JP2016108126A - 固液混合物の輸送装置及び固液混合物の輸送方法。 - Google Patents

固液混合物の輸送装置及び固液混合物の輸送方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止できる固液混合物の輸送装置及び固液混合物の輸送方法を提供する。
【解決手段】醸造食品を製造するための工程で用い、固液混合物を仕込タンク5へ輸送する固液混合物の輸送装置1であって、固液混合物を輸送する輸送配管31と、輸送配管31に、圧縮エアを供給するエア供給配管25とを備えており、圧縮エアは、固液混合物の輸送配管31内の輸送を促進させて、輸送配管31中の輸送状態の異常を防止するために供給される。この構成によれば、固液混合物の輸送中に圧縮エアも供給するので、固液混合物中の液体の比率が低い場合や固液混合物の輸送速度が遅い場合であっても、圧縮エアにより固液混合物の輸送が促進されて、円滑な輸送が可能になり閉塞も防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、醸造食品を製造するための工程で用い、固体原料と液体の混合物である固液混合物を仕込タンクへ輸送する固液混合物の輸送装置及び輸送方法に関する。
醸造食品の製造工程においては、製造で用いる固体原料を仕込液体で輸送することが行われている。例えば日本酒の製造においては、米麹及び蒸米と仕込水とを混合した固液混合物を、仕込タンクへ輸送して仕込むことが行われる。このような仕込のための輸送において、輸送中に固液混合物の固体原料が沈降し液体と分離することによって流動性が損なわれて、固体原料が液体を吸収することで膨張し、輸送管の閉塞を起こすことがある。このため、下記特許文献1に記載の固液混合物の管移送装置では、停電等により移送ポンプが停止する移送ポンプの異常又は停電等による原因ではなく固液混合物の流動性が損なわれて管路が閉塞する移送状態の異常を検知すると、補助移送手段により、エア及び水の少なくともいずれかを主管内に吹き込み固液混合物を移送するようにし、それでも移送が不十分な場合は、主管内に弾性体を押し出すようにしている。
特開2002−347929号公報
前記特許文献1に記載の固液混合物の管移送装置は、移送ポンプの異常については、停電等により移送ポンプが停止する異常を検知して補助移送手段を作動させるものであり、予期できない不可避な事態に対応するものである。これに対し、移送状態の異常については、液体比率が小さい場合、輸送速度が遅い場合、輸送経路に障害がある場合等の諸条件が単独及び複合的に関わって起こるものであり、諸条件から輸送経路の閉塞が予期できるにもかかわらず、前記特許文献1に記載の固液混合物の管移送装置は、異常を検知して初めて補助移送手段を作動させる構成に留まっていた。
本発明は、前記のような従来の問題を解決するためのものであり、固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止できる固液混合物の輸送装置及び固液混合物の輸送方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の固液混合物の輸送装置は、醸造食品を製造するための工程で用い、固液混合物を仕込タンクへ輸送する固液混合物の輸送装置であって、前記固液混合物を輸送する輸送配管と、前記輸送配管に、圧縮エアを供給するエア供給配管とを備えており、前記圧縮エアは、前記固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止するために供給することを特徴とする。
本発明の固液混合物の輸送方法は、醸造食品を製造するための工程で用い、固液混合物を仕込タンクへ輸送する固液混合物の輸送方法であって、前記固液混合物を輸送配管で輸送し、前記輸送配管に、エア供給配管から圧縮エアを供給し、前記圧縮エアは、前記固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止するために供給することを特徴とする。
