JP2016114410A - タンパク質アレイの製造方法及びタンパク質アレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されたタンパク質アレイ及びその製造方法を提供する。【解決手段】基板を準備する基板準備工程と、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である製造方法、及び、上記製造方法により製造されたタンパク質アレイ。【選択図】なし
Description
本発明は、タンパク質アレイの製造方法及びタンパク質アレイに関する。
従来、ガラスやプラスチック等の基板上にタンパク質を固定したタンパク質アレイが知られている。タンパク質アレイは、例えば、生体試料中の対象物質を迅速に検出又は定量することができるため、各種疾患の診断や基礎研究等に利用されている。
例えば、特許文献1には、炭素基板上に、アミンを介して親水性スペーサーの一端が結合され、該親水性スペーサーの他端に所望の生体関連物質が結合されて成るバイオチップが開示されている。
しかしながら、従来のタンパク質アレイは、製造ロットにより検出シグナルが低い場合があり、また、製造ロット間で検出シグナルが大きくばらつく場合がある。
そこで、本発明は、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されたタンパク質アレイ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
(1)基板を準備する基板準備工程と、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である、製造方法。
(2)前記ブロッキング工程の後に、更にスポット検査工程を備える、(1)に記載の製造方法。
(3)前記乾燥工程の終了後1時間以内に前記ブロッキング工程を実施する、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記スポッティング工程を相対湿度60%以下の環境下で行う、(1)ないし(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかに記載の製造方法により製造されたタンパク質アレイ。
(1)基板を準備する基板準備工程と、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である、製造方法。
(2)前記ブロッキング工程の後に、更にスポット検査工程を備える、(1)に記載の製造方法。
(3)前記乾燥工程の終了後1時間以内に前記ブロッキング工程を実施する、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記スポッティング工程を相対湿度60%以下の環境下で行う、(1)ないし(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかに記載の製造方法により製造されたタンパク質アレイ。
本発明によれば、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されたタンパク質アレイ及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
<タンパク質アレイの製造方法>
一実施形態において、本発明は、基板を準備する基板準備工程と、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である、製造方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、基板を準備する基板準備工程と、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である、製造方法を提供する。
本実施形態の製造方法により、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されたタンパク質アレイを製造することができる。
ここで、「検出シグナルが高い」とは、例えば、抗hCG αサブユニット抗体を基板上に固定化したタンパク質アレイを使用して、1ng/mLと5ng/mLの標準hCG抗原を検出した場合に、検出シグナルの強度に有意差があることを意味する。
ここで、「ばらつきが抑制された」とは、本実施形態の製造方法で製造した複数ロット(3ロット以上)のタンパク質アレイを用いて、試料中の特定のタンパク質の存在を検出した場合に、下記式(F1)により算出される検出シグナルのばらつき(CV)が、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下であることを意味する。式(F1)中、σは、複数ロットのタンパク質アレイにおける検出シグナルの標準偏差を示し、xは、複数ロットのタンパク質アレイにおける検出シグナルの平均値を示す。
CV(%)=σ/x×100 (F1)
CV(%)=σ/x×100 (F1)
以下、各工程について説明する。
[基板準備工程]
タンパク質アレイの基板としては、特に制限はなく、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられる。タンパク質アレイの基板は、表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックであってもよい。プラスチックとしては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量が少なく、高い信号対雑音比(S/N比)を得やすい観点から、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、これらの共重合体等が挙げられる。飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体に水素添加した飽和重合体を意味する。
[基板準備工程]
