JP2016114777A - 偏光子および当該偏光子を有する光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】回折格子を有する偏光子であって、フレネル反射を低減して、TE偏光の光に対しては高い反射回折効率を示し、TM偏光の光に対しては高い透過回折効率を示す偏光子を提供すること。【解決手段】本発明に係る偏光子は、誘電体からなる厚さが一定の薄膜と、前記薄膜に形成され、第1の方向に延在し、同一の幅を有するスリット状の複数の貫通孔と、を有し、前記複数の貫通孔は、前記薄膜の表面において前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に一定の間隔で配置されている。【選択図】図4

Description

本発明は、モード共鳴効果を利用した偏光子および当該偏光子を有する光学素子に関する。
近年、リソグラフィーを含む微細加工技術は、目覚ましい発展を遂げている。この発展に伴い、照射される波長未満の周期構造を有するサブ波長回折格子の応用研究が盛んに行われている。この応用研究の例として、回折格子を利用した導波モード共鳴フィルター(「導波モード共振フィルター」ともいう)が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
特許文献1には、回折格子を利用した導波モード共鳴フィルターが記載されている。また、特許文献2には、2つの異なる誘電率を有する平面型の回折格子において、当該回折格子による回折光や導波路で導波モードが結合する条件などが知られた導波モード共鳴フィルターが記載されている。
導波モード共鳴フィルターとしては、いくつかの基本的構造が知られている。図1は、導波モード共鳴フィルターを説明するための断面図である。図1Aは、基板12と、回折格子部14とを有する導波モード共鳴フィルター10の断面図であり、図1Bは、基板22と、基板22上に形成された導波層(回折格子)24とを有する導波モード共鳴フィルター20の断面図である。なお、図1Aおよび図1Bでは、ハッチングを省略している。
図1Aに示されるように、このタイプの導波モード共鳴フィルター10は、基板12と、基板12上に配置された回折格子部14とを有する。回折格子部14は、複数の高屈折率部16と、複数の低屈折率部18とを有する。このタイプの導波モード共鳴フィルター10では、回折格子部14自体が導波層として機能する。図1Aに示された導波モード共鳴フィルター10は、単純な構造であり、TE偏光の光に対してはピーク波長において高い反射回折効率を示す。一方、この導波モード共鳴フィルター10は、TM偏光の光に対してはフレネル反射が大きいため、低い透過回折効率を示す。
また、図1Bに示されるように、このタイプの導波モード共鳴フィルター20は、基板22と、基板22上に配置された導波層24を有する。また、導波層24は、複数の高屈折率部26と、複数の低屈折率部28とを有する。図1Bに示された導波モード共鳴フィルター20において、基板22の屈折率nsubを1.52、高屈折率部分26の屈折率nを2.20、低屈折率部分28の屈折率nを1.80、回折格子の周期Λを359nm、回折格子の充填率fを0.50、低屈折率部分28の深さhを267nmとする。この回折格子にTE偏光の光と、TM偏光の光とが入射した場合の透過回折効率および反射回折効率をそれぞれRCWA法により算出した結果を図2に示す。
図2Aは、光の波長λが600〜700nmの範囲でのTE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率を示すグラフであり、図2Bは、光の波長λが600〜700nmの範囲でのTM偏光の光についての透過回折効率および反射回折効率を示すグラフである。図2Aおよび図2Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図2Aの縦軸は、TE偏光の光についての透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示しており、図2Bの縦軸は、TM偏光の光についての透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図2Aの実線は、TE偏光の光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光の光に対する反射回折効率を示している。また、図2Bの実線は、TM偏光の光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光の光についての反射回折効率を示している。図2Aおよび図2Bに示されるように、TE偏光の光では、反射スペクトルのピーク波長λが650nmであり、TM偏光の光では、反射スペクトルのピーク波長λが640nmであった。
このように、基板22上に2つの異なる屈折率を有する媒質からなる回折格子が形成されている導波モード共鳴フィルターは、一般的に少し離れた波長においてTE偏光の光およびTM偏光の光のそれぞれで反射型のバンドパスフィルター(ノッチフィルター)として機能することが知られている。この場合には、回折格子−空気の界面および回折格子−基板の界面のそれぞれにおいて大きな屈折率差が生じているためフレネル反射が大きく、TM偏光の光についての反射回折効率が最大になる波長において、TE偏光の光についての透過回折効率の低下がかなり大きいため、偏光子として十分に機能できない。偏光子として十分に機能するためには、所定の波長領域において、TE偏光の光に対する反射回折効率は100%に近く、同時にTM偏光の光についての透過回折効率は100%に近いことが好ましい。
このような回折格子−空気の界面および回折格子−基板の界面のそれぞれにおいて生じるフレネル反射を小さくする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、微細凹凸を有する基板と、微細凹凸を覆う誘電体層とを有する波長フィルターが記載されている。特許文献1に記載の波長フィルターでは、フレネル反射を低減するために、微細凹凸を高次回折光が生じない大きさとして、かつ微細凹凸の断面形状を三角形とすることで、誘電体層と空気との平均的な屈折率を徐々に変えている。
特開2002−258034号公報
L. Mashev, and E. Popov, "Zero order anomaly of dielectric coated gratings", Optics Communivations, Vol.55, No.6, pp.377-380. S. S. Wang and R. Magusson, "Theory and applications of guided-mode resonance filters", Applied Optics, Vol.32, No.14, pp.2606-2613.
