JP2016116633A - ワイヤ編組型ステント及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体内での異物反応を抑制でき、しかも適切なラジアルフォースを確保しつつ薄肉化が可能なワイヤ編組型ステント及びその製造方法を提供する。【解決手段】複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステント10は、生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない金属製の第1ワイヤ(管腔確保ワイヤ12及び造影ワイヤ16)と、生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤ(生体腐食性ワイヤ14)とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステント及びその製造方法に関する。
近年、例えば急性心筋梗塞や狭心症の治療において、外科的に開胸手術を行うことなくカテーテルを用いて治療を行う経皮的冠動脈形成術(PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)の一種として、冠動脈の病変部(狭窄部)にステントを留置することにより血流を改善するステント留置術が行われている(例えば、特許文献1)。なお、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の生体管腔内に形成された病変部の改善についてもステントの留置が行われることがある。
従来提案されているステントの種類には、例えば、金属ステント、薬剤溶出型金属ステント、生体吸収型ステント、生体腐食型金属ステントがある。
金属ステントの例としては、SUSやコバルト・クロム合金、Ni−Ti合金等を用いたワイヤ編組ステント、パイプのレーザカットステント、正弦波に形状付けされたワイヤを螺旋状に巻き付けてレーザ溶接したステント等がある。しかしながら、金属ステントの場合、生体内に留置したときのステント体積がそのまま維持されて永久的に生体内に異物として残るため、生体内で異物反応を起こしやすい。
薬剤溶出型金属ステントは、上述した金属ステントの外表面に薬剤を塗布し、血管の再狭窄を抑制することを目的としたステントである。薬剤溶出型金属ステントも金属ステントと同様の理由で、生体内で異物反応を起こしやすい。
生体吸収型ステントは、生体吸収性を有する生分解性ポリマー(ポリ乳酸、ポリグリコール酸等)により構成されるステントであり、外表面に薬剤が塗布されることもある。生体吸収型ステントの場合、金属ステントと比較して相対的にラジアルフォース(血管径確保強度)が低いことから、適度のラジアルフォースを確保するためには肉厚を薄くできない。そのため、末梢血管や蛇行した血管への留置には適していない。
生体腐食型金属ステントとしては、例えば、特許文献2に開示されているように、実用的な強度を備え、高い生体適合性を有し、且つ生体内で急速に腐食を起こし溶解するマグネシウム合金製ステントがある。しかしながら、マグネシウム合金製ステントは、生体内で急速に腐食を起こすため、肉厚が薄い場合には、血管内腔を適切に確保できず、治療効果が低い。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、生体内での異物反応を抑制でき、且つ適切なラジアルフォースを確保しつつ薄肉化が可能なワイヤ編組型ステント及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステントであって、生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない金属製の第1ワイヤと、前記生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤと、を備える、ことを特徴とする。
上記のように構成された本発明のワイヤ編組型ステントによれば、金属製の第1ワイヤを含むため、肉厚を薄くしやすく、細い生体管腔や蛇行した生体管腔への留置に好適である。また、このワイヤ編組型ステントは、生体管腔内への留置後、経時的に編組構造が変化する。すなわち、初期ステージにおいては、ストラットの編組密度が高く(ワイヤ体積が多く)ラジアルフォース(管腔径確保強度)が大きいため、生体管腔内径を好適に確保することができる。中期ステージにおいては、第2ワイヤが次第に溶解又は分解することによって、編組密度が次第に低下する。後期ステージにおいては、第2ワイヤの消失によって一部のワイヤの編組構造のみが残るので、生体内での異物反応を抑制することができる。このように、このワイヤ編組型ステントは、生体管腔の治癒プロセスに応じて経時的に最適な構造に変化していくため、高い治療効果が得られる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記第2ワイヤは、前記生体内で経時的に腐食を起こして溶解する金属製の生体腐食性ワイヤであってもよい。
