以下、本発明に係る構成を図1から図26に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<画像投影装置の構成>
図1は、画像投影装置1の一実施形態を示す外観斜視図である。
画像投影装置1は、出射窓3、入力端子24を有し、投影画像を生成する光学エンジン(光源ユニット、照明光学系ユニット、投影光学系ユニット)が内部に設けられている。画像投影装置1は、例えば、入力端子24に接続されるパソコンやデジタルカメラから画像データが送信されると、光学エンジンが送信された画像データに基づいて投影画像を生成し、図1に示されるように出射窓3からスクリーンSに画像Pを投影する。
なお、以下に示す図面において、X1X2方向は画像投影装置1の幅方向、Y1Y2方向は画像投影装置1の奥行き方向、Z1Z2方向は画像投影装置1の高さ方向である。また、以下では、画像投影装置1の出射窓3側を上、出射窓3とは反対側を下として説明する場合がある。
図2は、画像投影装置1の光源ユニットを例示する図である。また、図3は、画像投影装置1の照明光学系ユニットを例示する図である。また、図4は、画像投影装置1の投影光学系ユニットの内部構成を例示する図である。
光源ユニット30は、照明光学系ユニット40の側面に設けられ、X2方向に光を照射する。照明光学系ユニット40は、光源ユニット30から照射された光を、下部に設けられている画像表示ユニット50に導く。画像表示ユニット50は、照明光学系ユニット40によって導かれた光を用いて投影画像を生成する。投影光学系ユニット60は、照明光学系ユニット40の上部に設けられ、画像表示ユニット50によって生成された投影画像を画像投影装置1の外部に投影する。
なお、本実施形態に係る画像投影装置1は、光源ユニット30から照射される光を用いて上方に画像を投影するように構成されているが、水平方向に画像を投影するような構成であってもよい。
[光源ユニット]
本実施形態に係る画像投影装置1における光源ユニット30は、光源として固体光源を用いている。図2は、単色の3原色の各固体光源からの各単色光を集光する光源ユニット30の一例を示す図である。
図2では、光源ユニット30として3原色(R,G,B)の発光ダイオード(固体光源素子)であるR_LED31,G_LED32,B_LED33を用いている。また、各LED31〜33からの3原色の光は、それぞれに適した集光素子34〜36を介して、合成手段としてのダイクロイックフィルタ37により合成される。ダイクロイックフィルタ37により合成された光は、複数のレンズを介して、照明光学系ユニット40のライトトンネル41に導かれる。
なお、図2では、光源としてR,G,BのLEDを用いる場合を示しているが、R,G,Bの色情報を含む複数の光源が同時に点灯が可能であり、瞬時に光源の点灯および消灯が可能な光源であれば、レーザダイオード(LD)などを光源として用いることもできる。
[照明光学系ユニット]
図3に示されるように、照明光学系ユニット40は、ライトトンネル41、リレーレンズ42,43、平面ミラー(シリンダミラー)44、凹面ミラー45を有する。
ライトトンネル41は、例えば板ガラス等の貼り合わせによって四角筒状に形成されている。ライトトンネル41は、光源ユニット30からの光を、内面で多重反射することで輝度分布を均一化してリレーレンズ42,43に導く。
リレーレンズ42,43は、ライトトンネル41から出射された光の軸上色収差を補正しつつ集光する。
平面ミラー44及び凹面ミラー45は、リレーレンズ42,43から出射された光を、画像表示ユニット50に設けられているDMD551に反射する。DMD551は、凹面ミラー45からの反射光を変調して投影画像を生成する。
[画像表示ユニット]
画像表示ユニット50は、複数のマイクロミラーからなる略矩形のミラー面を有し、画像データに基づいて各マイクロミラーが時分割駆動されることにより、所定の画像を形成するように投影光を加工して反射する光学変調素子としてのDMD551を備えている。
画像表示ユニット50は、入力信号に応じてマイクロミラーのオンオフを切り替えることで投影ユニットへ光を出力する光を選別するとともに階調を表現する。すなわち、DMD551により、時分割で画像データに基づいて、複数のマイクロミラーが使用する光は投影レンズへ反射され、捨てる光はOFF光板へ反射される。画像表示ユニット50で使用する光は投影光学系ユニット60へ反射し、投影光学系ユニット60内の複数の投影レンズを通り拡大された画像光はスクリーンS上へ拡大投影される。
[投影光学系ユニット]
図4に示されるように、投影光学系ユニット60は、投影レンズ61、折り返しミラー62、曲面ミラー63がケースの内部に設けられている。
投影レンズ61は、複数のレンズを有し、画像表示ユニット50のDMD551によって生成された投影画像を、折り返しミラー62に結像させる。折り返しミラー62及び曲面ミラー63は、結像された投影画像を拡大するように反射して、画像投影装置1の外部のスクリーンS等に投影する。
[機能構成]
図5は、本実施形態に係る画像投影装置1の一例を示す機能ブロック図である。
画像投影装置1は、システム制御部10、光源制御部11、DMD制御部13、可動ユニット制御部14、ファン制御部15、ファン20、リモコン受信部22、本体操作部23、入力端子24、映像信号制御部25、設定情報記憶部26、電源ユニット27、光源ユニット30、照明光学系ユニット40、画像表示ユニット50、投影光学系ユニット60、等を備え、スクリーンSに画像を投影する画像投影装置である。また、遠隔操作手段としてのリモコン21を備えている。
