<製造例1>
(木酢液の製造)
メルバウ木、鉄樹、ランブータン、ヤシの木、及びムランティからなるオガクズを、乾燥し、圧縮して、外形が六角形で中心に孔が空いた形状のブリケットに成形した。このブリケットを炭釜に入れて炭になるまで焼き、その際に出る燻煙、水蒸気からなる木ガスを冷やすことにより、液状物を得た。
この液状物を静置すると、上層に油、中間層に水性溶液、下層に木タールが主に分離してくるので、下層に沈殿した木タールを採取した。上記木タールを2.67KPaの減圧下、温度90〜138℃で、約14時間蒸留して木酢液を得た。
(木炭粉末の製造)
上記で得られた炭を、カッターミル及びアトマイザーにて粉砕し、篩分けによって、50メッシュパス、100メッシュオンの画分を選別して、木炭粉末とした。
(複合乾燥物の製造)
上記で得られた木酢液450mlに対し上記木炭粉末100gを混合、分散させ、この分散液を凍結乾燥して、木酢液と木炭粉末との複合乾燥物を得た。
この複合乾燥物を、生理食塩液又は人工海水で希釈して、後述する試験例に用いた。なお、複合乾燥物を希釈する際には、複合乾燥物を生理食塩液又は人工海水に添加した後、室温にて30分以上放置して、充分に分散させた後に用いた。
<試験例1>
製造例1で調製した木酢液と木炭粉末との複合乾燥物(以下、単に「複合乾燥物」とも称する。)について、その病害防除効果をイリドウイルスの感染実験により検討した。
具体的には、ハマチの稚魚を2週間馴化させ、イリドウイルスに対するワクチン(共立製薬株式会社及び阪大微研由来)を注射投与、その2週間後に感染価(MOI)0.1〜10のイリドウイルスを注射することにより感染させた。
上記ワクチンの投与の際に、(A)ワクチン0.1ml/1匹を魚に投与した群(20匹)、(B)ワクチン0.1ml/1匹と、市販のアジュバント1mg/1匹とを混合して魚に投与した群(20匹)、(C)ワクチン0.1ml/1匹と、市販のアジュバント1mg/1匹と、上記複合乾燥物を生理食塩液で10,000倍に希釈した希釈液0.1mg/1匹とを投与した群(20匹)の3群に分けて、それぞれを10L容水槽で別々に飼育し、感染2週間後に、魚の生存率及びIgA量を比較した。
また、対照群として、イリドウイルスを注射することなく、木炭粉末を生理食塩液で希釈した0.1mg/1匹を投与した群について、同様に2週間飼育して、魚のIgA量を比較した。この結果を表1に示す。
その結果、ワクチン単体で使用したものよりも、ワクチンとアジュバントを併用したものの方がウイルス感染に対して予防効果が高かった。更に、本発明の複合乾燥物とアジュバントを一緒に投与したものは、ウイルス感染に対して予防効果が最も高かった。
<試験例2>
製造例1で調製した木酢液と木炭粉末との複合乾燥物について、その病害防除効果を寄生虫の駆除実験により検討した。
具体的には、ハマチ30匹を10L容水槽で2週間馴化させ、寄生虫であるハダムシを接触させることにより感染させた。感染3〜5日後に、本発明の複合乾燥物を、3,000倍希釈となるように、10Lの人工海水中に添加した水槽にハマチを移して、染色目視によって寄生虫を観察したところ、10分で約50%、30分で約90%の個体において寄生虫が駆除された。

Claims (17)

  1. 木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有し、水産生物に施与するためのものであることを特徴とする水産生物用組成物。
  2. 前記木酢液又はその水溶液であって、木クレオソートを含有しないものを用いる、請求項1記載の水産生物用組成物。
  3. 前記木炭粉末の100質量部に対して、前記木酢液又はその水溶液を、前記木酢液に含まれる酢酸の量に換算して0.0012〜12質量部となる量で混合して分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を含有する、請求項1又は2に記載の水産生物用組成物。
  4. 更に、キチン、キトサン、焼成カルシウム、核酸、アミノ酸、生体染色用の色素からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
  5. 更に、増粘剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
  6. 前記水産生物の病害の防除のために用いられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
  7. 前記水産生物の養殖の若年期に施与されるように用いられる、請求項6記載の水産生物用組成物。
  8. 前記水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに施与されるように用いられる、請求項6又は7記載の水産生物用組成物。
  9. 前記水産生物の病害の病原体が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌から選ばれた一種である、請求項6〜8のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
  10. 前記水産生物が、海水魚、淡水魚、甲殻類、貝類、海藻から選ばれた一種である、請求項6〜9のいずれか1つに記載の水産生物用組成物。
  11. 木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を水産生物に施与することを特徴とする水産生物の養殖方法。
  12. 前記水産生物を養殖する養殖設備に前記複合乾燥物を付着させることにより該水産生物に施与する、請求項10記載の水産生物の養殖方法。
  13. 木酢液又はその水溶液に木炭粉末を分散させ、これを乾燥して得られた複合乾燥物を水産生物に施与することを特徴とする水産生物の病害防除方法。
  14. 前記水産生物の養殖の若年期に前記複合乾燥物を施与する、請求項13記載の水産生物の病害防除方法。
  15. 前記水産生物の病害の病原体に由来するワクチンとともに前記複合乾燥物を施与する、請求項13又は14記載の水産生物の病害防除方法。
  16. 前記水産生物の病害の病原体が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌から選ばれた一種である、請求項13〜15のいずれか1つに記載の水産生物の病害防除方法。
  17. 前記水産生物が、海水魚、淡水魚、甲殻類、貝類、海藻から選ばれた一種である、請求項13〜16のいずれか1つに記載の水産生物の病害防除方法。
JP2014259504A 2014-12-19 2014-12-22 水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法 Pending JP2016117694A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014257667 2014-12-19
JP2014257667 2014-12-19

