JP2016112866A - 三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置、結合液、および、三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置、結合液、および、三次元造形物 Download PDF

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福本  浩
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【課題】機械的強度に優れた三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および結合液を提供すること、機械的強度に優れた三次元造形物を提供すること。【解決手段】本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、前記層に、複数の前記粒子同士を結合する結合剤と前記粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液を吐出する吐出工程と、前記結合液を吐出した前記層を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置、結合液、および、三次元造形物に関する。
粉体を結合液で固めながら、三次元物体を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元物体を造形する。まず、粉体を均一な厚さで薄く敷き詰めて粉体層を形成し、この粉体層の所望部分に結合液を吐出することによって粉体同士を結合させる。この結果、粉体層の中で、結合液が吐出された部分だけが結合して、薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その粉体層の上にさらに粉体層を薄く形成し、所望部分に結合液(硬化性インク)を吐出する。その結果、新たに形成された粉体層の結合液が吐出された部分にも、新たな断面部材が形成される。このとき、粉体層上に吐出した結合液が染み込んで、先に形成された断面部材に到達するので、新たに形成された断面部材は先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層することによって、三次元物体を造形することができる。
このような三次元造形技術は、造形しようとする物体の三次元形状データさえあれば、粉体を結合させて直ちに造形可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元物体を造形することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して造形するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
しかしながら、従来においては、結合液による結合力を十分に高いものとすることができず、三次元造形物の強度を十分に高いものとすることができなかった。
特開平6−218712号公報
本発明の目的は、機械的強度に優れた三次元造形物を製造することができる三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および結合液を提供すること、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
粒子を含む三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
前記層に、複数の前記粒子同士を結合する結合剤と前記粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液を吐出する吐出工程と、
前記結合液を吐出した前記層を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記表面処理剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤および/またはアクリル系シランカップリング剤であることが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度をより効果的に向上させることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記チタネート系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートを含むことが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度をより効果的に向上させることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記粒子は、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記加熱工程では、前記層を40℃以上180℃以下の温度に加熱することが好ましい。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物をより効率よく製造することができる。
本発明の三次元造形物製造装置は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
粒子を含む三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成手段と、
前記層に、複数の前記粒子同士を結合する結合剤と前記粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液を吐出する吐出手段と、
前記結合液を吐出した前記層を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。
本発明の結合液は、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて形成した層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法に用いられる結合液であって、
複数の前記粒子同士を結合する結合剤と、
前記粒子の表面を改質する表面処理剤と、を含むことを特徴とする。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物製造装置により製造されたことを特徴とする。
これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。 本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を上から平面視した平面図である。 図3に示す三次元造形物製造装置の側面図である。 各実施例および各比較例で製造する三次元造形物(三次元造形物A)の形状を示す斜視図である。 各実施例および各比較例で製造する三次元造形物(三次元造形物B)の形状を示す斜視図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
