JP2016108297A - アントラセン誘導体、その製造方法、フェノール樹脂、フォトレジスト用組成物及び発光剤 - Google Patents

アントラセン誘導体、その製造方法、フェノール樹脂、フォトレジスト用組成物及び発光剤 Download PDF

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Abstract

【課題】アントラセン特有の特性、例えば高炭素密度、高融点、高安定性、高屈折率、紫外線に対する蛍光性能等を備え、かつ反応多様性を兼ね備えたアントラセン誘導体、この製造方法及びフェノール樹脂を提供することを目的とするものである。【解決手段】本発明は、下記式(1)で示されるアントラセン誘導体である。式(1)中、Xはヒドロキシアリール基を示す。上記Xとしてはヒドロキシフェニル基が好ましい。また、別の本発明は、上記アントラセン誘導体とアルデヒド類とを反応させて得られるフェノール樹脂である。さらに、別の本発明は、無溶媒又は炭化水素溶媒において、酸触媒の存在下、フェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとを反応させる工程を有する下記式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアントラセン誘導体、このアントラセン誘導体の製造方法、フェノール樹脂、フォトレジスト用組成物及び発光剤に関する。
従来、アントラセンは、木材の殺虫材や保存安定剤、塗料等のほか、エポキシ樹脂やカーボンブラックの製造原料、アントラキノン染料の合成原料等の種々の用途に利用されている。
また、このアントラセンは、ベンゼン環が3個縮合した縮合多環芳香族化合物であるため、構造的な硬さ、炭素密度の高さ、高融点、高屈折率等の特徴に加え、紫外線照射によってπ電子が作用し蛍光を発する等の有用な特性を有している。かかる特性を付加価値として更なる活用を図るべく、アントラセンの様々な応用展開が試みられている。これまでも種々のアントラセン誘導体が、多岐にわたる技術分野で付加価値の高い材料として開発されている。
例えばアントラセンの9,10位に(メタ)アクリレート基を導入し、重合性モノマーとすることで、光ラジカル重合の増感剤として作用する光硬化ポリマー(特開2007−99637号公報参照)や、紫外線吸収能や難燃性を有するポリマー(特開2008−1637号公報参照)を得ることができる。
また、フォトレジストの分野においても、アントラセンを用い、高感度、高解像性、高エッチング耐性、低昇華性等の利点を有する感放射線性樹脂組成物(特開2005−346024号公報参照)や、レジスト樹脂とのインターミキシングを防止する反射防止膜(特開平7−82221号公報参照)等を得ることができる。
さらには、電子輸送材料又は発光剤として、有機感光体(OPC)、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池、有機発光ダイオード等の用途へのアントラセンの応用も期待されている(特開2009−40765号公報参照)。
また、アントラセンが高屈折率を有するという特徴を生かして、光学材料としての利用のほか、高屈折率材料、低屈折率材料及び増感色素等を混合し、露光によって干渉縞を記録するホログラム記録材料としての利用も行われている(特開平6−295151号公報参照)。
しかし、これらのアントラセンでは反応における多様性が不十分である。
特開2007−99637号公報 特開2008−1637号公報 特開2005−346024号公報 特開平7−82221号公報 特開2009−40765号公報 特開平6−295151号公報
本発明は、かかる事情を背景になされたものであり、アントラセン特有の特性(高炭素密度、高融点、高安定性、高屈折率、紫外線に対する蛍光性能等)を備え、かつ反応多様性を兼ね備えたアントラセン誘導体及びこの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で示されるアントラセン誘導体である。
Figure 2016108297
(式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。)
当該アントラセン誘導体は、アントラセン骨格を有するため、アントラセン特有の諸特性、例えば高炭素密度、高屈折率、紫外線に対する蛍光性能等を備え、さらにアントラセン骨格の第9位に芳香環を備える基が導入されていることにより、アントラセンよりも高い融点を有する。
当該アントラセン誘導体は、加えて、上記置換基が反応活性な水酸基及び芳香環を有することから、多様な反応性を有する。従って、当該アントラセン誘導体によれば、各種樹脂原料等に用いることができるなどの高い汎用性を発揮することができる。
また、当該アントラセン誘導体は、アントラセンとヒドロキシアリールとが単結合した構造を有するため、アントラセンより安定性に優れる。
