図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1(車載装置)の機能ブロック図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載される車載装置であり、車両に搭乗しているユーザの操作に従って、地図の表示、地図における車両の現在位置の表示、目的地までの経路探索、経路案内等の機能を実行する。なお、ナビゲーション装置1は、車両のダッシュボード等に固定されても良いし、車両に対し着脱可能なものであっても良い。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部2と、記憶部3と、タッチパネル4(表示部)と、GPS受信部5と、相対方位検出部6と、車両情報取得部7と、を備える。
制御部2は、CPUや、ROM、RAM、その他の制御回路等を備え、ナビゲーション装置1の各部を制御する。
記憶部3は、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性メモリーを備え、データを書き換え可能に記憶する。記憶部3は、制御部2が実行する制御プログラムのほか、地図データ3a、及び、比率判定テーブルT(比率判定情報)を記憶している。比率判定テーブルTについては、後述する。
地図データ3aは、タッチパネル4に地図を表示する際に使用する地図の画像データや、交差点やその他の道路網上の結線点を示すノードに関する情報、ノードとノードとの道路区間を示すリンクに関する情報、地図上の行政区画や施設等の名称に関する情報等の地図に関する地図情報を有する。
制御部2は、地図データ3aに基づいて、後述するタッチパネル4に地図を表示可能である。地図の表示に際し、制御部2は、縮尺率が小さいほうから順に、第1縮尺率〜第5縮尺率の5段階に縮尺率を変えて、地図を表示可能である。第1縮尺率は、実際の1kmを、地図上の所定の単位(例えば、1cmに相当する単位)で表す縮尺率である。第2縮尺率は、実際の500mを、地図上の所定の単位で表す縮尺率である。第3縮尺率は、実際の200mを、地図上の所定の単位で表す縮尺率である。第4縮尺率は、実際の100mを、地図上の所定の単位で表す縮尺率である。第5縮尺率は、実際の50mを、地図上の所定の単位で表す縮尺率である。
また、地図データ3aは、施設情報を有する。施設情報は、地図情報に基づく地図上に位置する施設毎に、施設に関するレコードを格納する情報である。各レコードは、少なくとも、施設IDと、施設の位置を示す施設位置情報と、施設の種別を示す施設種別情報と、アイコンIDと、アイコンデータとを、有する。
施設IDは、施設を識別するための識別情報であり、施設毎に値が異なる。施設位置情報は、施設の位置を経度、及び、緯度で表す情報である。施設種別情報は、例えばコンビニや、レストラン等の、施設の種別(ジャンル)を示す。アイコンIDとは、後述する施設表示モードにおいて、地図上で施設をアイコンにより表すときのアイコンの識別情報である。アイコンIDは、アイコンごとに値が異なる。アイコンデータは、アイコンの画像データである。本実施形態では、アイコンデータのサイズは、縦32ドット×横32ドットである。
タッチパネル4は、表示パネル4aと、タッチセンサー4bとを備える。当該表示パネル4aは、液晶ディスプレイやEL(Electro Luminescent)ディスプレイ等により構成され、制御部2の制御の下、各種情報を表示パネル4aに表示する。タッチセンサー4bは、表示パネル4aに重ねて配置され、ユーザのタッチ操作を検出し、制御部2に出力する。
GPS受信部5は、GPSアンテナ5aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在位置を示す位置座標と進行方向とを演算により取得する。GPS受信部5は、取得結果を制御部2に出力する。
相対方位検出部6は、ジャイロセンサと、加速度センサとを備える。ジャイロセンサは、例えば振動ジャイロにより構成され、自車両の相対的な方位(例えば、ヨー軸方向の旋回量)を検出する。加速度センサは、自車両に作用する加速度(例えば、進行方向に対する自車両の傾き)を検出する。相対方位検出部6は、検出結果を制御部2に出力する。
制御部2は、GPS受信部5から入力された位置座標と進行方向を示す情報、相対方位検出部6から入力された車両の相対的な方位情報、及び、記憶部3に記憶された地図データ3aに含まれる情報に基づいて、車両の位置を特定する。
