JP2016111052A - 磁性半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな保磁力を有する磁性半導体素子を提供できる。【解決手段】磁性半導体素子11は、六方晶系III族窒化物半導体からなる半導体領域13と、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19を含み、半導体領域13の主面13a上に設けられた第1積層構造体15とを備える。主面13aは半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して5度以上の角度で傾斜し、第1III族窒化物半導体層17は、遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかである第1金属磁性元素を含有する。第1積層構造体15において、第1III族窒化物半導体層17の数は2以上であり、第2III族窒化物半導体層19の数は1以上であり、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19が交互に積層される。【選択図】図1
Description
本発明は、磁性半導体素子に関する。
非特許文献1は、ガドリニウムを含有するGaN層を(0001)面Al2O3基板上に成長することを開示する。非特許文献2は、ガドリニウムを含有するAlGaN層を(1000)面サファイア基板上に成長することを開示する。
Ishimaru et al., APL 101 (2012) 101912
第74回応用物理学会秋季学術講演会 16p−B5−14
Jpn. J. Appl. Phys. 39 (2000) 413.
非特許文献1の構造では、磁化強度は0.1emu/cm3以下である。この構造においては、GaN/GaGdN及びGaGdN/GaGdNの自然超格子が形成されて、外部磁場の印加に対して磁化状態の変化を示さない。非特許文献2の構造の磁気ヒステリシス、残留磁化、及び保磁力が小さい。
非特許文献3は、窒化ガリウムのc軸の傾斜とピエゾ分極との関係を開示する。
本発明の一側面は、このような事情を鑑みて為されたものであり、大きな保磁力を有する磁性半導体素子を提供することを目的とする。
一側面に係る磁性半導体素子は、六方晶系のIII族窒化物半導体からなる主面を有する半導体領域と、第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層を含み、前記半導体領域の前記主面上に設けられた第1積層構造体とを備え、前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して5度以上175度以下の角度で傾斜し、前記第1III族窒化物半導体層は第1金属磁性元素を含有し、前記第1金属磁性元素は遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであり、前記第1積層構造体において、前記第1III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第2III族窒化物半導体層の数は1以上であり、前記第1III族窒化物半導体層及び前記第2III族窒化物半導体層が交互に積層されている。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、大きな保磁力を有する磁性半導体素子が提供される。
いくつかの具体例を説明する。
一形態に係る磁性半導体素子は、(a)六方晶系のIII族窒化物半導体からなる主面を有する半導体領域と、(b)第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層を含み、前記半導体領域の前記主面上に設けられた第1積層構造体とを備え、前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して5度以上175度以下の角度で傾斜し、前記第1III族窒化物半導体層は第1金属磁性元素を含有し、前記第1金属磁性元素は遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであり、前記第1積層構造体において、前記第1III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第2III族窒化物半導体層の数は1以上であり、前記第1III族窒化物半導体層及び前記第2III族窒化物半導体層が交互に積層されている。
この磁性半導体素子によれば、半導体領域の主面が該半導体領域のIII族窒化物半導体のc面に対して5度以上175度以下の角度で傾斜するとき、この主面上への成長において自然超格子が形成されることがなく、第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層を備える第1積層構造体が、半導体領域の主面上に設けられる。第1積層構造体において、第1III族窒化物半導体層は、遷移金属の磁気及び希土類金属の少なくともいずれかである第1金属磁性元素を備えると共に、第1III族窒化物半導体層は、第2III族窒化物半導体層によって磁気的に隔てられる。この第1積層構造体において、第1金属磁性元素の磁性金属及び第1積層構造体の構造に応じて、磁気秩序が形成される。また、第1積層構造体が、半導体領域のIII族窒化物半導体のc面に対して傾斜する主面上に設けられる。この主面の法線がc軸に対して傾斜することにより、第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層を含む第1積層構造体に磁気的な秩序に係る異方性を付与できる。5度以上175度以下の傾斜角に係る主面の傾斜による磁気的異方性により、第1積層構造体に高い保滋力を提供できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記遷移金属は、Sc、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Cdの少なくともいずれかであり、前記希土類金属は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの少なくともいずれかであることができる。
この磁性半導体素子によれば、上記の列記の遷移金属及び/又は希土類金属を磁性元素として利用できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1III族窒化物半導体層の前記第1金属磁性元素は、V、Cr、Mn、Nd、Eu、Gd、Dy、Erの少なくともいずれかであることができる。
この磁性半導体素子によれば、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、及びエルビウム(Er)は磁性金属として役立つ。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体は、室温において強磁性を有することができる。
この磁性半導体素子によれば、第1積層構造体は、第1III族窒化物半導体層を隔てる第2III族窒化物半導体層の厚さ、及び第1III族窒化物半導体層の磁性金属の磁気モーメントに応じて、磁気秩序として強磁性を生成する。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体のキュリー温度は600ケルビン以上であることができる。
この磁性半導体素子によれば、高い保磁力に加えて、高いキュリー温度の磁性構造を提供できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体は室温において反強磁性を有することができる。
この磁性半導体素子によれば、第1積層構造体は、第1III族窒化物半導体層を隔てる第2III族窒化物半導体層の厚さ、及び第1III族窒化物半導体層の磁性金属の磁気モーメントに応じて、磁気秩序として反強磁性を生成する。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1の積層構造のネール温度は600ケルビン以上であることができる。
この磁性半導体素子によれば、高いネール温度の磁性構造を提供できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する半極性面を備えることができる。
この磁性半導体素子によれば、III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する半極性面を主面に適用するとき、比較的大きな磁気的異方性を第1積層構造体に実現できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する無極性面を備えることができる。
この磁性半導体素子によれば、III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する無極性面を主面に適用するとき、比較的大きな磁気的異方性を第1積層構造体に実現できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1III族窒化物半導体層の厚みは0.2nm以上であり、5nm以下であることができる。
この磁性半導体素子によれば、0.2nm以上5nm以下の厚さ範囲の第1III族窒化物半導体層は、磁性金属原子を取り込んだ磁性薄膜を提供できる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第2III族窒化物半導体層の厚みは1nm以上であり、15nm以下であることができる。
この磁性半導体素子によれば、1nm以上15nm以下の厚さ範囲の第2III族窒化物半導体層は、該第2III族窒化物半導体層を介して隔てられる隣り合う第1III族窒化物半導体層間の磁気的結合の程度を制御するために有用である。第1積層構造体は、第2III族窒化物半導体層の厚さ及び磁性金属原子の磁気的性質に依存した磁気秩序と発現する。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体における前記第1III族窒化物半導体層と前記第2III族窒化物半導体層は周期的な配列を成しており、前記配列の周期は1.2nm以上であり、20nm以下であることができる。
