JP2016110987A - アルカリ蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛等のデンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を負極活物質とするアルカリ蓄電池の電解液中に特定の化合物を添加剤として加え、アルカリ蓄電池のサイクル特性を向上させる。【解決手段】正極、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を活物質とする負極、並びにアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液は、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が7体積%以上の量で含有されることを特徴とする。前記化合物が13〜30体積%の量で含有されること、前記アルカリ蓄電池が開放形であること、前記化合物が、第一級アミノ基のみからなるアミノ基を有すること、第一級アミノ基を2つ以上有すること、エチレンジアミン、プロパンジアミン及びブタンジアミンからなる群から選ばれる1種以上を含むこと、前記化合物の分子量が200以下であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、亜鉛等のデンドライトが生成し得る金属/及び又はその化合物を活物質とする負極、並びにアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池に関する。
近年、電子機器の小型軽量化が進む中で、電源として高エネルギー密度電池の需要が増々高まっている。このような電池の負極活物質としてのZn、Mg、Cd、Al、Ca、Fe等は、単位質量当りのエネルギー密度や出力密度が高く、又は安価で安全性が優れているという利点がある。
しかしながら、Zn(亜鉛)等を活物質とする負極は、亜鉛等の溶解度が高いために充電時に亜鉛等のデンドライトが成長してセパレータの貫通ショートを起こすという問題があり、充放電サイクル寿命が短くなる原因になっていた(例えば、特許文献1参照)。
そこで、特許文献1においては、「酸化亜鉛および金属亜鉛を主成分とする亜鉛負極と、正極と、前記亜鉛負極と正極との間に介挿された保液層およびセパレータと、この保液層およびセパレータに含浸された電解液とを有する極群を積層してなる密閉形アルカリ亜鉛蓄電池において、前記極群内に分子量が10000以下のポリエチレンイミンを添加したことを特徴とする密閉形アルカリ亜鉛蓄電池。」(請求項1)の発明が提案され、「分子量が10000以下のポリエチレンイミンによってデンドライト成長しようとする金属亜鉛の結晶が包囲されるので、該結晶の成長を抑制することができる」(段落[0008])ことが示されている。
また、「上記した密閉形ニッケル−亜鉛蓄電池の極群内に添加するポリエチレンイミンとしては、その構造中に第1級アミノ窒素、第2級アミノ窒素または第3級アミノ窒素を含むものがよい。」(段落[0010])と記載され、「表2から、どのような分子量のポリエチレンイミンを電解液中に添加しても、その溶解度が小さいためにサイクル数の向上の点で十分な効果が得られていないが、亜鉛負極中または保液層中に添加すると、サイクル数を大きく向上させることができる。」(段落[0019])と記載されている。
特許文献2には、「負極活物質として亜鉛または亜鉛合金を包含する負極ゲルを、セパレータを挟んで正極活物質と対向させたアルカリ電池において、上記負極ゲルにキレート剤を添加したことを特徴とするアルカリ電池。」(請求項1)の発明が記載され、「その目的は、セパレータの薄化による発電物質の増量を可能にするとともに、放電により亜鉛酸化物の結晶が生成・成長してセパレータを貫通するのを効果的に抑制することができ、これにより放電性能を総合的に向上させることを可能にしたアルカリ電池を提供することにある。」(段落[0008])と記載されている。また、負極ゲルに、キレート剤として、エタノールアミン、シュウ酸、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、グリシン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸を添加したことが示されている(表1、段落[0033]〜[0044])。
さらに、水系電解液を用いた亜鉛空気電池においては、充放電サイクルの寿命が短い原因として、副反応により生じる水素ガスの発生、亜鉛の析出時に発生するデンドライトや形状変化が指摘されている(特許文献3参照)。特許文献3には、「分子内に炭素原子を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する有機物を少なくとも含むことを特徴とするアルカリ電池用電解液。」(請求項1)の発明が記載され、「本発明の目的とするところは、副反応により生じる水素ガスの発生や、亜鉛の析出時に発生するデンドライト、亜鉛の形状変化を抑制して、長期の充放電サイクル及び優れた充放電効率を実現し得るアルカリ電池用電解液及びアルカリ電池を提供することにある。」(段落[0007])と記載され、「このような構成にすると、空気−亜鉛二次電池やニッケル−亜鉛二次電池などのアルカリ二次電池に適用したとき、副反応により生じる水素ガスの発生や、亜鉛の析出時に発生するデンドライト、亜鉛の形状変化を抑制し得る。その結果、長期の充放電サイクル及び優れた充放電効率を実現し得る。」(段落[0024])と記載されている。