1.三次元造形物の製造方法
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1、図2は、本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の製造方法は、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて、層1を形成する層形成工程(1a、1d)と、インクジェット法により、層1に対し、結合剤と粒子表面を改質する表面処理剤とを含む結合液2を付与する吐出工程(1b、1e)と、層1に付与された結合液2中に含まれる結合剤を硬化させる硬化工程(1c、1f)と、を有し、これらの工程を順次繰り返し行い、さらに、その後に、各層1を構成する粒子のうち、結合剤により結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1h)と、仮成形体(結合液2が吐出された層1)を加熱する加熱工程と、を有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<層形成工程>
まず、造形ステージ102上に、三次元造形用組成物を用いて、層1を形成する(1a)。
本工程は、例えば、スキージ法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スピンコート法等の方法を用いることにより行うことができる。
本工程で形成される層1の厚さは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であるのが好ましく、10μm以上50μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物1000の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物1000における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止することができる。
<吐出工程>
その後、インクジェット法により、層1に対し、結合剤と、粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液2を吐出する(1b)。
本工程では、層1のうち三次元造形物1000の実部(実体のある部位)に対応する部位にのみ、選択的に結合液2を付与する。
本工程では、インクジェット法により結合液2を付与するため、結合液2の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく結合液2を付与することができる。
また、結合液2には、粒子の表面を改質する表面処理剤が含まれている。表面処理剤が含まれていることにより、後の加熱工程における加熱で粒子表面の表面処理が行われ、粒子表面が改質される。このように粒子表面が改質されることにより、粒子表面と結合液2(結合剤)との親和性が高くなり、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度を優れたものとすることができる。
なお、三次元造形用組成物として調製する前に、予め粒子に対して表面処理剤で表面処理を施すことも考えられるが、工程数が増えて製造方法が煩雑になってしまう問題がある。また、表面処理を施した粒子を購入して使用することも考えられるが、コストが高くなってしまう問題がある。さらに、表面処理を施してから時間が経っていない状態の粒子のほうが結合剤との親和性が高い傾向があり、本発明のように結合液を吐出した後に粒子の表面改質をすることで、得られる三次元造形物1000の機械的強度をさらに高いものとすることができる。
なお、結合液2については、後に詳述する。
<硬化工程>
次に、層1に付与された結合剤を硬化させ、硬化部3を形成する(1c)。これにより、粒子同士の結合強度を特に優れたものとすることができ、その結果、最終的に得られる三次元造形物1000の機械的強度や耐水性を特に優れたものとすることができる。
本工程は、硬化成分(結合剤)の種類により異なるが、例えば、硬化成分(結合剤)が熱硬化性の場合、加熱により行うことができ、硬化成分(結合剤)が光硬化性の場合、対応する光の照射により行うことができる(例えば、硬化成分が紫外線硬化性の場合は紫外線の照射により行うことができる)。
なお、吐出工程と硬化工程とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層1全体のパターン全体が形成される前に、結合液2が付与された部位から順次硬化反応を進行させるものであってもよい。
その後、前記の一連の工程を繰り返し行う(1d、1e、1f参照)。これにより、前記各層1のうち、結合液2が付与された部位の粒子が結合した状態となり、このような状態の層1が複数積層された積層体としての三次元造形物1000が得られる(1g参照)。
また、2回目以降の吐出工程(1d参照)で層1に付与された結合液2は、当該層1を構成する粒子同士の結合に利用されるとともに、付与された結合液2の一部は、それよりも下の層1に浸透する。このため、結合液2は、各層1内での粒子同士を結合だけでなく、隣接する層間での粒子同士の結合にも利用される。その結果、最終的に得られる三次元造形物1000は、全体としての機械的強度に優れたものとなる。
<未結合粒子除去工程>
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に、後処理工程として、各層1を構成する粒子のうち、結合剤により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1h)を行う。これにより、仮成形体が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた仮成形体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。これにより、未結合粒子を、より容易かつより確実に、仮成形体から、除去することができる。また、未結合粒子を除去する際に仮成形体に傷等の欠陥が生じることをより確実に防止することができる。
<加熱工程>
次に、得られた仮成形体(結合液2を吐出した層1の積層体)を加熱する。これにより、層1中に含まれる表面処理剤によって粒子表面が改質され、その結果、三次元造形物1000が得られる。
本工程では、仮成形体を40℃以上180℃以下の温度に加熱するのが好ましく、80℃以上150℃以下の温度に加熱するのがより好ましい。これにより、粒子表面の官能基と表面処理剤の官能基との脱水縮合反応が起き易く、かつ表面処理剤が分解しない温度で粒子表面の改質をより効率よく進行させることができる。
なお、上記説明では、結合液2を吐出した層1の積層体である仮成形体を一括で加熱して、粒子表面を表面処理剤で改質するものとして説明したが、1つの層1を形成する毎に加熱処理を行ってもよい。