タンパク質アレイの基板としては、特に制限はなく、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられる。タンパク質アレイの基板は、表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックであってもよい。プラスチックとしては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量が少なく、高い信号対雑音比(S/N比)を得やすい観点から、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、これらの共重合体等が挙げられる。飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体に水素添加した飽和重合体を意味する。
基板の形状には、特に制限はなく、例えばスライドガラス状、マルチウェルプレート状、円盤状等が挙げられる。基板は、微細な流路を備えたマイクロ流路デバイスを構成していてもよい。
(ポリマー)
基板の表面は、タンパク質を固定化するための官能基を有するポリマーでコーティングされていてもよい。上記官能基としては、化学的に活性な基であればよく、より具体的には、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アクリレート基、マレイミド基、ヒドラジド基、アジド基、アミド基、スルホネート基、カルボキシル基等が挙げられる。また、これらの基を介して結合した受容体、リガンド等であってもよい。
基板の表面は、タンパク質を固定化するための官能基を有するポリマーでコーティングされていてもよい。上記官能基としては、化学的に活性な基であればよく、より具体的には、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アクリレート基、マレイミド基、ヒドラジド基、アジド基、アミド基、スルホネート基、カルボキシル基等が挙げられる。また、これらの基を介して結合した受容体、リガンド等であってもよい。
上記ポリマーは、更に、基板表面の官能基と共有結合を形成してポリマーを基板上に結合させることができる基を有していてもよい。このような基としては、化学的に活性な基であればよく、より具体的には、アルコキシシラン基、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アクリレート基、マレイミド基、ヒドラジド基、アジド基、アミド基、スルホネート基等が挙げられる。
上記の基を用いてポリマーを基板に結合させるには、基板表面に上記の基と反応する官能基が必要となる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキニル基等が挙げられる。例えば、水酸基は、基板表面の酸化により容易に形成することができる。基板表面の酸化は、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、放射線照射処理等により行うことができる。
基板の表面をコーティングするポリマーとしては特に限定されず、例えば、下記式(1)で表される高分子化合物を好適に用いることができる。
式(1)で表される化合物は、3つのユニットから構成される。式(1)において、左側に示したユニットは、親水性であることから、タンパク質等の非特異吸着を抑制する機能を有する。また、中央に示したユニットは、活性エステル基を有することから、アミノ基を有する生理活性物質を固定化する機能を有する。また、右側に示したユニットは、加水分解するとシラノールを形成することから、基板への結合やポリマー同士の架橋により洗浄時に流出を防止する機能を有する。以下、それぞれのユニットについて、より詳細に説明する。
まず、左側に示したユニットについて説明する。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Xは2価の基を表し、pは3〜90の整数を表す。Xとしては、例えば、エチレングリコール残基が挙げられる。
本ユニットの組成割合(l1、m1及びn1の和に対するl1の割合)は、非特異的吸着を抑制し、かつ他のユニットの相対的な減少によるシグナルの低下や洗浄時の流出を防止する観点から、5〜98mol%であることが好ましい。
続いて、中央に示したユニットについて説明する。式(1)中、R3は水素原子又はメチル基を表し、Yは2価の基を表し、qは2〜80の整数を表し、Wは活性エステル基を表す。Yとしては、例えば、エチレングリコール残基又はアルキル基が挙げられる。
本ユニットの組成割合(l1、m1及びn1の和に対するm1の割合)は、タンパク質等の生理活性物質を十分に固定化でき、かつ非特異的吸着を抑制する観点から、1〜50mol%であることが好ましい。
続いて、右側に示したユニットについて説明する。式(1)中、R4は水素原子又はメチル基を表す。Zは炭素数1〜20のアルキレン基であり、特に構造は限定されない。A1、A2、A3のうち、少なくとも一つはメトキシ基又はエトキシ基であり、残りはメチル基、エチル基等の加水分解しない不活性な基である。
本ユニットの組成割合(l1、m1及びn1の和に対するn1の割合)は、基板に十分に固定化でき、かつ非特異的吸着を抑制する観点から、0.1〜10mol%であることが好ましい。
式(1)で表される化合物の化学構造は、上記の3つのユニットを含む構造であれば、その結合方式が、ランダム、ブロック、グラフト等いずれの形態であってもよい。
ポリマーのコーティングは、例えば、0.05〜10質量%の濃度で有機溶媒に溶解した上記ポリマーを、上記基板上に、浸漬、スプレー、スピンコーティング等により塗布した後、20〜120℃程度の室温下又は加温下で乾燥させることにより行うことができる。上記有機溶媒としては、例えば、2−ブタノン、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
基板の表面とポリマーとの結合は、共有結合、静電的相互作用、水素結合、疎水効果による結合等どのような結合様式であってもよいが、アッセイ中にポリマーが基板から流出しないようにするためには、共有結合で結合していることが好ましい。
[スポッティング工程]
本工程において、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を上記基板上にスポッティングして固定化する。
本工程において、溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を上記基板上にスポッティングして固定化する。
