図1は、LTE−Aで定められた階層型帯域幅構成を示す図である。図1に示す例は、複数の基本周波数ブロック(以下、コンポーネントキャリアとする)で構成される第1システム帯域を持つLTE−Aシステムと、1コンポーネントキャリアで構成される第2システム帯域を持つLTEシステムとが併存する場合の階層型帯域幅構成である。LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信し、LTEシステムでは、20MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする少なくとも1つのコンポーネントキャリアとなっている。このように、複数のコンポーネントキャリアを集めて広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
例えば、図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を1つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzまでのシステム帯域に対応可能である。UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)までのシステム帯域に対応可能である。UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)までのシステム帯域に対応可能である。
ところで将来のシステムでは、図2に示すように、マクロセルM内に無数のスモールセルSを配置する構成が想定される。この場合、ネットワークコストに対するキャパシティを考慮して、スモールセルSを設計することが求められている。ネットワークコストとしては、例えば、ネットワークノードやバックホールリンク等の設置コスト、セルプランニングや保守対応等のオペレーションコスト、ネットワーク側の消費電力等が挙げられる。またスモールセルには、キャパシティ以外の要求として、移動端末装置側の省消費電力化やランダムセルプランニングのサポートが求められている。
マクロセルM内にスモールセルを配置する場合、図3A、3Bに示すように2種類のHeterogeneous network(以下、HetNetと称する)構成が考えられる。図3Aに示す第1のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが同一のキャリアを用いるようにスモールセルが配置される。図3Bに示す第2のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが異なるキャリアを用いるようにスモールセルSが配置される。第2のHetNet構成では、スモールセルSが専用のキャリアを用いるので、マクロセルMでカバレッジを確保しつつ、スモールセルSでキャパシティを確保できる。今後(Rel.12以降)は、この第2のHetNet構成が重要になると想定される。
図4を参照し、第2のHetNet構成において用いられるキャリアの一例を説明する。以下では、図3BのマクロセルM、スモールセルSをそれぞれワイドエリア、ローカルエリアと称する。なお、ワイドエリアには、マクロセルの他にセクタ等が含まれてもよく、ローカルエリアには、スモールセルの他に、ピコセル、ナノセル、フェムトセル、マイクロセル等が含まれても良い。また、ワイドエリア、ローカルエリアをそれぞれカバーする(カバレッジ範囲とする)無線基地局をワイドエリア基地局装置、ローカルエリア基地局装置と称する。
図4に示すように、第2のHetNet構成のワイドエリアで用いられるキャリア(以下、ワイドエリア用キャリアという)は、所定の周波数帯で相対的に狭い帯域幅(例えば、2MHz)を有する既存の搬送波である。ワイドエリア用キャリアは、広範なワイドエリアをカバーできるように、相対的に大きい送信電力で送信される。このワイドエリア用キャリアは、レガシーキャリアやカバレッジキャリア等とも呼ばれる。
一方、第2のHetNet構成のローカルエリアで用いられるキャリア(以下、ローカルエリア用キャリアという)は、ワイドエリア用キャリアとは異なる周波数帯(図4では、ワイドエリア用キャリアより高い周波数帯)で広い帯域幅(例えば、3.5GHz)を有する搬送波である。ローカルエリア用キャリアは、キャパシティ向上のために広い帯域幅を有するので、相対的に小さい送信電力で送信される。このローカルエリア用キャリアは、追加キャリア(additional carrier)や拡張キャリア(extension carrier)やキャパシティキャリア等とも呼ばれる。
このような第2のHetNet構成では、図5に示すように、ワイドエリアとローカルエリアとで要求条件等が異なることが想定される。例えば、ワイドエリアでは、帯域幅が限定されるため、周波数利用効率が非常に重要である。これに対して、ローカルエリアでは、帯域幅を広く取り易いので、広い帯域幅を確保できればワイドエリアほど周波数利用効率の重要性は高くない。ワイドエリアでは車等の高いモビリティにも対応する必要があるが、ローカルエリアでは低いモビリティに対応すればよい。ワイドエリアではカバレッジを広く確保する必要がある。一方で、ローカルエリアではカバレッジを広く確保することが好ましいが、カバレッジの不足分はワイドエリアでカバー可能である。
また、ワイドエリアでは、ワイドエリア基地局装置と移動端末装置との能力差が大きいので、上下リンクの最大送信電力差が大きくなり、上下リンクの送信電力が非対称となる。一方、ローカルエリアでは、ローカルエリア基地局装置と移動端末装置との能力差が小さいので、上下リンクの最大送信電力差が小さくなり、上下リンクの送信電力が対称に近くなっている。さらに、ワイドエリアでは、セル当たりの接続ユーザ数が多く、セルプランニングもされているため、トラヒックの変動が小さい。これに対し、ローカルエリアでは、セル当たりの接続ユーザ数が少なく、セルプランニングがされていない可能性もあるので、トラヒックの変動が大きい。このように、ローカルエリアは、最適な要求条件がワイドエリアとは異なるため、ローカルエリアに特化した無線通信方式を設計する必要がある。
ローカルエリア用の無線通信方式は、省消費電力化やランダムセルプランニングに起因した干渉を考慮すると、トラヒックが無い場合には無送信にする構成が望ましい。このため、図6に示すように、ローカルエリア用の無線通信方式は、限りなくUE-specificな設計が想定される。具体的には、ローカルエリア用の無線通信方式は、LTEにおけるPSS/SSS(Primary Synchronization Signal/Secondary Synchronization Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等のCell-specificな信号を使用せず、ePDCCH(enhanced Physical Downlink Control Channel)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、DM−RS(DeModulation−Reference Signal)をベースとして設計される。
ここで、ePDCCH(拡張下り制御信号)は、PDSCH(下りデータ信号)と周波数分割多重される下り制御信号である。ePDCCHは、PDSCHと同様に、ユーザ固有の復調用参照信号であるDM−RSを用いて復調される。なお、ePDCCHは、FDM型PDCCHと呼ばれてもよいし、UE−PDCCHと呼ばれてもよい。図6では、PDSCH、ePDCCH、DM−RS等が、UE-specific L1/L2 signalsとして記載されている。
また、ローカルエリア用の無線通信方式では、図6に示すように、下りリンクにおいてディスカバリー信号(Discovery Signal)を定義するとともに、上りリンクにおいてDACH(Direct Access Channel)を定義することも検討されている。ここで、ディスカバリー信号とは、移動端末装置によるローカルエリア基地局装置の検出に用いられる検出信号である。また、DACHとは、ローカルエリア基地局装置に対する専用アクセスチャネルである。DACHにより、移動端末装置におけるディスカバリー信号の受信電力などが伝送される。
