JP2016116749A - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線装置の移動停止に伴って、X線撮影装置や操作者が受ける衝撃を緩和することができる。【解決手段】レール103には、所定の位置に穴104aが設けられている。移動部2は、ピン105と、穴104aに向かってピン105を突出させるピン突出機構110とを備えている。ピン突出機構110は、穴104aに挿入されたピン105の先端を支点として、ピン105が移動部2の移動に伴って旋回するのを可能にする旋回機構121と、ピン105の旋回により圧縮される弾性体106とを含む。これにより、移動部2の運動エネルギーを弾性体106の圧縮エネルギーに変換し、停止まで時間を延長する。【選択図】図2
Description
本発明は、天井走行式のX線撮影装置に関する。
天井走行式のX線撮影装置は、天井に設けられたレールから移動部を懸架し、移動部から伸縮可能な支柱を吊設し、支柱の下端にX線発生部を取り付けた構造が一般的である。この装置では、X線発生部を、天井面に平行な面内で前後(Y軸)方向および左右(X軸)方向への移動、ならびに、天井面に対して上下(Z軸)方向への移動、回転(水平軸回り)および旋回(垂直軸(Z軸)回り)が可能なように構成されている。このときXY方向への移動は、操作者が手動で行う構成を採用した装置が多い。
天井走行式のX線撮影装置の操作者は、X線発生部を複雑に移動および回転させる操作を行う場合もあるが、XY方向についての定位置でX線発生部を停止させて撮影を行うことも多い。例えば、被検者の胸部撮影では、操作者は、XY方向について所定の位置にX線発生部を停止させた後、Z方向のみ被検者に合わせて調整する。また、腹部単純撮影では、操作者は、XYZ方向について所定の位置にX線発生部を停止させて撮影を行う。
特許文献1には、XY方向の所定位置でX線発生部を停止させるために、レールの所定位置に穴を設け、移動部にはピンを突出させる構造を設けた構造が開示されている。この構造では、所定の位置まで移動部が到達したならば、移動部からピンが突出し、レールの穴に挿入されることにより、移動部を停止させる。これにより、移動部に支持されたX線発生部を停止させる。
ピンを穴に挿入することにより移動部を停止させる特許文献1の構造では、ピンが穴に挿入されたことにより移動部が急停止するため、手動で装置を移動させている操作者の手や装置が受ける衝撃は小さくとも避けられない。また、移動部の移動速度が所定の値以上であると、ピンを突出させることなく停止位置(穴の位置)を通り過ぎるため、操作者が停止位置を見逃す場合がある。
本発明の目的は、X線発生装置の移動停止に伴って、装置や操作者が受ける衝撃を緩和することにある。
本発明にかかるX線撮影装置は、天井に配置されたレールと、レールに懸架され、レールに沿って移動可能な移動部と、移動部によって上端が支持された支柱と、支柱の下端に支持されたX線発生部とを有する。レールには、所定の位置に穴が設けられている。移動部は、ピンと、穴に向かってピンを突出させるピン突出機構とを備えている。ピン突出機構は、穴に挿入されたピンの先端を支点(中心)として、ピンが移動部の移動に伴って旋回するのを可能にする旋回機構と、ピンの旋回により圧縮される弾性体とを含む。
本発明は、X線発生装置の移動停止に伴って、装置や操作者が受ける衝撃を緩和することができる。
本発明の一実施形態に係るX線診断装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかるX線撮影装置の正面方向からの構成を示す図である。図1のX線撮影装置は、天井走行式のX線撮影装置であって、X線撮影装置の操作者は、X線撮影室の中でX線発生部4を移動させることができる。なお、X線撮影装置は、X線発生部4を一つ備えているが、図1においては、一台のX線発生部4が二つの撮影位置にある状態を示している。
X線発生装置は、天井1に配置されたレール103と、レール103に懸架され、レール103に沿って移動可能な移動部2と、移動部2によって上端が支持された支柱3と、支柱3の下端に支持されたX線発生部4とを備えている。X線発生部4は、被検体50a(または被検体50b)にX線を照射する。
レール103は、天井1の主平面に平行なX方向およびY方向にそれぞれ配置され、移動部2は、レール103に沿って、天井1と平行なXY平面内を移動可能である。レール103は、互いに平行に配置されてX方向に移動部2を案内する2本のレールと、同じく互いに平行に配置されてY方向に移動部を案内する2本のレールとを、上下方向に重ね合わせた構成である。図1では、X方向に沿って配置されたレール103のみを図示している。また、移動部2には、XY方向の移動のブレーキが備えられている。
