図1は、LTE−Aで定められた階層型帯域幅構成を示す図である。図1に示す例は、複数の基本周波数ブロック(以下、コンポーネントキャリアとする)で構成される第1システム帯域を持つLTE−Aシステムと、1コンポーネントキャリアで構成される第2システム帯域を持つLTEシステムとが併存する場合の階層型帯域幅構成である。LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信し、LTEシステムでは、20MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする少なくとも1つのコンポーネントキャリアとなっている。このように、複数のコンポーネントキャリアを集めて広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
例えば、図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を1つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図1においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzまでのシステム帯域に対応可能である。UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)までのシステム帯域に対応可能である。UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)までのシステム帯域に対応可能である。
ところで将来のシステムでは、図2に示すように、マクロセル内に無数のスモールセルSを配置する構成が想定される。この場合、ネットワークコストに対するキャパシティを考慮して、スモールセルSを設計することが求められている。ネットワークコストとしては、例えば、ネットワークノードやバックホールリンク等の設置コスト、セルプランニングや保守対応等のオペレーションコスト、ネットワーク側の消費電力等が挙げられる。またスモールセルSには、キャパシティ以外の要求として、移動端末装置側の省消費電力化やランダムセルプランニングのサポートが求められている。
マクロセルM内にスモールセルSを配置する場合、図3A、Bに示すように2種類のHeterogeneous Network(以下、HetNetと称する)構成が考えられる。図3Aに示す第1のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが同一のキャリアを用いるようにスモールセルが配置される。図3Bに示す第2のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが異なるキャリアを用いるようにスモールセルSが配置される。第2のHetNet構成では、スモールセルSが専用のキャリアを用いるので、マクロセルMでカバレッジを確保しつつ、スモールセルSでキャパシティを確保できる。今後(Rel.12以降)は、この第2のHetNet構成が重要になると想定される。
図4に示すように、第2のHetNet構成ではワイドエリア(マクロセル)とローカルエリア(スモールセル)との間で要求の違いや構成の相違点が考えられる。ワイドエリアは帯域幅が限定されるため、周波数利用効率が非常に重要である。これに対して、ローカルエリアは帯域幅を広く取り易いので、広い帯域幅を確保できればワイドエリアほど周波数利用効率の重要性は高くない。ワイドエリアは車等の高いモビリティにも対応する必要があるが、ローカルエリアは低いモビリティに対応すればよい。ワイドエリアはカバレッジを広く確保する必要がある。一方で、ローカルエリアはカバレッジを広く確保することが好ましいが、カバレッジの不足分はワイドエリアでカバー可能である。
また、ワイドエリアは上下リンクの電力差が大きく、上下リンクが非対称になっているが、ローカルエリアは上下リンクの電力差が小さく、上下リンクが対称に近付けられている。さらに、ワイドエリアは、セル当たりの接続ユーザ数が多く、セルプランニングもされているため、トラヒックの変動が小さい。これに対し、ローカルエリアでは、セル当たりの接続ユーザ数が少なく、セルプランニングがされていない可能性もあるので、トラヒックの変動が大きい。このように、ローカルエリアは、ワイドエリアと最適な要求条件が異なっているので、ローカルエリアに特化した無線通信方式を設計する必要がある。
ローカルエリア用の無線通信方式は、省消費電力化やランダムセルプランニングに起因した干渉を考慮すると、トラヒックが無い場合には無送信にする構成が望ましい。このため、図5に示すように、ローカルエリア用の無線通信方式は、限りなくUE-specificな設計が想定される。したがって、ローカルエリア用の無線通信方式は、LTEにおけるPSS/SSS(Primary Synchronization Signal/Secondary Synchronization Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等を使用せず、ePDCCH(enhanced Physical Downlink Control Channel)、DM−RS(Demodulation − Reference Signal)をベースとして設計される。
ここで、ePDCCHは、PDSCH領域(データ信号領域)内の所定周波数帯域をPDCCH領域(制御信号領域)として使用するものである。PDSCH領域に割り当てられたePDCCHは、DM−RSを用いて復調される。なお、ePDCCHは、FDM型PDCCHと呼ばれてもよいし、UE−PDCCHと呼ばれてもよい。また、ローカルエリアの無線通信方式では、既存のキャリアとは異なる新たなキャリアが用いられるが、この新たなキャリアは追加キャリア(Additional carrier)と呼ばれてもよいし、拡張キャリア(extension carrier)と呼ばれてもよい。なお、図5には、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、ePDCCH、DM−RS等はUE-specific L1/L2 signalsとして記載されている。
ローカルエリア用の無線通信方式において全てがUE-specificに設計されると、ローカルエリアに対する移動端末装置の初期アクセスの機会が得られない。このため、ローカルエリア用の無線通信方式においても、Cell-specificな同期信号を設ける必要がある。この同期信号は、移動端末装置のバッテリセービングが可能となるように、数秒オーダーの比較的長周期に送信される。移動端末装置は、ワイドエリアからの制御情報によって、各ローカルエリアからの同期信号の受信タイミングを認識し、この受信タイミングで各ローカルエリアの受信信号電力を測定する。移動端末装置には、同期信号の受信信号電力に応じて適切なローカルエリア(送信ポイント)が割り当てられる。