図6に示すように、下りリンクのディスカバリー信号は、移動端末装置が測定回数を減らしてバッテリセービングできるように、比較的長周期(例えば、数秒周期)で送信される。一方、上りリンクのDACHに対しては、ディスカバリー信号よりも短周期で無線リソースが割り当てられる。これにより、移動端末装置におけるトラヒック発生時に速やかに上りリンクの接続が確立される。
なお、図6に示す信号配置は、例示にすぎず、これに限られるものではない。例えば、DACHに対して、ディスカバリー信号と同じ周期(例えば、数秒周期)で無線リソースが割り当てられてもよい。また、ディスカバリー信号は、PDCH(Physical Discovery Channel)、BS(Beacon Signal)、DPS(Discovery Pilot Signal)等と呼ばれてもよい。DACHの名称も、とくに限定されない。
ところで、以上のような第2のHetNet構成のローカルエリアでは、上下リンクのカバレッジが非対称となる場合がある。図5を参照して説明したように、ローカルエリアでは、ローカルエリア基地局装置と移動端末装置との能力差が小さいことから、上下リンクの最大送信電力差が小さくなり、一般に上下リンクの送信電力は対称に近くなる。しかしながら、図7に示すように、ローカルエリアの上りリンクでは、図4に示すローカルエリア用キャリアの帯域幅を狭くして送信電力を増加ささせる送信電力制御を行うことができる。この結果、図7に示すように、上りリンクの送信電力が下りリンクの送信電力よりも顕著に大きくなり、ローカルエリアにおける上下リンクのカバレッジが非対称になってしまうという問題点がある。
そこで、本発明者らは、ローカルエリア基地局装置と移動端末装置との送信電力差が小さく一般に上下リンクの送信電力が対称に近くなるローカルエリアにおいて、上下リンクのカバレッジが非対称となるのを防ぐために、本発明に至った。すなわち、本発明の骨子は、ローカルエリアの下りリンクにおいても、図4に示すローカルエリア用キャリアの帯域幅を狭くして送信電力を増加させる送信電力制御を行うことで、ローカルエリアにおける上下リンクのカバレッジを対称に近くすることにある。
以下、本実施の形態に係るローカルエリアの下りリンクにおける送信電力制御方式を説明する。なお、以下の説明は、ワイドエリア内に複数のローカルエリアを配置した無線通信システム(図14参照)を想定する。この無線通信システムでは、上述の第2のHetNet構成が適用されており、ローカルエリアでは、ワイドエリア用キャリア(第1キャリア)とは異なる周波数帯でワイドエリア用キャリアよりも帯域幅が広いローカルエリア用キャリア(第2キャリア)が用いられるものとする。
図8は、本実施の形態に係るローカルエリアの下りリンクにおける送信電力制御の概念図である。図8に示すように、ローカルエリアの下りリンクにおいて、ディスカバリー信号は、カバレッジが最も大きくなるように一定の送信電力で送信される。より多くの移動端末装置10が、ディスカバリー信号を検出可能とするためである。
一方、図8において、ePDCCH(拡張下り制御信号)やPDSCH(下りデータ信号)などの下り信号の送信電力は、適応的に制御される。例えば、ローカルエリア基地局装置30の近くの移動端末装置10に対する下り信号については、帯域幅が広く送信電力が小さいローカルエリア用キャリア(図4参照)をそのまま用いて、小さいカバレッジのままで高いキャパシティを確保してもよい。一方、ローカルエリア基地局装置30からより離れた移動端末装置10に対する下り信号については、ローカルエリア用キャリア(図4参照)の帯域幅を狭くして送信電力を増加させて、カバレッジを拡張してキャパシティを減らしてもよい。
次に、図9及び図10を参照して、本実施の形態に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法を詳述する。
図9は、第1の態様に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法を示すシーケンス図である。図9において、ワイドエリア基地局装置20とローカルエリア基地局装置30とは、X2インターフェースなどの有線インターフェースで接続されるものとするが、無線インターフェースで接続されてもよい。また、移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30と無線インターフェースで接続されるものとする。
図9に示すように、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20から、ディスカバリー信号(DS)送信用の制御情報を受信する(ステップS101)。ディスカバリー信号送信用の制御情報には、ディスカバリー信号を送信するための無線リソースや信号系列などが含まれる。ディスカバリー信号の信号系列は、ローカルエリア毎に設定されており、この信号系列によってローカルエリアが識別される。
移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20から、例えば、ディスカバリー信号(DS)受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報などのローカルエリア制御情報を受信する(ステップS102)。
ここで、ディスカバリー信号受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からディスカバリー信号を受信するための無線リソースや信号系列等が含まれる。ディスカバリー信号受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からのディスカバリー信号の送信電力が含まれてもよい。また、DACH送信用の制御情報には、DACHに割り当てられた無線リソースやDM−RS系列等が含まれている。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からのePDCCHを用いて下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)を受信するための無線リソースやDM−RS系列等が含まれている。
移動端末装置10は、ステップS102で受信されたディスカバリー信号受信用の制御情報に基づいて、ローカルエリア基地局装置30からディスカバリー信号を受信し、当該ディスカバリー信号の受信電力を測定する(ステップS103)。上述のように、ディスカバリー信号は、ローカルエリア基地局装置30から所定周期(例えば、数秒周期)で送信される。なお、ディスカバリー信号の受信電力としては、例えば、ディスカバリー信号のSINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)が用いられる。
移動端末装置10は、ディスカバリー信号の受信電力に基づいて、ディスカバリー信号のパスロスを算出する(ステップS104)。具体的には、移動端末装置10は、ステップS102でワイドエリア基地局装置20から受信したディスカバリー信号の送信電力値とステップS103で測定されたディスカバリー信号の受信電力値との差を、ディスカバリー信号のパスロスとして算出する。
