以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の実施形態の具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)空気調和装置の基本構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の空調に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、複数台(ここでは、3台)の室内ユニット4a、4b、4cとが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と複数の室内ユニット4a、4b、4cとは、液冷媒連絡管6及びガス冷媒連絡管7を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と複数の室内ユニット4a、4b、4cとが冷媒連絡管6、7を介して接続されることによって構成されている。尚、室内ユニットの台数は、3台に限定されるものではなく、3台よりも多くても少なくてもよい。
<室内ユニット>
室内ユニット4a、4b、4cは、屋内に設置されている。室内ユニット4a、4b、4cは、冷媒連絡管6、7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室内ユニット4a、4b、4cの構成について説明する。尚、室内ユニット4b及び室内ユニット4cは、室内ユニット4aと同様の構成を有するため、ここでは、室内ユニット4aの構成のみ説明し、室内ユニット4b、4cの構成については、それぞれ、室内ユニット4aの各部を示す添字aの代わりに添字b又は添字cを付して、各部の説明を省略する。
室内ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット4b、4cでは、室内側冷媒回路10b、10c)を有している。室内側冷媒回路10aは、主として、室内膨張弁41aと、室内熱交換器42aとを有している。
室内膨張弁41aは、室内側冷媒回路10aを流れる冷媒を減圧して冷媒の流量の調節する弁である。室内膨張弁41aは、室内熱交換器42aの液側に接続された電動膨張弁である。
室内熱交換器42aは、冷媒の蒸発器や冷媒の放熱器として機能する熱交換器であり、多数の伝熱管及び多数のフィンによって構成されている。室内熱交換器42aの近傍には、室内熱交換器42aに室内空気を送るための室内ファン43aが設けられている。室内ファン43aによって室内熱交換器42aに対して室内空気を送風することにより、室内熱交換器42aでは、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われるようになっている。室内ファン43aは、室内ファンモータ44aによって回転駆動されるようになっている。
また、室内ユニット4aには、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42aの液側には、液状態又は気液二相状態の冷媒の温度Trlaを検出する液側温度センサ45aが設けられている。室内熱交換器42aのガス側には、ガス状態の冷媒の温度Trgaを検出するガス側温度センサ46aが設けられている。室内ユニット4aの室内空気の吸入口側には、室内ユニット4aの室内熱交換器42aによって冷却又は加熱される空調空間の空気温度、すなわち、室内ユニット4における室内空気の温度(室内温度Tra)を検出する室内温度センサ47aが設けられている。また、室内ユニット4aは、室内ユニット4aを構成する各部の動作を制御する室内側制御部48aを有している。そして、室内側制御部48aは、室内ユニット4aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4aを個別に操作するためのリモートコントローラ49aとの間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。尚、リモートコントローラ49aは、ユーザーが空調運転に関する各種設定や運転/停止指令を行う機器である。また、室内温度センサ47aは、室内ユニット4a内ではなく、リモートコントローラ49aに設けられていてもよい。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、屋外に設置されている。室外ユニット2は、冷媒連絡管6、7を介して室内ユニット4a、4b、4cに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。
室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10dを備えている。この室外側冷媒回路10dは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
