以下、本発明に係る構成を図1から図28に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<画像投影装置の構成>
図1は、実施形態におけるプロジェクタ1を例示する図である。
プロジェクタ1は、画像投影装置の一例であり、出射窓3、外部I/F9を有し、投影画像を生成する光学エンジンが内部に設けられている。プロジェクタ1は、例えば外部I/F9に接続されるパソコンやデジタルカメラから画像データが送信されると、光学エンジンが送信された画像データに基づいて投影画像を生成し、図1に示されるように出射窓3からスクリーンSに画像Pを投影する。
なお、以下に示す図面において、X1X2方向はプロジェクタ1の幅方向、Y1Y2方向はプロジェクタ1の奥行き方向、Z1Z2方向はプロジェクタ1の高さ方向である。また、以下では、プロジェクタ1の出射窓3側を上、出射窓3とは反対側を下として説明する場合がある。
図2は、実施形態におけるプロジェクタ1の機能構成を例示するブロック図である。
図2に示されるように、プロジェクタ1は、電源4、メインスイッチSW5、操作部7、外部I/F9、システムコントロール部10、ファン20、光学エンジン15を有する。
電源4は、商用電源に接続され、プロジェクタ1の内部回路用に電圧及び周波数を変換して、システムコントロール部10、ファン20、光学エンジン15等に給電する。
メインスイッチSW5は、ユーザによるプロジェクタ1のON/OFF操作に用いられる。電源4が電源コード等を介して商用電源に接続された状態で、メインスイッチSW5がONに操作されると、電源4がプロジェクタ1の各部への給電を開始し、メインスイッチSW5がOFFに操作されると、電源4がプロジェクタ1の各部への給電を停止する。
操作部7は、ユーザによる各種操作を受け付けるボタン等であり、例えばプロジェクタ1の上面に設けられている。操作部7は、例えば投影画像の大きさ、色調、ピント調整等のユーザによる操作を受け付ける。操作部7が受け付けたユーザ操作は、システムコントロール部10に送られる。
外部I/F9は、例えばパソコン、デジタルカメラ等に接続される接続端子を有し、接続された機器から送信される画像データをシステムコントロール部10に出力する。
システムコントロール部10は、画像制御部11、移動制御部12、同期制御部13、光源制御部14を有する。システムコントロール部10は、例えばCPU,ROM,RAM等を含み、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで、各部の機能が実現される。
画像制御部11は、外部I/F9から入力される画像データに基づいて光学エンジン15の画像表示ユニット50に設けられているデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device(以下、単に「DMD」という))551を制御し、スクリーンSに投影する画像を生成する。
移動制御部12は、画像表示ユニット50において移動可能に設けられている可動ユニット55を移動させ、可動ユニット55に設けられているDMD551の位置を制御する。
同期制御部13は、カラーホイール401、光源制御部14、画像制御部11、移動制御部12に同期信号を送り、同期させて駆動させることにより、時分割で各色の映像を生成する。例えば、移動制御部12がDMD551を変位させる周期と、照明光学系ユニット40のカラーホイール401を1回転させる周期とを同期制御する。
光源制御部14は、光源30への供給電力を制御して、光源30の出力を制御する。
ファン20は、システムコントロール部10に制御されて回転し、光学エンジン15の光源30を冷却する。
光学エンジン15は、光源30、照明光学系ユニット40、画像表示ユニット50、投影光学系ユニット60を有し、システムコントロール部10に制御されてスクリーンSに画像を投影する。
光源30は、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED等であり、照明光学系ユニット40に光を照射する。本実施形態では、光源30として高圧水銀ランプ(以下、単にランプともいう)を用い、ランプは交流矩形波で駆動しており、その出力は光源制御部14により制御されている。
照明光学系ユニット40は、カラーホイール、ライトトンネル、リレーレンズ等を有し、光源30から照射された光を画像表示ユニット50に設けられているDMD551に導く。
画像表示ユニット50は、固定支持されている固定ユニット51、固定ユニット51に対して移動可能に設けられている可動ユニット55を有する。可動ユニット55は、DMD551を有し、システムコントロール部10の移動制御部12によって固定ユニット51に対する位置が制御される。DMD551は、光変調素子の一例であり、システムコントロール部10の画像制御部11により制御され、照明光学系ユニット40によって導かれた光を変調して投影画像を生成する。
投影光学系ユニット60は、例えば複数の投射レンズ、ミラー等を有し、画像表示ユニット50のDMD551によって生成される画像を拡大してスクリーンSに投影する。
<光学エンジンの構成>
次に、プロジェクタ1の光学エンジン15の各部の構成について説明する。
図3は、実施形態における光学エンジン15を例示する斜視図である。光学エンジン15は、図3に示されるように、光源30、照明光学系ユニット40、画像表示ユニット50、投影光学系ユニット60を有し、プロジェクタ1の内部に設けられている。
光源30は、照明光学系ユニット40の側面に設けられ、X2方向に光を照射する。照明光学系ユニット40は、光源30から照射された光を、下部に設けられている画像表示ユニット50に導く。画像表示ユニット50は、照明光学系ユニット40によって導かれた光を用いて投影画像を生成する。投影光学系ユニット60は、照明光学系ユニット40の上部に設けられ、画像表示ユニット50によって生成された投影画像をプロジェクタ1の外部に投影する。