システム制御部10は、画像投影装置1の全体の制御を行う。また、入力された映像信号に対して、コントラスト調整、明るさ調整、シャープネス調整、スケーリング処理などの画像処理や、メニュー情報などの重畳画面(OSD:On Screen Display)の表示制御、画像投影装置1の起動制御、その他各種制御をおこなう。また、映像信号制御部25から入力された画像データに対して、画素ずらし制御により高解像度化を図るための所定の画像処理を施す。
また、システム制御部10は、光源制御部11、DMD制御部13、可動ユニット制御部14、ファン制御部15、リモコン受信部22、本体操作部23、映像信号制御部25、設定情報記憶部26、等と接続されており、これらの各機能部を制御する。例えば、システム制御部10は、光源制御部11、DMD制御部13、および可動ユニット制御部14に同期信号を送り、同期させて駆動させることにより、各色の映像を生成する画像制御部として機能する。また、システム制御部10は、後述する移動期間用画像を作成する。
なお、システム制御部10等の各制御部は、マイクロコントローラ(マイコン)で構成され、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)などの演算部および記憶部を有し、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで、各部の機能が実現される。
入力端子24は、映像信号を入力するインタフェースであって、D−Subコネクタ等のVGA(Video Graphics Array)入力端子やHDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子、S−VIDEO端子、RCA端子等のビデオ入力端子等である。入力端子24に接続されたケーブルを介してコンピュータやAV機器などの映像供給装置から映像信号を受信する。また、複数の入力端子24を備える場合もある。
映像信号制御部25は、入力端子24に入力された映像信号を処理するものであって、例えば、当該映像信号にシリアル−パラレル変換や電圧レベル変換などの種々の処理を施す。また、映像信号の解像度や周波数などを解析する信号判定機能を有する。
設定情報記憶部26は、映像信号に対する画像処理やその他各種処理において、データを記憶する。設定情報記憶部26としては、例えば、EPROMやEEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリを採用することができる。画像投影装置1は、電源オフ後も前回の設定内容(言語設定など)を保存しておくことができる。
本体操作部23は、画像投影装置1を操作するインタフェースであって、ユーザからの種々の操作要求を受け付ける。本体操作部23は、操作要求を受け付けると、当該操作要求をシステム制御部10に通知する。本体操作部23は、画像投影装置1の外面に設けられる操作キー(操作ボタン)等によって構成される。
リモコン受信部22は、リモコン21からの操作信号を受信する。リモコン受信部22は、操作信号を受信すると、当該操作信号をシステム制御部10に通知する。
ユーザは、本体操作部23またはリモコン21を操作することにより、各種設定等を行うことができる。例えば、画素ずらし制御のオンオフ設定、メニュー画面等の表示指示、画像投影装置1の設置状態の選択、投影画像の大きさ、色調、ピント調整、アスペクト比等の変更要求、画像投影装置1の電源OFF要求、投影画像の画質(高輝度や標準、ナチュラル等)を変更する映像モード変更要求、投影画像を停止するフリーズ要求、などを実行することができる。
ファン制御部15は、画像投影装置1内の温度や光源ユニット30の温度が所定の温度となるようにファン20を制御する。
ファン20は、吸気ファン、排気ファン、冷却ファン等で構成される。吸気ファンから吸入した外気を排気ファンから排出することで、画像投影装置1に気流を発生させて空冷がなされる。
電源ユニット27は、画像投影装置1内の各デバイスに接続されており、コンセントなどから入力されたAC(交流)電源をDC(直流)に変換して、画像投影装置1内の各デバイスに電源を供給する。
光源制御部11は、光源ユニット30の各LED31〜33のオン/オフや点灯パワー(明るさ)などを制御する。
画像表示ユニット50は、固定支持されている固定ユニット51、および固定ユニット51に対して移動可能に設けられている可動ユニット55を有する(詳細は後述する)。可動ユニット55は、DMD551を有し、可動ユニット制御部14によって固定ユニット51に対する位置が制御される。
可動ユニット55には、駆動手段としての電磁アクチュエータ(ボイスコイル、磁石)が設けられている。可動ユニット制御部14は、可動ユニット55の駆動手段に流すための電流量を制御し、所定の変位量、周期で高解像度化のための画素ずらし制御を実現する。
なお、可動ユニット制御部14によるDMD551のシフト制御は、本体操作部23またはリモコン21を操作することにより、オン/オフ可能となっている。DMD551のシフト制御がオフに設定される場合は、DMD551のシフトがされない通常の投影画面の表示となる。
DMD551は、複数のマイクロミラーからなる略矩形のミラー面を有し、映像データに基づいて各マイクロミラーが時分割駆動されることにより、所定の映像を形成するように投影光を加工して反射する光学変調素子である。
DMD制御部13は、DMD551のマイクロミラーのオン/オフを制御する。
DMD551により、時分割で映像データに基づいて、複数のマイクロミラーが使用する光は投影光学系ユニット60へ反射され、捨てる光はOFF光板へ反射される。使用する光は投影光学系ユニット60へ反射し、投影光学系ユニット60を通り拡大された映像光はスクリーンS上へ拡大投影される。