この構成によれば、第2ワイヤとして金属製の生体腐食性ワイヤを用いるので、適切なラジアルフォースの確保と薄肉化が一層容易となる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記第1ワイヤは、前記生体管腔の内径を確保するための管腔確保ワイヤを含んでもよい。
この構成により、ラジアルフォースを好適に確保することができる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記第2ワイヤの本数比率は、前記管腔確保ワイヤの本数比率よりも大きくてもよい。
この構成により、後期ステージにおけるストラットの編組密度を効果的に低くすることができ、生体内での異物反応を一層抑制することができる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記第1ワイヤは、X線造影性を有する造影ワイヤを含んでもよい。
この構成により、生体内の所望位置に容易にステントを配置することができる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記第2ワイヤの本数比率は、前記造影ワイヤの本数比率よりも大きくてもよい。
この構成により、後期ステージにおけるストラットの編組密度を効果的に低くすることができ、生体内での異物反応を一層抑制することができる。
上記のワイヤ編組型ステントにおいて、前記ワイヤ編組型ステントのストラットの表面には、生体管腔の再狭窄を抑制するための薬剤が塗布されていてもよい。
この構成により、生体管腔の再狭窄を抑制することができる。また、本発明のワイヤ編組型ステントは、初期ステージにおける編組密度が高いため、薬剤塗布面積が大きく、塗布された薬剤による生体管腔の治療効果が高い。よって、生体管腔の再狭窄を効果的に抑制することができる。
また、本発明は、複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステントの製造方法であって、生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない第1ワイヤと、前記生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤとを準備するワイヤ準備工程と、コア芯棒の周囲に前記第1ワイヤと前記第2ワイヤを互い違いに交差させて巻き付ける編組工程と、を含む、ことを特徴とする。
上記のワイヤ編組型ステントの製造方法によれば、肉厚を薄くしやすく、細い生体管腔や蛇行した生体管腔への留置に好適なワイヤ編組型ステントを製造することができる。また、この製造方法によれば、生体管腔の治癒プロセスに応じて経時的に最適な構造に変化することにより高い治療効果が得られるワイヤ編組型ステントを製造することができる。
上記のワイヤ編組型ステントの製造方法において、前記第1ワイヤは、前記生体管腔の内径を確保するための複数本の管腔確保ワイヤを含み、前記管腔確保ワイヤ同士の交点においてスポット溶接を行う溶接工程をさらに含んでもよい。
これにより、管腔確保ワイヤ同士の交点を溶接するので、適度のラジアルフォースを容易に確保することができる。
上記のワイヤ編組型ステントの製造方法において、前記管腔確保ワイヤ同士の一部の前記交点において、前記スポット溶接を行わないことにより、溶接されない前記交点を残してもよい。
このように溶接しない箇所を設けておくことにより、生体管腔のサイドブランチ存在箇所にワイヤ編組型ステントを留置する場合には、溶接していない交点の箇所を適宜の拡張デバイスにより拡張して開口部を形成することで、体液の流路を好適に確保することが可能となる。
本発明のワイヤ編組型ステント及びその製造方法によれば、生体内での異物反応を抑制でき、且つ適切なラジアルフォースを確保しつつ薄肉化が可能である。
以下、本発明に係るワイヤ編組型ステント及びその製造方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るワイヤ編組型ステント10の側面図である。このワイヤ編組型ステント10は、例えば、急性心筋梗塞や狭心症の治療において、冠動脈の病変部(狭窄部)にステントを留置することにより血流を改善するステント留置術に用いられる。なお、本発明のワイヤ編組型ステント10は例えば、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善のためにも適用可能である。
ワイヤ編組型ステント10は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステントのいずれの形態にも構成され得る。
自己拡張型ステントは、弾性力による自己拡張機能を備え、血管等の生体管腔内でシースから放出されて自己拡張することで生体管腔内に留置されるステントである。自己拡張型ステントの場合、生体管腔内の所望の位置に送達し、留置するためのデリバリーカテーテルとして、内管と、内管に対して軸方向にスライド可能なシースとを有する構成のデバイスが用いられる。ワイヤ編組型ステント10は、初期状態において内管の先端部近傍の外側に載置され、収縮状態でシース内に収容されており、生体管腔内の所望位置へと送達されると、シースから放出されることで弾性力に基づいて自己拡張する。