また、結合剤として熱硬化性樹脂を用いた場合、結合剤の硬化のための加熱を行う硬化工程で、結合剤の硬化と粒子表面の改質とを同時に行ってもよい。
2.三次元造形用組成物
次に、三次元造形用組成物について詳細に説明する。
三次元造形用組成物は、複数の粒子を含むものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
≪粒子≫
三次元造形用組成物は、粒子を含んでいる。
粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、タルク、マイカなどこれらの複合化物等が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロールス;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子は、無機材料で構成されたものであるのが好ましく、金属酸化物で構成されたものであるのがより好ましく、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種であるのがさらに好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。また、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元造形物1000の生産性、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物1000における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物1000の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物1000における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物1000の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物1000の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造される三次元造形物1000の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。
粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物1000の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物1000における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物1000の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、製造される三次元造形物1000の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。
三次元造形用組成物中における粒子の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上58質量%以下であるのがより好ましい。粒子は多孔性であってもよく、かさ密度が概ね0.1g/cm〜1.0g/cmの範囲が適当であり、0.15g/cm〜0.5g/cmの範囲の多孔性粉末がより好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪溶媒≫
三次元造形用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物1000の生産性を特に優れたものとすることができる。
三次元造形用組成物を構成する溶媒としては、特に限定されないが、水系溶媒を用いるのが好ましい。水系溶媒としては、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。これにより、水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、三次元造形用組成物の流動性、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物1000中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
三次元造形用組成物中における溶媒の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶媒を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物1000の製造過程において溶媒を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物1000の生産性向上の観点から有利である。
特に、三次元造形用組成物が溶媒として水を含むものである場合、三次元造形用組成物中における水の含有率は、20質量%以上73質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
≪水溶性樹脂≫
三次元造形用組成物は、上記成分とともに、水溶性樹脂を含むものであってもよい。水溶性樹脂を含むことにより、粒子同士を結合(仮固定)し、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物1000の寸法精度の向上を図ることができる。また、水溶性樹脂は、粒子表面との親和性が高いため、粒子表面を容易に被覆することができる。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水に可溶なものであるのが好ましく、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのがより好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがさらに好ましい。これにより、粒子表面との親和性をより高いものとすることができるとともに、未結合粒子除去工程において、未結合粒子をより容易に除去することができる。
三次元造形用組成物中において、水溶性樹脂は、少なくとも層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むものを用いるのが好ましい。これにより、水溶性樹脂と粒子との親和性(水溶性樹脂が有する水溶性の官能基と粒子表面の水酸基またはカルボキシル基またはアミノ基との間で水素結合)を特に高いものとすることができる。
