JP2016110893A - 酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物超電導層の剥離を抑制した酸化物超電導線材の提供を目的とする。【解決手段】帯状の基材の一方の面に、中間層、酸化物超電導層、および保護層が積層された積層体と、前記積層体の前記保護層の上面に半田接合された安定化層と、を備えた酸化物超電導線材であって、前記酸化物超電導層を厚さ方向に貫通し前記酸化物超電導層より下側に位置する層と前記安定化層とを溶融接合する溶接領域を有する酸化物超電導線材。また、前記溶接領域が、前記基材と前記安定化層とを溶融接合してもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法に関する。
RE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X:REはYを含む希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示し、電流損失が低いため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは磁気コイル等として使用することが要望されている。この酸化物超電導体を線材に加工するための方法として、金属基材テープ上に酸化物超電導層を形成する方法が研究されている。
酸化物超電導線材にあっては、酸化物超電導層の上に薄いAgの保護層を形成し、その上にCu合金からなる金属テープを半田接合し、Agの保護層上にCu合金の安定化層を形成する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2009−48987号公報
このような構造の酸化物超電導線材は、線材の製造工程や超電導コイルへの加工工程などにおいて、線材に対し曲げ応力等の外的負荷や、熱収縮に起因する内的負荷が加わった場合に、積層された各層同士が剥離する場合がある。基材、中間層、酸化物超電導層および保護層は、それぞれ全く異なる構成材料からなる。したがって、これらはヤング率や熱膨張率が異なり応力の作用による歪みの影響も一様ではない。このため外的負荷又は内的負荷が作用した場合に各層の界面に応力が集中して層間剥離につながる虞がある。特に酸化物超電導層の剥離は、超電導特性を劣化させるという問題があった。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、酸化物超電導層の剥離を抑制した酸化物超電導線材の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材は、帯状の基材の上面に、中間層、酸化物超電導層、および保護層が積層された積層体と、前記積層体の前記保護層の上面に半田接合された安定化層と、を備えた酸化物超電導線材であって、前記酸化物超電導層を厚さ方向に貫通し前記酸化物超電導層より下側に位置する層と前記安定化層とを溶融接合する溶接領域を有する。
この構成によれば、安定化層が酸化物超電導層より下側の層と溶接領域により溶融接合される。上下で溶融接合された層同士の間に酸化物超電導層が挟まれた構造となり、酸化物超電導層を補強することができる。したがって、酸化物超電導層と中間層との剥離、ならびに酸化物超電導層と保護層との剥離を抑制した酸化物超電導線材を提供できる。
上記の酸化物超電導線材は、前記溶接領域が、前記基材と前記安定化層とを溶融接合していてもよい。
この構成によれば、安定化層が強度の高い基材と溶融接合されることで、溶融接合された層同士の間に、中間層および酸化物超電導が挟まれた構造となる。これにより、中間層と基材との剥離、中間層を構成する各層間の剥離、中間層と酸化物超電導層との剥離、酸化物超電導層と中間層との剥離、ならびに酸化物超電導層と保護層との剥離を抑制した酸化物超電導線材を提供できる。
上記の酸化物超電導線材は、前記溶接領域が、前記溶接領域が、線材の幅方向の少なくとも一部に形成され、線材の長さ方向に延びていてもよい。
この構成によれば、酸化物超電導層を長さ方向に亘り補強して、長さ方向に亘って酸化物超電導層の剥離を抑制できる。
上記の酸化物超電導線材の一実施形態に係る酸化物超電導線材の製造方法は、帯状の基材の一方の面に、中間層、酸化物超電導層、および保護層を積層して積層体を形成する工程と、前記積層体の前記保護層の面上に金属テープを半田接合して安定化層を形成する工程と、前記基材側の面、又は前記安定化層側の面の幅方向の少なくとも一部にレーザ光を照射し、前記安定化層を酸化物超電導層より下の層と溶接して、前記酸化物超電導層を厚さ方向に貫通する溶接領域を形成する溶接工程と、を有する。
この構成によれば、レーザ光を照射することで容易に溶接領域を形成することができる。また、溶接にレーザ光を用いることで、局所的に加熱して、溶接領域を幅方向に狭く形成できる。