ところで、ナビゲーション装置1は、動作モードとして、施設表示モードを有する。施設表示モードでは、ユーザにより施設の種別が入力され、入力された種別に対応する施設を示すアイコンが、地図上の施設の位置に表示される。
ここで、従来の施設表示モードでは、以下の課題があった。
図2は、従来の施設表示モード時にタッチパネル4に表示される表示画面の一例を示す図である。
図2に示す地図の縮尺率は、第1縮尺率である。また、図2では、施設表示モードへの移行に際し、ユーザにより、施設の種別として、コンビニエンスストアが入力されている。また、図2では、車両の位置Mを中心とした所定の範囲に属する領域に位置する施設のアイコンを地図上に表示しているが、表示された地図の全域に位置する施設のアイコンを地図上に表示してもよい。
図2に示すように、施設表示モードでは、入力された種別に対応する施設のアイコンが、施設の実際の位置に対応する地図上の位置に表示される。そして、図2のように、表示すべき施設のアイコンの数が多い場合、複数のアイコンが重なりあい、一部のアイコンが見づらく、また、アイコンに対応する地図の位置が把握しづらい、事態が生じる。このような事態は、表示する地図の縮尺率が小さいほど、発生し得る。
以上を踏まえ、本実施形態のナビゲーション装置1は、以下に説明する動作を実行する。
図3は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。
以下の説明では、施設表示モードへ移行した場合に、施設のアイコンを表示する領域を「アイコン表示領域」という。本実施形態では、アイコン表示領域は、車両の現在位置を中心とする所定の領域である。アイコン表示領域は、地図の縮尺率に応じて、その大きさが変化する。制御部2は、施設表示モードへの移行が指示された場合、地図の縮尺率と、車両の現在位置とに基づいて、アイコン表示領域を算出する。
図3に示すように、ナビゲーション装置1の制御部2は、施設表示モードへの移行の指示を受け付ける(ステップS1)。上述したように、ユーザは、施設表示モードへの移行に際し、地図に表示する施設の種別を入力する。
施設表示モードへの移行が指示されると、制御部2は、地図データ3aが有する施設情報が有するレコードのうち、アイコン表示領域に属する施設であって、ユーザが入力した種別の施設に対応するレコードを特定し、特定したレコードにより構成される施設データSDを生成する(ステップS2)。ステップS2において、制御部2は、施設情報が格納するレコードの格納順に準じてレコードが格納された施設データSDを生成する。
以下、アイコン表示領域に属する施設であって、ユーザが入力した種別の施設を、「表示対象施設」と表現する。
図4は、施設データSDの一例を示す図である。
施設データSDは、表示対象施設ごとにレコードを有する。図4に示すように、施設データSDの1件のレコードは、施設IDと、施設位置情報と、施設種別情報と、アイコンIDと、アイコンデータとを有する。図4のレコードR1、及び、レコードR2のように、施設データSDにおいて、複数のレコードが、同一のアイコンIDを有する場合がある。これは、各レコードに対応する表示対象施設が、同一の施設であることを意味する。同一の施設とは、例えば、コンビニエンスストアであれば、各表示対象施設が、同一のフランチャイザーに属する店舗であることを示す。
フローチャートの説明に戻り、制御部2は、施設データSDを作成した後、タッチパネル4に表示されている地図が、平面地図を所定の視点から斜めに見下ろすように表示する鳥瞰図表示の地図であるか否かを判別する(ステップS3)。タッチパネル4に表示されている地図が、鳥瞰図表示の地図である場合(ステップS3:YES)、制御部2は、ステップS4の処理を実行する。ステップS4の処理については、後述する。
一方、タッチパネル4に表示されている地図が、鳥瞰図表示の地図でない場合(ステップS3:NO)、すなわち、タッチパネル4に表示されている地図が平面地図である場合、制御部2は、タッチパネル4に表示されている地図の縮尺率を取得する(ステップS5)。
次いで、制御部2は、記憶部3が記憶する比率判定テーブルTから、ステップS4にて取得した地図の縮尺率に基づき、地図上に施設を示すアイコンを表示するか否かを判定する際に使用する重なり判定比率を取得する(ステップS6)。重なり判定比率については、後に詳述する。
