JP2016114087A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーストダウン変速中に車両が停止した場合に、コーストダウン変速における係合側の摩擦係合要素の待機圧の学習を行なう。【解決手段】ECUは、2−1コーストダウン変速中に車両が停止した場合、解放側のB1圧を0にしてB1ブレーキを即座に解放するとともに、係合側のB2圧を待機圧に保持してB2ブレーキのトルク容量を待機圧相当のトルク容量に保持する保持制御を行なう。そして、ECUは、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1以上である場合、メモリに記憶されたB2待機圧を増圧側に補正する。【選択図】図6
Description
本発明は、流体伝動装置を介して駆動源に接続された自動変速機を備える車両に関する。
車両用の自動変速機には、自動変速機に設けられた複数の油圧式の摩擦係合要素(クラッチおよびブレーキ)を選択的に係合および解放させることで変速を行なうものがある。このような自動変速機には、アクセルペダルが踏み込まれていない状態での減速惰行中のダウン変速(以下「コーストダウン変速」ともいう)においてエンジンブレーキ力による変速ショックが発生することを回避するために、所定の摩擦係合要素と並列に一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)を設けてコーストダウン変速を円滑に行なうようにしているものがある。
一方、ワンウェイクラッチは高価であるので、ワンウェイクラッチを廃止しつつ変速ショックを抑制することが望まれる。特開2013−32793号公報(特許文献1)には、トルクコンバータを介してエンジンに接続された自動変速機を備える車両において、自動変速機内のワンウェイクラッチを廃止し、2速から1速へのコーストダウン変速(以下「2−1コーストダウン変速」ともいう)を行なう際に自動変速機の摩擦係合要素の掴みかえ(具体的にはB1ブレーキを解放してB2ブレーキを係合する制御)を行なうことが開示されている。
特許文献1に開示された車両においては、2−1コーストダウン変速を開始する車速(以下「2−1コーストダウン車速」ともいう)を低車速化することによって、2−1コーストダウン変速による変速ショックを抑制している。すなわち、ワンウェイクラッチを廃止した場合、2−1コーストダウン変速を比較的高い車速で開始すると、自動変速機の入力トルクが負である逆駆動状態(トルクコンバータの出力軸の回転速度が入力軸の回転速度よりも大きい状態)となって慣性トルクが生じ、変速ショックが生じてしまう可能性がある。そのため、特許文献1に開示された車両においては、2−1コーストダウン車速を低車速化することによって、2−1コーストダウン変速が上記の逆駆動状態で行なわれることが抑制されるため、変速ショックが抑制される。
特許文献1に開示された車両においては、ワンウェイクラッチの廃止に伴い、2−1コーストダウン変速において解放側の摩擦係合要素(具体的にはB1ブレーキ)から係合側の摩擦係合要素(具体的にはB2ブレーキ)への掴みかえを行なうため、2−1コーストダウン変速中における自動変速機の入力軸の回転変化に基づいて係合側の摩擦係合要素の待機圧を学習して係合側の摩擦係合要素のトルク容量を最適化することが望ましい。
しかしながら、2−1コーストダウン車速を低車速化したことに伴って、上記の待機圧学習ができなくなる可能性がある。すなわち、2−1コーストダウン車速を低車速化したことに伴って、2−1コーストダウン変速が低い車速から開始されるため、減速度が大きい場合には、2−1コーストダウン変速中に車両が停止してしまう場合が生じ得る。車両が停止すると、2−1コーストダウン変速を通常どおりに継続しても自動変速機内の回転が停止されるため、上記の待機圧を学習することができなくなる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コーストダウン変速中に車両が停止した場合に、コーストダウン変速における係合側の摩擦係合要素の待機圧の学習を可能にすることである。
この発明に係る車両は、駆動源の動力で駆動輪を回転させて走行する車両であって、流体伝動装置を介して駆動源に接続された入力軸と、駆動輪に接続された出力軸と、第1係合要素および第2係合要素を含む複数の油圧式の摩擦係合要素とを有し、第1係合要素が解放状態でありかつ第2係合要素が係合状態である場合に第1変速段が形成され、第1係合要素が係合状態でありかつ第2係合要素が解放状態である場合に第1変速段よりも高車速側の第2変速段が形成されるように構成された自動変速機と、自動変速機を制御する制御装置とを備える。制御装置は、第2係合要素の待機圧を記憶する記憶部と、第2変速段から第1変速段へのダウン変速を行なう場合、第1係合要素の油圧を予め定められた態様で低下させるとともに、第2係合要素の油圧を記憶部に記憶された待機圧に一時的に待機させた後に所定の係合圧まで増加させる変速制御部と、第2変速段から第1変速段へのコーストダウン変速中に車両が停止した場合、第1係合要素の油圧を零として第1係合要素を解放状態にするとともに第2係合要素の油圧を記憶部に記憶された待機圧に保持する保持制御を行ない、保持制御によって自動変速機の入力軸の回転速度が所定値以上に上昇した場合に記憶部に記憶された待機圧を増圧側に補正する補正部とを備える。