移動端末装置10は、ステップS102で受信されたDACH送信用の制御情報に基づいて、DACHを用いて、ディスカバリー信号の受信電力又はパスロスを、ローカルエリア基地局装置30に送信する(ステップS105)。ここで、DACHの初期送信電力は、ステップS104で算出されたパスロスに基づいて決定されてもよい。例えば、DACHの初期送信電力は、移動端末装置10の最大送信電力以下で、上記パスロスに所定のオフセットを加えた値であってもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、移動端末装置10におけるディスカバリー信号のパスロスに基づいて、移動端末装置10に対する下り信号の初期送信電力を決定する(ステップS106)。例えば、下り信号の初期送信電力は、ローカルエリア基地局装置30の最大送信電力以下で、上記パスロスに所定のオフセットを加えた値であってもよい。なお、初期送信電力の決定対象となる下り信号としては、周波数分割多重されるePDCCH(拡張下り制御信号)とPDSCH(下りデータ信号)とが挙げられる。
なお、ディスカバリー信号のパスロスは、移動端末装置10で算出されてローカルエリア基地局装置30に送信されてもよいし、ローカルエリア基地局装置30で算出されてもよい。ローカルエリア基地局装置30は、移動端末装置10からディスカバリー信号の受信電力値を受信し、受信した受信電力値とディスカバリー信号の送信電力値との差からディスカバリー信号のパスロスを算出し、算出したパスロスに基づいて、下り信号の初期送信電力を決定する。
ローカルエリア基地局装置30は、ステップS106で決定された初期送信電力で、下り信号を送信する(ステップS107)。具体的には、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20からの初期送信電力情報が示す初期送信電力で、ePDCCHとPDSCHとを送信する。移動端末装置10は、ePDCCHを用いて送信されたDCI(Downlink Control Information)に基づいて、自装置に割り当てられたPDSCHを認識して受信する。
なお、ローカルエリア基地局装置30から送信される下り信号には、CSI−RS(Channel State Information reference signal)が多重されている。ここで、CSI−RSとは、ローカルエリア基地局装置30と移動端末装置10との間のチャネル状態を測定するための測定用参照信号である。
移動端末装置10は、下り信号に多重されたCSI−RSの受信電力を測定し、測定した受信電力に基づいてCSI(Channel State Information)を生成する(ステップS108)。CSI−RSの受信電力としては、例えば、CSI−RSのSINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)が用いられる。
ここで、CSIとは、CQI(Channel quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)など、移動端末装置10とローカルエリア基地局装置30との間のチャネルの状態を示すチャネル状態情報である。CQIとは、ローカルエリア基地局装置30からのCSI−RSのSINRに基づいて演算される値であり、各値が変調符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)に関連付けられる。
移動端末装置10は、ステップS108で生成されたCSIをローカルエリア基地局装置30に送信する(ステップS109)。なお、このCSIの送信は、PUCCH(Physical Uplink Control Channel、上り制御信号)を用いて行われてもよいし、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel、上りデータ信号)を用いて行われてもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、ステップS109で移動端末装置10から受信したCSIと上述のディスカバリー信号のパスロスとに基づいて、下り信号の送信電力を決定する(ステップS110)。送信電力の決定対象となる下り信号としては、周波数分割多重されるePDCCH及びPDSCHが挙げられる。なお、ローカルエリア基地局装置30は、上述のCSIとパスロスとに基づいて、現在の下り信号の送信電力に対するオフセット値を決定してもよい。
また、ローカルエリア基地局装置30は、ステップS109で移動端末装置10から受信したCQIに基づいて、下り信号に適用すべき変調符号化方式(MCS)を決定してもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、ステップS110で決定された送信電力で、下り信号を送信する(ステップS111)。また、ローカルエリア基地局装置30は、CQIに基づいて決定されたMCSで、下り信号を送信してもよい。
以上のように、図9に示す第1の態様に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法によれば、ディスカバリー信号のパスロスに基づいて、ローカルエリアの下りリンクにおいても、下り信号の送信電力が適応的に制御される。このように、ローカルエリアの上りリンクだけでなく、下りリンクでも、ローカルエリア用キャリアの送信電力を適応的に制御することで、ローカルエリアの上下リンクのカバレッジを対称に近くすることができる。
また、図9に示す第1の態様に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法によれば、移動端末装置10が接続するローカルエリア基地局装置30が、下り信号の送信電力を決定する。このため、ワイドエリア基地局装置20で送信電力を決定する場合と比較して、より迅速に下り信号の送信電力を制御することができる。
図10は、第2の態様に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法を示すシーケンス図である。図10に示す無線通信方法は、下り信号の初期送信電力及び送信電力が、ローカルエリア基地局装置30ではなく、ワイドエリア基地局装置20で決定される点で、図9に示す無線通信方法と異なる。以下、図9との相違点を中心に説明を行う。
なお、図10において、移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20との接続(例えば、RRCコネクションなど上位レイヤコネクション)を確立しているものとする。また、図10のステップS201〜S204は、図9のステップS101〜S104と同様である。
図10に示すように、移動端末装置10は、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングを用いて、ディスカバリー信号の受信電力又はパスロスを、ワイドエリア基地局装置20に送信する(ステップS205)。
ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10におけるディスカバリー信号のパスロスに基づいて、ローカルエリア基地局装置30から移動端末装置10に対する下り信号の初期送信電力を決定する(ステップS206)。例えば、ローカルエリア基地局装置30からの下り信号の初期送信電力は、ローカルエリア基地局装置30の最大送信電力以下で、上記パスロスに所定のオフセットを加えた値であってもよい。なお、初期送信電力の決定対象となる下り信号としては、周波数分割多重されるePDCCHとPDSCHとが挙げられる。
なお、ディスカバリー信号のパスロスは、移動端末装置10で算出されてワイドエリア基地局装置20に送信されてもよいし、ワイドエリア基地局装置20で算出されてもよい。ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10からディスカバリー信号の受信電力値を受信し、受信した受信電力値とディスカバリー信号の送信電力値との差からディスカバリー信号のパスロスを算出し、算出したパスロスに基づいて、下り信号の初期送信電力を決定する。
ワイドエリア基地局装置20は、決定された初期送信電力を示す送信電力情報を、X2インターフェースなどの有線インターフェースを介して、ローカルエリア基地局装置30に送信する(ステップS207)。
ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20からの送信電力情報が示す初期送信電力で、下り信号を送信する(ステップS208)。具体的には、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20からの送信電力情報が示す初期送信電力で、ePDCCH及びPDSCHの少なくとも1つを送信する。
移動端末装置10は、下り信号に多重されたCSI−RSの受信電力を測定し、測定した受信電力に基づいて、CQIなどを含むCSIを生成する(ステップS209)。
移動端末装置10は、ステップS209で生成されたCSIをワイドエリア基地局装置20に送信する(ステップS210)。なお、このCSIの送信は、RRCシグナリングの上位レイヤシグナリングを用いて行われてもよい。
ワイドエリア基地局装置20は、ステップS210で移動端末装置10から受信したCSIと上述のディスカバリー信号のパスロスとに基づいて、ローカルエリア基地局装置30から移動端末装置10に対する下り信号の送信電力を決定する(ステップS211)。送信電力の決定対象となるローカルエリア基地局装置30からの下り信号としては、周波数分割多重されるePDCCH及びPDSCHが挙げられる。なお、ローカルエリア基地局装置30は、上述のCSIとパスロスとに基づいて、現在のローカルエリア基地局装置30からの下り信号の送信電力に対するオフセット値を決定してもよい。
また、ワイドエリア基地局装置20は、ステップS210で移動端末装置10から受信したCQIに基づいて、ローカルエリア基地局装置30からの下り信号に適用すべき変調符号化方式(MCS)を決定してもよい。
ワイドエリア基地局装置20は、決定された送信電力を示す送信電力情報を、X2インターフェースなどの有線インターフェースを介して、ローカルエリア基地局装置30に送信する(ステップS212)。また、ワイドエリア基地局装置20は、決定されたMCSを示すMCS情報をローカルエリア基地局装置30に送信してもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20からの送信電力情報が示す送信電力で、下り信号を送信する(ステップS213)。また、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20からのMCS情報が示すMCSで、ePDCCH及びPDSCHを含む下り信号を送信してもよい。
図10に示す第2の態様に係るローカルエリアの下りリンクにおける無線通信方法によれば、ローカルエリア基地局装置30が配置されるワイドエリアを形成するワイドエリア基地局装置20が、下り信号の送信電力を決定する。これにより、ローカルエリア間のロードバランスなどを考慮して、より最適な下り信号の送信電力を決定できる。また、ワイドエリア基地局装置20が、配下のローカルエリア基地局装置30の下り信号の送信電力を決定することで、CoMP(Coordinated Multiple Point)における下り信号の送信電力制御が可能となる。なお、図9及び図10の無線通信方法は、例えば、図9のステップS108以前と図10のステップS210以降、或いは、図10のステップS209以前と図9のステップS109以降などのように、組み合わされてもよい。
次に、図11を参照し、本実施の形態のローカルエリアの下りリンクにおける送信電力制御方式に適したCSIのレポート方式を説明する。
図11は、本実施の形態のローカルエリアで適応制御される下り信号の送信電力を示す図である。図11に示すように、本実施の形態のローカルエリアでは、ePDCCH又はPDSCHの送信電力は適応的に増加する一方、CSI−RSの送信電力は一定に維持される。CSI−RSは、移動端末装置におけるチャネル推定に用いられるため、チャネル状態の変動を検出できるように、CSI−RSの送信電力を一定に維持することが好ましいためである。
図11に示す場合、低送信電力が維持されるCSI−RSと、適応的に増加したePDCCH又はPDSCHとの間の送信電力差が拡大する。これにより、移動端末装置10におけるCSI−RSと、ePDCCH又はPDSCHとの間の受信電力差が増大する。
例えば、CSI−RSのSINRが−5dB以下で悪化しているが、ePDCCH又はPDSCHの送信電力の適応制御により、ePDCCH又はPDSCHのSINRが、+5dB以上で良好となり、CSI−RSとePDCCH又はPDSCHとの受信電力差が増大することが想定される。かかる場合、CSI−RSを用いて測定するCQIが実際のePDCCH又はPDSCHの受信品質と乖離するので、CQIに基づくリンクアダプテーション(MCS選択)精度が低下することが予想される。そこで、以下のようなCSIのレポート方式を採用することが考えられる。
第1のCSIのレポート方式では、適応的に制御されるePDCCH又はPDSCHの送信電力と、当該ePDCCH又はPDSCHと同じリソースブロックに割り当てられるCSI−RSの送信電力との差(ΔS)が、ワイドエリア基地局装置20又はローカルエリア基地局装置30から、移動端末装置10に予め通知される。
例えば、送信電力差ΔSは、図9のステップS102や図10のステップS202において、ワイドエリア基地局装置20から通知されてもよい。或いは、送信電力差ΔSは、DACHをトリガとするアクセス手順において、ローカルエリア基地局装置30から通知されてもよい。移動端末装置10は、通知された送信電力差ΔSに基づいて、CSI−RSのSINRを用いて算出されるCQIの値を補正し、補正されたCQIを含むCSIをレポートする。例えば、移動端末装置10は、CSI−RSのSINRにΔSを加算するように、CQIの値を補正する。
第1のCSIのレポート方式では、既存のCQIの構成を変更せずとも、精度の低いCQIがレポートされて、リンクアダプテーション(MCS選択)精度が低下するのを防止できる。
第2のCSIのレポート方式では、CSI−RSの受信電力を用いたCQI(チャネル品質識別子)の測定範囲が拡張される。例えば、CQIの測定範囲を、CSI−RSのSINRが−20dBである場合まで対応できるように拡張することが考えられる。既存のCQIは、0〜15の16段階のCQIインデックスで識別され、CQIインデックス用に4ビットが確保されている。第2のCSIレポート方式では、CQIインデック用のビット数を更に拡張し、拡張された測定範囲に対応したCQIインデックス値をレポートする。これにより、CSI−RSを用いて測定するCQIが実際のePDCCH又はPDSCHの受信品質とがある程度乖離した場合でも、CQIの測定範囲内に収めることができるので、CQIに基づくリンクアダプテーション(MCS選択)精度が向上する。
第2のCSIのレポート方式では、ePDCCH又はPDSCHとCSI−RSとの送信電力差ΔSを通知せずとも、精度の高いCQIをレポートすることができ、リンクアダプテーション精度が低下するのを防止できる。
次に、図12及び図13を参照し、本実施の形態のローカルエリアの下りリンクにおける送信電力制御方式に適したCSI−RSの配置構成について説明する。
図12は、本実施の形態のローカルエリアにおけるCSI−RSの配置構成例を示す図である。ローカルエリアでは、帯域幅が広く送信電力が小さいローカルエリア用キャリア(図4参照)を用いてCSI−RSが伝送される。上述のように、CSI−RSは、ePDCCHやPDSCHのように適応的な送信電力が行なわれない。このため、ローカルエリア用キャリアでCSI−RSを伝送すると、移動端末装置10がCSI−RSを十分な受信電力で受信することができず、CSI−RSの測定精度が劣化する。そこで、図12Aに示すように、CSI−RSの挿入密度を増加させることが考えられる。
図12Aでは、挿入密度を増加させた場合のサブフレームにおけるCSI−RSの配置構成の一例が示される。図12Aに示すように、ローカルエリアで送信されるCSI−RSは、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、ワイドエリアで送信されるCSI−RSが配置されるサブキャリア間隔よりも短いサブキャリア間隔で、配置される。