前記本発明の固液混合物の輸送装置及び固液混合物の輸送方法によれば、固液混合物の輸送中に圧縮エアも供給するので、固液混合物中の液体の比率が低い場合や固液混合物の輸送速度が遅い場合であっても、圧縮エアにより固液混合物の輸送配管内の輸送が促進されて、円滑な輸送が可能になり閉塞も防止できる。より具体的には、圧縮エアにより固液混合物が輸送方向に押し込まれて固液混合物の輸送が促進されることに加え、固液混合物間に介在したエアの圧縮作用によっても固液混合物の輸送が促進される。
前記本発明の固液混合物の輸送装置及び輸送方法においては、前記圧縮エアは前記エア供給配管に設けた開閉手段により前記輸送配管内に常時又は間欠的に供給することが好ましい。圧縮エアを常時供給すると固液混合物の輸送促進により有利になり、圧縮エアを間欠的に供給する場合は、常時供給に準じた効果が得られることに加え、圧縮エア供給に必要な動力を抑えることができる。
前記本発明の固液混合物の輸送装置及び輸送方法において、前記圧縮エアを間欠的に供給するときは、前記開閉手段の開く時間が0.5〜5秒の範囲内であり、閉じる時間が5〜30秒の範囲内であることが好ましい。
開閉手段の開く時間を0.5秒以上とすることにより、固液混合物の円滑な輸送のための圧縮エア量を確保でき、開閉手段の開く時間を5秒以下とすることにより、圧縮エア供給に必要な動力を抑えることができる。開閉手段の閉じる時間を5秒以上とすることにより、圧縮エア供給に必要な動力を抑えることができるとともに、輸送配管の振動や暴れの防止及び仕込タンク内への固液混合物の飛散の防止を図ることができる。開閉手段の閉じる時間を30秒以下とすることにより、固体原料と液体が分離して液体のみが流れて固体原料の輸送が滞ることを防止できるとともに、固体原料の輸送が滞ることによる固体原料の膨張を抑えることでき輸送配管の閉塞防止に有利になる。
前記本発明の固液混合物の輸送装置及び輸送方法においては、前記圧縮エアを前記輸送配管内に供給しているときの、前記固液混合物中の液体の輸送量を液体輸送量(L/min)、前記固液混合物中の固体原料の輸送量を固体原料輸送量(kg/min)とし、前記固液混合物の実混合比(%)を
[液体輸送量(L/min)/固体原料輸送量(kg/min)]×100とすると、前記実混合比が50〜90%の範囲内である場合有効である。この範囲外であってもよいが、実混合比が50未満であると圧縮エア供給の効果が十分発揮できない場合があり、実混合比が90%よりも大きいと、圧縮エアを供給しなくても円滑な輸送が可能になる場合がある。すなわち、前記範囲内の実混合比であれば、圧縮エア供給の効果がより発揮される。
本発明によれば、固液混合物を仕込タンクへ輸送する際に圧縮エアも供給するので、固液混合物中の液体の比率が低い場合や固液混合物の輸送速度が遅い場合であっても、圧縮エアにより固液混合物の輸送配管内の輸送が促進されて、円滑な輸送が可能になり閉塞も防止できる。
本発明の一実施形態に係る固液混合物の輸送装置の構成図。 本発明の一実施形態に係る固液混合装置の一例の概略図。 本発明の一実施形態に係る固液混合装置の別の一例の概略図。 図1に示した輸送装置の輸送部の部分拡大図。 本発明の実施例に係る輸送装置の構成図。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る固液混合物の輸送装置(以下、単に「輸送装置」という。)1の構成図である。輸送装置1は、醸造食品を製造するための工程で用いる装置であり、固体原料と液体の混合物である固液混合物を仕込タンク5へ輸送するための装置である。醸造食品としては、清酒、焼酎、醤油、みりん、酢、甘酒等が挙げられる。
