JP2016114182A - シール構造の製造方法及びシール構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明のシール構造の製造方法は、シール構造の施工時間を短縮することができる。【解決手段】シール構造の製造方法は、流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで、水密性を有して伸縮する伸縮シール材7を形成する伸縮シール材形成工程と、配設部材2の外周面と貫通孔13の内周面との間に、充填シール材4を充填する充填工程と、前記充填工程の後に、前記伸縮シール材形成工程で形成した伸縮シール材7を、充填シール材4の屋外側で固定する伸縮シール材固定工程とを含み、前記伸縮シール材固定工程は、貫通孔13内で配設部材2を挿通させた伸縮シール材7を配設部材2の外周面及び貫通孔13の内周面に接着して固定する。【選択図】図1

Description

本発明は、シール構造の製造方法及びシール構造に関する。
建屋等の外壁を構成する壁部等の構造物には、建屋の内外に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に配設部材を挿通することで建屋の屋外から屋内又は屋内から屋外への流体等の供給や排出を可能としている。この際、貫通孔と配管との間は、屋内外の水密性を確保するために、貫通孔の内周壁と配管の外周壁との間の隙間をシールするシール構造を構成している。
このようなシール構造としては、例えば、特許文献1では、貫通孔の内周面と配設部材の外周面との間に充填された充填シール材と、充填シール材の屋外側に配置される伸縮性部材と、充填シール材と伸縮性部材との間に設けられるブレーカ材とを備える構造が開示されている。特許文献1に記載のシール構造では、充填シール材と伸縮性部材との変形に対してブレーカ材が追従することで、伸縮性部材の伸縮性を阻害せずに水密性を確保している。
特開2014−005858号公報
ところで、上記のようなシール構造では、水密性及び伸縮性を有する伸縮性部材がシリコンシーラント等の流動性を有するシーラント材によって形成されている。伸縮性部材は、シリコンシーラントを塗って硬化させた後で、硬化したシリコンシーラントに再び新たなシリコンシーラントを塗り重ねることで必要とされる厚みに形成される。
しかしながら、シリコンシーラント等の流動性を有するシーラント材は、深部まで硬化させるには時間がかかる。そのため、シリコンシーラントを塗り重ねて伸縮性部材を形成した場合、シール構造の施工に時間がかかってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、シール構造の施工時間を短縮することが可能なシール構造の製造方法及びシール構造を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様におけるシール構造の製造方法は、屋内側である表面及び屋外側である裏面の間に貫通孔が形成された壁部における前記貫通孔と、該貫通孔に挿通された配設部材との間にシール構造を形成するシール構造の製造方法であって、流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで、水密性を有して伸縮する伸縮シール材を形成する伸縮シール材形成工程と、前記配設部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に、充填シール材を充填する充填工程と、前記充填工程の後に、前記伸縮シール材形成工程で形成した前記伸縮シール材を、前記充填シール材の屋外側で固定する伸縮シール材固定工程とを含み、前記伸縮シール材固定工程は、前記貫通孔内で前記配設部材を挿通させた前記伸縮シール材を前記配設部材の外周面及び前記貫通孔の内周面に接着して固定する。
上記構成によれば、伸縮シール材形成工程で予め形成した伸縮シール材を利用することで、既に硬化している伸縮シール材を貫通孔や配設部材に接着するだけで水密性及び伸縮性を有する部材を短時間で施工することができる。
また、上記シール構造の製造方法では、前記伸縮シール材固定工程は、複数の前記伸縮シール材を前記充填シール材の屋外側で前記配設部材の延びる延在方向に重なるように配置し、隣接する複数の前記伸縮シール材の前記延在方向の互いに対向する面を接着してもよい。
上記構成によれば、伸縮シール材だけで流動性を有するシーリング材を塗り重ねた場合と同様に任意の厚みで、水密性及び伸縮性を有する部材を形成することが容易にできる。