図5は、比率判定テーブルTの一例を示す図である。
図5に示すように、比率判定テーブルTは、タッチパネル4に表示する地図の縮尺率を示す情報を格納するフィールドF1と、重なり判定比率を格納するフィールドF2と、を有する。また、図5に示すように、比率判定テーブルTの各レコードでは、地図の縮尺率と、重なり判定比率と、が対応付いており、地図の縮尺率が小さくなるほど、重なり判定比率は低くなるように設定されている。すなわち、タッチパネル4が表示する地図が広域な地図である場合、重なり判定比率は、低く設定され、狭域な地図である場合、高く設定される。なお、比率判定テーブルTは有する縮尺率、及び、重なり判定比率は、事前のシミュレーションや、テスト等に基づき、「ユーザの見易さ」という観点の下、適切な値に設定されている。
例えば、制御部2は、表示されている地図の縮尺率が、第4縮尺率の場合、比率判定テーブルTのフィールドF1に第4縮尺率が格納されたレコードを参照し、重なり判定比率「60%」を取得する。
制御部2は、比率判定テーブルTから重なり判定比率を取得すると、施設データSDが格納するレコードのうち、未だ処理対象となっていない1のレコードを処理対象とし、処理対象とした1のレコードを読み込む(ステップS7)。以後、制御部2は、ステップS7において施設データSDが有するレコードを格納順に1件ずつ処理対象として読み込み、読み込んだレコードに基づいて、ステップS8以下の処理を実行する。
以下、ステップS7で読み込んだレコードを、「処理対象レコード」という。
ステップS7で、処理対象レコードを読み込むと、制御部2は、処理対象レコードに基づいて対応する施設のアイコンを地図上に表示したとした場合に、既に表示することが確定したアイコンと、ステップS6で取得した重なり判定比率を上回る比率で、重なるか否かを判別する(ステップS8)。以下、ステップS8の処理、及び、ステップS8の処理結果に基づいて実行される処理であるステップS9の処理について詳述する。
ステップSB8において、制御部2は、仮想バッファKBに、所定の方法で、処理対象レコードに基づいてアイコンデータを展開する処理を実行する。仮想バッファKBは、表示パネル4aに表示するアイコンのアイコンデータを展開する仮想的な記憶領域である。より具体的には、仮想バッファKBは、所定の座標系に、表示パネル4aの解像度に応じた態様で、色に関する情報(例えば、R、G、Bを所定諧調の諧調値で示す情報)を保持するドットDが展開された矩形の記憶領域である。各ドットDの位置は、座標系における座標により、一意に特定できる。
仮想バッファKBに展開されたアイコンデータは、VRAM等の実バッファに展開された地図の画像データに重畳される。図示せぬ表示パネル4aの駆動回路は、実バッファに展開されたイメージデータ(地図の画像データに、アイコンデータが重畳されたデータ)に基づいて、表示パネル4aを駆動する。この結果、表示パネル4aに表示された地図に、アイコンが表示された状態となる。
以下、仮想バッファKBに、施設データSDの1件目のレコードに基づいて、アイコンデータを展開する処理を説明し、次いで、施設データSDの2件目以降のレコードに基づいて、アイコンデータを展開する処理を説明する。
<1件目のレコードに基づいてアイコンデータを展開する処理の説明>
まず、1件目のレコードに基づいてアイコンデータを仮想バッファKBに展開する場合の処理について、適宜、図4の施設データSDのレコードR1(1件目のレコード)が処理対象レコードである場合を例にして説明する。
図6は、図4に示す施設データSDに格納されるレコードR1に基づいて仮想バッファKBに展開されたアイコンデータI1を、説明に適した態様で模式的に示す図である。
制御部2は、仮想バッファKBに、1件目のレコードに基づくアイコンデータを展開するに際し、当該レコードが有する施設位置情報、及び、アイコンデータを取得する。例えば、処理対象レコードがレコードR1である場合、制御部2は、レコードR1が有する施設位置情報、及び、アイコンデータI1を取得する。
次いで、制御部2は、取得した施設位置情報を、仮想バッファKBの座標系における座標に変換する。施設位置情報から、座標への変換は、所定のアルゴリズムにより、現在表示されている地図の状態や、地図の縮尺率等を反映して、適切に行われる。例えば、処理対象レコードがレコードR1である場合、制御部2は、レコードR1が有する施設位置情報を、座標S1(図6参照)に変換する。
