JP2016114178A - 木ネジ - Google Patents

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矢島  隆
玄機 日比
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Abstract

【課題】杉材を含む軽軟木材にねじ込むための木ネジであって、ねじ込みトルクを軽減し、引き抜き保持力を向上した木ネジを提供する。【解決手段】回転工具の係合部を備えた頭部からシャンクを延設し、シャンク先端の尖鋭部から頭部に向けて螺糸を形成しており、杉材を含む軽軟木材にねじ込まれる木ネジにおいて、ねじ山のピッチPと、隣り合うねじ山の間に形成されたねじ溝の溝底幅Wと、ねじ山の進入側フランク角θ1と、後退側フランク角θ2に関して、W/Pを0.6以上0.7以下に形成し、θ1+θ2を25°以上40°以下に形成し、θ1>θ2に形成している。【選択図】図2

Description

本発明は、木ネジ、特に、杉材を含む軽軟木材にねじ込むための木ネジに関する。
従来、木材に使用するための種々の木ネジが提案されている。木材は、一般的に、針葉樹材等の軟材(ソフトウッド)と広葉樹材等の硬材(ハードウッド)が存在しており、通常の木ネジは、硬材用として開発されており、杉材等の軽軟木材に適するように開発されていない。
特開2013−181610号公報
上記特許文献によれば、シャンク及び螺糸を先端に向けて次第に縮径するように形成したテーパ形状の木ネジが提案され、杉材等の軽軟木材に適すると説明されている。しかしながら、テーパ形状のネジは、シンプルな工程で線材から転造する通常の方法と異なる特別な工程及び装置が必要になるという問題がある。
従って、特殊なテーパ形状のネジではなく、シャンクを軸方向に同径の円柱形状に形成した平行ネジとすることにより、通常の工程及び装置により転造可能とすることが好ましく、このような平行ネジとした上で、杉材等の軽軟木材に好適に使用できる木ネジを開発することが望ましい。
この点に関して、汎用の木ネジを杉材にねじ込むことにより、性能試験を繰り返して行った結果、ねじ込みトルクの点と、引き抜き保持力の点に、重要な課題があることを知得した。
一般的に、杉材は、(1)早材の割合が大きく年輪幅が広い、(2)比重が低く重量が軽い、(3)軟らかくて割れ難いが潰れ易い、(4)塑性率が大きく粘り強い点に特長があることが知られており、このため、汎用の木ネジを使用する場合は、ねじ込んだ状態で保持力が弱く、引き抜き容易とされる点に致命的な欠点がある。
そこで、引き抜き保持力を増強するためには、通常、ねじの山径を大きく形成し、ねじ山の後退側フランク角を小さく形成すれば良いことが知られている。
しかしながら、引き抜き保持力を高めるために、単純に山径を大きく形成すると、大きなねじ込みトルクが必要となり、ねじ込み作業性が低下するという問題がある。しかも、通常、杉材は割れ難いと考えられているが、山径のみならず谷径も大きく形成した木ネジを使用すると、杉材であっても、ねじ込み時に割れを招来するおそれがある。
この点に関して、ねじ込みトルクを小さくするためには、通常、ねじ山の進入側フランク角を大きく形成すれば良いことが知られている。これにより、ねじ込み時の木質により受ける抵抗を軽減することができるからである。しかしながら、単純に進入側フランク角を大きくした木ネジを杉材にねじ込んでも、必ずしもねじ込みトルクを低下することができないことが知見された。
また、引き抜き保持力を高めるために、単純にねじ山の後退側フランク角を小さく形成する場合は、隣り合うねじ山の間に形成されるねじ溝の溝底幅が広くなる。溝幅を広くした木ネジは、硬材に使用する場合は、ねじ込んだ状態で、幅広のねじ溝に係合する木質が硬いので、引き抜き保持力を向上するが、杉材に使用する場合は、ねじ込んだ状態で、幅広のねじ溝に係合する木質が軟らかくて潰れ易いので、反対に引き抜き保持力を低下することが知見された。