また、上記シール構造の製造方法では、前記伸縮シール材形成工程は、前記伸縮シール材の内部に前記配設部材を挿通するための中空孔を形成し、前記中空孔から径方向の外側に向かって切り込みを形成してもよい。
上記構成によれば、切り込みから広げることで、配設部材に対して伸縮シール材を容易に取り付けることができる。
また、上記シール構造の製造方法では、前記伸縮シール材形成工程は、前記切り込みを前記伸縮シール材の厚さ方向に対して交差するように形成してもよい。
上記構成によれば、流動性を有するシーリング材で固定した後の切り欠きの接着強度を向上させることができる。
また、上記シール構造の製造方法では、前記貫通孔と前記配設部材との位置関係を事前に計測する事前計測工程を有し、前記伸縮シール材形成工程は、前記事前計測工程での計測結果に合わせて、前記伸縮シール材を形成してもよい。
上記構成によれば、貫通孔に対して配設部材の位置がずれて配置されている場合であっても、貫通孔と配設部材との間に伸縮シール材を確実に設置することができる。これにより、伸縮シール材を取り付けるための余分な作業等が発生してしまうことを抑え、シール構造の施工時間をより一層短縮することができる。
また、本発明の第二の態様におけるシール構造は、屋内側である表面及び屋外側である裏面の間に貫通孔が形成された壁部における前記貫通孔と、該貫通孔に挿通された配設部材との間にシール構造を形成するシール構造であって、流動性を有するシーリング材を予め硬化化させることで形成され、水密性を有して伸縮する伸縮シール材と、前記配設部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填される充填シール材と、を備え、複数の前記伸縮シール材は、前記充填シール材の屋外側で前記配設部材の延びる延在方向に重なるように配置され、隣接する複数の前記伸縮シール材の前記延在方向の互いに対向する面が接着されている。
本発明によれば、予め伸縮シール材を形成することで、シール構造の施工時間を短縮することができる。
本発明の実施形態におけるシール構造を示す断面図である。 本発明の実施形態における伸縮シール材を示す模式図であって、同図(a)は軸線方向から見た図であり、同図(b)は径方向の外側から見た図である。 本発明の実施形態におけるシール構造の製造方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態における伸縮シール材固定工程を説明する斜視図である。 本発明の実施形態における伸縮シール材の変形例を示す図であって、同図(a)は、第一変形例の切り込みを示す図であり、同図(b)は第二変形例の切り込みを示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、原子力発電プラント等の発電設備は、原子炉やタービン設備等を収めた原子炉建屋等の壁を構成して貫通孔13を有する構造物である壁部1と、貫通孔13に挿通されている配設部材2とを備えている。本実施形態のシール構造3は、貫通孔13と配設部材2との間の空間を閉塞している。
ここで、本実施形態では、壁部1に対して津波等によって水が進入すると想定される貫通孔13の軸線Oの延びる軸線O方向の一方側を建物の屋外側(図1紙面右側)とし、軸線O方向の他方側を建物の屋内側(図1紙面左側)とする。
壁部1は、屋外側を向いて鉛直面に沿って広がる表面11と、屋内側を向いて鉛直面に沿って広がる裏面12と、表面11から裏面12に向かって軸線Oを中心とする断面円形状をなして壁部1を貫通するよう形成された貫通孔13とを有する。なお、貫通孔13は、断面円形状である必要はなく、例えば矩形の孔としてもよいが円形に近い形状が好ましい。
配設部材2は、貫通孔13を屋外側から屋内側にわたって挿通するように軸線Oに沿って延びている。本実施形態では、配設部材2として、軸線Oを中心とする円筒状をなして延在する金属製の配管が設けられている。配設部材2は、軸線O方向から視て、貫通孔13の略中央に配置されている。
本実施形態のシール構造3は、配設部材2の外周面と貫通孔13の内周面との間に充填される充填シール材4と、充填シール材4の屋外側に設けられるブレーカ材5と、ブレーカ材5の屋外側に設けられる伸縮性部材6と、貫通孔13及び配設部材2に対する伸縮性部材6の接着性を向上させるプライマー9と、を有する。
