JP2016108344A - 低分子量カチオン化ヒアルロン酸を含有する化粧料 - Google Patents

低分子量カチオン化ヒアルロン酸を含有する化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】生体組織への高い吸着性や組織内部への高い浸透性を有するとともに、溶剤を始めとする種々の化粧料配合成分との高い相溶性を示すカチオン化ヒアルロン酸配合の化粧料を提供すること。【解決手段】ヒドロキシ基の一部が下記一般式<1>で表される第4級窒素含有基で置換された、分子量が2000〜15,000である低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩を含む化粧料に関する。【化1】(式中、R1、R2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、R3は炭素原子数1〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、X−は1価のアニオンを表す。)【選択図】図7

Description

本発明は低分子量のカチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩を含む化粧料に関する。
従来から、ヒトをはじめとする生体内の種々の組織に広く分布して存在し、安全性に優れ、高い保湿効果を有するヒアルロン酸が、様々な皮膚化粧料や毛髪化粧料の一成分として配合されている(例えば特許文献1〜3)。
ヒアルロン酸はグルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類であり、その構造中にアニオン性のカルボキシル基が存在している。このため、通常マイナスに帯電している皮膚や毛髪の表面に対してヒアルロン酸を適用した場合、電荷の反発によりヒアルロン酸が皮膚等へ吸着しにくいという問題がある。
こうした問題に対して、皮膚等の生体組織への吸着性を高めるべく、第四級アンモニウム基含有基を導入したカチオン化ヒアルロン酸が提案されている(特許文献4)。
特開昭54−52733号公報 特開昭61−167610号公報 特開平1−22812号公報 国際公開第2008/133267号パンフレット
先に提案された特許文献4のカチオン化ヒアルロン酸は、毛髪吸着量や皮膚吸着量が高められたとする結果が示されているものの、毛髪や皮膚の内部への浸透性が悪く、また洗浄によってヒアルロン酸の脱離が起こりやすいという問題がある。
加えて、化粧料に使用する溶媒を始めとする種々の成分との相溶性が低く、配合が限定されるという問題がある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、低分子量のカチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩が、生体組織への高い吸着性のみならず組織内部への高い浸透性を有するとともに、溶剤を始めとする種々の化粧料配合成分との高い相溶性を示し、化粧料配合成分として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、ヒドロキシ基の一部が下記一般式<1>で表される第4級窒素含有基で置換された、分子量が2000〜15,000である低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩を含む化粧料に関する。
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭
素原子数1〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、Xは1価のアニオンを表す。)
前記低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩は、そのカチオン化度が0.30乃至1.00であることが好ましい。
また該低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩は、化粧料の総質量に対して0.001〜10質量%にて含まれることが好ましい。
また本発明の化粧料は、皮膚用、毛髪用、そして爪用化粧料を好適な対象とするものである。
本発明の化粧料に使用する低分子量のカチオン化ヒアルロン酸は、皮膚や毛髪等の生体組織に対して適用した後、洗浄した後においてもこれら生体組織への高い吸着性を示す。さらに該低分子量のカチオン化ヒアルロン酸は毛髪内部や皮膚内部への浸透性に優れたものとなる。このため、該低分子量カチオン化ヒアルロン酸を配合することにより、本発明の化粧料は、ヒアルロン酸由来の高い保湿効果が持続し、また生体組織内部での保湿効果も実現することができる。
また上記低分子量カチオン化ヒアルロン酸は、溶剤をはじめとする種々の化粧料配合成分と優れた相溶性を示すことから、種々の配合処方に対して適用可能であり、そしてそのため様々な剤形に適用し得るため、様々な毛髪用、肌用そして爪用の化粧料の形態とし、その高い保湿効果を発揮することができる。
図1は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の毛髪への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(b)高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(d)低分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(10質量%水溶液)を毛髪に適用した画像を示す図である。 図2は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の皮膚真皮線維芽細胞への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(b)高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(d)低分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(10質量%水溶液)を上記細胞に適用した画像((1)蛍光標識した細胞核、(2)蛍光標識したヒアルロン酸類)を示す図である。 図3は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の皮膚真皮線維芽細胞への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(f)試料番号1の低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(h)試料番号4の低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(i)試料番号5低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)を上記細胞に適用した画像((1)蛍光標識した細胞核、(2)蛍光標識したヒアルロン酸類)を示す図である。 