JP2016105162A - 現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像ローラの表面加工方法、 - Google Patents

現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像ローラの表面加工方法、 Download PDF

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泰輔 徳脇
利和 平川
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利和 平川
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Satoshi Kai
聡 甲斐
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Tatsuya Tanaka
竜也 田中
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富廣 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】現像剤の搬送性能とピッチムラの抑制との両立を高精度に実現できる現像ローラを提供する。【解決手段】現像スリーブ132の表面に、切削バイトを往復移動(振動)させながら送ることにより凹部2と凸部4からなる凹凸形状を現像スリーブ132の円周方向に連続して形成するとともに、軸方向には螺旋状に繋がるように形成する。凹凸形状が連なる列L1と隣り合う列L2では凹凸の周期がずれるように形成される。【選択図】図9

Description

本発明は、現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び現像ローラの表面加工方法に関する。
画像形成装置では、現像剤を現像ローラの表面に担持して、感光体ドラム等の像担持体と対向する現像領域に搬送し、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像として可視化する。
現像ローラは、マグネットローラ等の固定磁極と、該固定磁極を内包し、該固定磁極の磁力により表面に現像剤を吸着する現像スリーブとを備えている。
この種の現像ローラでは、現像ローラにより現像剤を搬送する際、現像スリーブの表面上で現像剤がスリップすることによる現像剤の搬送不良が生じやすく、搬送不良が生じた場合には画像濃度の低下や画像ムラを来たす。
この問題を解消すべく、特許文献1等には、現像スリーブの表面に、現像剤を保持する円形又は楕円形状の凹み(窪み、溝ともいう)を互いに重ならないように、規則的に又は不規則的に多数形成して現像剤のスリップを抑制する構成が開示されている。
一般に、現像スリーブ表面の凹みの深さが深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝内で搬送する現像剤が溝が無い部分で搬送する現像剤よりも多くなるので、周期的なピッチムラが発生しやすくなる。
特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアによる画像形成技術の進歩及び近接現像方式の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。
凹みの深さを浅くするとピッチムラは発生しにくくなるが、逆に現像剤の搬送性能が低下する。
特許文献1等の従来技術では、凹みの深さを浅めに設定し、且つ凹みの分布密度を増やすことで現像剤の搬送性能とピッチムラの抑制との両立を図っているが、ピッチムラの問題は依然として満足できる状況になかった。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、現像剤の搬送性能とピッチムラの抑制との両立を高精度に実現できる現像ローラの提供を、その主な目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の現像ローラは、磁界発生手段と、前記磁界発生手段を内包し、前記磁界発生手段の磁力により表面に現像剤を吸着する現像スリーブと、を備え、前記現像スリーブの表面において、該現像スリーブの円周方向に複数の凹凸形状が連なり、且つ、前記凹凸形状の連なりが前記現像スリーブの軸方向に螺旋状に存在する。
本発明によれば、現像剤の搬送性能とピッチムラの抑制との両立を高精度に実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。 プロセスカートリッジの概要断面図である。 現像ローラの図2におけるX線での断面図である。 現像スリーブの斜視図である。 図4のA部の拡大写真画像図である。 図4のA部の拡大斜視図である。 図5の部分平面図である。 現像スリーブの円周方向の断面における切削バイトの切り込み軌跡を示す図である。 現像スリーブにおける凹凸形状を示す図で、(a)は平面図、(b)は切削バイトの切り込み深さと送りの関係を示す図である。 切削バイトの切り込み深さを一定にした場合を説明するための図で、(a)は平面図、(b)は切削バイトの切り込み深さと送りの関係を示す図である。 現像スリーブの表面に凹凸形状を形成する表面加工装置の概要構成図である。 表面加工装置の工具を示す概要構成図である。 現像スリーブの表面に凹凸形状を形成する制御ブロック図である。 切削バイトを駆動する波形を示す図である。 切削バイトを示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は切削バイトの先端部の拡大平面図である。 現像スリーブの外径面全体を切削することで現像スリーブの振れ精度が高まることを説明するための図である。 ドクタブレードの現像剤の層厚み規制機能を示す図である。 切削バイトの振動条件を変えた例の図4のA部の拡大写真画像図である。 切削バイトの振動条件を変えた例の図4のA部の拡大斜視図である。 図18の部分平面図である。 本発明の第2の実施形態における現像スリーブの表面に窪みを形成する表面加工装置の概要構成図で、(a)は表面加工装置の正面図、(b)は現像スリーブに対するエンドミルの位置関係を示す断面図、(c)はエンドミルの拡大側面図、(d)はエンドミルの拡大正面図、(e)は4枚刃のエンドミルの拡大正面図である。 制御ブロック図である。 窪みの配列パターンを示す図で、(a)は周方向の展開図、(b)はM線における断面図、(c)は(b)の一部拡大図である。 窪み形成時の問題点を説明する図で、(a)はバリの発生原理を説明する図、(b)はエッジ部を示す図、(c)はエッジ部の処理をせずに表面処理を施した状態を示す図である。 エッジ部の問題を解消する構成を示す図で、(a)はエッジ部に湾曲処理を施した状態を示す図、(b)はエッジ部の処理後に表面処理を施した状態を示す図である。 2種類の窪みを同時加工する場合の現像スリーブとエンドミルとの位置関係を示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。 窪みを形成した後の現像スリーブの表面を示す写真画像図である。 従来の1種類の窪みを配列した現像スリーブの斜視図である。 図28で示した現像スリーブの窪みの配列パターンを示す図で、(a)は周方向の展開図、(b)は(a)のN1、N2線における窪みの断面図である。 図28で示した現像スリーブの表面を示す写真画像図である。 ピッチムラが発生する原因を説明するための図である。 ピッチムラが発生する原因を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図20に第1の実施形態を示す。まず、図1に基づいて、本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要を説明する。画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色を重ね合わせたカラー画像を、記録媒体としての記録紙107に形成する構成を有する。
なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y、M、C、Kを付けて示す。
画像形成装置101は、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106K等を備えている。
これらの各部材は装置本体102に収容されている。装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。
給紙ユニット103は、記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の最上の記録紙107に押し当てられている。
給紙ローラ124は、最上の記録紙107を、転写ユニット104の搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106との間に送り出す。
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a、110bを備えている。