当該アントラセン誘導体は、上記Xがヒドロキシフェニル基であるとよい。これにより、当該アントラセン誘導体は特に高い融点及び屈折率を発揮することができ、また効率よく製造することができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該アントラセン誘導体とアルデヒド類とを反応させて得られるフェノール樹脂である。当該フェノール樹脂は、当該アントラセン誘導体を原材料としているため、当該アントラセン誘導体が有する高融点、高屈折率等の特性を備える。
当該アントラセン誘導体及びフェノール樹脂は、フォトレジスト用組成物に用いられるとよい。上述のように、当該アントラセン誘導体及びフェノール樹脂は高い汎用性を有するため、フォトレジスト用組成物として好適に用いることができる。
当該アントラセン誘導体及びフェノール樹脂は、発光剤に用いられるとよい。上述のように、当該アントラセン誘導体及びフェノール樹脂は高い汎用性を有するため、発光剤として好適に用いることができる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、無溶媒又は炭化水素溶媒において、酸触媒の存在下、フェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとを反応させる工程を有する下記式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法である。
Figure 2016108297
(式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。)
当該製造方法によれば、副反応の発生を抑えることができ、またフェノール類の種類を選択することによって、所望する当該アントラセン誘導体を効率よく製造することができる。例えば上記フェノール類としてフェノールを選択することで、上記式(1)におけるXがヒドロキシフェニル基であるアントラセン誘導体を製造することができる。
ここで、「ヒドロキシアリール基」とは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、その他の置換基を有してもよい芳香族炭化水素の芳香環から1つの水素を除いた置換基である。「フェノール類」とは芳香環上にヒドロキシ基を有する化合物をいう。
以上説明したように、本発明のアントラセン誘導体は、アントラセンと同等以上の高い融点及び安定性を有し、かつアントラセン特有の諸特性、例えば高炭素密度、高屈折率及び紫外線に対する蛍光性能等を備えている。さらに、当該アントラセン誘導体は、アントラセン特有の諸特性を備えた上で多様な反応性を示すため、各種樹脂原料に用いることができる等の高い汎用性を発揮することができる。
従って、本発明のアントラセン誘導体は、材料の高機能化や新たな特性の付与に極めて効果的であり、高い汎用性と付加価値とを有する樹脂原料、例えばフェノール樹脂原料、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、アクリル樹脂原料、積層材、塗料等のコーティング材料、レンズ、光学シート等の光学材料、ホログラム記録材料等の記録材料、有機感光体、フォトレジスト用組成物、反射防止膜、半導体封止材等の高機能材料、分子磁気メモリー等の磁性材料、有機太陽電池、有機EL素子などとして多岐の技術分野での応用展開をはかることができる。
さらに、本発明の製造方法によれば所望する当該アントラセン誘導体を効率的に製造することができる。
実施例1の反応終了後のHPLCチャートを示す図である。 実施例1の目的物のHPLCチャートを示す図である。 実施例1の目的物のH−NMRチャートを示す図である。 実施例1の目的物の13C−NMRチャートを示す図である。 実施例2の反応終了後のHPLCチャートを示す図である。 実施例3の反応終了後のHPLCチャートを示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳説する。
<アントラセン誘導体>
本発明のアントラセン誘導体は、下記式(1)で示される。
Figure 2016108297
上記式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。
上記Xで表されるヒドロキシアリール基の具体例としては、例えばヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等が挙げられる。
上記ヒドロキシアリール基は、芳香環上の1又は複数の水素原子が置換基で置換されていてもよい。この置換基としては、例えばアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシル基、アリール基、アルケニル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、例えば直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルキル基;炭素が−O−で置換されている直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルキル基等が挙げられる。