投影光学系ユニット60は、例えば複数の投影レンズ、ミラー等を有し、画像表示ユニット50のDMD551によって生成される画像を拡大してスクリーンSに投影する。
[画像表示ユニット詳細]
図6は、画像表示ユニット50を例示する斜視図である。また、図7は、画像表示ユニット50を例示する側面図である。
図6及び図7に示されるように、画像表示ユニット50は、固定支持されている固定ユニット51、固定ユニット51に対して移動可能に設けられている可動ユニット55を有する。
固定ユニット51は、第1固定板としてのトッププレート511、第2固定板としてのベースプレート512を有する。固定ユニット51は、トッププレート511とベースプレート512とが所定の間隙を介して平行に設けられている。
可動ユニット55は、DMD551、第1可動板としての可動プレート552、第2可動板としての結合プレート553、ヒートシンク554を有し、固定ユニット51に移動可能に支持されている。
可動プレート552は、固定ユニット51のトッププレート511とベースプレート512との間に設けられ、固定ユニット51によってトッププレート511及びベースプレート512と平行且つ表面に平行な方向に移動可能に支持されている。
結合プレート553は、固定ユニット51のベースプレート512を間に挟んで可動プレート552に固定されている。結合プレート553は、上面側にDMD551が固定して設けられ、下面側にヒートシンク554が固定されている。結合プレート553は、可動プレート552に固定されることで、可動プレート552、DMD551、及びヒートシンク554と共に固定ユニット51に移動可能に支持されている。
DMD551は、結合プレート553の可動プレート552側の面に設けられ、可動プレート552及び結合プレート553と共に移動可能に設けられている。DMD551は、可動式の複数のマイクロミラーが格子状に配列された画像生成面を有する。DMD551の各マイクロミラーは、鏡面がねじれ軸周りに傾動可能に設けられており、DMD制御部13から送信される画像信号に基づいてON/OFF駆動される。
マイクロミラーは、例えば「ON」の場合には、光源ユニット30からの光を投影光学系ユニット60に反射するように傾斜角度が制御される。また、マイクロミラーは、例えば「OFF」の場合には、光源ユニット30からの光をOFF光板に向けて反射する方向に傾斜角度が制御される。
このように、DMD551は、DMD制御部13から送信される画像信号によって各マイクロミラーの傾斜角度が制御され、光源ユニット30から照射されて照明光学系ユニット40を通った光を変調して投影画像を生成する。
ヒートシンク554は、冷却手段の一例であり、少なくとも一部分がDMD551に当接するように設けられている。ヒートシンク554は、移動可能に支持される結合プレート553にDMD551と共に設けられることで、DMD551に当接して効率的に冷却することが可能になっている。このような構成により、本実施形態に係る画像投影装置1では、ヒートシンク554がDMD551の温度上昇を抑制し、DMD551の温度上昇による動作不良や故障等といった不具合の発生が低減されている。
(固定ユニット)
図8は、固定ユニット51を例示する斜視図である。また、図9は、固定ユニット51を例示する分解斜視図である。
図8及び図9に示されるように、固定ユニット51は、トッププレート511、ベースプレート512を有する。
トッププレート511及びベースプレート512は、平板状部材から形成され、それぞれ可動ユニット55のDMD551に対応する位置に中央孔513,514が設けられている。また、トッププレート511及びベースプレート512は、複数の支柱515によって、所定の間隙を介して平行に設けられている。
支柱515は、図9に示されるように、上端部がトッププレート511に形成されている支柱孔516に圧入され、雄ねじ溝が形成されている下端部がベースプレート512に形成されている支柱孔517に挿入される。支柱515は、トッププレート511とベースプレート512との間に一定の間隔を形成し、トッププレート511とベースプレート512とを平行に支持する。
また、トッププレート511及びベースプレート512には、支持球体521を回転可能に保持する支持孔522,526がそれぞれ複数形成されている。
トッププレート511の支持孔522には、内周面に雌ねじ溝を有する円筒状の保持部材523が挿入される。保持部材523は、支持球体521を回転可能に保持し、位置調整ねじ524が上から挿入される。ベースプレート512の支持孔526は、下端側が蓋部材527によって塞がれ、支持球体521を回転可能に保持する。
トッププレート511及びベースプレート512の支持孔522,526に回転可能に保持される支持球体521は、それぞれトッププレート511とベースプレート512との間に設けられる可動プレート552に当接し、可動プレート552を移動可能に支持する。
図10は、固定ユニット51による可動プレート552の支持構造を説明するための図である。また、図11は、図10に示されるA部分の概略構成を例示する部分拡大図である。
図10及び図11に示されるように、トッププレート511では、支持孔522に挿入される保持部材523によって支持球体521が回転可能に保持されている。また、ベースプレート512では、下端側が蓋部材527によって塞がれている支持孔526によって支持球体521が回転可能に保持されている。
各支持球体521は、支持孔522,526から少なくとも一部分が突出するように保持され、トッププレート511とベースプレート512との間に設けられる可動プレート552に当接して支持する。可動プレート552は、回転可能に設けられている複数の支持球体521により、トッププレート511及びベースプレート512と平行且つ表面に平行な方向に移動可能に両面から支持される。