特許文献4には、「カドミウムまたは亜鉛を陰極活物質とする二次電池において、カドミウムまたは亜鉛と反応して錯イオンまたはキレートイオンを形成する添加剤を添加したことを特徴とする二次電池。」の発明が記載され、「・・・カドミウムまたは亜鉛を陰極活物質とする密閉型の二次電池において、電池内圧の増大を確実に防止でき、完全密閉形蓄電池となりうる二次電池を提供することを目的とする」(第2頁右上欄7〜11行)ことが記載されている。また、錯イオンまたはキレートイオンを形成する添加剤としてエチレンジアミン(同左下欄3〜6行)が示され、「添加剤の添加量は、電解液に添加する場合では、0.05〜2wt%程度が好ましい。」(同右下欄7〜9行)と記載され、実施例には、ヘキサメチレンジアミンを電解液に0.1%添加すること(第3頁左上欄下から4〜2行)が示されている。
特開平6−275310号公報 特開2006−286485号公報 特開2013−84349号公報 特開昭58−184274号公報
上記の特許文献1〜3に記載されているように、亜鉛等を活物質として用いた電極においては、充放電中におけるデンドライト生成及びシェイプチェンジ(活物質が電極面の中央付近に集まってくる現象)が起こり、放電性能やサイクル特性悪化の要因とされているが、電解液中に、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を有する有機物等を添加しても、サイクル特性の改善は十分ではなかった。本発明においては、亜鉛等のデンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物を負極活物質とするアルカリ蓄電池の電解液中に特定の化合物を添加剤として加え、アルカリ蓄電池のサイクル特性を向上させることを課題とする。
なお、特許文献2には、エタノールアミン、エチレンジアミン等を添加することが記載されているが、この発明は、上記のアミンを負極ゲルに添加するものであり、サイクル特性の向上を課題とするものではない。
特許文献4には、電解液中にエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を添加することが記載されているが、添加量が少なく、カドミウムまたは亜鉛を活物質とする負極のサイクル特性を向上させることは示されていない。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
本第一発明に係るアルカリ蓄電池は、正極、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を活物質とする負極、並びにアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液は、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が、前記アルカリ電解液の全体の体積に対して7体積%以上の量で含有されることを特徴とする。
本第二発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が、前記アルカリ電解液の全体の体積に対して13〜30体積%の量で含有されることを特徴とする。
本第三の発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一又は第二発明に係るアルカリ蓄電池であって、開放形であることを特徴とする。
本第四発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第三いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が有するアミノ基が、第一級アミノ基のみからなることを特徴とする。
本第五発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第四いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、第一級アミノ基を2つ以上有することを特徴とする。
本第六発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第四又は第五の発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、エチレンジアミン、プロパンジアミン及びブタンジアミンからなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする。
本第七発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第六いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物の分子量が200以下であることを特徴とする。
本第八発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第七発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物の分子量が90以下であることを特徴とする。
本第九発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第八いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、前記アルカリ電解液中で2モル%以上の濃度であることを特徴とする。
本第十発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第九いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液が、水酸化ナトリウムを含むことを特徴とする。