次いで、制御部2は、変換した座標S1に、取得したアイコンデータI1の下辺の中心のドットが位置するように、アイコンデータI1を仮想バッファKBに展開したときの重なり比率として、「0%」を取得する。重なり比率については、後に詳述するが、処理対象レコードに基づくアイコンデータと、既に仮想バッファKBに展開されているアイコンデータとについて重なる部分がある場合に、各アイコンが、アイコンデータ全体に対して、どの程度重なっているかを示す割合である。1件目のレコードに基づくアイコンデータを仮想バッファKBに展開する時点では、他のアイコンデータは仮想バッファKBに展開されていないため、1件目のレコードに基づくアイコンデータの展開に際して、制御部2が取得する重なり比率は、「0%」である。
次いで、制御部2は、取得した重なり比率が、ステップS6で取得した重なり判定比率を上回るか否かを判別する(ステップS8)。重なり比率は「0%」であるため、地図の縮尺率にかかわらず、重なり比率は、重なり判定比率より小さい。従って、制御部2は、処理手順をステップS9へ移行する。
ステップS9において、制御部2は、変換した座標S1に、処理対象レコードのアイコンデータI1の下辺の中心のドットが位置するように、アイコンデータI1を仮想バッファKBに展開する(ステップS9)。この結果、図6に示すように、仮想バッファKBに、アイコンデータI1が展開された状態となる。なお、仮想バッファKBに展開するアイコンのサイズは、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率によって変更されず、一定のサイズ(本実施形態では、縦32ドット×横32ドット)で展開される。
<2件目以降のレコードに基づいてアイコンデータを展開する処理の説明>
次に、2件目以降のレコードに基づいてアイコンデータを仮想バッファKBに展開する場合の処理について、適宜、図4の施設データSDのレコードR2が処理対象レコードである場合を例にして説明する。
図7は、図4に示す施設データSDに格納されるレコードR2に基づいて仮想バッファKBにアイコンデータI2を展開するときの処理の説明に利用する図である。
制御部2は、仮想バッファKBに、2件目以降のレコードに基づくアイコンデータを展開するに際し、レコードが有する施設位置情報、及び、アイコンデータを取得する。次いで、制御部2は、取得した施設位置情報を、仮想バッファKBの座標系における座標に変換する。例えば、処理対象となる2件目以降のレコードが、レコードR2である場合、制御部2は、レコードR2が有する施設位置情報、及び、アイコンデータI2を取得し、取得した施設位置情報を、座標S2(図7参照。)に変換する。
次いで、制御部2は、変換した座標に、アイコンデータの下辺の中心のドットが位置するように、アイコンデータを仮想バッファKBに展開したとした場合に、既に展開したアイコンデータと、重なる部分があるか否かを判別する。処理対象となる2件目以降のレコードがレコードR2である場合、制御部2は、アイコンデータI2を座標S2に対応する位置に展開したとした場合に、既に展開されているアイコンデータI1と重なる部分があるか否かを判別する。
重なる部分がない場合、制御部2は、重なり比率として、「0%」を取得する。
重なる部分がある場合、制御部2は、重なり比率を以下の方法で算出する。まず、制御部2は、重なる部分がある既に展開されたアイコンデータ(以下、「既存アイコンデータ」という。)のアイコンIDと、処理対象レコードに基づくアイコンデータ(以下、「処理対象アイコンデータ」という。)のアイコンIDと、を比較する。なお、既存アイコンデータのアイコンIDは、制御部2により、既存アイコンデータを仮想バッファKBに展開したときに、既存アイコンデータを展開した位置と対応づけて所定の記憶領域に記憶される。
既存アイコンデータのアイコンIDと、処理対象アイコンデータのアイコンIDとが異なる場合、制御部2は、重なり比率として「0%」を取得する。この場合、後述のステップS9において、処理対象アイコンデータは、既存アイコンデータの状態にかかわらず、仮想バッファKBに展開される。
既存アイコンデータのアイコンIDと、処理対象アイコンデータのアイコンIDとが同一の場合、制御部2は、重なり比率を算出し、取得する。以下、図7を用いて、重なり比率の算出方法について具体的に説明する。