充填シール材4は、貫通孔13の壁部1の表面11側の開口を封止している。充填シール材4は、通孔の内周面と配設部材2の外周面との間に液状で充填された後、硬化させることで貫通孔13と配設部材2との間の水密性を確保する。即ち、充填シール材4は、貫通孔13の内周面と配設部材2の外周面とに接着されて固定されており、貫通孔13の屋内側で配設部材2と貫通孔13との間の空間を閉塞している。充填シール材4は、配設部材2の内部を通る流体の温度や建屋内温度等に応じた耐熱性を備えた建築用シール材が用いられている。本実施形態においては、水密性の確保の観点から、充填シール材4はウレタン等の弾性発泡材が用いられることが好ましい。
ブレーカ材5は、充填シール材4と伸縮性部材6との配設部材2に直交する方向の相対移動を許容する部材である。ブレーカ材5は、充填シール材4の軸線O方向の屋外側の一面を覆うとともに、伸縮性部材6の軸線O方向の屋内側の一面を覆うように、充填シール材4と伸縮性部材6との間に介在している。本実施形態のブレーカ材5は、発泡ポリエチレンによって形成されている。ブレーカ材5は、配設部材2の延在方向である軸線O方向に所定厚みを有する中空円板形状をなしている。具体的には、本実施形態のブレーカ材5は、中央に配設部材2を挿通するための円形孔が形成されている。ブレーカ材5の円形孔は、配設部材2の外径と同じか配設部材2の外径よりもやや大きく形成されている。また、ブレーカ材5の外径は、貫通孔13の内径と同じか、貫通孔13の内径よりもやや小さく形成されている。
伸縮性部材6は、充填シール材4及びブレーカ材5の屋外側に配置されている。伸縮性部材6は、高い伸縮性(弾性)を有し、シール構造3の施工後に配設部材2が移動して配設部材2と貫通孔13との距離が変化する場合においても、配設部材2の移動に対して追従する性能を有している。本実施形態の伸縮性部材6は、流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで形成される複数の伸縮シール材7と、伸縮シール材7を貫通孔13や配設部材2に対して固定する流動性接着剤8とを有する。伸縮性部材6は、複数の伸縮シール材7が充填シール材4の屋外側で配設部材2の延びる軸線O方向に重なるように配置されて形成されている。伸縮性部材6は、5mm〜6mm程度の厚みで形成されることが好ましい。本実施形態の伸縮性部材6は、二つの伸縮シール材7が流動性接着剤8によって貫通孔13及び配設部材2に対して接着されることで形成されている。
伸縮シール材7は、水密性を有して伸縮する。本実施形態の伸縮シール材7は、流動性を有するシーリング材であるゲル状のシリコンシーラントが硬化することによって形成される。本実施形態の伸縮シール材7を形成するシリコンシーラントは、一液硬化型のシリコンシーラントが用いられることが好ましく、特に脱オキシム系シリコンシーラントが用いられることが好ましい。
伸縮シール材7は、貫通孔13と配設部材2との間に配置される伸縮性部材6の厚みに応じて、所定の厚みで形成されている。本実施形態の伸縮シール材7は、2mmから3mm程度の厚みで形成されている。伸縮シール材7は、内部に配設部材2を挿通するための中空孔71が形成されている。伸縮シール材7は、図2(a)に示すように、この中空孔71から径方向に外側に向かって切り込み72が形成されている。中空孔71は、軸線Oと交差する断面において、貫通孔13に対する配設部材2の位置と対応するように形成されている。切り込み72は、図2(b)に示すように、伸縮シール材7の径方向の外側から見た際に、伸縮シール材7の厚さ方向である軸線O方向に対して交差するように形成されている。本実施形態の切り込み72は、中空孔71から外周に向かって径方向に延び、軸線O方向に対して傾斜して伸縮シール材7を切断するように形成されている。つまり、伸縮シール材7は、中央付近に中空孔71を有し、中空孔71から外周まで斜めに切り込み72が形成された円板状をなしている。
流動性接着剤8は、伸縮シール材7を形成する際に用いたシーリング材と同じ材料で構成されている。つまり、本実施形態の流動性接着剤8は、伸縮シール材7と同様のゲル状のシリコンシーラントが用いられる。流動性接着剤8は、伸縮シール材7を配設部材2の外周面及び貫通孔13の内周面に接着している。流動性接着剤8は、隣接する複数の伸縮シール材7の軸線O方向の互いに対向する面同士を接着している。流動性接着剤8は、貫通孔13との接着部、及び配設部材2との接着部が、屋外側に向かって厚く塗布されている。
プライマー9は、伸縮性部材6と配設部材2との間、及び伸縮性部材6と貫通孔13との間に介在している。プライマー9は、流動性接着剤8と貫通孔13の接着性、及び流動性接着剤8と配設部材2の接着性を向上させるために塗布される下地材である。プライマー9は、流動性接着剤8が接着される対象に応じて適宜選択されればよい。