ところで、上記したようなHetNet構成では、ワイドエリアとローカルエリアとを連携させる必要があり、移動端末装置がローカルエリアに上りリンクで接続を確立するまでの手順が複雑になるという問題がある。そこで、本発明者らは、UE-specificに設計されたローカルエリアにおいて、上りリンクでの初期アクセスを簡略化するために、本発明に至った。すなわち、本発明の骨子は、同期信号の測定結果のレポート用に上りリンクチャネルを設けることによって初期アクセスを簡略化し、移動端末装置のトラヒック発生後に速やかに上りリンクの接続を確立することである。
以下、図6から図11を参照して、ローカルエリア用の上りリンクチャネルと、この上りリンクチャネルを用いた初期接続方式について説明する。なお、以下の説明では、ローカルエリアの無線通信方式において、ローカルエリア用の同期信号をDiscovery Signalと称する。また、ローカルエリアの無線通信方式において、Discovery Signalの測定結果レポート用に規定された上りリンクチャネルをDACH(Direct Access Channel)と称する。
なお、Discovery Signalは、例えば、PDCH(Physical Discovery Channel)、BS(Beacon Signal)、DPS(Discovery Pilot Signal)と呼ばれてもよい。また、DACHは、特に名称は限定されない。無線通信方式は、無線インターフェースと呼ばれてもよいし、無線インターフェース方式と呼ばれてもよい。ワイドエリアは、マクロセルやセクタ等であってもよい。ローカルエリアは、スモールセル、ピコセル、ナノセル、フェムトセル、マイクロセル等であってもよく、屋内だけでなく屋外に設けられてもよい。
図6を参照して、DACHの第1の配置構成について説明する。ローカルエリア用の無線通信方式では、移動端末装置の測定回数を減らしてバッテリセービングできるように、Discovery Signalが長周期で送信されている。DACHの第1の配置構成では、下りリンクのDiscovery Signalが長周期で送信されるのに対し、上りリンクのDACHに比較的高頻度(短周期)で無線リソースが割り当てられている。この高頻度なDACHによって、移動端末装置におけるトラヒック発生時に速やかに上りリンクで接続が確立される。以下、DACHの第1の配置構成を利用した初期接続方式について詳細に説明する。
図7を参照して、DACHの第1の配置構成を利用した第1の初期接続方式の一例について説明する。なお、以下の説明では、ワイドエリア内に複数のローカルエリアを配置した構成(図12参照)について例示している。図7に示すように、ワイドエリア基地局装置20と各ローカルエリア基地局装置30とがそれぞれバックホールリンク等(例えば、X2インターフェース)で接続されており、移動端末装置10がワイドエリア及び各ローカルエリアからの無線信号を受信可能となっている。
ネットワーク側の事前準備として、各ローカルエリア基地局装置30は、バックホールリンクを介してワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal送信用の制御情報を受信し、Discovery Signalを周期的に送信する(ステップS01)。Discovery Signal送信用の制御情報には、移動端末装置10にDiscovery Signalを送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。なお、Discovery Signalの信号系列は、ローカルエリア毎に設定されており、この信号系列によってローカルエリアが識別される。
次に、移動端末装置10は、アイドル状態でワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を受信する(ステップS02)。Discovery Signal受信用の制御情報には、各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。DACH送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30にDACHで送信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。
移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20から受信したDiscovery Signal受信用の制御情報によって、Discovery Signalの受信準備が整えられる。次に、移動端末装置10は、アイドル状態で各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信して、各ローカルエリア基地局装置30からの受信信号電力を周期的に測定する(ステップS03)。そして、移動端末装置10のトラヒックの発生によって、移動端末装置10がアイドル状態からアクティブ状態に移行する。
アクティブ状態への移行時には、移動端末装置10から直近のローカルエリア基地局装置30に対して、複数のローカルエリア基地局装置30のうち上位数局分のDiscovery Signalの測定結果とユーザIDがDACHで送信される(ステップS04)。この場合、ステップS02においてワイドエリア基地局装置20から受信したDACH送信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にDACHを用いた送信準備が整えられている。なお、移動端末装置10は、Discovery Signalの受信信号電力の大きさ(例えば、最上位)に基づいて、直近のローカルエリア基地局装置30を決定してもよい。また、ユーザIDは、移動端末装置10がランダムに選択したID(例えば、RACH−ID)でもよい。
次に、直近のローカルエリア基地局装置30によって、移動端末装置10から受信した上位数局分のDiscovery Signalの測定結果とユーザIDがワイドエリア基地局装置20に転送される(ステップS05)。ワイドエリア基地局装置20は、上位数局分のDiscovery Signalの測定結果に基づいて移動端末装置10に適切なローカルエリア基地局装置を割り当て、ローカルエリア基地局装置30に下りリンクの初期送信電力を設定する(ステップS06)。このとき、ワイドエリア基地局装置20は、ローカルエリア間のロードバランスを調整してローカルエリア基地局装置30を移動端末装置10に割り当てている。よって、移動端末装置10には、必ずしも最上位の受信信号電力のローカルエリア基地局装置30が割り当てられるわけではない。また、ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10に複数のローカルエリア基地局装置30を割り当ててCoMP(Coordinated Multiple Point)送信する構成としてもよい。