図4は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の皮膚表皮角化細胞への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(b)高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(d)低分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(10質量%水溶液)を上記細胞に適用した画像((1)蛍光標識した細胞核、(2)蛍光標識したヒアルロン酸類)を示す図である。 図5は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の皮膚表皮角化細胞への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(f)試料番号1の低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(h)試料番号4の低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(i)試料番号5の低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)を上記細胞に適用した画像((1)蛍光標識した細胞核、(2)蛍光標識したヒアルロン酸類)を示す図である。 図6は、実施例1で評価したヒアルロン酸類の三次元培養皮膚への吸着性を示す蛍光画像であり、(a)精製水、(b)高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(d)低分子量ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液)、(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(10質量%水溶液)を上記細胞に適用した画像を示す図(図中の矢印は培養皮膚の上面を指す)である。 図7は、実施例2で評価したヒアルロン酸類の相溶性を示す写真であり、精製水、ラウリル硫酸ナトリウム(終濃度:0.5質量%、10質量%)、グリセリン(同:5質量%、20質量%)、ソルビトール(同:5質量%、20質量%)、ブチレングリコール(同:5質量%、20質量%)および加水分解ダイズタンパク(同:5質量%)を使用した場合の、(1)精製水との1:1混合液、(2)試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液、(3)試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液(いずれも配合時pH:5−6)を示す図である。 図8は、実施例2で評価したヒアルロン酸類の相溶性を示す写真であり、カチオン化セルロース(終濃度:0.5質量%)、ポリクオタニウム−7(同:0.5質量%)、エタノール(同:20質量%)を使用した場合の、(4)精製水との1:1混合液、(5)試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液、(6)試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液(いずれも配合時pH:5−6)を示す図である。 図9は、実施例3で評価したヒアルロン酸類内浸透性評価を示すToF−SIMS画像であり、試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液、m/z=134)、試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液、m/z=274)、試料(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液、m/z=126)の結果をそれぞれ示す図である((1)毛髪断面の分析エリア(枠で囲まれた部分)、(2)固有m/z値における毛髪断面のマッピング結果)。
本発明の化粧料は、低分子量のヒアルロン酸をカチオン化した低分子量カチオン化ヒアルロン酸を含有する。
以下、まず低分子量カチオン化ヒアルロン酸について述べる。
[低分子量カチオン化ヒアルロン酸]
本発明の化粧料に用いるカチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩(以下、単にヒアルロン酸とも称する)は、分子量が2,000〜15,000程度の低分子量ヒアルロン酸にカチオン化剤を反応させることにより調製することができる。
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有するムコ多糖類であり、例えば、鶏冠のトサカなどの生体組織からの抽出、あるいは微生物を用いた培養などにより工業的に生産されており、その塩(ナトリウム塩など)を含め市販として入手できる。
天然由来のヒアルロン酸の分子量は通常50万以上であることから、本発明では、酸や
アルカリの存在下で加水分解したり、ヒアルロニダーゼなどの酵素を用いて処理したり、または超音波や剪断によって物理的に切断することにより、低分子量化したヒアルロン酸を原料として採用することが好ましい。
また、ヒアルロン酸の塩としては特に限定されず、上記ナトリウム塩のほか、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、薬学上許容し得る塩であれば好ましく用いることができる。
なおヒアルロン酸は、一般に800〜250万程度の分子量を有するものが知られており、本発明において、おおよそ平均分子量が15,000以下のものを低分子量ヒアルロン酸、100万以上のものを高分子量ヒアルロン酸、10,000〜100万程度のものを中分子量ヒアルロン酸と称する。
本発明において、ヒアルロン酸の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。なお一般に、特に高分子量のヒアルロン酸の分子量についてはその動粘度から極限粘度を求め、この極限粘度から分子量に換算する方法によって得ることができる。
本発明の化粧料に用いる低分子量のカチオン化ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸のヒドロキシ基の一部が下記一般式<1>で表される第4級窒素含有基で置換されてなるものである。
上記式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、Xは1価のアニオンを表す。
前記化学式<1>で表される第4級窒素含有基において、RおよびRにおける炭素原子数1乃至3のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基およびプロピル基が挙げられる。
またRにおける炭素原子数1乃至24のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基等が挙げられ、これらは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。また炭素原子数1乃至24のアルケニル基としては、上記アルキル基において任意の一つの炭素−炭素単結合が炭素―炭素二重結合に置換された基を表し、例えばオレイル基等が挙げられる。