支柱3は、天井1の主平面に垂直なZ軸方向に伸縮可能であり、複数の筒状アームと、それぞれのアーム内に設けられたスライドレールと、スライドレールに対し回転可能でほかのアームに固定されたローラと、ローラにブレーキをかけるZ方向ブレーキとを含んでいる。
X線発生部4は、支柱3の下端に回転連結部13を介して回転可能に支持されている。回転連結部13は、支柱3に対してX線発生部4を保持するとともに、X線発生部4を水平軸および垂直軸(Z軸)の回りで回転させる機構と、これらの回転のブレーキとを有する。また、X線発生部4は、予め設定されたX線撮影条件(X線管電圧、X線管電流、撮影時間等)に応じてX線を発生するX線管を内部に有する。X線管は、所定の電流が供給されたフィラメントから熱電子を放射する陰極と、陰極から放射された熱電子ビームが衝突するターゲットを有する陽極とを有している。フィラメントから放射される熱電子が、陽極のターゲットに衝突することにより、X線が発生する。
操作ハンドル6はX線発生部4に固定され、X線発生部4およびX線絞り部5と一体となっている。操作者が操作ハンドル6を掴み、操作ハンドル6に対してX方向、Y方向、Z方向に沿った力を加えると、X線発生部4およびX線絞り部6はX方向、Y方向、Z方向に移動する。また、操作者が操作ハンドル6を回転すると、X線発生部4およびX線絞り部5は水平軸または垂直軸回りに回転する。
また、操作ハンドル6には、操作パネル14が設置されている。操作パネル14には、X線を発生するX線管のX線撮影条件を操作者から受け付けるための入力部が備えられ、操作者は、入力部にX線撮影条件を入力することができる。また操作パネル14には、X線画像として表示する表示パネルが備えられている。操作者は、表示パネルのX線画像を視認しながら、操作ハンドル6を操作することができる。
加えて操作器パネル14には、X方向・Y方向・Z方向、水平軸回転、垂直軸(Z軸)回転の各ブレーキに対するブレーキ解除スイッチを備えられている。操作者は、各解除ボタンを押すことで任意の方向にX線撮影装置を移動させることができる。
また、X線撮影装置は、X線発生部4のX線発生方向に設置されX線範囲を制限するX線絞り部5と、X線発生部4を移動や回転させる等の操作を行うための操作ハンドル6とを備える。また、臥位となっている被検者50aを撮影するための臥位撮影台9と、立位姿勢の被検者50bを撮影するための立位撮影台11とを備える。臥位撮影台9および立位撮影台11には、撮影時には、それぞれX線検出部7,10が配置される。またX線撮影室内には、X線発生部4に、X線を発生するために必要な電力を供給するX線高電圧発生部16と、X線発生以外の電力を供給する電圧発生部17とが配置される。
X線検出部7、10としては、X線発生部4から発生され被検体を透過したX線を電気信号に変換する変換膜とトランジスタを2次元に配列した平面検出器(フラットパネルディテクタ)や、被検体を透過した2次元X線エネルギーパターンを潜像として蛍光体に蓄積するイメージングプレートを用いることができる。また、検査室内または検査室外には、X線検出部7、10で検出されたX線画像データに基づいたX線画像を生成するX線画像処理部12と、X線画像を表示する表示部8と、X線画像処理部12から出力されたX線画像を記憶する外部記憶部18と、X線撮影装置の各部を制御する制御装置15と、制御装置15に対して操作者が操作指令を行う操作卓19とを備えている。X線画像処理部12は、X線画像に対して、ダイナミックレンジ圧縮処理や周波数強調処理等の画像処理も行う。
図1のように、臥位の被検者50aを操作者が撮影する場合、X線検出部7は臥位撮影台9内に水平に配置される。操作者は、臥位撮影台9内に設置されたX線検出部7を覆うように被検者を横たえ、X線発生部4をXY方向に移動させてX線検出部7の真上に配置し、さらにZ方向の調整を行って、被検者50aの撮影を行う。なお被検者50aの広範囲にX線撮影を行う場合、X線検出部7に対して、被検者50aの乗った臥位撮影台9が被検者50aの体軸方向に移動することで、被検者50aの異なる部位の撮影を行うことができる。一方、立位の被検者50bを操作者が撮影する場合、X線検出部10は立位撮影台11内部に立てて配置される。そして立位撮影台11のX線検出部10を覆うように被検者50bを立たせ、X線発生部4をXY方向に移動させてX線検出部7の前に配置し、さらにZ方向の調整を行って、その状態で被検者50bの撮影を行う。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係るX線撮影装置について図2から図6を用いて説明する。第一実施形態に係るX線撮影装置は、レール103の所定の位置に位置決め穴104aが設けられている。移動部2には、ピン105と、位置決め穴104aに向かってピン105を突出させるピン突出機構110とが備えられている。ピン突出機構110は、位置決め穴104aに挿入されたピン105の先端を支点(中心)として、ピン105が移動部2の移動に伴って旋回可能にする旋回機構が備えられている。また、ピン突出機構110には、ピン105の旋回により圧縮される弾性体(例えばバネ)106が配置されている。ここでは、旋回機構として、ピン105の先端とは逆側の端部に設けられた回転軸121を用いる。回転軸121を中心にピン105が回動することによりピン105は先端を支点として旋回する。