このため、本発明は、数々の試作品を杉材にねじ込むことにより実験を繰り返し、ねじ山のピッチと、ねじ溝の溝底幅と、ねじ山のフランク角の相互関係を分析し、更には、山径と谷径の相互関係を分析することにより、杉材に使用するネジとしての最適条件を探求した結果、最小のねじ込みトルクでねじ込むことが可能であり、しかも、ねじ込み後は、最大の引き抜き保持力が可能となる木ネジを提供するものである。
そこで、本発明が手段として構成したところは、回転工具の係合部を備えた頭部からシャンクを延設し、シャンク先端の尖鋭部から頭部に向けて螺糸を形成しており、杉材を含む軽軟木材にねじ込まれる木ネジにおいて、ねじ山のピッチPと、隣り合うねじ山の間に形成されたねじ溝の溝底幅Wと、ねじ山の進入側フランク角θ1と、後退側フランク角θ2に関して、W/Pを0.6以上0.7以下に形成し、θ1+θ2を25°以上40°以下に形成し、θ1>θ2に形成して成る点にある。
木ネジは、山径D1と谷径D2に関して、D2/D1を0.6以上0.7以下に形成することが好ましい。
本発明によれば、杉材を含む軟質木材にねじ込んで使用する木ネジに関して、ねじ込みトルクの軽減と、引き抜き保持力の向上が可能になるという効果がある。
本発明の1実施形態を示しており、(A)は全体を示す外観図、(B)はシャンク及び螺糸を示す拡大図である。 本発明の1実施形態におけるねじ山とねじ溝を示す拡大図である。 比較例1を示しており、ねじ山とねじ溝を示す拡大図である。 比較例2を示しており、ねじ山とねじ溝を示す拡大図である。 比較例3を示しており、ねじ山とねじ溝を示す拡大図である。 比較例4を示しており、ねじ山とねじ溝を示す拡大図である。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1(A)に示すように、木ネジ1は、ドライバー等の回転工具を係合させるプラス溝又はマイナス溝等の係合部2aを備えた頭部2からシャンク3を延設し、シャンク3の先端の尖鋭部3aから頭部2に向けて螺糸4を形成しており、杉材を含む軽軟木材に対して、尖鋭部3aからねじ込み方向Fにねじ込むことにより使用される。尚、図例の場合、尖鋭部3aを軸方向に切削することにより刃5を設け、頭部2に臨むシャンクには螺糸を有しない首部6を形成している。
木ネジ1は、図1(B)に示す山径D1(螺糸の外径)、谷径D2(山間のシャンクの外径)、螺糸4を構成するねじ山4aのピッチP、隣り合うねじ山の間でシャンク3の表面に形成されたねじ溝4bの溝底幅W、ねじ山4aのフランクのうち、前記ねじ込み方向Fに臨む進入側フランク4Fと、反対側の引き抜き方向Rに臨む後退側フランク4Rに関して、後述する条件を具備することにより、杉材を含む軽軟木材に使用したとき、最小のねじ込みトルクでねじ込むことが可能になると共に、ねじ込み後は、最大の引き抜き保持力を保持することが可能になるように構成されている。
<実施例>
図2に示す本発明の最適実施例において、木ネジ1は、SUS410の外径4.51mmの素材から、山径D1を6.1mmに形成すると共に、谷径D2を4.0mmに形成され、従って、ねじ山4aの高さHが1.05mmとされている。ねじ山のピッチPは2.5mmに形成され、不等角に形成されたねじ山のフランク角(シャンクの軸線に直角となる直線に対する角度)は、進入側フランク4Fのフランク角θ1を25°、後退側フランク4Rのフランク角θ2を10°とするように形成されている。そして、ねじ溝4bの断面積Sと形状を決定する溝底幅Wは、W/Pを0.63とするように形成されており、これにより、ねじ込みトルクを最小としながら、引き抜き保持力を最大とするように構成されている。
[実施例の実験結果]
そこで、前記最適実施例の木ネジ1を製作することにより3本使用し、3回にわたり杉材にねじ込むことにより実験を行ったところ、ねじ込みトルク(T/Nm)と、引き抜き保持力(F/kN)の結果は、次の通りであった。
[1回目]ねじ込みトルク:3.62、引き抜き保持力:7.690
[2回目]ねじ込みトルク:4.26、引き抜き保持力:7.875
[3回目]ねじ込みトルク:4.02、引き抜き保持力:7.820
[平均]ねじ込みトルク:3.97、引き抜き保持力:7.80
