JP2016112231A - クッション体 - Google Patents
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Abstract
【課題】人の着座時や仰臥時にクッション性に富み、軽量化を実現でき、リサイクル性に優れるクッション体を提供することである。【解決手段】JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる、着座者又は仰臥者の荷重を受けて曲げ変形する板状や棒状の支持体と、前記支持体が曲げ変形可能となるように形成された変形許容領域と、前記支持体の曲げ変形をする際に伸延する側に、前記支持体の少なくとも両端に固着されて前記支持体を覆うように配設されるシート状物と、を備えることにより解決できた。【選択図】図1
Description
本発明は、人の着座時や仰臥時に利用される、車両、船舶及び飛行機等の乗物用シート、ソファ、椅子、座布団、ベッド、寝台車、マットレス、敷布団、枕、マット等に構成要素として使用されるクッション体であって、軽量化を促進させ、リサイクル性に富み、座り心地や寝心地に富むクッション体に関する。
一般にクッション体は、枠体に張架されたワイヤーや平板状の支持体等の押圧を最終的に支える構造体上に、ウレタンフォーム等の軟質なクッション材を載せ全体を表皮で被覆した構成を有する。そして、座布団やベッドのマットレス等もそれ自体は構造体を内在させていないが、床やベッドの枠体等、人体の押圧を支えうる構造体の上に載せて使用することが一般的である。
一般的なクッション体においては、クッション材に加えられる振動や衝撃は、主に構造体と表皮との間に介在されるウレタンフォーム等の軟質なクッション材が圧縮方向に撓んだ際の反力、復元力及び撓みによって軽減されていた。
また、車両用シートクッションの軽量化に関する技術として、特許文献1にシートフレームが枠状を呈し、シートフレームの断面が山形を呈すると共に、シートフレームの枠状の内周側に前記山形の一側を形成して着座者に対向する傾斜面を有し、シートフレームに弾性を有するネットを被せ、その周縁部をシートフレームの山形上から引き回して該山形の他側に固定することで凹曲面状の着座面を形成するように張設し、ネットとシートフレームの傾斜面との間に角度を設けた技術が開示されている。
他の軽量化に関する技術としては、特許文献2に、シートフレームに着脱可能に取り付けられたベースプレートと、該ベースプレート上に配置されたブロックと、該ブロック上に配置されたスプリングプレートと、該スプリングプレートを被覆する表皮とを備える着座部を有し、前記ブロックは、前記ベースプレートと前記スプリングプレート間に所定の空間を形成するように配置され、前記スプリングプレートは、弾性を有する発泡体であるPP(ポリプロピレン)ビーズ発泡体、PE(ポリエチレン)ビーズ発泡体、PP発泡体、PE発泡体、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン樹脂)発泡体、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)及びウレタンフォーム材のいずれかで形成されている発泡体で成形され、前記スプリングシートは、前記ベースプレート方向への力が加えられたときに前記空間内へ撓む車両用シートに関する技術が開示されている。
次に、ベッドマットレス用としてクッション体を組み込んだ場合は、ベッドマットレスは一般にウレタンフォームをクッション材として用いており、該ベッドマットレスの軽量化技術に関する技術としては、特許文献3に、支持体が矩形のウレタンフォームからなり、短辺方向の両端部まで達する複数の凹溝を表面に備えており、該凹溝は深さ30〜70mm、幅15〜80mmであり、芯材が厚さ10〜40mm、硬さ100〜300Nである矩形のウレタンフォームからなり、短辺を長辺方向に二つ折りされ、長辺の両端部が支持体の一つの凹溝に嵌合支持されており、枠体が支持体の周囲を囲むように設けられた技術が開示されている。
従来の一般的な車両用シートクッションではクッション材としてウレタンフォームが使用されており、クッション性が極めて高く快適性に優れているため今もなお、多用されている。しかし、該ウレタンフォームはリサイクル性能に劣るという問題があった。さらに、車両用シートクッションは乗員の体重の軽重にかかわらず最適なクッション性を求められることの他に、自動車の運動に伴い乗員に加えられる上下の加速度に対し、乗員の身体に不快感を与えないクッション性が求められる。反面、長時間の乗車時の疲労を軽減するためには乗員の身体を正しい位置や姿勢で支える必要がある。このため非常に軟質なウレタンフォームのみでは機能を満足することができず、ある程度の剛性を確保するためウレタンフォームの密度を一定以上とする必要があり、大幅な軽量化が進まないという問題があった。
