JP2016113514A - 光輝性塗料組成物、光輝性塗膜、積層塗膜及び光輝性塗料組成物の製造方法 - Google Patents

光輝性塗料組成物、光輝性塗膜、積層塗膜及び光輝性塗料組成物の製造方法 Download PDF

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悠 高田
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Azusa Tsukigase
あずさ 月ヶ瀬
加藤 誠
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誠 加藤
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Akira Maeda
亮 前田
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Abstract

【課題】光輝性が高く良好なシルキー感を呈すると共に、剥離の発生が十分に抑制されて付着性に優れた光輝性樹塗膜を形成することができる光輝性塗料組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物であって、ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片が、以下の工程:(a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、(b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び(c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程を含む方法により得られたものであり、ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃である、上記光輝性塗料組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、光輝性塗料組成物、光輝性塗膜、積層塗膜及び光輝性塗料組成物の製造方法に関する。
従来より、天然マイカ、合成マイカ、鱗片状アルミナ等の鱗片状材料の表面に、酸化チタン層を設けた光輝性顔料が多くの分野で使用されている。これらの光輝性顔料は光輝感が強く、かつ粒子感(キラキラとした光沢感)を有するものであり、パール光沢を付与する顔料として用いられている。これに対し、粒子感がなく、シルクのような輝き、いわゆるシルキー感を示し、高級感を有する意匠を付与することができる光輝性顔料を得るためにチタン酸薄片(チタニアナノシート)及び/又は用いる樹脂を改良する試みがなされている。
一方、チタン酸薄片を含有する光輝性顔料は、車両用外装として塗膜、特に積層塗膜を形成させた場合に塗膜が局所的に剥がれやすくなる(いわゆるチッピングが発生する)傾向があるという問題があった。チタン酸薄片は高い親水性を有するため、一般に疎水的である樹脂とは相互作用が低い。そのため、チタン酸薄片の樹脂に対する接着性は低く、塗膜としての付着性が得られない。実際、チッピングは樹脂層が存在しないチタニア層間で生じていることがわかっている。
特許文献1には、より耐チッピング性の高い複層塗膜に関するものである。特許文献1には、鱗片状のチタン酸顔料を含有するベース塗料をベース塗膜の形成に用いることが記載されており、当該鱗片状のチタン酸顔料として、層状チタン酸塩を酸で処理して層状チタン酸とし、次いで有機塩基性化合物を作用させて層間を剥離したチタン酸薄片が記載されている。特許文献1によれば、このような鱗片状のチタン酸顔料は、より極薄の鱗片状であるためにベース塗膜中により緻密に高配向して存在し、外部より複層塗膜に局所的な衝撃が加わったとしても、この衝撃エネルギーは、非常に多くの顔料数として高配向している鱗片状のチタン酸顔料が次々に細かく破壊されていくことにより消費されてゆき、その結果、鱗片状のチタン酸顔料を含有する塗膜においてほとんどの衝撃エネルギーを吸収することができ、これにより、複層塗膜の耐チッピング性が向上するとされている。
特許文献2には、特定のアミン価を有するアミノ基含有アクリル樹脂と、該樹脂中に分散しているチタン酸薄片とを含有する光輝性塗料組成物が記載されている。特許文献2によれば、樹脂膜とした際にマトリックスとなる樹脂として特定のアミン価を有するアミノ基含有アクリル樹脂を用いることにより、チタン酸薄片層間が補強され、かつチタン酸薄片がアクリル樹脂中に均一に分散されるために良好なシルキー感が維持され、その結果、シルキー感及び付着性が共に優れた塗膜が得られるとされている。
しかしながら、上記のような従来の塗料組成物はチタニア層間の結合力が十分ではなく、付着性に優れ、かつ意匠性に優れる塗膜を形成することが可能な塗料組成物の開発が依然として求められている。
特開2006−305515号公報 特開2012−241072号公報
本発明は、光輝性が高く良好なシルキー感を呈すると共に、剥離の発生が十分に抑制されて付着性に優れた光輝性樹塗膜を形成することができる光輝性塗料組成物、光輝性塗膜、積層塗膜及び光輝性塗料組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、チタン酸薄片とアクリル樹脂を含有する光輝性塗料組成物において、チタン酸薄片をウレタン樹脂が結合しているものとし、さらに当該ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片の製造工程において用いるウレタン樹脂としてガラス転移温度が特定の温度のものを用いることにより、得られる塗膜の剥離強度が向上することを見出し、本発明に至った。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物であって、
ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片が、以下の工程:
(a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
(b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
(c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
を含む方法により得られたものであり、
ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃である、上記光輝性塗料組成物。
(2)ウレタン樹脂の分散液が、以下の工程:
(d)ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を得る工程、及び
(e)ウレタン樹脂を水に分散させる工程
を含む方法により得られたものである、(1)に記載の光輝性塗料組成物。
(3)工程(c)において、35〜60℃で5分間以上加熱を行う、(1)に記載の光輝性塗料組成物。
(4)工程(c)において、65〜90℃で8分間以下加熱を行う、(1)に記載の光輝性塗料組成物。
(5)ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含有する光輝性塗膜であって、ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片がアクリル樹脂中に分散している、上記光輝性塗膜。
(6)基材上に積層されたベース層とクリア層とを少なくとも備える積層塗膜であって、ベース層とクリア層との間に(5)に記載の光輝性塗膜が配置されている、上記積層塗膜。
(7)ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物を製造する方法であって、
以下の工程:
(a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
(b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
(c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
によりウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を得ること、及び
上記ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片をアクリル樹脂と混合することを含み、
上記ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃である、上記方法。
本発明の光輝性塗料組成物によれば、光輝性が高く良好なシルキー感を呈すると共に、剥離の発生が十分に抑制されて付着性に優れた光輝性樹塗膜を形成することが可能となる。
図1は、本発明の光輝性塗料組成物の製造工程を示した図である。 図2は、ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)と剥離強度との関係を示すグラフである。
本発明の光輝性塗料組成物はウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む。ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片はチタニア層間の結合が補強されているため、得られる塗膜に高い付着性を付与することができる。また、ウレタン樹脂は凝集力が強いウレタン結合をもつため、得られる塗膜は基材に対する密着性に優れる。さらに、上記チタン酸薄片の屈折率はアクリル樹脂に比べて高く、屈折率の異なる両成分が塗膜内に存在することにより、得られる塗膜は粒子感のないシルキー感を呈する。さらにウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片の製造工程において、比較的高い特定のガラス転移温度を有するウレタン樹脂が用いられているため、ウレタン樹脂の凝集力が高く、水がチタン酸薄片の層の間に侵入しにくくなり剥離強度が向上する。よって、本発明の光輝性塗料組成物を用いて得られる塗膜は、光輝性が高く良好なシルキー感を呈すると共に、剥離の発生が十分に抑制されて付着性に優れる。
上記ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片は、以下の工程:
(a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
(b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
(c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
を含む方法により得られたものである。
