JP2016114385A - 中性子断層撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造で、中性子線で被写体の断層画像を好適に取得することができる中性子断層撮影装置を提供する。【解決手段】中性子線を照射する中性子線照射部10と、被写体を支持する被写体支持機構14と、被写体支持機構14を挟んで中性子線照射部10の中性子線を出射する出射口と対面する位置に配置され、中性子線照射部10から照射され、被写体を通過した中性子線を検出する検出器12と、被写体支持機構14を移動させる被写体移動機構16と、被写体の中性子断層画像の検出の条件に基づいて、中性子線照射部10と、検出器12と、被写体移動機構16の動作を制御し、検出器12の検出結果に基づいて、被写体の中性子断層画像を検出する制御装置18と、を有し、制御装置18は、中性子線照射部10から中性子線を照射しつつ、被写体移動機構16により被写体を検出器12の表面と平行な方向に直線移動させる。【選択図】図2

Description

本発明は、被写体に中性子線を照射し、被写体を透過した中性子線を検出して、被写体の中性子断層画像を撮影する中性子断層撮影装置に関する。
被写体の内部の状態を計測する装置としては、被写体に放射線を照射して、被写体を透過した放射線を検出することで、被写体の断層画像を取得する装置がある。特許文献1には、被写体に対して放射線を異なる方向から照射し、複数の投影画像を撮影し、これらの投影画像を合成したトモシンセシス画像を取得するトモシンセシス装置が記載されている。特許文献1に記載の装置は、線源または被写体を回転させることで、被写体の撮影角度を変化させている。
特開2009−25296号公報
ここで、放射線としては、荷電粒子線をターゲットに照射することで発生する中性子線、より正確には中性子線を減速装置で減速させた熱中性子線を用いる場合がある。中性子線を照射する中性子線照射部は、荷電粒子を加速して荷電粒子線(陽子ビーム)を射出する加速装置と、加速装置から射出された荷電粒子線の照射により中性子線を発生するターゲットと、ターゲットで発生した中性子線を減速する減速装置とを備えている。このため、装置が大きく、高い精度で移動させることが困難である。また、被写体を回転させる構造では、被写体の内部形状が正確にわからない場合がある。
本発明は、簡単な構造で、中性子線で被写体の断層画像を好適に取得することができる中性子断層撮影装置を提供することを目的とする。
本発明は、中性子断層撮影装置であって、中性子線を照射する中性子線照射部と、被写体を支持する被写体支持機構と、前記被写体支持機構を挟んで前記中性子線照射部の中性子線を出射する出射口と対面する位置に配置され、前記中性子線照射部から照射され、前記被写体を通過した中性子線を検出する検出器と、前記被写体支持機構を移動させる被写体移動機構と、前記被写体の中性子断層画像の検出の条件に基づいて、前記中性子線照射部と、前記検出器と、前記被写体移動機構の動作を制御し、前記検出器の検出結果に基づいて、前記被写体の中性子断層画像を検出する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記中性子線照射部から前記中性子線を照射しつつ、前記被写体移動機構により前記被写体を前記検出器の表面と平行な方向に直線移動させることを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構造で、中性子線で被写体の断層画像を好適に取得することができる中性子断層撮影装置が提供される。
図1は、中性子断層撮影装置の一例を示す斜視図である。 図2は、中性子断層撮影装置の一例を示す模式図である。 図3は、ターゲット、減速装置及びコリメータを模式的に示す上面図である。 図4は、ターゲット、減速装置及び固定遮へい部を模式的に示す斜視図である。 図5は、可動遮へい部を模式的に示す斜視図である。 図6は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。 図7は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。 図8は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。 図9は、他の例の中性子断層撮影装置のターゲット、減速装置及びコリメータを模式的に示す上面図である。 図10は、図9に示す中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。 図11は、図9に示す中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。 図12は、中性子断層撮影装置の動作条件の設定の一例を示すフローチャートである。 