特許文献1に記載の技術は、乗員による押圧を支えるネット素材がシートクッション周囲に設置されたシートフレームに引き込まれ強固に固定されており、乗員の着座により加えられた押圧はネット素材を通じ最終的にシートフレームの剛性により支えられていた。従ってシートフレームの構造は一定以上の強度を保たねばならず、このため従来のクッション材に相当するネット素材自体の重量は軽量であるものの、シートフレームの重量は増加傾向にあり全体としての重量軽減効果が十分ではないという問題があった。
さらに、ネット素材のクッション性は主に素材の伸びによって得られるため限定されており、長期間の使用によりたるみが発生し商品性に劣る傾向にもあった。またシートフレームに平面的なネット素材を張架する構造であるため、基本的なシートクッションの形状は平面的であり、乗員の身体を最適な位置で支えるために必要な三次元形状を得ることが困難であり、その結果、乗員に不快感を与えるという問題があった。これは自動車の運動によって乗員へ横Gが加えられる際等、不安定なハンモック状のネット素材では乗員の身体を安定して支えることができないからである。
次に、特許文献2の技術については、スプリングプレートは外形略矩形の板状発泡体であり該スプリングプレートの乗員が着座する側には横方向に複数の溝が形成されている。しかし、溝部が浅いと柔軟性を与えることができず、溝部が深ければクッション材が撓む際、わずかに残った溝部底部の連結部分へ過大な引っ張り力が集中し大きな伸び変形が発生するため復元不能な永久変形を生じる、あるいは破断する恐れが高かった。溝底部にある連結部分が一部でも破壊されれば支えを一気に失いクッション材全体の見かけ硬さが急激に低下し、クッション材としての機能が大きく損なわれる。従って破壊を回避するためクッション材の撓みを一定以上に設計することが事実上困難であり、十分な着座時のフィット感及び快適性を付与することが困難であった。
また、特許文献2の技術は、乗員の体格に応じて、高さの異なるブロックを適宜選択することにより個人的に良好な着座感を得ることができるとの記載があるが、乗員は体重の軽重によって着座する前に自分に適する高さのブロックに変えなければならないという、現実的には実施困難な対応をしなければならないという問題があった。
次に、特許文献3の技術は、従来の金属製スプリングを用いたマットレスに比べれば軽量であるものの、支持体及び芯体にウレタンフォームを使用しているので、リサイクル性能に劣り軽量化にも限界があるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、人の着座時や仰臥時にクッション性、フィット性に富み、軽量化かつリサイクル性に優れたクッション体を提供することである。
本発明において、合成樹脂発泡体とは、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm
、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓みが最大90mmとなるまで押圧を加え、押圧撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。前記合成樹脂発泡体には、ビーズ発泡成形体が含まれ、ビーズ発泡成形体としては、ポリプロピレン系ビーズ発泡成形体、ポリエチレン系ビーズ発泡体などがあげられる。
、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓みが最大90mmとなるまで押圧を加え、押圧撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。前記合成樹脂発泡体には、ビーズ発泡成形体が含まれ、ビーズ発泡成形体としては、ポリプロピレン系ビーズ発泡成形体、ポリエチレン系ビーズ発泡体などがあげられる。
