JP2016108988A - タンパープルーフ機能付き機器、および、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、各種機能部品を収納している制御装置などの機器において、機能部品を収納する本体に対してその開口部を閉塞する蓋(カバー)を簡単に取付固定する手段としては、樹脂等の素材の性質である弾性変形を活用する所謂「スナップフィット構造」がよく知られている(例えば特許文献1、2参照)。
当該手段によれば、一方の部品Aに形成された爪部を、他方の部品Bに形成された凹部に対して弾性を利用しながら嵌め合わせることでよく、部品Aと部品Bとを容易に組付固定することができる。
もっとも、タンパープルーフ機能を持たせるための効果的な方策として、リベットカシメなどの接合方法によって本体とカバーとを取付固定することにより、分解された場合、必ず分解痕を残せる手段が、例えば上記特許文献2においても提案されており、実用に供されている。
しかしながら、かかる手段は、特別なカシメ装置を要するのみならず、組付け工数がかかり、リベットのごとき取付固定部材にもコストがかかるという点で問題を有している。
特に、カバーを本体に取付固定した後に最終的な合否検査を行なわなければならない機器においては、検査後に手直しをすることができず、当該手段を採用することができなかった。
したがって、この種の機器に対して、タンパープルーフ機能を如何に低コストで付与できるようにするかが、当業者の当面の課題である。
(2)そこで、この種機器にも、プレート方式に変わって、製造過程で簡単に標印を設けることが可能なレーザーマーキング方式が採用されるようになってきた。
このレーザーマーキング方式は、レーザー装置を用い、当該機器を特定するために必要な文字、数字、図柄などの標印情報を、あらかじめコンピュータに入力して、かかる標印情報にしたがってレーザー光を機器の表面に照射することで、所望の標印を刻印することができる。
請求項1に記載のタンパープルーフ機能付き機器は、機能部品を収納するための開口部を有する本体と、開口部を閉塞する樹脂製カバーと、この樹脂製カバーを本体に対して取付固定する締結部材とから構成される機器であって、
樹脂製カバーは、その外表面に当該機器を特定するためのシリアルナンバーなどの標印が、レーザー光を照射することによって施されており、
締結部材は、樹脂製カバーの外表面と同一側に配置され、樹脂製カバーを本体に対して着脱自在に取付固定するものであり、
この樹脂製カバーと締結部材とに跨って、タンパープルーフ用合わせマークを刻印するにあたり、
このタンパープルーフ用合わせマークが、レーザー光を照射することによって施されていることを特徴としている。
また、樹脂製カバーを本体に対して着脱自在に取付固定しており、最終検査に合格した後にタンパープルーフ用合わせマークを設けることができるため、合否検査過程での手直しが可能であり、製造コストを低減することができる。
また、樹脂製カバーおよび締結部材の既存の表面をそのまま活用して、タンパープルーフ機能を付与できるため、タンパープルーフ機能専用の構造部分を追設する必要がなく、機器のコンパクト化に貢献できる。
したがって、製造簡単・コンパクト、低コストで、車両用エンジンの吸気制御装置に適用して好適なタンパープルーフ機能付き機器を提供することができる。
請求項5に記載の手段は、上記のタンパープルーフ機能付き機器を製造する方法であって、機器を特定するための標印とタンパープルーフ用合わせマークとを同一のレーザー装置によって刻印することを特徴としている。
したがって、格段と低コストで、タンパープルーフ機能付き機器を提供することができる。
エンジンの吸気制御装置は、運転者(ドライバー)のアクセル操作量に基づいてエンジンの各気筒内に流入する吸入空気量を変更することで、エンジン回転速度またはエンジントルクをコントロールする装置である。
まず、図1を参照しながら当該装置の基本的な構造について概説する。
なお、スロットルボデー10は樹脂製あるいはアルミのごとき軽金属製であるのに対し、カバー20は配線などの電気部品を埋設する関係上樹脂製であるのが一般的である。
図1(a)に示すように、スロットルボデー10は、箱状部分10cの開口部10b周縁に複数(図示例では6個)のネジ穴(締結穴)10dを有し、主要な機能部品として、吸気通路部分10a内に装着され、通路を開閉する例えばバタフライ弁方式のスロットルバルブ(図示せず)と、このスロットルバルブの駆動軸をなすシャフト11と、このシャフト11に結合され、スロットルバルブを開弁方向または閉弁方向に駆動する動力ユニット12と、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ(図示せず)などが収納されている。
なお、標印23とは、シリアルナンバー、型式、製造年月、製造工場名、メーカ名などを標す文字、数字、図柄などの標印情報の総称である。近年、標印23の情報量は増大の一途で、かつ、組合せが複雑多岐にわたる傾向にあるため、当該情報量を簡便に刻印する手法として、カバー20の外表面に直接標印23をレーザー光の照射によって施す手段(レーザーマーキング方式)が賞用されるようになってきた。