非特許文献1、2および特許文献1に記載の導波モード共鳴フィルターでは、基板を有するため、軽量化および薄型化することができなかった。また、これらの導波モード共鳴フィルターでは、各層間の屈折率差が大きいため、フレネル反射が大きくなってしまう問題があった。
そこで、本発明の目的は、回折格子を有する偏光子であって、フレネル反射を低減して、TE偏光の光に対しては高い反射回折効率を示し、TM偏光の光に対しては高い透過回折効率を示す偏光子および当該偏光子を有する光学素子を提供することである。
本発明に係る偏光子は、誘電体からなる厚さが一定の薄膜と、前記薄膜に形成され、第1の方向に延在し、同一の幅を有するスリット状の複数の貫通孔と、を有し、前記複数の貫通孔は、前記薄膜の表面において前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に一定の間隔で配置されている。
また、本発明に係る光学素子は、本発明に係る偏光子と、前記複数の貫通孔を塞がないように前記偏光子を保持するホルダーと、を有する。
本発明によれば、軽量かつ薄型の偏光分離特性に優れる偏光子および当該偏光子を有する光学素子を提供することができる。
図1Aは、基板と、回折格子部とを有する導波モード共鳴フィルターの断面図であり、図1Bは、基板と、基板上に形成された導波層とを有する導波モード共鳴フィルターの断面図である。 図2Aは、非特許文献2に記載の導波モード共鳴フィルターにおいて、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図2Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図3は、本発明の一実施の形態に係る光学素子を示す斜視図である。 図4A、Bは、偏光子の構成を示す図である。 図5Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.50とした場合において、貫通孔の深さと、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図5Bは、貫通孔の深さと、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図6Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.50とし、貫通孔の深さhを330nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図6Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図7は、2面を透過した場合におけるフレネル反射による光の喪失を示すグラフである。 図8Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.51とした場合において、貫通孔の深さと、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図8Bは、貫通孔の深さと、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図9Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.51とし、貫通孔の深さhを310nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図9Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図10Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.55とし、貫通孔の深さhを255nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図10Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図11Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.56とし、貫通孔の深さhを210nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図11Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図12Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.57とし、貫通孔の深さhを195nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図12Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図13Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.70とした場合において、貫通孔の深さと、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図13Bは、貫通孔の深さと、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図14Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.40とし、貫通孔の深さhを120nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図14Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図15は、高屈折率部分の屈折率nを1.40とし、貫通孔の深さhを435nmとした場合において、光の波長と、TE偏光についての回折効率との関係を示すグラフである。 図16Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.65とした場合において、貫通孔の深さと、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図16Bは、貫通孔の深さと、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。 図17Aは、高屈折率部分の屈折率nを1.65とし、貫通孔の深さhを335nmとした場合において、光の波長と、TE偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフであり、図17Bは、光の波長と、TM偏光の光についての透過回折効率または反射回折効率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[偏光子の構成]
図3は、本発明の一実施の形態に係る光学素子100の構成を示す斜視図である。図4A、Bは、偏光子120の構成を示す図である。図3および図4A、Bに示されるように、本実施の形態に係る光学素子100は、偏光子120と、ホルダー140とを有する。