上記直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記炭素が−O−で置換されている直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基としては、例えば−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH−CH、−CH−CH−CH−O−CH−CH、−(CH−CH−O)n1−CH(n1は1〜8の整数)、−(CH−CH−CH−O)m1−CH(m1は1〜5の整数)、−CH−CH(CH)−O−CH−CH、−CH−CH(OCH等が挙げられる。
上記アルコキシル基としては、直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルコキシル基;1個以上の−O−で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状アルコキシル基等が挙げられる。
上記直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボルニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記1個以上の−O−で中断されている直鎖状及び分岐鎖状のアルコキシル基としては、例えば−O−CH−O−CH、−O−CH−CH−O−CH−CH、−O−CH−CH−CH−O−CH−CH、−O−(CH−CH−O)n2−CH(ここでn2は1〜8の整数である)、−O−(CH−CH−CH−O)m2−CH(ここでm2は1〜5の整数である)、−O−CH−CH(CH)−O−CH−CH、−O−CH−CH(OCH等が挙げられる。
上記アリール基としては、置換基を有していてもよい芳香環から1つの水素を除いた基が挙げられ、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状、単環状及び縮合多環状のアルケニル基等が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。このような基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等が挙げられる。
上記ヒドロキシアリール基として、置換基を有するヒドロキアリール基を備えることで、当該アントラセン誘導体は、当該アントラセン誘導体の特徴を維持しつつさらに機能を付加又は調整することができる。
例えば置換基としてアルキル基を有するヒドロキシアリール基を備える当該アントラセン誘導体によれば、当該アントラセン誘導体の多様な反応性を低下させることなく、屈折率や融点等を調整することができる。なお、上記置換アルキル基としては、当該アントラセン誘導体の立体配置安定性の点から、低分子量であることが好ましく、具体的には炭素数が5以下のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。
上記Xとしては、高屈折性、高融点及び反応多様性の点から、無置換のヒドロキシフェニル基及び無置換のヒドロキシナフチル基が好ましく、無置換のヒドロキシフェニル基がより好ましく、4−ヒドロキシフェニル基がさらに好ましい。
当該アントラセン誘導体の融点の下限としては、218℃が好ましく、220℃がより好ましい。一方、上記融点の上限としては、300℃が好ましく、280℃がより好ましい。当該アントラセン誘導体の融点は、Xで示される置換基を選択することで調整することができる。ここで融点とは、示差走査熱量計を用い、窒素雰囲気下5℃/分の昇温速度によるピークトップ法にて求められる値である。
当該アントラセン誘導体の屈折率の下限としては、1.6が好ましく、1.65がより好ましい。一方、上記屈折率の上限としては、2が好ましく、1.9がより好ましい。当該アントラセン誘導体の屈折率は、Xで示される置換基を選択することで調整することができる。ここで屈折率とは、屈折率計を用い、25℃にて1質量%、5質量%及び10質量%の各濃度でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解したアントラセン溶液の屈折率を測定し、検量線を作成して求めた100質量%時の換算屈折率である。
<利点>
当該アントラセン誘導体は、アントラセン骨格を有することによりアントラセン特有の諸特性である高炭素密度、高屈折率、紫外線に対する蛍光性能等を備え、かつ芳香環を有する置換基(ヒドロキシアリール基)がアントラセン骨格の9位に導入されていることにより、アントラセンよりも高い融点を有する。
当該アントラセン誘導体は、さらに上記ヒドロキシアリール基が反応活性な水酸基及び芳香環を有することから、アントラセン特有の諸特性を備えた上で、多様な反応性を有する。例えば当該アントラセン誘導体は、アリル化、グリシジル化、アクリル化、メチロール化、ベンゾオキサジン化等の反応に用いることができる。
また、当該アントラセン誘導体は、アントラセンとヒドロキシアリールとが単結合した構造を有するため、アントラセンより安定性に優れる。