このような構成によれば、コーストダウン変速中に車両が停止した場合、第1係合要素(解放側の摩擦係合要素)の油圧を零として即座に解放するとともに第2係合要素(係合側の摩擦係合要素)の油圧を待機圧に保持する保持制御が行なわれる。保持制御中は、自動変速機の入力軸と出力軸とが第2係合要素の待機圧相当のトルク容量で係合される状態となる。したがって、保持制御中は、自動変速機の入力軸回転速度は第2係合要素の待機圧相当のトルク容量に応じて変化する。すなわち、第2係合要素の待機圧相当のトルク容量が過多である場合には自動変速機の入力軸回転速度は出力軸回転速度と同じ零となるが、第2係合要素の待機圧相当のトルク容量が不足する場合には自動変速機の入力軸回転速度は流体伝動装置を介して入力される駆動源の動力によって零よりも高い値となる。このような現象に鑑み、保持制御によって自動変速機の入力軸回転速度が所定値以上に上昇した場合には、第2係合要素の待機圧相当のトルク容量が不足しているものと考えられるため、待機圧が増圧側に補正される。これにより、コーストダウン変速中に車両が停止した場合に、コーストダウン変速における係合側の摩擦係合要素の待機圧の学習を行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態による車両1の全体構成図である。車両1は、エンジン10と、有段式の自動変速機20と、ディファレンシャルギヤ50と、ドライブシャフト60と、駆動輪70と、ECU100とを含む。自動変速機20は、ギヤユニット30と、油圧回路40とを含む。
エンジン10は、電子スロットルバルブ11を備える。エンジン10の出力は、電子スロットルバルブ11の開度(スロットル開度)あるいは図示しない燃料噴射装置からの燃料噴射量を調整することによって制御可能である。
自動変速機20は、1速〜6速のギヤ段(変速段)のうちのいずれかのギヤ段を選択的に形成可能に構成される。自動変速機20の入力軸は、トルクコンバータ25を介してエンジン10のクランクシャフトに連結される。自動変速機20の出力軸は、ディファレンシャルギヤ50およびドライブシャフト60を介して、左右の駆動輪70に連結される。
さらに、車両1は、車速センサ81、シフトセンサ82、アクセルペダルポジションセンサ83、ストロークセンサ84、スロットル開度センサ85、エンジン回転速度センサ86、入力軸回転速度センサ87、および出力軸回転速度センサ88を備える。車速センサ81は、車速を検出する。シフトセンサ82は、シフトレバーの位置(シフトポジション)を検出する。アクセルペダルポジションセンサ83は、アクセルペダル操作量(アクセル開度)を検出する。ストロークセンサ84は、ブレーキペダルのストローク量を検出する。スロットル開度センサ85は、電子スロットルバルブ11の開度(スロットル開度)を検出する。エンジン回転速度センサ86は、エンジン10の回転速度(エンジン回転速度NE)を検出する。入力軸回転速度センサ87は、自動変速機20の入力軸回転速度NINを検出する。出力軸回転速度センサ88は、自動変速機20の出力軸回転速度NOUTを検出する。これらの各センサは、検出結果をECU100に送信する。
ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵する。ECU100は、各センサからの情報およびメモリに記憶された情報に基づいて所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて車両1の各機器を制御する。なお、ECU100内のメモリ(記憶部)には、後述するように、本実施の形態における学習対象であるB2ブレーキ34の「待機圧」が記憶されている。
ECU100は、シフトポジションが前進走行を行なうためのD(ドライブ)ポジションである場合、1速〜6速のギヤ段のうちのいずれかのギヤ段が形成されるように、自動変速機20を制御する。
図2は、自動変速機20のギヤユニット30の内部の構造の一例を模式的に示す図である。ギヤユニット30は、入力軸21と、シングルピニオン型の遊星歯車機構である第1遊星歯車装置310と、ラビニヨ型の遊星歯車機構である第2遊星歯車装置320と、出力ギヤ31と、複数の摩擦係合要素(C1クラッチ36、C2クラッチ37、B1ブレーキ33、B2ブレーキ34、およびB3ブレーキ35)とを含む。