また、トッププレート511側に設けられている支持球体521は、可動プレート552とは反対側で当接する位置調整ねじ524の位置に応じて、保持部材523の下端からの突出量が変化する。例えば、位置調整ねじ524がZ1方向に変位すると、支持球体521の突出量が減り、トッププレート511と可動プレート552との間隔が小さくなる。また、例えば、位置調整ねじ524がZ2方向に変位すると、支持球体521の突出量が増え、トッププレート511と可動プレート552との間隔が大きくなる。
このように、位置調整ねじ524を用いて支持球体521の突出量を変化させることで、トッププレート511と可動プレート552との間隔を適宜調整できる。
また、図8及び図9に示されるように、トッププレート511のベースプレート512側の面には、磁石531,532,533,534が設けられている。
図12は、トッププレート511を例示する底面図である。図12に示されるように、トッププレート511のベースプレート512側の面には、磁石531,532,533,534が設けられている。
磁石531,532,533,534は、トッププレート511の中央孔513を囲むように4箇所に設けられている。磁石531,532,533,534は、それぞれ長手方向が平行になるように配置された直方体状の2つの磁石で構成され、それぞれ可動プレート552に及ぶ磁界を形成する。
磁石531,532,533,534は、それぞれ可動プレート552の上面に各磁石531,532,533,534に対向して設けられているコイルとで、可動プレート552を移動させる移動手段を構成する。
なお、上記した固定ユニット51に設けられる支柱515、支持球体521の数や位置等は、可動プレート552を移動可能に支持できればよく、本実施形態に例示される構成に限られるものではない。
(可動ユニット)
図13は、可動ユニット55を例示する斜視図である。また、図14は、可動ユニット55を例示する分解斜視図である。
図13及び図14に示されるように、可動ユニット55は、DMD551、可動プレート552、結合プレート553、ヒートシンク554、保持部材555、DMD基板557を有し、固定ユニット51に対して移動可能に支持されている。
可動プレート552は、上記したように、固定ユニット51のトッププレート511とベースプレート512との間に設けられ、複数の支持球体521により表面に平行な方向に移動可能に支持される。
図15は、可動プレート552を例示する斜視図である。
図15に示されるように、可動プレート552は、平板状の部材から形成され、DMD基板557に設けられるDMD551に対応する位置に中央孔570を有し、中央孔570の周囲にコイル581,582,583,584が設けられている。
コイル581,582,583,584は、それぞれZ1Z2方向に平行な軸を中心として電線が巻き回されることで形成され、可動プレート552のトッププレート511側の面に形成されている凹部に設けられてカバーで覆われている。コイル581,582,583,584は、それぞれトッププレート511の磁石531,532,533,534とで、可動プレート552を移動させる移動手段を構成する。
トッププレート511の磁石531,532,533,534と、可動プレート552のコイル581,582,583,584とは、可動ユニット55が固定ユニット51に支持された状態で、それぞれ対向する位置に設けられている。コイル581,582,583,584に電流が流されると、磁石531,532,533,534によって形成される磁界により、可動プレート552を移動させる駆動力となるローレンツ力が発生する。
可動プレート552は、磁石531,532,533,534とコイル581,582,583,584との間で発生する駆動力としてのローレンツ力を受けて、固定ユニット51に対して、XY平面において直線的又は回転するように変位する。
各コイル581,582,583,584に流される電流の大きさ及び向きは、可動ユニット制御部14によって制御される。可動ユニット制御部14は、各コイル581,582,583,584に流す電流の大きさ及び向きによって、可動プレート552の移動方向、移動量、移動速度、回転方向、回転角度等を制御する。
本実施形態では、第1駆動手段として、コイル581及び磁石531と、コイル584及び磁石534とが、X1X2方向に対向して設けられている。コイル581及びコイル584に電流が流されると、図15に示されるようにX1方向又はX2のローレンツ力が発生する。可動プレート552は、コイル581及び磁石531と、コイル584及び磁石534とにおいて発生するローレンツ力により、X1方向又はX2方向に移動する。
また、本実施形態では、第2駆動手段として、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とが、X1X2方向に並んで設けられ、磁石532及び磁石533は、磁石531及び磁石534とは長手方向が直交するように配置されている。このような構成において、コイル582及びコイル583に電流が流されると、図15に示されるようにY1方向又はY2方向のローレンツ力が発生する。
可動プレート552は、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とにおいて発生するローレンツ力により、Y1方向又はY2方向に移動する。また、可動プレート552は、コイル582及び磁石532と、コイル583及び磁石533とで反対方向に発生するローレンツ力により、XY平面において回転するように変位する。