本発明の第一実施形態に係るX線撮影装置について図2から図6を用いて説明する。第一実施形態に係るX線撮影装置は、レール103の所定の位置に位置決め穴104aが設けられている。移動部2には、ピン105と、位置決め穴104aに向かってピン105を突出させるピン突出機構110とが備えられている。ピン突出機構110は、位置決め穴104aに挿入されたピン105の先端を支点(中心)として、ピン105が移動部2の移動に伴って旋回可能にする旋回機構が備えられている。また、ピン突出機構110には、ピン105の旋回により圧縮される弾性体(例えばバネ)106が配置されている。ここでは、旋回機構として、ピン105の先端とは逆側の端部に設けられた回転軸121を用いる。回転軸121を中心にピン105が回動することによりピン105は先端を支点として旋回する。
このように、ピン105の先端を支点(中心)として旋回可能にし、ピン105の旋回によりピン105の側面によって弾性体106が図5のように圧縮される構成にしたことにより、ピン105が位置決め穴104aに挿入されてから、移動部2が完全に停止するまでの移動部2の運動エネルギー(移動部2の移動速度および質量に応じた運動エネルギー)を、ピン105が弾性体106を圧縮するエネルギーに変換しながら徐々に停止させることができる。よって、従来のようにピン105が旋回せず、ピン105が穴104aに挿入された瞬間に移動部2が停止する場合と比較して、本実施形態では、ピン105が穴104aに挿入されてから停止するまでの時間(衝突時間)を延ばすことができる。衝突時間が伸びることにより、移動部2の停止に伴う衝撃を従来よりも緩和することができる。衝突のエネルギーは、力と時間の積(力積)によりあらわされるので、瞬間の剛体衝突(ピン105と穴104aとの衝突)になる従来例に対して、同じ衝突であっても衝突時間が伸びることにより、衝突によりピン105が受ける力を低減できる。
衝突後は、圧縮された弾性体106が伸びることで、圧縮エネルギーを解放し、ピン105は、旋回していない状態(正立状態)、もしくは、それに近い状態に戻る。
なお、ピン105の旋回角度は、弾性体106の弾性定数(例えばバネ定数)と、移動部2の運動エネルギーにより定まるため、旋回角度が許容範囲内に収まるように弾性体106の弾性定数を設定することが望ましい。
弾性体106は、ピン105の軸を挟んで対向するように一対配置されていることが望ましい(図1参照)。これにより、移動部2が、レール103に沿った2方向のいずれの方向に旋回した場合でも、一対の弾性体106のいずれかが圧縮され、衝撃によりピン105が受ける力を緩和できる。
以下、本実施形態の移動部2の構造を図2から図6を用いてさらに詳しく説明する。ここでは、移動部2に備えたピン突出機構110は、天井面と平行に動作する平行リンク(以下、平行リンク110と呼ぶ)を備えている。平行リンク110は、駆動リンク115と従動リンク114を、2本の補助リンク116により、平行を維持しながら回動可能に接続した構成である。駆動リンク115および従動リンク114の端部は、平行リンク回転軸113により、回転可能に移動部2に軸支されている。
一対のレール103のうち一方の内側側面には、位置決め穴104aを備えた位置決め片104が固定されている。位置決め片104はレール103の予め定めた位置に固定される。図3に示すように、位置決め片104は、移動部2の上方から見たときに先端が平坦な山形形状をしている。すなわち位置決め片104の先端の平坦部は、ピン105の先端と対向し、ピン105の動作方向と垂直なピン受面104bとなる。
ピン105は、円柱形状で、先端とは逆側の端部が、従動リンク114に回転軸121により回転自在に固定される。ピン105の従動リンク114への固定位置(回転軸121)は、二つの補助リンク116から等距離である。補助リンク116は、ピン105の先端側に延長されており、その延長された端部には、一対の弾性体106がピン105を両側から挟むように配置され、ピン105の姿勢を規定している。弾性体106は、ピン105の旋回に伴い圧縮される。ここでは、弾性体106として、バネを用いる例について以下説明するが、バネ以外の弾性体、例えば、ゴムや合成樹脂製の弾性体を用いることも可能である。また、バネ(以下、バネ106と呼ぶ)としては、線材を巻き回したコイル状のもののみならず、板ばね等の他の構造のものを用いることも可能である。