入力軸21は、トルクコンバータ25を介してエンジン10に連結される。トルクコンバータ25は、エンジン10のクランク軸に接続されたポンプ羽根車と、自動変速機20の入力軸に接続されたタービン羽根車と、トルク増幅機能を発現するステータとを含んで構成される、流体伝動装置である。
C1クラッチ36、C2クラッチ37、B1ブレーキ33、B2ブレーキ34、およびB3ブレーキ35は、それぞれに接続された複数のソレノイドバルブから供給される油圧によって係合される、油圧式の摩擦係合要素である。なお、複数のソレノイドバルブは、油圧回路40(図1参照)の内部に設けられる。
第1遊星歯車装置310は、サンギヤS(UD)と、ピニオンギヤP(UD)と、リングギヤR(UD)と、キャリアC(UD)とを含む。サンギヤS(UD)は、入力軸21に連結されている。ピニオンギヤP(UD)は、キャリアC(UD)に回転自在に支持されている。ピニオンギヤP(UD)は、サンギヤS(UD)およびリングギヤR(UD)と噛合している。リングギヤR(UD)は、B3ブレーキ35によりギヤケース32に固定される。キャリアC(UD)は、B1ブレーキ33によりギヤケース32に固定される。
第2遊星歯車装置320は、サンギヤS(D)と、ショートピニオンギヤP(1)と、キャリアC(1)と、ロングピニオンギヤP(2)と、キャリアC(2)と、サンギヤS(S)と、リングギヤR(1)とを含む。サンギヤS(D)は、第1遊星歯車装置310のキャリアC(UD)に連結されている。
ショートピニオンギヤP(1)は、キャリアC(1)に回転自在に支持されている。ショートピニオンギヤP(1)は、サンギヤS(D)およびロングピニオンギヤP(2)と噛合している。キャリアC(1)は、出力ギヤ31に連結されている。
ロングピニオンギヤP(2)は、キャリアC(2)に回転自在に支持されている。ロングピニオンギヤP(2)は、ショートピニオンギヤP(1)、サンギヤS(S)およびリングギヤR(1)と噛合している。キャリアC(2)は、出力ギヤ31に連結されている。
サンギヤS(S)は、C1クラッチ36により入力軸21に連結される。リングギヤR(1)は、B2ブレーキ34によりギヤケース32に固定され、C2クラッチ37により入力軸21に連結される。
なお、従来においては、1速ギヤ段での駆動時(入力軸21から出力ギヤ31に向けて動力が伝達されている時)にリングギヤR(1)をギヤケース32に固定する一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)をB2ブレーキ34と並列に設けるものがあった。しかしながら、本実施の形態による自動変速機20には、そのようなワンウェイクラッチは設けられていない。
図3は、各ギヤ段と各摩擦係合要素の作動状態との対応関係を表した作動表である。図3において、「○」は係合状態であるこを示し、「×」は解放状態であることを示す。この作動表に示された組み合わせで各ブレーキおよび各クラッチを作動させることにより1速〜6速の前進ギヤ段と、後進ギヤ段が形成される。
ECU100は、車速およびアクセル開度と予め記憶された変速マップとに基づいて目標ギヤ段を算出し、目標ギヤ段に対応する各摩擦係合要素の作動状態を図3の作動表に基づいて特定し、各摩擦係合要素が特定された作動状態となるように油圧回路40に設けられる各ソレノイドバルブに指令信号(ソレノイド要求電流値)を出力する。各ソレノイドバルブは、指令信号に応じた油圧を、対応する摩擦係合要素に供給する。これにより、各摩擦係合要素の作動状態が目標ギヤ段に対応する作動状態となり、実ギヤ段が目標ギヤ段と同じギヤ段となる。
たとえば、2速から3速へのアップ変速を行なう場合、ECU100は、C1クラッチ36を係合状態に維持しつつ、B1ブレーキ33を解放しかつB3ブレーキ35を係合する指令信号を、油圧回路40の各ソレノイドバルブに出力する。
また、アクセルペダルが踏み込まれていない状態での減速惰行中において、車速が2−1コーストダウン車速に低下した場合、ECU100は、2速から1速へのダウン変速(以下「2−1コーストダウン変速」ともいう)を行なう。具体的には、ECU100は、C1クラッチ36を係合状態に維持しつつ、B1ブレーキ33を解放しかつB2ブレーキ34を係合する指令信号を、油圧回路40の各ソレノイドバルブに出力する。
図4は、2−1コーストダウン変速を行なう場合にECU100が行なう油圧制御の一例を示す図である。時刻t1にて車速が2−1コーストダウン車速に低下すると、ECU100は、2−1コーストダウン変速を開始し、解放側の摩擦係合要素であるB1ブレーキ33の油圧(以下「B1圧」という)を低下させ始めるともに、係合側の摩擦係合要素であるB2ブレーキ34の油圧(以下「B2圧」という)を増加させ始める。