また、アニオンXの具体例としては、塩素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオンなどのハロゲンイオンの他、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン等を挙げることができる。
上記低分子量ヒアルロン酸のカチオン化は、原料であるヒアルロン酸に、第4級窒素含有基を有するカチオン化剤と反応させることにより行うことができる。より詳細には、ヒアルロン酸の構造中、グルクロン酸由来のカルボキシル基におけるOH部分(ヒドロキシ基)、および/またはヒアルロン酸の構造中に存在する上記以外のヒドロキシ基に対して、第4級窒素含有基を有するカチオン化剤を反応させることにより、カチオン化ヒアルロン酸を得ることができる。
この反応は、適当な溶媒、好適には含水アルコール中において、アルカリの存在下で実
施される。このような第4級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことができ、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、反応時に溶媒中での低分子量ヒアルロン酸の凝集を防ぐため、無機塩、好適には塩化ナトリウムを添加してもよい。
上記カチオン化剤としては、2,3−エポキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライド(グリシジルトリアルキルアンモニウム塩)または3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム基を含有するカチオン化剤を好適に用いることができ、これらは単独で使用してもよいし、あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記2,3−エポキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライド(グリシジルトリアルキルアンモニウム塩)としては、例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリプロピルアンモニウムクロリド、グリシジルジメチルオクチルアンモニウムクロリド、グリシジルジメチルデシルアンモニウムクロリド、グリシジルジメチルラウリルアンモニウムクロリド、グリシジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
また、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライドとしては、例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルラウリルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルジメチルステアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
これらのなかでも、カチオン化剤として、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドもしくはいずれか一方を用いることが好ましい。
本発明の化粧料は、毛髪や皮膚等の改質効果(保湿効果など)並びに化粧料への配合のしやすさの観点から、前述の通り分子量2,000〜15,000のカチオン化ヒアルロン酸を使用するものであり、好ましくは分子量が3,000〜12,000、より好ましくは分子量が5,000〜10,000であることが好ましい。
カチオン化ヒアルロン酸の分子量が15,000を超えると、配合した化粧料を適用した後、洗浄によって容易にカチオン化ヒアルロン酸が毛髪や皮膚表面から脱離しやすくなり、毛髪内部や皮膚内部への浸透性が低くなるだけでなく、他の化粧料配合成分との相溶性が悪くなる虞がある。また分子量が2,000を下回ると、ヒアルロン酸が保有する保湿効果が発揮しにくくなる。
本発明の化粧料において、カチオン化ヒアルロン酸のカチオン化度は0.30〜1.00であり、好ましくは0.55〜0.90であり、さらに好ましくは0.65〜0.80である。
上記カチオン化度が0.30未満では毛髪や皮膚に対する吸着量が不十分となり、実際、シャンプー、リンス、ボディ用洗浄剤等の毛髪処理組成物や、化粧水、美容液等の皮膚化粧料組成物に配合しても、保湿効果などの十分な効果を得ることができない。また、カチオン化度が1.0を超えると、そのようなカチオン化ヒアルロン酸を配合した毛髪処理用組成物および皮膚化粧料組成物を使用しても、使用時に泡立ちの悪化および、べたつき感、ぬるつき感が生じてしまい、使用感を悪化させ、使用後の仕上がり感も、ごわつき感、べたつき感を生じるなど好ましくない。
なお本発明において、カチオン化ヒアルロン酸のカチオン化度とは、式<1>で表される第4級窒素含有基に由来する値を意味し、すなわち、カチオン化ヒアルロン酸を構成す
る繰り返し構成単位(グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンからなる二糖)当たりに結合する上記化学式<1>で表される第4級窒素含有基の数(置換度)を表す。
一般にカチオン化化合物のカチオン化度は、第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法[医薬部外品原料規格2006、一般試験方法、窒素定量法、第2法(ケルダール法)(第37頁右欄〜第19頁右欄参照)]により定量し、得られた測定値から算出される値である。ただし本発明で用いるヒアルロン酸の構造中には、N−アセチルグルコサミン由来の窒素原子が存在するため、上記ケルダール法により求めたカチオン化ヒアルロン酸中の窒素分(測定値)から、原料となるヒアルロン酸(N−アセチルグルコサミン)由来の窒素分を引いた値が、本発明で用いるカチオン化ヒアルロン酸のカチオン化度(第4級窒素含有基由来の窒素分)となる。
例えば、前記化学式<1>においてR、RおよびRがいずれもメチル基を表し、Xは塩素イオンを表すところの第4級窒素含有基でヒアルロン酸をカチオン変性し、得られたカチオン変性ヒアルロン酸の窒素分をケルダール法により測定した結果、5.6%であった場合、カチオン化度は以下の式にて算出される。なお本発明で用いられるヒアルロン酸中には、通常窒素分を3.5%前後含有している。また式中の「カチオン化置換部分の分子量」とは、ヒドロキシ基と置換する化学式<1>の第4級窒素含有基において、置換により改変された部分(すなわち、式<1>中における結合端である酸素原子以外の部分)の分子量を指す。
なお上記カチオン化度は、上記の方法以外に、トルイジンブルー水溶液を指示薬とし、ポリビニル硫酸カリウム水溶液で滴定するコロイド滴定法(化粧品種別配合成分規格、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、定量法)によっても求めることができる。
[化粧料]
本発明の化粧料において、上記低分子量カチオン化ヒアルロン酸(固形分換算)の配合量は、化粧料全体を100質量%として、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%とすることが好ましい。配合量が0.001質量%未満ではコンディショニング効果、セット性が十分に発揮されない傾向にあり、10質量%を越えると使用時にぬるつき感、べたつき感が生じると共に、柔軟性が悪化し、ごわつき感を生じ使用感が悪くなる傾向があり、また経済性の観点からも好適でない。上記配合量は、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
