JP2016110726A - 光透過性導電材料積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い導電性と光透過性を有し、かつ太陽光の照射に伴う抵抗値の変動が改善された、光透過性導電材料積層体を提供する。
【解決手段】光透過性支持体上に金属細線パターンを形成した後、該金属細線パターンに銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理、および、特定のメルカプト化合物を含有する処理液による処理を施すことで得られた金属細線パターンを有する光透過性導電材料の金属細線を有する側の面と、光透過性機能材料の一方の面とが、アゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着層を介して貼合された光透過性導電材料積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気回路、アンテナ回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途に用いることができる光透過性導電材料積層体に関するものである。
光透過性支持体上に導電性化合物の薄膜を形成した光透過性導電材料は、その導電性を利用した用途、例えば電磁波シールド材や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイといったフラットディスプレイやタッチパネルの光透過性電極等、電気、電子分野で広く使用されている。前記光透過性導電材料としては、光透過性支持体の少なくとも片面に、酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)等の導電性の薄膜を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスによって設けたものがよく知られている。
現在、導電性の薄膜として主に利用されるのはITO膜である。しかしながらITO膜は屈折率が大きく、光の表面反射が大きいため、全光線透過率が低下する問題や、可撓性が低いため屈曲した際にITO膜に亀裂が生じて電気抵抗値が高くなる問題が存在する。また、ITO膜を利用した場合、原材料であるインジウムの枯渇の懸念や、高コストといった問題も存在する。これらの問題の解決策として、光透過性支持体上に金属細線パターンを有する光透過性導電材料が数多く提案されている。その中でも銀を含有する金属細線パターンを有する光透過性導電材料は、銀が有する高い導電性のため、金属細線パターンの微細化が可能であり、全光線透過率に優れた光透過性導電材料が得られるため注目を集めている。
このような光透過性導電材料としては、例えば特開2011−192755号公報(特許文献1)には光透過性支持体上に透明な多孔質層が形成され、さらに該多孔質層上に銀粉末、有機溶媒、バインダーを含む導電性ペーストをスクリーン印刷し、幾何学形状の金属細線パターンを有する光透過性導電材料が開示されている。また特開2012−28183号公報(特許文献2)には光透過性支持体上に、銀ナノワイヤーを含有し、パターニングされた金属細線パターンを有する光透過性導電材料が開示されている。また特開2010−182791号公報(特許文献3)には無電解銀メッキにより光透過性支持体上に金属層を設け、該金属層の表面の少なくとも一部を樹脂層で被覆し、樹脂層に被覆されていない金属層をエッチングにより除去することで、金属細線パターンを形成する光透過性導電材料の製造方法が開示されている。
さらに銀を含有する金属細線パターンを有する光透過性導電材料の製造方法として、銀塩感光材料を導電材料前駆体として利用する方法も知られており、例えば直接現像方式を用いて光透過性支持体上に金属細線パターンを形成する方法が特開2004−221564号公報(特許文献4)に開示され、特開2003−77350号公報(特許文献5)、特開2007−188655号公報(特許文献6)には、光透過性支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電材料前駆体に、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させて金属細線パターンを形成させる、銀塩拡散転写法が開示されている。
一方、上記した方法によって得られた光透過性導電材料の金属細線パターンを有する側の面と、光透過性保護部材等の光透過性機能材料とが、粘着剤により形成された粘着層を介して貼合された光透過性導電材料積層体も広く知られている。例えば、特開2012−11637号公報(特許文献7)では、透明基材上に銀ナノワイヤーにより形成された金属細線パターンを有し、該金属細線パターンを有する側の面にアクリル系粘着剤を主成分とする両面粘着層を貼り合わせ、該両面粘着層のもう一方の面に、他の透明導電膜積層体の導電膜を有する側の面を貼り合わせて得られた透明導電膜積層体が記載され、特開2014−29671号公報(特許文献8)では、銀を含有する第1電極パターンと、アクリル系粘着剤を含有する絶縁層と、第2電極パターンとをこの順で備えるタッチパネル用導電性フィルムが開示されている。上記した何れの文献においても、粘着層には、透明性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性に優れることから、アクリル系モノマーを重合開始剤を用いて重合することで得られたアクリル系粘着剤が好ましく利用されている。
上記したような光透過性導電材料積層体は様々な場所で用いられ、例えば直射日光が当たるような場所でも使用される。ところが、銀を含有する金属細線により構成された金属細線パターンを有する側の面と光透過性機能材料とが、アクリル系粘着剤を主成分とする粘着層を介して貼合された光透過性導電材料積層体は、太陽光が照射されることで、該金属細線パターンの抵抗値が変動するという問題が生じた。
国際公開第2008/114764号パンフレット(特許文献9)には、高温高湿条件下であっても白濁や剥離が生じず、また太陽光の紫外線に長期間曝されても黄変や剥離等が生じない光透過型電磁波シールド積層体が記載され、該積層体は金属細線パターンからなる電磁波シールド層を含む2層以上が、特定の化合物を含有する(メタ)アクリレート系粘着剤組成物によって積層される。しかし、該アクリル系粘着剤組成物を用いて、光透過性導電材料の銀を含有する金属細線により構成された金属細線パターンを有する側の面と光透過性機能材料とが貼合された場合、やはり太陽光が照射されることで該金属細線パターンの抵抗値が変動するという問題が生じ改善が求められていた。
他方、特開2006−228478号公報(特許文献10)には、光透過性支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料に露光と現像処理を施して、光透過性支持体上に銀を含有する金属細線パターンを形成した後、続いて該金属細線パターンに貴金属化合物を含有する活性化液を接触させた後、めっきまたは物理現像を施すことで高い導電性と高い透光性が得られる、光透過性導電材料の製造方法が開示され、特開2007−88218号公報(特許文献11)には光透過性支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料に露光と現像処理を施して、光透過性支持体上に銀を含有する金属細線パターンを形成した後、続いて該金属細線パターンにパラジウムを含有する溶液を接触させた後、めっきまたは物理現像を施し、さらに有機メルカプト化合物を含有する処理液にて変色防止処理を施す光透過性導電材料の製造方法が開示されている。また特開2007−116137号公報(特許文献12)には、銀を含有する金属細線パターンを印刷法により形成し、該金属細線パターンをパラジウムイオンを含有する液で処理した後、有機メルカプト化合物を含有する防錆剤で処理することで、金属部の変色が改善された光透過性導電材料の製造方法が開示されている。しかしこれらの光透過性導電材料においても、金属細線パターンを有する側の面と光透過性機能材料とがアクリル系粘着剤を主成分とする粘着層を介して貼合された場合、太陽光が照射されることで、該光透過性導電材料の抵抗値が変動する場合があり、十分満足できるものではなかった。
特開2011−192755号公報 特開2012−28183号公報 特開2010−182791号公報 特開2004−221564号公報 特開2003−77350号公報 特開2007−188655号公報 特開2012−11637号公報 特開2014−29671号公報 国際公開第2008/114764号パンフレット 特開2006−228478号公報 特開2007−88218号公報 特開2007−116137号公報
本発明の課題は、高い導電性と光透過性を有し、かつ太陽光の照射に伴う抵抗値の変動が改善された、光透過性導電材料積層体を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
(1)光透過性支持体上に金属細線パターンを有する光透過性導電材料の金属細線パターンを有する側の面と、光透過性機能材料の一方の面とが、粘着層を介して貼合された光透過性導電材料積層体であって、該金属細線パターンは光透過性支持体上に銀を含有する金属細線パターンを形成した後、該金属細線パターンに、銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理を施し、更にその後、下記一般式(A)で表される構造を有し、かつスルホ基あるいはカルボキシル基を有さないメルカプト化合物を含有する処理液による処理を施すことで得られた金属細線パターンであり、該粘着層はアゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された層であることを特徴とする光透過性導電材料積層体。
一般式(A)において、Qは5員環または6員環を形成するために必要な非金属原子群を表し、該5員環または6員環は縮合環を有していてもよい。
本発明により、高い導電性と光透過性を有し、かつ太陽光の照射に伴う抵抗値の変動が改善された、光透過性導電材料積層体を提供することができる。
本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料の概略断面図 本発明の光透過性導電材料積層体の一例を示す概略断面図 本発明の光透過性導電材料積層体の別の一例を示す概略断面図 実施例で使用した透過原稿の概略図 実施例で作製した光透過性導電材料の概略図