工程(a)としては例えば特開2000−344520号公報に記載される方法が挙げられ、工程(b)としては例えばChem.,Master.2003,15,3564−3568に記載される方法が挙げられる。
工程(a)において用いる層状チタン酸塩としては、レピドクロサイト型の層状チタン酸塩(例えば、CsTi2−x/4(ただし、0.5≦x≦1)、ATi2−x/3Lix/3(ただし、A=K、Rb、Cs;0.5≦x≦1)等)が挙げられる。レピドクロサイト型の層状チタン酸塩の具体例としては、K0.8Ti1.73Li0.27、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.7Ti1.77Li0.23、Cs0.7Ti1.825等が挙げられる。
上記レピドクロサイト型の層状チタン酸塩は、例えば、KCO、RbCO、又はCsCOと、アナターゼ型TiOと、必要に応じてLiCO等の他の金属炭酸塩とを所定のモル比で混合し、この混合物を大気中、600〜1200℃の高温で通常6〜24時間焼成することによって調製できる。
また、得られるチタン酸薄片のアスペクト比を大きくする場合には、層状チタン酸塩を調製する際に、KCl等の溶融塩を用いてサイズの大きな層状チタン酸塩を調製し、これに後述する酸処理及び塩基処理を順次施す方法が有効である。
このようにして調製されたレピドクロサイト型の層状チタン酸塩は、チタンに酸素原子が6配位した八面体が稜共有で2次元方向に連鎖して形成されたホスト層と金属イオン層とが交互に積層した結晶構造を有するものである。ホスト層は、チタンサイトの一部が空孔になっているため、層全体として負電荷を帯びている。この負電荷を金属イオン層が補償してレピドクロサイト型の層状チタン酸塩全体としては電気的に中性が保たれている。
工程(a)において、層状チタン酸塩を酸と混合して攪拌する。金属イオン層は高いイオン交換性を示すため、この酸処理により層状構造を維持したまま、Ti以外の金属イオンが高水準で、好ましくは全て水素イオンに交換され、水素型の層状チタン酸(例えば、HTi2−x/4・nHO(ただし、0.5≦x≦1)、Hx+x/3Ti2−x/3・nHO(ただし、0.5≦x≦1))が形成される。その後、得られた水素型の層状チタン酸を洗浄する。Ti以外の金属イオンをより高水準で水素イオンに交換するためには、酸処理及び洗浄処理を複数回繰り返すことが好ましい。
酸による処理時間は1〜5日間程度が好ましい。酸による処理時間が上記下限より短くても、あるいは上記上限より長くても、後述する塩基処理を施しても層状チタン酸が単層にまで剥離されにくくなる傾向にある。
酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等の強酸が挙げられる。酸の濃度は、0.1〜10Nであることが好ましい。また、層状チタン酸塩は、上記濃度の酸1Lに対して1〜50g混合することが好ましい。酸処理の温度は0〜50℃であることが好ましい。これらの条件を上記範囲に設定することによって上記酸処理時間で金属イオンをより高水準で水素イオンに交換することができる傾向にある。
次に、工程(b)において、水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して攪拌する。水素型の層状チタン酸は一種の固体酸であり、塩基性物質と混合すると層間に塩基性物質をゲストとして取り込む。このとき、激しく攪拌すると層状チタン酸は単層剥離(ナノシート化)され、単層のチタン酸薄片を含有する分散液が得られる。
塩基処理の時間は1〜5日間程度が好ましい。塩基処理の時間が上記下限より短くなると層状チタン酸が単層にまで剥離されにくくなる傾向にある。他方、上記上限より長くなるとチタン酸薄片が破壊されてアスペクト比が小さくなる傾向にある。
上記塩基性物質としては、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、テトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラオクチルアンモニウムクロライド(TOAC)、テトラドデシルアンモニウムクロライド(TDAC)、テトラステアリルアンモニウムクロライド(TSAC)等のアンモニウム塩が挙げられ、これらの中で、親水性と疎水性のバランスの観点から、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)を用いることが好ましく、TEAH及びTPAHを用いることが特に好ましい。塩基性物質は通常、水等の溶媒に溶解して使用される。この溶液中の塩基性物質の濃度は、0.1〜3mol/Lであることが好ましい。また、水素型の層状チタン酸は、塩基性物質に対するモル比(層状チタン酸/塩基性物質)が1/5〜2/1となるように混合することが好ましく、モル比が約2/1となるように混合することが特に好ましい。塩基処理の温度は0〜50℃であることが好ましい。これらの条件を上記範囲に設定することによって上記塩基処理時間でより高水準でナノシート化することができる傾向にある。
工程(b)において得られる単層のチタン酸薄片は、厚みがnmオーダーでアスペクト比が高いため、塗膜内でチタン酸薄片が緻密に分散し、塗膜面に対して配向する。そしてチタン酸薄片による光の多重反射によって粒子感が全く無く、かつ、真珠調(シルキー感)を呈する塗膜を得ることができる。