本第十一発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第十いずれかの発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記負極の活物質である前記デンドライトを生成し得る金属が、Zn、Mg、Cd、Al、Ca、及びFeの群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
本第十二発明に係るアルカリ蓄電池は、前記十一発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記負極の活物質である前記デンドライトを生成し得る金属が、Znであることを特徴とする。
本第十三発明に係るアルカリ蓄電池は、前記第一から第十二発明に係るアルカリ蓄電池であって、前記正極が、空気極であることを特徴とする。
本発明(本第一から第十三発明)においては、電解液中に特定の化合物を添加剤として加えることによって、亜鉛等デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物を負極活物質とするアルカリ蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。また、その添加量も一定以上(7体積%以上)でないと効果を奏しないことが明らかになった。
本発明に係る開放形アルカリ蓄電池の模式図 本発明に係る開放形アルカリ蓄電池(対極を空気極とした場合)の模式図 本発明の実施例及び比較例におけるエチレンジアミン、プロパンジアミン及びブタンジアミンの添加量とサイクル寿命の関係を示す図
本発明のアルカリ電解液は、負極の活物質が、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物であれば適用することができる。ここで、「デンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物」とは、Zn、Mg、Cd、Al、Ca、Fe等の卑金属、これらの合金、及び/又はこれらの卑金属若しくは合金の化合物等であって、アルカリ電解液への溶解析出時にデンドライトを生成する可能性のある金属及び/又はその金属化合物を意味する。
本発明のアルカリ電解液を用いることにより、負極活物質である上記の金属及びその金属化合物の溶解析出時のデンドライトの生成を抑制することができ、アルカリ蓄電池のサイクル特性が向上する。なかでも、負極活物質が、Zn、Cd及びFeの場合に有効であり、特に、Zn(亜鉛)の場合に有効である。
本発明においては、亜鉛等のデンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を活物質とする負極を備えたアルカリ蓄電池用アルカリ電解液に、第一級アミノ基を有する化合物を添加することにより、亜鉛等の溶解析出時の電極形態を制御することができ、デンドライトの生成が抑制され、サイクル寿命が向上する。第一級アミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン(プロピレンジアミン)、1,3−プロパンジアミン(トリメチレンジアミン)、1,4−ブタンジアミン(テトラメチレンジアミン)、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエタノール等を用いることができる。エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン等のアミノ基が第一級アミノ基のみからなる化合物、第一級アミノ基を2つ以上有する化合物が好ましく、エチレンジアミン(EDA)が特に好ましい。化合物の分子量が200以下であるものは、イオン拡散や電子導電性を低下させる影響が少ないことから好ましい。さらに、化合物の分子量が90以下であるものが、電解液中への含有量を増加させることができる点で好ましい。
第一級アミノ基を有する化合物でも、グリシン等のカルボキシル基を有する化合物では、電解液のアルカリと中和反応が起こるため、効果を奏さない。したがって、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が好ましい。但し、本発明の効果に影響がない程度の不純物レベルのカルボキシル基の存在を排除するものではない。
また、末端にNH基が存在するものが好ましく、分子鎖の間にNが存在するとアルカリ耐性が低くなるために好ましくない。第一級アミノ基を有することが必要であり、イミノ基、ヒドロキシル基等では効果がない。
第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物(添加剤)の含有量は、アルカリ電解液中に、前記アルカリ電解液の全体の体積100体積%に対して7体積%以上とする。7体積%未満では、添加した効果がなく、サイクル寿命は向上しない。10体積%以上とすることが好ましく、13体積%以上とすることがより好ましい。さらに、20体積%以上とすることが好ましい。添加剤の含有量が30体積%を超えると、電解液に分層が認められるので、30体積%以下とすることが好ましい。添加剤の含有量は、モル量では、アルカリ電解液中に1モル%〜4.5モル%とすることが好ましく、2モル%〜4モル%とすることがより好ましい。さらに、3モル%以上とすることが好ましい。また、亜鉛に対する添加剤の含有量は、2.1モル%以上することが好ましく、3モル%〜9モル%とすることがより好ましい。