締結部材30は複数本(図示例では6本)用いられ、各締結部材30が、カバー20の各取付穴部分22に挿通され、スロットルボデー10の各ネジ穴10dに螺着されることで、カバー20がスロットルボデー10に対して着脱自在に取付固定されるようになっている。
本発明は、上述した当該装置(機器)1特有の構造を巧みに活用して、タンパープルーフ機能を付与することを特徴としている。
本実施例では、図1(b)にも示すように、カバー20の取付穴部分22と1本の締結部材30とに跨ってタンパープルーフ用合わせマーク40を刻印している。
そして、このタンパープルーフ用合わせマーク40は1本の直線41で構成されており、レーザー光を照射することによって施されている。
まず、カバー20の外表面にはスペース24に対して標印23用のレーザー装置によって標印23を刻印する。続いて、タンパープルーフ用合わせマーク40を刻印するわけであるが、締結部材30がカバー20の外表面と同一側に配置されているため、上記の標印23用のレーザー装置を、タンパープルーフ用合わせマーク40の刻印用レーザー装置としてそのまま活用し、レーザー光の照射位置をずらしてタンパープルーフ用合わせマーク40を刻印する。かくして、当該装置(機器)1を特定するための標印23とタンパープルーフ用合わせマーク40との2種の刻印を同一工程で実施することができる。
本発明装置(タンパープルーフ機能付き機器)1は、上述のごとき構成を有し効率的に製造されるものであって、次のような作用・効果を得ることができる。
(1)当該装置(機器)1に対して、タンパープルーフ機能を確実に付与することができる。
レーザー光の照射によって刻印されたタンパープルーフ用合わせマーク40は、たとえ1本の直線41で構成されていても、緻密に線引きされるため、締結部材30を再組付けしたときにはカバー20の取付穴部分22との合わせ目において連続性や一体感が損なわれることになり、必ず分解痕が残る。したがって、タンパープルーフ機能を確実に付与することができる。
タンパープルーフ用合わせマーク40をレーザー光の照射によって刻印しているため、締結部材自体にリベットのごとき高価で組付けコストがかかる締結部材を用いることなく、スクリュウのごとき安価で組付け簡単な締結部材30を用いてタンパープルーフ機能を発揮させることができる。
特に、締結部材30は、カバー20の外表面と同一側に配置されているため、標印23用のレーザー装置を、タンパープルーフ用合わせマーク40の刻印用レーザー装置として兼用することで、標印23とタンパープルーフ用合わせマーク40との2種の刻印を同一工程で実施することが可能となり、製造時間も短縮することができる。
カバー20をスロットルボデー(本体)10に対して着脱自在に取付固定しており、最終検査に合格した後にタンパープルーフ用合わせマーク40を設けることができる。
即ち、当該装置(機器)1は、完成品の状態(つまりカバー20を取付固定した状態)で合否検査を実施することになるが、本発明によれば、かかる合否検査過程で不良箇所の再調整や機能部品の交換などの手直しが必要となった場合には、カバー20を取り外して手直しすることが可能であるため、歩留まりが向上し、製造コストを低減することができる。
したがって、製造簡単・コンパクト、低コストで、車両用エンジンの吸気制御装置1に適用して好適なタンパープルーフ機能付き機器を提供することができる。
次に、本発明装置(機器)で適用するタンパープルーフ機能の第2実施形態を図2に基づいて説明する。
特に、本実施例によれば、タンパープルーフ用合わせマーク40を構成する直線41において、カバー20と締結部材30とに跨がる箇所が2箇所以上の複数個所になり、分解・再組付けした場合には多数の分解痕が残るため、タンパープルーフ機能をより一層向上することができる。
次に、本発明装置(機器)で適用するタンパープルーフ機能の第3実施形態を図3に基づいて説明する。
その1つは、図3(a)に示すように、1本の線をU字状の非直線42で形成して合わせマーク40としたもの、他の1つは、図3(b)に示すように、1本の線を円形状の非直線43で形成して合わせマーク40としたものである。
なお、本実施例の合わせマーク40は、1本の非直線42、42により一筆書きで描かれる図形を総称するものであって、1本の非直線を波曲線状に形成すれば、カバー20と締結部材30とに跨がる箇所をさらに多くすることができる。
特に、本実施例によれば、タンパープルーフ用合わせマーク40を構成する線は1本であるため、刻印時間を短縮することができ、しかも、1本線であるものの、一筆書きで描かれる図形としてタンパープルーフ用合わせマーク40を構築できるため、複数個所と図形による視認機能との相乗効果によって、タンパープルーフ機能をより一層向上することができる。
次に、本発明装置(機器)で適用するタンパープルーフ機能の第4実施形態を図4に基づいて説明する。
特に、図4に示す例では、6本の締結部材30のうち、上方に位置する2本の締結部材30とカバー20の取付穴部分22とに跨って、2本の直線41からなるX点マーク形のタンパープルーフ用合わせマーク40を、それぞれ個別に刻印している。
もっとも、当該マーク40の具体的構造としては、上述した実施例1〜3のいずれのマークを用いても良く、また、それらのマークを各締結部材30毎に異ならせて組合せても良い。