図7の例では、レコードR1に基づくアイコンデータI1が、既存アイコンデータとして、仮想バッファKBに既に展開されている。そして、レコードR2に基づくアイコンデータI2が、処理対象アイコンデータであり、アイコンデータI2を展開した場合、アイコンデータI1と重なる部分がある。
図7の例において、制御部2は、アイコンデータI2を展開したとした場合に、アイコンデータI1と重なる領域であるエリアAKを特定する。次いで、制御部2は、エリアAKに属するドットの数(以下、「重なりドット数」という。)を取得する。取得したドットの数は、アイコンデータI2を展開した場合に、アイコンデータI1と重なるドットのドット数である。次いで、制御部2は、アイコンデータを構成する総トッド数(本例では、32×32=1024)に対する、重なりドット数の割合(パーセンテージ)を算出する。以上のようにして算出した値が、重なり比率である。重なり比率は、処理対象アイコンデータを仮想バッファKBに展開したときに既に展開された既存アイコンデータと重なる部分がある場合に、当該重なる部分が、アイコンデータ全体に対して、どの程度の割合かを示す情報である。
以上のようにして、重なり比率を取得した後、制御部2は、取得した重なり比率が、ステップS6で取得した重なり判定比率を上回るか否かを判別する(ステップS8)。
例えば、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率が第4縮尺率であり、制御部2が当該縮尺率に対応する重なり判定比率を比率判定テーブルTから「60%」と取得したとする。また、アイコンデータI2を仮想バッファKBに展開するに際し、アイコンデータI1と、アイコンデータI2とが縦Y17ドット×横X10ドットのエリアAKを生じるよう重なるとする。この場合、重なり比率は、「16.6%」であり、制御部2は、ステップS8において、重なり比率が、比率判定テーブルTから取得した重なり判定比率を上回らないと判別する。
また例えば、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率が第1縮尺率であり、制御部2が当該縮尺率に対応する重なり判定比率を比率判定テーブルTから「10%」と取得したとする。また、アイコンデータI2を仮想バッファKBに展開するに際し、アイコンデータI1と、アイコンデータI2とが縦Y30ドット×横X28ドットのエリアAKを生じるよう重なるとする。この場合において、重なり比率は、「82.0%」であり、制御部2は、ステップS8において、重なり比率が、比率判定テーブルTから取得した重なり判定比率を上回ると判別する。
取得した重なり比率が、ステップS6で取得した重なり判定比率を上回る場合(ステップS8:YES)、制御部2は、処理手順をステップS10へ移行する。この場合、処理対象アイコンデータは、仮想バッファKBに展開されず、従って、表示パネル4aにアイコンデータに基づくアイコンが表示されない。これにより、以下の効果を奏する。すなわち、処理対象アイコンデータが、既存アイコンデータに対して地図の縮尺率に応じて規定される重なり判定比率を超えて重なる場合に、処理対象アイコンデータに基づくアイコンが地図上に表示されない。これにより、地図上に同一のアイコンが重なって表示されることに起因するアイコンの見づらさや、地図の見づらさを緩和できる。なお、処理対象アイコンデータに基づくアイコンが表示されない場合は、処理対象アイコンデータに基づくアイコンが表示されるはずだった位置と非常に近接した位置に、同一のアイコンが表示されることとなる。従って、ユーザは、地図上に表示された既存アイコンデータに基づくアイコンを参照することにより、アイコンに対応する位置に、対応する施設が存在することを認識でき、ユーザが得る情報の有益性は低下しない。
一方、取得した重なり比率が、ステップS6で取得した重なり判定比率を上回らない場合(ステップS8:NO)、制御部2は、処理手順をステップS9へ移行する。ステップS9で、制御部2は、処理対象アイコンデータを、仮想バッファKBに展開する。なお、既存アイコンデータと重なる部分がある場合、制御部2は、重なる部分について、処理対象アイコンデータによって、既存アイコンデータを重畳(上書き)する。
以上のように、既存アイコンデータと、処理対象アイコンデータとで重なる部分がある場合であっても、これらアイコンデータのアイコンIDが異なる場合は、処理対象アイコンデータに基づくアイコンの表示が行われない。これにより、近接した位置に同一のアイコンが表示されないのにもかかわらず、アイコンが表示されない事態が発生することを防止でき、ユーザが取得する情報の有益性が損なわれることを防止できる。