固液混合物中の固体原料としては、麹及び加熱処理又は加熱加圧処理した原料等の仕込原料が挙げられる。仕込原料の具体例として、米、もち米、芋、小麦、大麦、大豆等の穀類を製麹、蒸煮、焙炒等の原料処理したものが挙げられる。固液混合物中の固体原料は、麹のみ、加熱処理又は加熱加圧処理した原料のみでもよく、これらの両方を含むものであってよい。固液混合物中の液体の具体例としては、水、塩水、酒類又はこれらの発酵液が挙げられる。
輸送装置1は、固液混合部2、圧縮エア供給部3及び輸送部4を備えている。固液混合部2で固体原料と液体が混合されて固液混合物が生成される。この固液混合物は、輸送部4により仕込タンク5まで輸送される。輸送部4の輸送配管31には、圧縮エア供給部3のエア供給配管25を通じて圧縮エアが供給されて(矢印a、d)、輸送配管31内の固液混合物の輸送が促進される(矢印b、c)。
以下、各部の構成について具体的に説明する。固液混合部2は、固体原料供給装置10、散液装置11、固液混合装置12を備えている。固体原料供給装置10から供給される固体原料と散液装置11からの液体が固液混合装置12内で混合されて固液混合物が生成される。
固体原料供給装置10は、蒸米機、放冷機、焙炒機、麹ストッカー等(図示せず)から出てきた固体原料を、固液混合装置12に供給する装置である。固体原料供給装置10の構成は特に限定はなく、例えばベルトコンベアや空気輸送を利用した装置が挙げられる。また、図1では固体原料供給装置10を備えているが、固体原料供給装置10を省き、固液混合装置12に固体原料を直接投入するようにしてもよい。
散液装置11は、液体を散液する装置である。散液装置11の構成は特に限定はなく、例えばノズルや穴開け加工した配管を用いた装置が挙げられる。散液のタイミングは、固液混合装置12に固体原料が供給される前、固体原料が供給された後及び固体原料の供給中のいずれのタイミングでもよい。固体原料が固液混合装置12に供給される前に散液すれば、固体原料と液体がよく馴染むのでより好ましい。また、あらかじめ固液混合装置12に一定量の液体を貯めておくようにしてもよい。散液位置については、固体原料が固液混合装置12に向けて投入される経路でもよく、固液混合装置12内でもよい。
固液混合装置12は、固液混合物を輸送ポンプ30に供給する前に、固体原料と液体を混合する装置である。図2及び図3に固液混合装置12の一例の概略図を示している。図2に示した固液混合装置12はホッパー式の装置である。混合ホッパー13内に固体原料が供給され(矢印e)、同時に散液による液体が供給されて(矢印f)、混合ホッパー13内で固液混合物が生成される。生成された固液混合物は出口15から流出する(矢印g)。ホッパー式は、散け易く液体と容易に馴染む固体原料を用いる場合に適している。混合ホッパー13内には、図2に示したようにガイド14を設けてもよい。固体原料をガイド14で受け、その上に散液すると固体原料と液体とが馴染み易くなる。
図3に示した固液混合装置12は、撹拌式の例を示している。投入口16から固体原料が供給され(矢印h)、固液混合装置12内で散液管17から液体が散液される。固体原料は、撹拌機18で攪拌されながら液体と混合されて固液混合物が生成される。生成された固液混合物は出口19から流出する(矢印i)。撹拌式は強制的に固体原料と液体とを混合するので、液体との混合が難しい固体原料を用いる場合に適している。撹拌機18の形状は、スクリューの形状をしたものや、軸にパドルのついた形状のものなどが考えられるが、形状は特に限定されない。
図2及び図3に示した固液混合装置12は一例であり、固液混合装置12はこれらに限るものではなく、輸送ポンプ30に供給される前に、固体原料と液体が混合される構成であればよい。
図1において、圧縮エア供給部3は、輸送配管31内に圧縮エアを供給する部分である。圧縮エア供給部3は、エアコンプレッサ20、高圧エアタンク21、レギュレータ22、開閉手段23、制御部24及びエア供給配管25を備えている。エアコンプレッサ20は圧縮エアを生成するものである。エア圧は例えば1.0MPa程度である。輸送装置1は、醸造食品を製造するための工程で用いるので、エアコンプレッサ20は、オイルフリーのエアコンプレッサが好ましい。