例えば、図12Aでは、サブフレーム内の先頭から第9及び第10番目のOFDMシンボルにおいて、3サブキャリア毎にCSI−RSが配置される。ワイドエリアでは、2アンテナポートの場合、12サブキャリア毎にCSI−RSが配置される。このため、図12Aに示す配置では、ワイドエリアよりもローカルエリアのCSI−RSの挿入密度が増加する。
図12Aに示すように、CSI−RSを配置するサブキャリア間隔を小さくして、CSI−RSの挿入密度を増加させることで、帯域幅が広く送信電力が小さくなるローカルエリア用キャリアでCSI−RSを伝送する場合でも、移動端末装置10におけるCSI−RSの測定精度の低下を防止できる。
また、図11に示すように、送信電力が適応的に増加するePDCCH又はPDSCHとCSI−RSとが隣接するサブキャリアに配置される場合、ePDCCHやPDSCHのパワーブーストの妨げになることが想定される。そこで、図12Bや図12Cに示すように、CSI−RSを配置することが考えられる。
図12Bでは、サブフレームの特定のOFDMシンボルをCSI−RSで占有した配置構成の一例が示される。図12Bに示すように、ローカルエリアで送信されるCSI−RSは、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、リソースブロック幅を構成する全サブキャリアに配置されている。
図12Bに示す配置構成では、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、送信電力が適応的に増加するePDCCH又はPDSCHと送信電力が一定で低いCSI−RSとが隣接するサブキャリアに配置されることがない。このため、CSI−RSが、ePDCCH又はPDSCHのパワーブーストの妨げとなるのを防止できる。また、リソースブロック幅を構成する全サブキャリアにCSI−RSが配置されているので、帯域幅が広いローカルエリア用キャリアでCSI−RSを伝送する場合でも、移動端末装置10におけるCSI−RSの測定精度の低下を防止できる。
図12Cでは、サブフレームの特定のOFDMシンボルにおいてCSI−RSとePDSCH又はPDSCHとの周波数分割多重を避けた配置構成の一例が示される。図12Cに示すように、ローカルエリアで送信されるCSI−RSは、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、リソースブロック幅を構成する一部のサブキャリアに配置される。このとき、残りのサブキャリアにPDSCHが配置されないように、残りのサブキャリアにミューティングリソース(Zero-power CSI-RS)が配置される。
図12Cに示す配置構成では、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、CSI−RSが配置されていないサブキャリアにミューティングリソースが配置される。このため、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、送信電力が適応的に増加するePDCCH又はPDSCHと送信電力が一定で低いCSI−RSとが隣接するサブキャリアに配置されることがない。このため、CSI−RSが、ePDCCH又はPDSCHのパワーブーストの妨げとなるのを防止できる。
なお、図12A〜12Cに示すCSI−RSの配置は例示にすぎず、これに限られるものではない。例えば、図12A〜12Cにおいて、サブフレーム内の第9及び第10番目以外のOFDMシンボルにCSI−RSが配置されてもよい。また、図12AにおいてCSI−RSが配置されるサブキャリア間隔がワイドエリアよりも短ければ、どのサブキャリアにCSI−RSが配置されてもよい。また、図12Cにおいて、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、CSI−RSが配置されないサブキャリアにミューティングリソースが配置されれば、CSI−RSがどのサブキャリアに配置されてもよい。
また、ローカルエリアでは、図12A〜12Cに示すように、サブフレームの先頭から最大3OFDMシンボルにおいてPDCCHが配置しないことが検討されている。このため、このリソース領域においてCSI−RSが配置されてもよい。また、UE-Specificな復調用参照信号であるDM−RSの配置構成も、図12A〜12Cに示す配置に限られるものではない。
図13は、ワイドエリアとローカルエリアとでキャリアアグリゲーションが行なわれる場合のCSI−RSの配置構成の一例を示す図である。ワイドエリア基地局装置20とローカルエリア基地局装置30との間でキャリアアグリゲーションが行なわれる場合、図4で説明したワイドエリア用キャリアとローカルエリア用キャリアとが異なるコンポーネントキャリアに属することが想定される。
かかる場合、図13に示すように、ローカルエリアで送信されるCSI−RSは、ワイドエリアで送信されるCSI−RSが配置されるサブフレームとは異なるサブフレーム内に配置されてもよい。例えば、図13では、ワイドエリアのCSI−RSは、サブフレーム1及び3に配置される一方、ローカルエリアのCSI−RSはサブフレーム2に配置される。
キャリアアグリゲーションが行なわれる場合、ワイドエリアのコンポーネントキャリア(CC1)とローカルエリアのコンポーネントキャリア(CC2)とでは、周波数帯域が異なる。このため、コンポーネントキャリア間でCSI−RSを異なるサブフレームに配置することで、擬似的に周波数ホッピングを実現することが可能となる。
なお、図13に示すCSI−RSの配置は例示にすぎず、これに限られるものではない。例えば、図13において、サブフレーム内の第9及び第10番目以外のOFDMシンボルにCSI−RSが配置されてもよい。また、特定のOFDMシンボルにおいて、CSI−RSがどのサブキャリアに配置されてもよい。
ここで、本実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図14は、本実施の形態に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、図14に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーションが適用される。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
図14に示すように、無線通信システム1は、ワイドエリアC1を形成するワイドエリア基地局装置20と、ワイドエリアC1内に配置され、ワイドエリアC1よりも狭いローカルエリアC2を形成する複数の複数のローカルエリア基地局装置30とを備えている。また、ワイドエリアC1及び各ローカルエリアC2には、多数の移動端末装置10が配置されている。移動端末装置10は、ワイドエリア用及びローカルエリア用の無線通信方式に対応しており、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30と無線通信可能に構成されている。
移動端末装置10とワイドエリア基地局装置20との間は、ワイドエリア用キャリア(例えば、低周波数帯で帯域幅が狭いキャリア)を用いて通信される。移動端末装置10とローカルエリア基地局装置30との間は、ローカルエリア用キャリア(例えば、高周波数帯で帯域幅が広いキャリア)を用いて通信される。また、ワイドエリア基地局装置20及び各ローカルエリア基地局装置30は、有線接続又は無線接続されている。
ワイドエリア基地局装置20及び各ローカルエリア基地局装置30は、それぞれ図示しない上位局装置に接続され、上位局装置を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20を介して上位局装置に接続されてもよい。