また、既存アイコンデータと、処理対象アイコンデータとで重なる部分がある場合であっても、重なり比率が、地図の縮尺率に応じて規定される重なり判定比率を上回らない場合は、処理対象アイコンデータに基づくアイコンが表示される。これにより、アイコンの過度の重なりに起因して、アイコンや地図が見づらくなることを抑制しつつ、地図上の施設の位置との関係で、表示すべきアイコンが表示されなくなってしまうことを防止できる。
ステップS10において、制御部2は、施設データSDに、未処理のレコードが残っているか否かを判別する。
未処理のレコードが残っている場合(ステップS10:YES)、制御部2は、処理手順をステップS7へ移行し、未処理のレコードのうち、格納順に準じた1件のレコードを処理対象レコードとして、処理対象レコードに基づく処理を実行する。
一方、未処理のレコードが残っていない場合(ステップS10:NO)、制御部2は、仮想バッファKBに展開した1又は複数のアイコンデータを、地図データ3aが展開された実バッファに重畳して展開する(ステップS11)。この結果、図示せぬ駆動回路により、実バッファに展開されたイメージデータに基づいて、表示パネル4aの地図上に、施設のアイコンが表示される。
図8は、本実施形態に関わる施設表示モードの一例を示す図である。
図8に示す地図は、第4縮尺率の地図である。図8に示すように、地図上に施設を示すアイコンが複数表示されている。図8に示す枠W内にあるアイコンI10、及び、アイコンI11は、同一のアイコンである。また、アイコンI11は、アイコンI10に重なるよう表示されている。図8に示すようにアイコンI10とアイコン111とが重なるよう表示されるのは、制御部2が、ステップS8において、アイコンI10が基づくアイコンデータとアイコンI11が基づくアイコンデータとの重なり比率が、第4縮尺率に対応する重なり判定比率「60%」を上回らないと判別したためである。
ここで、例えば、図8に示す地図を、ポインタPが示す位置をタッチパネル4が表示する地図の中心とし、第2縮尺率の地図にしたとする。前述した通り、タッチパネル4が表示する地図が広域な地図、すなわち縮尺率の小さい地図になるにつれて、アイコンはより重なりあうため、アイコンI10とアイコンI11との重なり比率は、第4縮尺率の地図と比較し大きくなる。ここで、第2縮尺率の地図の場合における、アイコンI10とアイコンI11との重なり比率を「40%」とする。第4縮尺率の地図であれば、重なり判定比率が「60%」であるため、アイコンI10とアイコンI11とは、重なるように表示されるが、第2縮尺率の場合、重なり判定比率が「20%」のため、制御部2は、重なり比率が重なり判定比率を上回ると判別し、アイコンI10、若しくは、アイコンI11のいずれか一方が地図上に表示されない。ここで、アイコンI11を、アイコンI10が基づくアイコンデータの展開後に読み込まれるレコードに基づくアイコンとすると、制御部2は、アイコンI11を地図上に表示しない。このように、制御部2は、地図の縮尺率に応じて、アイコンの地図上の表示における判別、すなわち、仮想バッファKBへの展開の判別を異ならせる。これは、図5に示す比率判定テーブルTに示すように、地図の縮尺率に応じて、重なり判定比率が異なるからである。
前述した通り、重なり判定比率は、地図の縮尺率が小さいほど、低く設定されており、地図の縮尺率が大きいほど、高く設定されている。これにより、狭域な地図である場合、すなわち、地図の縮尺率が大きい地図である場合、同一のアイコン同士が多少重なっていたとしても、制御部2は、地図上に当該アイコンを重ねて表示するため、アイコンに基づく情報の正確性を維持できる。特に、例えば、重なりあうアイコンの非表示や、重なりあうアイコンを1の代表アイコンに置換し表示する等の形態と比較すると、よりアイコンに基づく情報の正確性を維持できる。
一方で、広域な地図である場合、すなわち、地図の縮尺率が小さい地図である場合、重なり判定比率が低く設定されているため、同一のアイコン同士が多少重なっていたとしても、制御部2は、いずれか一方のアイコンを非表示にする。これにより、制御部2は、広域な地図において、アイコンに基づく情報の正確性を維持するとともに、地図上に同一のアイコンが重なって表示されることに起因するアイコンの見づらさや、地図の見づらさを緩和でき、アイコン、及び、地図の見やすさを向上できる。