なお、本実施形態に係る光学エンジン15は、光源30から照射される光を用いて上方に画像を投影するように構成されているが、水平方向に画像を投影するような構成であってもよい。
[照明光学系ユニット]
図4は、実施形態における照明光学系ユニット40を例示する図である。
図4に示されるように、照明光学系ユニット40は、カラーホイール401、ライトトンネル402、リレーレンズ403,404、シリンダミラー405、凹面ミラー406を有する。
カラーホイール401は、例えば、周方向の異なる部分にR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色のフィルタが設けられている円盤である。カラーホイール401は、高速回転することで、光源30から照射される光を、RGB各色に時分割する。
ライトトンネル402は、例えば板ガラス等の貼り合わせによって四角筒状に形成されている。ライトトンネル402は、カラーホイール401を透過したRGB各色の光を、内面で多重反射することで輝度分布を均一化してリレーレンズ403,404に導く。
リレーレンズ403,404は、ライトトンネル402から出射された光の軸上色収差を補正しつつ集光する。
シリンダミラー405及び凹面ミラー406は、リレーレンズ403,404から出射された光を、画像表示ユニット50に設けられているDMD551に反射する。DMD551は、凹面ミラー406からの反射光を変調して投影画像を生成する。
[投影光学系ユニット]
図5は、実施形態における投影光学系ユニット60の内部構成を例示する図である。
図5に示されるように、投影光学系ユニット60は、投影レンズ601、折り返しミラー602、曲面ミラー603がケースの内部に設けられている。
投影レンズ601は、複数のレンズを有し、画像表示ユニット50のDMD551によって生成された投影画像を、折り返しミラー602に結像させる。折り返しミラー602及び曲面ミラー603は、結像された投影画像を拡大するように反射して、プロジェクタ1の外部のスクリーンS等に投影する。
[画像表示ユニット]
図6は、実施形態における画像表示ユニット50を例示する斜視図である。また、図7は、実施形態における画像表示ユニット50を例示する側面図である。
図6及び図7に示されるように、画像表示ユニット50は、固定支持されている固定ユニット51、固定ユニット51に対して移動可能に設けられている可動ユニット55を有する。
固定ユニット51は、第1固定板としてのトッププレート511、第2固定板としてのベースプレート512を有する。固定ユニット51は、トッププレート511とベースプレート512とが所定の間隙を介して平行に設けられており、照明光学系ユニット40の下部に固定される。
可動ユニット55は、DMD551、第1可動板としての可動プレート552、第2可動板としての結合プレート553、ヒートシンク554を有し、固定ユニット51に移動可能に支持されている。
可動プレート552は、固定ユニット51のトッププレート511とベースプレート512との間に設けられ、固定ユニット51によってトッププレート511及びベースプレート512と平行且つ表面に平行な方向に移動可能に支持されている。
結合プレート553は、固定ユニット51のベースプレート512を間に挟んで可動プレート552に固定されている。結合プレート553は、上面側にDMD551が固定して設けられ、下面側にヒートシンク554が固定されている。結合プレート553は、可動プレート552に固定されることで、可動プレート552、DMD551、及びヒートシンク554と共に固定ユニット51に移動可能に支持されている。
DMD551は、結合プレート553の可動プレート552側の面に設けられ、可動プレート552及び結合プレート553と共に移動可能に設けられている。DMD551は、可動式の複数のマイクロミラーが格子状に配列された画像生成面を有する。DMD551の各マイクロミラーは、鏡面がねじれ軸周りに傾動可能に設けられており、システムコントロール部10の画像制御部11から送信される画像信号に基づいてON/OFF駆動される。
マイクロミラーは、例えば「ON」の場合には、光源30からの光を投影光学系ユニット60に反射するように傾斜角度が制御される。また、マイクロミラーは、例えば「OFF」の場合には、光源30からの光をOFF光板に向けて反射する方向に傾斜角度が制御される。
このように、DMD551は、画像制御部11から送信される画像信号によって各マイクロミラーの傾斜角度が制御され、光源30から照射されて照明光学系ユニット40を通った光を変調して投影画像を生成する。すなわち、各色の信号データに基づいて光変調を行い、時分割された各色の映像を重畳させることで、1つのカラー画像を生成している。
ヒートシンク554は、放熱手段の一例であり、少なくとも一部分がDMD551に当接するように設けられている。ヒートシンク554は、移動可能に支持される結合プレート553にDMD551と共に設けられることで、DMD551に当接して効率的に冷却することが可能になっている。このような構成により、本実施形態に係るプロジェクタ1では、ヒートシンク554がDMD551の温度上昇を抑制し、DMD551の温度上昇による動作不良や故障等といった不具合の発生が低減されている。
(固定ユニット)
図8は、実施形態における固定ユニット51を例示する斜視図である。また、図9は、実施形態における固定ユニット51を例示する分解斜視図である。
図8及び図9に示されるように、固定ユニット51は、トッププレート511、ベースプレート512を有する。
トッププレート511及びベースプレート512は、平板状部材から形成され、それぞれ可動ユニット55のDMD551に対応する位置に中央孔513,514が設けられている。また、トッププレート511及びベースプレート512は、複数の支柱515によって、所定の間隙を介して平行に設けられている。