工程(c)において用いるチタン酸薄片としては、平均厚さが0.5〜300nmのものが好ましく、0.5〜100nmのものがより好ましい。平均厚さが上記下限未満のものは一般的に製造することが困難となる傾向にあり、他方、平均厚さが上記上限を超えるものを用いると粒子感が目立ちシルキー感が損なわれる傾向にある。
工程(c)において用いるチタン酸薄片としては、平均長径が5〜50μmのものが好ましく、15〜50μmのものがより好ましい。平均長径が上記下限未満では十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、平均長径が上記上限を超えるものは一般的に製造することが困難となる傾向にある。なお、ここでいう平均長径とは、チタン酸薄片の厚さ方向に垂直な面方向における平均粒径を意味している。また、このような平均長径や前述の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)等による観察によって測定することこができる。
さらに、工程(c)において用いるチタン酸薄片の平均アスペクト比(平均厚さに対する平均長径の比)は1000〜10000であることが好ましい。平均アスペクト比が上記下限未満では十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、上記上限を超えるとチタン酸薄片を樹脂膜中に均一に分散させることが困難となる傾向にある。
工程(c)の加熱処理によって、ウレタン樹脂のアニオン性親水基を中和するために添加されているアミンと、チタン酸薄片の層間にゲストとして取り込まれている塩基性物質(例えばアンモニウム塩)との交換反応が起こり、ゲストとウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片が得られる。
工程(c)において、ウレタン樹脂は分散液として混合する。ウレタン樹脂の分散液におけるウレタン樹脂の濃度は、好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。ウレタン樹脂を分散液として混合することによりチタン酸薄片の均一分散が容易となる。ウレタン樹脂の分散液は、以下の工程:
(d)ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を得る工程、及び
(e)ウレタン樹脂を水に分散させる工程
を含む方法により得ることができる。
工程(c)において用いるウレタン樹脂のガラス転移温度は、良好な剥離強度を得る観点から、−33〜26℃であり、好ましくは−30〜25℃である。ウレタン樹脂のガラス転移温度が26℃を超える場合、ウレタン樹脂の柔軟性が失われ、剥離強度の低下や塗膜外観の悪化が生じる。
工程(c)において用いるウレタン樹脂としては、ウレタン樹脂に例えばカルボン酸基を導入したものを用いることが好ましい。ウレタン樹脂としては、特に限定されないが、下記のポリオール成分とポリイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、及びその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、及びその混合物(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等が挙げられ、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましい。上記ポリオール成分としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等が挙げられ、耐加水分解性の点から、ポリエーテル、ポリカーボネートが好ましい。また、本発明の光輝性塗料組成物に用いるウレタン樹脂としては、無黄変型のウレタン樹脂が好ましい。
上記ウレタン樹脂は、例えば特許第5013233号公報に記載される方法を用いて、具体的には以下のような工程により製造することができる:撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、ポリエーテルポリオール、ジメチロールプロピオン酸、メチルエチルケトンを加え、均一に混合した後、ジイソシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等)を加え、次いでジブチル錫ジラウレートを加え、70℃で約4時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得る。次いで、前記方法で得られたウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミンを加え、前記ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基を中和した後、イオン交換水を加え、次いで、ジアミン(エチレンジアミン、イソホロンジアミン等)を加え反応させる。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することにより、水性ウレタン樹脂組成物を得る。
工程(c)の熱処理工程は、アニオン性親水基を有するウレタン樹脂とチタン酸薄片とを反応させる観点から、35〜60℃で5分間以上行われることが好ましい(工程(c1))。熱処理工程は、特に好ましくは38〜50℃、さらに好ましくは40〜45℃で行う。また熱処理工程は、好ましくは5〜100分間、特に好ましくは8〜80分間、さらに好ましくは8〜70分間行う。