レジストローラ対110は、一対のローラ110a、110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106との間に送り出す。
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kとを備えている。
駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。
従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。
搬送ベルト129は、無端状に形成されており、駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。
搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中反時計回り方向に循環走行する。
転写ローラ130Y、130M、130C、130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの後述する感光体ドラムとの間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟むように配置されている。
転写ユニット104は、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106の感光体ドラムの外表面に押し付けて、感光体ドラム上のトナー像を記録紙107に転写する。
転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a、105bを備えている。
定着ユニット105は、一対のローラ105a、105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧、加熱することで、感光体ドラムから記録紙107上に転写されたトナー像を記録紙107に定着させる。
レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。
レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kに対応している。
レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの後述の帯電ローラにより一様に帯電された感光体ドラムの外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kとの間に設けられている。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、それぞれ装置本体102に着脱自在である。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
プロセスカートリッジ106は、図2に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、像担持体としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113とを備えている。
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113とを一体的に収容している。
帯電ローラ109は、感光体ドラム108に近接または接触しており、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の現像ローラ115に対し間隔をあけて配置されている。
感光体ドラム108は、その軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム108の外表面上に形成された静電潜像は、現像装置113によりトナー像として現像され、トナー像は搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写される。
クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置113は、現像剤供給部114と、現像ケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、規制部材としてのドクタブレード116等を備えている。
現像剤供給部114は、現像剤収容部117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュ118とを備えている。現像剤収容部117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。
現像剤収容部117内には、該現像剤収容部117の軸方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、現像剤収容部117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。
第1空間120と第2空間121とは、感光体ドラム108の軸方向の両端部が互いに連通している。現像剤収容部117では、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126が収容されている。
一対の攪拌スクリュ118の逆向きの回転により、現像剤126が現像剤収容部117内を循環するように搬送される。
現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含む二成分現像剤である。
トナーは、第1空間120と、第2空間121のうち、現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部から適宜供給される。
トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られたものでも良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
攪拌スクリュ118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュ118の長手方向は、現像剤収容部117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。
攪拌スクリュ118は、その軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、軸芯方向に沿って現像剤126を搬送する。
本実施形態では、第1空間120内の攪拌スクリュ118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。
第2空間121内の攪拌スクリュ118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
第1空間120内の攪拌スクリュ118は前記一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。
第2空間121内の攪拌スクリュ118はトナーと磁性キャリアとを攪拌し、その軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
現像ケース125は、箱状に形成されて現像剤収容部117に取り付けられ、該現像剤収容部117と共に現像ローラ115などを覆っている。
現像ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
現像ローラ115は円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ開口部125aの近傍に設けられている。
現像ローラ115は、感光体ドラム108と現像剤収容部117との双方と平行である。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、芯金134と、磁界発生手段としての円筒状のマグネットローラ133と、円筒状の現像スリーブ132とを備えている。
芯金134は、感光体ドラム108の長手方向と平行に配置され、現像ケース125に回転することなく固定されている。
マグネットローラ133は磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
各固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。
マグネットローラ133は、現像スリーブ132内に内包されている。
複数の固定磁極のうち、一つの固定磁極は、第2空間121内の攪拌スクリュ118と相対している。該一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132の外表面(以下、単に「表面」ともいう)上に磁気力を生じさせる。
これにより、第2空間121内の現像剤126は現像スリーブ132の外表面に吸着する。
他の一つの固定磁極は、感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、現像磁極をなしており、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。該磁界によって磁気ブラシが形成され、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126のトナーが磁気ブラシを介して感光体ドラム108に受け渡される。