なお、プライマー9は、流動性接着剤8と貫通孔13との接着性、又は流動性接着剤8と配設部材2との接着性のいずれか、又は両方が十分であれば省略されてもよい。
次に、本実施形態のシール構造の製造方法S1について説明する。
図3に示すように、本実施形態のシール構造の製造方法S1は、事前計測工程S10と、伸縮シール材形成工程S20と、充填工程S30と、プライマー塗布工程S40と、ブレーカ材設置工程S50と、伸縮シール材固定工程S60とを含んでいる。
事前計測工程S10は、貫通孔13と配設部材2との位置関係を事前に計測する。本実施形態の事前計測工程S10は、貫通孔13の内周面に対する配設部材2の中心位置を計測する。
伸縮シール材形成工程S20は、流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで、水密性を有して伸縮する伸縮シール材7を形成する。伸縮シール材形成工程S20は、事前計測工程S10での計測結果に合わせて、伸縮シール材7を形成する。具体的には、本実施形態の伸縮シール材形成工程S20は、ゲル状のシリコンシーラントである流動性接着剤8を貫通孔13の内周形状に合わせた形材に流し込んで、円板状の部材を形成する。伸縮シール材形成工程S20は、事前計測工程S10で計測した貫通孔13に対する配設部材2の位置に合わせて、円板状の部材に配設部材2を挿通させるための中空孔71を形成する。伸縮シール材形成工程S20は、中空孔71から外周まで軸線O方向に切り込み72を入れて伸縮シール材7を形成する。伸縮シール材形成工程S20では、切り込み72を伸縮シール材7の厚さ方向に対して交差するように斜めに形成する。
充填工程S30は、配設部材2と貫通孔13との間の屋内側に充填シール材4を充填する。充填工程S30では、貫通孔13の屋内側に充填シール材4を充填する。充填工程S30では、充填シール材4が流れ出さないように板材を取り付けて配設部材2と貫通孔13との間の空間を区画し、区画された空間に液状の充填シール材4を流し込んで硬化させる。充填工程S30では、液状の充填シール材4が硬化した後に板材を取り外す。
プライマー塗布工程S40は、充填工程S30の後に、充填された充填シール材4の屋外側にプライマー9を塗布する。プライマー塗布工程S40は、充填シール材4よりも屋外側の貫通孔13の内周面及び配設部材2の外周面にプライマー9を塗布する。
ブレーカ材設置工程S50は、充填シール材4の屋外側を向く面に接触するようにブレーカ材5を取り付ける。本実施形態のブレーカ材設置工程S50は、プライマー塗布工程S40の後に、配設部材2に挿通した状態で中空円板状のブレーカ材5を取り付ける。
伸縮シール材固定工程S60は、伸縮シール材形成工程S20で形成した複数の伸縮シール材7を、流動性接着剤8によって固定して伸縮性部材6を形成する。伸縮シール材固定工程S60は、充填シール材4の屋外側に配置されたブレーカ材5の屋外側で、伸縮シール材7を流動性接着剤8によって固定する。図4に示すように、伸縮シール材固定工程S60は、切り込み72を広げて中空孔71に配設部材2を挿通させる。伸縮シール材固定工程S60は、配設部材2を挿通させた伸縮シール材7をブレーカ材5に接触させた状態で、配設部材2の外周面及び貫通孔13の内周面に流動性接着剤8で接着する。伸縮シール材固定工程S60は、一枚目の伸縮シール材7をブレーカ材5の屋外側に固定した後に、二枚目の伸縮シール材7を一枚目の伸縮シール材7の屋外側に配置する。伸縮シール材固定工程S60は、二枚目の伸縮シール材7を一枚目の伸縮シール材7の屋外側で軸線O方向に重なるように中空孔71に配設部材2に挿通させて配置する。この際、伸縮シール材固定工程S60は、隣接する伸縮シール材7の切り込み72の周方向の位置が軸線O方向に重ならないように、周方向にずらして配置することが好ましい。本実施形態では、一枚目の伸縮シール材7の切り込み71に対して、切り込み71の位置を周方向に90°ずらした状態で二枚目の伸縮シール材7を配置する。伸縮シール材固定工程S60は、二枚目の伸縮シール材7を流動性接着剤8で配設部材2や貫通孔13に接着するとともに、隣接する一枚目の伸縮シール材7及び二枚目の伸縮シール材7の軸線O方向の互いに対向する面を接着して固定し、伸縮性部材6を形成する。伸縮シール材固定工程S60は、貫通孔13と二枚目の伸縮シール材7との接着部、及び配設部材2と二枚目の伸縮シール材7との接着部が、屋外側に向かって厚く塗布する。
上記のようなシール構造の製造方法S1及びシール構造3によれば、伸縮シール材形成工程S20で予め流動性接着剤8を硬化させて伸縮シール材7を形成し、この伸縮シール材7を用いて伸縮シール材固定工程S60で伸縮性部材6を形成することができる。そのため、伸縮性部材6を短時間で施工でき、伸縮性部材6を有するシール構造3の施工時間を短縮することができる。