従って、当該アントラセン誘導体によれば、各種樹脂原料等に用いることができるなどの高い汎用性を発揮することができる。特に、当該アントラセン誘導体は、このフェノール骨格がアントラセン環の9位に配置されていることで、樹脂原料として使用する場合にポリマー主鎖への導入が可能となる等の優れた応用展開が可能となる。特に、当該アントラセン誘導体は、アントラセン骨格の短軸となる9位にフェノール骨格が配置されているため、ポリマー主鎖へ導入された際、当該ポリマーが極めて高い炭素密度を有することや、結晶性が高くなること等の特有な機能の発揮が期待される。
本発明のアントラセン誘導体は、上記の構造を有するため、直接又は反応中間体として用いて、フェノール樹脂原料、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、アクリル樹脂原料等の各種合成樹脂原料等として用いることができる。また、合成樹脂原料以外にも、例えば農薬中間体や、医薬中間体として用いることができる。
<アントラセン誘導体の製造方法>
本発明のアントラセン誘導体の製造方法は、無溶媒又は炭化水素溶媒において、酸触媒の存在下、フェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとを反応させる工程を有する下記式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法である。当該製造方法におけるフェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとの反応機構は定かではないが、無溶媒環境下又は炭化水素溶媒により、アントラセン−9−カルボアルデヒドの特定の炭素上の電子が局在化され、フェノール系化合物との反応が生じること等が考えられる。
Figure 2016108297
上記式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。このXとしては、上述の当該アントラセン誘導体のものと同一である。
上記フェノール類としてはフェノール系化合物、ナフトール系化合物等が挙げられる。
上記フェノール系化合物とは、芳香環上の水素が他の置換基に置換されていてもよいフェノールをいう。上記置換基としては、アルキル基やヒドロキシ基等が挙げられる。この置換基の数としては、アントラセン−9−カルボアルデヒドとの反応性から、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、0がさらに好ましい。また、アントラセン−9−カルボアルデヒドとの反応性から、ヒドロキシ基のパラ位に置換基が配置されていないことが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、チモール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、カテコール、4−メチルカテコール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられる。
上記ナフトール系化合物とは、芳香環上の水素が他の置換基に置換されていてもよいナフトールをいう。上記置換基としては、アルキル基やヒドロキシ基等が挙げられる。この置換基の数としては、アントラセン−9−カルボアルデヒドとの反応性の点から、6以下が好ましく、2以下がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記ナフトール系化合物としては、1−ナフトール、2−ナフトール、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
当該フェノール類は、特にこれらに限定されるものではなく、所望する上記アントラセン誘導体の構造に応じて適宜選択される。例えば上記フェノール類としてフェノールを選択することで、上記式(1)におけるXがヒドロキシフェニル基であるアントラセン誘導体を製造することができる。なお、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール類のアントラセン−9−カルボアルデヒド1モルに対する配合量の下限としては、2モルが好ましく、4モルがより好ましい。一方、上記配合量の上限としては、100モルが好ましく、50モルがより好ましく、30モルがさらに好ましい。フェノール類の配合量が上記下限未満の場合、原料の高次縮合物が生成するため精製に多大なエネルギーを要するおそれがある。逆に、上記配合量が上記上限を超えると、未反応のフェノール類を除去するのに多大なエネルギーを要するおそれがある。
本製造方法においては、反応溶媒を用いないか、又は炭化水素溶媒を用いる。この炭化水素溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、n−デカン、ソルベントナフサ等が挙げられ、トルエン及びシクロヘキサンが好ましい。炭化水素溶媒は、これらのものに限定されず、また、それぞれを単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール類100質量部に対する炭化水素溶媒の配合量の下限としては、0質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。一方、上記配合量の上限としては、1000質量部が好ましく、500質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。炭化水素溶媒の配合量が上記上限を超えると、反応速度が低下し、生産性が低下するおそれがある。