駆動リンク115の回転軸113とは逆側の端部には、レール105の長手方向に垂直な方向に伸縮する復元バネ107が接続されている。また、駆動リンク115には、レバー111の先端が接続されている。レバー111は、レバー回転軸112により、回転可能に移動部2に固定されている。レバー111の他端には、レール103の長手方向に平行な移動方向Cに沿って移動するソレノイド軸108aが接続されている。ソレノイド軸108aは、ソレノイド108により移動方向Cに移動する。これにより、レバー111が回転軸112を中心に回転し、駆動リンク115の端部を、復元バネ107を圧縮する方向に移動させる。これにより、ピン105は、その軸方向に沿って、先端がレール103に接近する方向(移動方向B)に移動し、穴104aに挿入される。
本実施形態では、平行リンク110を採用したことにより、平行リンク7の回転状態にかかわらず、補助リンク116をレール103の長手方向に垂直方向に維持できる。よって、バネ106の伸縮状態を、ピン105が旋回していない場合には、所定の状態に保持することができる。
移動部2は、4つのローラ102により、平行に配置された2本のレール上を移動方向Aに対して動作可能に支持されている。移動部2はレール103の端部に設けられた移動部位置検出センサにより、移動方向Aの位置を検出できる。本実施形態では、移動部位置検出センサはポテンショメータ109である。
本実施形態の機構の動作について説明する。
移動部2が、操作者の操作によりXY方向に移動させられると、ポテンショメータ109により、移動部の位置が検知される。この位置が所定の位置に到達すると、制御装置15の指令によりソレノイド108が動作し、ソレノイドの軸108aが移動方向Cの方向に移動する。これにより、レバー111が、回転軸112を中心に回転し、復元バネ107を圧縮しながら平行リンク110が、回転軸113を中心に天井面に平行な面内で回転する。これにより、バネ105は、両側をバネ106に挟まれながら、その軸方向Bに沿って先端をレール103に接近させるように移動し、図4のように位置決め片104の位置決め穴104aに挿入される。このとき、ポテンショメータ109の位置検知精度が粗く、ピン105の先端が位置決め穴104aからずれたピン受け面104bに押し当てられた場合、ピン105の先端がピン受面104b上を滑り、穴104aに挿入される。このように、ピン受け面104bを設けたことにより、ピン105の先端を穴104aに導くことができる。
移動部2が、操作者の操作によりXY方向に移動させられると、ポテンショメータ109により、移動部の位置が検知される。この位置が所定の位置に到達すると、制御装置15の指令によりソレノイド108が動作し、ソレノイドの軸108aが移動方向Cの方向に移動する。これにより、レバー111が、回転軸112を中心に回転し、復元バネ107を圧縮しながら平行リンク110が、回転軸113を中心に天井面に平行な面内で回転する。これにより、バネ105は、両側をバネ106に挟まれながら、その軸方向Bに沿って先端をレール103に接近させるように移動し、図4のように位置決め片104の位置決め穴104aに挿入される。このとき、ポテンショメータ109の位置検知精度が粗く、ピン105の先端が位置決め穴104aからずれたピン受け面104bに押し当てられた場合、ピン105の先端がピン受面104b上を滑り、穴104aに挿入される。このように、ピン受け面104bを設けたことにより、ピン105の先端を穴104aに導くことができる。
ピン105の先端が位置決め穴104aに挿入されたことにより、ピン105の先端は穴104aの位置に固定されるが、移動部2は慣性により進行方向に移動し、ピン105は図5のように旋回する。このとき、ピン105の旋回により一方のバネ106がピン105の側面に押されて圧縮される。これにより、移動部2の運動エネルギーを圧縮エネルギーに変換して、移動部2を停止させる。したがって、ピン105が旋回し、バネ106が圧縮される動作に対応する時間だけ、ピン105と穴105aとの衝突時間(Δt)が引き延ばされ、衝突の際の力積(F×Δt)に対応する衝撃力F、すなわちピン105が受ける力Fを小さくできる。
移動部2が停止した後、圧縮されたバネ106の復元力により、ピン105が、図6のように、正立状態(図4の示す状態)もしくはそれに近い状態にへ戻って移動部2は停止する。移動部2の停止後、制御装置15は、図6に示すように電磁ブレーキ117を作動させて、レール103に設置されている吸着板118に電磁ブレーキ117を吸着させ、移動部2の停止状態を保持する。
なお、移動部2の位置が所定の位置に到達した際に、移動部2の移動速度が所定の速度以上である場合、ピン105は一度位置決め穴104aに挿入された後、駆動リンク115の結合点を中心に、天井面に平行に回転して、位置決め穴104aから外れることにより、運動エネルギーを放出しながら、さらに進んで停止する。この場合、操作者は、再び、所定の位置まで移動部2を戻すことにより、位置決め穴104aにピン105が挿入され、移動部2を停止させることができる。