また、水溶性樹脂は水酸基を有し、水系溶媒との親和性(溶解性)が高いため容易に均一に溶解させることができる。三次元造形用組成物中における水溶性樹脂の含有率は、粒子の嵩体積に対して、15体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような水溶性樹脂の機能を十分に発揮させつつ、結合液が侵入する空間をより広く確保することができ、三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪その他の成分≫
また、三次元造形用組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
3.結合液
次に、結合液について詳細に説明する。
結合液は、粒子同士を結合する結合剤と粒子の表面を改質する表面処理剤とを含んでいる。
≪結合剤≫
結合液は、結合剤を含んでいる。
結合剤は、硬化することによって、粒子を結合する機能を備えた成分である。
結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性等の観点から、結合剤は、硬化性樹脂が好ましい。また、各種硬化性樹脂の中でも、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性、結合液の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (1)
(ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業社製))、EHPE(ダイセル化学工業社製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成社製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
結合液中における結合剤の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪表面処理剤≫
結合液は、粒子表面を改質する表面処理剤を含んでいる。
表面処理剤は、結合剤との親和性を向上するように粒子表面を改質する機能を有している。
このような表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。これにより、粒子表面と結合剤との親和性をより高いものとすることができる。その結果、結合剤による粒子同士の結合力をより高いものとすることができ、得られる三次元造形物1000の機械的強度をより優れたものとすることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、アミノ系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、特に、シランカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤および/またはアクリル系シランカップリング剤を用いるのが好ましい。これにより、粒子表面と結合剤との親和性をさらに高いものとすることができる。
また、シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、アルキルホスファイト基を有するチタネート系カップリング剤、アルキルホスフェート基を有するチタネート系カップリング剤、アルキルパイロホスフェート基を有するチタネート系カップリング剤、テトラアルキルタイプ、モノアルコキシタイプ、配位タイプ、キレートタイプ、第4級塩タイプ、ネオアルコキシタイプ、シクロヘテロ原子タイプ等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤の具体例としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファィト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファィト)チタネート、テトラ(2,2ージアリルオキシメチルー1ーブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファィトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートーチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフエニールチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルーアミノエチル)チタネート、ジクミルフエニルオキシアセテートチタネートジイソステアロイルエチレンチタネート、ネオペンチル(ジアリール)オキシ−(トリ)ジオクチルホスファトチタネート、ジネオペンチル(ジアリール)オキシ−ジ(パラアミノ)ベンゾイルチタネート、ネオペンチル(ジアリール)オキシ−トリ(N−エチレンジアミノ)エチルチタネート、ジネオペンチル(ジアリール)オキシ−トリ(m−アミノ)フェニルチタネート等が挙げられる。これらの中でも、特に、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートを用いるのが好ましい。これにより、粒子表面と結合剤との親和性をさらに高いものとすることができる。
アルミネート系カップリング剤の具体例としては、例えば、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、ジイソプロピル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アミノジルコアルミネート、カルボキシルジルコアルミネート、メタクリルオキシジルコアルミネート、脂肪酸ジルコアルミネート、メルカプトジルコアルミネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、テトラ(2,2−ジアリロキシメチル)ブチル−ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリール)オキシ−(トリ)ジオクチルホスファトジルコネート、ジネオペンチル(ジアリール)オキシ−ジ(パラアミノ)ベンゾイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリール)オキシ−トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリール)オキシ−トリ(m−アミノ)フェニルジルコネート等が挙げられる。
結合液中における表面処理剤の含有率は、0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物1000の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、環境の影響を受けにくく、結合液の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
≪その他の成分≫