偏光子120は、スリット状の複数の貫通孔122が設けられた薄膜である。複数の貫通孔122は、第1の方向に延在している。第1の方向における各貫通孔122の長さは、特に限定されない。本実施の形態では、第1の方向における各貫通孔122の長さは、同じである。複数の貫通孔122は、偏光子120の第1面(表面)および第1面と表裏関係にある第2面(裏面)に開口している。複数の貫通孔122は、第1の方向に直交する第2の方向に一定の間隔で配置されている。複数の貫通孔122および隣接する貫通孔122の間に位置する薄膜(実体部124)は、回折格子として機能する。なお、実体部124は、後述する各シミュレーションにおける「高屈折率部分」に相当し、貫通孔122は、「低屈折率部分」に相当する。
複数の貫通孔122の中心間距離(ピッチΛ)は、照射する光の波長λより短いことが好ましい。貫通孔122のピッチΛを照射する光の波長λより短くすることで、0次回折光のみを存在させることができる。本実施の形態では、波長λが650nmの光で使用する偏光子120における貫通孔122のピッチΛは、580〜600nmの範囲内であることが好ましい。また、波長λが530nmの光で使用する偏光子120における貫通孔122のピッチΛは、470〜490nmの範囲内であることが好ましい。第2の方向における貫通孔122の長さ(幅)は、下記の充填率fを用いて算出することができる。また、波長λが650nmの光で使用する偏光子120および波長λが530nmの光で使用する偏光子において、充填率(貫通孔122の中心間距離Λ対する貫通孔122間の実体部124の割合)fは、0.25〜0.35または0.45〜0.55の範囲内であることが好ましい。充填率fが前述の範囲内にない場合、TM偏光の透過率が低くなったり、TE偏光の反射率の帯域幅が狭くなったりするおそれがある。
偏光子120の材料は、誘電体であり、かつ後述の機能を確保することができれば特に限定されない。偏光子120の材料の例には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィン樹脂などの樹脂や、SiO、Al、石英ガラスなどのガラスが含まれる。また、偏光子120の屈折率nは、偏光子120としての機能を確保することができれば特に限定されない。偏光子120の最適な屈折率nは、照射される光の波長λや貫通孔122のピッチΛなどによって変化する。たとえば、照射される光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが600nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.44〜1.53の範囲内または1.57以上であることが好ましく、より好ましくは1.57〜1.60の範囲内である。また、照射される光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが590nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.51〜2.08の範囲内でことが好ましい。また、照射される光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが580nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.60〜2.10の範囲内でことが好ましい。さらに、照射される光の波長λが530nm、貫通孔122のピッチΛが489nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.46〜1.54または1.56〜1.59の範囲内であることが好ましい。また、照射される光の波長λが530nm、貫通孔122のピッチΛが481nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.53以上であることが好ましく、1.53〜2.11の範囲内であることがより好ましい。また、照射される光の波長λが530nm、貫通孔122のピッチΛが472nmの場合、偏光子120の屈折率nは、1.63〜2.07の範囲内であることがより好ましい。
樹脂製の偏光子120の屈折率nの調整方法は、特に限定されない。例えば、特開2007−270097号公報や特開2000−327836号公報などに記載されているように、樹脂製の偏光子120の屈折率nは、高屈折率を有する金属酸化物の微粒子を樹脂中に分散することにより、樹脂媒質の屈折率nを高屈折率の領域にまで調整することができる。また、ガラス製の偏光子120の屈折率nの調整方法も特に限定されない。例えば、ガラス製の偏光子120の屈折率nは、後述する偏光子120の製造方法において、SiO、TiO、Alなどの異なる物質を同時にコーティング(蒸着)することにより調整することができる。
偏光子120の膜厚(貫通孔122の深さ)は、一定である。偏光子120の膜厚(貫通孔122の深さ)は、偏光子120としての機能を確保することができれば特に限定されない。偏光子120の膜厚(貫通孔122の深さ)は、170〜195または235〜410nmの範囲内であることが好ましい。なお、偏光子120の最適な膜厚(貫通孔122の深さ)は、偏光子120に照射される光の波長λおよび偏光子120の屈折率nにより変化する。
次いで、貫通孔122のピッチΛに関する制限について説明する。回折格子に入射される光の入射角度をθiとし、回折角度をθmとし、貫通孔122のピッチをΛとし、光の波長をλとし、回折次数をmとし、偏光子120の平均屈折率をnとしたときに以下の式(1)が成り立つ。
n・sinθm=sinθi+m(λ/Λ)・・・(1)
ここで、単純化のため、入射角度θi=0とし、回折次数m=1とすると、以下の式(1)は、以下の式(2)となる。
sinθm=(λ/n・Λ) ・・・(2)
ここで、回折格子内に1次回折光が存在するためには、sinθmの右辺が以下の式(3)を満たす必要がある。
λ/n≦Λ ・・・(3)
なお、偏光子120の平均屈折率nは、TE偏光の光についての値と、TM偏光の光についての値とで異なる。また、偏光子120の平均屈折率nは、回折格子の充填率fによって変化する。ここで、nおよびnの2つの屈折率が異なる媒質が交互に一定のピッチで配置されている場合、TE偏光における平均屈折率nTEと、TM偏光における平均屈折率nTMは、貫通孔122のピッチΛが光の波長λに対して十分小さい場合において、有効媒質理論(有効媒質近似)により以下の式(4)および以下の式(5)のように示すことができる。
TE={(1−f)・n +f・n 1/2 ・・・(4)
TM=1/{(1−f)/n +f/n 1/2 ・・・(5)