次に、図3のフローチャートにおけるステップS4の処理について説明する。
ステップS4の処理は、ステップS3において、制御部2がタッチパネル4に表示されている地図が、鳥瞰図表示の地図であると判別した場合(ステップS3:YES)に実行される処理である。タッチパネル4に表示されている地図が、鳥瞰図表示の地図である場合、制御部2は、上述した同一のアイコン同士における重なり比率に応じてアイコンを表示又は非表示にする処理を行わず、施設データSDに格納されている各レコードに基づくアイコンを全て地図上に表示する。
図9は、鳥瞰図表示の一例を示す図である。
前述した通り、鳥瞰図表示の地図とは、平面地図を所定の視点から斜めに見下ろしたように表示する地図である。図9(A)に示す図は、タッチパネル4に表示される鳥瞰図表示の地図の一例を示す。また、図9(A)に示す図では、鳥瞰図表示の地図上に、車両の位置M、及び、施設示すアイコンが表示されている。
図9(B)は、鳥瞰図表示の地図を説明するための説明図である。ラインL1〜ラインL6の6つのラインは、所定の実際の距離毎に、鳥瞰図表示の地図上に並べられている。鳥瞰図地図では、ライン間の実際の距離が大きいほど、広域な地図になる。図9(B)に示すように、所定の視点から遠い領域になるほど各ライン間の実際の距離は同じであるもの、地図上における距離は狭くなる。すなわち、鳥瞰図表示の地図において、所定の視点に近い領域の地図上における距離と、所定の視点から遠い領域の地図上における距離との実際の距離は、異なる。これは、鳥瞰図表示の地図が、平面地図を所定の視点から斜めに見下ろすよう表示されるためである。
ここで、図9(B)に示すように、施設を示すアイコンI21、及び、アイコンI22が表示されているとする。図9(B)に示すように、各アイコンは、アイコンI22とアイコンI21とが重なるよう表示される。また、図9に示すように、アイコンI21はラインL1上に表示され、アイコンI22はラインL3上に表示される。また、アイコンI21とアイコンI22とは、同一のアイコン(同一のアイコンID)である。
この場合に、制御部2は、上述したように重なり比率に応じて、重なりあうアイコンのうち何れか一方を非表示にすると、以下の理由によりユーザの利便性を低下させてしまう。
平面地図では、アイコン同士が重なる場合、アイコンが示す施設が近接しているため、アイコンの重なりを生ずる。しかしながら鳥瞰図表示の地図の場合、アイコンが重なりあっていたとしても、実際に離れている場合がある。例えば、図9(B)において、各ライン間の距離が「250m」であるとする。この場合に、図9(B)に示すとおり、アイコンI21はラインL1上に表示され、アイコンI22はラインL3上に表示されているため、アイコンI21とアイコンI22とが示す施設の実際の離間距離は少なくとも「500m」である。この場合に、アイコンI22を非表示にすると、車両の位置MからアイコンI21より「500m」近い位置に、アイコンI21と同一の施設(すなわち、アイコンI22)があるにもかかわらず、制御部2は、車両のユーザに対し、アイコンI21が示す施設を提示しまう。また、鳥瞰図表示の地図が広域な地図であるほど、アイコンが示す施設の実際の離間距離がより大きくなるため、制御部2は、より遠い施設を提示してしまうことになる。このように、鳥瞰図表示の地図の場合、制御部2は、上述したように重なりあうアイコンのうち何れか一方を非表示にしてしまうと、ユーザの利便性を低下させてしまう。
したがって、制御部2は、タッチパネル4に表示される地図が鳥瞰図表示の地図である場合、同一のアイコン同士における重なり比率に応じてアイコンを非表示にする処理を行わず、施設データSDに格納されている各レコードに基づくアイコンを地図上に表示する。このことにより、同一のアイコン同士における重なり比率に応じたアイコンの非表示の処理は、平面地図における処理として優位性がある。
以上、説明したように、本実施形態のナビゲーション装置1(車載装置)は、地図に関する地図情報、及び、施設の位置と施設を示すアイコンとを対応付けた施設情報を有する地図データ3aを記憶する記憶部3と、地図情報に基づく地図を表示するタッチパネル4と、施設情報に基づいて、施設の位置に対応する地図上の位置に、アイコンを表示する制御部2とを備える。制御部2は、施設のアイコンの表示に際し、同一のアイコンが重なる場合、アイコン同士の重なり比率である重なり比率を取得し、取得した重なり比率が、予め設定した所定の判定比率を上回る場合、いずれか一方のアイコンを表示しない。