以下、本発明について詳細に説明するにあたり図面を用いて説明する。最初に、本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料について図面を用いて説明する。図1は本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料の概略断面図である。
本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料41としては、図1中、(1−1)〜(1−3)で示したような構成が例示されるが、これに限定されるものではない。
(1−1)に例示する光透過性導電材料41では、光透過性支持体11上、あるいは必要に応じて光透過性支持体上に設けられる下引き層15上に、バインダー14に保持された銀13によって金属細線パターンを構成する金属細線12が形成されている。なお図中、銀が存在しない部分(光透過性部)には、バインダー14は存在しない。このような光透過性導電材料41の製造方法として以下に示す2つの方法が例示できるが、これに限定されない。第1の製造方法としては、銀粒子およびバインダーを含有する導電性金属インキや導電性ペースト(以下銀インキ組成物と記載)を、光透過性支持体11上に印刷等の方法で付与し金属細線12を得る方法が挙げられる。第2の製造方法としては、例えば特開2007−59270号公報に開示されるような、光透過性支持体11上にハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩感光材料を導電材料前駆体として用い、硬化現像方式を用いて金属細線12を得る方法が挙げられる。この方法では金属細線12中において、硬化したゼラチンを主体としたバインダー14中に銀13が局在化する。なお、前述の特開2007−59270号公報に記載のごとく、金属細線12に更に銀めっきを施し、金属細線12の表面にバインダー14を含まない銀膜を形成してもよい。
(1−2)に例示する光透過性導電材料41では、光透過性支持体11上、あるいは必要に応じて光透過性支持体上に設けられる下引き層15上の全面にバインダー14が存在し、該バインダー14の一部分に銀13が局在化することで、金属細線パターンを構成する金属細線12が形成されている。このような光透過性導電材料41の製造方法としては、例えば特開2004−221564号公報、特開2007−12314号公報等に開示されるような、光透過性支持体11上にハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩感光材料を導電材料前駆体として用い、直接現像方式によって金属細線を形成することで、ゼラチンを主体としたバインダー14中に銀13が局在化した金属細線12を得る方法が挙げられる。
(1−3)に例示する光透過性導電材料41では、光透過性支持体11上、あるいは必要に応じて光透過性支持体上に設けられる下引き層15上に、バインダーによって保持されない銀13によって、金属細線パターンを構成する金属細線12が形成されている。このような光透過性導電材料の製造方法としては、例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報、特開2007−188655号公報、特開2004−207001号公報等に開示されるような、光透過性支持体11上に物理現像核層と、ハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する銀塩感光材料を導電材料前駆体として用い、可溶性銀塩形成剤および還元剤をアルカリ液中で作用させる、いわゆる銀塩拡散転写法を用いて金属細線12を得る方法が挙げられる。あるいは、例えば特開2007−287994号公報、特開2007−287953号公報などに開示されているような、光透過性支持体11上に薄い触媒層を形成し、その上にレジストパターンを形成した後、めっき法によりレジスト開口部に金属層を積層し、最後にレジスト層及びレジスト層で保護されていた触媒層を除去する、いわゆるセミアディティブ法を用いて金属細線12を得る方法が挙げられる。
上記した(1−1)、(1−2)で示した構成の光透過性導電材料が有する金属細線12は何れも銀13がバインダー14中に埋没しているのに対し、(1−3)で示した構成の光透過性導電材料が有する金属細線12は、バインダー14中に埋没していない。このため(1−3)で示した構成の光透過性導電材料は、上記した(1−1)および(1−2)で示した構成の光透過性導電材料よりも高い導電性を有する金属細線パターンが得られるため好ましい。また本発明では、光透過性支持体上に銀を含有する金属細線パターンを形成した後、該金属細線パターンに、銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理と、上記一般式(A)で表される構造を有し、かつスルホ基あるいはカルボキシル基を有さないメルカプト化合物(以下、本発明のメルカプト化合物とも記載)を含有する処理液による処理をこの順に施して金属細線パターンを得るが、上記(1−2)で示した構成の光透過性導電材料の金属細線12は、下引き層15上の全面にバインダー14が存在し、該バインダー14の一部分に銀13が局在化していることから、上記した処理液が金属細線12の上面部のみからしか作用しない。一方、上記した(1−1)および(1−3)で示した構成の光透過性導電材料においては、上記した銀より貴な金属イオンを含有する処理液および本発明のメルカプト化合物を含有する処理液の何れもが金属細線12の上面部および側面部から作用することが可能である。
したがって本発明の光透過性導電材料積層体が有する光透過性導電材料としては、光透過性支持体上に銀がバインダーによって保持され、かつ金属細線が存在しない光透過性部にはバインダーが存在しない金属細線パターンを有する光透過性導電材料、および光透過性支持体上にバインダーによって保持されない銀によって金属細線が形成され、かつ金属細線が存在しない光透過性部にはバインダーが存在しない金属細線パターンを有する光透過性導電材料が、金属細線パターンの抵抗値の変動をより効果的に改善することができるため好ましく、さらに上記した効果に加え、より高い導電性が得られる観点から、光透過性支持体上にバインダーによって保持されない銀によって金属細線が形成され、かつ金属細線が存在しない光透過性部にはバインダー含有層が存在しない金属細線パターンを有する光透過性導電材料が特に好ましい。
上記(1−1)〜(1−3)に示した構成の光透過性導電材料が有する光透過性支持体としては、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられる。これら光透過性支持体は全光線透過率が60%以上であるものが好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。光透過性支持体として使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また樹脂フィルムの厚さは25〜300μmであることが好ましい。光透過性支持体上の金属細線パターンを有する側の面には、下引き層、易接着層、反射防止層、防眩層等公知の層を有していてもよく、あるいはこれらの公知の層を金属細線パターンを有する側の面とは反対側の面に有していてもよい。
次に前述した銀インキ組成物を用いて、図1の(1−1)に示される金属細線12を得る方法について説明する。図1の(1−1)に示した金属細線12を得るために用いる銀インキ組成物は銀を含有するが、銀以外の金属を含有していてもよい。銀と銀以外の金属を含有する銀インキ組成物は、銀粒子と、銀以外の金属粒子を含有する銀インキ組成物であってもよいし、銀と銀以外の金属の両方を含有する金属粒子を含有する銀インキ組成物であってもよい。これら銀インキ組成物が含有する金属粒子の平均粒子径は1〜100nmであることが好ましい。これにより微細な金属細線パターンの形成が可能になり、光透過性導電材料の導電性も優れることから好ましい。金属粒子の平均粒子径は10〜50nmであることがより好ましい。銀インキ組成物が含有する金属粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡下での観察により求めることができる。詳細にはポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、これら金属粒子を含有する銀インキ組成物を塗布、乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて観察し、一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として求め、更にこれを平均し求める。
上記した銀以外の金属としては、金、銅、パラジウム、ニッケル等が例示でき、金属細線パターンの導電性の観点から、銀インキ組成物中に含まれる金属の50質量%以上が銀であることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
上記した銀粒子、銀以外の金属粒子、あるいは銀と銀以外の金属の両方を含有する金属粒子は、例えば特開平3−34211号公報、特開2004−273205号公報等に記載のガス中蒸発法、特開2006−328472号公報、特開2009−242874号公報、特開2009−242875号公報等に記載の湿式還元法により得ることができる。
銀インキ組成物の構成としては、上記した銀を含む金属以外に、分散媒とバインダーが例示される。その他、界面活性剤、増粘剤、乾燥防止剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
分散媒は特に限定されず、水や公知の有機溶媒を好ましく用いることができる。有機溶媒としては、後述する本発明のメルカプト化合物を含有する処理液が含有していてもよい有機溶媒が例示できる。
バインダーとしては、例えば分散媒として水を含む銀インキ組成物であれば、澱粉、デキストリン等の多糖類、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、カラギーナン等の水溶性高分子化合物や、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル等の各種変性ポリエステル樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を、少なくとも水を含む分散媒に分散させた水分散物(エマルション)を例示することができる。分散媒として有機溶媒のみを含む銀インキ組成物においては、上記した水分散物が含有する樹脂の中から、分散媒との間で相溶性のあるものを適宜選択して利用することができる。