あるいは、工程(c)の熱処理工程は、ペースト粘度が上昇してチタン酸薄片が分散しづらくなることを回避する観点から、65〜90℃で8分間以下行われることが好ましい(工程(c2))。熱処理工程は、特に好ましくは70〜95℃、さらに好ましくは75〜90℃で行う。また熱処理工程は、好ましくは2〜8分間、特に好ましくは2〜6分間行う。
工程(c)において、ウレタン樹脂に導入されている親水基は架橋用の官能基の役割も果たすため、加熱処理によって架橋反応が進行し、チタニア層間の結合がさらに補強され、密着性の改善に有効であると考えられる。
工程(c)において得られるウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片は、平均厚さが0.5〜300nmであるものが好ましく、また平均長径が5〜50μmであるものが好ましく、また平均アスペクト比が1000〜10000であるものが好ましい。
本発明の光輝性塗料組成物はアクリル樹脂を含む。アクリル樹脂は、特に限定されないが、アクリル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。上記共重合体に使用し得るアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等のエステル化物類、アクリル酸又はメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミド及びN−メチロールアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類等、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが挙げられる。これらと共重合可能な上記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のビニルモノマーが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の含有量は、本発明の光輝性塗料組成物中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の合計量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。
上記ウレタン樹脂及び上記アクリル樹脂の合計量は、本発明の光輝性塗料組成物に対して、5〜20質量%であることが好ましく、12〜17質量%であることが特に好ましい。
上記ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片の含有量は、十分なシルキー感を得つつ、優れた付着性を有する塗膜を得る観点から、本発明の光輝性塗料組成物中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の合計量に対して、10質量%以上であることが好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
本発明の光輝性塗料組成物には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、その他の添加剤を適宜含有することができる。その他の添加剤としては、増粘剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、垂れ止め剤、消泡剤、活剤等の一般的な塗料用添加剤が挙げられる。上記その他の添加剤の合計配合量は、組成物に対して、通常5質量%以下、好ましくは1質量%以下である。また、塗膜に対して、通常10質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
本発明の光輝性塗料組成物は、アクリル樹脂の溶液に、ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を分散させることにより得ることができる。分散方法としては、例えば、攪拌機、超音波分散機、3本ロールミル等を用いる方法が挙げられる。
本発明はウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物を製造する方法(以下、本発明の製造方法ともいう)にも関する。本発明の製造方法は上記本発明の光輝性塗料組成物の製造に適している。
本発明の製造方法は、以下の工程:
(a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
(b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
(c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
によりウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を得ること、及び
上記ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片をアクリル樹脂と混合することを含み、