バルーン拡張型ステントは、バルーンによって内側から押し広げられることで血管等の生体管腔内に留置されるステントである。バルーン拡張型ステントの場合、生体管腔内の所望の位置に送達し、留置するためのデリバリーカテーテルとして、先端部に拡張及び収縮可能なバルーンを備えたバルーンカテーテルが用いられる。ワイヤ編組型ステント10は、初期状態において収縮したバルーンの外側に載置(保持)されており、生体管腔内の所望位置へと送達された後、バルーンの拡張に伴って内側から押し広げられることで拡張する。
図1に示すワイヤ編組型ステント10は、目的に応じて特性の異なる複数種類のワイヤで構成されたステントであって、生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない金属製の第1ワイヤと、経時的に生体内で溶解又は分解する第2ワイヤとを備える。
本実施形態においては具体的には、ワイヤ編組型ステント10は、管腔確保ワイヤ12と、生体腐食性ワイヤ14と、造影ワイヤ16とを備え、全体として筒状体に形成されている。これらのワイヤは、第1の螺旋方向に延在する複数のワイヤと、第1の螺旋方向とは逆方向の第2の螺旋方向に延在する複数のワイヤとを含み、第1の螺旋方向の複数のワイヤと、第2螺旋方向の複数のワイヤとが交差して織り上げられて、メッシュ状の編組構造を成している。
管腔確保ワイヤ12は、生体適合性に優れ、永久的に生体管腔内に留置され、生体管腔の内径を確保することを目的としたワイヤであり、本実施形態では複数本設けられている。ワイヤ編組型ステント10が自己拡張型ステントして構成される場合、管腔確保ワイヤ12は、生体内で耐食性に優れるとともに、自己拡張性に優れた金属材料により構成される。このような金属材料としては、例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金が挙げられる。
ワイヤ編組型ステント10がバルーン拡張型ステントとして構成される場合、管腔確保ワイヤ12は、生体内で耐食性に優れ、バルーンによって容易に拡張でき且つ拡張後の形状を保持できる金属材料により構成される。そのような金属材料としては、例えば、ステンレス鋼等の鉄ベース合金、タンタル(タンタル合金)、プラチナ(プラチナ合金)等が挙げられる。
生体腐食性ワイヤ14は、生体内へのステント留置時には存在しているが、経時的に生体内で腐食を起こして溶解し、最終的に消失することを目的とした金属製のワイヤである。このため、生体腐食性ワイヤ14は、生物腐食性に優れた金属(例えば、マグネシウム合金等)により構成される。生体腐食性ワイヤ14は、複数本設けられている。
造影ワイヤ16は、X線造影にて生体管腔内でステントの存在を確認するためのワイヤである。造影ワイヤ16は、造影視認性に優れた金属(例えば、コバルト・クロム合金、プラチナ・インジウム合金、金、白金、タングステンあるいはこれらの混合物等)により構成される。造影ワイヤ16は、1本のみ設けられてもよく、あるいは複数本設けられてもよい。
このように、本実施形態に係るワイヤ編組型ステント10のストラット18(骨格)の編組構造は、金属製ワイヤのみにより構成されている。
管腔確保ワイヤ12、生体腐食性ワイヤ14及び造影ワイヤ16の本数比率は、目的の症例に応じて任意に変更可能である。本実施形態に係るワイヤ編組型ステント10のように編組構造を構成するストラット18(ステント本体)が、管腔確保ワイヤ12、生体腐食性ワイヤ14及び造影ワイヤ16により構成される場合は、例えば、管腔確保ワイヤ12の本数比率又は体積比率が全体の20〜50%、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率が全体の30〜70%、造影ワイヤ16の本数比率又は体積比率が全体の10〜30%としてよい。また、この場合、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率は、管腔確保ワイヤ12の本数比率及び造影ワイヤ16の本数比率又は体積比率よりも大きいことが好ましい。
また、本発明のワイヤ編組型ステント10は、造影ワイヤ16を備えず、編組構造のストラット18が管腔確保ワイヤ12及び生体腐食性ワイヤ14のみにより構成されてもよい。この場合、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率は、管腔確保ワイヤ12の本数比率又は体積比率よりも大きいことが好ましい。例えば、管腔確保ワイヤ12の本数比率又は体積比率が全体の20〜40%、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率が全体の60〜80%としてよい。