銀インキ組成物を光透過性支持体上に付与し、金属細線パターンを形成する方法としては特に限定されず、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、ディスペンサー塗布等が例示できる。光透過性支持体上に付与した銀インキ組成物は、熱により分散媒を乾燥除去し、硬化させることが金属細線パターンの導電性の観点から好ましい。
次に、硬化現像方式を用いて、図1の(1−1)に示される金属細線12を得る方法について説明する。
硬化現像方式とは、光透過性支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を設けた銀塩感光材料を用い、露光後に硬化現像処理を施した後、不要となった未硬化部のハロゲン化銀乳剤層を水洗除去し、光透過性支持体上に銀画像を形成する方法である。詳細にはJ.Photo.Sci.誌11号 p1、A.G.Tull著(1963)あるいは「The Theory of the photographic Process(4th edition,p326−327)」、T.H.James著等に記載されているように、光透過性支持体上に設けた実質的に硬膜剤を含まない未硬膜のハロゲン化銀乳剤層を、ポリヒドロキシベンゼン系等の硬化現像薬を含む現像液で処理することによって、硬化現像薬が露光されたハロゲン化銀を還元した際に、現像主薬自身から生成された酸化化合物により、ゼラチンを始めとする水溶性高分子化合物を架橋し画像状に硬膜させることで、光透過性支持体上に銀画像(金属細線12)を得る方法である。
硬化現像方式に用いる銀塩感光材料(本発明では導電材料前駆体となる)が有する光透過性支持体は、後述するように硬化現像薬を含有する下引き層を有していてもよく、さらに特開2007−59270号公報に記載のごとく、必要に応じて光透過性支持体のハロゲン化銀乳剤層が存在する面の反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上に保護層等を有していてもよい。
硬化現像薬としては、ポリヒドロキシベンゼン、例えばハイドロキノン、カテコール、クロロハイドロキノン、ピロガロール、ブロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、トルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジヒドロキシ−1−アセトフェノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、4−フェニルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−s−ブチルピロガロール、4,5−ジブロモカテコール、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ベンゾイルアミノハイドロキノン等がある。また、アミノフェノール化合物、例えばN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール−2,4−ジアミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール、2−メチル−p−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−p−アミノフェノール等、その他にも例えば特開2001−215711号公報、特開2001−215732号公報、特開2001−312031号公報、特開2002−62664号公報記載の公知の硬化現像薬を用いることができるが、特にベンゼン核の少なくとも1,2位または1,4位にヒドロキシル基が置換したヒドロキシベンゼンが好ましい。
硬化現像方式において使用する現像液は、上記硬化現像薬以外にも通常の銀塩写真現像液で用いられる公知な物質を含有できる。なお硬化現像方式において使用する現像液は、硬化現像薬自身から生成された酸化化合物を得やすくするために、通常の銀塩写真現像液に用いる保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム等の保恒剤量を、少なくとも20g/L以下に、好ましくは10g/L以下にすることが好ましいが、一方でこのような現像液は酸化が非常に早いという問題がある。このため、硬化現像薬を現像液が含有する代わりに、硬化現像方式に用いる銀塩感光材料のハロゲン化銀乳剤層あるいは下引き層は、硬化現像薬を含有することも好ましい態様の1つである。
次に、直接現像方式を用いて、図1の(1−2)に示される金属細線12を得る方法について説明する。直接現像方式とは、例えばネガ乳剤を用いる場合、架橋剤を含有するハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子を露光することで潜像を形成し、かかる潜像を触媒として現像液中のハイドロキノン等の現像主薬でハロゲン化銀を還元することで、光透過性支持体上の全面に存在するゼラチンバインダーの一部分に銀粒子(フィラメント状の銀粒子)が局在化することで、銀画像を形成する方法である。直接現像方式では現像に引き続き、未露光部のハロゲン化銀を溶解・除去する定着工程が必須である。
直接現像方式に用いる現像液が含有する現像主薬としては、ハイドロキノン、アスコルビン酸、p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、フェニドン等、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる現像液で用いられる公知な現像主薬を用いることができる。直接現像方式に用いる現像液はその他に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、リン酸、炭酸等のpH緩衝剤を単独、または組み合わせて含有できる他、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含有できる。
直接現像方式に用いる定着液は、上記した現像により還元されなかったハロゲン化銀を溶解するハロゲン化銀溶剤、具体的には後述する可溶性銀錯塩形成剤をハロゲン化銀溶剤として含有する。また可溶性銀錯塩形成剤以外に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、リン酸、炭酸等のpH緩衝剤を単独、または組み合わせて含有できる他、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含有できる。またゼラチンバインダーの硬膜剤として水溶性アルミニウム(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、カリミョウバン等)、アルミニウムの沈殿防止剤として二塩基酸(例えば、酒石酸、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム等)も含有できる。
次に、銀塩拡散転写法を用いて、図1の(1−3)に示される金属細線12を得る方法について説明する。
銀塩拡散転写法は、光透過性支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する銀塩感光材料を用いる。銀塩拡散転写法の原理は、米国特許第2,352,014号等に記載されている。即ち、露光部のハロゲン化銀は現像されるが、未露光部のハロゲン化銀は可溶性銀錯塩形成剤で溶解することで可溶性銀錯塩として受像層へと転写され、そこで物理現像核上に金属銀として析出させることでポジ型の銀画像パターンを形成するというものである。詳細には、未露光部である画像部のハロゲン化銀粒子は可溶性銀錯塩形成剤により可溶性銀錯塩として溶解され、物理現像核近傍まで拡散した可溶性銀錯塩はハイドロキノン等の還元剤により還元され、物理現像核上で金属銀として析出する。一方、露光部のハロゲン化銀粒子はハロゲン化銀乳剤層中にとどまり、その場で還元剤の作用により還元される。そして現像後の銀塩感光材料を水洗すると、露光部の銀は不要となったハロゲン化銀乳剤層と共に洗い流される一方、物理現像核近傍で析出した銀は水洗によって露出し、光透過性支持体上にバインダーによって保持されない銀から構成される金属細線12が得られる。
銀塩拡散転写法に用いる銀塩感光材料(本発明では導電材料前駆体となる)の物理現像核層について説明する。物理現像核層は、物理現像核を少なくとも含有する。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(平均粒子径は1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられるが、銀コロイドおよび硫化パラジウムが好ましい。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートルあたり0.1〜10mg程度が好ましい。
他に物理現像核層が含有していてもよい物質としては、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸とスチレンの共重合体等、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリリジン等のタンパク質、カラギーナン、ヒアルロン酸等のムコ多糖類、「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)2.6.4章記載のアミノ化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、アリルアミンとジアリルアミンの共重合体、ジアリルアミンと無水マレイン酸との共重合体、ジアリルアミンと二酸化硫黄との共重合体等の高分子化合物や、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等の単独重合樹脂、エチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトオキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ポリエステル、各種ウレタン等の共重合樹脂が例示できる。上記した高分子化合物や樹脂の中でも、アミノ基を有する高分子化合物もしくは樹脂を用いることが、光透過性支持体に対する金属細線パターンの接着性、および金属細線パターンの導電性の観点から好ましい。