これにより、制御部2は、同一のアイコンが重なる場合、アイコン同士における重なり比率に応じて、いずれか一方のアイコンを表示しないため、アイコンに基づく情報の正確性を維持しつつ、アイコンの見やすさを向上できる。
また、本実施形態におけるナビゲーション装置1において、記憶部3は、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率と、同一のアイコン同士の重なりにおける当該アイコンの表示に関する判定比率である重なり判定比率と、が対応付いた比率判定テーブルT(比率判定情報)を記憶し、制御部2は、施設を示すアイコンの表示に際し、同一のアイコンが重なる場合、同一のアイコン同士による重なり比率が、比率判定テーブルTが有する重なり判定比率を上回る場合、いずれか一方のアイコンを表示しない。
これにより、制御部2は、アイコンの表示に関する判別をする際に、比率判定テーブルTを用いて、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率を加味したアイコンの表示又は非表示の判別を行う。そのため、制御部2は、地図の縮尺率に依ることなく、アイコンに基づく情報の正確性を維持しつつ、アイコンの見やすさを向上できる。
また、本実施形態におけるナビゲーション装置1において、比率判定テーブルTは、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率に応じて、重なり判定比率が異なるよう設けられており、制御部2は、施設を示すアイコンの表示に際し、同一のアイコンが重なる場合、同一のアイコン同士による重なり比率が、タッチパネル4が表示する地図の縮尺率に対応する重なり判定比率を上回る場合、いずれか一方のアイコンを表示しない。
比率判定テーブルTは、地図の縮尺率が大きいほど、重なり判定比率は高く設定され、地図の縮尺率が小さいほど、重なり判定比率は低く設定される。これにより、狭域な地図である場合、すなわち、地図の縮尺率が大きい地図である場合、同一のアイコン同士が多少重なっていたとしても、制御部2は、地図上に当該アイコンを重ねて表示するため、アイコンに基づく情報の正確性を維持できる。特に、例えば、重なりあうアイコン同士の非表示や、重なりあうアイコンを1の代表アイコンに置換し表示する等の形態と比較すると、よりアイコンに基づく情報の正確性を維持できる。一方で、広域な地図である場合、すなわち、地図の縮尺率が小さい地図である場合、重なりあうアイコン同士のうち、いずれか一方を表示しないため、制御部2は、アイコンに基づく情報の正確性を維持しつつ、アイコンの見やすさを向上できる。
また、本実施形態におけるナビゲーション装置1において、タッチパネル4が表示する地図が平面地図である場合に、制御部2は、施設を示すアイコンを表示するに際し、同一のアイコンが重なる場合に、同一のアイコンによる重なり比率が、平面地図の縮尺率に対応する重なり判定比率を上回る場合、いずれか一方のアイコンを表示しない。
鳥瞰図表示の地図では、アイコンが示す施設の実際の離間距離に関わらず、アイコン同士が重なる可能性がある一方、平面地図では、施設が近接しているためアイコン同士の重なりが生ずる。このため、制御部2は、平面地図における同一のアイコンの重なりにおいて、いずれか一方を非表示にすることにより、表示するアイコンに基づく情報の正確性を維持し、非表示としたアイコンと近接している同一の施設を示すアイコンを、表示することができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、同一のアイコンが重なる場合に、重なりあうアイコン同士のうち施設データSDから後に読み込まれたレコードに基づくアイコンを、表示又は非表示の処理の対象となるアイコンとした。しかしながら、これに限られず、例えば、車両が目的地までの経路を走行中、同一のアイコンが重なる場合に、車両の進行方向を加味し、車両の進行とは反対に進行する道路沿いにあるアイコンを表示又は非表示の対象にしてよい。
また、例えば、上述した実施形態では、ナビゲーション装置1として車載型を例示したが、ナビゲーション装置1の形態は任意であり、例えば歩行者が携帯するポータブル型の装置でもよい。