また、本発明のワイヤ編組型ステント10は、管腔確保ワイヤ12を備えず、編組構造のストラット18が生体腐食性ワイヤ14及び造影ワイヤ16のみにより構成されてもよい。この場合、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率は、造影ワイヤ16の本数比率又は体積比率よりも大きいことが好ましい。例えば、生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率が全体の60〜80%、造影ワイヤ16の本数比率又は体積比率が全体の20〜40%としてよい。
ワイヤ編組型ステント10は、複数のワイヤによる編組構造の骨格を構成するストラット18と、ストラット18の外面に設けられた薬剤19を含むコーティング層20(薬剤含有ポリマー層)とを有するものであってもよい。コーティング層20は、ストラット18の外面の全体に形成されていてもよく、又は、ストラット18の外面の一部分に形成されていてもよい。
コーティング層20に含まれる薬剤19は、生物学的生理活性物質であり、生体管腔内へのワイヤ編組型ステント10の留置後、狭窄部を治療した部位に徐々に溶出することで再狭窄を抑制する効果を有する。このような薬剤19としては、例えば抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、抗高脂血症薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症剤、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質等が挙げられる。
本実施形態に係るワイヤ編組型ステント10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
ワイヤ編組型ステント10を用いた治療は、例えば、以下のように行う。血管内に発生した病変部(狭窄部)の形態を、血管内造影法や血管内超音波診断法により特定する。次に、例えばセルジンガー法によって経皮的に血管内にガイドワイヤを先行して導入するとともに、自己拡張型又はバルーン拡張型のワイヤ編組型ステント10が先端部に載置されたデリバリーカテーテルをガイドワイヤに沿わせて血管内に挿入する。
そして、X線透視下で、ガイドワイヤを先行させた状態でデリバリーカテーテルを目的とする病変部へ進め、病変部の位置でワイヤ編組型ステント10を自己拡張させ、あるいはバルーンにて拡張させる。これにより、病変部が押し広げられ、ワイヤ編組型ステント10は拡張状態で血管内に留置される。
この場合、本実施形態に係るワイヤ編組型ステント10は、金属製の第1ワイヤとして、管腔確保ワイヤ12及び造影ワイヤ16を含むため、肉厚を薄くしやすく、細い血管等の生体管腔や蛇行した血管等の生体管腔への留置に好適である。
また、このワイヤ編組型ステント10は、血管等の生体管腔内への留置後、経時的に編組構造が変化する。すなわち、初期ステージにおいては、ストラット18の編組密度が高くラジアルフォース(管腔径確保強度)が大きいため、生体管腔内径を好適に確保することができる。また、ワイヤ編組型ステント10は、初期ステージにおけるストラット18の編組密度が高いため、薬剤19の塗布面積が大きく、塗布された薬剤19による血管等の生体管腔の治療効果が高い。よって、生体管腔の再狭窄を効果的に抑制することができる。なお、初期ステージとは、留置開始時のラジアルフォースは維持しつつも、薬剤19が溶出されている期間を指している。具体的にはワイヤ編組型ステント10の留置後から3カ月乃至6カ月の間を想定しているが、これに限らず、目的に応じて薬剤19を表面に塗布したワイヤの本数を調節したり、塗布する薬剤19の分子量を調節したりすることで制御可能である。
中期ステージにおいては、第2ワイヤ(本実施形態では、生体腐食性ワイヤ14)が次第に溶解又は分解することによって、ストラット18の編組密度が次第に低下する。なお、中期ステージとは、留置開始時のラジアルフォースが第2ワイヤの溶解又は分解によって小さくなっている期間を指している。具体的にはワイヤ編組型ステント10の留置後から6カ月乃至12カ月の間を想定しているが、これに限らず、第2ワイヤの寸法や本数、分子量等によって制御可能である。
そして、後期ステージにおいては、生体腐食性ワイヤ14の消失によって、図2に示すように、一部のワイヤ(本実施形態では、管腔確保ワイヤ12及び造影ワイヤ16)の編組構造のみが残るので、生体内での異物反応を抑制することができる。なお、ここでの後期ステージとは、第2ワイヤ(生体腐食性ワイヤ14)の消失後の期間を指している。ここで言う消失とは、第2ワイヤによるラジアルフォースが血管等の生体管腔に対して影響していない状態も含まれ、完全に消失していなくてもよい。具体的にはワイヤ編組型ステント10の留置後から12カ月以降を想定しているが、初期ステージや中期ステージと同様に期間の制御が可能である。
このように、このワイヤ編組型ステント10は、血管等の生体管腔の治癒プロセスに応じて経時的に最適な構造に変化していくため、高い治療効果が得られる。
上述したように、本実施形態の場合、第2ワイヤは、経時的に生体内で腐食を起こして溶解する金属製の生体腐食性ワイヤ14である。この構成によれば、第2ワイヤとして金属製の生体腐食性ワイヤ14を用いるので、適切なラジアルフォースの確保と薄肉化が一層容易となる。