物理現像核層が高分子化合物を含有する場合、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は特に限定されず、クロム明ばん等の無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基を二個以上有する化合物、エポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等、あるいはこれら以外に「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2・6・7章、5・2章、9・3章等記載の架橋剤等の公知の架橋剤が例示できる。エポキシ基を分子中に二個以上有する化合物を架橋剤として用いることが光透過性支持体に対する金属細線パターンの接着性、および金属細線パターンの導電性の観点から好ましい。
物理現像核層は、光透過性支持体上に直接設けてもよいし、光透過性支持体上に下引き層を設け、該下引き層上に物理現像核層を設けてもよい。
銀塩拡散転写法に用いる銀塩感光材料のハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。このようなハロゲン化物組成とすることにより、可溶性銀錯塩形成剤が作用した際にハロゲン化銀粒子の溶解性が高まるため好ましい。
銀塩拡散転写法に用いる銀塩感光材料は、上記した物理現像核層と、ハロゲン化銀乳剤層との間に、高分子化合物を含有する中間層を設けることが好ましい。該中間層は架橋剤を含有しない層であり、このような中間層を設けることによって現像後のハロゲン化銀乳剤層の水洗除去性が向上する。なおこの中間層はハロゲン化銀乳剤層よりも光透過性支持体に近い側に位置するが、可溶性銀錯塩は物理現像核近傍で析出すること、また現像後の水洗により中間層は除去されることから、本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料に該中間層は存在しない。中間層が含有する高分子化合物としては、物理現像核層が含有していてもよい高分子化合物が例示できるが、特に限定されない。
未露光部のハロゲン化銀を溶解する可溶性銀錯塩形成剤は、現像液が含有する。このような可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンを含有した処理液で現像を行い得られた金属細線パターンは、比較的低い抵抗値を有する。該アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N−エチル−2,2′−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
銀塩拡散転写法に用いる現像液が含有する還元剤としては、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸およびその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等、公知の還元剤を用いることができる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。銀塩拡散転写法に用いる現像液はその他に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、リン酸、炭酸等のpH緩衝剤を単独、または組み合わせて含有できる他、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含有できる。
硬化現像方式、直接現像方式、銀塩拡散転写法で得られた金属細線12は銀から構成されるが、金属細線部全固形分量に対して銀の占める割合が50質量%以上であれば他の金属、例えば銅、ニッケル、金、パラジウム等の金属を含有していてもよい。さらに得られる導電性の観点から、銀の占める割合はより好ましくは70質量%以上であり、特に90質量%以上であることが好ましい。また、時間経過による光透過性導電材料の抵抗値上昇を改善する目的で、金属細線パターンを形成後、特開2008−34366号公報に記載されているような還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物を作用させてもよい。
本発明では、金属細線パターンを構成する銀を含有する金属細線12に対し、銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理と、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液による処理を施す。
本発明に用いる銀より貴な金属イオンを含有する処理液について説明する。銀より貴な金属とは、銀よりも標準電極電位が大きい金属を意味する。銀の標準電極電位は0.799Vであるため、銀より貴な金属としては、金(1.52V)、白金(1.188V)、イリジウム(1.156V)、パラジウム(0.915V)が例示できる(数値は日本化学会編「改訂4版 化学便覧 基礎編」より)。銀より貴な金属イオンを含有する処理液は、銀より貴な金属のイオンを1種類のみ含有していてもよく、2種類以上含有していてもよい。銀より貴な金属の中でも入手性やコストの観点から金、パラジウムが好ましく、さらには太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動がより抑制された光透過性導電材料積層体が得られる観点からパラジウムが特に好ましい。
銀より貴な金属イオンを含有する処理液は、上記した銀より貴な金属の水溶性塩、例えば銀より貴な金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を水に溶解させたものが好ましく用いられる。銀より貴な金属としてパラジウムを用いる場合、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム等が例示でき、銀より貴な金属として金を用いる場合、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金ナトリウム、シアン化金カリウム、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウム等が例示できる。処理液中の銀より貴な金属の濃度としては、金属細線パターンの導電性の観点や、太陽光の照射に伴う抵抗値変動の観点から、0.005〜0.20g/Lが好ましい。なお該処理液が含有する溶媒としては、水および公知の有機溶媒を用いることができる。かかる有機溶媒としては、後述する本発明のメルカプト化合物を含有する処理液が含有する有機溶媒と同様のものが挙げられる。
銀より貴な金属イオンを含有する処理液は、銀より貴な金属のイオンと錯体を形成する錯化剤を含有することが金属細線パターンの導電性の観点から特に好ましい。錯化剤は特に限定されず、乳酸、シュウ酸、マロン酸等のカルボン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸、チオグリコール酸等のメルカプタン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)等のアミノカルボン酸、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アンモニア等の公知な錯化剤を含有できる。金属細線パターンの導電性の観点や、太陽光の照射に伴う抵抗値変動の観点からカルボン酸、オキシカルボン酸が特に好ましい。
銀より貴な金属イオンを含有する処理液は、銀より貴な金属の水溶性塩の溶解を促進する観点からリン酸や塩酸などの酸を含有することが好ましい。その他、pH緩衝剤や界面活性剤、消泡剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
上記した銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理は、光透過性支持体上に形成された金属細線パターンと該処理液を接触させればよく、例えば該処理液中に金属細線パターンを有する光透過性導電材料を浸漬させる方法、該光透過性導電材料の金属細線パターンを有する側の面に、銀より貴な金属イオンを含有する処理液を塗布あるいは吹き付ける方法等を挙げることができる。金属細線パターンの導電性の観点や、太陽光の照射に伴う抵抗値変動の観点から、銀より貴な金属イオンを含有する処理液での処理時間は1〜180秒が好ましく、より好ましくは3〜130秒であり、特に好ましくは5〜95秒である。また銀より貴な金属イオンを含有する処理液の温度は10〜50℃が好ましい。
本発明において、銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理は、上記した金属細線パターンと該処理液を接触させた後、次に説明する本発明のメルカプト化合物を含有する処理液による処理を行う前に、洗浄することが好ましい。かかる洗浄により、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液に対する、銀より貴な金属イオンを含有する処理液成分の混入を防止することができる。また洗浄後は乾燥することで、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液の成分濃度を安定化することができる。洗浄方法としては、水または公知の有機溶媒にて処理液を洗い流す方法が例示できる。
次に、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液について説明する。本発明のメルカプト化合物を含有する処理液は、前述した一般式(A)で表される構造を有し、かつスルホ基あるいはカルボキシル基を有さないメルカプト化合物を含有する。なおここでスルホ基とはスルホ基とその塩基を含み、カルボキシル基とはカルボキシル基とその塩基を含むものとする。
一般式(A)において、Qは5員環または6員環を形成するために必要な非金属原子群を表し、該5員環または6員環は縮合環を有していてもよい。
一般式(A)における5員環または6員環の例としては、イミダゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チオジアゾール、テトラゾール、ピリミジン、トリアジン、テトラジン等が挙げられる。縮合環を有する5員環または6員環の例としては、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアジン等が挙げられる。上記の中でも、以下にA−1〜A−3として例示する単環構造で窒素原子を3個以上有するトリアゾール、テトラゾール、トリアジン構造を有するメルカプト化合物を用いることが、太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動がより抑制された光透過性導電材料積層体が得られる観点から好ましく、テトラゾール、トリアジン構造を有するメルカプト化合物が特に好ましい。