本発明の化粧料は、皮膚用(肌用)化粧料、毛髪用化粧料、さらには爪用化粧料等のいずれの種類の化粧料とすることができる。
上述の本発明にかかる化粧料の剤型は限定されず任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料に配合される各種成分を加え常法により製造することができる。
皮膚用(肌用)化粧料としては、洗顔料、洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水等)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプ
等)、クレンジング、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、シェービングローション、アフターシェービングローション、日焼け止め(クリーム、ジェル等)、タンニング剤(ローション、クリーム等)、アフターサンケア製品(ローション、ジェル等)、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローション等を含む)、ボディクリーム(ハンドクリーム等を含む)、ボディオイル、石鹸、ボディソープ(ボディシャンプー)および入浴剤等の、基礎化粧料、メイクアップ用化粧料、ボディ用化粧料など種々の化粧料が挙げられる。
また毛髪用化粧料としては、例えば、シャンプー、リンス、リンス一体型シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、ヘアスタイリング、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアフォーム(ヘアムース)、ヘアローション、ヘアスプレー、ヘアオイル、ヘアトニック、養毛剤、パーマネント液、ヘアカラー、ヘアカラー前処理液、ヘアマスカラ、ヘアマスカラクレンジング剤等が挙げられる。これら毛髪化粧料は、毛髪に適用後に短時間で洗い流すタイプの化粧料(例えばシャンプー等)、或いは、適用後に洗い流さないタイプの化粧料(例えばヘアクリーム等)のいずれであってもよい。
さらに、爪用化粧料としては、ネイルクリーム、ネイルトリートメント、ネイルオイル、ネイルリムーバー等が挙げられる。
本発明の化粧料にはコンディショニング効果、肌保護効果の向上の為、本発明の低分子量カチオン化ヒアルロン酸の他に、さらに種々のカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用することができるが、その配合量は、本発明の低分子量カチオン化ヒアルロン酸を含む化粧料の繰り返し使用時の感触、安定性などを損なわない範囲であり、化粧料全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを超えると使用時にごわつき感が生じ使用感が悪くなる。さらに、皮膚化粧料に於いては、剤型の安定性の悪化、および感触面ではぬるつき感が生じ、使用感が悪くなる。
配合されるカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子としては、下記のようなものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
カチオン性水溶性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性フェヌグリークガム、カチオン変性グアーガム、カチオン変性タラガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タマリンドガム、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性デキストラン、カチオン変性キトサン、カチオン変性ハチミツ等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
両性水溶性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等
)等が挙げられる。
さらに本発明の化粧料は、上述の低分子量のカチオン化ヒアルロン酸に加えて、化粧料に通常配合される種々の成分を適宜配合し得る。配合可能な他の成分を下記に例示するがこれら成分に限定されるものではない。
例えば界面活性剤として、アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素原子数8〜24)硫酸塩、アルキル(炭素原子数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素原子数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素原子数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素原子数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アルキル(炭素原子数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素原子数8〜24)エーテルリン酸塩、アシル(炭素原子数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素原子数8〜24)化メチルタウリン塩、アシル(炭素原子数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素原子数8〜24)化N−メチル−β−アラニン塩、アシル(炭素原子数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素原子数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素原子数8〜24)化サルコシン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、長鎖(炭素原子数8〜24)カルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキル(炭素原子数8〜24)ベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素原子数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素原子数8〜24)アンホ酢酸ナトリウム、アルキル(炭素原子数8〜24)アミンオキシド、3級窒素、および4級窒素を含むアルキル(炭素原子数8〜24)リン酸エステル、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等が挙げられる。
また本発明の化粧料に配合され得る上記カチオン性、両性水溶性高分子以外にも、粘度調整、およびスタイリング時の使用性をある程度改善するなどの目的によりアニオン性、ノニオン性高分子を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに配合することができ、例えば下記のようなものが挙げられる。