基板上に固定化するタンパク質としては、例えば、レクチン、抗体、アレルゲン等が挙げられる。タンパク質を溶解又は分散させる溶媒としては、特に制限はないが、タンパク質の変性を抑制する観点から水溶性の溶液であってもよい。水溶性の溶液としては、一般的な緩衝液を用いることができ、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、生理食塩水等が挙げられる。
上記溶媒には、基板上に固定化するタンパク質のほか、合成高分子やアルブミン、スキムミルク、カゼイン等の生体高分子を含有させてもよい。これにより、基板上に固定化するタンパク質を安定化することができる。基板表面へのタンパク質の固定化は、化学結合により行われてもよく、物理化学的結合により行われてもよい。
スポッティングは、例えば、市販のスポッターを使用して行うことができる。スポットのサイズは、例えば直径0.2〜1mm程度であってよい。
スポッティング工程は、例えば相対湿度60%以下、例えば相対湿度10〜60%、例えば相対湿度25〜55%の環境下で行ってもよい。これにより、製造されるタンパク質アレイの、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきを、更に抑制することができる傾向がある。
[乾燥工程]
本工程において、基板から上記溶媒を除去して乾燥させる。具体的には、スポッティング工程後の基板を相対湿度40%以下、例えば10〜40%、例えば20〜35%の環境下で0.1〜25時間、例えば0.2〜20時間、例えば0.5〜16時間放置する。これにより、タンパク質溶液又はタンパク質分散液の溶媒を除去して乾燥させることができる。乾燥工程は、4〜37℃程度で実施してもよい。
本工程において、基板から上記溶媒を除去して乾燥させる。具体的には、スポッティング工程後の基板を相対湿度40%以下、例えば10〜40%、例えば20〜35%の環境下で0.1〜25時間、例えば0.2〜20時間、例えば0.5〜16時間放置する。これにより、タンパク質溶液又はタンパク質分散液の溶媒を除去して乾燥させることができる。乾燥工程は、4〜37℃程度で実施してもよい。
[ブロッキング工程]
続いて、乾燥工程後の基板をブロッキング溶液に浸漬し、官能基を失活させるブロッキングを行う。ブロッキング溶液としては、例えば、エタノールアミン、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液等が挙げられる。
続いて、乾燥工程後の基板をブロッキング溶液に浸漬し、官能基を失活させるブロッキングを行う。ブロッキング溶液としては、例えば、エタノールアミン、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液等が挙げられる。
ブロッキング工程は、上述した乾燥工程の終了後1時間以内に実施することが好ましい。これにより、製造されるタンパク質アレイの、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきを、更に抑制することができる傾向がある。
ブロッキングの終了後に、基板を洗浄液で洗浄してもよい。洗浄は、例えば基板を洗浄液に浸漬した後、4〜37℃程度で乾燥させることにより行うことができる。洗浄液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、生理食塩水等の一般的な緩衝液を用いることができる。
ブロッキングの終了後又は洗浄液による洗浄後に、基板を保護液で処理してもよい。保護液による処理は、例えば、基板を保護液に浸漬した後、室温下又は加温下で乾燥させることにより行うことができる。
[スポット検査工程]
上記ブロッキング工程の後に、更にスポットが確実に実施できていることをその形状から検査する工程(スポット検査工程)を実施してもよい。スポット検査工程は、ブロッキング工程の前に行った方がスポットの形状を確認しやすい。しかしながら、上述したように、ブロッキング工程を、乾燥工程後速やかに実施することにより、製造されるタンパク質アレイの、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきを、更に抑制することができる傾向がある。
上記ブロッキング工程の後に、更にスポットが確実に実施できていることをその形状から検査する工程(スポット検査工程)を実施してもよい。スポット検査工程は、ブロッキング工程の前に行った方がスポットの形状を確認しやすい。しかしながら、上述したように、ブロッキング工程を、乾燥工程後速やかに実施することにより、製造されるタンパク質アレイの、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきを、更に抑制することができる傾向がある。
そこで、スポット検査工程を、ブロッキング工程の後に実施することにより、乾燥工程後ブロッキング工程を実施するまでの時間を短縮することができる。スポット検査工程は、例えば、基板を顕微鏡で観察することにより実施することができる。
<タンパク質アレイ>
一実施形態において、本発明は、上記製造方法により製造されたタンパク質アレイを提供する。
一実施形態において、本発明は、上記製造方法により製造されたタンパク質アレイを提供する。
本実施形態のタンパク質アレイは、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されている。このため、例えば、本実施形態のタンパク質アレイを用いて生体試料中の対象物質を検出又は定量することにより、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制された結果を得ることができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の合成)
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(Blenmer PE−200(n=4)、日本油脂(株)製)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながら、この溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬(株)製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃で1時間反応させた後、さらに2時間溶液を攪拌した。その後、ろ過により反応液から塩を除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマーを重クロロホルム溶媒中1H−NMRで測定し、エチレングリコール残基が4.5単位含まれていることを確認した。