この磁性半導体素子によれば、第1積層構造体における周期構造は、磁気的な秩序の形成に有効である。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1III族窒化物半導体層の格子定数は前記第2III族窒化物半導体層の格子定数より大きくてもよい。この磁性半導体素子によれば、第1III族窒化物半導体層における固有の格子定数が第2III族窒化物半導体層における固有の格子定数より大きいので、第1III族窒化物半導体層は圧縮歪みを内包すると共に第2III族窒化物半導体層は引張歪みを内包する。ここで、第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層における固有の格子定数は無歪みの格子定数を示す。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1III族窒化物半導体層は前記半導体領域の前記主面の面内方向に圧縮歪みを内包しており、前記第2III族窒化物半導体層は前記半導体領域の前記主面の面内方向に引張歪みを内包している。この磁性半導体素子によれば、面内の歪みにより、小さいバンドギャップの窒化物半導体層にピエゾ電界が加えられて、そのピエゾ電界に応じてバンド構造が影響を受ける。このため、第1III族窒化物半導体層と第2III族窒化物半導体層との界面に沿って二次元電子ガス又は二次元正孔ガスが生成される。圧縮歪み及び引張歪みは、主面の半極性に応じた異方性を示す。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第2III族窒化物半導体層は構成元素としてAlまたはInを含むことができる。この磁性半導体素子は、非磁性の元素として、ガリウム、インジウム及びアルミニウムの少なくともいずれかを備えることができる。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体は、該第1積層構造体の一部又は全部にn型ドーパントを含むことができる。この磁性半導体素子によれば、n型ドーパントの添加により、窒化物半導体のキャリア濃度を変更できる。n型ドーパントは第1III族窒化物半導体層の一部又は全部に添加されることができ、また第2III族窒化物半導体層の一部又は全部に添加されることができる。また、一形態に係る磁性半導体素子では、前記n型ドーパントはSiであることができる。この磁性半導体素子によれば、シリコンは非磁性のn型ドーパントとして有用である。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記第1積層構造体は、該第1積層構造体の一部又は全部にp型ドーパントを含むことができる。この磁性半導体素子によれば、p型ドーパントの添加により、窒化物半導体のキャリア濃度を変更できる。p型ドーパントは第1III族窒化物半導体層の一部又は全部に添加されることができ、また第2III族窒化物半導体層の一部又は全部に添加されることができる。また、一形態に係る磁性半導体素子では、前記p型ドーパントはMgであることができる。この磁性半導体素子によれば、マグネシウムは非磁性のp型ドーパントとして有用である。
一形態に係る磁性半導体素子は、第2金属磁性元素を含有する第3III族窒化物半導体層と、磁性金属元素を含有しない第4III族窒化物半導体層とを備え、前記第3III族窒化物半導体層と前記第4III族窒化物半導体層は交互に積層されて第2積層構造体を構成し、前記第2積層構造体は前記第1積層構造体上に設けられ、前記第2積層構造体における前記第3III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第2積層構造体における前記第4III族窒化物半導体層の数は1以上である。この磁性半導体素子によれば、第1積層構造体とは別に第2積層構造体が設けられていてもよい。第2積層構造体と第1積層構造体との磁気的結合により、多彩な磁気効果が発揮される。また、一形態に係る磁性半導体素子においては、前記第1積層構造体の周期は前記第2積層構造体の周期と異なり、前記第1積層構造体の保磁力は前記第2積層構造体の保磁力と異なる。この磁性半導体素子によれば、第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層が周期的に配列されることができる。また、第3III族窒化物半導体層及び第4III族窒化物半導体層が周期的に配列されることができる、単一の磁性半導体素子に、互いに異なる周期を有する複数の積層構造体が設けられる。第1積層構造体は第2積層構造体と異なる磁気的特性を示す。また、一形態に係る磁性半導体素子では、前記第2金属磁性元素は、Sc、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの少なくともいずれかであることができる。
一形態に係る磁性半導体素子は、磁性を有しない第5III族窒化物半導体層を更に備え、前記第5III族窒化物半導体層は、前記第1積層構造体と前記第2積層構造体の間に設けられる。この磁性半導体素子によれば、第5III族窒化物半導体層は、その非磁性的な性質によって、第1積層構造体及び第2積層構造体は、それぞれの磁気的な性質を有することができ、また第1積層構造体は、第5III族窒化物半導体層を介して第2積層構造体に磁気的に結合される。
一形態に係る磁性半導体素子では、前記半導体領域は、例えばGaN基板を備えることができる。また、前記半導体領域は、例えば、シリコン基板と、該シリコン基板上に設けられたIII族窒化物系半導体層とを備えることができる。更には、前記半導体領域は、例えば、サファイア基板と、該サファイア基板上に設けられたIII族窒化物系半導体層とを備えることができる。これらの磁性半導体素子によれば、磁性半導体素子のための支持体が、GaN基板、シリコン基板、及びサファイア基板等によって提供される。
一形態に係る磁性半導体素子は、前記第1積層構造体を含む磁気センサとして構成されることができる。この磁性半導体素子は、一又は複数の積層構造体によって磁気センサを提供できる。また、一形態に係る磁性半導体素子は、前記第1積層構造体を含む磁気メモリとして構成されることができる。この磁性半導体素子は、一又は複数の積層構造体によって磁気メモリを提供できる。
一形態に係る磁性半導体素子は、前記第1積層構造体上に設けられた第2積層構造体と、前記第1積層構造体と前記第2積層構造体との間に設けられたトンネル絶縁層とを更に備え、前記第2積層構造体は、第3III族窒化物半導体層及び第4III族窒化物半導体層を含み、前記半導体領域の前記主面上に設けられ、前記第3III族窒化物半導体層は第2金属磁性元素を含有し、前記第2金属磁性元素は遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであり、前記第2積層構造体において、前記第3III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第4III族窒化物半導体層の数は1以上であり、前記第3III族窒化物半導体層及び前記第4III族窒化物半導体層が交互に積層されている。
この磁性半導体素子によれば、磁気メモリに好適な構造を提供できる。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、磁性半導体素子、及び磁性半導体素子を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る磁性半導体素子の構造を模式的に示す図面である。磁性半導体素子11は、半導体領域13及び積層領域14を備える。半導体領域13は、六方晶系のIII族窒化物半導体からなる主面13aを有する。図1には、典型的な<0001>軸の向きを表すc軸ベクトルCV、及び主面13aの法線を示す法線ベクトルNVが示される。半導体領域13の主面13aは、該半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して5度以上の角度で傾斜する。この角度範囲によれば、この主面上への成長において自然超格子が形成されることがなく、また積層領域14に磁気的な秩序に係る異方性を付与でき、積層領域14の保磁力を高めることができる。また、主面13aは、該c面に対して175度以下の角度で傾斜する。この角度は、c軸ベクトルCVと法線ベクトルNVとの成す角度として表される。この角度範囲によれば、この主面上への成長において自然超格子が形成されることがなく、また積層領域14に磁気的な秩序に係る異方性を付与でき、積層領域14の保磁力を高めることができる。本実施例では、積層領域14は第1積層構造体15を備える。第1積層構造体15は、半導体領域13の主面13a上に設けられており、また第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19を含む。第1積層構造体15において、第1III族窒化物半導体層17の数は2以上であり、第2III族窒化物半導体層19の数は1以上である。第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19が交互に積層軸Axの方向に積層されて、第1積層構造体15を構成する。本実施例では、第1積層構造体15の積層軸Axは主面13aの法線方向に延在する。
磁性半導体素子11の第1III族窒化物半導体層17は、例えばInX1AlY1Ga1−X1−Y1N(0≦X1≦1、0≦Y1≦1、0≦X1+Y1≦1)を備え、例えばGaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、InAlN、又はInAlGaNであることができる。第1III族窒化物半導体層17は、構成元素として第1金属磁性元素を含有する。本実施例では、第1金属磁性元素20は、III族窒化物半導体の構成元素として第1III族窒化物半導体層17に含まれている。第1III族窒化物半導体層17において、第1金属磁性元素20は遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであることができる。例えば、第1III族窒化物半導体層17は、第1金属磁性元素20として遷移金属を備えることができ、第1III族窒化物半導体層17は、第1金属磁性元素20として希土類金属を備えることができ、また第1III族窒化物半導体層17は、第1金属磁性元素20として遷移金属及び希土類金属を備えることができる。一実施例では、第1III族窒化物半導体層17は、磁性層として例えばGaGdNであり、ガドリニウム(Gd)の組成は例えばIII族元素に対して30%であることができる。