上記酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸、蓚酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、強酸性イオン交換樹脂等の樹脂酸などが挙げられ、これらの中で無機酸が好ましく、硫酸がより好ましい。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、メルカプト酢酸等の反応助触媒を併用しても良い。
酸触媒の使用量としては、反応が過激で危険とならない範囲でかつ反応促進のために少なすぎない量を設定すればよいが、一般的には、フェノール類100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下である。
上記アントラセン誘導体の合成は、上記のフェノール類、アントラセン−9−カルボアルデヒド、酸触媒及び任意で炭化水素溶媒を反応容器に投入して、所定時間撹拌してフェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとを反応させることで行われる。なお、上記反応容器への投入物の投入順序は問わない。
当該製造方法の反応工程における反応温度の下限としては、0℃が好ましく、25℃がより好ましい。一方、上記反応温度の上限としては、100℃が好ましく、60℃がより好ましい。上記反応温度が上記下限未満の場合、反応時間が長くなるおそれがある。逆に、上記反応温度が上記上限を超えると、高次縮合物及び異性体等の反応副生物の生成が助長され、当該アントラセン誘導体の純度が低下するおそれがある。
当該製造方法の反応工程における反応容器内の圧力は、通常は常圧であるが、加圧又は減圧で行ってもよく、具体的には内部圧力(ゲージ圧)としては−0.02MPa以上0.2MPa以下が好ましい。
当該製造方法の反応工程における反応時間は、用いるフェノール類、炭化水素溶媒の種類と量、モル比、反応温度、圧力等に左右され、一概に定める事は出来ないが一般的には、1時間以上48時間以下であることが好ましい。
上記フェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとの反応終了後、酸触媒の除去を行うことが好ましい。この酸触媒除去の方法としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非水溶性有機溶媒に生成物を溶解し、水洗により除去を行う方法、中和処理を行った後析出した中和塩を濾別する方法、イオン交換樹脂等の樹脂酸を直接濾別除去する方法、アニオン製充填剤の詰まったカラムに反応液を通過させる方法等が挙げられる。
上記酸触媒除去後、精製により当該アントラセン誘導体を取り出すことが好ましい。一般的には、目的物に対して貧溶媒として作用し、その他の副生成物や未反応原料には良溶媒として作用する有機溶媒を添加し析出させた後、濾別及び乾燥する方法によって目的物である当該アントラセン誘導体を得ることができる。
<アントラセン誘導体を中間体として得られる化合物>
当該アントラセン誘導体を中間体として得られる化合物は、例えば当該アントラセン誘導体をアリル化、グリシジル化(例えば9−(4−ヒドロキシフェニル)アントラセングリシジルエーテル等を用いたグリシジル化)、アクリル化、メチロール化、ベンゾオキサジン化したもの等が挙げられる。
これらの化合物は、フェノール樹脂原料、エポキシ樹脂原料、アクリル樹脂原料等の樹脂原料として用いることができる。当該アントラセン誘導体を中間体として得られるこれらの化合物も、アントラセン骨格を有しているため、高融点、高屈折率、蛍光性能等のアントラセン特有の性質を備えている。従って、当該化合物から得られる樹脂も高屈折率、蛍光性能等の機能を有するなど更なる付加価値を有することができる。
<組成物>
当該アントラセン誘導体、及び/又は当該アントラセン誘導体を中間体として得られる化合物を含む組成物、並びに当該フェノール樹脂を中間体として得られる化合物を含む組成物は、フェノール樹脂原料、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、アクリル樹脂原料等の樹脂原料や、発光剤、フォトレジスト組成物、接着剤、塗料等に用いることができる。当該組成物における他の成分としては、各樹脂を製造する際に使用される公知のものが挙げられる。この他の成分としては、例えば溶媒、無機充填剤、顔料、揺変性付与剤、流動性向上剤、他のモノマー等が挙げられる。
上記溶媒としては、組成物構成によって異なるが、例えばエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。
上記無機充填剤としては、例えば球状及び破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナなどが挙げられる。
上記顔料としては、例えば有機系及び無機系の体質顔料、鱗片状顔料等が挙げられる。