現像スリーブ132の回転方向は感光体ドラム108とは逆方向である。
上記汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この固定磁極は、現像スリーブ132の外表面上に磁気力を生じさせる。
これにより、現像前の現像剤126は現像スリーブ132により感光体ドラム108に向けて搬送されるとともに、現像済みの現像剤126が感光体ドラム108から現像剤収容部117内まで搬送される。
上記現像磁極により、現像スリーブ132の外表面に現像剤126が吸着すると、現像剤126の磁性キャリアが該現像磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねられ、現像スリーブ132の外表面上に穂立ちする。穂立ちした磁性キャリアにトナーが吸着する。
上記原理により、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤126を吸着する。
現像スリーブ132は、図4に示すように、円筒状に形成されている。
現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包して、軸芯回りに回転自在に設けられている。
現像スリーブ132は、その内周面が各固定磁極に順に相対するように回転される。よって、マグネットローラと現像剤間に相互作用する磁力に影響を与えないため、現像スリーブ132の材料としては非磁性材料が選定される。
図4において、符号Yは現像スリーブ132の円周方向を、Zは軸方向を示している。現像スリーブ132の表面には、後述する凹凸形状が多数形成されている。
現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されている。
アルミニウム合金は加工性、軽さの面で優れており、ステンレス鋼は加工性は劣るが、硬度、耐磨耗性、腐食性に優れ、加工後表面処理などの処理が必要ない点がメリットである。
アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。
SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。本実施形態では、現像スリーブ132は、ステンレス鋼SUS304で構成されている。
本実施形態における現像スリーブ132の外径は、12mm〜30mmである。現像スリーブ132の軸方向の長さは、300mm〜350mm程度である。
図5は、図4におけるA部の拡大写真画像図で、図6はA部の拡大斜視図である。図7は、図5の一部を分かりやすく表示した平面図である。
図7に示すように、現像スリーブ132の表面には、凹部2と凸部4とからなる凹凸形状が円周方向であるY方向に連続して形成されている。
凹部2の軸方向(Z方向)における幅が最も大きい部分が切削工具(以下、「切削バイト」という)による切り込み深さが最も大きい部分、すなわち最も深い部分である。
凹凸形状とは、凹部−凸部の組み合わせ形状と、凸部−凹部の組み合わせ形状の双方を含む概念である。
凹凸形状の連なり(列)は、現像スリーブ132の軸方向に直交するY0方向に対して若干角度を有するY1方向に形成されており、これにより凹凸形状の連なりは軸方向には螺旋状に繋がっている。
凹凸形状の連なりは、凹凸形状のパターンが繰り返されることにより円周方向に周期性を有し、軸方向における隣り合う列では凹凸の周期が重ならないように形成されている。
すなわち、1番目の列L1の凹部2に対し、2番目の列L2では凸部4が対応し、2番目の列L2の凸部4に対し、3番目の列L3では凹部2が対応している。
このようにすることで、現像剤が軸方向で密集せず、ピッチムラを抑制することができる。
現像スリーブ132に対する切削加工の切込み量を、現像スリーブ132の回転とは独立に往復駆動させることで、現像スリーブ132の表面に、現像スリーブ132の円周方向に凹凸形状を波状に連続して形成している。
また、現像スリーブ132の軸方向の切削送りにより、凹凸形状を現像スリーブ132の軸方向に螺旋状に連続して形成している。具体的な切削工法については後述する。
図8は、現像スリーブ132の図4におけるZ方向から見た円周方向の断面図であり、現像スリーブ132の表面132aに対する切削バイトの切り込み軌跡を示している。
図8では、切削バイトによる3周分(3列分)の切込み軌跡を示している。1番目の列L1は実線で、2番目の列L2は破線で、3番目の列L3は一点鎖線で示している。
各列は円周方向に周期がずれている。
各列の切り込み軌跡は、現像スリーブ132の円周長より十分周期の短い曲線(例えば正弦波)が連続した形状となっている。
円周方向において、凹凸形状の連なり(連続曲線)の終点と始点とは必ずしも重ならなくても良い。換言すれば、凹凸形状の連なりの周期が現像スリーブの円周の整数倍でなくても良い。
図8に示す断面の曲線は、現像スリーブ132の表面の深さ要素となる。つまり円周上で深さが連続的に変動していることを示す。切削バイトの切り込み深さdは、10〜50μmの範囲である。
また、上記連続曲線は軸方向側にも現像スリーブ132の全長に対して十分短い幅を有しており、軸方向に向かって螺旋状に形成されており、凹凸形状が軸方向全長に亘り連続したパターンとなっている。
また、凹凸形状の連なりの螺旋ピッチが、凹凸形状の軸方向の幅よりも小さく設定されているため、現像スリーブ132の表面における凹凸形状の面積率を高めることができる。
現像スリーブ132の表面上の形状として、図6に示すように、深い箇所と浅い箇所とが連なった凹凸形状が円周方向と軸方向で視覚的に確認できる。
図9は、凹凸形状の周期性のずれと切り込み深さとの関係を示す図で、(a)は凹凸形状の連なりの平面図、(b)は(a)のS−S’線における各列での切削バイト20の切り込み深さを示す図である。
切削バイト20a、20b、20c、20d、20eは、それぞれ列L1、L2、L3、L4、L5に対応している。
S−S’線の位置において、列L1では凸部4に位置し、切削バイト20の切り込み量は浅い。列L2では凹部2の最深部の手前近傍に位置し、切削バイト20の切り込み量は深い。列L3では凹部2の最深部に位置し、切削バイト20の切り込み量は最も深い。
列L4では列L1と同様に凸部4に位置し、切削バイト20の切り込み量は浅い。列L5では凹部2の最深部に位置し、切削バイト20の切り込み量は最も深い。
円周方向に凹凸形状が無い場合は、図10に示すように、円周方向のどの位置においても切削バイト20の切込み量は各列において同じとなり、各列は直線的な溝形状となる。
現像ローラの回転時に現像剤を搬送するにあたって、現像剤を保持できるような凹凸が回転方向に存在しないため、現像剤の搬送能力が劣る。
図9(a)に示すように、凹凸形状の軸方向の長さwは自由に設定できるが、現像剤搬送性を考慮すると細かく密集した状態の方が好ましく、1.0mm以下で、円周方向に周期的なうねりを持ちながら変動しているのが望ましい。
円周方向の周波数(凹凸数)は自由に設定できるが、現像剤搬送性と加工精度を考慮すると30〜300個(周期)程度が妥当である。
周期的なうねりの変動は、隣り合う凹凸形状の列との干渉の仕方で、隣り合う曲線形状が干渉部分で極端な凸形状を有し、数列単位で見ると極大値を持ったランダムな非曲線のパターンとなる(図9(a))。
現像剤の搬送性と現像スリーブ132の表面の加工性を考慮すると、凹凸形状の深さは、0.03mm〜0.15mm程度が望ましい。
一般に、凹凸形状の深さが深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。
一方、凹凸形状の深さが浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが現像剤の搬送性能が低下する。
特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。
特に、平均粒径が例えば8.5μm以下の小粒径トナーを用いた現像方式では、画像再現性が良いため、現像に使われる現像剤量の変動に敏感になり、ピッチムラが目立って発生し易くなっている。
このため、特許文献1の現像スリーブを用いても、ピッチムラが発生することがあった。
この原因について検討したところ、図31及び図32に示すように、現像スリーブ200と感光体ドラム201とが対向する現像領域Dにおいて、溝202が形成されていない現像スリーブ200の外表面では現像剤203がスリップして現像剤203の量が減少し、画像濃度が低下する。
一般に、現像剤203は、現像スリーブ200と感光体ドラム201とが対向する現像領域Dにおいて移動するが、十分な画像濃度が得られるよう大量の現像剤203を現像領域Dへ搬送する必要がある。
そのため、通常、現像スリーブ200は感光体ドラム201より1.1〜2.5倍の表面速度で回転駆動される。