また、第2III族窒化物半導体層19は、例えばInX2AlY2Ga1−X2−Y2N(0≦X2≦1、0≦Y2≦1、0≦X2+Y2≦1)を備え、例えばGaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、InAlN、又はInAlGaNであることができる。本実施例では、第2III族窒化物半導体層19は実質的に非磁性を示す。III族窒化物半導体層(17、19)は構成元素としてGa、AlまたはInを含むことができる。ガリウム、インジウム及びアルミニウムの少なくともいずれか一つが、非磁性の元素としてIII族窒化物半導体層(17、19)に含まれることができる。
図2は、本実施の形態に係る磁性半導体素子の積層構造体におけるバンドダイアグラムを模式的に示す図面である。第2III族窒化物半導体層19が2つの第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)の間に設けられており、本実施例では、一方の第1III族窒化物半導体層17(17a)が第2III族窒化物半導体層19とヘテロ接合21aを形成し、他方の第1III族窒化物半導体層17(17b)は第2III族窒化物半導体層19とヘテロ接合21bを形成する。ヘテロ接合21a、21bは、半導体領域13の主面13aの傾斜に対応した角度(例えば、5度以上175度以下の範囲の角度)で、半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して傾斜する。第2III族窒化物半導体層19は、2つの第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)を電気伝導の点で隔てており、伝導帯又は価電子帯に係るキャリア伝導に対して障壁として、具体的にはバリア層として働く。第2III族窒化物半導体層19のバンドギャップは、第1III族窒化物半導体層17(17a)のバンドギャップより大きく、また第1III族窒化物半導体層17(17b)のバンドギャップより大きい。ヘテロ界面では、井戸となる第1III族窒化物半導体層17には、二次元キャリアガス22(例えば電子ガス)が誘起される。二次元キャリアガス22の作用により、磁性に寄与するキャリア濃度が調整される。
磁性半導体素子11では、第1III族窒化物半導体層17の固有の格子定数が第2III族窒化物半導体層19の固有の格子定数より大きいとき、第1III族窒化物半導体層17は圧縮歪みを内包すると共に第2III族窒化物半導体層19は引張歪みを内包する。ここで、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19における固有の格子定数は無歪みの格子定数を示す。
磁性半導体素子11において、第1III族窒化物半導体層17は半導体領域13の主面13aの面内方向に圧縮歪みを内包しており、第2III族窒化物半導体層19は半導体領域13の主面13aの面内方向に引張歪みを内包している。この磁性半導体素子11によれば、面内の歪みにより、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19にはピエゾ分極が生成される。そのピエゾ分極の強さに応じて、それらのバンド構造は影響を受ける。小さいバンドギャップの窒化物半導体層に加わるピエゾ電界の向きに応じて、第1III族窒化物半導体層17と第2III族窒化物半導体層19との界面に沿って二次元電子ガス又は二次元正孔ガスが生成される。圧縮歪み及び引張歪みは、半導体領域13の主面13aの傾斜角度に応じた異方性を示す。
第2III族窒化物半導体層19は、2つの第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)の間においてトンネル効果によるキャリア遷移が可能な程度の厚さを有する。これ故に、第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)及び第2III族窒化物半導体層19は、磁気トンネル接合(MTJ)を構成するように配置されている。
第2III族窒化物半導体層19は、トンネル効果により第2III族窒化物半導体層19を遷移するキャリアのスピンを実質的に反転させるような金属元素を実質的に含有しないことが好ましい。この形態では、第2III族窒化物半導体層19は、第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)を磁気秩序の点で隔てており、第1III族窒化物半導体層17(17a、17b)は、第2III族窒化物半導体層19の厚さに応じて第2III族窒化物半導体層19を介した磁気的結合を成すと共に、第1金属磁性元素20の種類及び含有量に応じてこの第1金属磁性元素20に起因した磁気秩序を第1積層構造体15の一部又は全体で発現する。この磁気秩序は、強磁性及び/又は反強磁性である。
磁性半導体素子11は、第1電極30a及び第2電極30bを備える。図1を参照すると、第1電極30a及び第2電極30bは、積層軸Axの方向に第1積層構造体15を通してキャリアを流すことができるように設けられる。一実施例では、第1電極30a及び第2電極30bは第1積層構造体15を挟むように設けられ、この構造では、積層軸Axに沿って、第1電極30a、積層領域14及び第2電極30bがされており、第1電極30aは、パッシベーション膜24の開口24aを介して積層領域14に接触を成す。第1電極30aは、直下に位置する半導体(積層領域14)に対してオーミック接触を成す。第2電極30bは、直下に位置する半導体(基板裏面13b)に対してオーミック接触を成す。
一実施例では、第1積層構造体15では、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19は超格子を構成するように配列されることができる。この構造では、実質的に同じ厚さの第1III族窒化物半導体層17と、実質的に同じ厚さの第2III族窒化物半導体層19とが交互に配列されている。しかしながら、第1積層構造体15は超格子構造に限定されることない。例えば、実質的に互いに異なる厚さの第1III族窒化物半導体層17と、実質的に互いに同じ厚さの第2III族窒化物半導体層19とが交互に配列されることができ、この構造では電気伝導及び磁気結合に係るバリア層の厚さが実質的に同じである。この構造では各磁気層の厚みを変化させることで、各磁気層の磁化方向、磁化強度を個別に変化させることができ、強磁性、反強磁性、或いはフェリ磁性等、磁化状態を変化させることができる。或いは、実質的に互いに同じ厚さの第1III族窒化物半導体層17と、実質的に互いに異なる厚さの第2III族窒化物半導体層19とが交互に配列されることができ、この構造では電気伝導及び磁気結合に係る磁気層の厚さが実質的に同じである。この構造では各バリア層の厚みを変化させることで、各磁気層間の磁気的相互作用の強さを個別に変化させることができ、強磁性、反強磁性、或いはフェリ磁性等、磁化状態を変化させることができる。また、或いは、実質的に互いに異なる厚さの第1III族窒化物半導体層17と、実質的に互いに異なる厚さの第2III族窒化物半導体層19とが交互に配列されることができ、この構造では電気伝導及び磁気結合に係るバリア層及び磁気層の厚さが共に異なる。この構造では各磁気層の磁化方向、磁化強度、各磁気層間の磁気的相互作用の強さを個別に変化させることができ、強磁性、反強磁性、或いはフェリ磁性等、磁化状態を変化させることができる。
この磁性半導体素子11によれば、半導体領域13の主面13aが該半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して5度以上175度以下の角度で傾斜するとき、この主面13a上への成長において自然超格子が形成されることがなく、第1III族窒化物半導体層17と第2III族窒化物半導体層とを備える第1積層構造体15が、半導体領域13の主面13a上に設けられる。第1積層構造体15において、第1III族窒化物半導体層17が第2III族窒化物半導体層19によって隔てられる。また、第1III族窒化物半導体層17は、遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかである第1金属磁性元素20を備える。この第1積層構造体15において、第1金属磁性元素20の磁性金属及び第1積層構造体の層構造に応じて、磁気秩序が形成される。
第1積層構造体15が、半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して傾斜する主面上に設けられる。この主面13aの法線がc軸の傾斜することにより、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19の各々に、磁気的な結合に係る異方性を付与できる。また、磁気的な秩序に係る異方性を第1積層構造体15に付与できる。5度以上175度以下の傾斜角に係る主面13aの傾斜による磁気的異方性により、第1積層構造体15に高い保滋力を提供できる。本実施例では、半導体領域13は、基板13c及びIII族窒化物半導体層13dを含み、III族窒化物半導体層13dが主面13aを提供する。基板13cは、例えばGaN、Si等からなることができる。具体的には、半導体領域13は、例えばGaN基板を備えることができる。また、半導体領域13は、例えば、シリコン基板と、該シリコン基板上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えることができる。更には、半導体領域13は、例えば、サファイア基板と、該サファイア基板上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えることができる。これらの具体例では、磁性半導体素子11のための基板13c(支持体)が、GaN基板、シリコン基板、及びサファイア基板等によって提供される。