なお、各移動端末装置10は、LTE端末及びLTE−A端末を含むが、以下においては、特段の断りがない限り移動端末装置として説明を進める。また、説明の便宜上、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30と無線通信するのは移動端末装置であるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。また、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30は、それぞれ、ワイドエリア用及びローカルエリア用の送信ポイントと呼ばれてもよい。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置10で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、LTE−Aシステムでは、ePDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。
上りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
図15を参照して、移動端末装置10の全体構成について説明する。移動端末装置10は、送信系の処理部として、フォーマット選択部101、上り信号生成部102、上り信号多重部103、ベースバンド送信信号処理部104、105、送信RF回路106、107を備えている。
フォーマット選択部101は、ワイドエリア用の送信フォーマットとローカルエリア用の送信フォーマットを選択する。上り信号生成部102は、上りデータ信号及び参照信号を生成する。上り信号生成部102は、ワイドエリア用の送信フォーマットの場合、ワイドエリア基地局装置20に対する上りデータ信号及び参照信号を生成する。また、上り信号生成部102は、ローカルエリア用の送信フォーマットの場合、ローカルエリア基地局装置30に対する上りデータ信号及び参照信号を生成する。
上り信号多重部103は、上り送信データと、参照信号とを多重する。ワイドエリア基地局装置20に対する上り信号は、ベースバンド送信信号処理部104に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、上り信号は、送信RF回路106を通り、送信系と受信系との間に設けたデュプレクサ108を介してワイドエリア用の送受信アンテナ110から送信される。ワイドエリア用の送受信系では、デュプレクサ108によって同時送受信が可能となっている。
ローカルエリア基地局装置30に対する上り信号は、ベースバンド送信信号処理部105に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、上り信号は、送信RF回路107を通り、送信系と受信系との間に設けた切替スイッチ109を介してワイドエリア用の送受信アンテナ111から送信される。ローカルエリア用の送受信系では、切替スイッチ109によって送受信が切替られている。
なお、本実施の形態では、ワイドエリア用の送受信系にデュプレクサ108を設け、ローカルエリア用の送受信系に切替スイッチ109を設ける構成としたが、この構成に限定されない。ワイドエリア用の送受信系に切替スイッチ109を設けてもよいし、ローカルエリア用の送受信系にデュプレクサ108を設けてもよい。また、ワイドエリア用及びローカルエリア用の上り信号は、送受信アンテナ110、111から同時に送信されてもよいし、送受信アンテナ110、111を切り替えて別々に送信されてもよい。
また、移動端末装置10は、受信系の処理部として、受信RF回路112、113、ベースバンド受信信号処理部114、115、ローカルエリア制御情報受信部116、ディスカバリー信号受信部117、ディスカバリー信号測定部118、下り信号復調・復号部119、120を備えている。
ワイドエリア基地局装置20からの下り信号は、ワイドエリア用の送受信アンテナ110で受信される。この下り信号は、デュプレクサ108及び受信RF回路112を介してベースバンド受信信号処理部114に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。
ローカルエリア制御情報受信部116は、ワイドエリア用の下り信号からローカルエリア制御情報を受信する。ここでは、ローカルエリア制御情報として、ディスカバリー信号(DS)受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報が受信される。ローカルエリア制御情報受信部116は、ディスカバリー信号(DS)受信用の制御情報をディスカバリー信号受信部117に出力し、DACH送信用の制御情報をディスカバリー信号測定部118に出力し、ePDCCH受信用の制御情報を下り信号復調・復号部120に出力する。なお、ローカルエリア制御情報は、例えば、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングや報知情報によって、ワイドエリア基地局装置20から受信される。
ワイドエリア用の下りデータ信号は、下り信号復調・復号部119に入力され、下り信号復調・復号部119において復号(デスクランブル)及び復調される。ローカルエリア基地局装置30からの下り信号は、ローカルエリア用の送受信アンテナ111で受信される。この下り信号は、切替スイッチ109及び受信RF回路113介してベースバンド受信信号処理部115に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。
ディスカバリー信号受信部117は、ローカルエリア制御情報受信部116から入力されたディスカバリー信号(DS)受信用の制御情報に基づいて、ローカルエリア基地局装置30からのディスカバリー信号を受信する。ディスカバリー信号受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からディスカバリー信号を受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、ディスカバリー信号の送信時間間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
ディスカバリー信号測定部118は、ディスカバリー信号受信部117で受信されたディスカバリー信号の受信電力を測定する。ディスカバリー信号の受信電力としては、例えば、SINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)が測定されてもよい。
また、ディスカバリー信号測定部118は、ディスカバリー信号の受信電力に基づいてディスカバリー信号のパスロスを算出してもよい。例えば、ディスカバリー信号測定部118は、ディスカバリー信号の送信電力値と測定された受信電力値との差に基づいて、ディスカバリー信号のパスロスを算出する。この場合、ディスカバリー信号の送信電力は、ローカルエリア制御情報としてワイドエリア基地局装置20から受信されてもよいし、ローカルエリア基地局装置30から受信されてもよい。算出されたパスロスは、上り送信電力制御部122に出力される。
ディスカバリー信号測定部118で測定されたディスカバリー信号の受信電力又は算出されたパスロスは、DACHを用いて、ローカルエリア基地局装置30に送信される。DACHによる送信は、後述する上り送信電力制御部122で決定された初期送信電力で行われる。
DACHによる送信は、ローカルエリア制御情報受信部116から入力されたDACH送信用の制御情報に基づいて実施される。DACH送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30にDACHで送信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、DACHの送信時間間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。DACHの送信時間間隔は、DACHがディスカバリー信号よりも高頻度に送信されるようにディスカバリー信号の送信時間間隔よりも短く設定されてもよいし、同じに設定されてもよい。DACHでは、ディスカバリー信号の測定結果と共にユーザIDが送信されてもよい。