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸およびその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体およびその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体およびその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、カルボキシメチルセ
ルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライドおよびその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
さらに別の態様において、本発明の化粧料に、アミドアミン化合物を有機酸および/または無機酸等の中和剤で完全中和または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩および/または無機酸塩とさらに、高級脂肪酸および/または高級アルコールを添加することで、コンディショニング効果を向上することができる。その配合量はアミドアミン化合物として組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを超えると、使用後の感触が重くなったり、ぬるつきを生じたりと、使用感が悪くなる。
本発明の化粧料に配合されるその他の成分としては、カチオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油、アボガド油、ツバキ油、馬油等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、アテロコラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、セラミド、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、等)、エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキシルパルミテート、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル−2−エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、シリコーン(メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等)およびシリコーン誘導体(ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)、高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等)、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール等)、高級脂肪酸(ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L−テアニン等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線反射剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)、パール化剤(脂肪酸エチレングリコール等)、懸濁剤(ポリスチレン乳化物等)、増粘剤(セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、パルミチン酸デキストリン等)、金属封鎖剤(エデト酸塩、エチドロン酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等)、育毛剤、起泡増進剤、タンパク質加水分解物(例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド等)、天然物エキス(クジンエキス、カジルエキス、テンチカエキス、海草エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス等)、その他の機能性成分(コエンザイムQ10、アルブチン、ポリクオタニウム―51、エラスチン、白金ナノコロイド、パルミチン酸レチノール、パンテノール、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム等)、リン脂質ポリマー、ビタミン類、抗炎症剤、色素、香料等が挙げられる。
以下実施例により本発明を説明する。ただし本発明は、これらの実施例および比較例によって何ら制限されるものではない。
[合成例1:カチオン化ヒアルロン酸の調製(1)]
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液29.3gを60容量%のイソプロパノール水溶液733mLに添加した後、ここに低分子量ヒアルロン酸(分子量5000Da)100gを徐々に添加し分散させ、分散液を得た。
次に、上記分散液に、80質量%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(以下GTAとも記す)水溶液66.8gを加え、加温し、50℃で3時間反応させた。反応終了後、35%塩酸36.7gを加え、反応系を中和した。室温で1時間混合後、メタノール5000mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン化ヒアルロン酸(試料番号1)のカチオン化度は0.70であり、GPCによる分子量測定の結果は6600(数平均分子量)であった。結果を表1に示す。
[合成例2〜5:カチオン化ヒアルロン酸の調製(2)]
上記合成例1と同様の手順にて、ただし添加するGTAの量を変更することにより、或いは分子量の異なるヒアルロン酸を原料として用いることにより、カチオン化度および分子量の異なるカチオン化ヒアルロン酸(試料番号2〜試料番号5)を調製した。
以下に調製したカチオン化ヒアルロン酸の一覧を示す。
なお、本実施例において、カチオン化ヒアルロン酸のGPCによる分子量(数平均分子量)の測定条件は以下の通りである。
・使用機器:LC−10ADvp[(株)島津製作所製]
・使用カラム:Shodex(登録商標) OHpak SB−802.5 HQ + OHpak SB−803 HQ[昭和電工(株)製]
・溶離液:0.1M硝酸ナトリウム
・流速:1mL/分
・オーブン温度:40℃
・測定時間:60分
・検量線
東ソー(株)製
TSKゲル標準ポリエチレンオキシド SE−8 分子量:101000
SE−2 27700
ジーエルサイエンス(株)製
ポリエチレングリコール 2070−9 分子量: 8650
2070−8 6450
2070−7 4250
2070−6 1470
〔実施例1:カチオン化ヒアルロン酸の吸着性評価〕
[試験手順]
種々のカチオン化度および分子量を有するカチオン化ヒアルロン酸に関して、毛髪への吸着性、皮膚真皮線維芽細胞への吸着性、皮膚表皮角化細胞への吸着性、および3次元培養皮膚への吸着性について、以下の手順に従いそれぞれ評価した。