現像剤203が高速で現像領域Dを通過する際、相対的に低速な感光体ドラム201との摩擦は負荷抵抗となり、溝202が設けられていない部分での現像スリーブ200の外表面では、図31に示すように、現像剤203のスリップや汲み上げ量不足が発生してしまう。
このため、現像領域Dでは、現像スリーブ200の回転方向上流側に比べて、下流側の現像剤量が少なくなってしまう。
一方、図32に示すように、現像領域D内を溝が通過する間は十分な搬送力が得られるためスリップの発生が無く汲み上げ量も十分である。
つまり、現像領域D内を通過する溝202の周期にて、スリップ発生の有無により現像剤203の量が変動し、画像濃度差によるピッチムラが発生してしまう。
そこで、本実施形態では、凹凸形状の深さを浅めに設定し、凹凸形状の分布密度を増やすことで現像剤搬送性能とピッチムラ防止の両立を図っている。
図2に示すように、ドクタブレード116は、L型形状で、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部において、現像スリーブ132の上方に設けられている。現像スリーブ132は反時計回り方向に回転する。
ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、現像ケース125に取り付けられている。
ドクタブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を現像剤収容部117内にそぎ落として、所望の厚さにする。
現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。
現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。
現像領域131に搬送された現像剤により感光体ドラム108上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
現像済みの現像剤は現像剤収容部117に向かって離脱させられる。現像剤収容部117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
現像剤供給部114におけるトナー濃度が低下したことが後述するトナー濃度センサで検知されると、第1空間120にトナーが補給される。
上記構成の画像形成装置101の画像形成動作を説明する。
まず、感光体ドラム108が回転し、感光体ドラム108の外表面が一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電される。
感光体ドラム108の外表面にレーザ光が照射されて露光され、これにより画像部分が−150Vに減衰し、感光体ドラム108の外表面に静電潜像が形成される。
静電潜像が現像領域131に位置付けられると、静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤が感光体ドラム108の外表面に吸着される。
これにより静電潜像が現像され、トナー像が感光体ドラム108の外表面に形成される。
給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、各プロセスカートリッジ106の感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像が記録紙107に転写される。
トナー像が転写された記録紙107は定着ユニット105で記録紙107にトナー像を定着される。
こうして、記録紙107にカラー画像が形成される。
記録紙107に転写されずに感光体ドラム108上に残ったトナーはクリーニングブレード112によって回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム108は除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行っている。
具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光学センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。
現像能力が所定の目標現像能力になるように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。
例えば、光学センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUが撹拌スクリュ118を回転駆動するモータの駆動回路を制御する。
光学センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、CPUが前述したモータの駆動回路を制御する。ここで、上記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。
なお、感光体ドラム108上に形成されるトナーパターンの画像濃度は、現像スリーブ132による画像濃度周期ムラの影響で多少変動することがある。
現像スリーブ132は、図11乃至図14に示す表面加工装置1によって外表面に凹凸形状を形成される。
表面加工装置1は、図11に示すように、ベース3と、現像スリーブ132を保持する保持部30と、回転駆動部としてのモータ31と、現像スリーブ132に切削加工を行う工具6と、工具移動部5と、制御手段としての制御装置25(図13)とを備えている。
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
保持部30は、固定保持部7と、スライド保持部8とを備えている。固定保持部7は、ベース3の長手方向の一端部から立設した固定柱9と、固定柱9の上端部に設けられた回転チャック10とを備えている。
回転チャック10は、厚手の円板状に形成され、固定柱9の上端部にその中心を回転中心として回転自在に支持されている。回転チャック10の回転中心は、ベース3の表面と平行に配置されており、回転チャック10の中心部には円柱状のチャックピン11が設けられている。
チャックピン11は、回転チャック10と同軸に配置されている。
スライド保持部8は、スライダ12と、スライド柱13と、モータ31と、回転チャック14とを備えている。
スライダ12は、ベース3の表面、すなわち回転チャック10のチャックピン11の軸芯に沿ってスライド自在に設けられている。スライダ12は、回転チャック10のチャックピン11の軸芯方向の位置が適宜固定される構成となっている。スライド柱13は、スライダ12の上面に設けられている。
回転チャック14は、厚手の円板状に形成され、スライド柱13の上端部に取り付けられたモータ31の出力軸に取り付けられている。
回転チャック14の回転中心は、回転チャック10のチャックピン11と同軸となるように配置されている。回転チャック14の中心部には円柱状のチャックピン15が設けられている。チャックピン15は、回転チャック14と同軸上に配置されている。
保持部30には、スライド保持部8が固定保持部7から離れた状態で、チャックピン11、15間に凹凸形状が形成される前の現像スリーブ132が位置付けられる。
スライド保持部8が固定保持部7に近づけられて、チャックピン11、15の先端が現像スリーブ132の端部内に進入し、チャックピン11、15間に現像スリーブ132を挟んだ状態で、スライダ12が固定される。こうして、保持部30に現像スリーブ132が保持される。
モータ31の回転により回転チャック14がその中心回りに回転駆動され、チャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132がその軸芯回りに回転する。
工具移動部5は、リニアガイド16と、移動用アクチュエータ19(図13)とを備えている。リニアガイド16は、レール17と、スライダ18とを備えている。レール17は、ベース3上に設置されている。
レール17は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向、チャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と平行に配されている。
スライダ18は、レール17に該レール17の長手方向に沿って移動自在に支持されている。移動用アクチュエータ19は、ベース3に取り付けられているとともに、スライダ18をベース3の長手方向、すなわちチャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯に沿って、スライド移動させる。
図12に示すように、工具6は、現像スリーブ132の外径面を切削する切削バイト20と、切削バイト20を保持する刃物台21と、刃物台21を現像スリーブ132の軸方向と直交する方向に移動させる一軸方向のスライド台22とを有している。
また、工具6は、スライド台22を現像スリーブ132の軸方向と直交する方向において往復移動させる振動用アクチュエータ23とを有している。スライド台22と振動用アクチュエータ23はブラケット24で接続されている。
スライド台22は無負荷では静止固定し、現像スリーブ132の軸方向と直交する方向に力が作用するとその作用方向に移動し、これに伴って刃物台21も移動する。
振動用アクチュエータ23としては、ピエゾアクチュエータ、水晶素子、リニアモータ、または回転式モータにカム機構を設置して直線往復運動に変換する方式等を採用することができる。