図3は、III族窒化物半導体の六方晶系の結晶格子においてc面、半極性面及び無極性面の例示を示す。六方晶系結晶構造CYTHEXでは、六方晶系結晶格子は、c軸方向に異方性を示すけれども、3つのa軸方向は等価である。図3に示されるように、半極性面SP及び無極性面NPは、ゼロより大きな角度でc面(極性面)PPに対して傾斜している。c面(極性面)PP内の向きに関して、c面は等方的であって、磁化容易軸の向きが結晶構造以外の影響を容易に受ける。
一方、第1積層構造体15内の第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19の各々は、第1積層構造体15における積層軸(図1おける積層軸Ax)に直交する面内に沿って延在するので、積層軸Axがc軸に対して傾斜することにより、第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19は、その面内において異方性を示す。半極性面及び無極性面の利用によれば、その面内異方性の向きに応じて磁化容易軸が定まり、この方向に磁化が揃いやすい。このため、半極性面及び無極性面上にエピタキシャルに成長された第1積層構造体15は、c面上にエピタキシャルに成長された積層構造体と異なって、面内異方性の向きに応じた磁化容易軸を有する。したがって、半極性面及び無極性面上の第1積層構造体15は、c面上の積層構造体に比べて高い保磁力及び残留磁化を有する。また、5度以上175度以下の傾斜角に係る主面13aの傾斜は、保磁力の増強だけでなく、キュリー温度を高くする点においても有効である。
図4は、非特許文献3に示される縦方向ピエゾ電界と窒化ガリウムのc軸からの角度との関係を示す。実質的に半極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば5度以上35度以下、60度以上85度以下の範囲であることができ、例えば95度以上120度以下、145度以上175度以下の範囲であることができる。また、実質的に無極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば35度以上60度以下、85度以上95度以下の範囲、120度以上145度以下であることができる。典型的な無極性面は、m面、a面である。
半導体領域13の主面13aは、該半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する半極性面を備えることが好ましい。この磁性半導体素子11では、III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する半極性面を主面13aに適用するとき、比較的大きな結晶異方性を第1積層構造体15に実現できる。また、半導体領域13の主面13aは、該c面に対して150度以下の角度で傾斜する半極性面を備えるとき、比較的大きな結晶異方性を第1積層構造体15に実現できる。
また、半導体領域13の主面13aは、該半導体領域13のIII族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する無極性面を備えることが好ましい。この磁性半導体素子11では、III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する無極性面を主面13aに適用するとき、比較的大きな結晶異方性を第1積層構造体15に実現できる。また、半導体領域13の主面13aは、該c面に対して150度以下の角度で傾斜する無極性面を備えるとき、比較的大きな結晶異方性を第1積層構造体15に実現できる。
第1金属磁性元素20として、遷移金属は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)の少なくともいずれか一つであることができる。また、第1金属磁性元素20として、希土類金属は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテリビウム(Yb)、ルテニウム(Lu)の少なくともいずれか一つであることができ、例えばランタン(La)及びルテニウム(Lu)では、4f軌道が閉殻であるけれども、5d軌道を単独の電子が占める。この磁性半導体素子11では、上記の遷移金属及び/又は希土類金属を磁性元素として利用できる。
第1III族窒化物半導体層17の第1金属磁性元素20は、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、及びエルビウム(Er)の少なくともいずれか一つであることが好ましい。これらの元素は、磁性金属として役立つ。この磁性半導体素子11によれば、これらの元素はIII族窒化物半導体層に添加された場合、比較的強い磁化を示すことが実験又は計算により示されている。
第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19の各々の交互積層を含む第1積層構造体15、例えばGaGdN(厚さ:1nm)/AlGaN(厚さ:3nm)の50周期からなる超格子構造は、室温(例えば摂氏25度)において強磁性を有する。この磁性半導体素子11によれば、第1積層構造体は、第1III族窒化物半導体層を隔てる第2III族窒化物半導体層の厚さ、及び磁性金属の種類(磁気モーメント)に応じて、磁気秩序として強磁性を発現する。磁性金属元素と「MG」として記載するとき、窒化ガリウム系半導体の磁性半導体は「GaXMG1−XN」と表される。この「GaXMG1−XN」において、磁性金属元素の組成「X」は例えば1%以上であり、例えば50%以下である。
第1積層構造体15、例えばGaGdN(厚さ:1nm)/AlGaN(厚さ:3nm)の50周期からなる超格子構造は、例えば300ケルビン以上のキュリー温度を示す。また、発明者の実験によれば、第1積層構造体15は600ケルビン以上のキュリー温度を有することができる。この磁性半導体素子11によれば、高い保磁力に加えて、高いキュリー温度の磁性構造を提供できる。
第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19の各々の交互積層を含む第1積層構造体15、例えばGaGaN(厚さ:1nm)/AlGaN(厚さ:1nm)の50周期からなる超格子構造は、室温(例えば摂氏25度)において反強磁性を有する。この磁性半導体素子11によれば、第1積層構造体15は、第1III族窒化物半導体層を隔てる第2III族窒化物半導体層の厚さ、及び磁性金属の種類(磁気モーメント)に応じて、磁気秩序として反強磁性を発現できる。
第1積層構造体15、例えばGaGaN(厚さ:1nm)/AlGaN(厚さ:1nm)の50周期からなる超格子構造は、例えば300ケルビン以上のネール温度を示す。また、発明者の実験によれば、第1積層構造体15は600ケルビン以上のネール温度を有することができる。この磁性半導体素子11によれば、高い保磁力に比べて、高いネール温度の磁性構造を提供できる。
第1積層構造体15においては、第1III族窒化物半導体層17の厚みは0.2nm以上であることができ、0.2nm以上の厚さによって第1III族窒化物半導体層は十分な磁化強度を示すことができる。また、第1III族窒化物半導体層17の厚みは5nm以下であることができ、5nm以下の厚さによって磁気層の結晶性が良好に保たれる。この磁性半導体素子11では、0.2nm以上5nm以下の厚さ範囲の第1III族窒化物半導体層17は、磁気を発現できような形態で磁性金属原子を取り込んだ磁性薄膜を提供できると共に、下地の面方位に規定される半極性又は無極性の表面を有する。第1III族窒化物半導体層17は、ヘテロ界面の形成のために下地を提供できる。
第1積層構造体15においては、第2III族窒化物半導体層19の厚みは1nm以上であることができ、1nm以上の厚さによって、磁気層間を隔てるバリア層として、第2III族窒化物半導体層19は磁気層間の磁気的相互作用を制御することができ、これ以下の厚みではキャリアのトンネルが顕著で磁気層間を磁気的に隔てることができない。また、第2III族窒化物半導体層19の厚みは15nm以下であることができ、15nm以下の厚さによって、第2III族窒化物半導体層19は磁気層間の磁気的相互作用を制御することができ、これ以上の厚みでは磁気層間の磁気的相互作用が実質的にゼロになる。この磁性半導体素子11では、1nm以上15nm以下の厚さ範囲の第2III族窒化物半導体層19は、該第2III族窒化物半導体層19を介して隔てられる隣り合う第1III族窒化物半導体層17間の磁気的結合の程度を制御するために有用であると共に、下地の面方位に規定される半極性又は無極性の表面を有する。第2III族窒化物半導体層19は、ヘテロ界面の形成のために下地を提供できる。第1積層構造体15における磁気的性質は、第2III族窒化物半導体層19の厚さ及び磁性金属原子の磁気的性質に依存する。
第1積層構造体15における第1III族窒化物半導体層17と第2III族窒化物半導体層19は周期的な配列を成すことが好ましい。この配列の周期は1.2nm以上であり、20nm以下であることができる。第1積層構造体15における周期構造は、磁気的な結合において磁気的秩序の形成に有効である。
これらの積層構造は、例えば分子線エピタキシー法、有機金属気相成長法、原子層堆積法等を用いるエピタキシャル結晶成長によって作製されることができる。