なお上記種々の評価に用いたヒアルロン酸等を以下(a)〜(i)に示す。また(b)〜(f)、(h)及び(i)のヒアルロン酸類(以降、カチオン化の有無に関係なく実施例に供したヒアルロン酸を総称してヒアルロン酸類と称する)は精製水の添加により1質量%水溶液として実際の試験に供した。また(g)は精製水の添加により10質量%水溶液としたものを実際の試験に供した。
(a)精製水
(b)高分子量ヒアルロン酸ナトリウム[市販品、ヒアルロン酸分子量:1.37〜1.53×10Da、1質量%水溶液にて試験を実施]
(c)低分子量ヒアルロン酸[市販品、ヒアルロン酸分子量:1万以下、1質量%水溶液にて試験を実施]
(d)低分子量ヒアルロン酸ナトリウム[市販品、ヒアルロン酸分子量:7000、1質
量%水溶液にて試験を実施]
(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸[市販品、ヒアルロン酸分子量:50万〜80万、1質量%水溶液にて試験を実施]
(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸[上記試料番号1の低分子量カチオン化ヒアルロン酸、1質量%水溶液にて試験を実施]
(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸[上記試料番号1の低分子量カチオン化ヒアルロン酸、10質量%水溶液にて試験を実施]
(h)低分子量カチオン化ヒアルロン酸[上記試料番号4の低分子量カチオン化ヒアルロン酸、1質量%水溶液にて試験を実施]
(i)低分子量カチオン化ヒアルロン酸[上記試料番号5の低分子量カチオン化ヒアルロン酸、1質量%水溶液にて試験を実施]
[1]毛髪への吸着性試験
2%過酸化水素を含有する2%アンモニア水溶液に人毛黒髪((株)ビューラックスより入手)を30分浸漬した後、水洗し、ダメージ毛を調製した。
上記試料(a)〜(g)に、調製したダメージ毛を10分間浸漬した。10分後、毛髪を流水で洗浄し、キムタオル(登録商標)に毛髪を挟みこんで余分な水分を除去した。スライドガラスにセロハンテープで毛髪を固定した後、3質量%ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝液(以下3%BSA含有PBSとも称する)によりブロッキングを行った。ブロッキング後、ビオチン標識ヒアルロン酸結合蛋白(HABP)およびストレプトアビジン標識TRITC(テトラメチルローダミンイソチオシアネート)により、毛髪に吸着しているヒアルロン酸類を蛍光標識した。標識後、蛍光退色防止剤を滴下してカバーガラスをかけて封入した後、蛍光観察を行った。
[2]皮膚真皮線維芽細胞への吸着性試験
96ウェルプレートに皮膚真皮線維芽細胞を5×10細胞/cmの密度で播種し、3日間培養した。3日後、精製水でリンスし、上記試料(a)〜(i)を10分間作用させた。10分後、精製水で3回リンスを行い、4質量%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝液(以下4%PFA/PBSとも称する)を作用させヒアルロン酸類を固定した。その後、3%BSA含有PBSによりブロッキングを行った。ブロッキング後、Hoechst(ヘキスト)33342により線維芽細胞の核を蛍光標識し、またビオチン標識HABPおよびストレプトアビジン標識TRITCにより線維芽細胞に吸着しているヒアルロン酸類を蛍光標識した。標識後、蛍光退色防止剤を滴下し、蛍光観察を行った。
[3]皮膚表皮角化細胞への吸着性試験
96ウェルプレートに皮膚表皮角化細胞を5×10細胞/cmの密度で播種し、3日間培養した。3日後、精製水でリンスし、上記試料(a)〜(i)を10分間作用させた。10分後、精製水で3回リンスを行い、4%PFA/PBSを作用させヒアルロン酸類を固定した。その後、3%BSA含有PBSによりブロッキングを行った。ブロッキング後、Hoechst(ヘキスト)33342により角化細胞の核を蛍光標識し、またビオチン標識HABPおよびストレプトアビジン標識TRITCにより角化細胞に吸着しているヒアルロン酸類を蛍光標識した。標識後、蛍光退色防止剤を滴下し、蛍光観察を行った。
[4]3次元培養皮膚への吸着性試験
I型コラーゲンと線維芽細胞からなる真皮と、角化細胞からなる表皮とを有する3次元培養皮膚を作製し、培養皮膚表面を精製水でリンスした。リンス後、上記試料(a)〜(g)を10分間作用させた。10分後、精製水で3回リンスを行い、4%PFS/PBSを作用させ、4℃にて1日間、3次元培養皮膚にヒアルロン酸類を固定した。固定後、4%PFS/PBSを30%スクロースに置換して4℃にて1日静置した後、再度30%ス
クロースに置換して4℃にて1日静置した(計2回スクロース置換を実施)。置換後、クリオスタット(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)、CryoStar NX70)を用いて三次元培養皮膚の凍結切片を作製した。その後、3%BSA含有PBSによりブロッキングを行った。ブロッキング後、Hoechst(ヘキスト)33342により線維芽細胞および角化細胞の核を蛍光標識し、またビオチン標識HABPおよびストレプトアビジン標識TRITCにより皮膚表面上に吸着しているヒアルロン酸類を蛍光標識した。標識後、蛍光退色防止剤を滴下してカバーガラスをかけて封入した後、蛍光観察を行った。
[蛍光観察の画像解析]
上記[1]〜[4]で得られた蛍光観察画像(蛍光顕微鏡写真)を用い、毛髪および細胞へのヒアルロン酸類の吸着量を画像解析によって評価した。
画像解析には、画像解析ソフト「NIS−Elements B.R.3.1」((株)ニコン製)を用い、輝度の閾値[スレショルド]を統一して解析することにより、吸着量(率)として数値化した。
<毛髪の評価>
取得画像より毛髪1本を切り出し、毛髪自体の輝度の閾値、並びにヒアルロン酸類が吸着した部分の輝度の閾値を設定し、これらの強度の比較より、その毛髪に対する吸着(残留)ヒアルロン酸類の量の割合を解析した。
毛髪への吸着量(%)=吸着ヒアルロン酸類の輝度(閾値:900〜4078)/毛髪全体の輝度(閾値:350〜4078)
<細胞の評価>
細胞は画像全体に分布していることを考慮し、取得画像全体が細胞全体を表すと捉えて評価を行った。すなわち画像全体に関してヒアルロン酸類が吸着した部分の輝度の閾値を設定し、画像全体に対するヒアルロン酸類の吸着部分の強度を、細胞に対する吸着(残留)ヒアルロン酸類の量の割合として解析した。
細胞への吸着量(%)=吸着ヒアルロン酸量(閾値:1200〜4078)
[評価結果]
[1]毛髪への吸着性試験結果
蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図1に、画像解析による毛髪への吸着率の算出結果を以下の表2に示す。
図1より確認できるように、試料(f)および(g)の輝度は他の試料(a)〜(e)と比べても高く、また表2に示す通り、本発明の低分子量カチオン化ヒアルロン酸の水溶液である試料(f)および(g)は、毛髪への吸着性が最も高いことが確認された。
[2]皮膚真皮線維芽細胞への吸着性試験結果
試料(a)〜(g)に関する蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図2に、試料(a)、(f)、(h)及び(i)に関する蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図3に、試料(a)〜(i)に関する画像解析による皮膚真皮線維芽細胞への吸着率の算出結果を以下の表3に示す。図2及び図3において、(1)は蛍光標識した細胞核の画像を表し、(2)は蛍光標識したヒアルロン酸類の画像を表す。なお図2及び図3並びに表3(表3−1及び表3−2)における相違は、画像解析における輝度の閾値を変更したことによるものである。