なお、ディスカバリー信号の受信電力又はパスロスは、DACH以外の上りチャネル(例えば、PUCCHやPUSCH)や上位レイヤシグナリングを用いて、ローカルエリア基地局装置30に送信されてもよい。また、ディスカバリー信号の受信電力とパスロスとの双方が、ローカルエリア基地局装置30に送信されてもよい。また、ディスカバリー信号の受信電力又はパスロスは、上位レイヤシグナリングを用いて、ワイドエリア基地局装置20に送信されてもよい。また、ディスカバリー信号の受信電力及びパスロスの双方が、ワイドエリア基地局装置20又はローカルエリア基地局装置30に送信されてもよい。
チャネル推定部121は、ローカルエリア基地局装置30からの測定用参照信号(CSI−RS)の受信電力に基づいてチャネル推定を行う。なお、CSI−RSの受信電力としては、例えば、SINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)などが用いられる。
また、チャネル推定部121は、推定されたチャネル状態を示すチャネル状態情報(CSI)を生成する。このCSIには、CQI(Channel quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)などが含まれる。CSIは、PUCCH又はPUSCHを用いて、ローカルエリア基地局装置30に送信される。なお、CSIは、ワイドエリア基地局装置20に送信されてもよい。また、CQIは、CSI−RSのSINRに基づいて算出される。このCQIは、ワイドエリア基地局装置20又はローカルエリア基地局装置30から予め通知されたCSI−RSとePDCCH又はPDSCHとの送信電力差に基づいて補正されてもよい。或いは、CQIは、例えば、−20dBまでのCSI−RSのSINRを測定できるように、拡張された測定範囲(拡張されたフィードバックビット数)を有していてもよい。
ローカルエリア用の下りデータ信号は、下り信号復調・復号部120に入力され、下り信号復調・復号部120において復号(デスクランブル)及び復調される。また、下り信号復調・復号部120は、ローカルエリア制御情報受信部116から入力されたePDCCH受信用の制御情報に基づいて、ローカルエリア用の拡張下り制御信号(ePDCCH)を復号(デスクランブル)及び復調する。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、ePDCCHの送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
また、ワイドエリア用及びローカルエリア用の下り信号は、送受信アンテナ110、111から同時に受信されてもよいし、送受信アンテナ110、111を切り替えて別々に受信されてもよい。
上り送信電力制御部122は、ローカルエリア基地局装置30に対する上り信号の送信電力を制御する。具体的には、上り送信電力制御部122は、ディスカバリー信号のパスロスに基づいて、DACHの初期送信電力を決定する。例えば、上り送信電力制御部122は、移動端末装置10の最大送信電力以下で上記パスロスに所定のオフセットを与えて、DACHの初期送信電力を決定する。また、上り送信電力制御部122は、チャネル推定部121のチャネル推定結果に基づいて、上りデータ信号(PUSCH)の送信電力を決定してもよい。なお、上り送信電力制御部122は、ローカルエリア基地局30からの指示情報(例えば、TPCコマンド)に基づいて、上りデータ信号(PUSCH)の送信電力を制御してもよい。
図16を参照して、ワイドエリア基地局装置20の全体構成について説明する。ワイドエリア基地局装置20は、送信系の処理部として、ローカルエリア制御情報生成部201、下り信号生成部202、下り信号多重部203、ベースバンド送信信号処理部204、送信RF回路205を備えている。
ローカルエリア制御情報生成部201は、ローカルエリア制御情報として、ディスカバリー信号(DS)送信用の制御情報、ディスカバリー信号(DS)受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を生成する。ローカルエリア制御情報生成部201は、ディスカバリー信号送信用の制御情報を伝送路インターフェース211に出力し、ディスカバリー信号受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を下り信号多重部203に出力する。ディスカバリー信号送信用の制御情報は、伝送路インターフェース211を介してローカルエリア基地局装置30に送信される。一方、ディスカバリー信号受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報は、下り信号多重部203を介して移動端末装置10に送信される。
下り信号生成部202は、下りデータ信号(PDSCH)及び参照信号を生成する。下り信号多重部203は、ローカルエリア制御情報と、下りデータ信号(PDSCH)と、参照信号とを多重する。移動端末装置10に対する下り信号は、ベースバンド送信信号処理部204に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、下り信号は、送信RF回路205を通り、送信系と受信系との間に設けたデュプレクサ206を介して送受信アンテナ207から送信される。
また、ワイドエリア基地局装置20は、受信系の処理部として、受信RF回路208、ベースバンド受信信号処理部209、上り信号復調・復号部210、測定情報受信部212、ローカルエリア下り送信電力決定部213を備えている。
移動端末装置10からの上り信号は、送受信アンテナ207で受信され、デュプレクサ206及び受信RF回路208を介してベースバンド受信信号処理部209に入力される。ベースバンド受信信号処理部209では上り信号にデジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。上りデータ信号は、上り信号復調・復号部210に入力され、上り信号復調・復号部210において復号(デスクランブル)及び復調される。
測定情報受信部212は、移動端末装置10から上位レイヤシグナリングにより送信された測定情報を受信する。具体的には、測定情報受信部212は、移動端末装置10におけるディスカバリー信号の受信電力又はパスロスを受信する。測定情報受信部212は、ローカルエリア基地局装置30からのディスカバリー信号の送信電力値と受信電力値との差に基づいて、パスロスを算出してもよい。測定情報受信部212は、ディスカバリー信号のパスロスをローカルエリア下り送信電力決定部213に出力する。
また、測定情報受信部212は、移動端末装置10において測定用参照信号(CSI−RS)の受信電力に基づいて推定されたチャネル状態情報(CSI)を取得する。測定情報受信部212は、取得したCSIをローカルエリア下り送信電力決定部213に出力する。
ローカルエリア下り送信電力決定部213は、ローカルエリア基地局装置30から移動端末装置10に対する下り信号の送信電力を決定する。具体的には、ローカルエリア下り送信電力決定部213は、ディスカバリー信号のパスロスに基づいて、下り信号の初期送信電力を決定する。また、ローカルエリア下り送信電力決定部213は、CSIとディスカバリー信号のパスロスに基づいて、下り信号の送信電力を決定する。ローカルエリア下り送信電力決定部213は、決定された送信電力を示す送信電力情報を、伝送路インターフェース211を介してローカルエリア基地局装置30に送信する。
なお、送信電力の決定対象となる下り信号としては、ローカルエリア基地局装置30からの下りデータ信号(PDSCH)と、拡張下り制御信号(ePDCCH)などが挙げられる。また、ローカルエリア下り送信電力決定部213は、ローカルエリア基地局装置30において下り信号の送信電力が決定される場合、省略されてもよい。