材料の具体的選定にあたっては、更に長さ400mm程度の棒状又は平板状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後押圧を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上あることが望ましい。あるいは従来のウレタンフォーム製のクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪み(残留変位量ともいう。)が所定量以下であることが望ましい。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm3〜0.015g/cm3、より好ましくは密度0.035g/cm3〜0.015g/cm3、または発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm3〜0.03g/cm3などが好ましい。一方、柔軟性に乏しく曲げ変形により容易に破断の恐れがある硬質発泡ウレタンや発泡ポリスチレンなどは好ましくない。
発明者らは軽量化を図るために材料の検討を進めた。連続気泡構造であるウレタンフォームに変わりうる素材の例として、一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、従来からクッション材として一般に用いられてきたウレタンフォームに比し、軽量で剛性に富みリサイクルも容易である等の利点を持っていたが、圧縮方向での撓み、復元力をクッションとして使用する場合、内包する空気の反発力により発泡体の変形に伴い反力が急激に高まる傾向にあるため、クッション性に欠け硬く感じられ快適性に劣っていた。
また一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、ウレタンフォームと同様、圧縮方向に撓ませクッション材として使用する場合、長期間の使用に従い徐々に回復力を失いクリープが発生する。これは気泡を構成する樹脂皮膜の繰り返し変形による疲労と内包する空気の圧力低下によるところが大きい。従って長期間使用されるクッションの素材としては好ましいものではなかった。
そこで、発明者らは合成樹脂発泡体の物性を様々な角度から分析することにより、従来の一般的なクッション材として使用されてきた圧縮方向に撓ませる構造ではなく、曲げ変形が可能で復元性に優れた合成樹脂発泡体からなる支持体の曲げ変形とその回復性をクッション材として利用する方法が最適であることを見出し本発明に至った。
「発明が解決しようとする課題」に記載した課題を解決するために、請求項1に記載のクッション体1は、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる、着座者又は仰臥者の荷重を受けて曲げ変形する板状や棒状の支持体2と、前記支持体2が曲げ変形可能となるように形成された変形許容領域5と、前記支持体2の曲げ変形により突出する側に、前記支持体2の少なくとも両端に固着されて前記支持体2を覆うように配設されるシート状物4a、4bと、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載のクッション体1は、請求項1において、前記支持体2を覆うように配設されるシート状物4a、4bの無負荷時の形態は、前記支持体2が曲げ変形で破壊に至る前にシート状物4bが密着するようにたるみを持たせてシート状物4bの両端を固着させた形態、前記支持体2の曲げ変形により突出する側の両端に、たるみなくシート状物4aを固着させた形態、又は、支持体2の曲げ変形により突出する側の全面にシート状物4aを固着させた形態であって、支持体2の破壊を抑制することを特徴とする請求項1に記載のクッション体。
請求項3に記載のクッション体1は、請求項1又は2において、前記変形許容領域5が、空間領域からなる形態、前記空間領域に弾性体15を充填するように配設した形態、又は、前記空間領域の一部に弾性体15を配設した形態からなることを特徴とする。
請求項1に記載のクッション体1の発明は、いずれも従来一般的に使用されていたウレタンフォームを合成樹脂発泡体に置換することが可能なものであり、そのため軽量化、リサイクル性の向上が可能となるものである。また、比較的硬質でありクッション性、フィット性、耐クリープ性に劣っていた合成樹脂発泡体を使用するにもかかわらず、高いクッション性、フィット性を付与させることが可能であり、設計の自由度が高く着座者や仰臥者の身体を適切に支持し高い快適性を得ることができ、長期間の使用によっても従来のウレタンフォームと同等の良好な耐クリープ性を発揮するため高い商品性を有するという効果を奏する。