圧縮機21は、ケーシング内に図示しない圧縮要素及び圧縮要素を回転駆動する圧縮機モータ21aが収容された密閉型圧縮機である。圧縮機モータ21aは、図示しないインバータ装置を介して電力が供給されるようになっており、インバータ装置の出力周波数(すなわち、回転数)を変化させることによって、運転容量を可変することが可能になっている。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、空調運転の1つとしての冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として、かつ、室内熱交換器42a、42b、42cを室外熱交換器23において放熱した冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス冷媒連絡管7とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、空調運転の1つとしての暖房運転時には、室内熱交換器42a、42b、42cを圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42a、42b、42cにおいて放熱した冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管7とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
室外熱交換器23は、冷媒の放熱器や冷媒の蒸発器として機能する熱交換器であり、多数の伝熱管及び多数のフィンによって構成されている。室外熱交換器23の近傍には、室外熱交換器23に室外空気を送るための室外ファン28が設けられている。室外ファン28によって室外熱交換器23に対して室外空気を送風することにより、室外熱交換器23では、冷媒と室外空気との間で熱交換が行われるようになっている。室外ファン28は、室外ファンモータ28aによって回転駆動されるようになっている。
室外膨張弁25は、室外側冷媒回路10dを流れる冷媒を減圧する弁である。室外膨張弁25は、室外熱交換器23の液側に接続された電動膨張弁である。
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管6及びガス冷媒連絡管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、室外膨張弁25に接続されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ32とが設けられている。吸入温度センサ31は、圧縮機21の吸入側に設けられている。室外熱交換器23の液側には、液状態又は気液二相状態の冷媒の温度Tolを検出する液側温度センサ33が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、室外ユニット2における室外空気の温度(外気温度Ta)を検出する外気温度センサ34が設けられている。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部35を有している。そして、室外側制御部35は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリや圧縮機モータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4a、4b、4cの室内側制御部48a、48b、48cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管6、7は、空気調和装置1を設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。液冷媒連絡管6は、室外ユニット2の液側接続口(ここでは、液側閉鎖弁26)から延びており、途中で複数(ここでは、3台)の室内ユニット4a、4b、4cに分岐して、各室内ユニット4a、4b、4cの液側接続口(ここでは、室内膨張弁41a、41b、41cに接続される冷媒管)まで延びている。ガス冷媒連絡管7は、室外ユニット2のガス側接続口(ここでは、ガス側閉鎖弁27)から延びており、途中で複数(ここでは、3台)の室内ユニット4a、4b、4cに分岐して、各室内ユニット4a、4b、4cのガス側接続口(ここでは、室内熱交換器42a、42b、42cのガス側に接続される冷媒管)まで延びている。尚、冷媒連絡管6、7は、室外ユニット2及び室内ユニット4a、4b、4cの設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
<制御部>
室内ユニット4a、4b、4cを個別に操作するためのリモートコントローラ49a、49b、49cと、室内ユニット4a、4b、4cの室内側制御部48a、48b、48cと、室外ユニット2の室外側制御部35とは、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8を構成している。制御部8は、図2に示されるように、各種センサ29〜34、45a〜45c、46a〜46c、47a〜47c等の検出信号を受けることができるように接続されている。そして、制御部8は、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁21a、22、25、28a、41a〜41c、44a〜44cを制御することによって、冷房運転及びドライ運転等の空調運転を行うことができるように構成されている。ここで、図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
以上のように、空気調和装置1は、圧縮機21を有する室外ユニット2と複数(ここでは、3台)の室内ユニット4a、4b、4cとが接続されることによって構成されており、ユーザーが各室内ユニット4a、4b、4cを個別に冷房運転又はドライ運転に設定可能なものである。ここで、各室内ユニット4a、4b、4cにおける冷房運転及びドライ運転の設定は、ユーザーがリモートコントローラ49a、49b、49cを用いて行うようになっている。