図17を参照して、ローカルエリア基地局装置30の全体構成について説明する。なお、ローカルエリア基地局装置30は、移動端末装置10の直近に配置されているものとする。ローカルエリア基地局装置30は、送信系の処理部として、ローカルエリア制御情報受信部301、ディスカバリー信号生成部302、下り信号生成部303、参照信号生成部304、下り信号多重部305、ベースバンド送信信号処理部306、送信RF回路307を備えている。
ローカルエリア制御情報受信部301は、伝送路インターフェース314を介して、ワイドエリア基地局装置20からローカルエリア制御情報を受信する。ここでは、ローカルエリア制御情報として、ディスカバリー信号送信用の制御情報が受信される。ローカルエリア制御情報受信部301は、ディスカバリー信号送信用の制御情報をディスカバリー信号生成部302に出力する。
ディスカバリー信号生成部302は、ローカルエリア制御情報受信部301から入力されたディスカバリー信号(DS)送信用の制御情報に基づいて、移動端末装置10におけるローカルエリア基地局装置30の検出に用いられるディスカバリー信号(検出信号)を生成する。ディスカバリー信号送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からディスカバリー信号を送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、ディスカバリー信号の送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。なお、ディスカバリー信号の送信電力は、後述する下り信号よりも広いカバレッジを有するように、一定値に設定されている。
下り信号生成部303は、移動端末装置10に対する下り信号を生成する。具体的には、下り信号生成部303は、下りデータ信号(PDSCH)及び下りデータ信号(PDSCH)に周波数分割多重される拡張下り制御信号(ePDCCH)を生成する。下りデータ信号及び下り制御信号の送信電力は、後述する下り送信電力制御部315により適応的に制御される。
参照信号生成部304は、測定用参照信号(CSI−RS)や復調用参照信号(DM−RS)などの参照信号を生成し、下り信号多重部305に出力する。測定用参照信号(CSI−RS)の送信電力は、移動端末装置10におけるチャネル状態の推定に用いられることから、一定値に設定される。
また、測定用参照信号(CSI−RS)は、下り信号多重部305で下り信号と多重され、ベースバンド送信信号処理部306で所定の配置パターンを用いて所定の無線リソース領域に配置される。例えば、CSI−RSは、図12Aに示すように、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、ワイドエリアで送信されるCSI−RSよりも短いサブキャリア間隔で配置されてもよい。また、CSI−RSは、図12Bに示すように、サブフレーム内の特定のOFDMシンボルにおいて、リソースブロック幅を構成する全サブキャリアに配置されてもよい。また、CSI−RSは、図12Cに示すように、サブフレーム内の特定のOFDMにおいてリソースブロック幅を構成する一部のサブキャリアに配置され、残りのサブキャリアにミューティングリソースが配置されてもよい。また、ワイドエリア用キャリアとローカルエリア用キャリアとがキャリアアグリゲーションにより異なるコンポーネントキャリアに属する場合、ローカルエリアのCSI−RSは、図13に示すように、ワイドエリアで送信されるCSI−RSが配置されるサブフレームとは異なるサブフレームに配置されてもよい。
下り信号多重部305は、下り信号生成部303で生成された下り信号と参照信号生成部304で生成された参照信号とを多重する。参照信号と多重された下り信号は、ベースバンド送信信号処理部306に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、下り信号は、送信RF回路307を通り、送信系と受信系との間に設けた切替スイッチ308を介して送受信アンテナ309から送信される。なお、切替スイッチ308の代わりにデュプレクサを設けてもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、受信系の処理部として、受信RF回路310、ベースバンド受信信号処理部311、上り信号復調・復号部312、測定情報受信部313を備えている。
移動端末装置10からの上り信号は、ローカルエリア用の送受信アンテナ309で受信され、切替スイッチ308及び受信RF回路310を介してベースバンド受信信号処理部311に入力される。ベースバンド受信信号処理部311では上り信号にデジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。上りデータ信号は、上り信号復調・復号部312に入力され、上り信号復調・復号部312において復号(デスクランブル)及び復調される。
測定情報受信部313は、ディスカバリー信号の測定情報を受信する。具体的には、測定情報受信部313は、移動端末装置10から送信されたディスカバリー信号の受信電力又はパスロスを受信する。測定情報受信部313は、ディスカバリー信号の送信電力値と受信電力値との差に基づいて、パスロスを算出してもよい。測定情報受信部313は、ディスカバリー信号のパスロスを下り送信電力制御部315に出力する。
また、測定情報受信部313は、移動端末装置10において測定用参照信号(CSI−RS)の受信電力に基づいて推定されたチャネル状態情報(CSI)を受信する。測定情報受信部313は、取得したCSIを下り送信電力制御部315に出力する。
下り送信電力制御部315は、移動端末装置10に対する下り信号の送信電力を制御する。具体的には、測定情報受信部313から入力されたディスカバリー信号のパスロスに基づいて、下り信号の初期送信電力を決定する。また、下り送信電力制御部315は、CSIとディスカバリー信号のパスロスに基づいて、下り信号の送信電力を決定する。下り送信電力制御部315は、決定された送信電力で下り信号が送信されるように、下り信号生成部303を制御する。なお、送信電力の決定対象となる下り信号としては、下りデータ信号(PDSCH)や拡張下り制御信号(ePDCCH)などが挙げられる。なお、下り送信電力制御部315は、クローズドループ制御により、移動端末装置10からの指示情報(例えば、TPCコマンド)に基づいて、下り信号の送信電力を制御してもよい。
また、下り送信電力制御部315は、伝送路インターフェース314を介してワイドエリア基地局装置20から受信した送信電力情報に基づいて、移動端末装置10に対する下り信号の初期送信電力及び送信電力を決定してもよい。
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、ディスカバリー信号のパスロスに基づいて、ローカルエリアの下りリンクにおいても、下り信号の送信電力が適応的に制御される。このように、ローカルエリアの上りリンクだけでなく、下りリンクでも、ローカルエリア用キャリアの送信電力を適応的に制御することで、ローカルエリアの上下リンクのカバレッジを対称に近くすることができる。このため、ローカルエリアに特化した高効率なローカルエリア無線アクセスを提供できる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明におけるキャリア数、キャリアの帯域幅、シグナリング方法、追加キャリアタイプの種類、処理部の数、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。また、図4は例示にすぎず、ワイドエリアにおいても高い周波数帯のキャリアが用いられてもよい。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。