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(Blenmer PE−200(n=4)、日本油脂(株)製)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながら、この溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬(株)製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃で1時間反応させた後、さらに2時間溶液を攪拌した。その後、ろ過により反応液から塩を除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマーを重クロロホルム溶媒中1H−NMRで測定し、エチレングリコール残基が4.5単位含まれていることを確認した。
(ポリマーの合成)
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量Mn=468、新中村化学株式会社製)、上記MEONP、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン(MPDMS、GELEST,INC.製)を、それぞれ順に0.90mol/L、0.05mol/L、0.05mol/Lになるように脱水エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、数平均分子量Mn=468、新中村化学株式会社製)、上記MEONP、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン(MPDMS、GELEST,INC.製)を、それぞれ順に0.90mol/L、0.05mol/L、0.05mol/Lになるように脱水エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。
このモノマー混合溶液に、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬工業株式会社製)を0.002mol/Lになるように添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を回収した。得られたポリマーを重エタノール溶媒中1H−NMRで測定し、0.7ppm付近に現れるMPDMSのSiに結合したメチレンに帰属されるピーク、3.4ppm付近に現れるPEGMAの末端メトキシ基に帰属されるピーク、7.4ppmおよび8.3ppm付近に現れるMEONPのベンゼン環に帰属されるピークそれぞれの積分値より、この高分子化合物の組成比を算出した。表1に結果を示した。
飽和環状ポリオレフィン樹脂製のスライドガラス形状基板(寸法:76mm×26mm×1mm)を作製した。この基板を上述したポリマーの0.3質量%エタノール溶液に浸漬、乾燥することにより、基板表面に上述したポリマーを含む層を導入した。
[実施例1]
上記基板上にPBSバッファー(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1Lの水中に9.6g溶解したバッファー)に0.5mg/mLの濃度で溶解したマウス抗hα−サブユニット抗体(型式「Anti−h Alpha Subunit clone 6601 SPR−5」、Medix Biochemica社製)をスポッティングした。スポッティングは、温度21.5℃、相対湿度52%の環境下で行った。基板1枚あたりのスポット数は40個とした。
上記基板上にPBSバッファー(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1Lの水中に9.6g溶解したバッファー)に0.5mg/mLの濃度で溶解したマウス抗hα−サブユニット抗体(型式「Anti−h Alpha Subunit clone 6601 SPR−5」、Medix Biochemica社製)をスポッティングした。スポッティングは、温度21.5℃、相対湿度52%の環境下で行った。基板1枚あたりのスポット数は40個とした。
続いて、スポッティング後の基板を温度21.2℃、相対湿度30%の環境下で15時間静置し、基板を乾燥させる乾燥工程を実施した。
乾燥工程の終了後、直ちに基板をブロッキング溶液に浸漬して1時間静置し、ブロッキングした。ブロッキング溶液には0.1mol/Lのエタノールアミン水溶液を使用した。続いて、基板を洗浄液に浸漬して3分間静置した後、遠心により乾燥させ、実施例1のタンパク質アレイを製造した。洗浄液にはPBSバッファー(日水製薬製)を使用した。
続いて、基板を顕微鏡で観察し、スポット検査を行い、スポットが正確に出来ていることを確認した。タンパク質アレイは、使用するまで−20℃で冷凍保存した。
[実施例2]
実施例1と同様の製造方法により、別ロットである実施例2のタンパク質アレイを製造した。
実施例1と同様の製造方法により、別ロットである実施例2のタンパク質アレイを製造した。
[実施例3]
実施例1と同様の製造方法により、別ロットである実施例3のタンパク質アレイを製造した。
実施例1と同様の製造方法により、別ロットである実施例3のタンパク質アレイを製造した。
[比較例1]
乾燥工程を温度21.8℃、相対湿度94%の環境下で15時間静置する条件で行った以外は実施例1と同様にして、比較例1のタンパク質アレイを製造した。タンパク質アレイは、使用するまで−20℃で冷凍保存した。
乾燥工程を温度21.8℃、相対湿度94%の環境下で15時間静置する条件で行った以外は実施例1と同様にして、比較例1のタンパク質アレイを製造した。タンパク質アレイは、使用するまで−20℃で冷凍保存した。
[比較例2]
比較例1と同様の製造方法により、別ロットである比較例2のタンパク質アレイを製造した。