また、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物であっても、その分子量が大きい場合には、アルカリ電解液中に7体積%以上溶解することが難しくなる。例えば、ポリエチレンイミンと類似の構造をもつ、第一級アミノ基と第二級アミノ基を有するペンタエチレンヘキサミンについて、試験を行ったところ、電解液に6.1体積%溶解することができなかった。ペンタエチレンヘキサミンの分子量が232、後述する実施例13のテトラエチレンペンタミンの分子量が189であるから、この間に電解液に7体積%溶解できる分子量の値があるといえる。よって、これらの化合物と類似の構造をもつポリエチレンイミンの分子量が、特許文献1に記載されているように250以上である場合は、電解液に7体積%以上溶解することはできないと考えられる。本発明においては、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物の分子量を200以下とすることにより、その化合物の含有量を、アルカリ電解液中に7体積%以上とすることができる。
本発明におけるアルカリ電解液としては、例えば、水にアルカリ金属の水酸化物を溶解させたものを用いることができ、アルカリ金属の水酸化物としては、KOH、NaOH、LiOH等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ電解液中にNaOHを含むことが好ましい。低濃度であると亜鉛極から水素が発生して自己放電が促進され、高濃度であると電解液の粘度が増大しイオンの拡散が低下することから、アルカリの濃度は、3モル%から9モル%の範囲とすることが好ましい。
上記のように、負極活物質としては、金属亜鉛及び/又は亜鉛化合物を用いることが好ましい。酸化亜鉛(ZnO)及び金属亜鉛(Zn)の一方又は両方を負極活物質とすることがより好ましい。
例えば、上記負極活物質の粉末、アセチレンブラック、PbO等の粉末に、水、及びポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンラバー等のバインダを加えてペーストを作製する。このペーストを発泡銅、発泡ニッケル等の基材に充填もしくは穿孔鋼板に塗布して、充分に乾燥させた後、ロール加工を施し、裁断することにより、負極とする。
本発明のアルカリ電解液は、亜鉛等のデンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を活物質とする負極を備えたアルカリ蓄電池であれば、正極の種類によらず用いることができ、ニッケル−亜鉛蓄電池、酸化銀−亜鉛蓄電池、マンガン−亜鉛蓄電池、空気−亜鉛蓄電池等のアルカリ亜鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、空気−マグネシウム蓄電池、空気−アルミニウム蓄電池、空気−カルシウム蓄電池、空気−鉄蓄電池等に適用できる。なかでも、空気−亜鉛蓄電池が好ましい。空気極の電位であれば、本発明の化合物の分解を抑制することができる。
例えば、正極としては、オキシ水酸化ニッケルを主たる成分とする金属水酸化物と発泡ニッケルなどの集電体とで構成されたニッケル極、炭素材料と酸素還元触媒と結着剤で構成された空気極等を用いることができる。
本発明のアルカリ蓄電池には、セパレータとして、従来のアルカリ亜鉛蓄電池に用いられているセロハン、架橋構造を有するポリビニルアルコール膜、ポリオレフィン膜等を用いることができる。特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の微多孔膜セパレータの上にPE、PP等の不織布セパレータを重ねて配置した複合構造のセパレータが、デンドライトによるショートを防止するためには好ましい。
本発明のアルカリ蓄電池は、図1に示すように、開放形とすることが好ましい。
本発明における開放形電池は、電池内の内圧と外気圧とが概ね一致しているものであれば良い。
本発明における開放形電池の開放部には、図1(a)に示すように、外部からの異物混入を防ぐカバーなどを設けることができる。当該カバーの形態の例として、電池内の内圧を電池外に放出するための復帰式の弁体などが挙げられる。
また、図1(b)に示すように、電極に空気極を採用するものであれば、当該空気極を通じて電池内の内圧を電池外に放出できる。空気極を有する電池においては、改めて内圧の放出をする機構を設ける必要がなく、電池構造の簡略化ができるため、好ましい。
本発明においては、アルカリ電解液に、例えば、エチレンジアミンを多量添加しても,当該電池が開放形であり,特許文献1〜4に示した密閉形蓄電池と比べてガス発生を懸念しなくてすむ。そして、エチレンジアミン等を一定量以上添加することにより、サイクル特性を向上させ、高率放電特性を向上させることができる。
(実施例1)
(実施例1−1)
<アルカリ電解液の作製>
純水にKOH粉末を溶解し、アルカリ水溶液を作製した。そのアルカリ水溶液にエチレンジアミン(EDA)を添加し、4モル%のKOH、アルカリ水溶液の全体の体積100体積%に対して13.4体積%(2モル%)のエチレンジアミンを含有するように調整した。さらに、ZnO粉末を過剰量投入して、25 ℃にて24h撹拌した。その後、濾過して余剰分のZnOを取り除くことによって、亜鉛飽和アルカリ電解液とし、実施例1−1に用いるアルカリ電解液を作製した。
<亜鉛負極の作製>
ZnO粉末、アセチレンブラック(AB)、PbO粉末を所定量秤量して撹拌した。その後、水およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンを加えて、さらに撹拌してペーストを作製した。固形分は、それぞれ、ZnO:AB:PTFE:PbO=88:5:5:2(mass%)となるようにして、水分率はペースト全体の65mass%となるように調整した。そのペーストを厚み1mm、面積当たりの密度が0.45g/cmの発泡銅基材に充填して、充分に乾燥させた後、ロール加工を施した。これにより、厚さが0.35mmのZnO電極のシートを得た。この基材を2cm×2cmに裁断することによって、ZnO電極(亜鉛負極)が得られる。この亜鉛負極(極板)の理論容量が100mAhとなるように、ペースト充填量を調整した.