前述したように、本実施の形態に係る偏光子120は、誘電体からなる薄膜であるため強度が弱く、その取り扱いが困難である。そこで、本実施の形態に係る光学素子100では、偏光子120をホルダー140によって保持することで取り扱いを容易にしている。ホルダー140は、偏光子120を保持する。ホルダー140の構成は、複数の貫通孔122を塞がないように偏光子120を保持することができれば特に限定されない。本実施の形態では、ホルダー140は、一対の個別ホルダー160、160から構成されている。ホルダー140は、偏光子120を表面および裏面から挟むように保持する。
ホルダー140の材料は、偏光子120を保持することができれば特に限定されない。ホルダー140の材料の例には、セラミックや樹脂などが含まれる。
[偏光子の製造方法]
本実施の形態に係る偏光子120の製造方法は、特に限定されない。本実施の形態に係る偏光子120は、例えば以下の方法により製造できる。Siなどからなる基板上にCrなどからなる金属膜を製膜して、この金属膜上に真空蒸着などでSiOの薄膜を数百nm程度の厚さにコーティングする。その後、EB描画用のレジストをスピンナーにより塗布して、例えば幅300nm程度のラインパターンを電子ビーム描画装置で描画する。この後に、現像してレジストの描画部分のパターンを抜く。次いで、レジストパターンをマスクして、ドライエッチング装置を用いてCFやCのエッチングガスなどを用いて、SiO薄膜部分を完全にエッチングして貫通させる。最後に、金属Crを溶かす硝酸第二セリウムアンモンと過塩素酸の混合液などを用いて、下地のCr薄膜を剥離することでSiO薄膜に複数の貫通孔122を形成できる(リフトオフ法)。以上の工程により偏光子120を製造することができる。
[シミュレーション]
次に、貫通孔122のピッチΛ(回折格子)を有する偏光子120に対してTE偏光の光およびTM偏光の光を照射した場合の透過回折特性および反射回折特性についてシミュレーションした。シミュレーション1〜3では、特に記載がない場合には、貫通孔122のピッチΛを600nm、高屈折部分(貫通孔122間の薄膜の一部)の幅を300nm、低屈折率部分(貫通孔122)の幅を300nm、低屈折率部分の屈折率nを1.0とした。また、使用する光の波長λは、赤色の可視光である650nmとした。このような所定の構造を有する回折格子の透過特性および反射特性は、RCWA法(Rigorous Coupled-Wave Analysis)またはFDTD法(Finite Difference Time Domain Method)を用いて計算することができる。なお、以下の各シミュレーションは、RCWA法により行った。また、各シミュレーションでは、RCWA法での誘電率をフーリエ展開する級数項において、20項まで取り込んだ。各シミュレーションにおいて、屈折率nと、貫通孔122のピッチΛまたは波長λの組み合わせとでは、ファーフィールド領域において、屈折光は、透過光および反射光とも0次回折光しか存在しない。
(シミュレーション1)
シミュレーション1では、まず高屈折率部分の屈折率nを1.50とした場合において、貫通孔122の深さhと、TE偏光の光についての回折効率およびTM偏光の光についての回折効率との関係をシミュレーションした。図5Aは、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図5Bは、貫通孔122の深さhと、TM偏光にいての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図5Aおよび図5Bの横軸は、貫通孔122の深さh(nm)を示している。また、図5Aおよび図5Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図5Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図5Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図5Aおよび図5Bに示されるように、TE偏光についての反射回折効率は、貫通孔122の深さhが330nmで最大であった。これは、回折格子の一次回折光と、導波路としての0次の導波モードであるTEモードが結合した状態を示している。また、TE偏光についての反射回折効率は、貫通孔122の深さhが約600nmで大きく落ち込んでいる。これは、貫通孔122の深さhを深くすることにより、導波路の伝搬モードと結合しなくなることを示している。さらに、TE偏光についての反射回折効率は、貫通孔122の深さhが約900nmで100%程度を示していた。これは、回折光と、導波路の高次の伝搬モードであるTEとが結合していることを示している。このように、TE偏光についての反射回折効率が一番高い貫通孔122の深さhが330nmにおいて、TE偏光についての反射回折効率は、99.9%であり、TM偏光についての透過回折効率は、99.76%であった。以上のことから、高屈折率部分の屈折率nを1.50とし、低屈折率部分の屈折率nを1.0とし、貫通孔122のピッチΛを600nmとした場合において、TE偏光についての反射回折効率を100%近いものとし、かつTM偏光についての透過回折効率を100%近いものとするためには、貫通孔122の深さhは、330nmが好ましいことがわかった。
次いで、TE偏光についての反射回折効率が最大となる貫通孔122の深さhが330nmの場合において、光の波長λが620〜680nmの範囲でのTE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図6Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図6Bは、光の波長λと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図6Aおよび図6Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図6Aおよび図6Bの縦軸は、TM偏光についての透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図6Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率(%)を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率(%)を示している。また、図6Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図6Bに示されるように、TM偏光についての透過回折効率は、620〜660nmの広い帯域範囲内において約100%であった。これはショートウェーブパスフィルターに近い透過特性を示している。また、光の波長λが670nm以上の長波長の領域においては、TM偏光についての透過回折効率は低下した。また、TE偏光についての反射回折効率は、光の波長λが650nmにおいて約100%あった(図6A参照)。これらは、本実施の形態に係る偏光子120は、1層の回折格子のみからなる単純構造であるにも関わらず、ほとんどフレネル反射が生じていないことを示している。