図13は、中性子断層撮影装置の動作条件の設定の一例を示すフローチャートである。 図14は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。 図15は、図14に示す中性子断層撮影装置の上面図である。 図16は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。 図17は、図16に示す中性子断層撮影装置の上面図である。 図18は、中性子断層撮影装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図19は、中性子断層撮影装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図20は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。 図21は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下の実施形態においては、中性子断層撮影装置1は、機器又は構造物のような被写体(検査対象物)に中性子線Nを照射して、その被写体(検査対象物)の断層画像を取得することで、被写体の内部を非破壊で検査する。なお、被写体は、人体等の生命体でもよい。また、中性子断層撮影装置1は、検査以外の目的で、被写体の断層画像を取得してもよい。
図1は、中性子断層撮影装置の一例を示す斜視図である。図2は、中性子断層撮影装置の一例を示す模式図である。中性子断層撮影装置1は、図1及び図2に示すように、中性子線照射部10と、検出器12と、被写体支持機構14と、移動機構16と、制御装置18と、を有する。
中性子線照射部10は、被写体Sに中性子線Nを照射する。中性子線照射部10については後述する。検出器12は、中性子線照射部10から中性子線Nが照射される方向に配置されている。検出器12は、被写体Sを挟んで中性子線照射部10と対面する位置に配置されている。検出器12は中性子線照射部10と対面する側の表面に中性子線を検出する検出素子が配置されている。検出器12は、中性子線照射部10から照射され、被写体Sが配置されている領域を通過した中性子線Nを検出素子で検出する。検出素子は、検出器12の表面にマトリクス状に配置されている。検出器12は、検出した結果を制御装置18に送る。被写体支持機構14は、中性子線照射部10と検出器12との間に配置されている。被写体支持機構14は、被写体Sが載置される台である。
移動機構16は、検出器12と被写体支持機構14を移動させる機構である。移動機構16は、検出器12と被写体支持機構14を検出器12の表面に平行な方向(図1中矢印方向)に移動させる。移動機構16は、固定部42と可動部44とを有する。固定部42は、中性子断層撮影装置1の土台に固定されている。可動部44は、検出器12の表面に平行な方向可能な状態で固定部42に支持されている。可動部44は、検出器12と被写体支持機構14を支持している。移動機構16は、可動部44を固定部42に対して検出器12の表面に平行な方向に移動させることで、検出器12と被写体支持機構14を検出器12の表面に平行な方向に移動させ、検出器12と被写体Sを検出器12の表面に平行な方向に移動させる。なお、移動機構16は、検出器12と被写体支持機構14を検出器12の表面に平行な方向に移動できればよいが、他の方向にも移動できる機構を備えていてもよい。例えば、検出器12の表面に直交する方向や鉛直方向に検出器12と被写体支持機構14とを移動させるようにしてもよい。
制御装置18は、中性子断層撮影装置1の各部の動作を制御する。制御装置18は、演算処理機能や記憶機能を備えている。制御装置18は、動作制御部52と、動作条件設定部54と、断層画像生成部56と、動作条件テーブル58と、を有する。動作制御部52は、中性子線照射部10の中性子線の照射動作、検出部12の検出動作、移動機構16の移動動作を制御する。動作制御部52は、動作条件テーブル58に設定されている条件や入力された指示、検出した情報に基づいて動作を制御する。動作条件設定部54は、動作条件テーブル58に記憶させる動作条件を設定する。動作条件は、上述した中性子線照射部10の中性子線の照射動作、検出部12の検出動作、移動機構16の移動動作の各種条件である。断層画像生成部56は、検出器12で検出した中性子線の分布の情報を検出動作の条件等に基づいて処理して、被写体Sの断層画像を生成する。動作条件テーブル58は、中性子線照射部10の中性子線の照射動作、検出部12の検出動作、移動機構16の移動動作の動作条件を記憶する。
中性子線照射部10は、図2に示すように、荷電粒子を加速して荷電粒子線Pを射出する加速装置22と、加速装置22から射出された荷電粒子線Pの照射状態を調整する調整装置23と、荷電粒子線Pの照射により中性子線Nを発生するターゲット25と、ターゲット25で発生した中性子線Nを減速する減速装置26と、減速装置26から射出された中性子線Nを平行化するコリメータ27と、コリメータ27を移動させるコリメータ移動機構28と、を備えている。コリメータ27から射出された中性子線Nが被写体Sに照射される。