上記揺変性付与剤としては、例えばシリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等が挙げられる。
上記流動性向上剤としては、フェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
(フォトレジスト組成物)
上記フォトレジスト組成物は、当該アントラセン誘導体、当該フェノール樹脂、及び当該アントラセン誘導体を中間体として得られる化合物を含有する。また、上記フォトレジスト組成物は、通常キノンジアジド基含有化合物等の感光剤を含有する。さらに、このフォトレジスト組成物は上記成分以外に、例えば公知のアルカリ可溶性ノボラック樹脂、溶剤、界面活性剤、接着助剤、アルカリ現像液に対する溶解性を微調整する酸無水物及び高沸点溶剤、充填剤、着色剤、粘度調整剤等を含有してもよい。
<硬化物>
上記組成物を硬化して得られる硬化物は各種樹脂として使用することができる。この硬化物は、アントラセン骨格に由来する高融点、高屈折率、及び蛍光性能といった様々な特性を付与する高汎用性の材料として様々な用途に用いることができる。なお、上記硬化物は、上記組成物を光照射、加熱等の各組成に対応した公知の方法を用いることによって得ることができる。
上記硬化物は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の各種合成樹脂として、さらには、機能性を活かしてレンズ、光学シート等の光学材料、ホログラム記録材料等の記録材料、有機感光体、フォトレジスト用組成物、反射防止膜、半導体封止材等の高機能材料などとして用いることができる。
<フェノール樹脂>
当該フェノール樹脂は、当該アントラセン誘導体とアルデヒド類とを反応させることで得られる。また、当該フェノール樹脂の原料として、当該アントラセン誘導体を製造する際に使用される上記フェノール類をさらに含んでもよい。
上記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;バニリン、エチルバニリン、サリチルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒドなどが挙げられる。これらの中で、脂肪族アルデヒドが好ましく、パラホルムアルデヒドがより好ましい。
当該アントラセン誘導体とアルデヒド類との反応は、触媒の存在下で行うことができる。この触媒としては、例えば酸触媒、塩基触媒等が挙げられる。
上記酸触媒としては、例えば蓚酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸;塩酸、硫酸等の無機酸などが挙げられる。上記塩基触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア水、トリエチルアミン等の第3級アミン;カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物;炭酸ナトリウム等の塩基性物質などが挙げられる。触媒としては、これらの中で酸触媒が好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、本実施例によってなんら限定されるものではない。なお、得られたアントラセン誘導体の測定は下記測定機器及び測定方法により行った。
<ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィーにより得られる純度(GPC純度)>
GPC純度は、GPC(東ソー社の「HLC−8220」)、RI検出器、カラム(東ソー社の「TSK−Gel SuperHZ2000+HZ1000+HZ1000(4.6mmφ×150mm)」)を用い、展開溶媒としてテトラヒドロフランを0.35mL/分で送液し、全ピーク面積に対する目的物ピークの面積比により求めた。
<高速液体クロマトグラフィーにより得られる純度(HPLC純度)>
HPLC純度及び反応の終点確認は、HPLC(島津製作所社の「Prominenceシリーズ」)、UV検出器(島津製作所社の「SPD−20A(246nm)」)、カラム(GLサイエンス社の「ODS−3(4.6mmφ×250mm)」)を用い、展開溶媒として水/アセトニトリル=40/60(体積比)を1.0ml/分で送液し、全ピーク面積に対する目的物ピークの面積比により求めた。
H−NMR及び13C−NMR>
H−NMR及び13C−NMRは、バリアン社の「UNITY−INOVA(400MHz)」を用い、TMSを基準物質として重クロロホルム溶媒で測定した。
<融点>
融点は、示差走査熱量計(リガク社の「DSC8230」)を用い、窒素雰囲気下5℃/分の昇温速度によるピークトップ法にて求めた。
<屈折率>
屈折率は、屈折率計(京都電子工業社の「RA−520N」)を用い、25℃にて1質量%、5質量%及び10質量%の各濃度でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解したアントラセン溶液の屈折率を測定し、検量線を作成して100質量%時の換算屈折率を求めた。
[実施例1](無溶媒での合成)