ここで比較例として、従来の移動部2に設けられた、ピン突出機構について図7を用いて説明する。従来のピン突出機構はソレノイド108によりソレノイドの軸が動作方向Cに向けて動作し、その動作によりレバー111が、レバー固定軸112を中心に、天井面と平行に回転する。レバー111の回転により、ピンガイド120によって、動作方向Bに動作可能なように保持されたピン105が、動作方向Bに突出し、ピン105が位置決め穴104aに挿入される。ピンガイド120は、移動部2に固定されているため、ピン105が位置決め穴104aに挿入され、瞬時に移動部2が停止する。このため、本実施形態よりも挿入されてから停止するまで衝突時間Δtが小さく、ピン105の先端には、運動エネルギーが力に変換された大きな衝撃力Fが、作用する。
本実施形態は、X線撮影装置の移動部2が停止する際のピン105が受ける衝撃力Fを小さくでき、操作者や装置が受ける衝突力を緩和できる。また、所定の速度以上のときには、ピン105が位置決め穴104aから外れることで、バネ106の圧縮では受け止めきれない運動エネルギーを移動部2を移動させることで放出できる。よて、操作者や装置が受ける衝撃力の上限をバネ106のバネ定数によって設定することができる。
<第二実施形態>
図8には、本発明の第二実施形態に係る移動部2の平面図を示す。第一実施形態とはピン突出機構の構成が異なる。すなわちピン105を動作させる機構が、一つの構造体である回転フレーム130上に配置され、ピン105の旋回に伴い、回転フレーム130が軸131を中心に回転して旋回する。バネ106は、回転フレーム130の両側に配置され、回転フレーム130の旋回により圧縮される。回転フレーム130には、ソレノイド108レバー111が搭載され、レバー111の端部には、ピン105の端部が固定されている。ピン105の端部には、復元バネ107が挿入されている。また、回転フレーム130には、ピン105の中央部にピンガイド120が配置されている。
図8には、本発明の第二実施形態に係る移動部2の平面図を示す。第一実施形態とはピン突出機構の構成が異なる。すなわちピン105を動作させる機構が、一つの構造体である回転フレーム130上に配置され、ピン105の旋回に伴い、回転フレーム130が軸131を中心に回転して旋回する。バネ106は、回転フレーム130の両側に配置され、回転フレーム130の旋回により圧縮される。回転フレーム130には、ソレノイド108レバー111が搭載され、レバー111の端部には、ピン105の端部が固定されている。ピン105の端部には、復元バネ107が挿入されている。また、回転フレーム130には、ピン105の中央部にピンガイド120が配置されている。
本実施形態の機構の動作について、第一実施形態と異なる点を説明する。
移動部2が操作者により操作されXY方向に移動させられると、ポテンショメータ109により、走行方向の位置が検知される。この位置が所定の位置に到達すると、制御装置15の指令によりソレノイド108が動作し、ソレノイド108によりソレノイドの軸108が方向Cに移動し、その動作によりレバー111が、レバー固定軸112を中心に、天井面と平行な面内で回転する。レバー111の回転により、ピン105がその軸方向Bに沿って、ピンガイド120にガイドされながら突出し、位置決め穴104aに挿入される。またこの際、ピン105を遊嵌するように位置する復元バネ107が圧縮される。
移動部2が操作者により操作されXY方向に移動させられると、ポテンショメータ109により、走行方向の位置が検知される。この位置が所定の位置に到達すると、制御装置15の指令によりソレノイド108が動作し、ソレノイド108によりソレノイドの軸108が方向Cに移動し、その動作によりレバー111が、レバー固定軸112を中心に、天井面と平行な面内で回転する。レバー111の回転により、ピン105がその軸方向Bに沿って、ピンガイド120にガイドされながら突出し、位置決め穴104aに挿入される。またこの際、ピン105を遊嵌するように位置する復元バネ107が圧縮される。
ピン105が位置決め穴104aに挿入された時点で、ピン105の先端は位置決め穴104に固定され、移動部2が慣性により進行することにより、ピン105が旋回し、これに伴いピン105が搭載されている回転フレーム130が、フレーム固定軸を中心に回転する。このとき、バネ106が圧縮されることにより、移動部2の運動エネルギーが圧縮エネルギーに変換され、移動部2が徐々に停止する。よって、ピン105が位置決め穴104aに挿入されてから停止するまでの時間(衝突時間Δt)を延ばすことができ、ピン105が受ける力(衝撃力F)を小さくできる。
移動部2が停止した後、圧縮されたバネ106が復元することにより、ピン105および回転フレーム130は、正立状態(図4の示す状態)またはそれに近い状態へ戻り、移動部2は停止する。その後、制御装置15は電磁ブレーキ117を作動させて、レール103に設置されている吸着板118に電磁ブレーキ117を吸着させ、移動部2の停止状態を保持する。