加速装置22は、円形加速器又は直線加速器を含む。加速装置22は、荷電粒子(陽子、電子、又は重粒子)を加速して、荷電粒子線(陽子線、電子線、又は重粒子線)Pを生成して射出する。
調整装置23は、複数の電磁石を含み、加速装置22から射出された荷電粒子線Pの照射状態を調整する。荷電粒子線Pの照射状態は、荷電粒子線Pの進行方向の調整及び荷電粒子線Pの整形を含む。調整装置23は、荷電粒子線Pの発散を抑制し、荷電粒子線Pを集束させる。調整装置23は、加速装置22から射出された荷電粒子線Pを走査装置24に導く。
本実施形態において、中性子線照射部10は、荷電粒子線Pを走査する走査装置24を備える。走査装置24は、荷電粒子線Pを走査し、ターゲット25に対する荷電粒子線Pの照射位置を調整する。また、走査装置24は、ターゲット25に照射される荷電粒子線Pを整形する。なお、走査装置24は無くてもよい。
加速装置22から射出され、調整装置23及び走査装置24を通過した荷電粒子線Pは、ターゲット25に照射される。ターゲット25は、荷電粒子線Pの照射により、中性子線Nを発生する。ターゲット25を、中性子線発生部材25、と称してもよい。ターゲット25は、例えばベリリウム(Be)、リチウム(Li)、又はそれらを含む化合物で形成された液体又は固体の板状の部材を含む。ターゲット25は、円形又は矩形の板状の固体部材でもよいし、加熱された液体リチウムでもよい。例えば、厚さが一定になるように流し続けられた液体リチウムをターゲット25として使用してもよい。
減速装置26は、ターゲット25で発生した中性子線Nを減速する。減速装置26は、中性子線Nの進路において、ターゲット25と被写体Sとの間に配置される。ターゲット25は、高エネルギーの高速中性子線を発生する。減速装置26は、高速中性子線のエネルギーを低減して、低速で低エネルギーの中性子線(熱中性子線、冷中性子線、又は熱外中性子線)を生成する。なお、減速装置26は、ターゲット25で発生した中性子線Nを多方向に散乱させ、低エネルギーの中性子線(熱中性子線、冷中性子線、又は熱外中性子線)を多方向に出力する。
コリメータ27は、減速装置26から射出された中性子線Nを所定の方向に照射する。コリメータ27により所定の方向に射出された中性子線Nが被写体Sに照射される。コリメータ27は、所定の方向に照射される中性子線N以外の中性子線Nを遮へい、減衰させる材料、例えば、鉛、ホウ素を含む樹脂、コンクリートで形成された部材であり、中性子線Nまたは荷電粒子線Pが入射する領域と、中性子線Nを照射する領域のみ穴(開口)が形成されている。コリメータ27は、中性子線Nまたは荷電粒子線Pが入射する領域と中性子線Nを照射する領域のみ、中性子線Nを遮へいせず、そのほかの領域の中性子線Nを遮へいすることで、所定の方向に中性子線Nを照射する。
図3は、ターゲット、減速装置及びコリメータを模式的に示す上面図である。図4は、ターゲット、減速装置及び固定遮へい部を模式的に示す斜視図である。図5は、可動遮へい部を模式的に示す斜視図である。コリメータ27は、図3から図5に示すように、固定遮へい部30と可動遮へい部32とを有する。固定遮へい部30は、断面が円弧となるように円筒の一部を削除した形状である。固定遮へい部30は、断面の円弧の開いている角度がθ1となる。角度θ1は、後述する中性子線Nの照射方向を移動させる角度範囲よりも広い角度である。可動遮へい部32は、断面が円弧となるように円筒の一部を削除した形状である。可動遮へい部32は、角度θ1よりも広い角度の円弧である。具体的には、可動遮へい部32は、回転する角度範囲の少なくとも2倍の角度の円弧である。コリメータ27は、円弧の固定遮へい部30と円弧の可動遮へい部32で、互いの開口を塞ぐことで、断面において閉じられた空間を形成する。なお、角度θ1は例えば90°である。本実施形態の中性子線照射部10は、可動遮へい部32の径が固定遮へい部30の径よりも小さい構造であり、可動遮へい部32の外周面よりも径方向外側に固定遮へい部30の内周面が配置された構造となる。中性子線照射部10は、本実施形態の構造に限定されず、可動遮へい部32の径が固定遮へい部30の径よりも大きい構造とし、可動遮へい部32の内周面よりも径方向内側に固定遮へい部30の外周面が配置された構造としてもよい。
固定遮へい部30は、穴34が形成されている。固定遮へい部30は、穴34から中性子線Nまたは荷電粒子線Pが入射する。可動遮へい部32は、穴36が形成されている。可動遮へい部32は、穴36から中性子線Nが出射する。なお、穴34、36の形状は、特に限定されず、断面が円でも四角でも、四角以外の多角形でも直線と曲線を組み合わせた断面でもよい。