高圧エアタンク21は、エアコンプレッサ20で生成された圧縮エアを貯めるタンクである。高圧エアタンク21は、固液混合物の輸送中に圧縮エアを消費し切らない程度の圧縮エアを蓄える能力を備えたものであればよい。
レギュレータ22は、高圧エアタンク21に蓄えられている圧縮エアの圧力を、所定の圧力に調節するものである。調節後の圧縮エアの圧力は特に限定はないが、0.5MPa以下が好ましい。圧力が高過ぎると、輸送先のホースの暴れや輸送配管31に振動が生じ易くなるためである。振動が生じると輸送配管31の脱落の可能性が高まる。
開閉手段23は、弁の開閉により圧縮エアの輸送配管31内への供給を制御するものである。開閉手段23を設けたことにより、圧縮エアを輸送配管31内に常時供給することも間欠的に供給することも可能になる。開閉手段23の種類は特に限定はなく、例えば電磁弁や空気式制御弁等の自動弁でもよく、バタフライ弁等の手動弁を用い弁の開度を手動で操作してもよい。
制御部24は、開閉手段23の開閉を制御するものであり、間欠的に供給する際の開閉手段23を開く時間及び閉じる時間を調節することができる。開く時間及び閉じる時間の数値例については後に説明する。
開閉手段23を経た圧縮エアは、さらにエア供給配管25を経て輸送配管31に供給される。エア供給配管25の材料は特に限定はなく、ステンレス等の金属でも樹脂等の非金属でもよい。
輸送部4は、輸送ポンプ30と輸送配管31を備えている。輸送ポンプ30により、固液混合装置12からの固液混合物は、輸送配管31に押し出され、仕込タンク5まで輸送される。図4に、輸送部4の部分拡大図を示している。エア供給配管25の輸送配管31への接続位置は、輸送ポンプ30の下流で、輸送ポンプ30にできるだけ近い位置が好ましい。エア供給配管25の輸送配管31への接続部分には、傾斜部26を設けるとよい。圧縮エアが固液混合物の流れ方向に沿って輸送配管31へスムーズに流入するからである。傾斜部26は、輸送配管31内の固液混物の輸送方向(矢印b方向)に対し鋭角の角度を付けて配置したものである。また、図4に示したように、逆流防止のためにエア供給配管25と輸送配管31との接続位置27に対して輸送ポンプ30側にチャッキ弁32を設けてもよい。
輸送装置1は以上のように構成されているので、輸送部4の輸送配管31には、圧縮エア供給部3のエア供給配管25を通じて、圧縮エアが供給されて、輸送配管31内の固液混合物の輸送が促進される。本実施形態では、圧縮エアの供給を、輸送配管31中の輸送状態の異常を検知した際に初めて供給するのではなく、輸送配管31中の輸送状態の異常を防止するために供給する点に特徴がある。すなわち、本実施形態では、固液混合物の輸送中には圧縮エアも供給されるので、固液混合物中の液体の比率が低い場合や固液混合物の輸送速度が遅い場合であっても、圧縮エアにより固液混合物の輸送が促進されて、円滑な輸送が可能になり閉塞も防止できる。
より具体的には、醸造食品製造の仕込工程では、固体原料と液体との混合比率は固定されており、輸送促進のために仕込水を増やすことはできず、限られた量の仕込水で輸送を行う必要がある。このような場合であっても、圧縮エアにより固液混合物の輸送が促進されるので、本実施形態のように固液混合物の輸送中に圧縮エアを供給する構成を採用することは、醸造食品を製造するための工程に適している。
圧縮エアの供給は、常時でもよく間欠的でもよい。圧縮エアを常時供給すると固液混合物の輸送促進により有利になり、圧縮エアを間欠的に供給する場合は、常時供給に準じた効果が得られることに加え、圧縮エア供給に必要な動力を抑えることができる。
以下、圧縮エアを間欠的に供給する場合の開閉手段23の開く時間及び閉じる時間の好ましい範囲について説明する。開閉手段23を開く時間が短くなると、圧縮エアの供給量が少なくなるので、固液混合物の輸送に不利になる場合がある。例えば、図1に示したように仕込タンク5の上部に向けて輸送配管31が立ち上がっている箇所では、一時的に流速が落ちるので、圧縮エア量が十分でない場合は固液混合物を仕込タンク5の上部まで輸送するのが困難になる。