具体的には、ECU100は、B1圧を図4に示すような予め定められた態様で徐々に0まで低下させる。また、ECU100は、イナーシャ相が開始される時刻t3まではB2圧を「待機圧」に一時的に待機させ、時刻t3以降にB2圧を待機圧から徐々に増加させる。なお、時刻t1から時刻t2までの初期期間は、B2ブレーキ34の油圧サーボ内に油圧を速やかに充填するためにB2圧を一時的に待機圧よりも高い油圧にする制御(いわゆるファーストフィル制御)が実行される。
イナーシャ相が開始されると、図4に示すように、トルクコンバータ25のタービン羽根車の回転速度(以下「タービン回転速度NT」という)が、2速同期回転速度(変速前の2速の変速比と出力軸回転速度NOUTとから決まる入力軸回転速度NIN)から1速同期回転速度(変速前の1速の変速比と出力軸回転速度NOUTとから決まる入力軸回転速度NIN)に向けて増加し始める。なお、トルクコンバータ25のタービン羽根車は自動変速機20の入力軸21に接続されているため、タービン回転速度NTは入力軸回転速度NINと同じ値である。
タービン回転速度NTが1速同期回転速度となった後の時刻t4にて、ECU100は、B2圧を所定の係合圧まで増加させる。これにより、2−1コーストダウン変速が終了される。
本実施の形態による車両1においては、上述のように、自動変速機20におけるワンウェイクラッチの廃止に伴い、2−1コーストダウン変速を行なう際にB1ブレーキ33からB2ブレーキ34への掴みかえを行なう。この際、2−1コーストダウン車速(2−1コーストダウン変速を開始する車速)を従来の値(たとえば15km/h)よりも低い値(たとえば5km/h)に低下することによって、2−1コーストダウン変速による変速ショックを抑制している。
すなわち、ワンウェイクラッチを廃止した場合、2−1コーストダウン車速が従来のように比較的高い値であると、自動変速機20の入力トルクが負である逆駆動状態(トルクコンバータ25のタービン羽根車(出力軸)の回転速度がポンプ羽根車(入力軸)の回転速度よりも大きい状態)となって慣性トルクが生じ、変速ショックが生じてしまう可能性がある。そのため、本実施の形態による車両1においては、2−1コーストダウン車速を従来よりも低い値に設定している。これにより、上記の逆駆動状態で2−1コーストダウン変速が行なわれることが抑制される。これにより、ワンウェイクラッチを廃止しても、2−1コーストダウン変速による変速ショックが抑制される。
以上のような構成を有する車両1においては、上述したように、ワンウェイクラッチの廃止に伴い2−1コーストダウン変速においてB1ブレーキ33からB2ブレーキ34への掴みかえを行なう。そのため、2−1コーストダウン変速中における自動変速機20内の回転変化に基づいて、係合側の摩擦係合要素であるB2ブレーキ34の待機圧を学習してB2ブレーキ34のトルク容量を最適化することが望ましい。
しかしながら、2−1コーストダウン車速を低車速化したことに伴って、上記の待機圧学習ができなくなる可能性がある。すなわち、2−1コーストダウン車速を低車速化したことに伴って2−1コーストダウン変速が低い車速から開始されるため、減速度が大きい場合には、2−1コーストダウン変速中に車両1が停止してしまう場合が生じ得る。車両1が停止すると、2−1コーストダウン変速を継続しても自動変速機20内の回転が停止されるため、自動変速機20内の回転変化に基づいて上記の待機圧を学習することができなくなる。
そこで、本実施の形態によるECU100は、2−1コーストダウン変速中に車両が停止した場合、2−1コーストダウン変速を通常どおり継続するのではなく、B1圧を即座に0にしてB1ブレーキ33を解放するとともに、B2圧を待機圧に保持してB2ブレーキ34のトルク容量を待機圧相当の値に保持する制御(以下「保持制御」ともいう)を行なう。そして、ECU100は、保持制御中のタービン回転速度NT(すなわち入力軸回転速度NIN)の回転変化に基づいて、メモリに記憶されたB2ブレーキ34の待機圧を学習(補正)する。この待機圧の学習について、以下に詳細に説明する。
図5は、B2ブレーキ34の待機圧学習を行なう場合にECU100が行なう油圧制御の一例を示す図である。図5には、時刻t11にて2−1コーストダウン変速が開始され、2−1コーストダウン変速中である時刻t13にて車両1が停止した場合が例示されている。