図13に示すように、制御装置25は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)26からのプログラムによりファンクションジェネレータ27で例えば図14に示すような正弦波形の切削パターンを出力させる。
これにより、電源ドライバ27をアンプ+位置制御装置として機能させ、振動用アクチュエータ23を駆動する。
ピエゾアクチュエータ、水晶素子、リニアモータなどの直動アクチュエータに対しては、振幅制御:バイアス電圧、周波数:電圧周期を制御因子とする。
カム機構の際には、振幅制御:カム形状、周波数:モータ印加電圧(モータ回転数)とする。
振動用アクチュエータを備えたスライド台を用いず、NC加工機の切込み方向の駆動制御装置で切込みを制御する方法も考えられる。
切削バイト20としては、先端に微小な湾曲形状を有した片刃バイト、剣バイトなどの外径切削用の工具を使用する。
切削バイト20の材質は、ダイヤモンド(単結晶/多結晶)、サーメット、cBN、超硬、ハイスなど被削材によって選定するが、大別して非鉄金属(アルミ、銅)の場合はダイヤモンド、鋼材の場合は超硬を使用するのが一般的である。
本実施形態では、図15(c)に示すように、切削バイト20として先端部20aの形状の半径(ノーズ半径)rが0.8〜3.0mmのものを選定した。
図15(a)に示すように、すくい角θ1は0〜10°、にげ角θ2は5°以上に設定し、刃付け部は最低0.3mm切り込めるように設定した。
現像スリーブ132の表面に対する切削バイト20の切込み量と、現像スリーブ132の長手方向の送り速度が一定な場合は、図10で示したように、切削バイト20の先端部20aの形状に倣って、均一な断面形状が軸方向に螺旋状に形成される。
切削面の面粗さは切削バイト20の先端形状と送り速度とによって設定できる。制御装置25は、周知のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、CPU(Central processing Unit)などを備えたコンピュータである。
制御装置25は、モータ31と、工具移動部5の移動用アクチュエータ19と、切削バイト20を往復移動させる振動用アクチュエータ23と、PC26等と接続されており、これらを制御して、表面加工装置1全体の制御を司る。
制御装置25は、現像スリーブ132の外表面に凹凸形状を形成する際には、モータ31で現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させ、第1段階の切込み位置を設定する。
第2段階として、振動用アクチュエータ23を制御して切削バイト20往復変動(振動)させた状態で移動用アクチュエータ19により工具6を現像スリーブ132の軸芯(軸方向)に沿って移動させる。
このように現像スリーブの回転と切削バイトの切込み変動と軸方向の移動(工具送り速度)とにより、現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、凹凸形状を多数形成する。
このとき、切削バイト20の先端形状の寸法と工具送り速度とにより、現像スリーブ132の軸方向の凹凸形状の概要が決まる。
切削バイト20の先端形状、工具送り速度が共に小さいと所謂切削ピッチが小さくなり、凹凸も細かくなる。また、先端形状、工具送り速度が共に大きいと凹凸が滑らかで密集度は小さくなる。
更に切削バイト20の切込み深さと振動の周期、現像スリーブ132の回転数により、円周上の凹凸形状の概要が決まる。
現像スリーブ132の回転数(周期)より、切削バイト20の振動周期を大きくすることで、より密で凹凸差が大きい形状が形成される。
切削バイト20の振動周期と現像スリーブ132の回転数(周波数)の比を以下に定義する。
F1:切削バイト20の振動周期(Hz)
N2:現像スリーブ132の回転数(rpm)
F2:現像スリーブ132の回転周期=N2/60(Hz)
周期比=F1/F2
周期比は整数であると、隣り合う凹凸形状において、凸が軸方向に連続して形成されるため、ピッチムラが生じやすい。凹凸形状を現像スリーブ132の軸方向にランダムに配置するためには、整数で割り切れない比率が望ましい。
制御装置25は、これらの各要件を適宜変更することで、凹凸形状の大きさや密度を任意に変更して、現像スリーブ132の外表面を加工することができる。
制御装置25には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続される。
前述した構成の表面加工装置1を用いて現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、現像スリーブ132を製造する工程を以下説明する。
現像スリーブ132をチャックピン11、15に保持し、ワークとしての現像スリーブ132を回転させる。工具6に取付けた切削バイト20を制御装置25で振動させながら、現像スリーブ132の切込み位置まで移動させる。
この際、ワーク回転数N2は26rpm(F2:0.43Hz)、切削バイト20の振動数F1は50Hzの正弦波に設定し、周期比は115.4となった。切削バイト20の振幅は45μmに設定した。切削バイト20は超硬バイトを用い、バイトの刃先半径rは0.8mm、工具送り速度は0.3mm/revに設定した。
この結果、円周方向には約115個の凹凸形状が形成され、周期比が整数でないことより軸方向で隣り合う凹凸も周期ずれのため凹凸周期が重ならず、図5、図6で示したように軸方向にランダムな形状が形成された。
本実施形態によれば、現像スリーブ132の外表面に従来のサンドブラスト加工により形成されるような突起状の凸部が無く、凹凸形状が切削加工によって旋削された形状である。
このため、現像剤の摩擦による突起部の脱落がなく、経年変化によっても、凹凸形状が摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できる。
また、現像スリーブ132に形成された凹凸形状の凹部に現像剤の多くが溜まり搬送されるが、凹凸が周方向にも軸方向にもランダムに配置されているため、現像スリーブ132の全面に亘り均一にムラ無く凹凸形状が配置されている。
特許文献1では、上述のように、現像スリーブの表面に、現像剤を保持する円形又は楕円形状の凹みを互いに重ならないように、規則的に又は不規則的に多数形成して現像剤のスリップを抑制する構成が開示されている。
しかしながら、如何に凹みの数を密にしても、各凹みは現像スリーブの表面に独立して形成されているため、少なからずピッチムラ(濃度ムラ)が生じる。
特許文献1の方法では、如何に凹みの数を密にしても、現像スリーブの表面積に対する凹みの面積率は50〜65%程度が限界である。
これに対し、本実施形態では100%が可能であり、特許文献1に記載の方法に比べて現像剤の搬送均一性を向上させることができる。
現像スリーブ132の表面に凹凸形状を形成した後、高硬度で低摩擦の保護膜を形成してもよい。このようにすれば、現像剤に対する耐摩耗性が向上し、現像スリーブ132の経時劣化を抑制することができる。
現像装置113、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106K及び画像形成装置101は、前述した現像ローラ115を備えているので、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のムラが生じることを防止できる。
本実施形態では、凹凸形状の現像スリーブ132の周方向の断面を円弧(正弦波形)としたが、矩形形状にしても良い。
切削バイト20の駆動制御を矩形波にすることで凹凸形状が鋭角になり、搬送性が増加する。しかし、切込み深さや振動数が大きくなると切削バイト20の追従性が劣り、同一な凹凸形状が得られにくくなる。
よって、正弦波が最も安定した制御波形であるが、現像スリーブに対する機能によって、矩形波系、ランプ波形(のこぎり波形)、非対称曲線などバリエーションが多いことも本発明の利点である。
本実施形態では、上記のように、現像スリーブ132の両端を保持し、外径面の切削加工を行うため、回転軸に対する現像スリーブ132の同軸性が精度良く仕上げられる。
これは加工前ワークの振れ精度(同軸度ないし真円度)に関わらず、常に良好な回転振れ精度の現像スリーブ132を提供することができる。
すなわち、図16に示すように、現像スリーブ132の外径面132aの真円度が無くても、切削バイト20による切削が現像スリーブ132の外径面全体に及ぶように凹凸形状を形成すれば、加工後の外径面132a’は振れ精度の高い表面となる。
図16において、ハッチングで示す部分は切削バイト20により切削された部分を示している。
現像スリーブ132の外径面全体を切削しない場合には、現像スリーブ132の表面の一部が凸部4を構成する。この場合、凸部4において円周方向に切削しない領域(幅)が存在していてもよい。
図17に示すように、現像ローラ115はドクタブレード116との隙間(ドクタギャップ)gを一定に回転しなければ、現像剤126の規制量(搬送量)が変動する。
そのため、現像スリーブ132の振れ精度は重要機能である。ブラスト工法ではブラスト処理でスリーブの曲がりが発生するが切削工法ではその不具合がない。