(2)空気調和装置の基本動作及び基本制御
<基本動作>
次に、空気調和装置1の空調運転(冷房運転、ドライ運転及び暖房運転)の基本動作について、図1を用いて説明する。
−冷房運転及びドライ運転−
リモートコントローラ49a、49b、49cから冷房運転又はドライ運転の指令がなされると、四路切換弁22が冷房運転状態(図1の四路切換弁22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43a、43b、43cが起動する。
すると、冷媒回路10内の低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器21において、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮して、高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室外膨張弁25、液側閉鎖弁26及び液冷媒連絡管6を経由して、室外ユニット2から室内ユニット4a、4b、4cに送られる。
室内ユニット4a、4b、4cに送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41a、41b、41cによって減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒となる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器42a、42b、42cに送られる。室内熱交換器42a、42b、42cに送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器42a、42b、42cにおいて、室内ファン43a、43b、43cによって供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管7を経由して、室内ユニット4a、4b、4cから室外ユニット2に送られる。
室外ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
−暖房運転−
リモートコントローラ49a、49b、49cから暖房運転の指令がなされると、四路切換弁22が暖房運転状態(図1の四路切換弁22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43a、43b、43cが起動する。
すると、冷媒回路10内の低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡管7を経由して、室外ユニット2から室内ユニット4a、4b、4cに送られる。
室内ユニット4a、4b、4cに送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42a、42b、42cに送られる。室内熱交換器42a、42b、42cに送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器42a、42b、42cにおいて、室内ファン43a、43b、43cによって供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮して、高圧の液冷媒となる。この高圧の液冷媒は、室内膨張弁41a、41b、41cによって減圧される。室内膨張弁41a、41b、41cによって減圧された冷媒は、ガス冷媒連絡管7を経由して、室内ユニット4a、4b、4cから室外ユニット2に送られる。
室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁27を経由して、室外膨張弁25に送られ、室外膨張弁25によって減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒となる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して、低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
<基本制御>
上記の空調運転(冷房運転、ドライ運転及び暖房運転)においては、各室内ユニット4a、4b、4cにおける室内温度Tra、Trb、Trcが、各室内ユニット4a、4b、4cにおける目標室内温度Tras、Trbs、Trcsになるように、以下のような空調能力(冷房能力、除湿能力及び暖房能力)の制御が行われる。ここで、これらの目標室内温度Tras、Trbs、Trcsの設定は、ユーザーがリモートコントローラ49a、49b、49cを用いて行うようになっている。
−冷房運転時及びドライ運転時−
空調運転が冷房運転及びドライ運転である場合には、制御部8は、目標蒸発温度Tesに基づいて圧縮機21の容量を制御している。
圧縮機21の容量制御は、圧縮機21(より具体的には、圧縮機モータ21a)の回転数(運転周波数)を制御することによって行われる。具体的には、冷媒回路10の低圧Peに相当する冷媒の蒸発温度Teが目標蒸発温度Tesになるように、圧縮機21の回転数が制御される。ここで、低圧Peとは、冷房運転時において、室内膨張弁41a、41b、41cの出口から室内熱交換器42a、42b、42cを経由して圧縮機21の吸入側に至るまでの間を流れる低圧の冷媒を代表する圧力を意味している。ここでは、低圧Peとして、吸入圧力センサ29によって検出される冷媒圧力である吸入圧力Psが使用され、吸入圧力Psを冷媒の飽和温度に換算して得られる値が、冷媒の蒸発温度Teである。