また、結合液は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、結合液が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物1000を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、結合液、三次元造形物1000の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結合液が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、結合液の吐出安定性や結合液中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結合液が着色剤を含むものである場合、当該結合液中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、結合液が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該結合液中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
結合液が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。その結果、顔料の偏りによる部分的な機械的強度の低下をより効果的に抑制することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
結合液が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物1000の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる。
また、結合液は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、結合液の粘度調整を好適に行うことでき、結合液が高粘度の成分を含むものであっても、結合液のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結合液の粘度は、7mPa・s以上25mPa・s以下であるのが好ましく、10mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法によるインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元造形物1000の製造には、複数種の結合液を用いてもよい。
例えば、着色剤を含む結合液(カラーインク)と、着色剤を含まない結合液(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物1000の外観上、色調に影響を与える領域に付与する結合液として着色剤を含む結合液を用い、三次元造形物1000の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する結合液として着色剤を含まない結合液を用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物1000において、着色剤を含む結合液を用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない結合液を用いた領域(コート層)を設けるように、複数種の結合液を併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の結合液を用いてもよい。これにより、これらの結合液の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の結合液を用いる場合、少なくとも、シアンの結合液、マゼンタの結合液およびイエローの結合液を用いるのが好ましい。これにより、これらの結合液の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の結合液を、他の有色の結合液と併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物1000を、白色(ホワイト)の結合液が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の結合液が付与された領域とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の結合液が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物1000の彩度をより高めることができる。
4.三次元造形物製造装置
次に、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態について説明する。
図3は、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を上から平面視した平面図、図4は、図3に示す三次元造形物製造装置の側面図である。
三次元造形物製造装置100は、粒子と、当該粒子の表面を改質する表面処理剤と、溶媒とを含む三次元造形用組成物を用いて形成した層1を積層することにより、三次元造形物を製造する装置である。
三次元造形物製造装置100は、図3、図4に示すように、三次元造形物が造形される造形部10と、三次元造形用組成物を供給する供給部11と、供給された三次元造形用組成物を用いて造形部10に三次元造形用組成物の層1を形成するスキージ(層形成手段)12と、層1を形成した際に余剰の三次元造形用組成物を回収する回収部13と、層1に対して結合剤を含む結合液を吐出する吐出部15と、層1に対して紫外線を照射する紫外線照射手段16と、結合液を吐出した層1を加熱する加熱手段14と、を有している。
造形部10は、図3、図4に示すように、枠体101と、枠体101内部に設けられた造形ステージ102とを有している。
枠体101は、枠状の部材で構成されている。
造形ステージ102は、XY平面において矩形型の形状を有している。
造形ステージ102は、図示せぬ駆動手段によってZ軸方向に可動(昇降)するよう構成されている。
枠体101の内壁面と造形ステージ102とで形成される領域に層1が形成される。
また、造形部10は、図示せぬ駆動手段によってX軸方向に駆動可能となっている。
そして、造形部10が、X軸方向、すなわち、後述する吐出部15の描画領域へ移動することで、吐出部15によって層1に結合液が吐出される。
供給部11は、三次元造形物製造装置100内に三次元造形用組成物を供給する機能を有している。
供給部11は、三次元造形用組成物が供給される供給領域111と、供給領域111に対して三次元造形用組成物を供給する供給手段112とを有している。
供給領域111は、X軸方向に長尺の長方形状をなしており、枠体101の一辺と接するように設けられている。また、供給領域111は、枠体101の上面と面一となるように設けられている。
供給領域111に供給された三次元造形用組成物は、後述するスキージ12により、造形ステージ102に搬送され、層1を形成する。