これに対し、開閉手段23を開く時間が長くなると、圧縮エアの供給に必要な動力が大きくなる。また、輸送配管31の振動や暴れが生じ易くなる。さらに、固液混合物が仕込タンク5へ投入される際の勢いが高まるので、固液混合物が飛散する可能性も高まる。固液混合物が飛散すると、仕込タンク5の壁面に固体原料が付着し、汚染菌の繁殖の原因にもなる。
また、開閉手段23を閉じる時間が長くなると、混合されていた固体原料と液体が分離し、液体のみが流れ固体原料の輸送が滞る。この場合は固体原料が膨張し易くなり、固体原料が膨張すると輸送配管の閉塞防止には不利になる。これに対し開閉手段23を閉じる時間が短くなると、開く時間が長い場合と同様に、圧縮エアの供給に必要な動力が大きくなることに加え、輸送配管31の振動や暴れが生じ易くなり、仕込タンク5中で固液混合物が飛散する可能性も高まる。
以上のことから、開閉手段23の開閉については、開く時間及び閉じる時間のいずれについても好ましい範囲が存在することが分かる。後に挙げる実機での確認結果を踏まえると、圧縮エアを間欠的に供給するときは、開閉手段23の開く時間が0.5〜5秒の範囲内であり、開閉手段23の閉じる時間が5〜30秒の範囲内であることが好ましい。
次に、輸送配管31中を流動する固液混合物の固体原料と液体との混合比の好ましい範囲について説明する。固液混合物中の液体の割合が少なくなると、圧縮エア供給の効果が十分発揮できない場合がある。一方、液体の割合が多くなると、圧縮エアを供給しなくても円滑な輸送が可能になる場合がある。これらのことから、固液混合物中の液体の割合については、円滑な輸送に好ましい範囲が存在することが分かる。具体的には、後に挙げる実機での確認結果を踏まえて、下記式(1)で定義した実混合比(%)を50〜90%の範囲内とすることが好ましい。
式(1)[液体輸送量(L/min)/固体原料輸送量(kg/min)]×100
式(1)において、液体輸送量(L/min)は、圧縮エアを輸送配管31内に供給しているときの、固液混合物中の液体の輸送量であり、固体原料輸送量(kg/min)は、圧縮エアを輸送配管31内に供給しているときの、固液混合物中の固体原料の輸送量である。
以下、実施例を参照しながら、本発明についてさらに具体的に説明する。図5は、実施例1〜3に係る輸送装置の構成図である。図5に示した輸送装置1は、図1に示した輸送装置1において、固体原料供給装置10をベルトコンベアとし、固液混合装置12を図3に示した攪拌式にしたものである。
(実施例1)
実施例1は清酒設備における輸送装置である。諸条件は次のとおりとした。
固体原料:掛米(蒸米)1260kg(元重量900kg)と
米麹432kg(元重量360kg)
液体:水1130L
輸送配管31の径:3s(内径72.2mm)
仕込タンク5までの輸送配管31の配管距離:50m
輸送ポンプ30:ロータリーポンプ
開閉手段23:電磁弁
圧縮エア供給時間:間欠的(開閉手段23の開く時間2秒、閉じる時間7秒)
以上の条件の下、蒸米機及び放冷機を通った掛米を固体原料供給装置10(ベルトコンベア)で固液混合装置12まで輸送した(矢印j、70kg/min)。米麹は固体原料供給装置10(掛米を輸送したベルトコンベアとは別のベルトコンベア)で固液混合部12まで輸送した(矢印k、27kg/min)。固液混合装置12には15Lの仕込水をあらかじめ貯めておき、掛米と米麹の投入開始と同時に仕込水の散液を開始し、掛米及び米麹と仕込水を混合させた。仕込水の固液混合部12への液体輸送量は60(L/min)とした。
このときの実混合比は、前記式(1)において、液体輸送量は60(L/min)であり、固体原料輸送量は、掛米70(kg/min)に米麹27(kg/min)を加えた97(kg/min)となるので61.9%となる。