そして、割り当てられたローカルエリア基地局装置30から制御チャネル(ePDCCH)で下り制御信号、データチャネル(PDSCH)でユーザデータが、それぞれ移動端末装置10に送信される(ステップS07)。この場合、ステップS02においてワイドエリア基地局装置20から受信したePDCCH受信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にePDCCHを用いた受信準備が整えられている。
この第1の初期接続方式では、ローカルエリア用の無線通信方式に規定されたDACHで、Discovery Signalの測定結果がローカルエリア基地局装置30に通知される。このため、移動端末装置10からワイドエリア基地局装置20に対して上りリンクの信号を送信することなく、移動端末装置10とローカルエリア基地局装置30との間で上りリンクの接続を確立できる。また、移動端末装置10がアイドル状態でDiscovery Signalを測定しておくことで、アクティブ状態への移行後の上りリンクの接続が早められている。さらに、移動端末装置10のアクティブ状態への移行後に、Discovery Signalの測定結果がレポートされるので、レポート頻度を抑えて移動端末装置10をバッテリセービングできる。
図8を参照して、DACHの第1の配置構成を利用した第2の初期接続方式の一例について説明する。第2の初期接続方式は、第1の初期接続方式のステップS05、S06のワイドエリア基地局装置20における割当処理を省略したものである。第2の初期接続方式は、移動端末装置10で発生するトラヒック量が少なく、ワイドエリア基地局装置20でローカルエリア間のロードバランスを調整する必要が無い場合等に有効である。
なお、以下の説明では、ワイドエリア内に複数のローカルエリアを配置した構成(図12参照)について例示している。図8に示すように、ワイドエリア基地局装置20と各ローカルエリア基地局装置30とがそれぞれバックホールリンク等(例えば、X2インターフェース)で接続されており、移動端末装置10がワイドエリア及び各ローカルエリアからの無線信号を受信可能となっている。
ネットワーク側の事前準備として、各ローカルエリア基地局装置30は、バックホールリンクを介してワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal送信用の制御情報を受信し、Discovery Signalを周期的に送信する(ステップS11)。Discovery Signal送信用の制御情報には、移動端末装置10にDiscovery Signalを送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。なお、Discovery Signalの信号系列は、ローカルエリア毎に設定されており、この信号系列によってローカルエリアが識別される。
次に、移動端末装置10は、アイドル状態でワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を受信する(ステップS12)。Discovery Signal受信用の制御情報には、各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。DACH送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30にDACHで送信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。
移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20から受信したDiscovery Signal受信用の制御情報によって、Discovery Signalの受信準備が整えられる。次に、移動端末装置10は、アイドル状態で各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信して、各ローカルエリア基地局装置30からの受信信号電力を周期的に測定する(ステップS13)。そして、移動端末装置10のトラヒックの発生によって、移動端末装置10がアイドル状態からアクティブ状態に移行する。
アクティブ状態への移行時には、移動端末装置10から直近のローカルエリア基地局装置30に対して、上位数局分のDiscovery Signalの測定結果とユーザIDがDACHで送信される(ステップS14)。この場合、ステップS12においてワイドエリア基地局装置20から受信したDACH送信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にDACHを用いた送信準備が整えられている。なお、ユーザIDは、移動端末装置10がランダムに選択したID(例えば、RACH−ID)でもよい。
そして、直近のローカルエリア基地局装置30から制御チャネル(ePDCCH)で下り制御信号、データチャネル(PDSCH)でユーザデータが、それぞれ移動端末装置10に送信される(ステップS15)。この場合、ステップS12においてワイドエリア基地局装置20から受信したePDCCH受信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にePDCCHを用いた受信準備が整えられている。
この第2の初期接続方式では、第1の初期接続方式と同様に、移動端末装置10からワイドエリア基地局装置20に対して上りリンクの信号を送信することなく、移動端末装置10とローカルエリア基地局装置30との間で上りリンクの接続を確立できる。また、Discovery Signalの測定結果がワイドエリア基地局装置20ではなく、ローカルエリア基地局装置30に送信されるので、多数のローカルエリアが存在する場合にワイドエリア基地局装置20に対する負荷が集中することがない。また、アクティブ状態への移行後の上りリンクの接続が早められると共に、レポート頻度を抑えて移動端末装置10をバッテリセービングされる。
また、第2の初期接続方式と第1の初期接続方式とが切替可能に構成されてもよい。第1、第2の初期接続方式は、直近(最上位)のローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalの測定結果をワイドエリア基地局装置20に転送するか否かによって切り替えられる。この初期接続方式の切替は、ワイドエリア基地局装置20からの制御情報又は移動端末装置10からの制御情報によって決定される。例えば、移動端末装置10から直近のローカルエリア基地局装置30にDACHで送信される制御情報にデータサイズを含めるようにする。