支柱515は、図9に示されるように、上端部がトッププレート511に形成されている支柱孔516に圧入され、雄ねじ溝が形成されている下端部がベースプレート512に形成されている支柱孔517に挿入される。支柱515は、トッププレート511とベースプレート512との間に一定の間隔を形成し、トッププレート511とベースプレート512とを平行に支持する。
また、トッププレート511及びベースプレート512には、支持球体521を回転可能に保持する支持孔522,526がそれぞれ複数形成されている。
トッププレート511の支持孔522には、内周面に雌ねじ溝を有する円筒状の保持部材523が挿入される。保持部材523は、支持球体521を回転可能に保持し、位置調整ねじ524が上から挿入される。ベースプレート512の支持孔526は、下端側が蓋部材527によって塞がれ、支持球体521を回転可能に保持する。
トッププレート511及びベースプレート512の支持孔522,526に回転可能に保持される支持球体521は、それぞれトッププレート511とベースプレート512との間に設けられる可動プレート552に当接し、可動プレート552を移動可能に支持する。
図10は、実施形態における固定ユニット51による可動プレート552の支持構造を説明するための図である。また、図11は、図10に示されるA部分の概略構成を例示する部分拡大図である。
図10及び図11に示されるように、トッププレート511では、支持孔522に挿入される保持部材523によって支持球体521が回転可能に保持されている。また、ベースプレート512では、下端側が蓋部材527によって塞がれている支持孔526によって支持球体521が回転可能に保持されている。
各支持球体521は、支持孔522,526から少なくとも一部分が突出するように保持され、トッププレート511とベースプレート512との間に設けられる可動プレート552に当接して支持する。可動プレート552は、回転可能に設けられている複数の支持球体521により、トッププレート511及びベースプレート512と平行且つ表面に平行な方向に移動可能に両面から支持される。
また、トッププレート511側に設けられている支持球体521は、可動プレート552とは反対側で当接する位置調整ねじ524の位置に応じて、保持部材523の下端からの突出量が変化する。例えば、位置調整ねじ524がZ1方向に変位すると、支持球体521の突出量が減り、トッププレート511と可動プレート552との間隔が小さくなる。また、例えば、位置調整ねじ524がZ2方向に変位すると、支持球体521の突出量が増え、トッププレート511と可動プレート552との間隔が大きくなる。
このように、位置調整ねじ524を用いて支持球体521の突出量を変化させることで、トッププレート511と可動プレート552との間隔を適宜調整できる。
また、図8及び図9に示されるように、トッププレート511のベースプレート512側の面には、磁石531,532,533,534が設けられている。
図12は、実施形態におけるトッププレート511を例示する底面図である。図12に示されるように、トッププレート511のベースプレート512側の面には、磁石531,532,533,534が設けられている。
磁石531,532,533,534は、トッププレート511の中央孔513を囲むように4箇所に設けられている。磁石531,532,533,534は、それぞれ長手方向が平行になるように配置された直方体状の2つの磁石で構成され、それぞれ可動プレート552に及ぶ磁界を形成する。
磁石531,532,533,534は、それぞれ可動プレート552の上面に各磁石531,532,533,534に対向して設けられているコイルとで、可動プレート552を移動させる移動手段を構成する。
なお、上記した固定ユニット51に設けられる支柱515、支持球体521の数や位置等は、可動プレート552を移動可能に支持できればよく、本実施形態に例示される構成に限られるものではない。
(可動ユニット)
図13は、実施形態における可動ユニット55を例示する斜視図である。また、図14は、実施形態における可動ユニット55を例示する分解斜視図である。
図13及び図14に示されるように、可動ユニット55は、DMD551、可動プレート552、結合プレート553、ヒートシンク554、保持部材555、DMD基板557を有し、固定ユニット51に対して移動可能に支持されている。
可動プレート552は、上記したように、固定ユニット51のトッププレート511とベースプレート512との間に設けられ、複数の支持球体521により表面に平行な方向に移動可能に支持される。
図15は、実施形態における可動プレート552を例示する斜視図である。
図15に示されるように、可動プレート552は、平板状の部材から形成され、DMD基板557に設けられるDMD551に対応する位置に中央孔570を有し、中央孔570の周囲にコイル581,582,583,584が設けられている。
コイル581,582,583,584は、それぞれZ1Z2方向に平行な軸を中心として電線が巻き回されることで形成され、可動プレート552のトッププレート511側の面に形成されている凹部に設けられてカバーで覆われている。コイル581,582,583,584は、それぞれトッププレート511の磁石531,532,533,534とで、可動プレート552を移動させる移動手段を構成する。
トッププレート511の磁石531,532,533,534と、可動プレート552のコイル581,582,583,584とは、可動ユニット55が固定ユニット51に支持された状態で、それぞれ対向する位置に設けられている。コイル581,582,583,584に電流が流されると、磁石531,532,533,534によって形成される磁界により、可動プレート552を移動させる駆動力となるローレンツ力が発生する。