スキージ(層形成手段)12は、X軸方向に長尺の板状をなしている。また、スキージ12は、図示せぬ駆動手段によってY軸方向に駆動するよう構成されている。また、スキージ12は、その短軸方向の先端が、枠体101の上面および供給領域111と接するよう構成されている。
このスキージ12は、Y軸方向に移動しながら、供給領域111に供給された三次元造形用組成物を造形ステージ102に搬送し、造形ステージ102上に層1を形成する。
本実施形態では、スキージ12の移動方向と、造形部10の移動方向とが交差(直交)するよう構成されている。このような構成とすることにより、吐出部15による結合液の吐出が行われている際に、次の層1の形成の準備を行うことができ、三次元造形物の生産効率を向上させることができる。
回収部13は、上面が開口した箱状の部材であり、造形部10とは別体として設けられている。この回収部13は、層1の形成で余剰となった三次元造形用組成物を回収する機能を有している。
回収部13は、枠体101と接しており、枠体101を介して供給部11と対向するように設けられている。
スキージ12によって運ばれた余剰の三次元造形用組成物は、この回収部13で回収され、回収された三次元造形用組成物は、再利用に供される。
吐出部15は、形成した層1に対して結合液を吐出する機能を有している。
具体的には、造形ステージ102上に層1を形成した造形部10がX軸方向に移動し、吐出部15の下部の描画領域に差し掛かった際に、層1に対して吐出部15から結合液が吐出される。
吐出部15は、インクジェット方式で、結合液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが搭載されている。また、吐出部15は、図示せぬ結合液供給部を備えている。本実施形態では、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドが採用されている。
紫外線照射手段16は、吐出部15の移動方向(X軸方向)の両端に2つ設けられている。
紫外線照射手段16は、層1に対して紫外線を照射することにより、層1中の結合剤を硬化させ、層1中の粒子同士を結合させる機能を有している。
加熱手段14は、結合液を吐出した層1を加熱するよう構成されている。そして、加熱手段14によって加熱することにより、層1中に含まれる粒子表面が表面処理剤により改質される。
なお、上述した説明では、層形成手段として、スキージ12を用いた場合について説明したが、スキージに限定されず、例えば、ローラーであってもよい。
また、回収部13には、スキージ12に付着した三次元造形用組成物を除去する除去手段を設けてもよい。除去手段としては、超音波、ふき取り、静電気等を用いることができる。
また、三次元造形用組成物が溶媒を含んでいない場合には、加熱手段14は無くてもよい。
5.三次元造形物
本発明の三次元造形物は、前述したような三次元造形物の製造方法または三次元造形物製造装置を用いて製造されたものである。これにより、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、回収部と造形部とが別体となっている構成について説明したが、これに限定されず、回収部と造形部とは一体的に構成されていてもよい。この場合、スキージは移動せずに、造形部および回収部の移動によって層1を形成するものであってもよい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、造形ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の紫外線硬化性樹脂を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う紫外線硬化性樹脂硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、結合液を付与するものとして説明したが、結合液が付与されない層を有していてもよい。例えば、造形ステージの直上に形成された層に対して、結合液を付与しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、吐出工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、吐出工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(25℃)において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(25℃)における数値である。
[1]三次元造形物の製造
(実施例1)
1.三次元造形用組成物の調製
まず、表面に水酸基を多数有するシリカ粒子(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil E−75」:平均粒径2.4μm)で構成された粉末を用意した。
次に、粉末:30.00質量%と、水:60.00質量%と、水溶性樹脂としてのポリアクリル酸アンモニウム:10.00質量%と、を混合し、三次元造形用組成物を得た。
2.三次元造形物の製造
得られた三次元造形用組成物を用いて、図5に示すような形状、すなわち、厚さ:4mm×長さ:150mmであり、斜線部で示された両端(図中の上側および下側)に設けられた領域の幅が20mm、長さが35mmであり、これらの領域に挟まれた領域の幅が10mmであり、長さが80mmである三次元造形物A、および、図6に示すような形状、すなわち、厚さ:4mm×幅:10mm×長さ:80mmの立方体形状である三次元造形物Bを、以下のようにして製造した。
まず、三次元造形装置を用意し、支持体(ステージ)の表面に、三次元造形用組成物を用いて、スキージー法により、厚さ:50μmの層を形成した(層形成工程)。
次に、層形成後に層を150℃に加熱し2分間放置することにより三次元造形用組成物中に含まれる水の除去およびシリカ粒子表面の表面改質を行った。
次に、三次元造形用組成物で構成された層に、インクジェット法により、所定のパターンでインクを付与した(インク吐出工程)。インクとしては、以下の組成で25℃における粘度が22mPa・sのものを用いた。
<紫外線硬化性樹脂>
・フェノキシエチルアクリレート:20.00質量%
・イソボルニルアクリレート:16.50質量%
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル:50.00質量%
<重合開始剤>
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:5.00質量%
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:4.50質量%
<重合禁止剤>
・p−メトキシフェノール:0.10質量%
<界面活性剤>
・BYK3500(BYK社製商品名):0.40質量%
<表面処理剤>
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン:3.50質量%