なお移動部2移動速度が、所定の速度以上である場合、ピン105は一度位置決め穴104aに挿入された後、移動部2の移動に伴って旋回し、位置決め穴104bから外れる。
他の構成は、第一実施形態と同様である。なお、本実施形態では、回転フレーム130を挟むようにバネ106を配置したが、例えば、回転軸131に、トーションバネを配置して、運動エネルギーを弾性エネルギーに変換することも可能である。
<第三実施形態>
第一および第二実施形態で述べたように、移動部2の停止後は、圧縮されたバネ106の復元力によりピン105が旋回していない(正立)状態に復帰するが、レール103が波打つなど設置状態に起因する外力がある場合や、ピン突出機構の経年化による摩擦力の変化がある場合等には、バネ106の力ではピン105が完全に正立した状態まで復帰できないことがある。そこで、第三実施形態では、ピン105が正立状態に復帰しているかどうかを検出するために、バネ106の圧縮状態を検出するセンサ132を備える。
第一および第二実施形態で述べたように、移動部2の停止後は、圧縮されたバネ106の復元力によりピン105が旋回していない(正立)状態に復帰するが、レール103が波打つなど設置状態に起因する外力がある場合や、ピン突出機構の経年化による摩擦力の変化がある場合等には、バネ106の力ではピン105が完全に正立した状態まで復帰できないことがある。そこで、第三実施形態では、ピン105が正立状態に復帰しているかどうかを検出するために、バネ106の圧縮状態を検出するセンサ132を備える。
図9には、本発明の第三実施形態に係る移動部2の平面図を示す。第三実施形態は、第二実施形態のピン突出機構と同様の構成であるが、バネ106の圧縮量を検知するセンサ132を備えている。このセンサ132からの検知結果に基づいて、制御装置15は検知結果を操作パネル14等に表示したり、ブザーにより操作者に報知したりする。
図9のように、バネ106を保持するガイド軸106aの、ピン105とは逆側に延長され、センサ132が配置されている。センサ132は、バネ106が圧縮されているときにはガイド軸106aの端部に接触するようにその位置が定められている。よって、バネ106が圧縮されている場合、すなわち、ピン105が旋回している場合には、センサ132は信号を出力する。
制御装置15は、移動部2の停止後、ピン105が旋回していることを示す信号をセンサ132が出力している場合には、ブザーや、表示部8や、操作パネル14の表示パネルに表示することにより操作者に報知する。操作者は、これらの報知により、ピン105が旋回していることを認識し、操作ハンドル6を掴んで移動部2の位置を微調整し、ピン105が旋回していない(正立)状態にすることができる。これにより、移動部2を、穴104aに対してピン105が正確に配置した位置に配置することができるため、X線発生部4のX線照射範囲を正確に設定することができる。
本実施形態では、センサ132により、移動部2の位置を正確に検出できるため、ポテンショメータ109として検出精度が高精度ではないものを使用することができる。よって、低コストでありながら、高精度に移動部2の位置を検出できるX線撮影装置を提供することができる。
なお、本実施形態については第二実施形態のピン突出機構に対して、センサ132を用いる構成として説明したが、これに限定されるものではなく、第一実施形態のピン突出機構について用いることもできる。
<第四実施形態>
第四の実施形態では、移動部2が停止したのち、ピン105が旋回していない状態まで移動部2を移動させるための駆動機構を、移動部2に搭載している。
図10は、本発明の第四実施形態に係る移動部2の平面図を示す。第四実施形態は、第三実施形態のピン突出機構の回転フレーム130の回転軸131を回転させる駆動機構(復帰駆動部)133を備えている。移動部2が停止したのち、センサ132がピン105が旋回していることを示す信号を出力している場合には、制御装置15の制御下で駆動機構133が回転フレーム130を回転させることにより、ピン105を正立状態に復帰させる。
第四の実施形態では、移動部2が停止したのち、ピン105が旋回していない状態まで移動部2を移動させるための駆動機構を、移動部2に搭載している。
図10は、本発明の第四実施形態に係る移動部2の平面図を示す。第四実施形態は、第三実施形態のピン突出機構の回転フレーム130の回転軸131を回転させる駆動機構(復帰駆動部)133を備えている。移動部2が停止したのち、センサ132がピン105が旋回していることを示す信号を出力している場合には、制御装置15の制御下で駆動機構133が回転フレーム130を回転させることにより、ピン105を正立状態に復帰させる。