再び図1を参照しながら、磁性半導体素子11として磁気メモリに係る実施例を説明する。この実施例では、積層領域14は。第1積層構造体15と、第1積層構造体15上に設けられた第2積層構造体27を更に備える。この第2積層構造体27は、第3III族窒化物半導体層29及び第4III族窒化物半導体層31を含み、第3III族窒化物半導体層29及び第4III族窒化物半導体層31は、それぞれ、既に行われた第1積層構造体15のための説明における第1III族窒化物半導体層17及び第2III族窒化物半導体層19と類似の構造を有することができる。第3III族窒化物半導体層29は、第1III族窒化物半導体層17と同様に金属磁性元素を含有し、この金属磁性元素は、既に列記された遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかを備える。本実施例では、第4III族窒化物半導体層31は実質的に非磁性を示す。第2積層構造体27において、第1III族窒化物半導体層17に対応する第3III族窒化物半導体層29の数は2以上であり、第2III族窒化物半導体層19に対応する第4III族窒化物半導体層31の数は1以上である。第1積層構造体15に関する説明から理解されるように、第3III族窒化物半導体層29及び第4III族窒化物半導体層31が交互に積層されて第2積層構造体27を構成する。また、磁気メモリのための磁性半導体素子11は、第1積層構造体15及び第2積層構造体27の一方から他方を磁気的及び電気伝導の点で分離するトンネル絶縁層33を備える。実質的に非磁性を示すトンネル絶縁層33は、例えば第1積層構造体15及び第2積層構造体27内の半導体層のバンドギャップより大きなバンドギャップを有するIII族窒化物からなることができ、このIII族窒化物は、例えばAlN、AlGaNであることができる。トンネル絶縁層33の厚さは、例えば1nm〜10nmであることができる。本実施例においては、第1積層構造体15の磁性金属は第2積層構造体27の磁性金属と同じであってもよく、また、第1積層構造体15と異なる磁性金属を第2積層構造体27に適用してもよい。また、第1積層構造体15内の半導体層の積層数は、第2積層構造体27内の半導体層の積層数と異なっていても良い。
上記の説明では、磁性半導体素子11として例えば磁気センサ、磁気メモリ及びスピントルクダイオード等に適用される基本構造を説明してきた。
(実施例1)
図5は、実施例1に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。{20−21}面の法線軸は、GaN基板のc軸に対して約75度の角度でc軸からm軸の方向に傾斜している。各GaN基板上に有機金属気相成長法でn型GaN層を成長する。n型GaN層の厚さは2マイクロメートルであり、その成長温度は、摂氏1000度である。
図5は、実施例1に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。{20−21}面の法線軸は、GaN基板のc軸に対して約75度の角度でc軸からm軸の方向に傾斜している。各GaN基板上に有機金属気相成長法でn型GaN層を成長する。n型GaN層の厚さは2マイクロメートルであり、その成長温度は、摂氏1000度である。
次いで、個々のGaN基板上に、アンドープGaGdN層(厚さ1nm、Gdの組成30%)及びアンドープAlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)を含む超格子構造(50周期)を分子線エピタキシー法で成長する。ガリウム源としてGa金属を用い、アルミニウム源としてAl金属を用い、窒素源としてRFパワー250ワットの高周波プラズマによって生成された窒素ラジカルを用いる。成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。
実施例1の積層構造8の詳細については、まずアンドープAlGaN層(厚さ3nm)をn型GaN層の上に成長しており、最後にアンドープAlGaN層(厚さ3nm)を成長している。これらの成長により、3種類のエピタキシャル基板を作製する。エピタキシャル基板は、磁気層としてアンドープGaGdN層(厚さ1nm、Gdの組成30%を含み、障壁層としてアンドープAlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%を含む。この実施例では、アンドープAlGaN層は引張歪みを内包し、アンドープGaGdN層は圧縮歪みを内包する。
c面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E1Pcとして参照する。{20−21}面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E1P75として参照する。m面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E1Pmとして参照する。
図6は、エピタキシャル基板E1Pc、E1Pm及びEmP75の磁化の測定結果を示す図面である。磁化測定は、SQUIDを用いて行われ、測定温度範囲は、絶対温度で10ケルビンから600ケルビンの範囲で行われた。磁化の測定に際して、図5に示されるように、エピタキシャル基板E1Pc、E1Pm及びEmP75の面内方向に外部磁場を印加する。
測定結果のリスト(測定温度は摂氏25度)。
エピタキシャル基板E1Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:100Oe。
残留磁化:3emu/cm3。
エピタキシャル基板E1Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:300Oe。
残留磁化:10emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:500Oe。
残留磁化:15emu/cm3。
エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmのキュリー温度は、摂氏300度以上である。エピタキシャル基板E1Pc、E1Pm及びEmP75は、600ケルビンにおいて強磁性を示す。エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmの導電型はn型であり、エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmのキャリア濃度は1×1017cm−3である。ガドリニウムはガリウムと同じ3価の元素である。なお、「1emu/cm3」は、SI系に換算すると4π×10−4Wb/m2である。また、「1Oe」は、SI系に換算すると、103/4πA/mである。
発明者の検討によれば、飽和磁化強度は、磁化層であるGaGdNにかかるピエゾ電界の大きさに依存している。保磁力及び残留磁化は、超格子構造における結晶異方性を関係している。
エピタキシャル基板E1Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:100Oe。
残留磁化:3emu/cm3。
エピタキシャル基板E1Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:300Oe。
残留磁化:10emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:500Oe。
残留磁化:15emu/cm3。
エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmのキュリー温度は、摂氏300度以上である。エピタキシャル基板E1Pc、E1Pm及びEmP75は、600ケルビンにおいて強磁性を示す。エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmの導電型はn型であり、エピタキシャル基板E1Pc、E1P75及びE1Pmのキャリア濃度は1×1017cm−3である。ガドリニウムはガリウムと同じ3価の元素である。なお、「1emu/cm3」は、SI系に換算すると4π×10−4Wb/m2である。また、「1Oe」は、SI系に換算すると、103/4πA/mである。
発明者の検討によれば、飽和磁化強度は、磁化層であるGaGdNにかかるピエゾ電界の大きさに依存している。保磁力及び残留磁化は、超格子構造における結晶異方性を関係している。
(実施例2)
図7は、実施例2に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。個々のGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、これらのGaN基板上に、SiドープGaGdN層(厚さ1nm)及びSiドープAlGaN層(厚さ3nm)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、シリコン源としてSi金属を用いる。成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。ドーパント濃度(Si濃度)は、例えば1×1018〜2×1019cm−3の範囲でいくつかの濃度のエピタキシャル基板を作製する。
図7は、実施例2に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。個々のGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、これらのGaN基板上に、SiドープGaGdN層(厚さ1nm)及びSiドープAlGaN層(厚さ3nm)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、シリコン源としてSi金属を用いる。成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。ドーパント濃度(Si濃度)は、例えば1×1018〜2×1019cm−3の範囲でいくつかの濃度のエピタキシャル基板を作製する。
実施例2の積層構造10の詳細については、まずn型AlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)をn型GaN層の上に成長しており、超格子構造はn型AlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)で終わる。この上に、アンドープAlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)を更に成長する。これらの成長により、3種類のエピタキシャル基板を作製する。エピタキシャル基板は、磁気層としてn型GaGdN層(厚さ1nm)を含み、障壁層としてn型AlGaN層(厚さ3nm)を含む。c面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E2Pcとして参照する。{20−21}面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E2P75として参照する。m面GaN基板上に超格子を含む構造をエピタキシャル基板E2Pmとして参照する。発明者の検討によれば、エピタキシャル基板E2Pc、E2P75及びE2Pmにおいて、Si濃度の増加するにつれて飽和磁化強度が増大する。エピタキシャル基板E2Pc、E2P75及びE2Pmにおいては、アンドープの超格子構造に比べて、2×1019cm−3のSi濃度において磁化強度が約10倍である。