可動プレート552は、磁石531,532,533,534とコイル581,582,583,584との間で発生する駆動力としてのローレンツ力を受けて、固定ユニット51に対して、XY平面において直線的又は回転するように変位する。
各コイル581,582,583,584に流される電流の大きさ及び向きは、システムコントロール部10の移動制御部12によって制御される。移動制御部12は、各コイル581,582,583,584に流す電流の大きさ及び向きによって、可動プレート552の移動(回転)方向、移動量や回転角度等を制御する。
本実施形態では、第1駆動手段として、コイル581及び磁石531と、コイル584及び磁石534とが、X1X2方向に対向して設けられている。コイル581及びコイル584に電流が流されると、図15に示されるようにX1方向又はX2のローレンツ力が発生する。可動プレート552は、コイル581及び磁石531と、コイル584及び磁石534とにおいて発生するローレンツ力により、X1方向又はX2方向に移動する。
また、本実施形態では、第2駆動手段として、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とが、X1X2方向に並んで設けられ、磁石532及び磁石533は、磁石531及び磁石534とは長手方向が直交するように配置されている。このような構成において、コイル582及びコイル583に電流が流されると、図15に示されるようにY1方向又はY2方向のローレンツ力が発生する。
可動プレート552は、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とにおいて発生するローレンツ力により、Y1方向又はY2方向に移動する。また、可動プレート552は、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とで反対方向に発生するローレンツ力により、XY平面において回転するように変位する。
例えば、コイル582及び磁石532においてY1方向のローレンツ力が発生し、コイル583及び磁石533においてY2方向のローレンツ力が発生するように電流が流されると、可動プレート552は、上面視で時計回り方向に回転するように変位する。また、コイル582及び磁石532においてY2方向のローレンツ力が発生し、コイル583及び磁石533においてY1方向のローレンツ力が発生するように電流が流されると、可動プレート552は、上面視で反時計回り方向に回転するように変位する。
また、可動プレート552には、固定ユニット51の支柱515に対応する位置に、可動範囲制限孔571が設けられている。可動範囲制限孔571は、固定ユニット51の支柱515が挿入され、例えば振動や何らかの異常等により可動プレート552が大きく移動した時に支柱515に接触することで、可動プレート552の可動範囲を制限する。
以上で説明したように、本実施形態では、システムコントロール部10の移動制御部12が、コイル581,582,583,584に流す電流の大きさや向きを制御することで、可動範囲内で可動プレート552を任意の位置に移動させることで、電磁アクチュエータとして機能させることができる。
なお、移動手段としての磁石531,532,533,534及びコイル581,582,583,584の数、位置等は、可動プレート552を任意の位置に移動させることが可能であれば、本実施形態とは異なる構成であってもよい。例えば、移動手段としての磁石は、トッププレート511の上面に設けられてもよく、ベースプレート512の何れかの面に設けられてもよい。また、例えば、磁石が可動プレート552に設けられ、コイルがトッププレート511又はベースプレート512に設けられてもよい。
また、可動範囲制限孔571の数、位置及び形状等は、本実施形態に例示される構成に限られない。例えば、可動範囲制限孔571は一つであってもよく、複数であってもよい。また、可動範囲制限孔571の形状は、例えば長方形や円形等、本実施形態とは異なる形状であってもよい。
固定ユニット51によって移動可能に支持される可動プレート552の下面側(ベースプレート512側)には、図13に示されるように、結合プレート553が固定されている。結合プレート553は、平板状部材から形成され、DMD551に対応する位置に中央孔を有し、周囲に設けられている折り曲げ部分が3本のねじ591によって可動プレート552の下面に固定されている。
図16は、可動プレート552が外された可動ユニット55を例示する斜視図である。
図16に示されるように、結合プレート553には、上面側にDMD551、下面側にヒートシンク554が設けられている。結合プレート553は、可動プレート552に固定されることで、DMD551、ヒートシンク554と共に、可動プレート552に伴って固定ユニット51に対して移動可能に設けられている。
DMD551は、DMD基板557に設けられており、DMD基板557が保持部材555と結合プレート553との間で挟み込まれることで、結合プレート553に固定されている。保持部材555、DMD基板557、結合プレート553、ヒートシンク554は、図14及び図16に示されるように、固定部材としての段付ねじ560及び押圧手段としてのばね561によって重ねて固定されている。
図17は、実施形態における可動ユニット55のDMD保持構造について説明する図である。図17は、可動ユニット55の側面図であり、可動プレート552及び結合プレート553は図示が省略されている。
図17に示されるように、ヒートシンク554は、結合プレート553に固定された状態で、DMD基板557に設けられている貫通孔からDMD551の下面に当接する突出部554aを有する。なお、ヒートシンク554の突出部554aは、DMD基板557の下面であって、DMD551に対応する位置に当接するように設けられてもよい。