また、合成樹脂発泡体は圧縮方向の外力には破損しにくく、引張方向の外力には破損しやすい性質を有することから、曲げ変形過程の支持体2の曲げ変形をする際に伸延する側の面にシート状物4a、4bを被覆して固着したため、支持体2が強い荷重を受けて、支持体2へ強い衝撃等の大荷重が加えられても、支持体2の裏側のシート状物4a、4bが引張方向の力に対し抗い、支持体2の破壊に至るような変形を抑制するため、支持体2が破損しにくいという効果を奏する。
請求項2に記載のクッション体1の発明は、請求項1に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、シート状物4a、4bの材質の伸縮の度合いにより、シート状物4a、4bの支持体への固着形態を変えることによって、種々の材質のものをシート状物として使用できるという効果を奏する。
請求項3に記載にクッション体1の発明は、請求項1又は2に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、さらに、支持体2の曲げ変形する領域に、着座者又は仰臥者の荷重による支持体2の曲げ変形時の衝撃に対して減衰性を発揮する弾性体15を配設することによって、支持体2に生ずる曲げ変形を減衰させることができ、クッション性を高めることができる。また、支持体2に対する、例えば子供の飛び跳ねや重量物の衝突により生ずる衝撃に対する耐久性を向上させることができる。
以下、本発明に係るクッション体1の実施形態について説明する。
本発明に係るクッション体1は、人の着座時や仰臥時に利用される、自動車等の車両、船舶及び飛行機等の乗物用シート、ソファ、椅子、座布団、ベッド、寝台車、マットレス、敷布団、枕、マット等に、クッションとしての構成要素とすることができる。
クッション体1は、図1乃至図3に示すように、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる、着座者又は仰臥者の荷重を受けて曲げ変形する板状や複数の棒状の支持体2と、前記支持体2が曲げ変形可能となるように形成された変形許容領域5と、前記支持体2の曲げ変形により突出する側に、前記支持体2の少なくとも両端に固着されて支持体2を覆うように配設され、着座者又は仰臥者により所定の荷重が負荷され、又は強い衝撃等の大荷重が加えられた際、支持体2の曲げ変形により突出する側の面に、すなわち支持体2の引張方向の変形が生じる側の面に、固着して支持体2の曲げ変形を抑制するシート状物4a、4bと、を備える。
そして、前記支持体2を覆うように配設されるシート状物4a、4bの無負荷時の形態は、前記支持体2が曲げ変形で破壊に至る前にシート状物4bが密着するようにたるみを持たせてシート状物4bの両端を固着させた形態、前記支持体2の曲げ変形により突出する側の両端に、たるみなくシート状物4aを固着させた形態、又は、支持体2の曲げ変形により突出する側の全面にシート状物4aを固着させた形態である。そして、いずれの形態であっても支持体2の破壊を抑制することができる。
本発明のクッション体1は、本発明の支持体2の材料である合成樹脂発泡体を使用するために支持体2と脚部3との構成が図1又は図2に示すように略門型から形成されることを基本型としており、人の着座時や仰臥時の荷重によって、合成樹脂発泡体からなる支持体2が変形許容領域5側に曲げ変形して撓むことによって、本発明に係るクッション体1が着座者や仰臥者に高い座り心地や高い寝心地を感じさせることができる。脚部3については、支持体2の端部の底面にフレームなどの支持する要素が構成される場合は、そのフレームなどの支持する要素が脚部3と同じ機能を有するので、脚部3を有さなくてもよい。
次に、前記変形許容領域5は、図1に示すように空間領域であっても、前記空間領域の少なくとも一部に弾性体15が配設された形態であっても、又は図6に示すように前記変形許容領域5に弾性体15をすべて充填するように配設する形態であってもよい。
次に、支持体2について説明する。支持体2は、図3に示すように、材料が合成樹脂発泡体からなり、人の着座又は仰臥による荷重9で変形許容領域5側に曲げ変形し撓みを生ずる。そして、支持体2の形態としては、図1に示すように、支持体2が複数の棒状からなる形態、図2(a)に示すように支持体2が複数の板状からなる形態、図2(b)に示すように支持体2が単数の板状の場合で曲げ変形部位がクッション体1の端部近傍で分離された形態、図2(c)に示すように支持体2が単数の板状の場合で曲げ変形部位がクッション体1の端部近傍で連結された形態などがある。棒状の形態の場合には、支持体2間に間隔12が設けられる。