圧縮エアは、エアコンプレッサ20で圧縮し高圧エアタンク21に貯めた。圧縮エアの元圧は1.0MPaであり、レギュレータ22によって0.35MPaまで減圧した。
輸送配管31が閉塞した場合は、輸送配管31の管内圧力が急に上昇するところ、エア供給配管25が接続されている輸送配管31の下流に設置された圧力計32は0.35MPa以下の数値を平均的に示しており、輸送配管31の閉塞の問題はなかった。
仕込水の散水開始から16分後に米麹の輸送が完了し、18分後には掛米の輸送が完了し圧縮エアの供給を停止した。余った輸送水(35L)で輸送配管31内に付着している原料を仕込タンク5まで輸送した。
(実施例2)
実施例2は醤油設備における輸送装置である。図5において、固体原料供給装置10(ベルトコンベア)は、1つ分のベルトコンベアのみ使用した。また、開平手段23を手動弁としたので、制御部24は不要である。諸条件は次のとおりとした。
固体原料:醤油麹6.96t(元重量は小麦3tと丸大豆3t)
液体:塩水9.45kL
輸送配管31の径:200A(内径204.7mm)
仕込タンク5までの輸送配管31の配管距離:150m
輸送ポンプ30:モーノポンプ
開閉手段23:バタフライ弁(手動弁)
圧縮エア供給時間:常時(バタフライ弁の開度30度)
以上の条件の下、醤油麹を固体原料供給装置10で固液混合装置12まで輸送した(矢印j、160kg/min)。固液混合装置12には15Lの仕込塩水をあらかじめ貯めておき、醤油麹の投入開始と同時に仕込塩水の散液を開始し、醤油麹と仕込塩水を混合させた。仕込塩水の固液混合部12への液体輸送量は200(L/min)とした。
このときの実混合比は、前記式(1)において、液体輸送量は200(L/min)であり、固体原料輸送量は醤油麹160(kg/min)となるので125%となる。
圧縮エアは、エアコンプレッサ20で圧縮し高圧エアタンク21に貯めた。圧縮エアの元圧は1.0MPaであり、レギュレータ22によって0.4MPaまで減圧した。
輸送配管31が閉塞した場合は、輸送配管31の管内圧力が急に上昇するところ、エア供給配管25が接続されている輸送配管31の下流に設置された圧力計32は0.4MPa以下の数値を平均的に示しており、輸送配管31の閉塞の問題はなかった。
仕込塩水の散水開始から43.5分後に醤油麹の輸送が完了し、圧縮エアの供給を停止した。余った仕込塩水(735L)で輸送配管31内に付着している原料を仕込タンク5まで輸送した。
(実施例3)
実施例3は焼酎設備における輸送装置である。図5において、固体原料供給装置10(ベルトコンベア)は、1つ分のベルトコンベアのみ使用した。諸条件は次のとおりとした。
固体原料:麦麹13.5t(元重量10t)
液体:水12.4kL
輸送配管31の径:3S(内径72.2mm)
仕込タンク5までの輸送配管31の配管距離:80m
輸送ポンプ30:ロータリーポンプ
開閉手段23:電磁弁
圧縮エア供給時間:間欠(開閉手段23の開く時間2秒、閉じる時間20秒)
以上の条件の下、麦麹を固体原料供給装置10で固液混合装置12まで輸送した(矢印j、120kg/min)。固液混合装置12には15Lの仕込水をあらかじめ貯めておき、麦麹の投入開始と同時に仕込水の散液を開始し、麦麹と仕込水を混合させた。仕込水の固液混合部12への液体輸送量は100(L/min)とした。
このときの実混合比は、前記式(1)において、液体輸送量は100(L/min)であり、固体原料輸送量は麦麹120(kg/min)となるので83.3%となる。
圧縮エアは、エアコンプレッサ20で圧縮し高圧エアタンク21に貯めた。圧縮エアの元圧は1.0MPaであり、レギュレータ22によって0.3MPaまで減圧した。
輸送配管31が閉塞した場合は、輸送配管31の管内圧力が急に上昇するところ、エア供給配管25が接続されている輸送配管31の下流に設置された圧力計32は0.3MPa以下の数値を平均的に示しており、輸送配管31の閉塞の問題はなかった。