具体的には、貫通孔13に配設部材2が挿通した壁部1がある現場にて流動性接着剤8のようなゲル状のシリコンシーラントを塗り重ねて伸縮性部材6を形成する場合には、2mm程度の厚みであっても、深部まで硬化させるための硬化養生に一日程度待つ必要がある。特に、水密性及び伸縮性を確保するために伸縮性部材6を5mmから6mm程度の厚みで形成する場合には、硬貨養生に数日かかり、施工が完了するまでに長時間を要する。
ところが、伸縮シール材形成工程S20で予め形成した伸縮シール材7を利用することで、現場では、既に硬化している伸縮シール材7を流動性接着剤8によって貫通孔13や配設部材2に接着するだけで水密性及び伸縮性を有する伸縮性部材6を短時間で施工することができる。そのため、5mm〜6mm程度の厚みの伸縮性部材6を設ける場合であって、一日足らずで施工を完了することができる。したがって、現場でのシール構造3の施工時間を短縮することができる。
また、伸縮シール材固定工程S60で、2mmから3mmの伸縮シール材7を二枚重ねて互いに流動性接着剤8で接着させることで、5mmから6mm程度の厚みの伸縮性部材6を形成することできる。したがって、複数の伸縮シール材7を軸線O方向に重なるように配置して互いに対向する面を接着して伸縮性部材6を形成することで、伸縮シール材7だけで流動性接着剤8を塗り重ねた場合と同様に任意の厚みで、伸縮性部材6を形成することが容易にできる。
また、伸縮シール材形成工程S20で形成される伸縮シール材7が、配設部材2を挿通するための中空孔71から外周に向かって径方向の外側に切り込み72が形成されていることで、中空孔71に配設部材2を挿通させて伸縮シール材7を貫通孔13内に配置することが容易にできる。つまり、伸縮シール材7が伸縮性を有しているために切り込み72を広げることで、配設部材2に対して伸縮シール材7を容易に取り付けることができる。これにより、現場でのシール構造3の施工時間をより短縮することができる。
また、伸縮シール材形成工程S20で切り込み72を伸縮シール材7の厚さ方向に対して交差するように斜めに形成することで接着部分の面積を増やし、流動性接着剤8で固定した後の切り欠きの接着強度を向上させることができる。
また、複数の伸縮シール材7を取り付ける際に、隣接する伸縮シール材7の切り込み72の位置を周方向にずらして配置することで、流動性接着剤8で固定した後の切り欠きの接着強度を隣接する伸縮シール材7で補って、より向上させることができる。
また、事前計測工程S10で貫通孔13と配設部材2との位置関係を事前に計測し、計測結果に合わせて伸縮シール材7を形成することで、貫通孔13に対して配設部材2の位置が中心からずれて配置されている場合であっても、貫通孔13と配設部材2との間に伸縮シール材7を確実に設置することができる。例えば、設計時には貫通孔13に対して配設部材2が中心に配置されていたが、施工後に配設部材2の位置が中心からずれてしまった場合であっても、伸縮シール材7の外周に対する中空孔71の位置関係を、貫通孔13と配設部材2との位置関係に合わせることができる。これにより、現場で伸縮シール材7の中空孔71のズレなどを修正して取り付ける等の余分な作業が発生してしまうことを抑え、シール構造3の施工時間をより一層短縮することができる。
また、流動性を有するシーラント材として一液硬化型のシリコンシーラント材を用いることで、二液硬化型のシリコンシーラント材を用いる場合に比べて水密性を有して伸縮する伸縮シール材7を容易に形成することができる。
また、脱オキシム系シリコンシーラントを用いることで、金属との化学的な接合強度を向上させることができる。そのため、配設部材2に対する接合強度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、伸縮シール材7の切り込み72の形状は、上記実施形態のように軸線O方向に斜めに形成される形状に限定されるものではない。
例えば、図5(a)に示すように、切り込み72は軸線O方向と平行に形成されていてもよい。このように切り込み72を形成することで、伸縮シール材7に切り込み72を容易に形成できる。
また、図5(b)に示すように、切り込み72は、径方向の外側から見た形状が噛み合うような形状としてもよい。このように切り込み72を形成することで、流動性接着剤8で固定した後の切り欠きの接着強度をより向上させることができる。