A−1〜A−3中、R、Rは水素原子、メルカプト基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アミノ基を示す。また上記した縮合環は、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基等の置換基を有していてもよい。R、Rは同一でも異なっていてもよい。太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動がより抑制された光透過性導電材料積層体が得られる観点から、R、Rはメルカプト基を含有することが特に好ましい。
A−1で表されるメルカプト化合物の具体例としては、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオールなどが挙げられる。A−2で表されるメルカプト化合物の具体例としては、1−メチル−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1−(2−ジメチルアミノエチル)−5−メルカプトテトラゾールなどが挙げられる。A−3で表されるメルカプト化合物の具体例としては、2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノトリアジン、2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジン、トリチオシアヌル酸などが挙げられる。
A−1〜A−3として例示するメルカプト化合物以外の、本発明のメルカプト化合物の具体例としては、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、4−(アミノメチル)−1H−イミダゾール−2−チオール等のイミダゾール構造を有するメルカプト化合物、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−アミノベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール構造を有するメルカプト化合物、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン−4−アミン等のピリミジン構造を有するメルカプト化合物、3−メルカプトテトラジン等のテトラジン構造を有するメルカプト化合物、3−メルカプト−1,2,4−ベンゾトリアジン等のベンゾトリアジン構造を有するメルカプト化合物等が挙げられる。
本発明のメルカプト化合物を含有する処理液の溶媒は特に限定されず、水や公知の有機溶媒を好ましく用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ブタノール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテルエステル類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トリデカン、テトラデカン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の環状アルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類等を例示できる。水と有機溶媒を混合して用いてもよく、有機溶媒を2種類以上混合して用いてもよい。
本発明のメルカプト化合物を含有する処理液の溶媒として水を用いる場合、本発明のメルカプト化合物の溶解を促進する観点から、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのpH調整剤を含有することが好ましい。その他、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液は界面活性剤、消泡剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明のメルカプト化合物を含有する処理液中の本発明のメルカプト化合物濃度としては、太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動を効果的に抑制する観点から、0.01〜1.0g/Lが好ましく、0.02〜0.8g/Lが特に好ましい。
上記した本発明のメルカプト化合物を含有する処理液による処理は、光透過性支持体上に形成された金属細線パターンと該処理液を接触させればよく、例えば該処理液中に金属細線パターンを有する光透過性導電材料を含浸させる方法、該光透過性導電材料の金属細線パターンを有する側の面に、該処理液を塗布あるいは吹き付ける方法等を挙げることができる。太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動を効果的に抑制する観点から、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液での処理時間は1〜120秒が好ましい。また該処理液の温度は10〜50℃が好ましい。
本発明において、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液による処理は、上記した金属細線パターンと該処理液を接触させた後、洗浄することが好ましい。かかる洗浄により、本発明のメルカプト化合物を含有する処理液が乾燥し、光透過性導電材料上に本発明のメルカプト化合物が析出することを防止できる。洗浄方法としては、水または公知の有機溶媒にて処理液を洗い流す方法が例示できる。また洗浄後は乾燥することが好ましい。
金属細線パターンの幾何学的構造について説明する。金属細線パターンはいかなる幾何学形状を取ることもできるが、本発明の目的を達するために、少なくともその一部において、極細線からなるメッシュ状やストライプ状の、全体として見た場合、光透過性と導電性を両方とも兼備する形状、パターンを取ることが好ましい。かかるパターンとしては例えば、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等を組み合わせた繰り返しパターンでありこれらの単位の単独の繰り返しあるいは2種類以上の組み合わせパターン等を用いることができる。また、辺が直線でなくとも例えばジグザグ線、波線等で構成されていてもよい。さらに特開2002−223095号公報で開示されているような、ストライプ状、煉瓦積み模様状のパターン、あるいは特開2011−216377号公報、特開2013−37683号公報等に記載されるランダム図形も用いることができる。金属細線パターンを構成する金属細線の線幅は20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下であり、繰り返しパターンの繰り返し周期としては100〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜400μmである。金属細線の厚みとしては、厚すぎると粘着層を介して光透過性機能材料の一方の面と貼合し光透過性導電材料積層体を形成する際に泡が入る等のトラブルが発生しやすくなるが、一方で薄すぎると金属細線パターンの導電性が不足する。よって、金属細線の好ましい厚みは0.01〜3μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。
次に、本発明の光透過性導電材料積層体を構成する粘着層および光透過性機能材料について図を用いて説明する。図2は本発明の光透過性導電材料積層体の一例を示す概略断面図であり、上記した図1の(1−1)あるいは(1−3)で示した構成の光透過性導電材料41を有する積層体の概略断面図である。図3は本発明の光透過性導電材料積層体の別の一例を示す概略断面図であり、上記した図1の(1−2)で示した構成の光透過性導電材料41を有する積層体の概略断面図である。図2、および図3において光透過性導電材料積層体は、光透過性導電材料41と光透過性機能材料43とがアゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着層42を介して貼合されている。
図2、および図3の粘着層42を形成するアゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤としては、アゾ化合物を重合開始剤として用いてアクリル系モノマーを重合させて得られるアクリル系モノマー重合体からなるアクリル系粘着剤や、特開2014−133812号公報に開示されているように、アクリル系粘着剤の硬化反応を促進するために、アゾ化合物をラジカル発生剤として添加してなるアクリル系粘着剤が例示でき、何れも好ましく用いることができる。本発明ではアゾ化合物を別途添加する工程を省略できるため、アゾ化合物を重合開始剤として用いてアクリル系モノマーを重合させて得られるアクリル系モノマー重合体からなるアクリル系粘着剤により粘着層を形成することが特に好ましい。
アクリル系粘着剤はアクリル系モノマーの単独重合体であってもよく、複数のアクリル系モノマーの共重合体であってもよく、アクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとの共重合体であってもよい。上記アクリル系モノマーとしては、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を表し、他も同様である。
上記アクリル系モノマーとしては、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみが用いられてもよく、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルのみが用いられてもよく、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとが併用して用いられてもよい。なお、上記アクリル系モノマーとして、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとを併用する場合、その割合は、特に限定されない。