(実施例3)
図8は、実施例3に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。図8に示される積層構造23の作製を説明する。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。磁性金属としてマンガン(Mn)を用いる。これらのGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、個々のGaN基板上に、アンドープGaMnN層(厚さ1nm、Mnの組成10%)及びアンドープAlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。これまでの工程により、積層構造23を含むエピタキシャル基板が作製された。これらのエピタキシャル基板を、これまでの実施例と同様に、「E3Pc」、「E3Pm」及び「E3P75」として参照する。
図8は、実施例3に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。図8に示される積層構造23の作製を説明する。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。磁性金属としてマンガン(Mn)を用いる。これらのGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、個々のGaN基板上に、アンドープGaMnN層(厚さ1nm、Mnの組成10%)及びアンドープAlGaN層(厚さ3nm、Alの組成10%)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。これまでの工程により、積層構造23を含むエピタキシャル基板が作製された。これらのエピタキシャル基板を、これまでの実施例と同様に、「E3Pc」、「E3Pm」及び「E3P75」として参照する。
測定結果の一覧。
エピタキシャル基板E3Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:100Oe。
残留磁化:3emu/cm3。
エピタキシャル基板E2Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:300Oe。
残留磁化:10emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:500Oe。
残留磁化:15emu/cm3。
エピタキシャル基板E3Pc、E3P75及びE3Pmの導電型は、マンガンがアクセプタとして作用して、p型であり、エピタキシャル基板E3Pc、E3P75及びE3Pmのキャリア濃度は1×1022cm−3であって、これらの伝導は金属的であると推測される。
エピタキシャル基板E3Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:100Oe。
残留磁化:3emu/cm3。
エピタキシャル基板E2Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:300Oe。
残留磁化:10emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:500Oe。
残留磁化:15emu/cm3。
エピタキシャル基板E3Pc、E3P75及びE3Pmの導電型は、マンガンがアクセプタとして作用して、p型であり、エピタキシャル基板E3Pc、E3P75及びE3Pmのキャリア濃度は1×1022cm−3であって、これらの伝導は金属的であると推測される。
(実施例4)
図9は、実施例4に係る磁性半導体素子の構造を示す図面である。図9に示される積層構造26の作製を説明する。実施例1(磁性金属:Gd)及び実施例3(磁性金属:Mn)と同じ積層構造を、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板上に成長してエピタキシャル基板を作製した後に、GaN基板の裏面の全面上にTi/Alバック電極(オーミック電極)を蒸着により形成すると共に、エピタキシャル基板の表面上にTi/Alフロント電極(オーミック電極)を蒸着により形成して、基板生産物を作製する。Ti/Alフロント電極は、エピタキシャル基板の表面上のシリコン酸化膜の開口(10マイクロメートル径)を通して超格子構造に接触を成す。これらの基板生産物に係る磁性半導体素子を以下のように参照する。
磁性半導体素子の符合、 磁性原子、面方位。
磁性半導体素子DVcGd、Gd、 c面。
磁性半導体素子DVsGd、Gd、{20−21}面。
磁性半導体素子DVmGd、Gd, m面。
磁性半導体素子DVcMn、Mn、 c面。
磁性半導体素子DVsMn、Mn、{20−21}面。
磁性半導体素子DVmMn、Mn, m面。
図9は、実施例4に係る磁性半導体素子の構造を示す図面である。図9に示される積層構造26の作製を説明する。実施例1(磁性金属:Gd)及び実施例3(磁性金属:Mn)と同じ積層構造を、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板上に成長してエピタキシャル基板を作製した後に、GaN基板の裏面の全面上にTi/Alバック電極(オーミック電極)を蒸着により形成すると共に、エピタキシャル基板の表面上にTi/Alフロント電極(オーミック電極)を蒸着により形成して、基板生産物を作製する。Ti/Alフロント電極は、エピタキシャル基板の表面上のシリコン酸化膜の開口(10マイクロメートル径)を通して超格子構造に接触を成す。これらの基板生産物に係る磁性半導体素子を以下のように参照する。
磁性半導体素子の符合、 磁性原子、面方位。
磁性半導体素子DVcGd、Gd、 c面。
磁性半導体素子DVsGd、Gd、{20−21}面。
磁性半導体素子DVmGd、Gd, m面。
磁性半導体素子DVcMn、Mn、 c面。
磁性半導体素子DVsMn、Mn、{20−21}面。
磁性半導体素子DVmMn、Mn, m面。
図10は、磁気抵抗効果の測定結果を示す図面である。これらの磁性半導体素子における2つの電極にわたって電流を流しなから、外部磁場を磁性半導体素子に印加する。ガドリニウム系磁性半導体素子は、小さい電流で比較的大きな抵抗変化を示すので、外部電流1ミリアンペア(mA)の磁場の印加に係る抵抗変化を「電気抵抗変化△R/R」として表す。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子DVcGd:外部磁場80eOで、△R/R=10%。
磁性半導体素子DVsGd:外部磁場280eOで、△R/R=8%。
磁性半導体素子DVmGd:外部磁場180eOで、△R/R=5%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。
マンガン系磁性半導体素子では、100ミリアンペア(mA)の外部電流における磁場の印加に係る抵抗変化を「電気抵抗変化△R/R」として表す。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子DVcMn:外部磁場80eOで、△R/R=10%。
磁性半導体素子DVsMn:外部磁場280eOで、△R/R=8%。
磁性半導体素子DVmMn:外部磁場180eOで、△R/R=5%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。ガドリニウム系及びマンガン系磁性半導体素子は比較的高温(例えば摂氏プラス200度程度)で動作可能な磁気センサとして応用可能である。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子DVcGd:外部磁場80eOで、△R/R=10%。
磁性半導体素子DVsGd:外部磁場280eOで、△R/R=8%。
磁性半導体素子DVmGd:外部磁場180eOで、△R/R=5%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。
マンガン系磁性半導体素子では、100ミリアンペア(mA)の外部電流における磁場の印加に係る抵抗変化を「電気抵抗変化△R/R」として表す。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子DVcMn:外部磁場80eOで、△R/R=10%。
磁性半導体素子DVsMn:外部磁場280eOで、△R/R=8%。
磁性半導体素子DVmMn:外部磁場180eOで、△R/R=5%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。ガドリニウム系及びマンガン系磁性半導体素子は比較的高温(例えば摂氏プラス200度程度)で動作可能な磁気センサとして応用可能である。
(実施例5)
図11は、実施例5に係る磁性半導体素子の構造を示す図面である。磁性半導体素子の積層構造12の詳細については、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板上に実施例1(磁性金属:Gd)と同じ下部積層構造(厚さ1nmのGaGdN/厚さ3nmのAlGaN)を成長した後に、トンネル絶縁膜としてアンドープAlN層(厚さ3nm)を成長すると共に実施例1(磁性金属:Gd)と同様に上部積層構造(厚さ1nmのGaGdN/厚さ4nmのAlGaN)をアンドープAlN層上に成長する。このように作製されたエピタキシャル基板のGaN基板裏面の全面上にTi/Alバック電極(オーミック電極)を蒸着により形成すると共に、エピタキシャル基板の表面上にTi/Alフロント電極(オーミック電極)を蒸着により形成して、基板生産物を作製する。Ti/Alフロント電極は、エピタキシャル基板の表面上のシリコン酸化膜の開口(10マイクロメートル径)を通して超格子構造に接触を成す。これらの基板生産物に係る磁性半導体素子を以下のように参照する。
磁性半導体素子の符合、 面方位。
磁性半導体素子D5Vc、c面。
磁性半導体素子D5Vs、{20−21}面。
磁性半導体素子D5Vm、m面。