上記の酸化物超電導線材の製造方法において、前記溶接工程は、前記レーザ光を照射しながら線材を長さ方向に搬送して長さ方向に延びる前記溶接領域を形成しても良い。
この構成によれば、酸化物超電導線材を長さ方向に搬送しながら連続的に溶接領域を形成することができるため、酸化物超電導線材の生産効率を高めることができる。
本発明の酸化物超電導線材によれば、安定化層が酸化物超電導層より下側の層と溶接領域を介して溶融接合される。したがって、酸化物超電導層が上下から溶融接合された層に挟まれた構造となり、酸化物超電導層を補強し酸化物超電導層の剥離を抑制した酸化物超電導線材を提供できる。
実施形態の酸化物超電導線材を模式的に示す断面傾視図である。 実施形態の酸化物超電導線材の溶接工程の一例を示す図であり、図2(a)は、レーザ光照射装置と搬送装置の概略図であり、図2(b)は、レーザ光照射装置により溶接される酸化物超電導線材の断面傾視図である。 変形例1の酸化物超電導線材を模式的に示す断面傾視図である。 変形例2の酸化物超電導線材を模式的に示す断面傾視図である。 変形例3の酸化物超電導線材を模式的に示す断面傾視図である。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
また、本明細書中の各図において、線材の幅方向をX方向、長手方向をY方向、厚さ方向をZ方向とする。
図1に本実施形態の酸化物超電導線材5の断面斜視図を示す。
図1に示すように、本実施形態の酸化物超電導線材(線材)5は、積層体10と、安定化層6とを備えている。積層体10は、帯状の基材1の上面1aに、中間層2、酸化物超電導層3、および保護層4が積層されてなる。安定化層6は、積層体10の保護層4の上面に半田接合されている。また、安定化層6と積層体10には、中間層2および酸化物超電導層3を貫通して基材1と安定化層6とを溶融接合する溶接領域7が形成されている。溶接領域7は、中間層2および酸化物超電導層3を厚さ方向に貫通している。溶接領域7は、酸化物超電導線材5の幅方向の少なくとも2か所に形成され、長さ方向に延びている。
以下、各部の構成について詳細に説明する。
基材1は、酸化物超電導線材5の基材として使用し得るものであれば良く、耐熱性の金属からなるものが好ましい。基材1は、耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル(Ni)合金又は銅(Cu)合金がより好ましい。なかでも、市販品であればハステロイ(商品名、ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等の何れの種類も使用できる。また、基材1として、金属結晶の配向をそろえた配向基板を用いても良い。
本実施形態においては、基材1の形状は、長尺のテープ形状であるが、例えば、シート形状であっても良い。基材1の厚みは、目的に応じて適宜調整すれば良く、10〜500μmの範囲とすることができる。
中間層2は、基材1の上面1a上に形成される。中間層2は、下地層と、配向層およびキャップ層がこの順に積層された構造を適用することができる。下地層は、拡散防止層およびベッド層の何れか一方又は両方からなる。
拡散防止層は、この層よりも上面に他の層を形成する際に加熱処理した結果、基材1や他の層が熱履歴を受ける場合に、基材1の構成元素の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層3側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成され、例えば厚み10〜400nmに形成される。
ベッド層は、基材1と酸化物超電導層3との界面における構成元素の反応を抑え、この層よりも上面に設ける層の配向性を向上させるために設けられる。ベッド層は、界面反応性を低減し、その上に形成される膜の配向性を得るため層であり、Y、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等からなり、その厚みは例えば10〜100nmである。
配向層は、その上に形成されるキャップ層や酸化物超電導層3の結晶配向性を制御するために設けられる。配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、酸化物超電導層3の結晶配向性を配向層と同等ないしそれ以上に強く制御するために設けられる。キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなり、具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等からなる。キャップ層の膜厚は50〜5000nmの範囲に形成できる。
酸化物超電導層3は酸化物超電導体として公知のもので良く、具体的には、RE−123系と呼ばれるREBaCu7−X(REは希土類元素であるY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上を表す)を例示できる。この酸化物超電導層3として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示できる。