次いで、比較のため、高屈折率部分の屈折率nが1.40〜1.70の範囲内の誘電体で構成された直方体の試験片において、光が表面側から裏面側を透過するときのフレネル反射の影響をシミュレーションした。図7は、2面を透過した場合におけるフレネル反射による光の喪失を示すグラフである。1面(表面または裏面)でのフレネル反射による損失は、{(1−n)/(1+n)}により求めることができる。また、透過回折効率は、1−{(1−n)/(1+)}により求めることができる。なお、2面間の多重干渉によるエタロン効果は考慮していない。図7の横軸は、試験片の屈折率nを示しており、縦軸は、試験片における透過回折効率を示している。
図7に示されるように、試験片の屈折率nが大きくなるにつれて、フレネル反射が大きくなることがわかった。具体的には、試験片の屈折率nが1.4で光の透過回折効率は94.52%であったが、試験片の屈折率nが1.7では光の透過回折効率は87%まで低下していた。これらのことから、本実施の形態に係る偏光子120は、単純な構造であるのにも関わらず比較の試験片と比較してフレネル反射が大幅に減少していた。
(シミュレーション2)
次いで、高屈折率部分の屈折率nの影響を調べるために、高屈折率部分の屈折率nを1.51としてシミュレーション1と同様のシミュレーションを行った。シミュレーション2では、まず高屈折率部分の屈折率nを1.51とした場合において、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率との関係をシミュレーションした。図8Aは、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図8Aは、貫通孔122の深さhと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図8Aおよび図8Bの横軸は、貫通孔122の深さh(nm)を示している。また、図8Aおよび図8Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図8Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図8Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図8Aおよび図8Bに示されるように、TE偏光についての反射回折効率は、貫通孔122の深さhが310nmで最大であった。
次いで、TE偏光についての反射回折効率が最大となる貫通孔122の深さhが310nmの場合において、光の波長λが620〜680nmの範囲でのTE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図9Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図9Bは、光の波長λと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図9Aおよび図9Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図9Aおよび図9Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図9Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図9Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図9Aおよび図9Bに示されるように、光の波長λが650nmの場合において、TE偏光についての反射回折効率は約100%であり、TM偏光についての透過回折効率は約100%であった。図5、図6、図8および図9に示されるように、高屈折率部分の屈折率nを変化させると、光の波長λが650nmの場合においてTE偏光についての反射回折効率が最大になる貫通孔122の深さhも変化することがわかった。また、屈折率nを1.50から増やしていくとTM偏光についての透過回折効率スペクトルのエッジに対応する波長が短波長側にシフトしていくこともわかった。
以下のシミュレーション3〜8では、高屈折率部分の屈折率nおよび貫通孔112の深さを変えた場合に、TE偏光についての透過回折効率と反射回折効率、およびTM偏光についての透過回折効率と反射回折効率の影響について調べた。
(シミュレーション3)
シミュレーション3では、高屈折率部分の屈折率nを1.55とし、貫通孔122の深さhを255nmとした場合において、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図10Aは、光の波長λと、透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図10Bは、光の波長λと、透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図10Aおよび図10Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図10Aおよび図10Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図10Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図10Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図10Aおよび図10Bに示されるように、光の波長λが650nmの場合において、TM偏光についての透過回折効率は、80%程度維持されていた。これにより、高屈折率部分の屈折率nが1.55であり、貫通孔122の深さhが255nmの偏光子120は、偏光子としての機能を十分に適切に発揮することができることが分かった。
(シミュレーション4)
シミュレーション4では、高屈折率部分の屈折率nを1.56とし、貫通孔122の深さhを210nmとした場合において、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図11Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図11Bは、光の波長λと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図11Aおよび図11Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図11Aおよび図11Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図11Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図11Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図11Aおよび図11Bに示されるように、高屈折率部分の屈折率nが1.56の場合では、TM偏光も透過せずに大半の光は反射しており、この領域では偏光子120として機能しないことがわかった。このように、高屈折率部分の屈折率nを大きくしていくと、TE偏光と同時にTM偏光においても導波モードと結合する条件が成立することがわかった。