図2に示すように、試料(a)〜(e)において(1)画像は細胞核が明確に確認できるが、(2)画像においてヒアルロン酸類を示す蛍光は輝度が低く不鮮明であり、これら試料では皮膚真皮線維芽細胞に殆ど吸着していないことが確認された。
一方、試料(f)および(g)では、(1)画像に示す細胞核を目安として確認できるように、(2)画像においてカチオン化ヒアルロン酸の皮膚真皮線維芽細胞への吸着を示す蛍光が鮮明に確認された。
また、図3に示すように、試料(f)、(h)及び(i)のいずれにおいても、これらカチオン化ヒアルロン酸の皮膚真皮線維芽細胞への吸着性が確認された。
さらに表3に示すように、本発明の低分子量カチオン化ヒアルロン酸の水溶液である試料(f)、(g)、(h)、(i)が、皮膚真皮線維芽細胞への吸着性が高く、特に試料(f)、(g)および(i)が高いことが確認された。
[3]皮膚表皮角化細胞への吸着性試験結果
試料(a)〜(g)に関する蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図4に、試料(a)、(f)、(h)及び(i)に関する蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図5に、試料(a)〜(i)に関する画像解析による皮膚表皮角化細胞への吸着率の算出結果を以下の表4に示す。図4及び図5において、(1)は蛍光標識した細胞核の画像を表し、(2)は蛍光標識したヒアルロン酸の画像を表す。なお図4及び図5並びに表4(表4−1及び表4−2)における相違は、画像解析における輝度の閾値を変更したことによるものである。
先の皮膚真皮線維芽細胞と同様に、図4において試料(a)〜(e)は(1)画像では細胞核が明確に確認できるが、(2)画像においてヒアルロン酸類を示す蛍光は輝度が低く不鮮明であり、これら試料では皮膚表皮角化細胞に殆ど吸着していないことが確認された。
一方、試料(f)および(g)では、(1)画像に示す細胞核を目安として確認できるように、(2)画像においてカチオン化ヒアルロン酸の皮膚表皮角化細胞への吸着を示す蛍光が鮮明に確認された。
また、図5に示すように、試料(f)、(h)及び(i)のいずれにおいても、これらカチオン化ヒアルロン酸の皮膚表皮角化細胞への吸着性が確認された。
さらに表4に示すように、本発明の低分子量カチオン化ヒアルロン酸の水溶液である試料(f)、(g)、(h)および(i)が、皮膚表皮角化細胞への吸着性が最も高いことが確認された。
[4]三次元培養皮膚への吸着性試験結果
蛍光顕微鏡による観察結果(写真)を図6に示す。なお図6において、各図の矢印が培養皮膚の上面を指し、これより上部の蛍光は試料のヒアルロン酸類の吸着部分を示し、これより下部の蛍光は皮膚内部(産生)のヒアルロン酸を示す。
図6に示すように、試料(a)〜(e)は培養皮膚上面へのヒアルロン酸類の吸着による蛍光は殆どみられず、一方試料(f)および(g)では明確にカチオン化ヒアルロン酸の吸着による蛍光が確認できた。
〔実施例2:カチオン化ヒアルロン酸の相溶性評価〕
上記試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)を用い、各種化粧品原料との相溶性を評価した。
下記表5に示す化粧品原料の水溶液を同表に記載の終濃度の2倍の濃度で準備し、これと、上記試料(e)または(f)の溶液とを質量比で1:1にて撹拌混合して静置し、混合液外観を目視にて確認し、以下の判定基準により評価した。得られた結果を表5に示す(表中、%は質量%を示す)。
なお表5に示す濃度は化粧品原料の終濃度を示し、例えば混合時に化粧品原料の水溶液の濃度:1質量%、ヒアルロン酸類の溶液の濃度1質量%とすると、終濃度はいずれも0.5質量%となる(本実施例においてヒアルロン酸類の終濃度は全て0.5質量%である)。
また配合時のpHは、化粧品原料の水溶液及びヒアルロン酸類の溶液の各々のpHをクエン酸及び水酸化ナトリウム水溶液にて調整したものである。
<判定基準>
○ :透明
× :霞〜半透明状
××:不溶物析出
また、精製水、そして化粧品原料としてラウリル硫酸ナトリウム(終濃度:0.5質量%、10質量%)、グリセリン(同:5質量%、20質量%)、ソルビトール(同:5質量%、20質量%)、ブチレングリコール(同:5質量%、20質量%)および加水分解ダイズタンパク(同:5質量%)を使用した場合の上記ヒアルロン酸類との混合液外観について、静置後写真を図7に示す(図中、%は質量%を示す)。図7中、それぞれの写真は、各写真上部に示す化粧品原料(濃度は終濃度)と、左から(1)精製水との1:1混合液、(2)試料(e)との1:1混合液、(3)試料(f)との1:1混合液(いずれも配合時pH:5−6)を示したものである。
さらに、カチオン化セルロース(終濃度:0.5質量%)、ポリクオタニウム−7(同:0.5質量%)、エタノール(同:20質量%)を使用した場合の上記ヒアルロン酸類との混合液外観について、静置後写真を図8に示す(図中、%は質量%を示す)。図8中
、それぞれの写真は、各写真上部に示す化粧品原料(濃度は終濃度)と、左から(4)精製水との1:1混合液、(5)試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液、(6)試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)との1:1混合液(いずれも配合時pH:5−6)を示したものである。
表5に示すように、本発明が対象とする試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸は、種々の化粧品原料に対して幅広いpH値で相溶性を有する結果となった(図7及び図8参照)。一方、試料(e)高分子カチオン化ヒアルロン酸は、カチオン性水溶性ポリマーにおいて半透明状なり、相溶性に欠け、またエタノールではpHや濃度によって不溶物が析出し、相溶性に大きく劣るとする結果が得られた(特に図8参照)。
〔実施例3:カチオン化ヒアルロン酸の毛髪内浸透性評価〕
試料(c)低分子量ヒアルロン酸(1質量%水溶液)、試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)および試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(1質量%水溶液)200mLに、上記実施例1[1]毛髪への吸着性試験にて調製したダメージ毛(長さ10cm)を40℃、60分間浸漬した。その後、毛髪を取り出し湿度50%、温度25℃の恒温恒湿内で12時間乾燥した。得られた毛髪を切断し、断面をToF−SIMSにより分析し、定性スペクトルにより検出されたヒアルロン酸類のm/z値を特定し、該m/z値にてマッピングすることにより、毛髪内部へのヒアルロン酸類の浸透性を評価した。
定性スペクトル分析より、試料(c)低分子量ヒアルロン酸はm/z=126,128において、試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸はm/z=274において、そして試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸はm/z=134において、それぞれ特徴的なピークが観測された。