酸化物超電導層3の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層3の上面には、保護層4が形成されている。保護層4は、Ag又はAg合金などの良電導性からなり、酸化物超電導層3との接触抵抗が低くなじみの良い層として形成される。保護層4は、スパッタ法などの成膜法により積層されて、その厚さは、1〜30μm程度とされる。
上述した、基材1、中間層2、酸化物超電導層3、保護層4により積層体10が構成されている。
安定化層6は、積層体10を構成する保護層4の上面に金属テープを半田接合することで形成されている。なお、各図において、半田接合に用いた半田の図示を省略する。安定化層6を構成する金属テープは、良導電性を有する材料からなり、例えば、銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅製が好ましい。安定化層6は、酸化物超電導層3が超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、保護層4とともに、酸化物超電導層3の電流が転流するバイパスとして機能する。また、酸化物超電導線材5をコイル状に巻回して超電導限流器に使用する場合において、安定化層6は、クエンチが起こり常電導状態に転移した時に発生する過電流を瞬時に抑制するために用いられる。この場合、安定化層6を構成する金属テープに用いられる材料は、例えば、Ni−Cr等のNi系合金等の高抵抗金属を用いる事が好ましい。
また、安定化層6は、積層体10の周囲に断面視略C字型に金属テープで覆う構成としても良い。この場合、金属テープは、積層体10の外周(横断面四方)に半田接合され、安定化層6を構成する。
安定化層6を構成する金属テープの厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることができる。
安定化層6は、基材1と溶融接合(溶接)されており、安定化層6と基材1とを接合するように溶接領域7が形成されている。溶接領域7は、中間層2、酸化物超電導層3、保護層4を厚さ方向に貫通する。溶接領域7は、酸化物超電導線材5の幅方向の2か所に形成され、長さ方向に延びている。
溶接領域7は、安定化層6の上面6a、又は基材1の下面1bにレーザ光Lを照射して加熱することで形成できる。溶接領域7は、安定化層6の下面側の一部、半田の一部、保護層4の一部、酸化物超電導層3の一部、中間層2の一部、基材1の上面1a側の一部が溶融、固化してなる。したがって、溶接領域7の組成は、各層の構成元素が混ざり合った合金組成となっている。
酸化物超電導層3のうち、溶接領域7は、超電導特性を有さず、溶接領域7以外の領域が、超電導特性を有する超電導領域3aとなる。溶接領域7の幅寸法W7を大きくすることで、溶接領域7の剛性を高め各層に加わる剥離応力を抑制できる一方で、超電導領域3aが小さくなり酸化物超電導線材5の臨界電流値Icが低下する。溶接領域7の幅寸法W7は、十分な剛性を得つつ、超電導領域3aを小さくし過ぎない範囲として、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。
本実施形態の酸化物超電導線材5によれば、溶接領域7により、安定化層6と基材1とが溶融接合されているため、各層の積層方向に加わる応力は、溶接領域7によって支持される。このため、安定化層6と基材1とが互いに離間しにくく、酸化物超電導線材5の各層の層間に加わる剥離応力を抑制できる。即ち、安定化層6と基材1との間に設けられた各層(中間層2、酸化物超電導層3および保護層4)の層間に剥離応力が生じにくくなる。また、中間層2を構成する各層(例えば下地層、配向層およびキャップ層)の層間においても剥離応力が生じにくくなる。加えて、安定化層6と保護層4の層間、基材1と中間層2の層間にも応力が生じにくくなる。これにより、酸化物超電導線材5は、各層の剥離を抑制できる。
なお、本実施形態では、溶接領域7が酸化物超電導層3と中間層2とを貫通して設けられており、基材1と安定化層6とを互いに溶融接合した構造を例示した。しかしながら、溶接領域7が中間層2を貫通せずに、中間層2と安定化層6とを溶融接合する構造としても良い。即ち、溶接領域7は、酸化物超電導層3を厚さ方向に貫通し酸化物超電導層3より下側(−Z側)に位置する層と安定化層とを溶融接合するものであればよい。積層構造を有する酸化物超電導線材5においては、中間層2と酸化物超電導層3との剥離が最も顕著に生じやすい。中間層2と安定化層6とを溶接領域7によって溶融接合して、中間層2と酸化物超電導層3との層間に剥離応力を生じにくくすることで、中間層2と安定化層6との剥離を抑制しても良い。溶接領域7が中間層2を貫通するか否かは、溶接領域7の形成工程において、レーザ光Lのスポットのエネルギー密度や照射時間により制御できる。