また、2本の締結部材30に限ることなく、3本以上であっても、6本のすべての締結部材30を活用しても良い。
以上本発明の4実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その他の実施形態としていくつかの変形例を例示する。
この場合にも、ばねクリップの少なくとも片面(カバー側)をカバー(20)の外表面と同一側に配置できるため、ばねクリップとカバー20とに跨がるタンパープルーフ用合わせマーク40をレーザー光の照射によって容易に施すことができ、上記実施例と同様の効果が得られることは勿論である。
請求項1に記載のタンパープルーフ機能付き機器1において、
1つのタンパープルーフ用合わせマーク40が、樹脂製カバー20と締結部材30とに跨って刻印される複数本の直線41や非直線42、43で形成されていることを特徴としている(実施例2、変形例3参照)。
上記手段によれば、タンパープルーフ用合わせマーク40が1つ(1設置箇所)であっても、カバー20と締結部材30とに跨がる箇所が2箇所以上の複数個所になり、分解・再組付けした場合には多数の分解痕が残るため、タンパープルーフ機能をより一層向上することができる。
請求項1に記載のタンパープルーフ機能付き機器1において、
1つのタンパープルーフ用合わせマーク40が、樹脂製カバー20と締結部材30とに複数箇所で跨って刻印される1本の一筆書きによる線(41、42、43)で形成されていることを特徴としている(実施例3、変形例3参照)。
上記手段によれば、1つ(1設置箇所)のタンパープルーフ用合わせマーク40を構成する線は1本であるため、刻印時間を短縮することができ、しかも、1本線であるものの、一筆書きで描かれる図形としてタンパープルーフ用合わせマーク40を構築できるため、複数の痕跡機能と図形による視認機能との相乗効果によって、タンパープルーフ機能をより一層向上することができる。
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタンパープルーフ機能付き機器1において、
この機器1は、複数本の締結部材30が複数個所にわたって配置されており、
タンパープルーフ用合わせマーク40が、樹脂製カバー20と2本以上の締結部材30とに跨って、それぞれ個別に刻印されていることを特徴としている(実施例4参照)。
上記手段によれば、タンパープルーフ用合わせマーク40自体の数(設置箇所数)を増やし、カバー20と締結部材30とに跨がる箇所を非常に多くすることができるため、タンパープルーフ機能を格段と向上することができる。
Claims (5)
- 機能部品(11、12)を収納するための開口部(10b)を有する本体(10)と、前記開口部(10a)を閉塞する樹脂製カバー(20)と、この樹脂製カバー(20)を前記本体(10)に対して取付固定する締結部材(30)とから構成される機器(1)であって、
前記樹脂製カバー(20)は、その外表面に当該機器(1)を特定するためのシリアルナンバーなどの標印(23)が、レーザー光を照射することによって施されており、
前記締結部材(30)は、前記樹脂製カバー(20)の外表面と同一側に配置され、前記樹脂製カバー(20)を前記本体(10)に対して着脱自在に取付固定するものであり、
前記樹脂製カバー(20)と前記締結部材(30)とに跨ってタンパープルーフ用合わせマーク(40)が刻印されており、
前記タンパープルーフ用合わせマーク(40)は、レーザー光を照射することによって施されていることを特徴とするタンパープルーフ機能付き機器(1)。 - 請求項1に記載のタンパープルーフ機能付き機器(1)において、
1つの前記タンパープルーフ用合わせマーク(40)が、前記樹脂製カバー(20)と前記締結部材(30)とに跨って刻印される複数本の線(41、42)で形成されていることを特徴とするタンパープルーフ機能付き機器(1)。 - 請求項1に記載のタンパープルーフ機能付き機器(1)において、
1つの前記タンパープルーフ用合わせマーク(40)が、前記樹脂製カバー(20)と前記締結部材(30)とに複数箇所で跨って刻印される1本の一筆書きによる線(41、42)で形成されていることを特徴とするタンパープルーフ機能付き機器(1)。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のタンパープルーフ機能付き機器(1)において、
この機器(1)は、複数本の前記締結部材(30)が複数個所にわたって配置されており、
前記タンパープルーフ用合わせマーク(40)が、前記樹脂製カバー(20)と2本以上の前記締結部材(30)とに跨って、それぞれ個別に刻印されていることを特徴とするタンパープルーフ機能付き機器(1)。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタンパープルーフ機能付き機器(1)を製造する方法であって、
前記標印(23)と前記タンパープルーフ用合わせマーク(40)とを同一のレーザー装置によって刻印することを特徴とするタンパープルーフ機能付き機器(1)の製造方法。
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