また、本実施形態の場合、第1ワイヤは、生体管腔の内径を確保するための管腔確保ワイヤ12を含むので、ラジアルフォースを好適に確保することができる。特に、ストラット18全体に対する生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率は、ストラット18全体に対する管腔確保ワイヤ12の本数比率又は体積比率よりも大きいので、後期ステージにおけるストラット18の編組密度を効果的に低くすることができる。これにより、生体内での異物反応を一層抑制することができる。
さらに、本実施形態の場合、第1ワイヤは、X線造影性を有する造影ワイヤ16を含むので、生体内の所望位置にステントを容易に配置することができる。特に、ストラット18全体に対する生体腐食性ワイヤ14の本数比率又は体積比率は、ストラット18全体に対する造影ワイヤ16の本数比率又は体積比率よりも大きいので、後期ステージにおけるストラット18の編組密度を効果的に低くすることができる。これにより、生体内での異物反応を一層抑制することができる。
本実施形態に係るワイヤ編組型ステント10のストラット18の編組構造は、金属製ワイヤのみにより構成されている。これにより、好適なラジアルフォースを確保しつつ薄肉化が可能なワイヤ編組型ステント10を一層容易に実現することができる。
なお、ワイヤ編組型ステント10において、生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤとして、上述した生体腐食性ワイヤ14に代えて、あるいは生体腐食性ワイヤ14とともに、生体吸収性を有する生分解性ポリマーからなるワイヤを備えてもよい。
生分解性ポリマーは、生体内に留置した際、徐々に生分解するものであって、人間又は動物の生体に悪影響を及ぼさないポリマーである。生分解性ポリマーとしては、特に限定されないが、生体安定性が高いものが好ましく、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸との共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、ポリリンゴ酸、ポリ−α−アミノ酸、ポリオルソエステル、セルロース、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、桂皮酸、及び桂皮酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの重合体、重合体を構成する単量体が任意に共重合されてなる共重合体、並びに重合体と共重合体の混合物であることが好ましい。
次に、ワイヤ編組型ステント10の製造方法について説明する。
上記のように構成されたワイヤ編組型ステント10を製造するために、生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない第1ワイヤと、経時的に生体内で溶解又は分解する第2ワイヤとを準備する(ワイヤ準備工程)。本実施形態の場合、具体的には、第1ワイヤとして、管腔確保ワイヤ12及び造影ワイヤ16を準備し、第2ワイヤとして、生体腐食性ワイヤ14を準備する。
ワイヤ編組型ステント10を構成する各ワイヤの断面形状は、丸形状を任意の方法でプレス加工し、扁平させた形状であることが好ましい。この場合、断面の扁平率は、長軸/短軸比が3〜10であることが好ましい。丸形状のワイヤ線径は、0.05〜0.1mmであることが好ましく、プレス加工後の扁平形状の短軸の厚みは0.03〜0.05mmであることが好ましい。
このように、互いに異なる材料からなる複数のワイヤを準備したら、次に、コア芯棒の周囲に第1ワイヤと第2ワイヤを互い違いに交差させて巻き付けることにより、編組を行う(編組工程)。具体的には、編組工程では、ブレイダー(編組形成装置)を用いて、管腔確保ワイヤ12、造影ワイヤ16及び生体腐食性ワイヤ14をコア芯棒の周囲に連続的に互い違いに螺旋状に巻き付ける。
次に、図3において星印で示すように、管腔確保ワイヤ12同士の交点22においてスポット溶接(例えば、レーザスポット溶接)を実施する(溶接工程)。図3では、管腔確保ワイヤ12同士のすべての交点22においてスポット溶接を実施する例を示している。ワイヤ編組型ステント10を構成する各ワイヤは規則的に配置されているため、スポット溶接は、軸方向と周方向の位置決め及び画像処理により、自動的に位置決め及び溶接処理を実行することができる。
スポット溶接が完了したら、目的に応じてステント長を決定し、レーザ切断を行うことで、所望長さのステントが得られる。その後、得られたステント(ストラット18)の外表面に薬剤19を塗布し、コーティング層20を形成する。薬剤19の塗布方法は特に限定されず、任意の方法でよい。
以上の製造方法により、ワイヤ編組型ステント10が得られる。
上述したワイヤ編組型ステント10の製造方法によれば、肉厚を薄くしやすく、細い生体管腔や蛇行した生体管腔への留置に好適なワイヤ編組型ステント10を製造することができる。また、この製造方法によれば、生体管腔の治癒プロセスに応じて経時的に最適な構造に変化することにより高い治療効果が得られるワイヤ編組型ステント10を製造することができる。