(シミュレーション5)
シミュレーション5では、高屈折率部分の屈折率nを1.57とし、貫通孔122の深さhを195nmとした場合において、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図12Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図12Bは、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図12Aおよび図12Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図12Aおよび図12Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図12Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図12Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図12Aおよび図12Bに示されるように、光の波長λが650nm以下にシフトしたことにより、光の波長λが650nmでの透過回折効率が再び上昇して偏光子120として使う事ができることがわかった。
(シミュレーション6)
次に、高屈折率部分の屈折率nを大きくした場合のTE偏光についての回折効率およびTM偏光についての反射回折効率に対する影響を調べた。シミュレーション6では、高屈折率部分の屈折率nを1.70とした場合において、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての反射回折効率との関係をシミュレーションした。図13Aは、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図13Bは、貫通孔122の深さhと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図13Aおよび図13Bの横軸は、貫通孔122の深さh(nm)を示している。また、図13Aおよび図13Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図13Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図13Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図13Aおよび図13Bに示されるように、TE偏光についての反射回折効率が最大となる貫通孔122の深さhは、120nmであるが、TM偏光についての透過回折効率は、6〜7%程度低下していた。このように、高屈折率部分の屈折率nを高くすると、TE偏光についての反射回折効率はほとんど変わらないが、TM偏光についての透過回折効率が下がっていくことがわかった。
(シミュレーション7)
次に、高屈折率部分の屈折率nを小さくした場合のTE偏光についての回折効率およびTM偏光についての反射回折効率に対する影響を調べた。シミュレーション7では、高屈折率部分の屈折率nを1.40とし、貫通孔122の深さhを120nmとした場合において、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図14Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図14Bは、光の波長λと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図14Aおよび図14Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図14Aおよび図14Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図14Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図14Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図14Aおよび図14Bに示されるように、TM偏光についての透過回折効率が低下してしまう原因として、高屈折率部分の屈折率nが大きくなるにつれて偏光子120の平均的な屈折率が大きくなり、空気層とのフレネル反射の絶対値がさらに大きくなるためであると考えられる。一方、高屈折率部分の屈折率nの屈折率を小さくした場合には、TE偏光についての反射回折効率の反射スペクトルのバンドの幅が狭くなってしまった。
(シミュレーション8)
シミュレーション8では、高屈折率部分の屈折率nを1.40とし、貫通孔122の深さhを435nmとした場合において、TE偏光についての回折効率をシミュレーションした。図15は、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図15の横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図15の縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図15の実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射折効率を示している。
図6Aおよび図15に示されるように、長波長帯域でのTE偏光についての高反射回折効率を示す領域は、がかなり狭くなっていることがわかった。
特にグラフは示さないが、貫通孔122のピッチΛを600nm、光の波長λを650nmとした場合の、各屈折率におけるTE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率およびTE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表1に示す。
Figure 2016114777
前述したように、偏光子120として機能するためには、TE偏光についての透過回折効率が約100%を示し、かつTM偏光についての反射回折効率が約100%を示すことが好ましい。ここでは、TE偏光についての反射回折効率が98%超であって、かつTM偏光についての透過回折効率が98%超の場合に偏光子120として機能するものとした。
表1に示されるように、光の波長λが650nmの偏光子においては、貫通孔122のピッチΛが600nm、高屈折率部分の屈折率nが1.44〜1.53の範囲内または1.57以上である場合に偏光子として機能することが分かった。