仕込水の散液開始から112.5分後に麦麹の輸送が完了し、圧縮エアの供給を停止した。余った仕込水(1135L)で輸送配管31内に付着している原料を仕込タンク5まで輸送した。
(比較例)
比較例は、実施例1において、圧縮エア供給を停止させたものである。輸送開始から約10分後、輸送配管31に設置された圧力計の値が急速に上昇し、0.35MPa以上の数値を示したため固体原料供給と散水、混合、輸送ポンプ30を停止させ、輸送配管31の中を確認したところ管内の閉塞が確認された。
以上の実験結果によれば、圧縮エア供給を停止させた比較例では輸送配管31が閉塞したところ、実施例1〜3の結果によれば、輸送配管31は閉塞せず、圧縮エア供給により固液混合物の輸送が促進されて円滑な輸送が可能になることが確認できた。また、前記実施形態では、実混合比(%)の好ましい範囲を50〜90%の範囲内としたが、実混合比を125%とした実施例2においても、輸送配管31は閉塞せず、本発明においては、実混合比50〜90%はあくまでも好ましい範囲である。
1 固液混合物の輸送装置
2 固液混合部
3 圧縮エア供給部
4 輸送部
5 仕込タンク
10 固体原料供給装置
11 散液装置
12 固液混合装置
20 エアコンプレッサ
23 開閉手段
24 制御部
25 エア供給配管

Claims (8)

  1. 醸造食品を製造するための工程で用い、固液混合物を仕込タンクへ輸送する固液混合物の輸送装置であって、
    前記固液混合物を輸送する輸送配管と、
    前記輸送配管に、圧縮エアを供給するエア供給配管とを備えており、
    前記圧縮エアは、前記固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止するために供給することを特徴とする固液混合物の輸送装置。
  2. 前記圧縮エアは前記エア供給配管に設けた開閉手段により前記輸送配管内に常時又は間欠的に供給する請求項1に記載の固液混合物の輸送装置。
  3. 前記圧縮エアを間欠的に供給するときは、前記開閉手段の開く時間が0.5〜5秒の範囲内であり、閉じる時間が5〜30秒の範囲内である請求項2に記載の固液混合物の輸送装置。
  4. 前記圧縮エアが前記輸送配管内に供給しているときの、前記固液混合物中の液体の輸送量を液体輸送量(L/min)、前記固液混合物中の固体原料の輸送量を固体原料輸送量(kg/min)とし、前記固液混合物の実混合比(%)を
    [液体輸送量(L/min)/固体原料輸送量(kg/min]×100とすると、
    前記実混合比が50〜90%の範囲内である請求項1から3のいずれかに記載の固液混合物の輸送装置。
  5. 醸造食品を製造するための工程で用い、固液混合物を仕込タンクへ輸送する固液混合物の輸送方法であって、
    前記固液混合物を輸送配管で輸送し、
    前記輸送配管に、エア供給配管から圧縮エアを供給し、
    前記圧縮エアは、前記固液混合物の輸送配管内の輸送を促進させて、輸送配管中の輸送状態の異常を防止するために供給することを特徴とする固液混合物の輸送方法。
  6. 前記圧縮エアは前記エア供給配管に設けた開閉手段により前記輸送配管内に常時又は間欠的に供給する請求項5に記載の固液混合物の輸送方法。
  7. 前記圧縮エアを間欠的に供給するときは、前記開閉手段の開く時間が0.5〜5秒の範囲内であり、閉じる時間が5〜30秒の範囲内である請求項6に記載の固液混合物の輸送方法。
  8. 前記圧縮エアが前記輸送配管内に供給しているときの、前記固液混合物中の液体の輸送量を液体輸送量(L/min)、前記固液混合物中の固体原料の輸送量を固体原料輸送量(kg/min)とし、前記固液混合物の実混合比(%)を
    [液体輸送量(L/min)/固体原料輸送量(kg/min]×100とすると、
    前記実混合比が50〜90%の範囲内である請求項5から7のいずれかに記載の固液混合物の輸送方法。
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