ECU100は、時刻t13にて2−1コーストダウン変速中に車両1が停止したことを判定すると、直後の時刻t14にて上述の保持制御を実行する。すなわち、ECU100は、B1圧を意図的に0に低下してB1ブレーキ33を即座に解放するとともに、B2圧を待機圧に保持する。保持制御中は、自動変速機20の入力軸21がB2ブレーキ34の待機圧相当のトルク容量で自動変速機20の出力軸(出力ギヤ31)に係合される状態となる。したがって、保持制御中は、車両1が停止しているため出力軸回転速度NOUTは0であるが、入力軸回転速度NINはB2ブレーキ34の待機圧相当のトルク容量に応じて変化する。すなわち、B2待機圧(B2ブレーキ34のトルク容量)が過多である場合には入力軸回転速度NINは出力軸回転速度NOUTと同じ0となるが、B2待機圧(B2ブレーキ34のトルク容量)が不足する場合には入力軸回転速度NINはトルクコンバータ25を介して入力されるエンジン10の動力によって0よりも高い値に上昇する。
このような現象に鑑み、ECU100は、保持制御中のタービン回転速度NT(入力軸回転速度NIN)の回転変化に基づいて、メモリに記憶されたB2ブレーキ34の待機圧を学習(補正)する。具体的には、保持制御中にタービン回転速度NTが所定のしきい値N1以上に上昇した場合には、B2待機圧が不足していると考えられるため、ECU100は、メモリに記憶されたB2待機圧を増圧側に補正する。一方、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1未満である場合には、B2待機圧が過多であると考えられるため、ECU100は、メモリに記憶されたB2待機圧を減圧側に補正する。これにより、2−1コーストダウン変速中に車両1が停止した場合にB2待機圧の学習ができる。学習後のB2待機圧は、次回以降の2−1コーストダウン変速において用いられる。
図6は、ECU100がB2待機圧学習を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、2−1コーストダウン変速が開始された時に実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)11にて、ECU100は、車両1が停止したか否かを判定する。車両1が停止していない場合(S11にてNO)、ECU100は処理を終了させる。この場合は、2−1コーストダウン変速が通常どおり継続される。
車両1が停止した場合(S11にてNO)、ECU100は、S12にて、2−1コーストダウン変速中であるか否かを判定する。2−1コーストダウン変速が既に完了している場合(S12にてNO)、ECU100は処理を終了させる。
2−1コーストダウン変速中である場合(S12にてYES)、ECU100は、上述した保持制御を実行する。すなわち、ECU100は、B1圧を意図的に0に低下してB1ブレーキ33を即座に解放するとともに、B2圧を待機圧に保持する。
S14にて、ECU100は、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1以上であるか否かを判定する。保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1以上である場合(S14にてYES)、ECU100は、S15にて、メモリに記憶されているB2待機圧を増圧側へ補正する増圧学習を行なう。一方、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1未満である場合(S14にてNO)、ECU100は、S16にて、メモリに記憶されているB2待機圧を減圧側へ補正する減圧学習を行なう。
なお、B2待機圧を学習した後、ECU100は、B2圧を待機圧から所定の係合圧まで上昇させる。これにより、2−1コーストダウン変速が終了する。
以上のように、本実施の形態によるECU100は、2−1コーストダウン変速中に車両が停止した場合、2−1コーストダウン変速を通常どおり継続するのではなく、B1圧を即座に0にしてB1ブレーキ33を解放するとともに、B2圧を待機圧に保持してB2ブレーキ34のトルク容量を待機圧相当の値に保持する保持制御を行なう。そして、ECU100は、保持制御中のタービン回転速度NTの回転変化に基づいて、メモリに記憶されたB2ブレーキ34の待機圧を学習(補正)する。そのため、2−1コーストダウン変速中に車両1が停止した場合であっても、2−1コーストダウン変速における係合側の摩擦係合要素(B2ブレーキ34)のトルク容量を最適化することができる。
<変形例>
上述の実施の形態においては、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1以上である場合にB2待機圧を増圧側に補正し、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1未満である場合にB2待機圧を減圧側に補正したが、B2待機圧の学習態様はこれに限定されない。