また、DMD551の冷却効果を高めるために、ヒートシンク554の突出部554aとDMD551との間に弾性変形可能な伝熱シートが設けられてもよい。伝熱シートによりヒートシンク554の突出部554aとDMD551との間の熱伝導性が向上し、ヒートシンク554によるDMD551の冷却効果が向上する。
上記したように、保持部材555、DMD基板557、ヒートシンク554は、段付きねじ560及びばね561によって重ねて固定されている。段付きねじ560が締められると、ばね561がZ1Z2方向に圧縮され、図17に示されるZ1方向の力F1がばね561から生じる。ばね561から生じる力F1により、ヒートシンク554はZ1方向に力F2でDMD551に押圧されることとなる。
本実施形態では、段付きねじ560及びばね561は4箇所に設けられており、ヒートシンク554にかかる力F2は、4つのばね561に生じる力F1を合成したものに等しい。また、ヒートシンク554からの力F2は、DMD551が設けられているDMD基板557を保持する保持部材555に作用する。この結果、保持部材555には、ヒートシンク554からの力F2に相当するZ2方向の反力F3が生じ、保持部材555と結合プレート553との間でDMD基板557を保持できるようになる。
段付きねじ560及びばね561には、保持部材555に生じる力F3からZ2方向の力F4が作用する。ばね561は、4箇所に設けられているため、それぞれに作用する力F4は、保持部材555に生じる力F3の4分の1に相当し、力F1と釣り合うこととなる。
また、保持部材555は、図17において矢印Bで示されるように撓むことが可能な部材で板ばね状に形成されている。保持部材555は、ヒートシンク554の突出部554aに押圧されて撓み、ヒートシンク554をZ2方向に押し返す力が生じることで、DMD551とヒートシンク554との接触をより強固に保つことができる。
可動ユニット55は、以上で説明したように、可動プレート552と、DMD551及びヒートシンク554を有する結合プレート553とが、固定ユニット51によって移動可能に支持されている。可動ユニット55の位置は、システムコントロール部10の移動制御部12によって制御される。また、可動ユニット55には、DMD551に当接するヒートシンク554が設けられており、DMD551の温度上昇に起因する動作不良や故障といった不具合の発生が防止されている。
<画像投影>
上記したように、本実施形態に係るプロジェクタ1において、投影画像を生成するDMD551は、可動ユニット55に設けられており、システムコントロール部10の移動制御部12によって可動ユニット55と共に位置が制御される。
移動制御部12は、例えば、画像投影時にフレームレートに対応する所定の周期で、DMD551の複数のマイクロミラーの配列間隔未満の距離だけ離れた複数の位置の間を高速移動するように可動ユニット55の位置を制御する。このとき、画像制御部11は、それぞれの位置に応じてシフトした投影画像を生成するようにDMD551に画像信号を送信する。
例えば、移動制御部12は、X1X2方向及びY1Y2方向にDMD551のマイクロミラーの配列間隔未満の距離だけ離れた位置P1と位置P2との間で、DMD551を所定の周期で往復移動させる。このとき、画像制御部11が、それぞれの位置に応じてシフトした投影画像を生成するようにDMD551を制御することで、投影画像の解像度を、DMD551の解像度の約2倍にすることが可能になる。また、DMD551の移動位置を増やすことで、投影画像の解像度をDMD551の2倍以上にすることもできる。
このように、移動制御部12が可動ユニット55と共にDMD551を所定の周期で移動させ、画像制御部11がDMD551に位置に応じた投影画像を生成させることで、DMD551の解像度以上の画像を投影することが可能になる。
また、本実施形態に係るプロジェクタ1では、移動制御部12がDMD551を可動ユニット55と共に回転するように制御することで、投影画像を縮小させることなく回転させることができる。例えばDMD551等の光変調素子が固定されているプロジェクタでは、投影画像を縮小させなければ、投影画像の縦横比を維持しながら回転させることはできない。これに対して、本実施形態に係るプロジェクタ1では、DMD551を回転させることができるため、投影画像を縮小させることなく回転させて傾き等の調整を行うことが可能になっている。
以上で説明したように、本実施形態に係るプロジェクタ1では、DMD551が移動可能に構成されることで、投影画像の高解像度化が可能になっている。また、DMD551を冷却するヒートシンク554が、DMD551と共に可動ユニット55に搭載されていることで、DMD551に当接してより効率的に冷却することが可能になり、DMD551の温度上昇が抑制されている。したがって、プロジェクタ1では、DMD551の温度上昇に起因して発生する動作不良や故障といった不具合が低減される。
<ピクセルシフトと解像感>
ここまで説明したプロジェクタ1では、光変調素子であるDMD551の各マイクロミラーの角度によってスクリーンSに投影される画像は生成される。このため、マイクロミラー1枚1枚の角度を維持したままDMD551を、並進、回転などの変位をさせるということは、スクリーンSに投影されている画像情報を維持した状態で投影位置を変位させることになる。
このため、例えば、DMD551を半画素分だけ所定の周期で変位させた場合には、スクリーンSに投影される画像自体が半画素分所定の周期でシフトすることとなり、結果としてスクリーンS上に中間画像が形成され、見かけ上の画素数、画素密度を高めることが可能となる(ピクセルシフト)。すなわち、DMD551が本来有している画素数以上の画素数をスクリーンS上に形成することが可能となり、疑似的にDMD551の画素数以上の高解像な画像をスクリーンS上に投影することが可能となる。