そして、ローカルエリア基地局装置30は、移動端末装置10から通知されたデータサイズと閾値とを比較することで初期接続方式を切り替える。閾値よりもデータサイズが大きい場合には、直近のローカルエリア基地局装置30からワイドエリア基地局装置20にDiscovery Signalの測定結果が転送され、ワイドエリア基地局装置20でローカルエリア間のロードバランスを考慮して割当処理が実施される。一方、閾値よりもデータサイズが小さい場合には、ワイドエリア基地局装置20での割当処理が実施されることなく、移動端末装置10に直近のローカルエリア基地局装置30が割り当てられる。
図9を参照して、DACHの第2の配置構成について説明する。DACHの第2の配置構成では、下りリンクのDiscovery Signalが長周期で送信され、上りリンクのDACHに同頻度(長周期)で無線リソースが割り当てられている。この低頻度なDACHによって、ローカルエリア基地局装置30におけるDACHの監視を休ませることができる。しかしながら、DACHの送信頻度が少ないので、上記した第1、第2の初期接続方式では上りリンクで接続が確立されるまでに大きな遅延が発生する。以下、DACHの第2の配置構成に特化した第3の初期接続方式について詳細に説明する。
図10を参照して、DACHの第2の配置構成を利用した第3の初期接続方式の一例について説明する。なお、以下の説明では、ワイドエリア内に複数のローカルエリアを配置した構成(図12参照)について例示している。図10に示すように、ワイドエリア基地局装置20と各ローカルエリア基地局装置30とがそれぞれバックホールリンク等(例えば、X2インターフェース)で接続されており、移動端末装置10がワイドエリア及び各ローカルエリアからの無線信号を受信可能となっている。
ネットワーク側の事前準備として、各ローカルエリア基地局装置30は、バックホールリンクを介してワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal送信用の制御情報を受信し、Discovery Signalを周期的に送信する(ステップS21)。Discovery Signal送信用の制御情報には、移動端末装置10にDiscovery Signalを送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。なお、Discovery Signalの信号系列は、ローカルエリア毎に設定されており、この信号系列によってローカルエリアが識別される。
次に、移動端末装置10は、アイドル状態でワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を受信する(ステップS22)。Discovery Signal受信用の制御情報には、各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。DACH送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30にDACHで送信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。
このように移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20から受信したDiscovery Signal受信用の制御情報によって、Discovery Signalの受信準備が整えられる。次に、移動端末装置10は、アイドル状態で各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信して、各ローカルエリア基地局装置30からの受信信号電力を周期的に測定する(ステップS23)。
次に、アイドル状態の移動端末装置10から直近のローカルエリア基地局装置30に対して、複数のローカルエリア基地局装置30のうち上位数局分のDiscovery Signalの測定結果とユーザIDがDACHで送信される(ステップS24)。この場合、ステップS22においてワイドエリア基地局装置20から受信したDACH送信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にDACHを用いた送信準備が整えられている。
ただし、移動端末装置10がDiscovery Signalを測定する度に、DACHで測定結果を送信すると、移動端末装置10のバッテリの消費量が大きくなる。そこで、移動端末装置10は、上位数局(例えば、最上位)に変更があった場合にだけ、DACHで測定結果を送信する構成としてもよい。なお、移動端末装置10は、Discovery Signalの受信信号電力の大きさ(例えば、最上位)に基づいて、直近のローカルエリア基地局装置30を決定してもよい。また、ユーザIDは、移動端末装置10がランダムに選択したID(例えば、RACH−ID)でもよい。
次に、直近のローカルエリア基地局装置30によって、アイドル状態の移動端末装置10から受信した上位数局分のDiscovery Signalの測定結果とユーザIDがワイドエリア基地局装置20に転送される(ステップS25)。そして、移動端末装置10のトラヒックの発生によって、移動端末装置10がアイドル状態からアクティブ状態に移行する。
アクティブ状態への移行時には、移動端末装置10がワイドエリア基地局装置20に対してランダムアクセスする(ステップS26)。ワイドエリア基地局装置20は、上位数局分のDiscovery Signalの測定結果に基づいて移動端末装置10に適切なローカルエリア基地局装置を割り当て、ローカルエリア基地局装置30及び移動端末装置10に割当を指示する(ステップS27)。この際、RACH系列とユーザIDを関連付けておくことで、移動端末装置10への割当指示にRACHレスポンスを用いることができる。また、ローカルエリア基地局装置30への割当指示により、ローカルエリア基地局装置30に下りリンクの初期送信電力を設定する。
また、ワイドエリア基地局装置20は、ローカルエリア間のロードバランスを調整してローカルエリア基地局装置30を移動端末装置10に割り当てている。よって、移動端末装置10には、必ずしも最上位の受信信号電力のローカルエリア基地局装置30が割り当てられるわけではない。また、ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10に複数のローカルエリア基地局装置30を割り当ててCoMP(Coordinated Multiple Point)送信する構成としてもよい。
そして、割り当てられたローカルエリア基地局装置30から制御チャネル(ePDCCH)で下り制御信号、データチャネル(PDSCH)でユーザデータが、それぞれ移動端末装置10に送信される(ステップS28)。この場合、ステップS22においてワイドエリア基地局装置20から受信したePDCCH受信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にePDCCHを用いた受信準備が整えられている。