次に、前記層に紫外線を照射し、三次元造形用組成物中に含まれる紫外線硬化性樹脂を硬化させた(硬化工程)。
その後、製造すべき三次元造形物の形状に応じて、インクの付与パターンを変更しつつ、複数の層が積層するように、前記層形成工程ないし硬化工程の一連の工程を繰り返し行った。
その後、前記のようにして得られた積層体を水中に浸漬し、超音波振動を付与することにより、各層を構成する粒子のうち、紫外線硬化性樹脂により結合していないもの(未結合粒子)を除去し、三次元造形物Aおよび三次元造形物Bをそれぞれ2個ずつ得た。
その後、100℃×1時間という条件で、加熱処理を施した(加熱工程)。
(実施例2〜7)
三次元造形用組成物の調製に用いる原料の種類、各成分の配合比を変更することにより、三次元造形用組成物の構成を表1に示すように変更し、加熱工程における条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
(実施例8)
三次元造形用組成物の調製に用いる原料の種類、各成分の配合比を変更することにより、三次元造形用組成物の構成を表1に示すように変更し、硬化工程において、紫外線照射の代わりに表1の加熱工程の欄に示した条件の加熱処理を施した以外は、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
(比較例1〜3)
三次元造形用組成物の調製に用いる原料の種類、各成分の配合比を変更することにより、三次元造形用組成物の構成を表1に示すように変更し、加熱工程における条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
前記各実施例および各比較例の三次元造形用組成物の構成を表1に示す。なお、表中、表面処理済シリカは、3−アミノプロピルトリエトキシシランで湿式処理をしたNipsil E−75を示し、アルミナは、日本アエロジル社製、商品名「AEROXIDE Alu 65」を示し、酸化チタンは、日本アエロジル社製、商品名「AEROXIDE TIO P25」を示す。
Figure 2016112866
[2]評価
[2.1]引張強度および引張弾性率
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Aについて、JIS K 7161:1994(ISO 527:1993)に準拠し、引張降伏応力:50mm/分、引張弾性率:1mm/分という条件で測定を行い、引張強度および引張弾性率について、以下の基準に従い評価した。
(引張強度)
A:引張強度が30MPa以上。
B:引張強度が20MPa以上30MPa未満。
C:引張強度が10MPa以上20MPa未満。
D:引張強度が10MPa未満。
(引張弾性率)
A:引張弾性率が1.5GPa以上。
B:引張弾性率が1.0GPa以上1.5GPa未満。
C:引張弾性率が0.5GPa以上1.0GPa未満。
D:引張弾性率が0.5GPa未満。
[2.2]曲げ強度および曲げ弾性率
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Bについて、JIS K 7171:1994(ISO 178:1993)に準拠し、支点間距離64mm、試験速度:2mm/分という条件で測定を行い、曲げ強度および曲げ弾性率について、以下の基準に従い評価した。
(曲げ強度)
A:曲げ強度が60MPa以上。
B:曲げ強度が45MPa以上60MPa未満。
C:曲げ強度が30MPa以上45MPa未満。
D:曲げ強度が30MPa未満。
(曲げ弾性率)
A:曲げ弾性率が2.4GPa以上。
B:曲げ弾性率が2.2GPa以上2.4GPa未満。
C:曲げ弾性率が2.0GPa以上2.2GPa未満。
D:曲げ弾性率が2.0GPa未満。
これらの結果を表1にまとめて示した。
表1から明らかなように、本発明では、機械的強度に優れた三次元造形物が得られた。これに対し、比較例では、十分な結果が得られなかった。
1…層
2…結合液
3…硬化部
10…造形部
11…供給部
12…スキージ(層形成手段)
13…回収部
14…加熱手段
15…吐出部
16…紫外線照射手段
100…三次元造形物製造装置
101…枠体
102…造形ステージ
111…供給領域
112…供給手段
1000…三次元造形物

Claims (10)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子を含む三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    前記層に、複数の前記粒子同士を結合する結合剤と前記粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液を吐出する吐出工程と、
    前記結合液を吐出した前記層を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 前記表面処理剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤および/またはアクリル系シランカップリング剤である請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記チタネート系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートを含む請求項2または3に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記粒子は、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記加熱工程では、前記層を40℃以上180℃以下の温度に加熱する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
    粒子を含む三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成手段と、
    前記層に、複数の前記粒子同士を結合する結合剤と前記粒子の表面を改質する表面処理剤とを含む結合液を吐出する吐出手段と、
    前記結合液を吐出した前記層を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする三次元造形物製造装置。
  8. 粒子を含む三次元造形用組成物を用いて形成した層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法に用いられる結合液であって、
    複数の前記粒子同士を結合する結合剤と、
    前記粒子の表面を改質する表面処理剤と、を含むことを特徴とする結合液。
  9. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする三次元造形物。
  10. 請求項7に記載の三次元造形物製造装置により製造されたことを特徴とする三次元造形物。
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