圧縮機21の容量制御(回転数制御)おける目標蒸発温度Tesは、制御部8において、冷房運転又はドライ運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける冷房能力又は除湿能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcに基づいて決定されるようになっている。
具体的には、まず、冷房運転中の各室内温度Tra、Trb、Trcから各目標室内温度Tras、Trbs、Trcsを差し引くことによって、各温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcを得る。これらの温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcに基づいて、冷房運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcを演算する。ここで、温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcが正値の場合、すなわち、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsまで達していない場合には、冷房能力の増加を要求していることを意味し、これらの絶対値が大きいほど、冷房能力の増加要求の程度が大きいことを意味する。一方、温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcが負値の場合、すなわち、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsまで達している場合には、冷房能力の減少を要求していることを意味し、これらの絶対値が大きいほど、冷房能力の減少要求の程度が大きいことを意味する。このため、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcも、温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcと同様に、冷房能力の増減の方向及びその程度を意味する値となる。
そして、冷房能力の増加が要求されている場合、すなわち、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcが正値の場合には、増加の程度(要求値の絶対値)に応じて目標蒸発温度Tesを現在値よりも低くなるように決定して、これにより、圧縮機21の回転数を高くして冷房能力を増加させるのである。一方、冷房能力の減少が要求されている場合、すなわち、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcが負値の場合には、減少の程度(要求値の絶対値)に応じて目標蒸発温度Tesを現在値よりも高くなるように決定して、これにより、圧縮機21の回転数を低くして冷房能力を減少させるのである。
一方、ドライ運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおいては、各室内熱交換器42a、42b、42cにおいて空気中の水分を確実に結露させるために、目標蒸発温度Tesを各室内温度Tra、Trb、Trcに比べて大幅に低下させる必要がある。このため、ドライ運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける除湿能力に関する要求値ΔQDa、ΔQDb、ΔQDcは、冷房運転時とは異なり、一律の又はドライ運転中の各室内温度Tra、Trb、Trcに応じた温度差ΔTDra、ΔTDrb、ΔTDrcに基づいて演算される。
ここで、冷房運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおいては、各温度差ΔTCra、ΔTCrb、ΔTCrcに応じて、又は、ドライ運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおいては、各温度差ΔTDra、ΔTDrb、ΔTDrcに応じて、種々の冷房能力の増減要求(要求値ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDc)がなされる。しかし、目標蒸発温度Tesは、すべての室内ユニット4a、4b、4cに共通の目標値である。このため、目標蒸発温度Tesは、すべての室内ユニット4a、4b、4cにおける冷房能力又は除湿能力の増減要求を代表する値に決定せざるを得ない。そこで、冷房能力又は除湿能力に関する要求値ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDcのうち最も目標蒸発温度Tesが低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesを決定している。例えば、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcが各室内ユニット4a、4b、4cにおいて要求される蒸発温度である場合には、これらのうち最も低い要求値を目標蒸発温度Tesとして選択する。具体的には、室内ユニット4aにおいて要求される蒸発温度としての要求値ΔQCaが5℃であり、室内ユニット4bにおいて要求される蒸発温度としての要求値ΔQCbが7℃であり、室内ユニット4cにおいて要求される蒸発温度としての要求値ΔQCcが10℃である場合には、これらのうち最も低い要求値である要求値ΔQCaの5℃を目標蒸発温度Tesとして選択するのである。