このような最適実施例に到達するまで、本発明者は、図3に示す比較例1、図4に示す比較例2、図5に示す比較例3、図6に示す比較例4に係る木ネジを試作し、試作品に基づいて、実験を繰り返し行った。比較例1ないし4の試作品は、山径D1(6.1mm)及び谷径D2(4.0mm)を上記実施例と同一にしているが、ピッチP、進入側フランク角θ1、後退側フランク角θ2、溝底幅Wの条件を相違させることにより製作した。そして、上記実施例の3回にわたる実験の結果と比較するため、同一の杉材を使用し、上記実施例の木ネジ1をねじ込んだ個所の近傍部分で杉材にねじ込むことにより実験を行った。
<比較例1>
図3に示すように、比較例1の木ネジは、ピッチP、進入側フランク角θ1、後退側フランク角θ2、溝底幅Wに関するW/Pを下記の条件として製作した。
ピッチP=3.2mm
進入側フランク角θ1=21°
後退側フランク角θ2=45°
W/P=0.38
[比較例1の実験結果]
比較例1の木ネジを製作することにより3本使用し、3回にわたり杉材にねじ込むことにより実験を行ったところ、ねじ込みトルク(T/Nm)と、引き抜き保持力(F/kN)の結果は、次の通りであった。
[1回目]ねじ込みトルク:5.18、引き抜き保持力:7.925
[2回目]ねじ込みトルク:4.31、引き抜き保持力:7.320
[3回目]ねじ込みトルク:4.22、引き抜き保持力:7.365
[平均]ねじ込みトルク:4.57、引き抜き保持力:7.54
<比較例2>
図4に示すように、比較例2の木ネジは、ピッチP、進入側フランク角θ1、後退側フランク角θ2、溝底幅Wに関するW/Pを下記の条件として製作した。
ピッチP=3.2mm
進入側フランク角θ1=45°
後退側フランク角θ2=21°
W/P=0.38
[比較例2の実験結果]
比較例2の木ネジを製作することにより3本使用し、3回にわたり杉材にねじ込むことにより実験を行ったところ、ねじ込みトルク(T/Nm)と、引き抜き保持力(F/kN)の結果は、次の通りであった。
[1回目]ねじ込みトルク:4.34、引き抜き保持力:7.055
[2回目]ねじ込みトルク:4.45、引き抜き保持力:6.665
[3回目]ねじ込みトルク:4.32、引き抜き保持力:7.200
[平均]ねじ込みトルク:4.37、引き抜き保持力:6.97
<比較例3>
図5に示すように、比較例3の木ネジは、ピッチP、進入側フランク角θ1、後退側フランク角θ2、溝底幅Wに関するW/Pを下記の条件として製作した。
ピッチP=3.2mm
進入側フランク角θ1=25°
後退側フランク角θ2=10°
W/P=0.75
[比較例3の実験結果]
比較例3の木ネジを製作することにより3本使用し、3回にわたり杉材にねじ込むことにより実験を行ったところ、ねじ込みトルク(T/Nm)と、引き抜き保持力(F/kN)の結果は、次の通りであった。
[1回目]ねじ込みトルク:4.59、引き抜き保持力:7.400
[2回目]ねじ込みトルク:4.88、引き抜き保持力:7.195
[3回目]ねじ込みトルク:4.37、引き抜き保持力:6.995
[平均]ねじ込みトルク:4.61、引き抜き保持力:7.20
<比較例4>
図6に示すように、比較例4の木ネジは、ピッチP、進入側フランク角θ1、後退側フランク角θ2、溝底幅Wに関するW/Pを下記の条件として製作した。
ピッチP=3.2mm
進入側フランク角θ1=10°
後退側フランク角θ2=25°
W/P=0.75
[比較例4の実験結果]
比較例4の木ネジを製作することにより3本使用し、3回にわたり杉材にねじ込むことにより実験を行ったところ、ねじ込みトルク(T/Nm)と、引き抜き保持力(F/kN)の結果は、次の通りであった。
[1回目]ねじ込みトルク:4.41、引き抜き保持力:7.145
[2回目]ねじ込みトルク:4.07、引き抜き保持力:6.220
[3回目]ねじ込みトルク:4.74、引き抜き保持力:7.765
[平均]ねじ込みトルク:4.41、引き抜き保持力:7.04
<比較例に基づく分析>
本発明の最大の課題は、ねじ込みトルク(T/Nm)を小さくすると共に、引き抜き保持力(F/kN)が大きくする点にあるところ、上記比較例の実験結果によれば、次のように分析することができる。
[比較例に基づくねじ込みトルクの分析]