例えば、コイル582及び磁石532においてY1方向のローレンツ力が発生し、コイル583及び磁石533においてY2方向のローレンツ力が発生するように電流が流されると、可動プレート552は、上面視で時計回り方向に回転するように変位する。また、コイル582及び磁石532においてY2方向のローレンツ力が発生し、コイル583及び磁石533においてY1方向のローレンツ力が発生するように電流が流されると、可動プレート552は、上面視で反時計回り方向に回転するように変位する。
また、可動プレート552には、固定ユニット51の支柱515に対応する位置に、可動範囲制限孔571が設けられている。可動範囲制限孔571は、固定ユニット51の支柱515が挿入され、例えば振動や何らかの異常等により可動プレート552が大きく移動した時に支柱515に接触することで、可動プレート552の可動範囲を制限する。
以上で説明したように、本実施形態では、可動ユニット制御部14が、コイル581,582,583,584に流す電流の大きさや向きを制御することで、可動範囲内で可動プレート552を任意の位置に移動させることができる。
なお、移動手段としての磁石531,532,533,534及びコイル581,582,583,584の数、位置等は、可動プレート552を任意の位置に移動させることが可能であれば、本実施形態とは異なる構成であってもよい。例えば、移動手段としての磁石は、トッププレート511の上面に設けられてもよく、ベースプレート512の何れかの面に設けられてもよい。また、例えば、磁石が可動プレート552に設けられ、コイルがトッププレート511又はベースプレート512に設けられてもよい。
また、可動範囲制限孔571の数、位置及び形状等は、本実施形態に例示される構成に限られない。例えば、可動範囲制限孔571は一つであってもよく、複数であってもよい。また、可動範囲制限孔571の形状は、例えば長方形や円形等、本実施形態とは異なる形状であってもよい。
固定ユニット51によって移動可能に支持される可動プレート552の下面側(ベースプレート512側)には、図13に示されるように、結合プレート553が固定されている。結合プレート553は、平板状部材から形成され、DMD551に対応する位置に中央孔を有し、周囲に設けられている折り曲げ部分が3本のねじ591によって可動プレート552の下面に固定されている。
図16は、可動プレート552が外された可動ユニット55を例示する斜視図である。
図16に示されるように、結合プレート553には、上面側にDMD551、下面側にヒートシンク554が設けられている。結合プレート553は、可動プレート552に固定されることで、DMD551、ヒートシンク554と共に、可動プレート552に伴って固定ユニット51に対して移動可能に設けられている。
DMD551は、DMD基板557に設けられており、DMD基板557が保持部材555と結合プレート553との間で挟み込まれることで、結合プレート553に固定されている。保持部材555、DMD基板557、結合プレート553、ヒートシンク554は、図14及び図16に示されるように、固定部材としての段付ねじ560及び押圧手段としてのばね561によって重ねて固定されている。
図17は、可動ユニット55のDMD保持構造について説明する図である。図17は、可動ユニット55の側面図であり、可動プレート552及び結合プレート553は図示が省略されている。
図17に示されるように、ヒートシンク554は、結合プレート553に固定された状態で、DMD基板557に設けられている貫通孔からDMD551の下面に当接する突出部554aを有する。なお、ヒートシンク554の突出部554aは、DMD基板557の下面であって、DMD551に対応する位置に当接するように設けられてもよい。
また、DMD551の冷却効果を高めるために、ヒートシンク554の突出部554aとDMD551との間に弾性変形可能な伝熱シートが設けられてもよい。伝熱シートによりヒートシンク554の突出部554aとDMD551との間の熱伝導性が向上し、ヒートシンク554によるDMD551の冷却効果が向上する。
上記したように、保持部材555、DMD基板557、ヒートシンク554は、段付きねじ560及びばね561によって重ねて固定されている。段付きねじ560が締められると、ばね561がZ1Z2方向に圧縮され、図17に示されるZ1方向の力F1がばね561から生じる。ばね561から生じる力F1により、ヒートシンク554はZ1方向に力F2でDMD551に押圧されることとなる。
本実施形態では、段付きねじ560及びばね561は4箇所に設けられており、ヒートシンク554にかかる力F2は、4つのばね561に生じる力F1を合成したものに等しい。また、ヒートシンク554からの力F2は、DMD551が設けられているDMD基板557を保持する保持部材555に作用する。この結果、保持部材555には、ヒートシンク554からの力F2に相当するZ2方向の反力F3が生じ、保持部材555と結合プレート553との間でDMD基板557を保持できるようになる。
段付きねじ560及びばね561には、保持部材555に生じる力F3からZ2方向の力F4が作用する。ばね561は、4箇所に設けられているため、それぞれに作用する力F4は、保持部材555に生じる力F3の4分の1に相当し、力F1と釣り合うこととなる。
また、保持部材555は、図17において矢印Bで示されるように撓むことが可能な部材で板ばね状に形成されている。保持部材555は、ヒートシンク554の突出部554aに押圧されて撓み、ヒートシンク554をZ2方向に押し返す力が生じることで、DMD551とヒートシンク554との接触をより強固に保つことができる。