なお、ここまで説明したプロジェクタ1が備えるピクセルシフト制御のための機構は、図6〜図17を参照して説明した上述の例に限られるものではなく、DMD551を変位させることで投影されている画像情報を維持した状態で投影位置を変位させるものであればよい。また、以下の説明では、半画素分シフトする例について説明するが、シフト量はこれに限られるものではない。
図18は、ピクセルシフトにて半画素分シフトした画素の表示状態のイメージを示した説明図である。
図18における実線部は、表示位置をシフトしない状態(シフト前の状態)である第1状態の各画素S1を示しており、各画素のサイズはXL×YLとなっている。また、点線部は、半画素分(XL/2,YL/2)シフトされた状態である第2状態の各画素S2を示している。この第1状態の各画素S1と第2状態の各画素S2は、2値間で瞬時に変動するものではないため、移動期間が存在することとなる。
図19(A)〜(C)は、図18における1画素の表示状態のイメージを示した説明図である。図19中のグレーで表示される部分が投影状態にあることを示しており、図19(A)は第1状態の画素S1が投影されている状態(非移動期間)、図19(B)は第2状態の画素S2が投影されている状態(非移動期間)、図19(C)は、第1状態から第2状態および第2状態から第1状態へ変位中の状態を示している(移動期間)。図19(B)および(C)は、中間画像が投影されている状態となる。
すなわち、DMD551を半画素分だけ所定の周期で動かす場合、第1状態(図19(A))→移動期間(図19(C))→第2状態(図19(B))→移動期間(図19(C))→第1状態(図19(A))・・・となる。第1状態から第2状態への変位、第2状態から第1状態への変位をDMD551の1変位周期と呼ぶ。
ピクセルシフトでは、図19に示したように、半画素分ずらした位置に画素を移動させ、交互に各画素での映像を投影することで擬似的に高解像度にしている。ここで、図19(A),(B)に示すピクセルシフトの非移動期間では、それぞれ所望の位置に画素を設けることができるが、図19(C)に示す移動期間では、所望の画素間を移動する分、画素が大きくなってしまい、解像力が低下するため解像感が低下してしまう。
そこで、本実施形態に係る画像投影装置(プロジェクタ1)は、光を出射する光源(光源30)と、該光源からの光を用いて画像を形成する光変調素子(DMD551)を有する画像表示部(画像表示ユニット50)と、光源からの光を時分割するカラーホイール(カラーホイール401)を有し、光源からの光を画像表示部に導く照明光学部(照明光学系ユニット40)と、画像表示部によって形成された画像を拡大投影する投影光学部(投影光学系ユニット60)と、を備えた画像投影装置において、光変調素子を既定位置である第1状態と、該第1状態から変位した第2状態との間で、周期的に変位させる移動制御部(移動制御部12)と、光変調素子の変位周期と、カラーホイールの回転周期を同期させる同期制御部(同期制御部13)と、を備え、光変調素子が、第1状態から第2状態まで、または第2状態から第1状態まで変位する変位期間について、第1状態と、該第1状態から第1所定位置と、の間で変位する期間を変位期間A、第2状態と、該第2状態から第2所定位置と、の間で変位する期間を変位期間C、変位期間AおよびCを除く期間を変位期間Bとしたとき、同期制御部は、カラーホイールの色セグメント(色セグメント41)のうち、比視感度が所定の値よりも低い色セグメントにて光が透過する割合が、変位期間Bにおいて変位期間AおよびCよりも高くなるようにするものである(図24〜図26等参照)。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。以下に詳細を説明する。
カラーホイール401は、上述のように、高速回転することで、光源30から照射される光を、時分割する色の時分割素子である。また、プロジェクタ1では、DMD551が変位して画素が移動する間も、カラーホイール401は回転している。この時、同期制御部13により、移動制御部12によるDMD551の変位周期と、カラーホイール401の回転周期とは、画像のぼやけ等を防ぐため同期制御がされている。すなわち、第1状態→第2状態の1変位周期、および第2状態→第1状態の1変位周期でカラーホイール401が1回転する。
なお、本実施形態では、第1状態→第2状態の1変位周期、および第2状態→第1状態の1変位周期でカラーホイール401が1回転する場合を例にしているが、第1状態から第2状態に移動し、第2状態から第1状態に戻るまでを1変位周期として、この周期でカラーホイール401が1回転するものであってもよい。
図20にカラーホイール401の一例(カラーホイール401A)を示す。また、図21は、図20に示すカラーホイール401Aの色順位と各色のタイミングについての説明図である。
図20に示すカラーホイール401Aは、回転軸42を中心として、図中に示される回転方向に回転可能に構成されている。また、カラーホイール401Aは、波長が異なる数色のフィルタを備え、例えば、120Hzで高速回転することで、光源30から発光された光が回転中の各色セグメント41に設けられたフィルタを順次に通過する。カラーホイール401Aを透過した光は、順次に各色の色セグメント41が切り替わるため、肉眼では全ての色セグメントの色が積算された映像として確認することができる。
図20に示すカラーホイール401Aは、R(レッド、赤)、Y(イエロー、黄)、G(グリーン、緑)、B(ブルー、青)、I(インディゴ、藍)、C(シアン)、W(ホワイ路、白)の各色の色セグメント41を備えており、ここでは、赤セグメント41Rが60°、黄セグメント41Yが30°、緑セグメント41Gが60°、青セグメント41Bが60°、藍セグメント41Iが20°、シアンセグメント41Cが40°、白セグメント41Wが90°分形成されている。また、図21は、白セグメント41Wと赤セグメント41Rの境界部から1回転する際の色順位と各色のタイミングを示している。