通常、ネジは、進入側フランク角θ1を大きくすれば、ねじ込み時の木質により受ける抵抗を軽減することができるので、これにより、ねじ込みトルクを小さくすることができると考えられている。比較例1(θ1=21°)と比較例2(θ1=45°)を対比すると、比較例1のねじ込みトルク(平均4.57)に対して、比較例2のねじ込みトルク(平均4.37)が小さく、この点が実証されている。
しかしながら、比較例3と比較例4によれば、単純に進入側フランク角θ1を大きくしても、常に必ず、ねじ込みトルクを小さくすることが可能になるものではないことが判明した。比較例3(θ1=25°)と比較例4(θ1=10°)を対比すると、フランク角θ1が小さい比較例4のねじ込みトルク((平均4.41)よりも、フランク角θ1が大きい比較例3のねじ込みトルク(平均4.61)の方が大きい。
この点の原因を探求すると、ねじ山の断面積(θ1+θ2)が大きく関係していると考えられる。比較例1及び2は、何れも、θ1+θ2=66°とされ、ねじ山が分厚く形成されているのに対して、比較例3及び4は、何れも、θ1+θ2=35°とされ、ねじ山が薄く形成されている。
従って、比較例1及び2のように、ねじ山を分厚く形成したネジにおいては、螺糸を木材にねじ込んで進入させるときの木質の切削量(抵抗)が大きいので、進入側フランク角θ1を大きくすることにより、ねじ込みトルクを低下させることが可能である。従って、このようなネジの場合は、進入側フランク角θ1を大きくすることに意味がある。
その一方において、比較例3及び4のように、ねじ山を薄く形成したネジにおいては、螺糸を木材にねじ込んで進入させるときの木質の切削量が少ないので、進入側フランク角θ1とねじ込みトルクの間に有意義な相関関係がない。特に、杉材等の軽軟材は、容易に切削されるので、硬材に比して切削抵抗が小さい。従って、このようなネジの場合は、進入側フランク角θ1を大きくすることに重要な意味がないと考えられる。
[比較例に基づく引き抜き保持力の分析]
通常、ネジは、後退側フランク角θ2を小さくすれば、ねじ込み状態の木質による抵抗が増大するので、これにより、引き抜き保持力を大きくすることができると考えられている。比較例3(θ2=10°)と比較例4(θ2=25°)を対比すると、フランク角θ2が大きい比較例4の引き抜き保持力(平均7.04)よりも、フランク角θ2を小さくした比較例3の引き抜き保持力(平均7.20)の方が大きく、この点が実証されている。
しかしながら、比較例1と比較例2によれば、単純に後退側フランク角θ2を小さくしても、常に必ず、引き抜き保持力を大きくすることが可能になるものではないことが判明した。比較例1(θ1=45°)と比較例2(θ2=21°)を対比すると、フランク角θ2が小さい比較例2の引き抜き保持力(平均6.97)よりも、フランク角θ2が大きい比較例1の引き抜き保持力(平均7.54)の方が大きい。
この点の原因を探求すると、ねじ溝の断面積Sと、これを決定するピッチPと溝底幅Wの関係に重要な要因があると考えられる。比較例1及び2は、何れも、W/P=0.38とされ、ねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差が大きく、断面積Sが小さいのに対して、比較例3及び4は、何れも、W/P=0.75とされ、ねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差が小さく、断面積Sが大きい。
従って、比較例3及び4のように、ねじ溝の断面積Sを大きく形成したネジにおいては、ねじ込み状態で、ねじ溝に多量の木質を充填させることができ、しかも、ねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差が小さいので、ねじ溝に充填された木質が脱出し難く、保持力を高めると考えられる。従って、このようなネジの場合は、後退側フランク角θ2を小さくすることにより、引き抜き保持力を向上させることが可能であり、後退側フランク角θ2を小さくすることに意味がある。