すなわち、図10のように、回転フレーム130の回転軸131には、回転フレーム130を回転させるためのベルト133aが巻回され、ベルト133aは駆動機構133内のモータに接続されている。また、駆動機構133には、例えば、ベルト133とモータとを接続または非接続状態に切り替えるクラッチが備えられている。
移動部2が停止するまで、制御装置15は、駆動機構133のクラッチを切り、回転フレーム130は自由に回転できるようにする。これにより、第二実施形態で説明したように、ポテンショメータ109の検出結果により、ピン105の先端が穴104aに挿入され、ピン105が旋回して、バネ106が圧縮され、移動部2が停止する。バネ106の復元により、ピン105が旋回していない(正立)状態もしくはそれに近い状態で停止する。ピン105が正立せず旋回している場合は、センサ132がそのことを示す信号を出力する。制御装置15は、この信号を受けて、駆動機構133のクラッチ接続し、回転軸131をモータおよびベルト133aを介して回転させる。これにより、ピン105を正立させた状態に戻すことができるため、移動部2を正確に穴104aの位置に配置することができ、正確にX線照射範囲を位置決めできる。
なお本実施形態については、第二実施形態のピン突出機構を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、第一実施形態のピン突出機構について、駆動機構133も配置することができる。その場合、駆動機構133は平行リンクの回転軸113またはピン105の回転軸121を回転させるように構成すればよい。
<第五実施形態>
図11には、本発明の第五実施形態に係る移動部2の平面図を、図12には、図11の移動部2を構成するピン105の先端の斜視図を示す。第五実施形態では、ピン突出機構のピン105の、先端に転がり機構141を備える。
図11には、本発明の第五実施形態に係る移動部2の平面図を、図12には、図11の移動部2を構成するピン105の先端の斜視図を示す。第五実施形態では、ピン突出機構のピン105の、先端に転がり機構141を備える。
図12に示すように本実施形態に係る転がり機構141は、ピン105の先端に切欠き144を設け、その切欠きに入り込み、その一部がピン105の先端からはみ出すように転がり円筒142を設けている。この転がり円筒142は、中心軸143を中心に回転する。転がり機構141の転がり方向は、移動部2の動作方向と平行な方向にする。このように構成することで、ピン105がレール103に対して接触した状態で、移動部2が移動しても、ピン105の先端とレール103の間に摩擦が働かず、ピン105は移動部2の動作方向の力を受けることが無い。このため、第五実施形態のX線撮影装置では、レール103に直接、位置決め穴104aを設けることが可能である。ピン105は先端に転がり機構141を備えるため、位置決め穴104aの前後でピン105が突出した場合でも、ピン105の先端は、レール103上を転がり機構141により走行して穴104aに挿入される。よって、第一から第四実施形態のように位置決め片104を配置せず、レール103が穴104aを配置できる。
なお、位置決め片104を配置する第一から第四の実施形態のピン105に、転がり機構141を配置することももちろん可能である。
なお、位置決め片104を配置する第一から第四の実施形態のピン105に、転がり機構141を配置することももちろん可能である。
1…天井、2…移動部、3…支柱、4…X線発生部、5…X線絞り部、6…操作ハンドル、7…X線検出部、8…表示部、9…臥位撮影台、10…X線検出部、11…立位撮影台、12…X線画像処理部、13…回転連結部、14…操作パネル、15…制御装置、102…ローラ、103…レール、104…位置決め片、104a…位置決め穴、104b…ピン受面、105…ピン、106…バネ、107…復元バネ、108…ソレノイド、109…ポテンショメータ、110…ピン突出機構(平行リンク)、111…レバー、112…回転軸、113…回転軸、114…従動リンク、115…駆動リンク、116…補助リンク、117…電磁ブレーキ、118…吸着板、120…ピンガイド、130…回転フレーム、131…回転軸、132…センサ、133…駆動機構、141…転がり機構
Claims (12)
- 天井に配置されたレールと、前記レールに懸架され、前記レールに沿って移動可能な移動部と、前記移動部によって上端が支持された支柱と、前記支柱の下端に支持されたX線発生部とを有し、
前記レールには、所定の位置に穴が設けられ、
前記移動部は、ピンと、前記穴に向かって前記ピンを突出させるピン突出機構とを備え、