上記ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃であることを特徴とする。本発明の製造方法における工程(a)−(c)の好ましい態様については、本発明の光輝性塗料組成物における上の説明を引用する。また、工程(c)において用いるウレタン樹脂のガラス転移温度は、良好な剥離強度を得る観点から、−33〜26℃であり、好ましくは−30〜25℃である。ウレタン樹脂のガラス転移温度が26℃を超える場合、ウレタン樹脂の柔軟性が失われ、剥離強度の低下や塗膜外観の悪化が生じる。ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物は、アクリル樹脂の溶液に、ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を分散させることにより得ることができる。分散方法としては、例えば、攪拌機、超音波分散機、3本ロールミル等を用いる方法が挙げられる。
本発明は光輝性塗膜にも関し、本発明の光輝性塗膜はウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含有し、当該ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片がアクリル樹脂中に分散している。本発明の光輝性塗料組成物は本発明の光輝性塗膜を形成するために適している。
本発明の光輝性塗膜は、例えば基材上に塗装し、塗膜を乾燥(プレヒート)及び焼き付ける(焼き付け硬化)ことにより形成することができる。光輝性塗膜の膜厚(焼き付け後の膜厚)は、特に制限されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。膜厚が上記下限未満では、チタン酸薄片の量が少なく、シルキー感が得られにくくなる傾向にある。他方、膜厚が上記上限を超えると、わき等の塗膜欠陥が生じ、外観が低下する傾向にある。
光輝性塗料組成物の塗装方法としては、特に制限されず、従来公知の各種塗装方法が挙げられるが、スプレー塗装、ドクターブレード塗装等のせん断力がかかる塗装方法が好ましい。それにより、チタン酸薄片をより確実に膜面に対して平行に配向して分散させることができ、よりシルキー感のある意匠性を有する光輝性塗膜が得られる傾向にある。
光輝性塗料組成物を塗装する基材は特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅又はこれらの合金等の金属類;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等のプラスチック材料;木材、紙や布等の繊維材料等の天然又は合成材料等を挙げることができる。被塗基材は透明なものであってもよい。好ましい被塗基材としては、鉄、アルミニウム、銅又はこれらの合金等の金属類が挙げられる。
本発明は積層塗膜にも関し、本発明の積層塗膜は、基材上に積層されたベース層とクリア層とを少なくとも備える積層塗膜であって、ベース層とクリア層との間に本発明の光輝性塗膜が配置されていることを特徴とするものである。本発明の積層塗膜を車両外装として形成する場合、鋼板等の基材上に電着層、中塗り層及びベース層が少なくとも積層された上に本発明の光輝性塗膜が積層され、さらにその上に少なくともクリア層が積層されることが好ましい。
本発明の積層塗膜は、例えば、上記光輝性塗料組成物を電着塗料、中塗り塗料、着色ベース塗料の積層塗膜上に、回転霧化塗装、ドクターブレード塗装やスプレー塗装で積層し、さらにこの上に、クリア塗料を積層後、塗料組成にあった条件で焼付硬化することにより得ることができる。
かかる電着層(電着塗膜)は特に制限されず、例えば、鋼板等の基材表面に下塗り塗料としてカチオン電着塗料を用いて塗装することにより得られる。ここで、カチオン電着塗料としては、カチオン性高分子化合物の塩の水溶液もしくは水分散液に、必要に応じて架橋剤、顔料や各種添加剤を配合してなるそれ自体既知のものを好適に使用することができる。カチオン性高分子化合物としては、例えば、架橋性官能基を有するアクリル樹脂又はエポキシ樹脂にアミノ基等のカチオン性基を導入したものが挙げられ、これは有機酸又は無機酸等で中和することによって水溶化もしくは水分散化することができる。これらの高分子化合物を硬化するための架橋剤としては、ブロックポリイソシアネート化合物、脂環式エポキシ樹脂等を用いることができる。電着層の膜厚(焼き付け後の膜厚)は特に制限されないが、通常、10〜40μm程度が好ましい。
また、中塗り層(中塗り塗膜)を形成する中塗り塗料も特に制限されず、例えば、基本的に、基体樹脂と架橋剤とからなる熱硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。かかる基体樹脂としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基のような架橋性官能基を1分子中に2個以上有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等が挙げられ、また、架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂等のようなアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物等が挙げられる。中塗り層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、10〜30μm程度が好ましい。
