JP5624434B2 - ねじ - Google Patents

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Description

この発明は、木材などの基材にねじ穴を形成しつつ基材上に取付部材を締着するためのねじに関し、特にこの発明は、螺旋状のねじ山を有する部分に軸長さ方向に沿う切溝部が形成された構造のねじに関する。
従来、その種のねじとして、図8に示すように、軸部90の先端部が尖った形態のものがあり、この軸部90の尖端部分91から一定の軸径の本体部分92にわたって螺旋状のねじ山93が形成されるとともに、尖端部分91から本体部分92にかけて軸長さ方向に沿う切溝部94が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
実用新案登録第3114685号公報
このねじを木材などの基材10へねじ込む場合、基材10に形成される穴は尖端部分91の浸入に伴って拡径変形するとともに、ねじ山93に対応する螺旋状の溝が形成される。尖端部分91における切溝部94の開口縁は切刃95として機能するので、基材10に形成される穴は切刃95による切削によって拡径される。この切削による切屑19は、切溝部94に溜まり、切溝部94が基材10中に埋没していないときは、溜まった切屑の逃げ場はあるが、切溝部94が基材10中に埋没して切溝部94が塞がれると、溜まった切屑は切溝部94内に閉じ込められる。
近年、家具などの材料として、端材などから抽出した木質繊維に合成樹脂接着剤を混ぜて熱圧成型した「ミディアムデンシティファイバーボード(MDF)」と呼ばれる木質材料が用いられている。この種の木質材料は、切屑が多量に発生するため、切溝部94内が切屑19により満杯となり、切溝部94内に切屑19が閉じ込められて固められると、円滑なねじ込みが阻害されたり、基材10への加圧力が増して基材10に亀裂を生じさせたりするおそれがある。
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、切溝部に溜まった切屑が閉じ込められないように切屑の逃げ場を設けることにより、たとえ多量の切屑が発生して切溝部内に溜まっても、その切屑によって円滑なねじ込みが阻害されたり、基材に亀裂を生じさせたりするおそれのないねじを提供することを目的とする。
この発明によるねじは、基材にねじ穴を形成しつつ基材上に重ねられた取付部材を締着するためのねじであって、取付部材に形成された貫通孔を貫通させる軸部と、軸部と一体形成され取付部材上の貫通孔の開口周縁部に押し付けられる前記軸部より大きな直径の頭部とから成り、前記軸部の先端部寄りの外周面には、螺旋状のねじ山とねじ山間のねじ溝より成るねじ切り刃部と、ねじ切り刃部が全長にわたって軸長さ方向に沿って切り欠かれてねじ山およびねじ溝が所定の開放角度で切除された切溝部とが形成され、前記切溝部は、開口縁が切削のための切刃を構成し、切溝部内には切削による切屑が溜まるようになっている。前記軸部のねじ切り刃部と頭部との間には、外周面に前記切溝部に連通する螺旋状の凹溝を有する筒軸部が設けられ、前記筒軸部の直径Rとねじ切り刃部のねじ溝の溝底間の距離dとの関係がR≦dに、前記筒軸部の凹溝の溝底間の距離rとねじ切り刃部のねじ溝の溝底間の距離dとの関係がr<dに、それぞれ設定されている
この発明によるねじを木材などの基材へねじ込むとき、基材に形成される穴はねじの浸入に伴って拡径変形するとともに、ねじ山に対応する螺旋状の溝が形成される。切溝部の開口縁は切刃として機能するので、基材に形成される穴は切刃による切削によって拡径される。この切削による切屑は切溝部内の溜まり、切溝部が基材中に埋没しても、螺旋状の凹溝が切溝部と連通して切屑の逃げ場となる領域を構成するので、切溝部内の溜まった切屑は切溝部から凹溝へ順送りされ、切溝部内に切屑が閉じ込められて押し固められることがなく、ねじの円滑なねじ込みが阻害されたり、基材への加圧力が増大して基材に亀裂を生じさせたりすることはない。
この発明によると、切溝部に溜まった切屑が閉じ込められないように切屑の逃げ場となる領域を設けたから、たとえ多量の切屑が発生して切溝部内に溜まっても、その切屑によって円滑なねじ込みが阻害されたり、基材に亀裂を生じさせたりするおそれはない。
この発明の一実施例であるねじの外観を示す正面図である。 図1のねじの頭部を示す平面図である。 図1のねじの先端部を示す底面図である。 この発明の他の実施例の外観を示す正面図である。 図4の実施例の先端部を示す底面図である。 図1および図4の各実施例の軸部各部の寸法関係を説明するための拡大図である。 図1の実施例のねじ込み動作を説明するための正面図である。 従来のねじの構成を示す正面図である。
図1は、この発明の一実施例であるねじ1の外観を示している。図示例のねじ1は、木材などの基材10にねじ穴を形成しつつ基材10上に重ねられた他の木材などの取付部材11を締着するためのもので、真っ直ぐで長尺の軸部2と、軸部2より十分に大きな直径を有し軸部2と一体形成される頭部3とから成る。軸部2は取付部材11に予め形成された貫通孔12を貫通し、頭部3は取付部材11上の貫通孔12の開口周縁部に押し付けられる。
頭部3は、上面および下面が平坦であり、図2に示すように、上面の平坦面30の中央部にドライバーなどの工具を係合させる十字形状の穴31が形成されている。軸部2は、先端部寄りに螺旋状のねじ山43を有するねじ切り刃部4を有し、ねじ切り刃部4と頭部3との間には螺旋状の凹溝61を有する切屑受入れ部6が設けられている。ねじ山43の螺旋と凹溝61の螺旋とは同方向の螺旋である。