次いで、図22は、明所視標準比視感度を示すグラフである。比視感度とは、光のエネルギーが同じ場合において、各波長の人の目が明るさを感じる強度を表す指標である。
図22に示すように、明所では555nm付近の光がピークとなっており、比視感度はその最大感度からの比率となっている。例えば、ピークからずれた色である赤色や青色の波長では暗く、ピークを含む緑色の波長では明るく感じることとなる。すなわち、カラーホイール401Aの例では、赤セグメント41R、青セグメント41B、藍セグメント41Iを通過した光は暗くなるのに対し、白セグメント41W、緑セグメント41G、シアンセグメント41C、黄セグメント41Yを通過した光は明るくなる。
次いで、図23は、ピクセルシフトでの画素の挙動の一例を示すグラフである。図23のグラフの横軸は時間(t)、縦軸はDMD551の移動量(位置)を示している。
画像表示ユニット50を電磁アクチュエータとして機能させてDMD551を変位させた場合、図23に示すように、画素が正弦波状に移動する。すなわち、第1状態(ピクセルシフト前)、第2状態(ピクセルシフト後)の状態の前後の期間では、単位時間当たりの画素の移動が少なく(移動速度が遅く、滑らかな動きとなる)、その他の移動途中の状態では、単位時間当たりの画素の移動が大きく(移動速度が速く、動きが速くなる)なっている。
ここで単位時間当たりの画素の移動が大きいということは、画素サイズが大きくなるということであり、このとき、解像感が低下しやすい。一方、単位時間当たりの画素の移動が少ない期間では、画素サイズの大型化は抑制される。
図24は、図23に示したグラフにDMD551の1変位周期を示す枠Cと、1周期内の変位期間A〜Cを付加した説明図である。図24の点線で示す枠Cは、DMD551が第1状態から第2状態へ変位する1変位周期を示しており、カラーホイール401の1回転周期である。変位周期および回転周期は、同期制御部13により、例えば、120Hzに設定されている。
図24の枠Cに示されるように、DMD551の1変位周期は、第1状態から移動が多くなるまでの所定期間である変位期間Aと、移動が多い期間である変位期間Bと、第2状態に近づいて移動が再び少なくなる変位期間Cと、に区分することができる。
換言すれば、1変位周期は、第1状態と、該第1状態から第1所定位置と、の間で変位する期間を変位期間A、第2状態と、該第2状態から第2所定位置と、の間で変位する期間を変位期間C、変位期間AおよびCを除く期間を変位期間Bと、に区分することができる。変位期間の区分は、1変位周期内の所定のタイミングに基づいてなされればよく、実際の第1所定位置や第2所定位置を把握していることは必ずしも必要ではない。
ここで、変位期間AとB,BとCとを区分するタイミングや位置は、任意に設定することが可能なものであり、特に限られるものではない。例えば、1変位周期の時間を変位期間A,B,Cで3等分してもよいし、変位期間AとCの時間を任意の同じ時間として、残りの時間を変位期間Bとしてもよい。
なお、第2状態から第1状態へ戻る際は、同様に、第2状態から移動が多くなるまでの所定期間である変位期間Cと、移動が多い期間である変位期間Bと、第1状態に近づいて移動が再び少なくなる変位期間Aと、に区分することができる。
そして、本実施形態に係るプロジェクタ1では、画素の移動が少ない変位期間Aおよび変位期間Cには、白セグメント41W、緑セグメント41G、シアンセグメント41C、黄セグメント41Yなどの比視感度の高い色セグメント41を多く用いて光を明るくするようにし、画素の移動が多い変位期間Bには、赤セグメント41R、青セグメント41B、藍セグメント41Iなどの比視感度の低い色セグメント41を多く用いて光を暗くするようにしたものである。換言すれば、少なくとも、カラーホイール401の色セグメント41のうち、比視感度が所定の値よりも低い色セグメント41にて光が透過する割合が、変位期間Bにおいて変位期間AおよびCよりも高くなるようにするものである。
本実施形態に係るプロジェクタ1で用いるカラーホイール401の一例(カラーホイール401B)を図25に示す。また、図26は、図25に示すカラーホイール401Bの色順位とDMD551の変位期間についての説明図である。
図25に示すカラーホイール401Bは、Y、I、B、R、W、Cの各色の色セグメント41を備えており、ここでは、黄セグメント41Yが20°藍セグメント41Iが70°、
青セグメント41Bが60°、赤セグメント41Rが60°、白セグメント41Wが90°シアンセグメント41Cが60°分形成されている。
そして、図26に示すように、同期制御部13は、変位期間Aおよび変位期間Cには、白セグメント41W、シアンセグメント41C、黄セグメント41Yの比視感度の高い色セグメント41を用い、変位期間Bには、藍セグメント41I、青セグメント41B、赤セグメント41Rの比視感度の低い色セグメント41を用いるようにしたものである。
このように、画素の移動の少ない期間には、比視感度の高い色セグメント41を用いて、
画素の移動の多い間には、比視感度の低い色セグメント41を用いることで、解像感の劣化を肉眼で分かりにくくすることができる。
ここで画素の移動の多い/少ない(すなわち、変位期間A〜C)は、電磁アクチュエータの特性に主に起因し、電磁アクチュエータの設計変更よりは、カラーホイール401の色セグメント41の設計の方が容易である。このため、電磁アクチュエータの特性を把握して、所定の閾値などを用いて画素の移動の多い/少ない(すなわち、変位期間A〜C)を判別し、これに基づいて、上記の条件を満たすようにカラーホイール401の色セグメント41を選択すればよい。
ところで、理想的には、図25、図26を参照して説明したように、画素の移動の多い変位期間Bの全体が比視感度の低い色セグメント41に対応し、画素の移動の多い変位期間A,Cの全体が比視感度の高い色セグメント41に対応していることが望ましいといえる。