可動ユニット55は、以上で説明したように、可動プレート552と、DMD551及びヒートシンク554を有する結合プレート553とが、固定ユニット51によって移動可能に支持されている。可動ユニット55の位置は、可動ユニット制御部14によって制御される。また、可動ユニット55には、DMD551に当接するヒートシンク554が設けられており、DMD551の温度上昇に起因する動作不良や故障といった不具合の発生が防止されている。
<画像投影制御>
上述のように、画像投影装置1において投影画像を生成するDMD551は、固定ユニット51に対して力を作用する際の反力を受けて、固定ユニット51に対して相対的に移動する可動ユニット55に設けられており、可動ユニット制御部14によって可動ユニット55と共に位置が制御される。
可動ユニット制御部14は、例えば、画像投影時にフレームレートに対応する所定の周期で、DMD551の複数のマイクロミラーの配列間隔未満の距離だけ離れた複数の位置の間を高速移動するように可動ユニット55の位置を制御する。このとき、システム制御部10は、それぞれの位置に応じてシフトした投影画像を生成し、DMD制御部13を介してDMD551に画像信号を送信する。
可動ユニット制御部14は、X1X2方向及びY1Y2方向にDMD551のマイクロミラーの配列間隔未満の距離だけ離れた第1位置と第2位置との間で、DMD551を所定の周期で往復移動させる。このとき、DMD制御部13が、それぞれの位置に応じてシフトした投影画像を生成するようにDMD551を制御することで、投影画像の解像度を、DMD551の解像度の約2倍にすることが可能になる。
このように、可動ユニット制御部14が可動ユニット55と共にDMD551を所定の周期で移動させ、システム制御部10およびDMD制御部13がDMD551に位置に応じた投影画像を生成させることで、DMD551の解像度以上の画像を投影することが可能となる。
また、本実施形態に係る画像投影装置1では、可動ユニット制御部14がDMD551を可動ユニット55と共に回転するように制御することで、投影画像を縮小させることなく回転させることができる。例えばDMD551等の光学変調素子が固定されているプロジェクタでは、投影画像を縮小させなければ、投影画像の縦横比を維持しながら回転させることはできない。これに対して、本実施形態に係る画像投影装置1では、DMD551を回転させることができるため、投影画像を縮小させることなく回転させて傾き等の調整を行うことが可能になっている。
ここまで説明した画像投影装置1では、光学変調素子であるDMD551の各マイクロミラーの角度によってスクリーンSに投影される画像は生成される。このため、マイクロミラー1枚1枚の角度を維持したままDMD551を、並進、回転などの変位をさせるということは、スクリーンSに投影されている画像情報を維持した状態で投影位置を変位させることになる。
このため、例えば、DMD551を半画素分だけ所定の周期で変位させた場合には、スクリーンSに投影される画像自体が半画素分所定の周期でシフトすることとなり、結果としてスクリーンS上に中間画像が形成され、見かけ上の画素数、画素密度を高めることが可能となる(画素ずらし制御)。すなわち、DMD551が本来有している画素数以上の画素数をスクリーンS上に形成することが可能となり、疑似的にDMD551の画素数以上の高解像な画像をスクリーンS上に投影することが可能となる。
なお、ここまで説明した画像投影装置1が備える画素ずらし制御のための機構は、図6〜図17を参照して説明した上述の例に限られるものではなく、DMD551を変位させることで投影されている画像情報を維持した状態で投影位置を変位させるものであればよい。また、本実施形態では、半画素分シフトする例について説明するが、シフト量はこれに限られるものではない。
<移動期間用画像の投影制御>
本実施形態に係る画像投影装置(画像投影装置1)は、固体光源(光源ユニット30のLED31〜33)からの光を用いて画像を形成する光学変調素子(DMD551)と、固体光源からの光を光学変調素子に導くとともに、光学変調素子によって形成された画像を拡大投影する光学部(照明光学系ユニット40および投影光学系ユニット60)と、光学変調素子を周期的に変位させる駆動部(可動ユニット55)と、色情報を有しない移動期間用画像を作成するとともに、光学変調素子の周期的な変位において該光学変調素子の移動速度が最も早くなる時点を少なくとも含む所定期間に、移動期間用画像を投影制御する画像制御部(システム制御部10)と、を備えるものである。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。以下に詳細を説明する。
図18は、明所視標準比視感度を示すグラフである。比視感度とは、光のエネルギーが同じ場合において、各波長の人の目が明るさを感じる強度を表す指標である。
図18に示すように、明所では555nm付近の光がピークとなっており、比視感度はその最大感度からの比率となっている。例えば、ピークからずれた色である赤色や青色の波長では暗く、ピークを含む緑色の波長や、白色、シアン、黄色などの色では明るく感じることとなる。
そして、人間の視感度特徴により、動きのある映像において、よく階調の段差、色のずれ、ゴースト状のノイズ、画像のボケ、擬似輪郭などを感じてしまう。この現象はアーティファクトと呼ばれる。アーティファクトは、特に肌のような色合いがなだらかに変化している部分や、明るい色と暗い色の切り替わりが速い時などに発生しやすい。
図19は、画素ずらし制御にて半画素分シフトした画素の表示状態のイメージを示した説明図である。