さらに、ベース層(ベース塗膜)を形成するベース塗料も特に制限されず、例えば、既知の溶剤系着色ベース塗料や水性着色ベース塗料が好適に用いられる。かかる水性着色ベース塗料としては、例えば、顔料と、水に溶解又は分散可能な樹脂と、必要に応じて架橋剤と、溶媒である水とを含有するものが挙げられる。水に溶解又は分散可能な樹脂としては、例えば、1分子中にカルボキシル基等の親水基と水酸基等の架橋性官能基とを含有する樹脂であって、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、架橋剤としては、例えば、疎水性又は親水性のアルキルエーテルメラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。一方、溶剤系着色ベース塗料としては、例えば、顔料と、上記同様の樹脂と、必要に応じて架橋剤と、溶剤とを含有するものが挙げられる。ベース層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、5〜20μm程度が好ましい。
また、クリア層(クリア塗膜)を形成するクリア塗料も特に制限されず、例えば、透明な塗膜を形成可能な、熱硬化性樹脂と有機溶剤と、必要に応じて紫外線吸収剤等が含有されているものが挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂等の樹脂と、これらの架橋性官能基に反応し得るメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等の架橋剤とからなるものが挙げられる。クリア層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、20〜50μm程度が好ましい。
本発明の積層塗膜においては、ベース層とクリア層との間に本発明の光輝性塗膜が配置されているが、かかる光輝性塗膜を形成する方法等は前述の通りである。また、本発明において、塗膜を乾燥(プレヒート)及び焼き付け(焼き付け硬化)処理の条件は特に制限されず、例えば、乾燥処理の条件としては60〜90℃で1〜5分間程度、焼き付け処理の条件としては140〜220℃で10〜40分間程度が好適に採用される。
以上説明した本発明の光輝性塗料組成物を用いて得られた本発明の光輝性塗膜及び積層塗膜は、膜中に分散したチタン酸薄片がシルクのように光り輝く、いわゆるシルキー感を呈するものであり、かかるシルキー感は後述する実施例に記載のフリップ・フロップ性(FF性)によって評価することが可能である。また、本発明の光輝性塗膜及び積層塗膜は、剥離の発生が十分に抑制されて付着性に優れているものであり、かかる付着性は後述する実施例に記載の碁盤目剥離試験によって評価することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1−6及び比較例1]
1.ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片の製造
後述するように、層状チタン酸塩は特開2000−344520号公報に記載される公知の方法を用いて作製した。そしてChem.,Master.2003,15,3564−3568に記載される公知の方法を用いて、得られた層状チタン酸塩から層状チタン酸を作製した。この層状チタン酸からチタニア層を単層剥離し単層のチタン酸薄片を得、この単層のチタン酸薄片を用いてウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を製造した。
(層状チタン酸塩の作製)
CO、LiCO、アナターゼ型TiO、及びフラックスとしてKClを乳鉢を用いて10分間十分に混合した。この混合物を大気中、820℃で1時間保持してKClを溶融した後、1000℃で8時間焼成した。その後、反応生成物を徐冷して層状チタン酸塩を得た。この層状チタン酸塩についてX線回折装置(理学電機工業(株)製RINT2100)を用いてX線回折測定を実施したところ、K0.8Ti1.73Li0.27であることを確認した。また、この層状チタン酸塩の形状を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S3600N)を用いて観察したところ、平均粒径が15μmの大きさの微粒子であることを確認した。
(層状チタン酸の作製)
次に、層状チタン酸塩と0.5Nの塩酸1Lとを混合して室温で1日間スターラーで攪拌した。この酸処理により、層状構造を維持したまま、K0.8Ti1.73Li0.27のKとLiがHに置換され、層状チタン酸(H0.7Ti1.825・HO)を得た。その後、この層状チタン酸を水洗、ろ過した。
(チタン酸薄片の作製)
層状チタン酸に水をチタン酸濃度が15質量%となるように添加し、良く撹拌後、チタン酸1molに対して0.5molのテトラプロピルアンモニウムヒドリド(TPAH)を混合した。得られた混合物を室温で1日間スターラーで攪拌して単層剥離し、単層のチタン酸薄片の水分散液を得た。
(チタン酸薄片分散ペーストの作製)
下記表1に示すウレタン樹脂の分散液(DIC社製)42gと得られたチタン酸薄片の水分散液100gとをスターラーで1時間撹拌混合し、その後45℃のウォーターバス中で撹拌しながら15分間熱処理した。その後、さらに1時間以上撹拌し、12時間以上静置させてチタン酸薄片分散ペーストを調製した。このとき、トリエチルアミンが揮発し発泡することによって、トリエチルアミンと塩基性物質との交換反応を確認した。
2.光輝性塗料組成物の調製
得られたチタン酸薄片分散ペースト7.1gをアクリル樹脂(豊田中央研究所製)47.5gに添加し、スターラーで1日以上撹拌し、チタン酸薄片含有ベース塗料を調製した。ここで、上記アクリル樹脂は、メタクリル酸メチル(MMA)4.5%、メタクリル酸n−ブチル(BMA)6.75%、アクリル酸n−ブチル(BA)11.88%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)7.2%。アクリル酸(AA)1.17%、スチレン(St)13.5%を乳化重合法により重合したものである。