コリメータ移動機構28は、コリメータ27の可動遮へい部32を回転させる機構である。コリメータ移動機構28は、円弧の固定遮へい部30と円弧の可動遮へい部32で形成した筒の軸を中心として可動遮へい部32を回転させる。
中性子線照射部10は、コリメータ移動機構28で可動遮へい部32を回転させ、穴36を回転させることで、中性子線Nを照射する方向を変化させることができる。
次に、図1から図5に加え、図6から図8を用いて、中性子断層撮影装置1の動作について説明する。図6は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。図7は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。図8は、中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。
中性子断層撮影装置1は、移動機構16で検出器12と被写体Sとを直線移動させつつ、コリメータ移動機構28でコリメータ32の穴36の向きを変化させることで、被写体Sのトモシンセシス画像を撮影する。
例えば、中性子断層撮影装置1は、図6のステップS12に示すように、移動機構16の移動方向の一方の端部に可動部44を移動させた状態する。この位置を計測開始の位置とする。この時、中性子線照射部10は、図7に示すように、固定遮へい部30の開口の一方の端部側に穴36を移動させた状態とする。なお、中性子線照射部10は、穴36は、中性子線の照射口となる。これにより、中性子断層撮影装置1は、中性子線照射部10から照射する中性子線Nを移動機構16の移動方向の一方の端部にある被写体Sに向けて照射できる状態とする。
中性子断層撮影装置1は、撮影を開始すると、検出器12で検出を行いつつ、移動機構16により可動部44を一方の端部から他方の端部に向けて移動させ、その移動に同期させて、中性子線照射部10のコリメータ27の穴36を固定遮へい部30の開口の一方の端部から他方の端部に移動させる。なお、被写体S及び検出部12の移動と、穴36の移動は、間欠移動でも連続移動でもよい。
中性子断層撮影装置1は、同期して被写体S及び検出部12と穴36とを移動させ、ステップS14に示すように、被写体S及び検出部12を支持している可動部44が、移動範囲の中央に移動した状態となると、穴36も図5に示すように移動範囲の中央に移動した状態となる。さらに、中性子断層撮影装置1は、同期して被写体S及び検出部12と穴36とを移動させ、ステップS16に示すように、被写体S及び検出部12を支持している可動部44が、移動範囲の他方の端部に移動した状態となると、穴36も図8に示すように移動範囲の他方の端部に移動した状態となる。
中性子断層撮影装置1は、移動機構16により被写体Sと検出器12を移動させて、中性子線照射部10と被写体Sとの相対位置を移動させることで、中性子線照射部10を平行移動させずに、相対位置を平行移動させることができる。これにより、装置として大きい中性子線照射部10を大きく移動させずに、被写体のトモシンセシス画像を取得することができる。
また、本実施形態のように、被写体Sと検出器12の移動に同期して、コリメータ27の穴36を移動させることで、中性子線の照射方向を移動させることができる。これにより、中性子線照射部10から中性子線を照射する範囲を狭くすることができ、他の機器への影響が生じることを抑制することができる。
また、本実施形態の中性子断層撮影装置1は、コリメータ移動機構28で穴36が形成された可動遮へい部32のみを移動(回転)させることで、中性子線の照射方向を移動させることができる。これにより、装置構成を簡単にすることができる。また、コリメータ27は、固定遮へい部30の開口よりも可動遮へい部32の円弧を大きくし、固定遮へい部30と可動遮へい部32とで断面において、可動遮へい部32が移動しても周方向に隙間がない状態とすることで、穴36以外から中性子線が出ることを抑制することができる。
ここで、中性子断層撮影装置1は、上記実施形態に限定されない。以下、中性子断層撮影装置の他の例について説明する。
図9は、他の例の中性子断層撮影装置のターゲット、減速装置及びコリメータを模式的に示す上面図である。図10及び図11は、それぞれ図9に示す中性子断層撮影装置の撮影動作の一例を説明するための図である。図9から図11に示す中性子断層撮影装置1aは、中性子断層撮影装置1とコリメータ27aの可動角度範囲が異なる。
中性子断層撮影装置1aのコリメータ27aは、固定遮へい部30aの開口の角度θ2が120°である。また、可動遮へい部32aの開口の角度θ3も120°である。つまり可動遮へい部32aの円弧は角度が240°となる。また、可動遮へい部32aの穴36aは、周方向の中央に形成されている。中性子断層撮影装置1aは、図10及び図11に示すように、可動遮へい部32aの穴36aを可動範囲の端まで移動させると可動遮へい部32aの端部が固定遮へい部30aの穴34aと接する位置となる。