その一方において、比較例1及び2のように、ねじ溝の断面積Sを小さく形成したネジにおいては、ねじ溝に充填される木質の量が少ないため、木質による保持力が低い。しかも、ねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差が大きく、ねじ溝に充填された木質が容易に脱出する。特に、杉材等の軽軟材の場合、脆弱であり、容易に破壊されるので、ねじ溝に対する係合力が小さい。従って、このようなネジの場合は、後退側フランク角θ2を小さくしても、引き抜き保持力が向上しないので、後退側フランク角θ2を小さくすることに重要な意味はないと考えられる。
<ねじ込みトルクを軽減させるための構成>
ネジを軽いトルクでねじ込み可能にするためには、進入側フランク角θ1を大きくすることにより、ねじ込み時の木質により受ける抵抗を軽減するという従来の技術的思想を踏襲しながら、杉材のような軽軟材に特有の性質を克服できるように構成することが好ましい。しかしながら、上記の分析結果のように、螺糸による木質の切削量が十分でないと、進入側フランク角θ1を大きくすることによるトルクの低下効果がないことに留意する必要がある。しかも、切削量が少ないことは、つまり、木質による保持力が小さくなるから、ネジの引き抜き保持力を向上させることができなくなる。
この点に関して、本発明の最適実施例は、上述のように、ねじ山4aの厚さに関して、θ1+θ2=35°(θ1=25°、θ2=10°)に構成している。従って、ねじ山の厚さをこれよりも分厚く形成した比較例2(θ1+θ2=66°)に比して、切削抵抗が小さく、ねじ込みトルクを軽減することができる。
ところで、本発明のねじ山4aの厚さに関する構成(θ1+θ2=35°)と進入側フランク角を大きくする構成(θ1>θ2)は、上述の比較例5と同様であるが、ねじ山のピッチPとねじ溝の溝底幅Wに関して、比較例5がW/P=0.75に構成することにより、シャンクの軸方向に関して螺旋状に延びる螺糸を「粗」としているのに対し、本発明は、W/P=0.63に構成することにより、螺糸を「密」としており、これにより、木ネジをねじ込んだときの木質の切削量が必要十分に確保されるように構成している。従って、これにより、進入側フランク角θ1を大きくすることによりねじ込みトルクを減少させることが可能になるという技術的思想を実現している。
上述した実験結果を対比すると、比較例1ないし4に対して、本発明に係る実施例のねじ込みトルクは、最も軽いことが確認できる。
[本発明の実施例]3.97(平均)
[比較例1]4.57
[比較例2]4.37
[比較例3]4.61
[比較例4]4.41
このように、本発明は、ねじ山4aの厚さに関して、比較例3及び4のように分厚く形成せず、比較例1及び2と同等の必要十分な厚さの下で薄く形成することにより切削抵抗を軽減しながら、螺糸を「密」に構成することにより、木質の必要十分な切削量を確保し、θ1>θ2とすることによりねじ込みトルクを軽減する技術的構成を採用している。従って、θ1+θ2の値と、W/Pの値を相互に関係させることにより、必ずしも、θ1+θ2=35°の数値と、W/P=0.63の数値に限定されるものではなく、θ1+θ2の値は、25°以上40°以下の範囲で変更することが可能であり、W/Pの値は、0.6以上0.7以下の範囲で変更することが可能である。つまり、このような範囲内において、θ1+θ2=25°のようにねじ山を最も薄く形成する場合は、W/P=0.7とすることにより、螺糸を図2の最適実施例よりも「密」となるように構成すれば良く、反対に、θ1+θ2=40°のようにねじ山を最も厚く形成する場合は、W/P=0.6とすることにより、螺糸を図2の最適実施例よりも「粗」となるように構成すれば良い。
<引き抜き保持力を強化させるための構成>
ネジの引き抜き保持力の向上を可能にするためには、後退側フランク角θ2を小さくすることにより、ねじ込み状態からの引き抜き抵抗を増大するという従来の技術的思想を踏襲することが好ましい。しかしながら、上記分析結果のように、杉材のような軽軟材の場合、ねじ溝の断面積Sと断面形状を決定するピッチPと溝底幅Wの関係が極めて重要であり、この点の条件が定まらないと、後退側フランク角θ2を小さくしても、引き抜き保持力を向上する効果が生じないことに留意する必要がある。