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016117694A true JP2016117694A (ja) 2016-06-30

Family

ID=56242750

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014259504A Pending JP2016117694A (ja) 2014-12-19 2014-12-22 水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016117694A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022003763A1 (en) * 2020-06-29 2022-01-06 Hayashikane Sangyo Co., Ltd. Method for eliminating or reducing the concentration of one or both geosmin and 2-methyl isoborneol within the body of fish and crustaceans and composition for using the same
CN114971563A (zh) * 2022-06-01 2022-08-30 上海海洋大学 基于大数据的水产病害诊断系统

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022003763A1 (en) * 2020-06-29 2022-01-06 Hayashikane Sangyo Co., Ltd. Method for eliminating or reducing the concentration of one or both geosmin and 2-methyl isoborneol within the body of fish and crustaceans and composition for using the same
CN114971563A (zh) * 2022-06-01 2022-08-30 上海海洋大学 基于大数据的水产病害诊断系统
CN114971563B (zh) * 2022-06-01 2024-05-14 上海海洋大学 基于大数据的水产病害诊断系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Vatsos et al. Seaweed extracts as antimicrobial agents in aquaculture
CN103768544B (zh) 一种水产养殖用植物驱虫剂
Parmar et al. Effect of brewer’s yeast on immune response of giant freshwater prawn, Macrobrachium rosenbergii, and its resistance to white muscle disease
Mondal et al. Viral infections in cultured fish and shrimps: current status and treatment methods
Mulyadi et al. Efficacy of seaweed (Sargassum sp.) extract to prevent vibriosis in white shrimp (Litopenaeus vannamei) juvenile
US9657263B2 (en) Pharmaceutical composition for inhibiting infection and replication of influenza A and B virus, and the manufacture thereof
JP2016117694A (ja) 水産生物用組成物、水産生物の養殖方法及び水産生物の病害防除方法
Seraspe et al. Evaluation of dietary freeze-dried Chaetoceros calcitrans supplementation to control Vibrio harveyi infection on Penaeus monodon juvenile
JP4398172B2 (ja) 魚類の感染予防・治療剤
CN107296173A (zh) 提高水产动物免疫力饲料及其制备方法
CN106963758A (zh) 一种防治鱼卵水霉病的制剂及其应用
Vanichkul et al. Immunological and bactericidal effects of turmeric (Curcuma longa Linn.) extract in pacific white shrimps (Litopenaeus vannamei Boone)
Kasiri et al. Effects of supplemented diets by levamisole and Echinacea purpurea extract on growth and reproductive parameters in angelfish (Pterophyllum scalare)
JP6675967B2 (ja) 飼料及びその製造方法
Tampangallo et al. The mortality rate of tiger shrimp Penaeus modonon infected with White Spot Syndrome Virus (WSSV) was treated with Mangrove Sonneratia alba extract at various concentrations
JP2002302454A (ja) アオサを原料とする抗ウイルス剤
CN114304434A (zh) 迷迭香在制备预防和/或治疗水产动物烂身病产品中的应用、水产饲料及其制备方法
WO2015080198A1 (ja) 甲殻類の感染症の抑制方法
JP2009185003A (ja) 水産動物の細菌性・ウィルス性疾患用予防・治療剤及び方法
Abdulrahman et al. Effect of Raw and Boiled Oak Quercus brantii in Performance, Biochemical and Blood Indices, and Proximate Composition of Cyprinus Carpio L.
JP4294326B2 (ja) 魚介類の感染予防及び/又は治療剤
CN103750069A (zh) 一种预防和治疗鱼类细菌和病毒性疾病的饲料添加剂
CN103549117A (zh) 一种畜禽饲料添加剂
Muliani et al. The effectiveness of methanol extract and fractionations from mangrove leaves Sonneratia alba and Bruguiera gymnorrhiza to prevent white spot syndrome virus (WSSV) infection in black tiger shrimp Penaeus monodon.
Dangeubun et al. The use of active compound in the methanol extract of Alstonia acuminata for the improvement of non-specific immune system in tiger grouper (Epinephelus fuscoguttatus)