以上より、中性子断層撮影装置は、本実施形態のように固定遮へい部30、30aの開口、つまり、穴36、36aの可動範囲を120°未満とすることが好ましい。これにより、簡単な構造で中性子線が穴36以外から漏れることを抑制しつつ、可動遮へい部32が穴34に緩衝することを抑制でき、固定遮へい部30、30aが穴36、36aに緩衝すること抑制できる。
次に、図12を用いて、中性子断層撮影装置の動作の一例について説明する。図12は、中性子断層撮影装置の動作条件の設定の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、制御装置18が処理を行うことで実現することができる。
制御装置18は、相対移動条件を決定する(ステップS20)。つまり、移動機構16による移動速度やコリメータ移動機構28の移動速度(角移動速度)を決定する。制御装置18は、相対移動条件を決定したら、相対位置毎に検出器12に到達する中性子線の強度分布を算出する(ステップS22)。ここで、中性子断層撮影装置1は、所定位置にある中性子線照射部10に対して、対応する位置の被写体S及び検出器12を直線移動させている。このため、相対位置によって、中性子線照射部10と被写体S及び検出器12との距離、また検出器12の各位置と中性子線照射部10との距離が変化する。制御装置18は、相対位置と中性子線照射部10から出力される中性子線の強度分布の特性に基づいて、相対位置毎に検出器12に到達する中性子線の強度分布を算出する。
制御装置18は、相対位置毎に検出器12に到達する中性子線の強度分布を算出したら、算出した強度分布に基づいて、各位置での検出器12に到達する中性子線の強度が一定になる中性子線の照射量を算出し(ステップS24)、算出結果を動作条件テーブル58に記憶する(ステップS26)。ここで、制御装置18は、中性子線の照射量をテーブルに記憶してもよいし、中性子線の照射量が算出した値となる制御値(印加する電流値や電位粒子線の強度)で記憶してもよい。
制御装置18は、このように、相対位置の特性に基づいて中性子線照射部10から照射する中性子線の強度を調整する条件を設定し、設定した条件で撮影を行うことで、中性子断層画像をより高い精度で検出することができる。
ここで、図12に示す処理では、中性子線照射部10から照射する中性子線の強度を調整したがこれに限定されない。図13は、中性子断層撮影装置の動作条件の設定の一例を示すフローチャートである。図13示す処理は、制御装置18が処理を行うことで実現することができる。
制御装置18は、相対移動条件を決定する(ステップS30)。制御装置18は、相対移動条件を決定したら、相対位置毎に検出器12に到達する中性子線の強度分布を算出する(ステップS32)。制御装置18は、相対位置毎に検出器12に到達する中性子線の強度分布を算出したら、算出した強度分布に基づいて、各位置での検出器12の感度が一定になる補正値を算出し(ステップS34)、算出結果を動作条件テーブル58に記憶する(ステップS36)。
制御装置18は、このように、相対位置の特性に基づいて検出器の感度を調整する条件を設定し、設定した条件で画像の取得を行うことで、中性子断層画像をより高い精度で検出することができる。ここで、制御装置18は、検出器12の感度を調整する方法としては、検出器12の設定を調整してもよいし、検出器12で検出した結果をデータで補正するようにしてもよい。
図14は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。図15は、図14に示す中性子断層撮影装置の上面図である。図14及び図15に示す中性子断層撮影装置1bは、線量モニタ70を有する以外は、中性子断層撮影装置1と同様の構成である。
中性子断層撮影装置1bは、線量モニタ70が検出器12の表面、つまり中性子線照射部10側の面で、かつ、被写体Sが通過した中性子線が到達しない位置、つまり、検出器12の端部に配置されている。中性子断層撮影装置1bは、4つの線量モニタ70が、検出器12の表面の4隅に配置されている。線量モニタ70は、中性子線の強度を検出する。
図16は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。図17は、図16に示す中性子断層撮影装置の上面図である。図16及び図17に示す中性子断層撮影装置1cは、線量モニタ70の配置位置が異なる以外は、中性子断層撮影装置1bと同様の構成である。中性子断層撮影装置1cは、被写体支持機構14に線量モニタ70が設置されている。
中性子断層撮影装置1b、1cは、線量モニタ70を設け、線量モニタ70の計測結果に基づいて、動作条件を調整することで、より高い精度で被写体の断層画像を取得することができる。