後述する光透過性機能材料としてガラスを用いる場合、良好な接着力を得る観点からアクリル系モノマーとして(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを用いることが好ましい。
上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、2種類以上混合して用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−エトキシブチル等が挙げられる。後述する各種光透過性機能材料への良好な接着力を得る観点からアクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。
アクリル系粘着剤を形成する全モノマーに対し、上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの合計質量は、後述する各種光透過性機能材料への粘着性の観点から、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。
上記アクリル系モノマーとして上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを用いる場合、上記アクリル系粘着剤を形成する全モノマーに対し、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、後述する各種光透過性機能材料に対する良好な粘着性を得る観点から少なくとも40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。
上記アクリル系粘着剤は、上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと、上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル以外の共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。このような共重合性モノマーは特に限定されないが、例えば、極性基含有モノマー、多官能性モノマー等が挙げられる。なお、共重合性モノマーは2種類以上混合して用いてもよい。
上記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物(無水マレイン酸等)、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコール等のヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー、ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート等のリン酸基含有モノマー、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。上記極性基含有モノマーは、2種類以上混合して用いてもよい。
上記極性基含有モノマーの中でも、後述する各種光透過性機能材料に対する良好な粘着性を得る観点からヒドロキシル基含有モノマーを用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルが特に好ましい。上記アクリル系粘着剤を形成する全モノマーに対し、上記極性基含有モノマーは0.5〜50質量%が粘着性の観点から好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。
上記多官能性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸テトラメチロールメタン、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。上記多官能性モノマーは、2種類以上混合して用いてもよい。
また、上記極性基含有モノマーや上記多官能性モノマー以外にも、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の、公知の共重合性モノマーを用いることができる。
上記モノマーの重合方法としては、公知の重合方法を例示できる。具体的には、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、活性エネルギー線照射による重合法(活性エネルギー線重合法、光重合法)等が挙げられる。上記の中でも、アクリル系粘着剤の透明性、耐水性の観点から、溶液重合法、活性エネルギー線重合法が好ましく、アゾ化合物を重合開始剤として用いる場合、溶液重合法が特に好ましい。
溶液重合の際に用いられる有機溶媒としては公知の有機溶媒を用いることができる。かかる有機溶媒としては、上記した本発明のメルカプト化合物を含有する処理液が含有する有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明におけるアクリル系粘着剤が含有するアゾ化合物としては特に限定されず、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオアミジン酸塩、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス−N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等、公知のアゾ化合物を例示できる。アゾ化合物は2種以上併用してもよい。太陽光の照射に伴う金属細線パターンの抵抗値の変動を効果的に抑制する観点から2,2′−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。アクリル系粘着剤のアゾ化合物の含有量は、アクリル系粘着剤を形成する全モノマーに対し0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
アクリル系粘着剤は、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂等)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
後述する各種光透過性機能材料に対する良好な粘着性を得る観点から、本発明におけるアゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤は架橋剤を含有することが好ましく、イソシアネート系架橋剤を含有することが特に好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」)等も好ましく用いることができる。
粘着層42の厚みは特に限定されないが、薄すぎると光透過性導電材料表面の凹凸へ追従しきれず泡が入る場合があり、また厚すぎると光透過性導電材料積層体の透明性が損なわれる場合がある。よって5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜175μmである。なお、本発明の光透過性導電材料積層体を構成する粘着層42の厚みとは、図2に示す光透過性導電材料積層体の場合、光透過性支持体11と光透過性機能材料43との距離、または下引き層15を有する場合には該下引き層15と、光透過性機能材料43との間の距離を意味し、図3に示す光透過性導電材料積層体の場合、バインダー14を含有する層と光透過性機能材料43との間の距離を意味する。
図2、および図3の光透過性機能材料43としては、光透過性支持体として例示した物質や、該光透過性支持体の少なくとも一方の面にハードコート層、反射防止層、防眩層、ITOやポリチオフェン等から構成される非金属導電性層、偏光層等の公知の光透過性機能層を有する材料が例示できる。また、本発明の光透過性導電材料積層体を構成する光透過性導電材料を光透過性機能材料として用いてもよい。光透過性機能材料43の、粘着層42が貼合された面と反対の面に別の粘着層を設け、別の光透過性機能材料と貼合することもできる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<光透過性導電材料1の作製>
光透過性支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)ルミラーU34、易接着加工済み)を用いた。なおこの光透過性支持体の全光線透過率は92%であった。
次に下記処方に従い、物理現像核(硫化パラジウムゾル)を作製し、該物理現像核を含有する物理現像核層塗液を作製し、光透過性支持体上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。その後50℃で1日加温した。
<硫化パラジウムゾルの作製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核層塗液>各1mあたり
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 5mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5g
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン)
続いて、光透過性支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核層の上に塗設、銀塩感光材料を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように作製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
<中間層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 4.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<保護層組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た銀塩感光材料と、図4に示した透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお、図4においての金属細線パターン相当部21は線幅7μm、細線間隔300μmの正方形を単位図形とするメッシュからなり、該金属細線パターン相当部21は周辺配線相当部22、22′を介して端子相当部23、23′に接続している。