図1又は図2に示すクッション体1の構成要素からシート状物4a、4bなる構成要素を備えなかった形態の場合には、合成樹脂発泡体は着座者や仰臥者による通常使用時の荷重、衝撃には曲げ変形しクッション性を満足できるレベルまでに発揮するが、不特定位置に局部的で高速かつ大荷重の衝撃が加えられた場合、主に合成樹脂発泡体の背面に生じる引っ張り変形に追従できず破断する懸念がある。
また、図1又は図2に示すようなクッション体1において、例えば、シート状物の幅が狭く支持体2の部分的な範囲のみを被覆する形態(以下、補助支持体という。図なし。)の場合には、曲げ変形する合成樹脂発泡体の支持体2に点あるいは線状の限られた部分に補助支持体が設けられることにより、補助支持体は、着座者や仰臥者による通常使用時の荷重に対しては支持体による荷重の支持、復元を補助的に補う働きをする。しかし、支持体上の不特定位置に加えられる局部的で高速、かつ大荷重の衝撃に対しては補助支持体の設置位置が限定されているため、必ずしも効果的ではないという懸念がある。
加えられる衝撃の位置が補助支持体の直上ではない場合、補助支持体による支持が十分に行えず、衝撃により急激に支持体が変形され、主に合成樹脂発泡体の背面に生じる引っ張り変形に追従できず破断する懸念があった。
そこで、本発明のクッション体1では、支持体2の曲げ変形により突出する側に前記支持体2を覆うようにシート状物4a、4bを配設した。シート状物4a、4bの無負荷時における前記支持体2に対する形態は、図1(a)に示すように前記支持体2の両端に固着されて前記両端間も支持体2と全面を固着させた形態、前記支持体2の両端に固着されて前記両端間にたるみのない形態、又は、図1(b)に示すように前記支持体2の両端に固着され前記両端間の支持体2との間にたるみを有する形態がある。そして、図3(c)に示すように着座者又は仰臥者、あるいはその他荷物の衝撃等により一定以上の荷重9がかかったとき、シート状物4a、4bは支持体2と一体化し、その全体にわたって支持する。また、図4(c)に示すように間隔12には設けずに支持体2の裏面のみにシート状物4aを固着する形態もある。
シート状物4a、4bとしては、例えば図1(a)に示すように支持体2の両端に固着されて前記両端間も支持体2と全面を固着させた形態には、不織布、繊維状物、樹脂シート、布地等の引っ張り強度に優れ弾力性を有する材質からなる紐状、網状又は板状のシート状物が適しており、例えば図1(b)に示すように支持体2の両端に固着され前記両端間の支持体2との間にたるみを有する形態には、樹脂板、パラ系アラミド繊維、炭素繊維、金属箔、金属薄板などの引っ張り強度に優れ伸縮の少ない、紐状、網状又は板状のシート状物、又は、前記不織布等の引っ張り強度に優れ弾力性を有する材質からなる紐状、網状又は板状のシート状物が適している。
そして、支持体2へのシート状物4a、4bの固着方法は、接着剤、粘着剤、粘着テープ、ホットメルト、融着、超音波溶着、振動溶着、縫製等の固着可能な手段であればよい。
シート状物4a、4bを支持体2に対して固着させるときには、所定のたるみ量を確保する必要がある場合がある。たるみは支持体2が高速、かつ大荷重の衝撃により破壊されると予想される最大曲げ変形時の支持体2下部の構成面の伸び量以下であり、かつシート状物に可撓性がある場合には予めシート状物の伸びを差し引いたものとする。
具体的にシート状物4a、4bを支持体2へ固着する際には、例えば支持体2の中央にシート状物4bへ所定のたるみをもたせる高さを有するスペーサを乗せ、その状態でシート状物4bを被せ、スペーサにシート状物4bを沿わせた状態でシート状物4bの両端を支持体2へ固着する方法、あるいは支持体2の長さに予め所定のたるみを加えた長さを持つシート状物4bの両端を支持体2上にマーキングした所定位置に合わせて固着する等の方法が考えられる。また、たるみを有さないで固着する場合には、予め支持体2と同じ所定の長さを持つシート状物4aの両端を支持体2上にマーキングした所定位置に合わせて固着する等の方法がある。
着座者や仰臥者等による最大荷重が予想を上回り、あるいは高速かつ大荷重の衝撃が支持体2に加えられ支持体2が破壊される恐れがあるような曲げ変形が生じた際、支持体2背面にあらかじめたるみを持たせて固着されたシート状物4bは、支持体2後方に曲げ変形により生じる伸びとシート状物4bのたるみとが等しくなり、以降はシート状物4bがさらに支持体2を曲げ変形させようとする外力に対し抗うため、支持体2の変形と破壊を回避することができる。
また、着座者や仰臥者等による通常の使用下で支持体2へ加えられる荷重範囲では、シート状物4bにたるみが設けてあるため、シート状物4bの支持体2の変形に対する抵抗は生じず、このため良好な支持体2のクッション性を確保することができる。