なお、本実施形態に示すように、溶接領域7が安定化層6と基材1を溶融接合する構造とする場合には、安定化層6と基材1との間に含まれる全ての層間に生じる剥離応力を抑制できるため、より好ましい。
酸化物超電導線材5の横断面において、溶接領域7は、酸化物超電導層3の2か所に形成されており、酸化物超電導線材5の長さ方向に延びている。したがって、酸化物超電導層3は、幅方向に分割された構成となる。しかしながら溶接領域7は、線材5の長さ方向全域に形成されている必要は無い。例えば、溶接領域7は、線材5を屈曲させる所定の長さの領域に選択的に形成されていても良い。また、溶接領域7は、線材5の長さ方向に対して、スポット的に複数設けられていても良い。このような場合は、溶接領域7を必要な箇所のみに形成することで、溶接領域7が設けられることによる電気特性の低下を抑制できる。一方で、酸化物超電導線材5の長さ方向全域にわたり、剥離応力が生じることが予想される場合は、溶接領域7は、長さ方向に延びた形状とすることが好ましい。
また、本実施形態において、溶接領域7は、酸化物超電導層3の幅方向の2か所に設けられているが、少なくとも一部に形成されていれば、剥離応力を抑制する一定の効果を得ることができる。ただし、溶接領域7を酸化物超電導層3の幅方向の2か所以上に設けることで、安定化層6と基材1とをより強固に溶融接合することができ、より好ましい。
<製造方法>
次に、この酸化物超電導線材5の製造方法の一例について説明する。
まず、帯状の基材1を用意し、基材1の上面1a側に、従来公知の方法により、中間層2、酸化物超電導層3、保護層4を積層し、積層体10を形成する。
次に、前記酸化物超電導層に酸素を供給する酸素アニール処理工程を行い、酸化物超電導層3に酸素を供給して、その結晶構造を整え、超電導特性を向上させる。
次に、積層体10の保護層4の上面に金属テープを半田接合して安定化層6を形成する。
次に、安定化層6の上面6aからレーザ光Lを照射し、安定化層6と基材1とを溶接して、中間層2および酸化物超電導層3を貫通する溶接領域7を形成する溶接工程を行う。
図2(a)、(b)を基に溶接工程について説明する。
図2(a)は、線材5にレーザ光Lを照射するレーザ光照射装置20と、線材5を長さ方向に搬送する搬送装置21と、を示す概略図である。
搬送装置21は、繰出しリール26と巻取りリール27とを有している。また、レーザ光照射装置20は、繰出しリール26と巻取りリール27との間に配置されている。線材5は、繰出しリール26に巻回されている。巻取りリール27には、モータ(図示略)等の駆動装置が取り付けられており、巻取りリール27に巻き掛けて、駆動装置を動作させることで線材5を繰出しリール26から繰り出し巻取りリール27で巻き取ることができる。
図2(b)に示すように、レーザ光照射装置20は、繰出しリール26から巻き出された線材5の安定化層6の上面6aにレーザ光Lを照射する。本実施形態においては、レーザ光照射装置20は、線材5の幅方向に対し2基配置されており、各レーザ光照射装置20により、安定化層6の幅方向の異なる位置にレーザ光Lを照射する。
酸化物超電導線材5の安定化層6は、レーザ光Lが照射することで溶融し、保護層4、酸化物超電導層3、中間層2を貫通して基材1と溶融接合される。これにより、酸化物超電導線材5には、溶接領域7が形成される。
溶接工程に用いるレーザ光照射装置20としては、例えばファイバーレーザ(波長1065nm、出力300W)を用いることができる。また、溶接条件として、例えば、スポット径50μm、溶接速度:30m/分とすることができる。溶接工程は、アシストガスとして窒素ガスを溶接部に吹きつけながら溶接を行ってもよい。このような条件で溶接工程を行うことで、レーザ光Lは、安定化層6の表面のみを加熱することなく熱が内部にまで侵入し安定化層6から基材1に達する溶接領域7を形成できる。また、酸化物超電導層3の超電導領域3aを劣化させることがなく、溶接領域7を効率よく形成できる。
以上に説明した酸化物超電導線材5の製造方法によれば、レーザ光照射装置20によりレーザ光Lを照射することで容易に溶接領域7を形成することができる。また、レーザ光Lは、安定化層6を形成後に照射されるために、酸化物超電導層3が、保護層4および安定化層6に守られて、溶接工程において酸化物超電導層3が損傷することを抑制できる。また、溶接工程として、レーザ光照射装置20を用いることで、レーザ光Lによる局所的な加熱が可能となり、幅寸法W7(図1参照)が狭い溶接領域7を形成できる。
また、以上に説明した酸化物超電導線材5の製造方法によれば、線材5を長さ方向に搬送しながら連続的に溶接領域7を形成することができるため、酸化物超電導線材5の生産効率を高めることができる。