この第3の初期接続方式では、DACHに低頻度で無線リソースが割り当てられても、移動端末装置10におけるトラヒック発生時に速やかに上りリンクで接続が確立される。したがって、ローカルエリア基地局装置30におけるDACHの監視を休ませることができる。また、移動端末装置10がアイドル状態でDiscovery Signalを測定しておくことで、アクティブ状態への移行後の上りリンクの接続が早められている。さらに、アイドル状態でのDiscovery Signalの測定結果のレポート頻度を抑えることで、移動端末装置10をバッテリセービングできる。
図11を参照して、DACHを利用しない第4の初期接続方式の一例について説明する。なお、以下の説明では、ワイドエリア内に複数のローカルエリアを配置した構成(図12参照)について例示している。図11に示すように、ワイドエリア基地局装置20と各ローカルエリア基地局装置30とがそれぞれバックホールリンク等(例えば、X2インターフェース)で接続されており、移動端末装置10がワイドエリア及び各ローカルエリアからの無線信号を受信可能となっている。
ネットワーク側の事前準備として、各ローカルエリア基地局装置30は、バックホールリンクを介してワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal送信用の制御情報を受信し、Discovery Signalを周期的に送信する(ステップS31)。Discovery Signal送信用の制御情報には、移動端末装置10にDiscovery Signalを送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。なお、Discovery Signalの信号系列は、ローカルエリア毎に設定されており、この信号系列によってローカルエリアが識別される。
次に、移動端末装置10は、アイドル状態でワイドエリア基地局装置20からDiscovery Signal受信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を受信する(ステップS32)。Discovery Signal受信用の制御情報には、各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。
移動端末装置10は、ワイドエリア基地局装置20から受信したDiscovery Signal受信用の制御情報によって、Discovery Signalの受信準備が整えられる。次に、移動端末装置10は、アイドル状態で各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信して、各ローカルエリア基地局装置30からの受信信号電力を周期的に測定する(ステップS33)。そして、移動端末装置10のトラヒックの発生によって、移動端末装置10がアイドル状態からアクティブ状態に移行する。
アクティブ状態への移行時には、移動端末装置10がワイドエリア基地局装置20に対してランダムアクセスする(ステップS34)。次に、ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10にDiscovery Signalの測定結果のレポートを指示する(ステップS35)。次に、移動端末装置10からワイドエリア基地局装置20に対して、上位数局分のDiscovery Signalの測定結果が送信される(ステップS36)。
次に、ワイドエリア基地局装置20は、上位数局分のDiscovery Signalの測定結果に基づいて移動端末装置10に適切なローカルエリア基地局装置20を割り当て、ローカルエリア基地局装置30に下りリンクの初期送信電力を設定する(ステップS37)。このとき、ワイドエリア基地局装置20は、ローカルエリア間のロードバランスを調整してローカルエリア基地局装置30を移動端末装置10に割り当てている。よって、移動端末装置10には、必ずしも最上位の受信信号電力のローカルエリア基地局装置30が割り当てられるわけではない。また、ワイドエリア基地局装置20は、移動端末装置10に複数のローカルエリア基地局装置30を割り当ててCoMP(Coordinated Multiple Point)送信する構成としてもよい。
そして、割り当てられたローカルエリア基地局装置30から制御チャネル(ePDCCH)で下り制御信号、データチャネル(PDSCH)でユーザデータが、それぞれ移動端末装置10に送信される(ステップS38)。この場合、ステップS32においてワイドエリア基地局装置20から受信したePDCCH受信用の制御情報によって、移動端末装置10では事前にePDCCHを用いた受信準備が整えられている。
この第4の初期接続方式では、上りリンクでDACHを用いていないため、移動端末装置10からワイドエリア基地局装置20にDiscovery Signalの測定結果をレポートする必要がある。したがって、第1−第3の初期接続方式でDACHを用いる場合と比較して、トラヒック発生後の接続手順が多く、上りリンクの接続を迅速に確立することが難しい。
なお、上記した各初期接続方式では、Discovery Signalの受信信号電力を測定する構成としたが、この構成に限定されない。上記した各初期接続方式は、Discovery Signalの受信品質を測定して、移動端末装置10の接続先のローカルエリア基地局装置30を決定してもよい。
ここで、本実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図12は、本実施の形態に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、図12に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする複数の基本周波数ブロックを一体としたキャリアアグリゲーションに対応している。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
図12に示すように、無線通信システム1は、ワイドエリアC1をカバーするワイドエリア基地局装置20と、ワイドエリアC1内に設けた複数のローカルエリアC2をカバーする複数のローカルエリア基地局装置30とを備えている。また、ワイドエリアC1及び各ローカルエリアC2には、多数の移動端末装置10が配置されている。移動端末装置10は、ワイドエリア用及びローカルエリア用の無線通信方式に対応しており、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30と無線通信可能に構成されている。