次に、図6に示すように、支持体2の曲げ変形側の変形許容領域5に弾性体15が充填するように配設されていて、支持体2が荷重を受けて曲げ変形すると、シート状物4a、4bも曲げ変形し、これによって弾性体15は押圧され縮小する。
弾性体15が押圧され縮小することによって、支持体2に生ずる曲げ変形を減衰させることができ、クッション性を高めることができる。また、支持体2に対する、例えば子供の飛び跳ねや重量物の衝突により生ずる衝撃に対する耐久性を向上させることができる。
弾性体15としては、ウレタンフォーム、発泡樹脂成形体、発泡樹脂の粒子、発泡ゴム、エストラマー、繊維状物、立体編物、ウール、絹、綿、三次元スプリング構造体等の繊維の接合物、気体を密封した伸縮可能な袋状体又は球状体等の、繰り返し荷重に対して復元性を有し、減衰性を有する材料、例えば繊維やゴムを使った構成物からなり、軟質発泡材料の硬さの求め方に関するJIS K6400−2:2012に規定された、直径200mmの平らな円盤の加圧板で25%圧縮時(D法)の硬さが20〜600Nであるものをいう。20N未満であれば柔らか過ぎて圧縮された後に元の形態に復帰しようとする反力が弱すぎて減衰性を有さない、600N超であれば荷重が負荷されたときに硬すぎて圧縮変形をせず減衰性を有さない。
また、弾性体15は、支持体2の曲げ変形側に配設され、支持体2に生ずる曲げ変形を減衰させクッション性を高めるものであるから、この弾性体15に入れ替えて又は追加して、支持体2の曲げ変形側に接して又は離隔して、金属板ばね、金属線状ばね、Sばね、コイルばね、ゴム、弾性を有する樹脂体、ポリエステル等の合成繊維を高密度に紡織したもの等の弾性を有する物を配設してもよい。また、支持体2の撓み時に伸縮する側の面に、両端又は全面に不織布などを貼り付けてもよい。
次に、合成樹脂発泡体について説明する。本発明における合成樹脂発泡体は、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。曲げ撓みが20mm未満で破壊を生じるような合成樹脂発泡成形体は、耐久性面から不適である。身体による押圧を支えるため必要となる支持体2の断面が非常に大きくなり、20mm撓み時の荷重が、2N未満又は100N超の場合、乗員によって加えられる荷重によって好ましい撓み量を発生させることが困難となり、ともに好ましい設計が困難となる。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。なお、上記発泡体の中でも樹脂発泡粒子の型内成形体が、フィット感を考慮した形状自由度(設計容易性)の観点から好ましい。
本発明で用いられる発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的にはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50重量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3重量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7161:1994(試験片:JIS K 7162(1994)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形)、試験速度:1mm/min)に規定する引張弾性率(E)の値で600MPa以上の基材樹脂を発泡してなる樹脂発泡体であることがのぞましい。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
そして、前記合成樹脂発泡体の具体的選定にあたっては、長さ400mm程度の棒状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後押圧を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上ある材料、又は、従来のウレタンフォーム製のシートクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪みが所定量以下である材料が望ましい。該所定回数又は該所定量は各メーカーが従来材料を選定するときに任意に定めていた仕様に従う。