上記露光を行った後、下記拡散転写現像液中に20℃で90秒間浸漬し、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥した。こうして図1中、(1−3)の態様の光透過性導電材料1を得た。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000ml
pH=12.2に調整する。
<光透過性導電材料2の作製>
光透過性導電材料1と同様の手順を経た後、下記パラジウムイオン含有処理液1で30℃30秒間浸漬処理し、続いて40℃の温水で水洗し、乾燥した。こうして光透過性導電材料2を得た。
<パラジウムイオン含有処理液1組成>
塩化パラジウム 0.06g
リン酸 0.3g
マロン酸(錯化剤として) 0.6g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料3の作製>
光透過性導電材料1と同様の手順を経た後、下記メルカプト化合物含有処理液で30℃20秒間浸漬処理し、続いて40℃の温水で水洗し、乾燥した。こうして光透過性導電材料3を得た。
<メルカプト化合物含有処理液1組成>
2,4−ジメルカプト−6−ジブチルアミノトリアジン(メルカプト化合物として)
0.2g
水酸化ナトリウム(pH調整剤として) 3.0g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料4の作製>
光透過性導電材料1と同様の手順を経た後、上記パラジウムイオン含有処理液1で30℃30秒間浸漬処理し、続いて40℃の温水で水洗し、乾燥した。次に、上記メルカプト化合物含有処理液1で30℃20秒間浸漬処理し、続いて40℃の温水で水洗し、乾燥した。こうして光透過性導電材料4を得た。
<光透過性導電材料5の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプトベンゾイミダゾールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料5を得た。
<光透過性導電材料6の作製>
メルカプト化合物として3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料6を得た。
<光透過性導電材料7の作製>
メルカプト化合物として1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料7を得た。
<光透過性導電材料8の作製>
メルカプト化合物としてトリチオシアヌル酸を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料8を得た。
<光透過性導電材料9の作製>
メルカプト化合物として2,4−ジメルカプト−6−フェニルアミノトリアジンを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料9を得た。
<光透過性導電材料10の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプトピリジンを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料10を得た。
<光透過性導電材料11の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプトベンゾチアゾールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料11を得た。
<光透過性導電材料12の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプトベンゾオキサゾールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料12を得た。
<光透過性導電材料13の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールカルボン酸を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料13を得た。
<光透過性導電材料14の作製>
メルカプト化合物として3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料14を得た。
<光透過性導電材料15の作製>
メルカプト化合物として2−(N−カルボキシメチル−N−フェニル)アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジンを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料15を得た。
<光透過性導電材料16の作製>
メルカプト化合物として2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウムを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料16を得た。
<光透過性導電材料17の作製>
メルカプト化合物として3−メルカプト−1,2−プロパンジオールを用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料17を得た。
<光透過性導電材料18の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃2秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料18を得た。
<光透過性導電材料19の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃4秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料19を得た。
<光透過性導電材料20の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃6秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料20を得た。
<光透過性導電材料21の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃14秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料21を得た。
<光透過性導電材料22の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃20秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料22を得た。
<光透過性導電材料23の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃90秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料23を得た。
<光透過性導電材料24の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃100秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料24を得た。
<光透過性導電材料25の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を30℃160秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料25を得た。
<光透過性導電材料26の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を15℃30秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料26を得た。
<光透過性導電材料27の作製>
パラジウムイオン含有処理液1を用いた処理条件を45℃30秒とした以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料27を得た。
<光透過性導電材料28の作製>
パラジウムイオン含有処理液1に代わって下記パラジウムイオン含有処理液2を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料28を得た。
<パラジウムイオン含有処理液2組成>
塩化パラジウム 0.16g
リン酸 0.3g
マロン酸(錯化剤として) 0.6g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料29の作製>
パラジウムイオン含有処理液1に代わって下記パラジウムイオン含有処理液3を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料29を得た。
<パラジウムイオン含有処理液3組成>
塩化パラジウム 0.01g
リン酸 0.3g
マロン酸(錯化剤として) 0.6g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料30の作製>
パラジウムイオン含有処理液1に代わって下記パラジウムイオン含有処理液4を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料30を得た。
<パラジウムイオン含有処理液4組成>
塩化パラジウム 0.06g
リン酸 0.3g
クエン酸(錯化剤として) 0.6g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料31の作製>
パラジウムイオン含有処理液1に代わって下記パラジウムイオン含有処理液5を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料31を得た。
<パラジウムイオン含有処理液5組成>
塩化パラジウム 0.06g
リン酸 0.3g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(錯化剤として)
0.6g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料32の作製>
パラジウムイオン含有処理液1に代わって下記金イオン含有処理液1を用いた以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料32を得た。
<金イオン含有処理液1組成>
塩化金酸ナトリウム2水和物 0.04g
クエン酸(錯化剤として) 0.48g