また、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcが各室内ユニット4a、4b、4cにおいて要求される蒸発温度の増減の程度を示す値である場合には、これらのうち冷房能力が最も大きくなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesを決定する。具体的には、現状の目標蒸発温度Tesが12℃であり、冷房能力に関する要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCcが蒸発温度をどのくらい低くするかを示すものとすると、室内ユニット4aにおいて要求される要求値ΔQCaが7℃、室内ユニット4bにおいて要求される要求値ΔQCaが5℃、室内ユニット4cにおいて要求される要求値ΔQCcが2℃である場合には、これらのうち最も大きい要求値である要求値ΔQCaの7℃を採用して、現状の目標蒸発温度Tes(=12℃)から差し引いて得られる温度(=5℃)を目標蒸発温度Tesとするのである。
尚、ここでは、冷媒の蒸発温度Teが目標蒸発温度Tesになるように圧縮機21の回転数を制御しているが、これに代えて、冷媒の蒸発温度Teに相当する低圧Pe(=吸入圧力Ps)が目標低圧Pesになるように、圧縮機21の回転数を制御してもよい。この場合には、要求値ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDcも低圧Peや目標低圧Pesに応じた値を使用することになる。
−暖房運転時−
空調運転が暖房運転である場合には、制御部8は、目標凝縮温度Tcsに基づいて圧縮機21の容量を制御している。
圧縮機21の容量制御は、冷房運転時及びドライ運転時と同様に、圧縮機21(より具体的には、圧縮機モータ21a)の回転数(運転周波数)を制御することによって行われる。具体的には、冷媒回路10の高圧Pcに相当する冷媒の凝縮温度Tcが目標凝縮温度Tcsになるように、圧縮機21の回転数が制御される。ここで、高圧Pcとは、暖房運転時において、圧縮機21の吐出側から室内熱交換器42a、42b、42cを経由して室内膨張弁41a、41b、41cの入口に至るまでの間を流れる高圧の冷媒を代表する圧力を意味している。ここでは、高圧Pcとして、吐出圧力センサ30によって検出される冷媒圧力である吐出圧力Pdが使用され、吐出圧力Pdを冷媒の飽和温度に換算して得られる値が、冷媒の凝縮温度Tcである。
圧縮機21の容量制御(回転数制御)おける目標凝縮温度Tcsは、制御部8において、暖房運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcに基づいて決定されるようになっている。
具体的には、まず、暖房運転中の各目標室内温度Tras、Trbs、Trcsから各室内温度Tra、Trb、Trcを差し引くことによって、各温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcを得る。これらの温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcに基づいて、暖房運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcを演算する。ここで、温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcが正値の場合、すなわち、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsまで達していない場合には、暖房能力の増加を要求していることを意味し、これらの絶対値が大きいほど、暖房能力の増加要求の程度が大きいことを意味する。一方、温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcが負値の場合、すなわち、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsまで達している場合には、暖房能力の減少を要求していることを意味し、これらの絶対値が大きいほど、暖房能力の減少要求の程度が大きいことを意味する。このため、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcも、温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcと同様に、暖房能力の増減の方向及びその程度を意味する値となる。
そして、暖房能力の増加が要求されている場合、すなわち、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcが正値の場合には、増加の程度(要求値の絶対値)に応じて目標凝縮温度Tcsを現在値よりも高くなるように決定して、これにより、圧縮機21の回転数を高くして暖房能力を増加させるのである。一方、暖房能力の減少が要求されている場合、すなわち、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcが負値の場合には、減少の程度(要求値の絶対値)に応じて目標凝縮温度Tcsを現在値よりも低くなるように決定して、これにより、圧縮機21の回転数を低くして暖房能力を減少させるのである。