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm3〜0.015g/cm3、より好ましくは密度0.035g/cm3〜0.015g/cm3、又は発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm3〜0.03g/cm3などが好ましい。このような材料はJIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて行う試験において、曲げ撓み20mm時の荷重が2〜100Nであり曲げに対する柔軟性と共に曲げ剛性にも優れているが、一方従来から一般に用いられていた軟質ウレタンフォームは、曲げ撓みが20mm時の荷重が0.46Nで、曲げ剛性が大きく劣るため、本発明のクッション体1を構成する材料としては適切でない。
以下に、合成樹脂発泡体を使用した場合のクリープ性や曲げ剛性について説明する。まず、クリープ性を評価するために、JIS K 6767:1999による圧縮永久歪を測定した。縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片を25%歪んだ状態に圧縮し、温度23℃±2℃において22時間放置する。圧縮終了24時間後の厚さを測定する。なお、圧縮永久歪は、圧縮永久歪(%)=(試験片元厚み(mm)−圧縮終了24時間後の厚さ(mm))÷試験片元厚み(mm)×100で求めた。
試験の結果、45倍ポリプロピレン発泡粒子成形体の圧縮永久歪は11%であった。一方、同測定方法による発泡ポリウレタンの圧縮永久歪は2%以下である。このことは、従来、シートクッションのクッション材として一般に用いられて圧縮変形によりクッション性を発揮するウレタンフォームに対し、単純に合成樹脂発泡体に置き換えたのみでは圧縮永久歪が発生し、当初のクッション性の維持が困難であり商品性が低下することが示されている。
1 クッション体
2 支持体
3 脚部
4a シート状物
4b シート状物
5 変形許容領域
9 荷重
12 間隔
15 弾性体
2 支持体
3 脚部
4a シート状物
4b シート状物
5 変形許容領域
9 荷重
12 間隔
15 弾性体
Claims (3)
- JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる、着座者又は仰臥者の荷重を受けて曲げ変形する板状や棒状の支持体と、
前記支持体が曲げ変形可能となるように形成された変形許容領域と、
前記支持体の曲げ変形により突出する側に、前記支持体の少なくとも両端に固着されて前記支持体を覆うように配設されるシート状物と、を備えることを特徴とするクッション体。 - 前記支持体を覆うように配設されるシート状物の無負荷時の形態は、前記支持体が曲げ変形で破壊に至る前にシート状物が密着するようにたるみを持たせてシート状物の両端を固着させた形態、前記支持体の曲げ変形により突出する側の両端に、たるみなくシート状物を固着させた形態、又は、支持体の曲げ変形により突出する側の全面にシート状物を固着させた形態であって、支持体の破壊を抑制することを特徴とする請求項1に記載のクッション体。
- 前記変形許容領域が、空間領域からなる形態、前記空間領域に弾性体を充填するように配設した形態、又は、前記空間領域の一部に弾性体を配設した形態からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014253715A JP2016112231A (ja) | 2014-12-16 | 2014-12-16 | クッション体 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=56140255
Family Applications (1)
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JP2014253715A Pending JP2016112231A (ja) | 2014-12-16 | 2014-12-16 | クッション体 |
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JP (1) | JP2016112231A (ja) |
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2014
- 2014-12-16 JP JP2014253715A patent/JP2016112231A/ja active Pending
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