しかしながら、カラーホイール401の色セグメントの設計、電磁アクチュエータの特性等から、双方を完全に一致させることは難しい。また、変位期間A,B,Cの区分は、あくまで任意に選択される閾値等に基づくものであって、画素の移動の多い/少ないは厳密に弁別されるものでもない。
そこで、例えば、変位周期Bの中間時点や第1状態と第2状態の移動位置の中間地点を、少なくとも最も画素の移動が多くなるタイミングと推定し、少なくともこの時(前後の時間を含んでもよいのは勿論である)に、比視感度の低い色セグメント41が対応するようにしてもよい。
また、逆に言えば、少なくとも第1状態や第2状態となる時点(前後の時間を含んでもよいのは勿論である)で、少なくとも比視感度の高い色セグメント41が対応するようにしてもよい。
以下、具体的な制御例について説明する。例えば、RGBの3色の色セグメントからなるカラーホイールを用いた場合であれば、変位期間Bでは、青と赤の色セグメントの位置が対応するようにすればよい。
また、例えば、変位期間Bでは、カラーホイール401の波長555nmの色セグメント41(緑セグメント41G)の光の透過率が80%以下とすることが好ましい。これにより、変位期間Bでは、比視感度の高い色セグメント41の透過率を抑え、解像感の低下を抑制することができる。
また、例えば、変位期間Bでは、カラーホイール401の波長400nm〜480nmの色セグメント41の光の透過率が90%以上とすることが好ましい。これにより、変位期間Bでは、比視感度の低い色セグメント41の透過率を大きくして、解像感の低下を抑制することができる。
また、例えば、変位期間Bでは、カラーホイール401の波長610nm〜700nmの色セグメント41の光の透過率が90%以上とすることが好ましい。これにより、変位期間Bでは、比視感度の低い色セグメント41の透過率を大きくして、解像感の低下を抑制することができる。
以上説明した本実施形態に係る画像投影装置によれば、光変調素子の駆動に同期して、光変調素子を振動させ、画素をずらすことにより、擬似的に画素数を増加させるピクセルシフト機能を備えた色順次方式の画像投影装置において、ピクセルシフト制御で画素から画素へ移動する期間は、画素が大きくなってしまい、解像感が低下してしまうことに対し、画素の移動を行う際には、カラーホイールの色セグメントを赤、青等の暗い色に対応させることで、画素から画素へ移動する期間に画素が大きくなることによる解像力の低下を抑え、解像感の低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る画像投影装置の他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は適宜省略する。
第1の実施形態では、DMD551の1変位周期において、画素の移動の少ない期間と多い期間とで対応するカラーホイール401の色セグメント41の明暗を設定することで、解像感の低下を抑制することについて説明した。第2の実施形態では、DMD551の1変位周期において、画素の移動の少ない期間と多い期間とで、光源制御部14により光源30の出力(出射光束量)を制御することで、解像感の低下を抑制する例について説明する。
図27は、ランプ(光源30)の出力波形の一例を示す説明図である。この時、同期制御部13により、移動制御部12によるDMD551の変位周期と、カラーホイール401の回転周期と、光源制御部14による光源30の図27に示す1ターン(出力変動周期)の制御は、同期制御がされている。
図27に示すように、光源制御部14は、光源30の出力波形を各色セグメント41に応じたパワー比に設定し、出力を制御する。このとき、1ターン分のパワーは決まっているため、平均のパワー比は100%となる。なお、各色セグメント41に対して1つのパワー比が設定されることが一般的であるが、1つの色セグメント41に対して複数のパワー比を設定するものであってもよい。
そして、第2の実施形態に係るプロジェクタ1では、DMD551の1変位周期において、画素の移動の多い変位期間Bにおいては、光源30の出力が低くなるようにするものである。図28は、ランプ(光源30)の出力波形の他の例を示す説明図である。
すなわち、例えば、図28に示されるように、藍セグメント41I、青セグメント41B、赤セグメント41Rのパワー比を平均よりも低めに設定するとともに、この期間が画素の移動の多い変位期間Bとなるように、同期制御をすることで、ピクセルシフトの移動期間の解像感の低下を軽減することができる。
以上説明した本実施形態に係る画像投影装置によれば、光変調素子の駆動に同期して、光変調素子を振動させ、画素をずらすことにより、擬似的に画素数を増加させるピクセルシフト機能を備えた色順次方式の画像投影装置において、ピクセルシフト制御で画素から画素へ移動する期間は、画素が大きくなってしまい、解像感が低下してしまうことに対し、画素の移動を行う際には、ランプブースト率を低めに設定することで、画素から画素へ移動する期間に画素が大きくなることによる解像力の低下を抑え、解像感の低下を抑制することができる。
そして、第2の実施形態において説明した画素の移動量と光源の出力との対応関係の設定と、第1の実施形態において説明した画素の移動量とカラーホイールとの対応関係の設定の双方を併せて実施することにより、画素から画素へ移動する期間に画素が大きくなることによる解像感の低下を、より好適に抑制することができる。
また、プロジェクタ1は、ピクセルシフト制御のオンオフをユーザの指示に基づいて切り替えることが可能であることが好ましい。この時、ピクセルシフト制御がオンのときに、光源の出力波形を既定の波形から、図28に示すような波形に切り替えることが好ましい。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。