ドクタギャップgは現像装置の性能にもよるが、0.2〜0.6mm(中心約0.4mm)を狙うことが多い。よって、現像ローラ115の振れ精度が0.03mmの場合には約8%のギャップ回転偏差が生じる。
現像ローラの回転の振れによっても、回転周期でドクタブレードと現像ローラ外表面との間隔が変動し、トナー供給量の周期変動が生じて画像においては通紙方向の周期的な濃度ムラが生じる。この現象はバンディングと呼ばれている。
本実施形態では振れ精度0.01mm以下を狙い、ギャップ回転偏差3%以下にし、現像剤の搬送量の安定化、バンディング低減を実現した。更に、感光体ドラム108との隙間変動も小さくできることより、現像ムラに関して利点がある。
本実施形態では、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えているがこれに限定されない。
プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良い。
また、現像装置113は、プロセスカートリッジ106を介さずに直接装置本体102に備えられていても良い。
本発明者らは、以下に示す構成の異なる複数の現像スリーブを作製して、上述した画像形成装置に組み込み、本発明の効果を確認するための評価実験を実施した。
[実施例1]
外径が25mmの円筒状のステンレス管の表面に、図11に示す表面加工装置を用い、ノーズ半径rが0.8mmの超硬バイトを用いて外径を加工した。ステンレス管は両軸保持後、26rpmの回転数で回転させた。
切削バイト20の振動は、全振幅45μm/周波数50Hzの正弦波をピエゾアクチュエータで駆動制御した。
切削バイト20の切削送りは0.3mm/revに設定し、全長約300mmに亘り切削油を供給しながら加工した。
その結果、図5、6に示すような凹凸形状が現像スリーブ132の全面に形成された。
[実施例2]
実施例1と同様の構成で、ステンレス管は両軸保持後、105rpmの回転数で回転させた。切削バイト20の振動は、全振幅45μm/周波数80Hzの正弦波をピエゾアクチュエータで駆動制御した。
切削バイト20の送りは0.4mm/revに設定し、円周方向に約45個の凹凸形状を形成した。その結果、図18、図19に示すような、周期が長く、軸方向にも複雑な凹凸形状を形成できた。
図20は、図18の一部を分かりやすく表示した平面図である。
図7で説明したのと同様に、現像スリーブ132の表面には、凹部2と凸部4とからなる凹凸形状が円周方向であるY方向に連続して形成されている。
凹凸形状の連なり(列)は、現像スリーブ132の軸方向に直交するY0方向に対して若干角度を有するY1方向に形成されており、これにより凹凸形状の連なりは軸方向には螺旋状に繋がっている。
[実施例3]
実施例1において、ステンレス管を外径が同じアルミニウム管に変更し、図5、6に示したのと同様の凹凸形状を得た後、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)硬質膜を蒸着により約0.5μmの膜厚で被覆した。
[比較例1]
実施例1と同様の円筒状のステンレス管の外表面に、軸方向全長に亘り深さ0.2mmのV字型の溝を周方向に間隔をあけて50本、全長約300mm亘って形成した。
[比較例2]
実施例1と同様の円筒状のステンレス管の外表面に、サンドブラスト工法で高さが10〜20μmの微小な凹凸を形成した。
[比較例3]
図28に示すように、実施例1と同様の円筒状のステンレス管の外表面に、長さ約1mm、幅約0.3mm、深さ約40μmの窪み139を規則的に円周方向に約150個、軸方向に約600個形成した。
窪み139はエンドミル刃で旋削した。現像スリーブの全表面積に対する全窪み面積(累計)は約55%であった。この窪みの配置形状は特許文献1の図4と同様である。
実施例1〜3、比較例1〜3を上述した画像形成装置101に組み込んで、ベタ画像を記録紙上に形成した。
画像形成に用いた現像剤は、フェライトを芯材として帯電調整剤を含有した樹脂コート層を有する平均体積粒径が35μmの磁性粒子と、乳化重合法により製造され、ポリエステルを主成分として帯電制御剤、色剤を混合し、その周りにシリカや酸化チタン等を外添した、平均体積粒径が5μmのトナーと、により構成されている。
トナー濃度は7wt%に調整してヘンシェルミキサーで混合したものを用いた。
また、画像形成のプロセス条件は、感光体表面電位を−700V、露光電位を−150V、現像バイアス電圧を−550Vとした。
各現像スリーブについてベタ画像を10枚形成し、現像スリーブの最初の一周に相当する領域(第1領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行い、現像スリーブの最初の一周以降に相当する領域(第2領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行った。
第1領域と第2領域とについて測定した濃度を用い、以下に示すように各評価を行った。
(画像濃度評価)
第1領域及び第2領域について測定した濃度の平均値(すなわち、第1領域と第2領域とを合わせた濃度の平均値)を算出して、この平均値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)以上である。
×:測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)未満である。
(濃淡ムラ評価)
第1領域について測定した濃度の平均値と、第2領域について測定した濃度の平均値との差分値を算出して、この差分値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)未満である。
×:濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)以上である。
(ピッチムラ評価)
10枚のベタ画像を目視により確認して、以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:ピッチムラが確認されたベタ画像がない。
×:ピッチムラが確認されたベタ画像が1枚以上あった。
(ピッチムラ評価:現像ローラ回転周期ピッチ)
10枚のベタ画像を目視により確認して、以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:現像ローラ回転周期ピッチムラが確認されたベタ画像がない。
×:現像ローラ回転周期ピッチムラが確認されたベタ画像が1枚以上あった。
評価結果を表1に示す。
Figure 2016105162
表1に示すように、実施例1〜3において、画像濃度、濃淡ムラ、ピッチムラにいて良好な結果が得られた。
現像剤汲上げ量も狙い値の50mg/cmにドクタギャップを設定した結果、実施例では比較例よりドクタギャップを狭く設定することができた。
ドクタギャップを狭く設定できることで、ドクタギャップ通過時の現像剤に作用する圧力(規制力)が低減し、現像剤の劣化抑制や飛散の防止にメリットがある。
特に比較例1〜3のピッチムラは、現像ローラ回転周期に起因するピッチのムラが顕著に見られ、振れ(同軸度)精度の最も大きい比較例2でのピッチムラのレベルが最も悪い結果となった。
上記実施例及び比較例で使用した現像スリーブ用の素管は、引き抜き冷間加工後、両端部を仕上げ、外径部をセンタレス研磨で仕上げた素管のため、素管の曲がり≒振れ(同軸度)精度については、ばらつきが発生する。
このため、比較例1〜3の工法では素管の振れ精度に倣うか若しくは、精度が悪化(曲げ変形)するが、本実施例では全面を切削加工するため、振れ精度は加工前の素管に対して精度良く仕上げられ、ピッチムラ評価に寄与したと考えられる。
また、100K(10万)枚印刷後の濃度は、比較例2では表面の凹凸が磨耗し、現像剤汲上げ量が減少したことが挙げられる。
図21乃至図27に基づいて第2の実施形態を説明する。上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、既に説明した構成上及び機能上の説明は適宜省略する。なお、以下では凹部や凹み、窪みを統一して「窪み」と記載する。
上述したように、図28で示した窪み139の深さが深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。一方、窪み139の深さが浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが、現像剤の搬送性能が低下する。
特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。
本実施形態では、窪みの深さを浅めに設定し、且つ、図23(a)に示すように、配列周期が異なる2種類以上の窪み、例えば窪み40A、窪み40Bを形成することにより、窪みの総和、分布密度を増やすことで現像剤の搬送性向上とピッチムラ抑制との両立を図っている。
2種類以上の窪みとは、現像スリーブの表面における開口面積、軸方向の縦幅、円周方向の横幅、径方向の深さ及び軸方向に対する傾斜角度のうち、少なくとも1つが異なっている窪みをいう。