図19における実線部は、表示位置をシフトしない状態(シフト前の状態)である第1状態の各画素S1を示しており、各画素のサイズはXL×YLとなっている。また、点線部は、半画素分(XL/2,YL/2)シフトされた状態である第2状態の各画素S2を示している。
そして、2つの画像を合成、すなわち、交互に各画素での映像を投影することにより、擬似的に高解像度することが可能となる。この画素ずらし制御において、システム制御部10では、入力された映像信号に基づいた投影画像を生成するとともに、移動制御部12にて可動ユニット55のDMD551を斜め方向にシフトさせて、高解像度化を実現する。
しかしながら、この第1状態の各画素S1と第2状態の各画素S2は、2値間で瞬時に変動するものではないため、移動期間が存在することとなる。
図20(A)〜(C)は、図19における1画素の表示状態のイメージを示した説明図である。図20中のグレーで表示される部分が投影状態にあることを示しており、図20(A)は第1状態の画素S1が投影されている状態(非移動期間)、図20(B)は第2状態の画素S2が投影されている状態(非移動期間)、図20(C)は、第1状態から第2状態および第2状態から第1状態へ変位中の状態を示している(移動期間)。
すなわち、DMD551を半画素分だけ所定の周期で動かす場合、第1状態(図20(A))→移動期間(図20(C))→第2状態(図20(B))→移動期間(図20(C))→第1状態(図20(A))・・・となる。
画素ずらし制御では、図20に示したように、半画素分ずらした位置に画素を移動させ、交互に各画素での映像を投影することで擬似的に高解像度にしている。ここで、図20(A),(B)に示す画素ずらし制御の非移動期間では、それぞれ所望の位置に画素を設けることができるが、図20(C)に示す移動期間では、所望の画素間を移動する分、画素が大きくなってしまい、解像力が低下するため解像感が低下してしまい、アーティファクトが発生しやすくなる。
次いで、図21は、画素ずらし制御での画素の挙動の一例を示すグラフである。図21のグラフの横軸は時間(t)、縦軸はDMD551の移動量(画素位置)を示している。
画像表示ユニット50を電磁アクチュエータとして機能させてDMD551を変位させた場合、図21に示すように、画素が正弦波状に移動する。すなわち、第1状態、第2状態の状態の前後の期間では、単位時間当たりの画素の移動が少なく(移動速度が遅く、滑らかな動きとなる)、その他の移動途中の状態では、単位時間当たりの画素の移動が大きく(移動速度が速く、動きが速くなる)なっている。単位時間当たりの画素の移動が大きいということは、画素サイズが大きくなるということであり、このとき、解像感が低下しやすく、投影画像にアーティファクトが発生しやすいと考えられる。
また、図22は、図21に示したグラフにDMD551の1変位期間を示す枠Cと、1変位期間内の変位期間A〜Cを付加した説明図である。
枠Cに示す1変位期間は、第1状態から移動が多くなるまでの所定期間である変位期間Aと、移動が多い期間である変位期間Bと、第2状態に近づいて移動が再び少なくなる変位期間Cと、に区分することができる。
換言すれば、1変位期間は、第1状態と、該第1状態から第1所定位置と、の間で変位する期間を変位期間A、第2状態と、該第2状態から第2所定位置と、の間で変位する期間を変位期間C、変位期間AおよびCを除く期間を変位期間Bと、に区分することができる。また、変位期間Bは、画素の移動速度が最も速い期間を含む所定期間といえる。
ここで、変位期間AとB,BとCとを区分するタイミングや位置は、任意に設定することが可能なものであり、特に限られるものではない。例えば、1変位期間の時間を変位期間A,B,Cで3等分してもよいし、変位期間AとCの時間を任意の同じ時間として、残りの時間を変位期間Bとしてもよい。
なお、第2状態から第1状態へ戻る際は、同様に、第2状態から移動が多くなるまでの所定期間である変位期間Cと、移動が多い期間である変位期間Bと、第1状態に近づいて移動が再び少なくなる変位期間Aと、に区分することができる。
ここで、画素の移動が少ない期間(変位期間A,C)のみに画像を投影することでも画素ずらし制御による高解像化が期待できるが、画素の移動が大きい期間(変位期間B)に画像が投影されないようにすると、投影画像の明るさが必要以上に低下しまう。一方、変位期間Bも画像を投影する場合、上述のように、画素サイズが大きくなり、解像感が低下しやすく、投影画像にアーティファクトが発生しやすい。
そこで、本実施形態に係る画像投影装置1は、画素の移動の多い期間(変位期間B)において、移動期間用画像を投影するものである。ここで、移動期間用画像は、色情報を有しない(すなわち、白、黒、グレー以外の色を有しない)ものであって、輝度情報は有する画像である。例えば、投影する元画像から色差信号を0とした画像(投影画像のモノクローム画像)を作成し、これを移動期間用画像とすることができる。また、投影する元画像とは別途、白、黒、またはグレーのモノクローム画像(例えば、モノクロームの単色画像など)を作成し、これを移動期間用画像としてもよい。
図23は、移動期間用画像として、モノクロームの投影画像(グレー単色の画像)を投影する場合のイメージ図である。また、投影する元画像から色差信号を0とした画像の場合は、前後の画像の色情報を有しない画像となる。
そこで、本実施形態に係る画像投影装置1は、複数色の固体光源(例えば、R,G,Bの色情報を含む複数の光源)が同時に点灯および消灯できる特性を利用し、画素の移動の多い期間に色情報を有しない画像を作成するために、その作成期間(すなわち、変位期間B)において、R,G,Bの3色のLED31〜33を同時に点灯させて光を出力するものである。