ここで、暖房運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおいては、各温度差ΔTHra、ΔTHrb、ΔTHrcに応じて、種々の暖房能力の増減要求(要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHc)がなされる。しかし、目標凝縮温度Tcsは、目標蒸発温度Tesと同様に、すべての室内ユニット4a、4b、4cに共通の目標値である。このため、目標凝縮温度Tcsは、すべての室内ユニット4a、4b、4cにおける暖房能力の増減要求を代表する値に決定せざるを得ない。そこで、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcのうち最も目標凝縮温度Tcsが高くなる要求値に基づいて目標凝縮温度Tcsを決定している。例えば、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcが各室内ユニット4a、4b、4cにおいて要求される凝縮温度である場合には、これらのうち最も高い要求値を目標凝縮温度Tcsとして選択する。具体的には、室内ユニット4aにおいて要求される凝縮温度としての要求値ΔQHaが45℃であり、室内ユニット4bにおいて要求される凝縮温度としての要求値ΔQHbが43℃であり、室内ユニット4cにおいて要求される凝縮温度としての要求値ΔQHcが40℃である場合には、これらのうち最も高い要求値である要求値ΔQHaの45℃を目標凝縮温度Tcsとして選択するのである。また、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcが各室内ユニット4a、4b、4cにおいて要求される凝縮温度の増減の程度を示す値である場合には、これらのうち暖房能力が最も大きくなる要求値に基づいて目標凝縮温度Tcsを決定する。具体的には、現状の目標凝縮温度Tesが38℃であり、暖房能力に関する要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcが凝縮温度をどのくらい高くするかを示すものとすると、室内ユニット4aにおいて要求される要求値ΔQHaが7℃、室内ユニット4bにおいて要求される要求値ΔQHaが5℃、室内ユニット4cにおいて要求される要求値ΔQHcが2℃である場合には、これらのうち最も大きい要求値である要求値ΔQHaの7℃を採用して、現状の目標凝縮温度Tcs(=38℃)に加算して得られる温度(=45℃)を目標凝縮温度Tcsとするのである。
尚、ここでは、冷媒の凝縮温度Tcが目標凝縮温度Tcsになるように圧縮機21の回転数を制御しているが、これに代えて、冷媒の凝縮温度Tcに相当する高圧Pc(=吐出圧力Pd)が目標高圧Pcsになるように、圧縮機21の回転数を制御してもよい。この場合には、要求値ΔQHa、ΔQHb、ΔQHcも高圧Pcや目標高圧Pcsに応じた値を使用することになる。
このように、空調運転においては、その空調能力の制御として、圧縮機21の回転数制御が行われるようになっている。
(3)ドライ運転制限制御
ここでは、上記の圧縮機21の回転数制御を含む空調運転(冷房運転、ドライ運転及び暖房運転)を行うことによって、各室内ユニット4a、4b、4cにおける室内温度Tra、Trb、Trcが、各室内ユニット4a、4b、4cにおける目標室内温度Tras、Trbs、Trcsになるように、空調能力(冷房能力、除霜能力及び暖房能力)が制御されるようになっている。
ここで、冷房運転は、室内ユニット4a、4b、4cにおける室内温度Tra、Trb、Trcを低下させる運転であるため、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsから離れると、大きな能力が要求され、圧縮機21の回転数が高めに制御されるようになり、室内温度Tra、Trb、Trcが目標室内温度Tras、Trbs、Trcsに近づくと、小さい能力が要求され、圧縮機21の回転数が低めに制御されるようになる。一方、ドライ運転は、室内ユニット4a、4b、4cにおける室内湿度を低下させる運転であるため、室内空気中の水分を結露させることができるように冷房運転に比べて大きな能力が要求され、圧縮機21の回転数が高めに制御されることが多い。
このため、冷房運転を行う室内ユニットとドライ運転を行う室内ユニットとが混在する運転状態になると、冷房運転を行う室内ユニットが要求する冷房能力に比べて、ドライ運転を行う室内ユニットが要求する除湿能力のほうが大きくなる場合が多くなる。そうすると、ドライ運転を行う室内ユニットの能力要求に基づいて圧縮機21の回転数が高めに制御されることになる。具体的には、目標蒸発温度Tesに基づいて圧縮機21の回転数を制御するにあたり、各室内ユニット4a、4b、4cの要求値ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDcのうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesを決定すると、冷房運転を行う室内ユニットとドライ運転を行う室内ユニットとが混在する運転状態において、冷房運転を行う室内ユニットの要求値(ΔQCa、ΔQCb、ΔQCc)が小さい場合に、目標蒸発温度Tesがドライ運転を行う室内ユニットの要求値(ΔQDa、ΔQDb、ΔQDc)に基づいて低めの値に決定され、圧縮機21の回転数が高めに制御されやすくなる。