各試料のヒアルロン酸類由来の特徴的なm/z値における毛髪断面のマッピング結果を図9(2)に示す。図9(2)中、輝度の高い部分がヒアルロン酸類の分布を反映しており、図9(1)には毛髪断面の分析エリア(枠で囲まれた部分)を表示した。
図9に示すように、本発明が対象とする試料(f)低分子量カチオン化ヒアルロン酸は、毛髪断面内部まで分布(浸透)していることが確認され、一方、試料(e)高分子量カチオン化ヒアルロン酸は毛髪表面(毛髪外周)の分布にとどまることが確認できた。なお、(c)低分子量ヒアルロン酸は画像全面で検出されているように見えるが、バックグラウンドの影響が強いための結果と言え、毛髪断面の分析エリア近辺で強度の強弱は確認されず、毛髪表面への吸着および毛髪内部への浸透には至らなかったとみられる結果となった。
〔実施例4:カチオン化ヒアルロン酸配合化粧料の官能評価〕
下記組成を有する美容液に対して、試料(g)低分子量カチオン化ヒアルロン酸(10質量%水溶液)を0.1質量%配合し(低分子量カチオン化ヒアルロン酸の最終濃度:0.01%)、未配合の美容液との官能評価に供した。
20〜70代女性の被験者:333人に対して、上記試料(g)配合の美容液と未配合の美容液をそれぞれ左右の手の甲に別々に同量塗布し、なじませた。
その後、試料(g)未配合の美容液を塗布した手の甲の感触(A)と、試料(g)配合の美容液を塗布した手の甲の感触(B)について、感触の変化を比較した。
感触(B)が感触(A)よりも保湿効果や整肌効果の点で優れていると評価した被験者は327人(98%)となり、これら感触に変化がないと評価した被験者は6人(2%)となった。
以下に上記試料番号1〜4を用いた種々の化粧料の処方例を実施例5乃至実施例19として示す。なおここに記載した試料番号の低分子量カチオン化ヒアルロン酸のみならず、上記表1に示す他の試料番号の低分子量カチオン化ヒアルロン酸を用いた場合であっても、同様に保湿性等に優れる各種化粧料が得られた。
[実施例5:化粧水]
常法に基づき、表7の成分を配合し、化粧水を製造した。
下記配合の化粧水は、使用後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例6:ボディケアローション]
常法に基づき、表8の成分を配合し、ボディケアローションを製造した。
下記配合のボディケアローションは、使用後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例7:美容液]
常法に基づき、表9の成分を配合し、美容液を製造した。
下記配合の美容液は、使用後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例8:ボディソープ(ボディシャンプー)(1)]
常法に基づき、表10の成分を配合し、ボディソープを製造した。
下記配合のボディーソープは、洗浄後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例9:ボディソープ(ボディシャンプー)(2)]
常法に基づき、表11の成分を配合し、ボディソープを製造した。
下記配合のボディーソープは、洗浄後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例10:洗顔料(1)]
常法に基づき、表12の成分を配合し、洗顔料を製造した。
下記配合の洗顔料は、洗浄後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例11:洗顔料(2)]
常法に基づき、表13の成分を配合し、洗顔料を製造した。
下記配合の洗顔料は、洗浄後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例12:アフターシェーブローション]
常法に基づき、表14の成分を配合し、アフターシェーブローションを製造した。
下記配合のアフターシェーブローションは、使用後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例13:入浴剤]
常法に基づき、表15の成分を配合し、入浴剤を製造した。
下記配合の入浴剤は、入浴後の肌のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例14:シャンプー(1)]
常法に基づき、表16の成分を配合し、シャンプーを製造した。
下記配合のシャンプーは、洗髪後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例15:シャンプー(2)]
常法に基づき、表17の成分を配合し、シャンプーを製造した。
下記配合のシャンプーは、洗髪後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例16:リンス(1)]
常法に基づき、表18の成分を配合し、リンスを製造した。
下記配合のリンスは、適用・洗浄後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例17:リンス(2)]
常法に基づき、表19の成分を配合し、リンスを製造した。
下記配合のリンスは、適用・洗浄後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例18:ヘアジェル]
常法に基づき、表20の成分を配合し、ヘアジェルを製造した。
下記配合のヘアジェルは、適用後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。
[実施例19:ヘアワックス]
常法に基づき、表21の成分を配合し、ヘアワックスを製造した。
下記配合のヘアワックスは、適用後の毛髪のしっとり感(保湿性)に極めて優れているものであった。

Claims (5)

  1. ヒドロキシ基の一部が下記一般式<1>で表される第4級窒素含有基で置換された、分子量が2000〜15,000である低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩を含む化粧料。
    (式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜24のアルキル基またはアルケニル基を表し、Xは1価のアニオンを表す。)
  2. 前記低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩は、そのカチオン化度が0.30乃至1.00である、請求項1に記載の化粧料。
  3. 前記低分子量カチオン化ヒアルロン酸および/またはその塩は、化粧料の総質量に対して0.001〜10質量%にて含まれる、請求項1または請求項2に記載の化粧料。
  4. 皮膚用化粧料である、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の化粧料。
  5. 毛髪用化粧料である、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の化粧料。
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