図12は、実施例5の積層構造の磁気抵抗効果の測定結果を示す。磁性半導体素子では、1ミリアンペア(mA)の外部電流において外部磁場の印加に係る抵抗変化を「電気抵抗変化△R/R」として表す。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子D5Vc:外部磁場80eOで、△R/R=20%。
磁性半導体素子D5Vs:外部磁場280eOで、△R/R=200%。
磁性半導体素子D5Vm:外部磁場180eOで、△R/R=100%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。なお、本実施例においては、下部積層構造の磁性金属は上部積層構造の磁性金属と同じであるが、下部積層構造と異なる磁性金属を上部積層構造に適用してもよい。
図11は、実施例5に係る磁性半導体素子の構造を示す図面である。磁性半導体素子の積層構造12の詳細については、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板上に実施例1(磁性金属:Gd)と同じ下部積層構造(厚さ1nmのGaGdN/厚さ3nmのAlGaN)を成長した後に、トンネル絶縁膜としてアンドープAlN層(厚さ3nm)を成長すると共に実施例1(磁性金属:Gd)と同様に上部積層構造(厚さ1nmのGaGdN/厚さ4nmのAlGaN)をアンドープAlN層上に成長する。このように作製されたエピタキシャル基板のGaN基板裏面の全面上にTi/Alバック電極(オーミック電極)を蒸着により形成すると共に、エピタキシャル基板の表面上にTi/Alフロント電極(オーミック電極)を蒸着により形成して、基板生産物を作製する。Ti/Alフロント電極は、エピタキシャル基板の表面上のシリコン酸化膜の開口(10マイクロメートル径)を通して超格子構造に接触を成す。これらの基板生産物に係る磁性半導体素子を以下のように参照する。
磁性半導体素子の符合、 面方位。
磁性半導体素子D5Vc、c面。
磁性半導体素子D5Vs、{20−21}面。
磁性半導体素子D5Vm、m面。
図12は、実施例5の積層構造の磁気抵抗効果の測定結果を示す。磁性半導体素子では、1ミリアンペア(mA)の外部電流において外部磁場の印加に係る抵抗変化を「電気抵抗変化△R/R」として表す。
以下の測定の温度は摂氏25度である。
磁性半導体素子D5Vc:外部磁場80eOで、△R/R=20%。
磁性半導体素子D5Vs:外部磁場280eOで、△R/R=200%。
磁性半導体素子D5Vm:外部磁場180eOで、△R/R=100%。
電気抵抗変化の変化は、摂氏マイナス100度から摂氏300度程度までの温度範囲で観測できる。なお、本実施例においては、下部積層構造の磁性金属は上部積層構造の磁性金属と同じであるが、下部積層構造と異なる磁性金属を上部積層構造に適用してもよい。
磁性半導体素子D5Vs及び磁性半導体素子D5Vmにおいて、実施例5の磁性半導体素子が、磁気メモリとして動作することを確認できる。一方、磁性半導体素子D5Vcの保磁力が小さいので、磁性半導体素子D5Vcは磁気メモリとしては不適合である。磁気メモリとしては、磁性半導体素子D5Vsが優れる。これまでの実施例は、磁性金属としてガドリニウム及びマンガンを用いた。他の実験においては他の磁性金属V、Cr、Nd、Eu、Dy、Erが用いられて、同様の磁性秩序が観測されている。
(実施例6)
図13は、実施例6に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。磁性金属としてガドリニウム(Gd)を用いる。これらのGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、個々のGaN基板上に、アンドープGaGdN層(厚さ1nm、Gdの組成30%)及びアンドープAlGaN層(厚さ1nm、Alの組成10%)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。これらのエピタキシャル基板を、これまでの実施例と同様に、「E6Pc」、「E6Pm」及び「E6P75」として参照する。
図13は、実施例6に係る磁性半導体素子のための積層構造を示す図面である。実施例1と同様に、c面、{20−21}面、及びm面の主面を有する3種類のGaN基板を準備する。磁性金属としてガドリニウム(Gd)を用いる。これらのGaN基板上に、厚さ2マイクロメートルのn型GaN層を有機金属気相成長法で成長した後に、個々のGaN基板上に、アンドープGaGdN層(厚さ1nm、Gdの組成30%)及びアンドープAlGaN層(厚さ1nm、Alの組成10%)を含む50周期の超格子構造を分子線エピタキシー法で成長する。この成長において、成長の基板温度は例えば摂氏700度であり、成長レートは0.24マイクロメートル/時間である。これらのエピタキシャル基板を、これまでの実施例と同様に、「E6Pc」、「E6Pm」及び「E6P75」として参照する。
測定結果の一覧。
エピタキシャル基板E6Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:1emu/cm3。
エピタキシャル基板E6Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:0.5emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:0.8emu/cm3。
エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmは反強磁性を示し、そのネール温度は、摂氏300度以上である。エピタキシャル基板E6Pc、E6Pm及びE6P75は、600ケルビンにおいて反強磁性を示す。エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmの導電型はn型であり、エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmのキャリア濃度は1×1017cm−3である。
発明者の検討によれば、飽和磁化強度は、磁化層であるGaGdNにかかるピエゾ電界の大きさに依存している。
エピタキシャル基板E6Pc。
飽和磁化強度:30emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:1emu/cm3。
エピタキシャル基板E6Pm。
飽和磁化強度:15emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:0.5emu/cm3。
エピタキシャル基板E1P75。
飽和磁化強度:24emu/cm3。
保磁力:10Oe。
残留磁化:0.8emu/cm3。
エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmは反強磁性を示し、そのネール温度は、摂氏300度以上である。エピタキシャル基板E6Pc、E6Pm及びE6P75は、600ケルビンにおいて反強磁性を示す。エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmの導電型はn型であり、エピタキシャル基板E6Pc、E6P75及びE6Pmのキャリア濃度は1×1017cm−3である。
発明者の検討によれば、飽和磁化強度は、磁化層であるGaGdNにかかるピエゾ電界の大きさに依存している。
上記の実施例によれば、保磁力、残留磁化の点で、半極性面及び無極性面上の窒化物薄膜の積層構造は、極性面(c面)に比べて優れている。半極性面及び無極性面上の窒化物薄膜の積層構造は、磁気センサ及び磁気メモリに適用可能である。飽和磁化の点では、半極性面上の窒化物薄膜の積層構造は、無極性面上の窒化物薄膜の積層構造に比べて優れる。
f電子系のガドリニウムは、III族窒化物薄膜中ではキャリアを出さないが、1原子当たりの磁気モーメントが大きく、小さいキャリア濃度においても大きな磁化強度を提供できる。磁性半導体素子の電気抵抗が大きいので、低消費電流の用途に適用可能である。また、d電子系のマンガンは、III族窒化物薄膜中ではアクセプタとして働き、大きなキャリア濃度を示して大きな磁化強度を提供できる。よって磁性半導体素子の電気抵抗が小さい。
上記の実施例の説明から理解されるように、磁性半導体素子11では、第1積層構造体15(及び/又は、第2積層構造体27)は、その一部または全部にn型ドーパントを備えることができる。n型ドーパントの添加により、積層構造体内のキャリア濃度を変更できる。例えば、n型ドーパントは、個々の第1III族窒化物半導体層17の一部又は全部に添加されることができ、また、個々の第2III族窒化物半導体層19の一部又は全部に添加されることができる。また、n型ドーパントは例えばSiであることができ、シリコンは非磁性のn型ドーパントとして有用である。
また、上記の実施例の説明から理解されるように、第1積層構造体15(及び/又は、第2積層構造体27)は、その一部または全部にp型ドーパントを含むことができる。p型ドーパントの添加により、積層構造体内のキャリア濃度を変更できる。p型ドーパントは個々の第1III族窒化物半導体層17の一部又は全部に添加されることができ、また個々の第2III族窒化物半導体層19の一部又は全部に添加されることができる。p型ドーパントは例えばMgであることができ、マグネシウムは非磁性のp型ドーパントとして有用である。
さらに、磁性半導体素子11は、例えば第1積層構造体15を含む磁気センサとして構成されることができ、一又は複数の積層構造体によって磁気センサを提供できる。また、磁性半導体素子11は、第1積層構造体15及び第2積層構造体27を含む磁気メモリとして構成されることができ、複数の積層構造体によって磁気メモリを提供できる。
(付記_1)
窒化ガリウム系半導体の磁性半導体を「GaXMG1−XN」と表すとき、磁性金属元素の組成「X」は例えば1%以上であり、例えば50%以下である。
窒化ガリウム系半導体の磁性半導体を「GaXMG1−XN」と表すとき、磁性金属元素の組成「X」は例えば1%以上であり、例えば50%以下である。
(付記_2)
実質的に半極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば5度以上35度以下の範囲、60度以上85度以下の範囲、95度以上120度以下の範囲、又は145度以上175度以下の範囲であることができる。