<対極の作製>
対極による亜鉛負極への影響を少なくするために、対極にもZnO電極を用いた。上記の亜鉛負極の原料にZn粉末を加えて、ペースト配合比をZn:ZnO:AB:PTFE:PbO=54:34:5:5:2(mass%)となるようにした。また、極板面積を2.5cm×3.0cmとして、電極容量を亜鉛負極に対して過剰になるようにペーストを充填したこと以外は亜鉛負極と同様に作製した。
<セルの作製>
上記のように作製した亜鉛負極及び対極の両側にポリプロピレンの微多孔膜セパレータを配置して、さらにその上にポリプロピレンおよびポリプロピレンを使用した繊維で構成された不織布セパレータを重ねて配置した。亜鉛負極の両側に対極を配置して、容器にセットした。また、参照極としてHg/HgO電極を設けた。上記のように調製したアルカリ電解液を電極が充分に満たされる程度に注いだ(2.5ml)。その後、電解液が充分に電極に浸透するまで静置した。このようにして、実施例1−1に係る開放形のセルを作製した。
(実施例1−2〜1−13)
亜鉛飽和アルカリ電解液に添加する添加剤の種類及び/又はその添加量を表1に示されるように変更した他は、実施例1−1と同様にして、アルカリ電解液を調製し、実施例1−2〜1−4、1−8〜1−13に係る開放形のセルを作製した。
また、アルカリ電解液の電解塩の種類及び/又はその添加量を表1に示されるように変更した他は、実施例1−2と同様にして、アルカリ電解液を調製し、実施例1−5〜1−7に係る開放形のセルを作製した。
また、
(比較例1−1、1−5〜1−7)
亜鉛飽和アルカリ電解液にエチレンジアミン(EDA)を添加しない他は、実施例1−1、1−5〜1−7と同様にして、アルカリ電解液を調製し、比較例1−1、1−5〜1−7に係る開放形のセルを作製した。
(比較例1−2〜1−4、1−8〜1−11)
亜鉛飽和アルカリ電解液に添加する添加剤の種類及び/又はその添加量を表1に示されるように変更した他は、実施例1−1と同様にして、アルカリ電解液を調製し、比較例1−2〜1−4、1−8〜1−11に係る開放形のセルを作製した。
<サイクル特性評価>
実施例1−1〜1−13、比較例1―1〜1−11のアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池について、以下の条件で、25℃の環境下にてサイクル試験を行った。
1サイクル目は以下の条件にて充放電を行った。
電流を0.25CmA(25mA)として、1時間充電、5分間休止した後、参照極に対して−0.8Vとなるように放電した。
2サイクル目以降は以下の条件を繰り返した。
電流を0.5CmA(50mA)として、1時間充電、5分間休止した後、参照極に対して−0.8Vとなるように放電した。
上記の条件にてサイクル試験を行い、放電容量が急激に減少し始めたところのサイクル数をサイクル寿命とした。また、デンドライト生成によるショートが生じた場合においても、サイクル寿命とした。
サイクル試験の結果を、アルカリ電解液の組成、添加剤(第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物等)の体積%と合わせて、表1に示す。また、本発明の実施例及び比較例におけるエチレンジアミン、プロパンジアミン及びブタンジアミンの添加量とサイクル寿命の関係を図2に示す。
表1より、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が7〜30体積%の量で含有される実施例1−1〜1−13のアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池は、添加剤を含有しない場合(比較例1−1、比較例1−5〜1―7)と比較して、サイクル寿命が向上していることがわかる。
実施例1−1〜1−13においては、充電時に亜鉛が析出する際に電解液中で錯体を形成しているので、局所的な亜鉛の析出(デンドライト生成等)を抑制することができる。さらには,放電時に亜鉛が溶解する際には電解液中で錯体を形成するので、局所的な亜鉛の溶解を抑制することができる。局所的な溶解および析出が抑制される原因は添加剤を加えた場合には,亜鉛が錯体を形成するために、溶解析出時の反応速度が添加剤を加えない場合と比べて異なるためであると考えられる。その効果によって、電極上で均質に溶解析出反応は起こり、シェイプチェンジも抑制され、サイクル寿命が向上すると推察される。
これに対して、アルカリ電解液に上記の添加剤が含有されていても、含有量が7体積%未満の場合(比較例1−2〜1−4)は、サイクル寿命向上の効果が認められない。また、第一級アミノ基を有しない化合物が含有される場合(比較例1−8、1−10及び1−11)、第一級アミノ基を有していても、カルボキシル基を有する化合物が含有される場合(比較例1−9)は、サイクル寿命向上の効果がない。
また、表1より、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物として、アミノ基が第一級アミノ基のみからなり、第一級アミノ基を2つ以上有する化合物であるエチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミンがアルカリ電解液中に10〜30体積%で含有される場合(実施例1−1〜1−10)に、サイクル寿命向上の効果が顕著であるといえる。
(実施例2)
(実施例2−1〜2−3)
実施例1−2、1−8、1−9の組成のアルカリ電解液を用いて、高率放電試験用に、それぞれ、実施例2−1、2−2、2−3に係る開放形のセルを、同様の方法で作製した。
(比較例2−1〜2−3)
比較例1−1、1−8、1−10の組成のアルカリ電解液を用いて、高率放電試験用に、それぞれ、比較例2−1、2−2、2−3に係る開放形のセルを、同様の方法で作製した。
<高率放電特性評価>
実施例2−1〜2−3、比較例2―1〜2−3のアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池について、以下の条件で、25℃の環境下にて高率放電試験を行った。
1サイクル目は、電流を0.25CmA(25mA)として、1時間充電、5分間休止した後、参照極に対して−0.8Vとなるように放電した。