500mLの還流管付き反応容器にフェノール(94.1g、1.0モル)及びアントラセン−9−カルボアルデヒド(10.3g、0.05モル)を入れ、40℃にて溶解した。この反応容器に98%濃硫酸(2.8g、硫酸分は2.74g)を投入し、40℃で15時間反応を行った。15時間反応させた後のHPLCチャートを図1に示す。次いで、反応液をメチルイソブチルケトン(141g)に溶解させ、蒸留水(94g)にて水洗を数回行って触媒を除去した後、減圧下にて、メチルイソブチルケトン及びフェノールを留去した。次いで、反応物に対してキシレン(94g)及びシクロヘキサン(9.4g)を投入し、10℃で攪拌することにより得られた析出物を濾別し、粗結晶(8.6g)を得た。得られた粗結晶を酢酸エチル(4.3g)及びキシレン(17.2g)の混合溶媒に添加し、80℃に加熱した後10℃で再度結晶を析出させた。この結晶を濾別し、淡褐色結晶を得た。この淡褐色結晶のHPLCチャートを図2に示す。
得られた結晶は、GPC純度94.7%、HPLC純度92.6%、融点232℃、換算屈折率1.710(25℃)であり、H−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm/6.7,1H,−O/7.1,7.3,4H,Phenyl−/7.3,7.4,7.7,8.0,8.5,9H,Anthracene−/)及び13C−NMR(400MHz,CDCl,δ,ppm/115.3,130.4,132.3,155.5,−Phenyl/125.0,125.1,126.2,126.9,128.2,130.3,131.3,136.8,−Anthracene)にて9−(4−ヒドロキシフェニル)−アントラセンであることを確認した。図3にH−NMRチャート、図4に13C−NMRチャートを示す。また、UVランプ(365nm)照射時の青色の発光を目視にて確認した。
[実施例2](炭化水素溶媒を用いた合成)
500mLの還流管付き反応容器にフェノール(94.1g、1.0モル)、アントラセン−9−カルボアルデヒド(10.3g、0.05モル)及び炭化水素溶媒としてのシクロヘキサン(47.0g)を入れ、40℃にて溶解させた。この反応容器に98%濃硫酸(4.7g、硫酸分は4.61g)を投入し、40℃で15時間反応を行った。反応終了後のHPLCチャートを図5に示す。
[実施例3](炭化水素溶媒を用いた合成)
炭化水素溶媒としてトルエン(47.0g)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後のHPLCチャートを図6に示す。
本実施例で示されるように、実施例1で合成された本発明に係るアントラセン誘導体は、アントラセンと同様の紫外線に対する蛍光性を有することが示された。また、当該アントラセン誘導体の製造方法によれば、無溶媒又は炭化水素溶媒下で効率よく合成できることが示された。
本発明のアントラセン誘導体は、高炭素密度、高融点、高安定性、高屈折率、蛍光性能といった様々な特性を付与する高汎用性材料を提供することができ、例えばフェノール樹脂原料、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、アクリル樹脂原料等の樹脂原料に用いることができる。これらの当該アントラセン誘導体を原料とした樹脂等は、例えば積層材、塗料等のコーティング材料、レンズ、光学シート等の光学材料、ホログラム記録材料等の記録材料、有機感光体、フォトレジスト用組成物、発光剤、反射防止膜、半導体封止材等の高機能材料、分子磁気メモリー等の磁性材料などに用いることができ、これらは、例えば有機太陽電池、有機EL素子、液晶表示素子等の材料として使用することができる。また、本発明のアントラセン誘導体は、樹脂原料のみならず、例えば医薬品中間体や染料中間体として利用することもできる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体。
    Figure 2016108297
    (式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。)
  2. 上記式(1)におけるXが、ヒドロキシフェニル基である請求項1に記載のアントラセン誘導体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のアントラセン誘導体とアルデヒド類とを反応させて得られるフェノール樹脂。
  4. 請求項1若しくは請求項2に記載のアントラセン誘導体又は請求項3に記載のフェノール樹脂を用いたフォトレジスト用組成物。
  5. 請求項1若しくは請求項2に記載のアントラセン誘導体又は請求項3に記載のフェノール樹脂を用いた発光剤。
  6. 無溶媒又は炭化水素溶媒において、酸触媒の存在下、フェノール類とアントラセン−9−カルボアルデヒドとを反応させる工程を有する下記式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法。
    Figure 2016108297
    (式(1)中、Xは、ヒドロキシアリール基を示す。)
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