この点に関して、本発明の最適実施例は、上述のように、ピッチPと溝底幅Wに関して、W/P=0.63に構成することにより、比較例1及び2(W/P=0.38)のようにねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差を大きく形成せず、その差が比較的小さくなるように構成し、しかも、比較例3及び4(W/P=0.75)のようにシャンクの軸方向に関して螺旋状に延びるねじ溝を「粗」に形成せず、比較的「密」となるように構成し、これにより、後退側フランク角θ2を小さくすることにより引き抜き保持力を向上させることが可能になるという技術的思想を実現している。
上述した実験結果を対比すると、比較例1ないし4に対して、本発明に係る実施例の引き抜き保持力は、最も高いことが確認できる。
[本発明の実施例]7.80(平均)
[比較例1]7.54
[比較例2]6.97
[比較例3]7.20
[比較例4]7.04
このように、本発明は、ねじ溝4bの断面積Sと断面形状を決定するピッチPと溝底幅Wの関係について、ねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差を比較的小さく形成すると共に、ねじ溝を比較的「密」となるように構成することにより、保持力が小さい杉材等の軽軟材であっても、ねじ溝4bに対する木質の好適な充填による喰い付きを確保し、θ1>θ2とすることにより引き抜き保持力を向上する技術的構成を採用したものであるから、必ずしも、W/P=0.63の数値に限定されるものではなく、W/Pの値は、0.6以上0.7以下の範囲で変更可能である。下限値のW/P=0.6に形成する場合でも、比較例1及び2(W/P=0.38)のようにねじ溝の開口幅(P)と溝底幅Wの差が大きくなることはなく、ねじ溝に充填された木質が脱落するおそれはなく、また、上限値のW/P=0.7に形成する場合でも、比較例3及び4(W/P=0.75)のようにねじ溝が「粗」になることはなく、十分に「密」に形成されているので、脆弱な軽軟材の木質を小さいフランク角θ2として「密」に配列された後退側フランク4Rにより保持することが可能になる。
<山径と谷径に関する構成>
通常、杉材は割れ難いと考えられているが、山径のみならず谷径も大きく形成した木ネジを使用すると、杉材であっても、ねじ込み時に割れを招来するおそれがある。従って、本発明は、山径D1と谷径D2に関して、D2/D1を0.6以上0.7以下に形成している。上述の最適実施例の場合、山径D1を6.1mm、谷径D2を4.0mmに形成し、従って、D2/D1を0.65に形成しており、谷径部分でシャンク3を細くすることにより、ねじ込みトルクの軽減に寄与し、山径部分でねじ山の高さHを高くすることにより、引き抜き保持力の向上に寄与している。
1 木ネジ
2 頭部
2a 係合部
3 シャンク
3a 尖鋭部
4 螺糸
4a ねじ山
4b ねじ溝
4F 進入側フランク
4R 後退側フランク
5 刃
6 首部
D1 山径
D2 谷径
P ねじ溝のピッチ
W ねじ溝の溝底幅
θ1 進入側フランク角
θ2 後退側フランク角

Claims (2)

  1. 回転工具の係合部を備えた頭部からシャンクを延設し、シャンク先端の尖鋭部から頭部に向けて螺糸を形成しており、杉材を含む軽軟木材にねじ込まれる木ネジにおいて、
    ねじ山のピッチPと、隣り合うねじ山の間に形成されたねじ溝の溝底幅Wと、ねじ山の進入側フランク角θ1と、後退側フランク角θ2に関して、
    W/Pを0.6以上0.7以下に形成し、θ1+θ2を25°以上40°以下に形成し、θ1>θ2に形成して成ることを特徴とする木ネジ。
  2. 木ネジの山径D1と谷径D2に関して、D2/D1を0.6以上0.7以下に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の木ネジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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