なお、上述の溶接工程においては、レーザ光Lを安定化層6の上面6a側から照射する場合について説明した。しかしながら、レーザ光Lは、基材1の下面1b側から照射して溶接領域7を形成してもよい。
また、上述の溶接工程においては、レーザ光照射装置20を2基並べて線材5に照射する場合を例示した。しかしながら、溶接工程を複数回の工程に分け、1基のレーザ光照射装置20により、複数の溶接領域7を形成してもよい。
<変形例1>
次に上述した実施形態の変形例1について説明する。図3は、変形例1の酸化物超電導線材105の断面斜視図である。
変形例1の酸化物超電導線材105は、上述の実施形態と比較して、線材105の幅方向における溶接領域107の位置が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
変形例1の酸化物超電導線材105において、溶接領域107は、中間層2および酸化物超電導層3を貫通して基材1と安定化層6とを接続している。溶接領域107は、酸化物超電導線材105の幅方向の両端の2か所に形成され、酸化物超電導線材105の長さ方向に延びている。
酸化物超電導線材105の溶接領域107は、酸化物超電導層3の幅方向両端に形成されている。したがって酸化物超電導層3の超電導領域3aは、その全領域が溶接領域107の間に挟まれている。このように配置することで、酸化物超電導層3の超電導領域3aは、その全域が溶接領域107により補強されて、剥離の発生をより効果的に抑制できる。また、各層の幅方向両端は、層間の剥離の起点となりやすい。本変形例においては、剥離の起点となりやすい幅方向両端に溶接領域107が設けられていることで、層間の剥離の起点発生を抑制できる。
<変形例2>
次に上述した実施形態の変形例2について説明する。図4は、変形例2の酸化物超電導線材205の断面斜視図である。
変形例2の酸化物超電導線材205は、上述の実施形態と比較して、線材205の長さ方向に亘る溶接領域207の構成が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
変形例2の酸化物超電導線材205において、溶接領域207は、中間層2および酸化物超電導層3を貫通して基材1と安定化層6とを溶融接合している。また、酸化物超電導線材205の横断面において、溶接領域207は、酸化物超電導層3の幅方向中央の1か所に形成されている。酸化物超電導層3において、溶接領域207の幅方向両側には、超電導領域3aが配置されている。
また、溶接領域207は、酸化物超電導線材205の長さ方向に延びている。線材205の長さ方向に延びる溶接領域207は、間欠的に形成されている。ここで、長さ方向に対し隣り合う溶接領域207、207同士が途切れる部分を間欠部211と呼ぶこととする。
溶接領域207が、線材205の長さ方向に間欠的に設けられていることで、溶接領域207の幅方向両側に位置する酸化物超電導層3の超電導領域3a同士は、間欠部211において電気的に接続されている。したがって、溶接領域207の両側に位置する超電導領域3aのうち、一方が損傷した場合などであっても、間欠部211を介し他方の超電導領域3aで酸化物超電導線材205の電流をバイパスできる。したがって、損傷が生じた一方の超電導領域3aの全長に電流が流れなくなることがなく、酸化物超電導線材205の全幅、全長を有効に利用できる。
<変形例3>
変形例2においては、長さ方向に隣り合う溶接領域207、207同士の、幅方向の位置が同じ場合について、説明した。しかしながら、図5に示す変形例3の超電導線材305の様に、長さ方向に隣り合う溶接領域307A、307Bは、幅方向の位置が異なっていても良い。また、この場合において、図5に示すように溶接領域307A、307Bは、長さ方向で重複する領域があっても良い。重複した領域では、横断面において2か所の溶接領域307A、307Bが形成されている。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試料の作製>
まず、ハステロイC−276(米国ヘインズ社商品名)からなる幅10mm、厚み0.075mm、長さ1000mmのテープ状の基材の表面を平均粒径3μmのアルミナを使用し研磨した。次に、前記基材の表面をアセトンにより脱脂、洗浄した。
この基材の上面上にスパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚100nm)を成膜し、その上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚30nm)を成膜した。
次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(金属酸化物層;膜厚5〜10nm)を形成し、その上にパルスレーザー蒸着法(PLD法)により500nm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により2.0μm厚のGdBaCu7−x(酸化物超電導層)を形成した。