まず、図21に基づいて、配列周期が異なる2種類以上の窪みを形成するための表面加工装置1’の構成を説明する。図11で説明した表面加工装置1とは工具6が異なっている。図21(a)に示すように、表面加工装置1’における工具6’には、スライダ18の上面に固定された工具本体32と、工具本体32の上端部に固定された工具回転用駆動源としてのモータ33と、モータ33の出力軸34に取り付けられた回転工具としてのエンドミル35と、が備えられている。
モータ33は、図21(b)に示すように、出力軸34が工具本体32の上端部からチャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。
モータ33の出力軸34は、その軸芯がベース3の表面と平行で且つチャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。
エンドミル35は、全体として円柱状に形成され、モータ33の出力軸34の先端部に取り付けられている。このため、エンドミル35は、その軸芯がベース3の表面と平行で且つチャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。また、エンドミル35は、工具本体32の上端部からチャックピン11、15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。
エンドミル35は、図21(c)に示すように、円柱状の本体部36と、複数の切削刃37とを備えている。本体部36は、モータ33の出力軸34に取り付けられる。切削刃37は、本体部36の現像スリーブ132寄りの先端部に周方向に間隔をあけて設けられている。切削刃37は、図21(d)に示すように、本体部36の先端部の外縁よりもエンドミル35の外周方向に突出して設けられ、螺旋状に延びるように形成されている。
エンドミル35の切削刃37の先端の外縁形状38の断面は、図21(c)に示すように、鋭角をなすように形成されている。
ここではエンドミル35の切削刃37の数を2枚として表示しているが、実際には図21(e)に示すように、4枚構造のものを使用している。
モータ33が回転するとエンドミル35がその軸芯回りに回転し、現像スリーブ132の外表面に窪みが形成される。
図22に示すように、本実施形態における制御装置39は制御装置25と同様のコンピュータで、工具移動部5の移動用アクチュエータ19と、工具回転用駆動源としてのモータ33などと接続されており、これらを制御して、表面処理装置1’全体の制御を司る。
制御装置39は、現像スリーブ132の外表面に窪みを多数形成する際には、モータ31で現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させて、モータ33でエンドミル35をその軸芯回りに回転させながら、移動用アクチュエータ19により工具を現像スリーブ132の軸芯(長手方向)に沿って移動させる。
エンドミル35の回転に伴い切削刃37が断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施し、窪みが多数形成される。
このとき、切削刃37の外縁の曲率半径により現像スリーブ132の長手方向の窪みの円弧の曲率半径を定め、切削刃37の切り込み量により窪みの深さを定める。工具6’の移動速度により窪みの現像スリーブ132の長手方向の間隔を定める。
現像スリーブ132の外表面に周方向に設ける窪みの数をn、モータ31の回転数即ち現像スリーブ132の回転数をN1、エンドミル35の切削刃37の数をm、エンドミル35の回転数をN2とすると、制御装置39は、以下の式1を満たすように、モータ31と移動用アクチュエータ19と、モータ33を制御する。
N2=N1×〔m/[(n/2)−0.5]〕・・・式1
制御装置39は、これらの各要件を適宜変更することで、窪みの大きさや密度を任意に変更して、現像スリーブ132の外表面を加工することができる。
さらに、制御装置39には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
次に、表面処理装置1’を用いて現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、窪みを形成する工程を、以下に説明する。
まず、制御装置39に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、工具6’のエンドミル35を加工開始位置、すなわち現像スリーブ132の一方の端部に位置付けた後、窪みが形成される前の現像スリーブ132を保持部30に保持する。このとき、現像スリーブ132とチャックピン11、15などが同軸になる。
入力装置から作業開始命令を入力すると、前述した式1に基づいて、制御装置39が、モータ31と、移動用アクチュエータ19と、モータ33を駆動する。軸芯回りに回転するエンドミル35の切削刃37が、断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施すことで、窪みが形成される。
モータ31と、移動用アクチュエータ19と、モータ33が同時に駆動されるので、軸芯回りに回転されるエンドミル35によって現像スリーブ132の外表面に切削加工が施されて窪みが形成される際に、エンドミル35と交差する状態に配置された現像スリーブ132がその軸芯回りに回転されながら、エンドミル35と現像スリーブ132とが現像スリーブ132の長手方向に相対的に移動されて、窪みが形成される。
エンドミル35が、現像スリーブ132の加工終了位置、すなわち現像スリーブ132の他方の端部に位置付けられて切削加工が終了すると、モータ31と、移動用アクチュエータ19と、モータ33が停止される。
スライド保持部8を固定保持部7から離して、チャックピン11、15間から外表面に窪みが多数形成された現像スリーブ132を取り出し、新たな現像スリーブ132を保持部30に保持させる。
こうして、現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、外表面に窪みを多数形成した現像スリーブ132が得られる。
<窪みの配置について>
図23に本実施形態の窪みの配置等を示す。(a)は現像スリーブ132の周方向の展開図、(b)は(a)のM線における一定範囲の窪みの断面プロファイル、(c)は(b)の一部分の拡大図である。
図23(a)に示すように、窪み40Aと、これよりも開口面積が小さく配列周期が異なる窪み40Bとが混在しているが、窪み40Aと窪み40Bはスリーブ回転数、エンドミル回転数を異なる設定で個々に加工したものである。
窪み40Aは、スリーブの径方向の切込み深さ(設定値)80μmで、長手方向(Z方向)の幅約0.8mm、短手方向(Y方向)の幅約0.3mm、深さ約50μmの形状を有し、長手方向に対してほぼ水平(平行)に配置されている。
窪み40Bは、切込み深さ(設定値)50μmで、長手方向の幅約0.45mm、短手方向の幅約0.2mm、深さ約30μmの形状を有し、長手方向に対して2〜3°左下がりとなっている。
窪み40Aは165個/周、窪み40Bは225個/周の密度で配置され、配列周期は11:15となっている。周方向で窪み40Aに窪み40Bが完全に重なることによる窪み面積の低下を抑制できるように、周方向の窪み40Aと窪み40Bの周期が設定されている。すなわち、開口面積の大きい窪み40Aは疎に、開口面積の小さい窪み40Bは密になるように周方向に配置されている。
窪み40A、窪み40B共に、エンドミル35の長手方向の送り速度は0.5mm/revに統一し、窪み40Bの切込み位置を窪み40Aに対して0.3mm長手方向でずらしている。
窪み40Aの開口面積が窪み40Bより大きいため、周方向、長手方向の各窪みの重なり度合いが大きくなると、窪み40Bが窪み40Aに隠れてしまい、窪み面積の低下、窪み重複周期が現像剤の搬送量の周期偏差(窪みの均一分散性の低下)となり、画像濃淡ムラが生じる。これを防止するために切込み位置をずらしている。
配列周期が11:15と異なることにより、ランダムなパターン配列となり、周期偏差が生じ難い。
図23(b)に示すように、窪みの任意の断面プロファイルは、2種類の窪みの重なりによって、不定形で周期性が分散した形状となっている。長手方向においても均一性は見られないが、図23(c)に破線で示すように、大きな窪み形状を有していることが確認できる。
特に窪み形状の小さい窪み40Bを窪み40Aよりも多く配置することにより、その傾向が一層大きくなる。
<窪み加工で発生するバリの処置について>
窪みを切削加工するに当たり、窪みのエッジ部(輪郭部)においてはバリが発生する。図24(a)に示すように、切削工具41の底部では加工力が被削材42に集中して作用するため削り取られるが、被削材との境界部では加工力が被削材で負担し切れずに、加工力に対して被削材が変形し、バリ43が発生する。
本実施形態では、切削工具41はエンドミル35の切削刃37に相当し、被削材42は加工前の現像スリーブ132に相当する。
現像スリーブ132の表面に窪みを形成すると、図24(b)に示すように、エッジ部E1、E2が形成され、窪み40Aと窪み40Bとの境界部にもエッジ部E3が形成される。