このように、ユーザーが各室内ユニット4a、4b、4cを個別に冷房運転又はドライ運転に設定可能な空気調和装置1においては、冷房運転を行う室内ユニットとドライ運転を行う室内ユニットとが混在する運転状態になると、冷房運転を行う室内ユニットにおいて、過剰な冷房能力が与えられることが多くなるため、省エネ性が得られにくくなる。
そこで、空気調和装置1では、冷房運転中又はドライ運転中の各室内ユニット4a、4b、4cにおける冷房能力又は除湿能力に関する要求値ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDcのうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesを決定し、圧縮機21の回転数制御を行う空調運転を行うにあたり、冷房運転に設定された室内ユニットとドライ運転に設定された室内ユニットとが混在する運転状態になった場合に、制御部8が、ドライ運転に設定された室内ユニットについて、所定のドライ運転終了条件を満たすまでドライ運転を行い、ドライ運転終了条件を満たすまでドライ運転を行った室内ユニットを冷房運転に強制的に切り換えるドライ運転制限制御を行うものである。
次に、ドライ運転制限制御を含む空調運転の切り換え制御について、図3及び図4を用いて説明する。ここで、図3は、ドライ運転制限制御を含む空調運転の切り換え制御を示すフローチャートである。図4は、ドライ運転制限制御時の各室内ユニットの運転状態を示すタイムチャートである。尚、ここでは、すべての室内ユニット4a、4b、4cが空調運転中の場合を想定して説明を行う。
まず、制御部8は、空調運転中のすべての室内ユニット4a、4b、4cが冷房運転に設定された運転状態(ステップST1)において、空調運転停止中又は空調運転中の室内ユニットに対してドライ運転の指令がなされたかどうかを判定する(ステップST2)。ここでは、ユーザーがリモートコントローラ49cを用いて冷房運転中の室内ユニット4cに対してドライ運転の指令がなされた場合を想定すると、制御部8は、ステップST2において、冷房運転中の室内ユニット4cに対してドライ運転の指令がなされたものと判定する。
次に、制御部8は、ステップST3において、冷房運転に設定された室内ユニット(ここでは、室内ユニット4a、4b)とドライ運転に設定された室内ユニット(室内ユニット4c)とが混在する運転を開始する。すなわち、ユーザーからの指令にしたがって、空調運転中の室内ユニット4a、4b、4cのうち室内ユニット4a、4bが冷房運転を行い、室内ユニット4cだけがドライ運転を行うのである。
ここで、空調能力の制御(圧縮機21の回転数制御)に着目すると、ステップST1の運転状態(空調運転中のすべての室内ユニット4a、4b、4cが冷房運転の状態)においては、冷房運転を行う室内ユニット4a、4b、4cにおける能力要求(冷房能力の要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCc)のうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesが決定されていたところ、このステップST3の運転状態(室内ユニット4a、4bが冷房運転、かつ、室内ユニット4cがドライ運転の状態)になると、冷房運転を行う室内ユニット4a、4bにおける能力要求(冷房能力の要求値ΔQCa、ΔQCb)及びドライ運転を行う室内ユニット4cにおける能力要求(除湿能力の要求値ΔQDb)のうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesが決定されることになる。このとき、冷房運転を行う室内ユニット4a、4bが要求する冷房能力(要求値ΔQCa、ΔQCb)に比べて、ドライ運転を行う室内ユニット4cが要求する除湿能力(要求値ΔQDb)のほうが大きい場合には、ドライ運転を行う室内ユニット4cの能力要求(要求値ΔQDb)に基づいて目標蒸発温度Tesが決定されるようになる。そうすると、ステップST3の運転状態(室内ユニット4a、4bが冷房運転、かつ、室内ユニット4cがドライ運転の状態)では、ステップST1の運転状態(空調運転中のすべての室内ユニット4a、4b、4cが冷房運転の状態)に比べて、目標蒸発温度Tesが低めの値に決定され、圧縮機21の回転数が高めに制御されるようになる。
次に、制御部8は、ステップST4において、ドライ運転に設定された室内ユニット(ここでは、室内ユニット4c)について、所定のドライ運転終了条件を満たしたかどうかを判定する。ここでは、ドライ運転が所定のドライ運転継続時間ts行われたかどうかによって判定するようにしている。ここで、ドライ運転継続時間tsは、所望の除湿効果がある程度得ることができるように、30分〜90分程度に設定されている。そして、ステップST4において、ドライ運転終了条件を満たしたものと判定された場合(ここでは、ドライ運転継続時間tsが経過した場合)には、制御部8は、ステップST5において、ドライ運転終了条件を満たすまでドライ運転を行った室内ユニット(ここでは、室内ユニット4c)を冷房運転に強制的に切り換えて、ステップST1の空調運転中のすべての室内ユニット4a、4b、4cが冷房運転に設定された運転状態にする。すなわち、ユーザーからの指令にもかかわらず、室内ユニット4cのドライ運転を最小限にとどめて、空調運転中の室内ユニット4a、4b、4cがすべて冷房運転を行う運転状態に強制的に切り換えるドライ運転制限制御を行うのである。