また、伸縮シール材7の形状は、貫通孔13や配設部材2の形状に合わせて任意の形状で形成されればよく、形成される厚みも伸縮性部材6の厚みに応じて適宜設定すればよい。例えば、伸縮性部材6を厚く形成する際には、伸縮シール材7自体の厚みを厚くしてもよく、逆に厚みを薄くして重ねる枚数を増やしてもよい。
また、伸縮シール材7は、本実施形態のように周方向に繋がった一つの部材でなくてもよい。例えば、伸縮シール材7は、周方向に複数に分割された形状であってもよい。
また、事前計測工程S10は、本実施形態のように、貫通孔13と配設部材2との位置関係を計測することに限定されるのもではなく、他の計測を実施してもよい。例えば、事前計測工程S10では、貫通孔13の内周形状や配設部材2の外周形状を計測してもよい。このような場合、事前計測工程S10での計測結果に合わせて、伸縮シール材形成工程S20で伸縮シール材7の外径や中空孔71の形状を形成してもよい。
また、シール構造の製造方法S1は、事前計測工程S10を実施することに限定されるものではない。例えば、シール構造の製造方法S1は、伸縮シール材形成工程S20で予め中空孔71を配設部材2の外径よりも大きく形成し、伸縮シール材固定工程S60で流動性接着剤8で隙間を埋めることで固定してもよい。
1…壁部 11…表面 12…裏面 13…貫通孔 2…配設部材 O…軸線 3…シール構造 4…充填シール材 5…ブレーカ材 6…伸縮性部材 7…伸縮シール材 71…中空孔 72…切り込み 8…流動性接着剤 9…プライマー S1…シール構造の製造方法 S10…事前計測工程 S20…伸縮シール材形成工程 S30…充填工程 S40…プライマー塗布工程 S50…ブレーカ材設置工程 S60…伸縮シール材固定工程

Claims (6)

  1. 屋内側である表面及び屋外側である裏面の間に貫通孔が形成された壁部における前記貫通孔と、該貫通孔に挿通された配設部材との間にシール構造を形成するシール構造の製造方法であって、
    流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで、水密性を有して伸縮する伸縮シール材を形成する伸縮シール材形成工程と、
    前記配設部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に、充填シール材を充填する充填工程と、
    前記充填工程の後に、前記伸縮シール材形成工程で形成した前記伸縮シール材を、前記充填シール材の屋外側で固定する伸縮シール材固定工程とを含み、
    前記伸縮シール材固定工程は、
    前記貫通孔内で前記配設部材を挿通させた前記伸縮シール材を前記配設部材の外周面及び前記貫通孔の内周面に接着して固定するシール構造の製造方法。
  2. 前記伸縮シール材固定工程は、複数の前記伸縮シール材を前記充填シール材の屋外側で前記配設部材の延びる延在方向に重なるように配置し、隣接する複数の前記伸縮シール材の前記延在方向の互いに対向する面を接着する請求項1に記載のシール構造の製造方法。
  3. 前記伸縮シール材形成工程は、前記伸縮シール材の内部に前記配設部材を挿通するための中空孔を形成し、前記中空孔から径方向の外側に向かって切り込みを形成する請求項1または請求項2に記載のシール構造の製造方法。
  4. 前記伸縮シール材形成工程は、前記切り込みを前記伸縮シール材の厚さ方向に対して交差するように形成する請求項3に記載のシール構造の製造方法。
  5. 前記貫通孔と前記配設部材との位置関係を事前に計測する事前計測工程を有し、
    前記伸縮シール材形成工程は、前記事前計測工程での計測結果に合わせて、前記伸縮シール材を形成する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシール構造の製造方法。
  6. 屋内側である表面及び屋外側である裏面の間に貫通孔が形成された壁部における前記貫通孔と、該貫通孔に挿通された配設部材との間にシール構造を形成するシール構造であって、
    流動性を有するシーリング材を予め硬化させることで形成され、水密性を有して伸縮する伸縮シール材と、
    前記配設部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填される充填シール材と、を備え、
    複数の前記伸縮シール材は、前記充填シール材の屋外側で前記配設部材の延びる延在方向に重なるように配置され、隣接する複数の前記伸縮シール材の前記延在方向の互いに対向する面が接着されているシール構造。
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