ねじ切り刃部4は、先細で先端が尖った尖端部分41とそれ以外の一定の軸径の本体部分42とから成るもので、尖端部分41から本体部分42の全長にわたって螺旋状のねじ山43およびねじ山43,43間にねじ溝44が形成されている。ねじ切り刃部4には全長にわたって軸長さ方向に沿って切り欠かれた切溝部5が形成されている。この実施例の切溝部5は尖端部分41から本体部分42を越えて切屑受入れ部6に達している。この切溝部5が形成されている部分では、図3に示すように、ねじ山43およびねじ溝44が所定の開放角度α(図示例ではα=90度)で切除されている。
主として尖端部分41における切溝部5の開口縁は切刃51として機能するもので、基材10に形成される穴はこの切刃51による切削によって拡径され、その切削による切屑は切溝部5内に溜まる。
この実施例では、切溝部5の開放角度αは90度に設定されているが、これに限らず、90度より小さな角度であってもよい。また、軸部2の強度を維持できるのであれば90度より大きな角度であってもよい。また、切溝部5はこの実施例にように1個であってもよいが、後述する実施例のように2個形成してもよい。
切屑受入れ部6は、切溝部5に溜まった切屑が閉じ込められないように切屑の逃げ場となる領域を構成するもので、軸部2のねじ切り刃部4と頭部3との間に形成されている。この実施例では、外周面に螺旋状の凹溝61を有する円柱状の筒軸部60の周囲に切屑の逃げ場が形成されている。凹溝61はねじ切り刃部4と頭部3との間の全長にわたって形成されており、凹溝61を切溝部5に連通させて切溝部5内の切屑が凹溝61内へ順送りされるようになっている。
切溝部5が基材10中に埋没しても切屑の十分な逃げ場を確保するには、図6(1)(2)に示すように、切屑受入れ部6の筒軸部60の直径Rとねじ切り刃部4の本体部分42におけるねじ溝44の溝底間の距離dとをR≦dの関係に設定し、かつ筒軸部60の凹溝61の溝底間の距離rとねじ切り刃部4の本体部分42におけるねじ溝44の溝底間の距離dとをr<dの関係に設定する。
切屑受入れ部6は、必ずしも、外周面に螺旋状の凹溝61を有する筒軸部60によって形成する必要はなく、図4および図5に示すように、外周面に凹凸のない円柱状の筒軸部60によっても形成することができる。なお、この実施例では、切溝部5は対角位置に2個形成してある。この実施例の場合、切溝部5が基材10中に埋没しても切屑の逃げ場を確保するには、図6(1)(3)に示すように、筒軸部60の直径Rとねじ切り刃部4の本体部分42におけるねじ溝44の溝底間の距離dとをR<dの関係に設定する。
この発明によるねじ1を用いて基材10にねじ穴を形成しつつ基材10上に重ねられた取付部材11を締着するには、取付部材11に軸部2の最大径(図示例ではねじ山43,43間の距離)より大きな直径の貫通孔12を形成するとともに、基材10に必要に応じて下穴13を形成する(図7(1))。
つぎに、基材10上に取付部材11を位置合わせして重ね、ねじ1を貫通孔12を通して基材10へねじ込んでゆく(図7(2))。このとき、基材10に形成される穴はねじの浸入に伴って拡径変形するとともに、ねじ山43に対応する螺旋状の溝が形成される。尖端部分41における切溝部5の開口縁は切刃51として機能するので、基材10に形成される穴は切刃51による切削によって拡径される。
この切削による切屑19は、切溝部5が基材10に埋没しない間は逃げ場があるが、切溝部5が基材10に埋没したときでも、切溝部5はねじ切り刃部4と頭部3との間に設けられた切屑19の逃げ場となる領域、すなわち、切屑受入れ部6の凹溝61に連通しているので、切屑19は切溝部5に閉じ込められることがなく、切屑受入れ部6の凹溝61内や筒軸部60上へ移動する(図7(3))。このため、切溝部5内に切屑19が閉じ込められて押し固められるようなことがなく、ねじ1の円滑なねじ込みが阻害されたり、基材10への加圧力が増大して基材10に亀裂を生じさせたりすることはない。
1 ねじ
2 軸部
3 頭部
4 ねじ切り刃部
5 切溝部
6 切屑受入れ部
10 基材
11 取付部材
43 ねじ山
44 ねじ溝
60 筒軸部
61 凹溝

Claims (1)

  1. 基材にねじ穴を形成しつつ基材上に重ねられた取付部材を締着するためのねじであって、取付部材に形成された貫通孔を貫通させる軸部と、軸部と一体形成され取付部材上の貫通孔の開口周縁部に押し付けられる前記軸部より大きな直径の頭部とから成り、前記軸部の先端部寄りの外周面には、螺旋状のねじ山とねじ山間のねじ溝より成るねじ切り刃部と、ねじ切り刃部が全長にわたって軸長さ方向に沿って切り欠かれてねじ山およびねじ溝が所定の開放角度で切除された切溝部とが形成され、前記切溝部は、開口縁が切削のための切刃を構成し、切溝部内には切削による切屑が溜まるようになっており、前記軸部のねじ切り刃部と頭部との間には、外周面に前記切溝部に連通する螺旋状の凹溝を有する筒軸部が設けられ、前記筒軸部の直径Rとねじ切り刃部のねじ溝の溝底間の距離dとの関係がR≦dに、前記筒軸部の凹溝の溝底間の距離rとねじ切り刃部のねじ溝の溝底間の距離dとの関係がr<dに、それぞれ設定されて成るねじ。
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