移動端末装置10とワイドエリア基地局装置20との間は、ワイドエリア用周波数(例えば、低周波数帯)を用いて通信される。移動端末装置10とローカルエリア基地局装置30との間は、ローカルエリア用周波数(例えば、高周波数帯)を用いて通信される。また、ワイドエリア基地局装置20及び各ローカルエリア基地局装置30は、有線接続又は無線接続されている。
ワイドエリア基地局装置20及び各ローカルエリア基地局装置30は、それぞれ図示しない上位局装置に接続され、上位局装置を介してコアネットワーク50に接続される。なお、上位局装置には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、ローカルエリア基地局装置30は、ワイドエリア基地局装置20を介して上位局装置に接続されてもよい。
なお、各移動端末装置10は、LTE端末及びLTE−A端末を含むが、以下においては、特段の断りがない限り移動端末装置として説明を進める。また、説明の便宜上、ワイドエリア基地局装置20及びローカルエリア基地局装置30と無線通信するのは移動端末装置であるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。また、ローカルエリア基地局装置30及びワイドエリア基地局装置20は、ワイドエリア用及びローカルエリア用の送信ポイントと呼ばれてもよい。なお、ローカルエリア基地局装置30は、光張り出し基地局装置であってもよい。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置10で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
上りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置10で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
図13を参照して、移動端末装置10の全体構成について説明する。移動端末装置10は、送信系の処理部として、フォーマット選択部101、上り信号生成部102、上り信号多重部103、ベースバンド送信信号処理部104、105、送信RF回路106、107を備えている。
フォーマット選択部101は、ワイドエリア用の送信フォーマットとローカルエリア用の送信フォーマットを選択する。上り信号生成部102は、上りデータ信号及び参照信号を生成する。上り信号生成部102は、ワイドエリア用の送信フォーマットの場合、ワイドエリア基地局装置20に対する上りデータ信号及び参照信号を生成する。また、上り信号生成部102は、ローカルエリア用の送信フォーマットの場合、ローカルエリア基地局装置30に対する上りデータ信号及び参照信号を生成する。
上り信号多重部103は、上り送信データと、参照信号とを多重する。ワイドエリア基地局装置20に対する上り信号は、ベースバンド送信信号処理部104に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、上り信号は、送信RF回路106を通り、送信系と受信系との間に設けたデュプレクサ108を介してワイドエリア用の送受信アンテナ110から送信される。ワイドエリア用の送受信系では、デュプレクサ108によって同時送受信が可能となっている。
ローカルエリア基地局装置30に対する上り信号は、ベースバンド送信信号処理部105に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、上り信号は、送信RF回路107を通り、送信系と受信系との間に設けた切替スイッチ109を介してワイドエリア用の送受信アンテナ111から送信される。ローカルエリア用の送受信系では、切替スイッチ109によって送受信が切替られている。
なお、本実施の形態では、ワイドエリア用の送受信系にデュプレクサ108を設け、ローカルエリア用の送受信系に切替スイッチ109を設ける構成としたが、この構成に限定されない。ワイドエリア用の送受信系に切替スイッチ109を設けてもよいし、ローカルエリア用の送受信系にデュプレクサ108を設けてもよい。また、ワイドエリア用及びローカルエリア用の上り信号は、送受信アンテナ110、111から同時に送信されてもよいし、送受信アンテナ110、111を切り替えて別々に送信されてもよい。
また、移動端末装置10は、受信系の処理部として、受信RF回路112、113、ベースバンド受信信号処理部114、115、ワイドエリア制御情報受信部116、Discovery Signal受信部117、Discovery Signal測定部118、下り信号復調・復号部119、120を備えている。
ワイドエリア基地局装置20からの下り信号は、ワイドエリア用の送受信アンテナ110で受信される。この下り信号は、デュプレクサ108及び受信RF回路112を介してベースバンド受信信号処理部114に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。
ワイドエリア制御情報受信部116は、ワイドエリア用の下り信号からワイドエリア制御情報を受信する。ここでは、ワイドエリア制御情報として、Discovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報が受信される。ワイドエリア制御情報受信部116は、Discovery Signal受信用の制御情報をDiscovery Signal受信部117に出力し、DACH送信用の制御情報をDiscovery Signal測定部118に出力し、ePDCCH受信用の制御情報を下り信号復調・復号部120に出力する。なお、ワイドエリア制御情報は、例えば、報知情報やRRCシグナリング(ハイヤレイヤシグナリング)によって受信される。ワイドエリア用の下りデータ信号は、下り信号復調・復号部119に入力され、下り信号復調・復号部119において復号(デスクランブル)及び復調される。
ローカルエリア基地局装置30からの下り信号は、ローカルエリア用の送受信アンテナ111で受信される。この下り信号は、切替スイッチ109及び受信RF回路113介してベースバンド受信信号処理部115に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。
Discovery Signal受信部117は、ワイドエリア制御情報受信部116から入力されたDiscovery Signal受信用の制御情報に基づいて、ローカルエリア基地局装置30からのDiscovery Signalを受信する。Discovery Signal受信用の制御情報には、各ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalを受信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、Discovery Signalの送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