これ以降のサイクルにおいては、充電電流を0.50CmA(50mA)として、1時間充電した。そして、5分間休止した後、それぞれの放電を行った。放電時のカットオフ電位はすべて参照電極に対して、−0.8Vとした。
2サイクル目から4サイクル目は、電流を0.5CmA(50mA)として放電した。
5サイクル目は、電流を0.2CmA(20mA)として放電した。
6サイクル目は、電流を1.0CmA(100mA)として放電した。5分休止後、さらに、電流を0.2CmA(20mA)として放電した。(ここで0.2CmAで放電した容量は放電容量には加えていない。以下、一度放電を行った後、充電せずに0.2CmAで放電した容量は放電容量として加えていない。)
7サイクル目は、電流を3.0CmA(300mA)として放電した。5分休止後、さらに、電流を0.2CmA(20mA)として放電した。
8サイクル目は、電流を0.5CmA(50mA)として放電し、2サイクル目から4サイクル目と比較して容量の変化が無いことを確認した。
9サイクル目は、電流を5.0CmA(500mA)として放電した。さらに、電流を0.2CmA(20mA)として放電した。
10サイクル目は、電流を7.5CmA(750mA)として放電した。さらに、電流を0.2CmA(20mA)として放電した。
11サイクル目は、電流を0.2CmA(20mA)として放電し、2サイクル目から4サイクル目と比較して容量の変化が無いことを確認した。
高率放電試験の結果を、アルカリ電解液の組成、添加剤(第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物等)の体積%と合わせて、表2に示す。
表2に示されるように、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が7〜30体積%の量で含有される実施例2−1〜2−3のアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池は、添加剤を含有しない場合(比較例2−1)、第一級アミノ基を有しない化合物が含有される場合(比較例2−3)、第一級アミノ基を有していても、カルボキシル基を有する化合物が含有される場合(比較例2−2)と比較して、高率放電特性に優れるという予想外の効果が得られた。これは、本発明の化合物を用いることにより、亜鉛溶解時の電極の不動態化を抑制して、深放電ができることに起因すると推察される。
本発明のアルカリ電解液を用いることにより、アルカリ電解液と、亜鉛等を活物質とする負極とを備えたアルカリ蓄電池のサイクル寿命、高率放電特性が顕著に向上するから、このアルカリ蓄電池は、電子機器、電気自動車等の電源として有用である。

Claims (13)

  1. 正極、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその金属化合物を活物質とする負極、並びにアルカリ電解液を備えたアルカリ蓄電池であって、前記アルカリ電解液は、第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が、前記アルカリ電解液の全体の体積に対して7体積%以上の量で含有されることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  2. 前記第一級アミノ基を有し、カルボキシル基を有しない化合物が、前記アルカリ電解液の全体の体積に対して13〜30体積%の量で含有されることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
  3. 開放形であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ蓄電池。
  4. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が有するアミノ基が、第一級アミノ基のみからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  5. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、第一級アミノ基を2つ以上有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  6. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、エチレンジアミン、プロパンジアミン及びブタンジアミンからなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載のアルカリ蓄電池。
  7. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物の分子量が200以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  8. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物の分子量が90以下であることを特徴とする、請求項7に記載のアルカリ蓄電池。
  9. 前記アルカリ電解液に含有される前記化合物が、前記アルカリ電解液中で2モル%以上の濃度であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  10. 前記アルカリ電解液が、水酸化ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  11. 前記負極の活物質である前記デンドライトを生成し得る金属が、Zn、Mg、Cd、Al、Ca、及びFeの群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
  12. 前記負極の活物質である前記デンドライトを生成し得る金属が、Znであることを特徴とする請求項11に記載のアルカリ蓄電池。
  13. 前記正極が、空気極であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池。
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