また、表1に示されるように、光の波長λが650nmの波長の光が照射され、貫通孔122のピッチΛが600nmである偏光子は、TE偏光についての反射効率が80%以上を示す光の波長が10nm以上のものを使用することが好ましい。これは、半導体レーザーにおいて、温度変動などより発振中心波長が揺らぐことに対応させたものである。また、レーザーを光源として偏光子120を用いる場合には、使用する素子の波長帯域も10nm以上を確保する必要があるため、貫通孔122のピッチΛが600nmの場合には、偏光子120の屈折率n(高屈折率部分の屈折率n)は、1.44以上であることが好ましい。また、屈折率nが1.55および1.56の偏光子は、TM偏光の透過回折効率が90%以下であるため、偏光子としての機能を十分に発揮することができない。さらに、屈折率nが1.61以上であると、フレネル反射が顕著に観察されるため、この場合も偏光子としての機能を十分に発揮することができない。
次いで、貫通孔122のピッチΛが590nmの偏光子120の高屈折率部分の屈折率nを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表2、3に示した。
Figure 2016114777
Figure 2016114777
次いで、貫通孔122のピッチΛが580nmの偏光子120の高屈折率部分の屈折率nを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表4に示した。
Figure 2016114777
表1〜表4に示されるように、貫通孔122のピッチΛが580、590、600nmの偏光子120は、同様の傾向を示す結果が得られた。しかし、貫通孔122のピッチΛが590nmの偏光子120は、貫通孔122のピッチΛが600の偏光子120と比較して、高屈折率部分の屈折率nを大きくすると、偏光子120における反射回折効率の反射幅はかなり広くなることがわかった。また、貫通孔122のピッチΛが580nmの偏光子120は、貫通孔122のピッチΛが590の偏光子120と比較して、高屈折率部分の屈折率nを大きくすると、偏光子120における反射回折効率の反射幅はさらに広くなることがわかった。
前述したように、偏光子120として機能するためには、TE偏光についての透過回折効率が約100%を示し、かつTM偏光についての反射回折効率が約100%を示すことが好ましい。ここでは、TE偏光についての反射回折効率が98%超であって、かつTM偏光についての透過回折効率が98%超の場合に偏光子120として機能するものとした。
表1〜表4に示されるように、光の波長λが650nmの偏光子においては、貫通孔122のピッチΛが600nm、高屈折率部分の屈折率nが1.44〜1.55の範囲内または1.57以上である場合に偏光子として機能することが分かった。また、貫通孔122のピッチΛが590nm、高屈折率部分の屈折率nが1.51〜2.08の範囲内である場合に偏光子として機能することが分かった。さらに、貫通孔122のピッチΛが580nm、高屈折率部分の屈折率nが1.60〜2.10の範囲内である場合に偏光子として機能することが分かった。
(シミュレーション9)
一例として、高屈折率部分の屈折率nが1.65の場合において、貫通孔122の深さhと、TE偏光とTM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係をシミュレーションした。図16Aは、貫通孔122の深さhと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図16Bは、貫通孔122の深さhと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図16Aおよび図16Bの横軸は、貫通孔122の深さh(nm)を示している。また、図16Aおよび図16Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図16Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。また、図16Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図16Aおよび図16Bに示されるように、反射回折効率は、貫通孔122の深さhが330nmで最大(99.9%)であった。
次いで、高屈折率部分の屈折率nを1.65とし、貫通孔122の深さhを335nmとし、TE偏光についての回折効率およびTM偏光についての回折効率をシミュレーションした。図17Aは、光の波長λと、TE偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図17Bは、光の波長λと、TM偏光についての透過回折効率および反射回折効率との関係を示すグラフである。図17Aおよび図17Bの横軸は、光の波長λ(nm)を示している。また、図17Aおよび図17Bの縦軸は、透過回折効率(%)または反射回折効率(%)を示している。図17Aの実線は、TE偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TE偏光についての反射回折効率を示している。図17Bの実線は、TM偏光についての透過回折効率を示しており、破線は、TM偏光についての反射回折効率を示している。
図17Aおよび図17Bに示されるように、TE偏光についての反射回折効率の波長帯域は、かなり広くなっていることがわかった。
次いで、貫通孔122のピッチΛが489nm、回折格子の充填率fが0.5、光の波長λが530nmの偏光子120の高屈折率部分の屈折率nを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表5に示した。
Figure 2016114777
次いで、貫通孔122のピッチΛが481nm、回折格子の充填率fが0.5、光の波長λが530nmの偏光子120の高屈折率部分の屈折率nを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表6に示した。
Figure 2016114777
次いで、貫通孔122のピッチΛが472nm、回折格子の充填率fが0.5、光の波長λが530nmの偏光子120の高屈折率部分の屈折率nを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表7に示した。
Figure 2016114777
表5〜7に示されるように、光の波長λが530nmの偏光子においては、貫通孔122のピッチΛが489nm、高屈折率部分の屈折率nが1.46〜1.52または1.56〜1.59の範囲内である場合に偏光子として機能することが分かった。また、光の波長λが530nmの偏光子においては、貫通孔122のピッチΛが481nm、高屈折率部分の屈折率nが1.53〜2.11の範囲内である場合に偏光子として機能することが分かった。また、貫通孔122のピッチΛが472nm、高屈折率部分の屈折率nが1.63〜2.07の範囲内である場合に偏光子として機能することが分かった。