比較例1と同様の製造方法により、別ロットである比較例2のタンパク質アレイを製造した。
[比較例3]
比較例1と同様の製造方法により、別ロットである比較例3のタンパク質アレイを製造した。
比較例1と同様の製造方法により、別ロットである比較例3のタンパク質アレイを製造した。
[実験例1]
PBSバッファー(日水製薬製)で1%に希釈したBSA(Sigma−Aldrich社製)溶液を作製した。この溶液を用いて、hCG抗原(型式「Human Chorionic Gonadotrophin、Recombinant(hCG)、P382−0」、BBI Solution社製)を1、5、10ng/mLの濃度に調製した溶液を作製した。この溶液を、実施例及び比較例の各基板3枚ずつに接触させることにより抗原抗体反応を行った。反応は、37℃で2時間実施した。反応後、0.05質量%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファー(Life Technologies製SSC20×Bufferを希釈して使用)を用いて、室温で基板を5分間洗浄した。
PBSバッファー(日水製薬製)で1%に希釈したBSA(Sigma−Aldrich社製)溶液を作製した。この溶液を用いて、hCG抗原(型式「Human Chorionic Gonadotrophin、Recombinant(hCG)、P382−0」、BBI Solution社製)を1、5、10ng/mLの濃度に調製した溶液を作製した。この溶液を、実施例及び比較例の各基板3枚ずつに接触させることにより抗原抗体反応を行った。反応は、37℃で2時間実施した。反応後、0.05質量%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファー(Life Technologies製SSC20×Bufferを希釈して使用)を用いて、室温で基板を5分間洗浄した。
洗浄後、二次抗体であるビオチン標識抗hCG抗体を反応させた。二次抗体は、Biotin Labeling Kit−NH2(同仁化学研究所製)を用いて、抗hCG抗体(型式「Anti−hCG beta clone 5014 SPTN−5」、Medix Biochemica社製)をビオチン標識した溶液を用いた。ビオチン標識抗hCG抗体をPBSバッファー(日水製薬製)に添加することにより20nmol/Lの溶液を作製した。この溶液と基板とを37℃で2時間接触させて、抗原抗体反応を実施した。抗原抗体反応後、0.05質量%のTween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファー(Life Technologies製)を用いて、室温で基板を5分間洗浄した。
最後に、Cy5標識されたストレプトアビジンをPBSバッファー(日水製薬製)に添加することにより20nmol/Lの溶液を作製した。この溶液と基板とを37℃で30分反応させた後、0.05質量%のTween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファー(Life Technologies製)を用いて、室温で基板を5分間洗浄した。
実施例および比較例の蛍光量測定には、Packard BioChip Technologies社製のマイクロアレイスキャナー「Scan Array」を用いた。測定条件は、レーザー出力90%、PMT感度50%、励起波長649nm、測定波長670nm、解像度50μmであった。
表2に、蛍光シグナル強度の測定結果を示す。表中、「*」の記号は、1ng/mLの結果に対し、有意差があることを示す。表中、ロットごとの平均値、標準偏差及びCVは、実施例1〜3及び比較例1〜3のタンパク質アレイそれぞれについて、40個のスポットの蛍光シグナル強度に基づいて算出した。また、ロット間における平均値、標準偏差及びCVは、実施例については、実施例1〜3それぞれの平均値に基づいて算出した。また、比較例については比較例1〜3それぞれの平均値に基づいて算出した。
その結果、実施例1〜3のタンパク質アレイでは、1ng/mLと5ng/mLのhCG抗原を検出した場合に、検出シグナルの強度に有意差が認められたのに対し、比較例1〜3のタンパク質アレイでは、1ng/mLと5ng/mLのhCG抗原の検出シグナルの強度に有意差が認められなかった。また、hCG抗原5ng/mLと10ng/mLを検出する場合のシグナル強度も、実施例では有意差が認められたのに対し、比較例では有意差が認められなかった。
また、実施例1〜3のタンパク質アレイでは、1、5、10ng/mLのhCG抗原を検出した場合に、ロット間におけるCVが10%以下であったのに対し、比較例1〜3のタンパク質アレイでは、1、5、10ng/mLのhCG抗原を検出した場合に、ロット間におけるCVが10%を超える結果となった。
以上の結果は、実施例1〜3のタンパク質アレイが、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されていることを示す。
本発明によれば、検出シグナルが高く、検出シグナルの製造ロット間におけるばらつきが抑制されたタンパク質アレイ及びその製造方法を提供することができる。
Claims (5)
- 基板を準備する基板準備工程と、
溶媒中に溶解又は分散させたタンパク質を前記基板上にスポッティングするスポッティング工程と、
前記スポッティング工程後の前記基板上にある前記溶媒を除去する乾燥工程と、
前記乾燥工程後の前記基板をブロッキング溶液に浸漬するブロッキング工程と、
を備える、タンパク質アレイの製造方法であって、
前記乾燥工程が、前記基板を相対湿度40%以下の環境下で0.1〜25時間静置する工程である、製造方法。 - 前記ブロッキング工程の後に、更にスポット検査工程を備える、請求項1に記載の製造方法。
- 前記乾燥工程の終了後1時間以内に前記ブロッキング工程を実施する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記スポッティング工程を相対湿度60%以下の環境下で行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたタンパク質アレイ。
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