その後、イソシアネート硬化剤(DIC製、商品名:バーノックDNW5000)を添加して混合し、光輝性塗料組成物を調製した。上記光輝性塗料組成物の製造工程を図1に示す。
<光輝性塗膜の作製>
得られた光輝性塗料組成物を電着塗料、中塗り塗料及び着色ベース塗料の積層塗装板に膜厚15μmになるよう塗布した。80℃で3分間プレヒートした後、クリア塗料を35μmになるよう積層した。140℃で30分間焼付けて積層塗膜を作製した。クリア塗料は低分子量の硬化剤を使用しているイソシアネート硬化型クリア塗料(日本ビーケミカル社製、商品名:R−298クリヤー)を用いた。
実施例1−6及び比較例1の光輝性塗料組成物を用いて得られた光輝性塗膜の意匠性及び付着性を以下の方法を用いて評価した。
<付着性試験>
得られた光輝性塗膜の剥離強度は引張試験により評価した。ジグをアダルダイド(ニチバン(株)製)で貼り合せた後、40℃で12〜24時間硬化させた後に引張試験を行った。剥離強度を以下の式:
剥離強度(MPa)=最大荷重(kg)/ジグの接着面積(m
により求めた。
<シルキー感評価試験>
得られた光輝性塗膜に対して、多角度分光測色計(X−Rite社製、携帯用多角度分光測色計MA68II)を用いて入射角45°に対して受光角15〜110°における明度(L値)を測定し、その最大値と最小値との差をフリップ・フロップ値(FF値)として評価した。FF値(L*15−L*110)が40以上のものを意匠性が良好であるとした。なお、かかるFF値が高い方がシルキー感が優れていることを示す。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2016113514
用いたウレタン樹脂のガラス転移温度と、光輝性塗膜の剥離強度との関係を図2に示す。表1及び図2の結果より、本発明の光輝性塗料組成物から得られた塗膜は、意匠性が良好でありかつ剥離強度が比較例1に対応するものと比較して約10%向上したことがわかった。
本発明の光輝性塗料組成物は自動車用塗料や住宅用塗料に好適に適用される。

Claims (7)

  1. ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物であって、
    ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片が、以下の工程:
    (a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
    (b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
    (c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
    を含む方法により得られたものであり、
    上記ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃である、上記光輝性塗料組成物。
  2. ウレタン樹脂の分散液が、以下の工程:
    (d)ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を得る工程、及び
    (e)ウレタン樹脂を水に分散させる工程
    を含む方法により得られたものである、請求項1に記載の光輝性塗料組成物。
  3. 工程(c)において、35〜60℃で5分間以上加熱を行う、請求項1に記載の光輝性塗料組成物。
  4. 工程(c)において、65〜90℃で8分間以下加熱を行う、請求項1に記載の光輝性塗料組成物。
  5. ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含有する光輝性塗膜であって、ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片がアクリル樹脂中に分散している、上記光輝性塗膜。
  6. 基材上に積層されたベース層とクリア層とを少なくとも備える積層塗膜であって、ベース層とクリア層との間に請求項5に記載の光輝性塗膜が配置されている、上記積層塗膜。
  7. ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片とアクリル樹脂とを含む光輝性塗料組成物を製造する方法であって、
    以下の工程:
    (a)層状チタン酸塩を酸と混合して水素型の層状チタン酸を得る工程、
    (b)水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して単層のチタン酸薄片を得る工程、及び
    (c)単層のチタン酸薄片をウレタン樹脂の分散液と混合し、得られた混合物を加熱する工程
    によりウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片を得ること、及び
    上記ウレタン樹脂が結合しているチタン酸薄片をアクリル樹脂と混合することを含み、
    上記ウレタン樹脂のガラス転移温度が−33〜26℃である、上記方法。
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