水酸化カリウム 0.42g
全量を水で1000ml
<光透過性導電材料33の作製>
パラジウムイオン含有処理液1による浸漬処理に代わって下記ニッケルめっき液1を用い、45℃、陰極電流密度4A/dmにて陽極にニッケル板を使用し、電界ニッケルめっきを行った以外は光透過性導電材料4と同様の手順を経て、光透過性導電材料33を得た。
<ニッケルめっき液1処方>
硫酸ニッケル六水和物 350g
塩化ニッケル六水和物 45g
ホウ酸 50g
ナイカルPC−3(メルテックス(株)製) 30ml
ニッケルグリームNAW−4(メルテックス(株)製)
0.02ml
全量を水で1000ml
図5は、光透過性導電材料1〜33の概略図である。黒色部分(線画部)は図1における金属細線12により構成される金属細線パターンである。図4に示した透過原稿と、図5に示した光透過性導電材料の対応については、図4の金属細線パターン相当部21は、図5の金属細線パターン31に対応し、図4の周辺配線相当部22、22′および端子相当部23、23′は、図5の周辺配線32、32′および端子33、33′にそれぞれ対応する。共焦点顕微鏡(レーザーテック(株)製、オプテリクスC130)を用いた観察の結果、光透過性導電材料1〜33が有する金属細線パターン31の線幅、細線間隔は、透過原稿の金属細線パターン相当部21の線幅、細線間隔と同じであり、その他の形状も全く同じであった。また、共焦点顕微鏡を用いて評価した光透過性導電材料1〜33の金属細線の厚みは、何れも0.10μmであった。なお、34で示す四角形は、後述する無アルカリガラス貼合場所を示す仮の線である。
<深さ方向の元素分析>
光透過性導電材料1〜33の端子33、33′部分を対象に、マーカス型高周波グロー放電発光分析装置((株)堀場製作所製、GD−Profiler2)を用いて、深さ方向の元素分析を実施した。深さ方向の元素分析はアルゴンスパッタリングを使用し、端子最表面から光透過性支持体側へ掘り下げる方向に、銀が検出されなくなるまで継続した。光透過性導電材料1では銀のみが検出された。光透過性導電材料2では最表面からパラジウム、銀の順で検出された。光透過性導電材料3では最表面から硫黄、銀の順で検出された。光透過性導電材料4〜31では最表面から硫黄、パラジウム、銀の順で検出された。光透過性導電材料32では最表面から硫黄、金、銀の順で検出された。光透過性導電材料33では最表面から硫黄、ニッケル、銀の順で検出された。この結果より、銀を含有する金属細線が、銀より貴な金属イオンを含有する処理液、および本発明のメルカプト化合物を含有する処理液で処理されることで、銀を含有する金属細線が銀より貴な金属および本発明のメルカプト化合物で被覆されていることが確認できた。
<粘着層1の作製>
アクリル酸−2−メトキシエチル:55質量部、アクリル酸エチル:12質量部、メタクリル酸メチル:15質量部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル:18質量部、重合開始剤としてアゾ化合物である2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部、および有機溶媒として酢酸エチル233.8質量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間撹拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間重合反応を行い、固形分濃度30質量%のアクリル系粘着剤溶液を得た。
アクリル系粘着剤溶液100質量部(固形分換算)に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」)を0.7質量部(固形分換算)の割合で混合して、さらにトルエンで粘度を調整した。この溶液を、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製MRF38、剥離加工済み)の剥離加工面上に塗布して、60℃で30秒間および150℃で1分間加熱乾燥させ、さらに、23℃で120時間保存し、粘着層を形成した。形成した粘着層を挟むように別のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製MRF38、剥離加工済み)の剥離加工面を貼合し、アゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着層1(粘着層厚み:50μm)を作製した。
<粘着層2の作製>
アゾ化合物として2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルを用いた以外は粘着層1と同様の手順を経て、アゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着層2(粘着層厚み:50μm)を作製した。
<粘着層3の作製>
アクリル酸−2−メトキシエチル:59質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル:40質量部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル:1質量部、重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−1−オン(BASFジャパン(株)製イルガキュア651):0.05質量部、および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製イルガキュア184):0.05質量部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させた部分重合物を得た。
この部分重合物100質量部(固形分換算)に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」)を固形分換算で0.1質量部添加した後、これらを均一に混合した。この溶液を、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製MRF38、剥離加工済み)の剥離加工面上に塗布し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製MRF38、剥離加工済み)の剥離加工面で塗布物を挟んだ。次に、ブラックライトにより、強度が5mW/cmの紫外線を照射して、光量で3600mJ/cm照射されるまで重合を行い、アゾ化合物を含有しないアクリル系粘着剤により形成された粘着層3(粘着層厚み:50μm)を作製した。
<光透過性導電材料積層体1〜33の作製>
得られた光透過性導電材料1〜33の、無アルカリガラス貼合場所34の大きさに合わせて粘着層1を裁断し、裁断後に一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して無アルカリガラス貼合場所34に貼合した。次に、残る一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して粘着層1を転写させ、そこに光透過性機能材料(カバーガラス)として無アルカリガラス(コーニングジャパン(株)製イーグル2000)を貼合し、光透過性導電材料積層体1〜33を得た。
<光透過性導電材料積層体34の作製>
光透過性導電材料4を用い、粘着層2を用いた以外は光透過性導電材料積層体1〜33と同様の手順を経て、光透過性導電材料積層体34を得た。
<光透過性導電材料積層体35の作製>
光透過性導電材料4を用い、粘着層3を用いた以外は光透過性導電材料積層体1〜33と同様の手順を経て、光透過性導電材料積層体35を得た。
<粘着層の厚み評価>
無アルカリガラス、光透過性導電材料1〜33、光透過性導電材料積層体1〜35の厚みをマイクロメーターにて測定し、光透過性導電材料積層体1〜35の厚みから無アルカリガラス、光透過性導電材料1〜33の厚みを差し引くことで粘着層の厚みを実測した。その結果、転写前の粘着層の厚みと同一であった。
光透過性導電材料積層体1〜35それぞれについて、JIS Z2381に従い、金属細線パターンを有する側の面が太陽光の照射を受けるように4週間アンダーグラス曝露装置中に入れた。
<抵抗値評価>
光透過性導電材料積層体1〜35それぞれの無アルカリガラス貼合場所にある金属細線パターンについて、太陽光曝露前に端子33と33′の間の抵抗値(単位:kΩ)を測定し、初期抵抗値とした。また、上記の通り、4週間にわたり太陽光を曝露した後に再度抵抗値を測定し、曝露後の抵抗値変化率(単位:%)を求めた。この結果を表1に示す。
<全光線透過率評価>
光透過性導電材料積層体1〜35それぞれの無アルカリガラス貼合場所にある金属細線パターンについて、太陽光の曝露前後で全光線透過率を測定した。全光線透過率の測定にはスガ試験機(株)製ヘーズコンピューターHZ−2を用い、JIS K7361−1に従い測定した。この結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明の有効性が判る。
11 光透過性支持体
12 金属細線
13 銀
14 バインダー
15 下引き層
21 金属細線パターン相当部
22、22′ 周辺配線相当部
23、23′ 端子相当部
31 金属細線パターン
32、32′ 周辺配線
33、33′ 端子
34 無アルカリガラス貼合場所
41 光透過性導電材料
42 アゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着層
43 光透過性機能材料

Claims (1)

  1. 光透過性支持体上に金属細線パターンを有する光透過性導電材料の金属細線パターンを有する側の面と、光透過性機能材料の一方の面とが、粘着層を介して貼合された光透過性導電材料積層体であって、該金属細線パターンは光透過性支持体上に銀を含有する金属細線パターンを形成した後、該金属細線パターンに、銀より貴な金属イオンを含有する処理液による処理を施し、更にその後、下記一般式(A)で表される構造を有し、かつスルホ基あるいはカルボキシル基を有さないメルカプト化合物を含有する処理液による処理を施すことで得られた金属細線パターンであり、該粘着層はアゾ化合物を含有するアクリル系粘着剤により形成された層であることを特徴とする光透過性導電材料積層体。
    (一般式(A)において、Qは5員環または6員環を形成するために必要な非金属原子群を表し、該5員環または6員環は縮合環を有していてもよい。)
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