実質的に半極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば5度以上35度以下の範囲、60度以上85度以下の範囲、95度以上120度以下の範囲、又は145度以上175度以下の範囲であることができる。
(付記_3)
実質的に無極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば35度以上60度以下の範囲、85度以上95度以下の範囲、又は120度以上145度以下の範囲であることができる。
実質的に無極性を示す主面13aの傾斜角は、例えば35度以上60度以下の範囲、85度以上95度以下の範囲、又は120度以上145度以下の範囲であることができる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
本実施の形態によれば、大きな保磁力を有する磁性半導体素子を提供できる。
11…磁性半導体素子、13…半導体領域、15…第1積層構造体、17…第1III族窒化物半導体層、19…第2III族窒化物半導体層、20…第1金属磁性元素、30a…第1電極、30b…第2電極。
Claims (30)
- 磁性半導体素子であって、
六方晶系のIII族窒化物半導体からなる主面を有する半導体領域と、
第1III族窒化物半導体層及び第2III族窒化物半導体層を含み、前記半導体領域の前記主面上に設けられた第1積層構造体と、
を備え、
前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して5度以上175度以下の角度で傾斜し、
前記第1III族窒化物半導体層は第1金属磁性元素を含有し、前記第1金属磁性元素は、遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであり、
前記第1積層構造体において、前記第1III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第2III族窒化物半導体層の数は1以上であり、前記第1III族窒化物半導体層及び前記第2III族窒化物半導体層が交互に積層されている、磁性半導体素子。 - 前記遷移金属は、Sc、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Cdの少なくともいずれかであり、
前記希土類金属は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの少なくともいずれかである、請求項1に記載された磁性半導体素子。 - 前記第1III族窒化物半導体層の前記第1金属磁性元素は、V、Cr、Mn、Nd、Eu、Gd、Dy、Erの少なくともいずれかである、請求項1又は請求項2に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体は、室温において強磁性を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体のキュリー温度は600ケルビン以上である、請求項4に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体は室温において反強磁性を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体のネール温度は600ケルビン以上である、請求項6に記載された磁性半導体素子。
- 前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する半極性面を備える、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記半導体領域の前記主面は、前記半導体領域の前記III族窒化物半導体のc面に対して30度以上の角度で傾斜する無極性面を備える、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1III族窒化物半導体層の厚みは0.2nm以上であり、5nm以下である、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第2III族窒化物半導体層の厚みは1nm以上であり、15nm以下である、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体における前記第1III族窒化物半導体層と前記第2III族窒化物半導体層は周期的な配列を成しており、前記配列の周期は1.2nm以上であり、20nm以下である、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1III族窒化物半導体層の格子定数は前記第2III族窒化物半導体層の格子定数より大きい、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1III族窒化物半導体層は前記半導体領域の前記主面の面内方向に圧縮歪みを内包しており、
前記第2III族窒化物半導体層は前記半導体領域の前記主面の面内方向に引張歪みを内包している、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載に記載された磁性半導体素子。 - 前記第2III族窒化物半導体層は構成元素としてAl又はInを含む、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体は、該第1積層構造体の一部又は全部にn型ドーパントを含む、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記n型ドーパントはSiである、請求項16に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体は、該第1積層構造体の一部又は全部にp型ドーパントを含む、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記p型ドーパントはMgである、請求項18に記載された磁性半導体素子。
- 第2金属磁性元素を含有する第3III族窒化物半導体層と、
磁性金属元素を含有しない第4III族窒化物半導体層とを備え、
前記第3III族窒化物半導体層と前記第4III族窒化物半導体層は交互に積層されて第2積層構造体を構成し、
前記第2積層構造体は前記第1積層構造体上に設けられ、
前記第2積層構造体における前記第3III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第2積層構造体における前記第4III族窒化物半導体層の数は1以上である、請求項1〜請求項19のいずれか一項に記載の磁性半導体素子。 - 前記第1積層構造体の周期は前記第2積層構造体の周期と異なり、
前記第1積層構造体の保磁力は前記第2積層構造体の保磁力と異なる、請求項20に記載の磁性半導体素子。 - 磁性を有しない第5III族窒化物半導体層を更に備え、
前記第5III族窒化物半導体層は、前記第1積層構造体と前記第2積層構造体の間に設けられる、請求項20又は請求項21に記載された磁性半導体素子。 - 前記第2金属磁性元素は、遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかである、請求項20〜請求項22のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第2金属磁性元素は、Sc、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの少なくともいずれかである、請求項20〜請求項23のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記半導体領域はGaN基板を備える、請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記半導体領域は、シリコン基板と、該シリコン基板上に設けられたIII族窒化物系半導体層とを備える、請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記半導体領域は、サファイア基板と、該サファイア基板上に設けられたIII族窒化物系半導体層とを備える、請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体を含む磁気センサを備える、請求項1〜請求項27のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体を含む磁気メモリを備える、請求項1〜請求項27のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
- 前記第1積層構造体上に設けられた第2積層構造体と、
前記第1積層構造体と前記第2積層構造体との間に設けられたトンネル絶縁層と、
を更に備え、
前記第2積層構造体は、第3III族窒化物半導体層及び第4III族窒化物半導体層を含み、
前記第3III族窒化物半導体層は第2金属磁性元素を含有し、前記第2金属磁性元素は、遷移金属及び希土類金属の少なくともいずれかであり、
前記第2積層構造体において、前記第3III族窒化物半導体層の数は2以上であり、前記第4III族窒化物半導体層の数は1以上であり、前記第3III族窒化物半導体層及び前記第4III族窒化物半導体層が交互に積層されている、請求項1〜請求項19のいずれか一項に記載された磁性半導体素子。
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CN112640123A (zh) * | 2018-09-03 | 2021-04-09 | 国立大学法人大阪大学 | 氮化物半导体器件及其基板、和稀土元素添加氮化物层的形成方法、以及红色发光器件及其制造方法 |
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2014
- 2014-12-02 JP JP2014244212A patent/JP2016111052A/ja active Pending
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