また、線量モニタ70は、中性子線照射部10と検出器12との間であり、かつ、被写体Sを通過していない中性子線が通過する領域であれば任意の位置に設置することができる。線量モニタ70を被写体支持機構14に設けることで被写体Sを通過していない中性子線を検出しやすくすることができる。
図18は、中性子断層撮影装置の動作の一例を示すフローチャートである。図18を用いて、線量モニタ70を有する中性子断層撮影装置の動作の一例について説明する。制御装置18は、線量モニタ70の計測結果を取得したら(ステップS40)、計測結果に基づいて中性子線の照射量を決定する(ステップS42)。つまり、計測結果に基づいて中性子線の照射量を補正する。
図19は、中性子断層撮影装置の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置18は、線量モニタ70の計測結果を取得したら(ステップS50)、計測結果に基づいて検出器の補正値を決定する(ステップS52)。つまり、計測結果に基づいて検出器の感度等を補正する。
中性子断層撮影装置1b、1cは、線量モニタ70で中性子線の強度を計測し、その結果に基づいて、照射する中性子線または検出器12の制御値を調整することで、撮影時の条件の変動に合わせて、より高い精度で補正を行うことができる。これにより、より好適な断層画像を取得することができる。
また、上記実施形態では、線量モニタ70を検出器12とは別体で設けたが、検出器12の一部を線量モニタ70としてもよい。この時、検出器12の線量モニタ70とする検出素子は、被写体Sが配置されない領域を通過した中性子線が到達する位置の検出素子である。制御装置18は、検出素子の検出結果の変動に基づいて、被写体Sを通過しているかを判定するようにしてもよい。例えば、複数の検出素子の候補を設定し、検出した強度が同期して変化している場合(相対位置の変化で予測される傾向での変化である場合)、検出素子の結果に基づいて補正を行うようにしてもよい。
図20は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。図20に示す中性子断層撮影装置1dは、移動機構16a以外は、中性子断層撮影装置1と同様の構成である。中性子断層撮影装置1dの移動機構16aは、被写体移動機構80と、検出器移動機構82とを有する。
被写体移動機構80は、固定部84と可動部86とを有する。固定部84は、中性子断層撮影装置1の土台に固定されている。可動部86は、検出器12の表面に平行な方向に移動可能な状態で固定部84に支持されている。可動部84は、被写体支持機構14を支持している。移動機構16aは、可動部86を固定部84に対して検出器12の表面に平行な方向に移動させることで、被写体支持機構14を検出器12の表面に平行な方向に移動させ、被写体Sを検出器12の表面に平行な方向に移動させる。
検出器移動機構82は、固定部88と可動部89とを有する。固定部88は、中性子断層撮影装置1の土台に固定されている。可動部89は、固定部88に検出器12の表面に平行な方向可能な状態で支持されている。可動部89は、検出器12を支持している。移動機構16aは、可動部89を固定部88に対して検出器12の表面に平行な方向に移動させることで、検出器12を検出器12の表面に平行な方向に移動させる。
中性子断層撮影装置1dの移動機構16aは、被写体移動機構80と、検出器移動機構82とを有することで、検出器12と被写体Sとを別々に移動させることができる。これにより、中性子線が照射される領域に合わせて、検出器12と被写体Sとを別々移動できるため、検出器12をより小さくすることができる。
図21は、中性子断層撮影装置の他の例を示す模式図である。図21に示す中性子断層撮影装置1eは、検出器12a及び移動機構16b以外は、中性子断層撮影装置1と同様の構成である。移動機構16bは、被写体移動機構80を有する。検出器12aは、被写体Sが被写体移動機構80で移動されることで、被写体Sを通過した中性子線が到達する全ての領域を含む大きさで配置されている。検出器12aは、支持台90に固定されている。
このように、中性子断層撮影装置1eは、検出器12aが大型化するが、検出器12aを移動させなくてもよい。
また、中性子断層撮影装置は、上述したようにコリメータ移動機構28を用いて、コリメータ32の穴36を移動させることが好ましいが、コリメータ移動機構28を設けず、被写体Sの移動範囲の全域に中性子線を照射するようにしてもよい。
1 中性子断層撮影装置
10 中性子線照射部
12 検出器
14 被写体支持機構
16 移動機構
18 制御装置
22 加速装置
23 調整装置
24 走査装置
25 ターゲット
26 減速装置
27 コリメータ
28 コリメータ移動機構
30 固定遮へい部
32 可動遮へい部
34、36 穴
42 固定部
44 可動部
52 動作制御部