前記ピン突出機構は、前記穴に挿入された前記ピンの先端を支点として、前記ピンが前記移動部の移動に伴って旋回するのを可能にする旋回機構と、前記ピンの前記旋回により圧縮される弾性体とを含むことを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記弾性体は、前記ピンの軸を挟んで対向するように一対配置され、前記移動部が前記レールに沿った2方向のいずれの方向に移動した場合でも、前記ピンの旋回により、一対の前記弾性体のいずれかが圧縮されるように構成されていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記旋回機構は、前記ピンの先端とは逆側の端部に設けられた回転軸であり、前記回転軸を中心に前記ピンが回動することにより、前記ピンは先端を支点として旋回することを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記ピンの軸方向は、前記天井に平行な面内に配置されていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記穴は、前記レールに固定された位置決め片に設けられていることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記移動部の前記レールにおける位置を検出する位置検出部をさらに備え、
前記ピン突出機構は、前記移動部が前記所定の位置に到達したことを前記位置検出部が検出したならば、前記ピンを突出させることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項6に記載のX線撮影装置において、
前記位置検出部が、レールに沿った位置を計測するポテンショメータであることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記ピン突出機構は、前記一端が回転可能に前記移動部に固定された平行リンクと、前記平行リンクを回転させる駆動部とを含み、
前記ピンの前記回転軸は、前記平行リンクに接続され、前記弾性体は、前記平行リンクに支持されていることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記旋回機構は、前記ピンを搭載し、前記ピンの先端を支点として前記ピンとともに前記移動部の移動に伴って旋回するフレームを含み、前記弾性体は、前記フレームに接し、前記フレームの旋回により圧縮されることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記ピン突出機構は、前記移動部が停止後、前記弾性体が圧縮されているかどうかを検出するセンサと、前記センサが前記弾性体が圧縮されていることを検出した場合、操作者に報知する制御装置をさらに備えることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項10に記載のX線撮影装置であって、前記ピン突出機構は、前記ピンを旋回していない状態に復帰させる復帰駆動部を備えることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記ピンの先端に、転がり機構を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014258882A JP2016116749A (ja) | 2014-12-22 | 2014-12-22 | X線撮影装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016116749A true JP2016116749A (ja) | 2016-06-30 |
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JP2014258882A Pending JP2016116749A (ja) | 2014-12-22 | 2014-12-22 | X線撮影装置 |
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JP (1) | JP2016116749A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110680547A (zh) * | 2019-10-17 | 2020-01-14 | 甘肃省人民医院 | 一种可调定点放射损伤造模支架及定点放射损伤实验模型 |
KR20200089835A (ko) * | 2019-01-18 | 2020-07-28 | (주)디알젬 | 엑스선 촬영장치의 디텐트 모듈 |
-
2014
- 2014-12-22 JP JP2014258882A patent/JP2016116749A/ja active Pending
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KR102203458B1 (ko) * | 2019-01-18 | 2021-01-15 | (주)디알젬 | 엑스선 촬영장치의 디텐트 모듈 |
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