本実施形態の場合、管腔確保ワイヤ12同士の交点22を溶接するので、適度のラジアルフォースを容易に確保することができる。
なお、上述したワイヤ編組型ステント10の製造方法において、スポット溶接は、管腔確保ワイヤ12同士のすべての交点22ではなく、一部の交点22を残して溶接してもよい。すなわち、図4Aに示すように、管腔確保ワイヤ12同士の一部の交点22において、スポット溶接を行わないことにより、溶接されない交点22aを残してもよい。なお、溶接されない交点22aが複数個所あってもよい。
このように、ワイヤ編組型ステント10の管腔確保ワイヤ12同士の交点22において溶接しない箇所(交点22a)を設けておく。これにより、血管等の生体管腔のサイドブランチ(分岐部)存在箇所にワイヤ編組型ステント10を留置する場合には、溶接していない交点22aの箇所を適宜の拡張デバイス(バルーン等)により拡張して、図4Bに示すような開口部24を形成する。これにより、血液等の体液の流路を好適に確保することが可能となる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…ワイヤ編組型ステント 12…管腔確保ワイヤ
14…生体腐食性ワイヤ 16…造影ワイヤ
18…ストラット 19…薬剤
22、22a…交点
14…生体腐食性ワイヤ 16…造影ワイヤ
18…ストラット 19…薬剤
22、22a…交点
Claims (10)
- 複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステントであって、
生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない金属製の第1ワイヤと、
前記生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤと、を備える、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項1記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記第2ワイヤは、前記生体内で経時的に腐食を起こして溶解する金属製の生体腐食性ワイヤである、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項1又は2記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記第1ワイヤは、前記生体管腔の内径を確保するための管腔確保ワイヤを含む、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項3記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記第2ワイヤの本数比率は、前記管腔確保ワイヤの本数比率よりも大きい、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記第1ワイヤは、X線造影性を有する造影ワイヤを含む、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項5記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記第2ワイヤの本数比率は、前記造影ワイヤの本数比率よりも大きい、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のワイヤ編組型ステントにおいて、
前記ワイヤ編組型ステントのストラットの表面には、生体管腔の再狭窄を抑制するための薬剤が塗布されている、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステント。 - 複数のワイヤにより編組構造をなすワイヤ編組型ステントの製造方法であって、
生体内で耐食性を有し生体管腔内への留置後において腐食及び溶解することがない第1ワイヤと、前記生体内で経時的に溶解又は分解する第2ワイヤとを準備するワイヤ準備工程と、
コア芯棒の周囲に前記第1ワイヤと前記第2ワイヤを互い違いに交差させて巻き付ける編組工程と、を含む、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステントの製造方法。 - 請求項8記載のワイヤ編組型ステントの製造方法において、
前記第1ワイヤは、前記生体管腔の内径を確保するための複数本の管腔確保ワイヤを含み、
前記管腔確保ワイヤ同士の交点においてスポット溶接を行う溶接工程をさらに含む、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステントの製造方法。 - 請求項9記載のワイヤ編組型ステントの製造方法において、
前記管腔確保ワイヤ同士の一部の前記交点において、前記スポット溶接を行わないことにより、溶接されない前記交点を残す、
ことを特徴とするワイヤ編組型ステントの製造方法。
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