次に、スパッタ法により酸化物超電導層上に厚さ2μmのAgの保護層を形成し、酸素アニールを500℃で10時間行い、26時間炉冷後、取り出した。
次に、保護層の上面に、75μm厚、10mm幅の銅テープを半田接合し安定化層を形成した。
このように作製したサンプルを比較例の酸化物超電導線材とした。
次に、上述した比較例の酸化物超電導線材に、さらに溶接工程を行い実施例1および実施例2の酸化物超電線材を作製した。
溶接工程は、酸化物超電導線材を長手方向に送りながら、レーザ光照射装置によりレーザ光を照射して行った。線材の幅方向の中央の一か所にレーザを照射しながら線材を送り、酸化物超電導層を2分割するように溶接領域を形成したものを実施例1の酸化物超電導線材とした。また、レーザ光を2か所に照射して、酸化物超電導層を均等に3分割するように溶接領域を形成したものを実施例2の酸化物超電導線材とした。実施例1、実施例2ともに、形成された溶接領域の幅寸法(図1の幅寸法W7に相当)は、0.5mm〜1mmとなっていた。
次に、実施例1、実施例2および比較例の酸化物超電導線材をコイル状に巻回してそれぞれ、実施例1、実施例2および比較例のコイルとした。
<評価>
実施例1、実施例2および比較例のコイルに対し、四端子法を用いてこれらの臨界電流値(Ic)を測定した。各サンプルのコイルに対し液体窒素に10分、常温で15分放置するヒートサイクル試験を、10サイクル繰り返した。ヒートサイクル試験後の各サンプルを再度上記と同様の臨界電流値測定を行った。
ヒートサイクル前の臨界電流値と、ヒートサイクル後の臨界電流値の低下率を表1にまとめて示す。
Figure 2016110893
表1に示すように、溶接領域を有する実施例1、実施例2のコイルは、溶接領域を有さない比較例に対して、臨界電流値の低下が抑制された。ヒートサイクル試験を行うと、酸化物超電導線材を構成する各層が、それぞれの熱膨張係数に応じて収縮する。収縮により、各層(特に酸化物超電導層)が層間で剥離し酸化物超電導層が損傷し、臨界電流値が低下する場合がある。溶接領域を形成することで、酸化物超電導層の層間剥離が抑制されたために、実施例1、実施例2のヒートサイクル後の臨界電流値の低下率が、比較例の低下率より低減されていると考察される。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、ヒートサイクル後の臨界電流値の低下率は、幅方向に2か所の溶接領域を形成した実施例2のサンプルで、より効果的に抑制されている。このことから、1か所のみの溶接領域より、2か所の溶接領域を形成することで、層間剥離抑制の効果が高まると考察される。
1…基材、1a、6a…上面、1b…下面、2…中間層、3…酸化物超電導層、3a…超電導領域、4…保護層、5、105、205、305…酸化物超電導線材(線材)、6…安定化層、7、107、207、307A、307B…溶接領域、10…積層体、20…レーザ光照射装置、21…搬送装置、211…間欠部、L…レーザ光、W7…幅寸法

Claims (5)

  1. 帯状の基材の上面に、中間層、酸化物超電導層、および保護層が積層された積層体と、前記積層体の前記保護層の上面に半田接合された安定化層と、を備えた酸化物超電導線材であって、
    前記酸化物超電導層を厚さ方向に貫通し前記酸化物超電導層より下側に位置する層と前記安定化層とを溶融接合する溶接領域を有する酸化物超電導線材。
  2. 前記溶接領域が、前記基材と前記安定化層とを溶融接合する請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記溶接領域が、線材の幅方向の少なくとも一部に形成され、線材の長さ方向に延びている請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 帯状の基材の一方の面に、中間層、酸化物超電導層、および保護層を積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体の前記保護層の面上に金属テープを半田接合して安定化層を形成する工程と、
    前記基材側の面、又は前記安定化層側の面の幅方向の少なくとも一部にレーザ光を照射し、前記安定化層を酸化物超電導層より下の層と溶接して、前記酸化物超電導層を厚さ方向に貫通する溶接領域を形成する溶接工程と、を有する酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 前記溶接工程は、前記レーザ光を照射しながら線材を長さ方向に搬送して長さ方向に延びる前記溶接領域を形成する請求項4に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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