ここで、空調能力の制御(圧縮機21の回転数制御)に着目すると、ステップST3の運転状態(室内ユニット4a、4bが冷房運転、かつ、室内ユニット4cがドライ運転の状態)においては、冷房運転を行う室内ユニット4a、4bにおける能力要求(冷房能力の要求値ΔQCa、ΔQCb)及びドライ運転を行う室内ユニット4cにおける能力要求(除湿能力の要求値ΔQDb)のうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesが決定されていたところ、ステップST1の運転状態(空調運転中のすべての室内ユニット4a、4b、4cが冷房運転の状態)になると、冷房運転を行う室内ユニット4a、4b、4cにおける能力要求(冷房能力の要求値ΔQCa、ΔQCb、ΔQCc)のうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesが決定されるように強制的に戻され、目標蒸発温度Tesが高めの値に決定され、圧縮機21の回転数が低めに制御されるようになるのである。
これにより、ここでは、圧縮機21の回転数が高めに制御されるドライ運転が混在した運転状態を制限して、圧縮機21の回転数をできるだけ低めに制御して、省エネ性が得られやすくしている。
尚、このとき、ドライ運転から冷房運転に強制的に切り換えられた室内ユニットのリモートコントローラ(ここでは、室内ユニット4cのリモートコントローラ49c)には、ユーザーが故障等と誤解しないようにするために、ドライ運転制限制御が作動中である旨を表示することが好ましい。
また、制御部8は、ステップST6において、ステップST4のドライ運転終了条件を満たす前にユーザーがドライ運転中の室内ユニット(ここでは、室内ユニット4c)を冷房運転に設定した場合には、ドライ運転終了条件を満たしていなくても、ドライ運転中の室内ユニット4cを冷房運転に切り換えるようにしている。
これにより、ここでは、冷房運転を優先して、省エネ性をさらに得られやすくしている。
(4)空気調和装置の特徴
空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
<A>
ここでは、上記のように、各室内ユニット4a、4b、4cの要求値(ΔQCa又はΔQDa、ΔQCb又はΔQDb、ΔQCc又はΔQDc)のうち目標蒸発温度Tesが最も低くなる要求値に基づいて目標蒸発温度Tesを決定し、し、目標蒸発温度Tesに基づいて圧縮機21の回転数を制御するにあたり、冷房運転を行う室内ユニットとドライ運転を行う室内ユニットとが混在する運転状態になった場合に、ドライ運転に設定された室内ユニットについて、所定のドライ運転終了条件を満たすまでドライ運転を行い、ドライ運転終了条件を満たすまでドライ運転を行った室内ユニットを冷房運転に強制的に切り換えるドライ運転制限制御を行うようにしている。
これにより、ここでは、冷房運転を行う室内ユニットとドライ運転を行う室内ユニットとが混在する運転状態において、冷房運転を行う室内ユニットの要求値が小さい場合に、目標蒸発温度Tesがドライ運転を行う室内ユニットの要求値に基づいて低めの値に決定され、圧縮機21の回転数が高めに制御されやすくなることに対して、ドライ運転を行う室内ユニットの混在による低めの目標蒸発温度Tesにした状態の運転、すなわち、圧縮機21の回転数が高めに制御された状態の運転を最小限にとどめて、速やかに冷房運転を行う室内ユニットだけが存在する運転状態にすることができる。そして、その後は、目標蒸発温度Tesが冷房運転を行う室内ユニットの要求値(ΔQCa、ΔQCb、ΔQCc)に基づいて高めの値に決定され、圧縮機21の回転数が低めに制御されやすくなる。これにより、ここでは、圧縮機21の回転数をできるだけ低めに制御して、省エネ性を得られやすくすることができる。
<B>
また、ここでは、上記のように、ドライ運転終了条件を満たしたかどうかを、ドライ運転が所定のドライ運転継続時間ts行われたどうかによって判定するようにしている。このため、ここでは、ドライ運転から冷房運転への切り換えを確実に行うことができる。
<C>
また、ここでは、上記のように、ドライ運転終了条件を満たす前にユーザーがドライ運転中の室内ユニットを冷房運転に設定した場合には、ドライ運転終了条件を満たしていなくても、ドライ運転中の室内ユニットを冷房運転に切り換えるようにしている。そうすると、ドライ運転中に冷房運転の設定がなされた場合には、ドライ運転終了条件を満たしていなくても、速やかに冷房運転に切り換えられることになる。このため、ここでは、冷房運転を優先して、省エネ性をさらに得られやすくすることができる。
(5)変形例
<A>
上記実施形態では、ドライ運転終了条件を満たすかどうかの判定を、ドライ運転が所定のドライ運転継続時間ts行われたかどうかによって判定するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、ドライ運転が開始されてから蒸発温度Teが目標蒸発温度Tes以下になっている積分量が所定値になったかどうかによって判定するようにしてもよい。また、室内ユニット4a、4b、4cやリモートコントローラ49a、49b、49cが湿度センサを有する場合には、所定湿度に達したかどうかによって判定するようにしてもよい。
<B>
上記実施形態では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能な空気調和装置に対して、ドライ運転制限制御を適用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、冷房運転及びドライ運転専用の空気調和装置に対して、ドライ運転制限制御を適用してもよい。