また、表1〜表7に示されるように、照射する光の波長λおよび偏光子120の屈折率nによって、最適な貫通孔122の深さhや貫通孔122のピッチΛなどが異なる。したがって、照射する光の波長λおよび偏光子120の屈折率nによって、最適な貫通孔122の深さhや貫通孔122のピッチΛを適宜選択すればよい。
(シミュレーション10)
シミュレーション10では、充填率fと、最適な貫通孔122の深さh、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率およびTE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λとの関係についてシミュレーションした。
照射する光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが600nm、偏光子120の高屈折率部分の屈折率nが1.44の場合において、充填率fを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表8に示した。
Figure 2016114777
次いで、照射する光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが600nm、偏光子120の高屈折率部分の屈折率nが1.6の場合において、充填率fを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表9に示した。
Figure 2016114777
次いで、照射する光の波長λが650nm、貫通孔122のピッチΛが600nm、偏光子120の高屈折率部分の屈折率nが1.52の場合において、充填率fを変化させた時の、最適な貫通孔122の深さhと、TE偏光についての反射回折効率、TM偏光についての透過回折効率、TE偏光について反射効率が80%以上を示す光の波長λを表10に示した。
Figure 2016114777
表8〜10に示されるように、充填率fが0.35未満または0.45〜0.55の範囲にない場合には、TE偏光についての反射回折効率(%)が低下するとともに、TE偏光についての反射帯域が狭くなった。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る偏光子120は、基板を有しておらず、複数の貫通孔が一定の間隔で配置されているため、軽量化および薄型化することができる。また、本実施の形態に係る偏光子120は、フレネル反射を低減することができるとともに、TE偏光についての高反射回折効率を示す波長帯域の幅広くすることができる。
本発明に係る偏光子は、例えば、赤色や緑色の半導体レーザーの直後において光源の偏光の消光比を向上させたりするのに有用である。
10、20 導波モード共鳴フィルター
12、22 基板
14 回折格子部
16、26 高屈折率部
18、28 低屈折率部
24 導波層
100 光学素子
120 偏光子
122 貫通孔
124 実体部
140 ホルダー

Claims (14)

  1. 誘電体からなる厚さが一定の薄膜と、
    前記薄膜に形成され、第1の方向に延在し、同一の幅を有するスリット状の複数の貫通孔と、
    を有し、
    前記複数の貫通孔は、前記薄膜の表面において前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に一定の間隔で配置されている、
    偏光子。
  2. 前記誘電体は、透明な樹脂またはガラスである、請求項1に記載の偏光子。
  3. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、580〜600nmの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の偏光子。
  4. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、600nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.44〜1.53の範囲内または1.57以上である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光子。
  5. 前記誘電体の屈折率は、1.57〜1.60の範囲内である、請求項4に記載の偏光子。
  6. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、590nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.51〜2.08の範囲内である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光子。
  7. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、580nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.60〜2.10の範囲内である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光子。
  8. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、470〜490nmの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の偏光子。
  9. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、489nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.46〜1.54または1.56〜1.59の範囲内である、
    請求項1、2、8のいずれか一項に記載の偏光子。
  10. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、481nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.53以上である、
    請求項1、2、8のいずれか一項に記載の偏光子。
  11. 前記誘電体の屈折率は、1.53〜2.11の範囲内である、請求項10に記載の偏光子。
  12. 前記第2の方向における前記複数の貫通孔の中心間距離は、472nmであり、
    前記誘電体の屈折率は、1.63〜2.07の範囲内である、
    請求項1、2、8のいずれか一項に記載の偏光子。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の偏光子と、
    前記複数の貫通孔を塞がないように前記偏光子を保持するホルダーと、を有する、
    光学素子。
  14. 前記ホルダーは、セラミックスまたは金属からなる、請求項13に記載の光学素子。
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