上述の実施の形態においては、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1以上である場合にB2待機圧を増圧側に補正し、保持制御中のタービン回転速度NTがしきい値N1未満である場合にB2待機圧を減圧側に補正したが、B2待機圧の学習態様はこれに限定されない。
たとえば、保持制御中のタービン回転速度NTが所定の目標範囲に収まるようにB2待機圧を補正してもよい。すなわち、保持制御中のタービン回転速度NTが所定の目標範囲よりも高い場合にはB2待機圧を増圧側に補正し、保持制御中のタービン回転速度NTが所定の目標範囲よりも低い場合にはB2待機圧を減圧側に補正し、保持制御中のタービン回転速度NTが所定の目標範囲内に含まれる場合にはB2待機圧を現在の値に維持するようにしてもよい。
また、保持制御中のタービン回転速度NTが所定の目標範囲内に含まれる場合には、所定期間は2−1コーストダウン変速中に車両が停止したとしてもB2待機圧学習を行なわないようにし、所定期間が経過した後にB2待機圧学習を再開するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 エンジン、11 電子スロットルバルブ、20 自動変速機、21 入力軸、25 トルクコンバータ、30 ギヤユニット、31 出力ギヤ、32 ギヤケース、33 B1ブレーキ、34 B2ブレーキ、35 B3ブレーキ、36 C1クラッチ、37 C2クラッチ、40 油圧回路、50 ディファレンシャルギヤ、60 ドライブシャフト、70 駆動輪、81 車速センサ、82 シフトセンサ、83 アクセルペダルポジションセンサ、84 ストロークセンサ、85 スロットル開度センサ、86 エンジン回転速度センサ、87 入力軸回転速度センサ、88 出力軸回転速度センサ、310 第1遊星歯車装置、320 第2遊星歯車装置。
Claims (1)
- 駆動源の動力で駆動輪を回転させて走行する車両であって、
流体伝動装置を介して前記駆動源に接続された入力軸と、前記駆動輪に接続された出力軸と、第1係合要素および第2係合要素を含む複数の油圧式の摩擦係合要素とを有し、前記第1係合要素が解放状態でありかつ前記第2係合要素が係合状態である場合に第1変速段が形成され、前記第1係合要素が係合状態でありかつ前記第2係合要素が解放状態である場合に前記第1変速段よりも高車速側の第2変速段が形成されるように構成された自動変速機と、
前記自動変速機を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第2係合要素の待機圧を記憶する記憶部と、
前記第2変速段から前記第1変速段へのダウン変速を行なう場合、前記第1係合要素の油圧を予め定められた態様で低下させるとともに、前記第2係合要素の油圧を前記記憶部に記憶された待機圧に一時的に待機させた後に所定の係合圧まで増加させる変速制御部と、
前記第2変速段から前記第1変速段へのコーストダウン変速中に前記車両が停止した場合、前記第1係合要素の油圧を零として前記第1係合要素を解放状態にするとともに前記第2係合要素の油圧を前記記憶部に記憶された待機圧に保持する保持制御を行ない、前記保持制御によって前記自動変速機の入力軸の回転速度が所定値以上に上昇した場合に前記記憶部に記憶された待機圧を増圧側に補正する補正部とを備える、車両。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014250920A Pending JP2016114087A (ja) | 2014-12-11 | 2014-12-11 | 車両 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016114087A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018017309A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-01 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
-
2014
- 2014-12-11 JP JP2014250920A patent/JP2016114087A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018017309A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-01 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
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