Discovery Signal測定部118は、Discovery Signal受信部117で受信されたDiscovery Signalの受信信号電力を周期的に測定する。Discovery Signal測定部118は、各ローカルエリア基地局装置30からのDiscovery Signalのうち受信信号電力の高い上位数局(例えば、上位3局)を測定結果としてDACHでローカルエリア基地局装置30に送信する。この場合、Discovery Signal測定部118は、Discovery Signalの信号系列に基づいて送信先のローカルエリアを特定する。また、DACHの第1の配置構成(第1、第2の初期接続方式)では、Discovery Signalよりも高頻度でDACHが設定されている。そして、アイドル状態からアクティブ状態への移行時に、Discovery Signalの測定結果がローカルエリア基地局装置30に送信される。
DACHの第2の配置構成(第3の初期接続方式)では、Discovery Signalと同じ頻度でDACHが設定されている。そして、アイドル状態でDiscovery Signalの測定結果がローカルエリア基地局装置30に送信される。DACHの第2の配置構成では、移動端末装置10のバッテリ消費量を考慮して、上位数局(例えば、最上位)の受信信号電力に変更があった場合にだけ、DACHでDiscovery Signalの測定結果が送信される。また、DACHでは、Discovery Signalの測定結果と共にユーザIDが送信される。
なお、DACHでの送信は、ワイドエリア制御情報受信部116から入力されたDACH送信用の制御情報に基づいて実施される。DACH送信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30にDACHで送信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、DACHの送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
ローカルエリア用の下りデータ信号は、下り信号復調・復号部120に入力され、下り信号復調・復号部120において復号(デスクランブル)及び復調される。また、下り信号復調・復号部120は、ワイドエリア制御情報受信部116から入力されたePDCCH受信用の制御情報に基づいて、ローカルエリア用の下り制御信号(ePDCCH)を復号(デスクランブル)及び復調する。ePDCCH受信用の制御情報には、ローカルエリア基地局装置30からePDCCHで受信するための無線リソース情報やDM−RS系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、ePDCCHの送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
また、ワイドエリア用及びローカルエリア用の下り信号は、送受信アンテナ110、111から同時に受信されてもよいし、送受信アンテナ110、111を切り替えて別々に受信されてもよい。なお、第3の初期接続方式の場合には、移動端末装置10をワイドエリア基地局装置20にランダムアクセスさせるための信号生成部を設けてもよい。この信号生成部は、例えば、ユーザIDに関連付けてRACH系列を生成する。
図14を参照して、ワイドエリア基地局装置20の全体構成について説明する。ワイドエリア基地局装置20は、送信系の処理部として、ワイドエリア制御情報生成部201、下り信号生成部202、下り信号多重部203、ベースバンド送信信号処理部204、送信RF回路205を備えている。
ワイドエリア制御情報生成部201は、ワイドエリア制御情報として、Discovery Signal送信用の制御情報、Discovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を生成する。ワイドエリア制御情報生成部201は、Discovery Signal送信用の制御情報を伝送路インターフェース211に出力し、Discovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報を下り信号多重部203に出力する。Discovery Signal送信用の制御情報は、伝送路インターフェース211を介してローカルエリア基地局装置30に送信される。一方、Discovery Signal受信用の制御情報、DACH送信用の制御情報、ePDCCH受信用の制御情報は、下り信号多重部203を介して移動端末装置10に送信される。
下り信号生成部202は、下りデータ信号及び参照信号を生成する。下り信号多重部203は、ワイドエリア制御情報と、下りデータ信号と、参照信号とを多重する。移動端末装置10に対する下り信号は、ベースバンド送信信号処理部204に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、下り信号は、送信RF回路205を通り、送信系と受信系との間に設けたデュプレクサ206を介して送受信アンテナ207から送信される。
また、ワイドエリア基地局装置20は、受信系の処理部として、受信RF回路208、ベースバンド受信信号処理部209、上り信号復調・復号部210、測定結果受信部212、ローカルエリア割当部213、初期送信電力決定部214を備えている。
移動端末装置10からの上り信号は、送受信アンテナ207で受信され、デュプレクサ206及び受信RF回路208を介してベースバンド受信信号処理部209に入力される。ベースバンド受信信号処理部209では上り信号にデジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。上りデータ信号は、上り信号復調・復号部210に入力され、上り信号復調・復号部210において復号(デスクランブル)及び復調される。
測定結果受信部212は、ローカルエリア基地局装置30から転送されたDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDを、伝送路インターフェース211を介して受信する。測定結果受信部212は、Discovery Signalの測定結果及びユーザIDをローカルエリア割当部213に出力する。ローカルエリア割当部213は、Discovery Signalの測定結果に示される上位数局分の受信信号電力とユーザIDとに基づいて、移動端末装置10に適切なローカルエリア基地局装置30を割り当てる。このとき、ローカルエリア割当部213は、ローカルエリア間のロードバランスを調整して割当を行っている。
初期送信電力決定部214は、Discovery Signalの測定結果(受信信号電力)に基づいて、ローカルエリア基地局装置30に対する初期送信電力(ePDCCH/PDSCH)を決定する。初期送信電力決定部214は、伝送路インターフェース211を介して初期送信電力の指示情報を、移動端末装置10の接続先となるローカルエリア基地局装置30に送信する。