図24は、各変位期間でのLEDの点灯タイミングの一例を示す説明図である。図24に示すように、画素の移動の多い期間(変位期間B)に、LED31〜33を同時に点灯させている。その他の期間(変位期間A,C)は、入力信号に基づいて、LED31〜33の点灯、消灯がなされる。
ここでは、画素の移動の多い期間(変位期間B)に、R,G,Bの三原色を含むすべての光源を同時に点灯させることで色情報を有しない画像を作成する例を説明したが、補色を出力する光源を用いて色情報を有しない画像を作成することもできる。すなわち、以下の(1)〜(4)の色を出力するLEDまたはLD光源の組み合わせも可能である。
(1)Y(黄)、およびB(青)
(2)W(白)
(3)Cy(シアン)およびR(赤)
(4)M(マゼンタ)、およびG(緑)
本実施形態に係る画像投影装置1は、RGBまたは上記の(1)〜(4)のいずれかの条件を満たす光を出力する光源を少なくとも備えるものである。
以下、移動期間用画像の作成例について説明する。移動期間用画像は、画素の移動の多い期間において、システム制御部10にて、投影する元の画像の映像信号の入力信号レベル(例えば、輝度信号の信号レベル)または輝度ヒストグラムを検出し、検出した入力信号レベルまたは輝度ヒストグラムに応じて、出力信号レベルを変化させて、作成することが好ましい。
具体的には、入力信号レベルまたは輝度ヒストグラムに基づいて、元の画像が明るい場合は、移動期間用画像の信号レベルを移動期間用画像が明るくなる(白に近い画像)ように設定し、元の画像が暗い場合は、暗くなる(黒に近い画像)ように設定することが好ましい。これにより、画素移動中におけるアーティファクトの発生を防止するとともに、画素移動後の投影画像のコントラストを向上させることができる。
図25に、移動期間用画像の信号レベル設定の一例を示す。元の画像の入力輝度信号レベルが0〜10%の場合は、移動期間用画像の信号レベル(出力輝度信号レベル)を0%(黒)に設定する。また、元の画像の入力輝度信号レベルが10〜50%の場合は、出力輝度信号レベルを40%に、50〜90%の場合は、出力輝度信号レベルを80%に設定し、グレーの画像を投影する。また、元の画像の入力輝度信号レベルが90〜100%の場合は、投影像が明るいため、出力輝度信号レベルを100%(白)に設定する。
また、入力信号レベルまたは輝度ヒストグラムに基づいて、移動期間用画像の信号レベルを変更するのではなく、画像投影装置1が照度センサ(照度検出手段)を内蔵し、移動期間用画像の信号レベル(出力輝度信号レベル)を、照度センサの検出結果に応じて設定してもよい。例えば、照度レベルが高い場合(画像投影装置1の周囲が明るい場合)は、移動期間用画像の信号レベルを移動期間用画像が明るくなる(白に近い画像)ように設定し、照度レベルが低い場合(画像投影装置1の周囲が暗い場合)は、暗くなる(黒に近い画像)ように設定するものである。これにより、周囲の環境が明るい場合は移動期間用画像を明るくし、周囲の環境が暗い場合は移動期間用画像を暗くすることができる。
システム制御部10による移動期間用画像の作成および投影制御の一例を、図26に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、入力端子24および映像信号制御部25を介してシステム制御部10に映像信号が入力される(S101)。
次いで、入力信号のRGBから以下の変換式(1)〜(3)を用いて、輝度信号Yと色信号B−Y(色差信号Cb),R−Y(色差信号Cr)を算出する(S102)。
Y=0.300R+0.590G+0.110B ・・・(1)
B−Y=−0.300R−0.590G+0.890B ・・・(2)
R−Y=0.700R−0.590G−0.110B ・・・(3)
次いで、移動期間用画像の色を表示させないように、算出された色差信号Cb,Crを0に変換する(S103)。
次いで、入力信号の輝度信号レベルを参照し(S104)、算出された輝度信号Yに応じた出力輝度信号レベル(オフセット値Y’という)に変換する(S105、図25参照)。
次いで、変換後の輝度信号(オフセット値Y’)と色信号を合成して、移動期間用画像を作成する(S106)。そして、DMD551を制御して、移動期間用画像を投影させる(S107)。
以上説明した本実施形態に係る画像投影装置によれば、画素ずらし制御において画素の移動の多い期間に、例えば、投映画像の入力輝度信号レベルまたは輝度ヒストグラムを検出し、検出された入力輝度信号レベルや輝度ヒストグラムに基づいて、出力信号レベルを変化させた移動期間用の画像を作成し、該画像を投影することにより、投影像の明るさ低下を防止しつつ、アーティファクトの発生と解像感の低下を防ぐことができる。また、投影画像のコントラストを高めることができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
また、上記実施形態では、画像投影装置は、DMDを用いたDLP方式のプロジェクタを例に説明したが、これに限られるものではなく、画素ずらし制御を行うとともに、画素の移動期間中に色情報を有しない画像を形成し、これを投影することが可能な画像投影装置であれば、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)方式、LCOS(Liquid crystal on silicon)方式等の他の方式であっても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、光学の反射を利用した縦置きの超短焦点型プロジェクタを例に説明したが、水平置きのプロジェクタにおいても、本発明を適用することができる。