54 動作条件設定部
56 断層画像生成部
58 動作条件テーブル
70 線量モニタ
N 中性子線
P 荷電粒子線
S 被写体

Claims (10)

  1. 中性子線を照射する中性子線照射部と、
    被写体を支持する被写体支持機構と、
    前記被写体支持機構を挟んで前記中性子線照射部の中性子線を出射する出射口と対面する位置に配置され、前記中性子線照射部から照射され、前記被写体を通過した中性子線を検出する検出器と、
    前記被写体支持機構を移動させる被写体移動機構と、
    前記被写体の中性子断層画像の検出の条件に基づいて、前記中性子線照射部と、前記検出器と、前記被写体移動機構の動作を制御し、前記検出器の検出結果に基づいて、前記被写体の中性子断層画像を検出する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記中性子線照射部から前記中性子線を照射しつつ、前記被写体移動機構により前記被写体を前記検出器の表面と平行な方向に直線移動させることを特徴とする中性子断層撮影装置。
  2. 前記中性子線照射部は、
    荷電粒子を加速して荷電粒子線を射出する加速装置と、
    前記加速装置から射出された前記荷電粒子線が照射され、中性子線を発生するターゲットと、
    前記ターゲットで発生した前記中性子線を減速する減速装置と、
    減速装置を通過した前記中性子線の一部を通過させ、残りを遮へいして、前記中性子線の照射方向を所定の方向にコリメートするコリメータと、
    前記コリメータの前記中性子線の照射方向を移動させるコリメータ移動機構と、を有し、
    前記制御装置は、前記被写体の前記検出器の表面と平行な方向の移動に同期して、前記コリメータ移動機構により、前記中性子線の照射方向を前記検出器の表面と平行な方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の中性子断層撮影装置。
  3. 前記コリメータは、前記中性子線を遮へいする材料で形成され、前記中性子線が通過する穴が形成された遮へい部を有し、
    前記コリメータ移動機構は、前記遮へい部を移動させ、前記穴を移動させることで、前記中性子線の照射方向を移動させることを特徴とする請求項2に記載の中性子断層撮影装置。
  4. 前記コリメータ移動機構は、回転軸を軸として前記遮へい部を回転させて前記中性子線の照射方向を前記検出器の表面と平行な方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載の中性子断層撮影装置。
  5. 前記コリメータは、前記減速装置の周囲の前記遮へい部の前記穴の可動域以外を覆い、前記加速装置と前記減速装置との間の前記荷電粒子または前記中性子線の経路に形成された開口を有し、前記減速装置に対して固定された固定遮へい部を有することを特徴とする請求項3または4に記載の中性子断層撮影装置。
  6. 前記検出器を移動させる検出器移動機構をさらに有し、
    前記制御装置は、前記中性子線照射部から前記中性子線を照射しつつ、前記検出器移動機構により前記検出器を前記被写体と同期して前記検出器の表面と平行な方向に直線移動させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の中性子断層撮影装置。
  7. 前記制御装置は、前記中性子線の照射方向と前記被写体との相対位置に基づいて、前記中性子線照射部から照射する前記中性子線の強度を調整することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の中性子断層撮影装置。
  8. 前記中性子線照射部から出力される中性子線の強度を検出する中性子線強度検出部を有し、
    前記制御装置は、前記中性子線強度検出部の検出結果に基づいて、前記中性子線照射部から照射する前記中性子線の強度を調整することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の中性子断層撮影装置。
  9. 前記制御装置は、前記中性子線の照射方向と前記被写体との相対位置に基づいて、前記検出器での検出結果を補正することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の中性子断層撮影装置。
  10. 前記中性子線照射部から出力される中性子線の強度を検出する中性子線強度検出部を有し、
    前記制御装置は、前記中性子線強度検出部の検出結果に基づいて、前記検出器での検出結果を補正することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の中性子断層撮影装置。
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