なお、第2の初期接続方式では、ローカルエリア基地局装置30からDiscovery Signalの測定結果が転送されることがないので、ローカルエリアの割当処理、初期送信電力の決定処理は停止される。また、第3の初期接続方式では、RACH系列にユーザIDが関連付けられることで、RACHレスポンスを用いて移動端末装置10に割当結果を指示することもできる。
図15を参照して、ローカルエリア基地局装置30の全体構成について説明する。なお、ローカルエリア基地局装置30は、移動端末装置10の直近に配置されているものとする。ローカルエリア基地局装置30は、初期送信電力設定部301及びワイドエリア制御情報受信部302を備えている。また、ローカルエリア基地局装置30は、送信系の処理部として、下り信号生成部303、Discovery Signal生成部304、下り信号多重部305、ベースバンド送信信号処理部306、送信RF回路307を備えている。
初期送信電力設定部301は、伝送路インターフェース314を介してワイドエリア基地局装置20から初期送信電力の指示情報を受信する。初期送信電力設定部301は、初期送信電力の指示情報に基づいて、下りデータ信号(PDSCH)、下り制御信号(ePDCCH)の初期送信電力を設定する。ワイドエリア制御情報受信部302は、伝送路インターフェース314を介して、ワイドエリア基地局装置20からワイドエリア制御情報を受信する。ここでは、ワイドエリア制御情報として、Discovery Signal送信用の制御情報が受信される。ワイドエリア制御情報受信部302は、Discovery Signal送信用の制御情報をDiscovery Signal生成部304に出力する。
下り信号生成部303は、下りデータ信号(PDSCH)、参照信号、下り制御信号(ePDCCH)を生成する。下り信号生成部303は、初期送信電力設定部301によって、下りデータ信号及び下り制御信号の初期送信電力が設定される。Discovery Signal生成部304は、ワイドエリア制御情報受信部302から入力されたDiscovery Signal送信用の制御情報に基づいてDiscovery Signalを生成する。Discovery Signal送信用の制御情報には、移動端末装置10にDiscovery Signalを送信するための無線リソース情報や信号系列情報等が含まれている。無線リソース情報には、例えば、Discovery Signalの送信間隔、周波数位置、符号(コード)等が含まれる。
下り信号多重部305は、下り送信データと、参照信号と、下り制御信号とを多重する。移動端末装置10に対する下り信号は、ベースバンド送信信号処理部306に入力され、デジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の下り信号の場合には、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により周波数領域の信号から時系列の信号に変換され、サイクリックプレフィックスが挿入される。そして、下り信号は、送信RF回路307を通り、送信系と受信系との間に設けた切替スイッチ308を介して送受信アンテナ309から送信される。なお、切替スイッチ308の代わりにデュプレクサを設けてもよい。
ローカルエリア基地局装置30は、受信系の処理部として、受信RF回路310、ベースバンド受信信号処理部311、上り信号復調・復号部312、測定結果受信部313を備えている。
移動端末装置10からの上り信号は、ローカルエリア用の送受信アンテナ309で受信され、切替スイッチ308及び受信RF回路310を介してベースバンド受信信号処理部311に入力される。ベースバンド受信信号処理部311では上り信号にデジタル信号処理が施される。例えば、OFDM方式の上り信号の場合には、サイクリックプレフィックスが除去され、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により時間系列の信号から周波数領域の信号に変換される。上りデータ信号は、上り信号復調・復号部312に入力され、上り信号復調・復号部312において復号(デスクランブル)及び復調される。
測定結果受信部313は、上り信号からDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDを受信する。第1、第3の初期接続方式の場合には、測定結果受信部313はDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDを、伝送路インターフェース314を介してワイドエリア基地局装置20に転送する。第2の初期接続方式の場合には、測定結果受信部313はDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDをワイドエリア基地局装置20に転送しない。なお、第2の接続方式では、ワイドエリアから送信された制御情報やDACHで送信された制御情報に基づいて、ワイドエリア基地局装置20に対するDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDの転送を切り替えてもよい。例えば、制御情報に移動端末装置10で発生するデータサイズを含めるようにする。
そして、データサイズが大きい場合には、ワイドエリア基地局装置20にDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDが転送され、ワイドエリア基地局装置20でローカルエリア間のロードバランスを考慮した割当処理が実施される。データサイズが小さい場合には、ワイドエリア基地局装置20にDiscovery Signalの測定結果及びユーザIDが転送されず、Discovery Signalの測定結果を受信したローカルエリア基地局装置30が移動端末装置10に割り当てられる。
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、ローカルエリア用の無線通信方式に規定されたPDCHで、Discovery Signalの測定結果がローカルエリア基地局装置30に迅速に通知される。このため、移動端末装置10におけるトラヒック発生時に、後続の上りリンクの初期接続を円滑に行うことができる。よって、ローカルエリアに特化した高効率なローカルエリア無線アクセスを提供することが可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明におけるキャリア数、キャリアの帯域幅、シグナリング方法、処理部の数、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。