エッジ部にバリが残っている状態で現像スリーブ132の表面に硬質コート膜44を形成すると、図24(c)に示すように、エッジ部分が盛り上がり、盛り上がった部分は現像剤の搬送抵抗により磨耗する。よって現像剤搬送能力の経年劣化を生じ、画像濃度の低下や画像ムラを生じるため、予めバリを除去した形状状態にする必要がある。
バリの除去方法としては、テープ研磨、ブラシ研磨、ラップ研磨、ブラスト研磨、電解研磨等の仕上げ加工を実施する。
バリを除去してもエッジ部がそのまま存在すると、現像剤の搬送抵抗がエッジ部に集中しエッジ部が磨耗することにより初期と経時での形状差による現像剤搬送能力が変化することになる。
本実施形態では、図25(a)に示すように、窪みを形成した後、バリ処理、エッジ部を滑らかな丸み形状(以下、「湾曲形状」という)にする処理を施し、その後に図25(b)に示すように、硬質コート膜44を形成している。
バリ処理、エッジ部の湾曲形状処理は、除去作用となるため、上記加工でも除去能力の高い工法が用いられる。研磨能力の大きな番手の研磨テープ、メディアを利用する、或いは加工時間を長くする。その際、窪みの研磨、バリ除去と共に面粗度も大きくなることがある。
現像剤の搬送機能を窪みの形状で規定するのが本発明の趣旨である。面粗度によっても現像剤の搬送機能を持たせることができる。
現像システムの設計プロセスに拠る所であるが、部品の面粗度に上限、下限を設けて管理する必要が生じることもあり、製品製造上の課題が生じる。面粗度規格片側の規格で管理する方が製造上望ましい。
よって、本実施形態では、弾性体メディアに微小研磨剤を含有させたブラスト工法を採用した。この工法では、メディアの衝突エネルギーが弾性体メディアに吸収されるため、必要以上に加工面の面粗度を大きくすること無く、バリやエッジ部の湾曲形状処理が可能となる。
窪みの重複部境界のエッジ部でも同じで、角部に湾曲形状を形成し、経時磨耗に対処することが必要である。
エッジ部を湾曲形状にすると、角形状に比べて現像剤の搬送量が低下する傾向にある。これは窪みでの現像剤がスリップする作用が低下して、スリーブ上に停滞できずに搬送性が低下するためである。
しかしながら、本実施形態のように、その欠点を補足するように窪み数を増加させ、窪み境界部にも湾曲形状のエッジ部を形成することにより、現像剤の搬送性低下の課題を解決することができる。
<成膜、コートについて>
近年の画像形成装置分野では、従来のオフィス向けのコピー機、プリンターの領域から、大量、高速、高画質及び高耐久性の印刷分野であるPP機(プロダクティング・プリンタ)分野への応用が検討されている。
本実施形態に係る現像ローラを大量印刷機(PP機)に応用する際には、現像ローラに作用する現像剤搬送抵抗は格段に大きなものになり、更に耐久性(耐経年劣化)の要求レベルも高くなる。
そこで、現像スリーブ132には金属性材料を用い、その表面に硬質コート膜を成膜することで対応する。膜厚が大きくなり過ぎると、窪み形状の輪郭、エッジ部の形状が変化したり、窪み間で形状のばらつきが生じるため、0.1〜3μm程度の薄膜コートを実施する。
硬質コート膜44の成膜方法は、ロールコート、スプレー塗装、蒸着(PVD、CVD)等の工法の中でも薄膜均一性、低温処理が可能なことよりPVD(物理蒸着)を用いる。低温処理によりスリーブの金属材料に熱応力を負荷させずに済み、形状精度の安定性に効果がある。
成膜材料は、TiN、TiAlN等のチタン化合物、Si、Cr系の耐熱材料等多くに渡るが、高硬度、耐磨耗性の観点よりDLCコートが望ましい。DLCコートの中でも最近処理に炭酸ガス処理をしないta−c(テトラヘデラルアモルファスカーボン)により、硬度の増加、摩擦係数の低下により、現像剤の融着を防止できる効果が期待される。
ta−cコートの硬度はビッカース硬度でHv5000〜7000で、耐磨耗性に対して大きな効果があるが、スリーブ素材を汎用のアルミニウム素材(AL6063−T5)とした場合には硬度はHv80程度であり、硬度差が大きく膜の密着性に問題が生じることもある。
非磁性金属材料としてのスリーブ素材はアルミニウムより高硬度なステンレス材料(SUS304、Hv200)を用いた方が、ta−c膜の密着性が優れ、窪み形状、輪郭の形状に倣って成膜されるため、成膜厚みの不均一、下地との密着不均一が改善され、経時使用での局所的な磨耗、剥がれ等の劣化に対して適している。
成膜はエッジ部での湾曲形状の方が角部形状より形状の倣い性が良く、湾曲形状が成膜後も再現されるメリットがある。上述のように角部形状では先端部で成膜材料の盛り上がりが生じ易く、強度等の膜品質も劣る。
<現像ローラの振れ精度について>
現像ローラはドクタブレード116との隙間(ドクタギャップ)を一定に回転しなければ、現像剤の規制量(搬送量)が変動する。そのため、現像スリーブの振れ精度は重要機能であり、特に前述のブラスト工法では、ブラスト処理でスリーブの曲がりが発生、溝加工の引き抜き加工においてもスリーブの曲がりが発生することが課題であった。
ドクタギャップは現像装置の性能にもよるが、0.2〜0.6mm(中心約0.4mm)を狙うことが多い。よって、現像ローラの振れ精度が0.03mmの場合には約8%のギャップ回転偏差が生じる。
本発明では、スリーブ両端部をチャッキングする旋盤加工を採用したため、振れ精度0.01mm以下を狙い、ギャップ回転偏差を3%以下にし、現像剤の搬送量の安定化、バンディング低減を実現した。
更に、感光体ドラム108との隙間変動も小さくできることより、現像ムラに関して利点がある。
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。
しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。
また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを備えている。
しかしながら、本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを必ずしも備えていなくても良い。
[実施例]
以下に示す構成の異なる複数の現像スリーブを作製して上述した画像形成装置に組み込み、本発明の効果を確認するための評価を実施した。
(実施例1)
外径25mmの円筒状のステンレス管の表面に下記の条件で窪み40A、窪み40Bを形成した。
(1)窪み40A
エンドミル35の外径3mm、刃数(4)、外縁形状38の曲率半径=0.17mm)
現像スリーブ132の回転数:192rpm
エンドミル35の回転数 :7900rpm
エンドミル35のスリーブ長手方向の移動速度:0.5mm/rev
切込み深さの設定値 :80μm
(2)窪み40B
エンドミル35の外径3mm、刃数(4)、外縁形状38の曲率半径=0.15mm)
現像スリーブ132の回転数:220rpm
エンドミル35の回転数 :12400rpm
エンドミル35のスリーブ長手方向の移動速度:0.5mm/rev
切込み深さの設定値 :50μm
窪み40Aを現像スリーブ132の全面に加工後、窪み40Bの加工を実施した。
円周上に窪み40Aは約165個、窪み40Bは225個が等間隔に形成され、0.5/revの速度でスリーブ長手方向に移動するため、それぞれ螺旋状に全面形成される。窪み個数は、窪み40A:窪み40B=165:225=11:15と設定した。
工法として、円周方向の窪み加工開始位置を制御するのが困難なため、仮に窪み40A、窪み40Bが完全に重なった状態が発生しても次回の重複は、窪み40Aが次11個目、窪み40Bが15個となり、周期的なパタ−ンを目立たなくし、巨視的にはランダムな窪みパターンを形成するためである。
窪み40A、窪み40Bの長手方向の送り速度(=長手方向の間隔)は同じであるが、加工開始位置を窪み40Bで0.3mmずらし、双方の窪みの重なり面積を大きく取れるように設定した。
窪み40Bは、窪み40Aより個数が多いためその深さ設定を小さくし、窪みがランダムに重ねリ合うように設定した。
実際の深さ実測値は、窪み40Aが50〜55μm、窪み40Bが30〜35μmであった。窪み40Aはほぼ長手方向に水平な形状で形成され、窪み40Bはエンドミルの回転数が早いため、若干左下がりに2〜3°傾いた形状となった。
また、窪み40Bの形状を小さく設定するため、すなわち相似的に小さくするため、エンドミル35の外縁形状(コーナー形状)38を窪み40Aに対して小さく設定し、切込み設定を小さくした。
窪みの分布を図23(a)に、断面プロファイルを図23(b)に示す。
窪みのエッジ部と窪みの重複境界部のバリ処理、湾曲形状形成のために前述の弾性体メディアを利用したブラスト加工を実施した。角部の湾曲形状処理ができ、湾曲形状は観察推定より0.02〜0.05mm程度となった。また、面粗度も素材Raで0.3μmが0.5〜0.6μmとなり、大きな変化は生じなかった。
洗浄後、スリーブ表面にta−cを膜厚約0.1μm、PDV方式(物理的蒸着)で成膜した。前工程でエッジ部のバリの除去、湾曲形状化、面粗度精度を維持したため、成膜の密着性、膜厚ムラが小さく、窪み輪郭境界部も湾曲形状に倣うように均質成膜が可能となった。
こうして得られた現像スリーブ132内にマグネットローラ133を収容し、現像ローラ115を製造した。
(実施例2)
外径25mmの円筒状のステンレス管の表面に下記の条件で窪み40A(実施例1)と、窪み40Bを形成した。
(1)窪み40A
エンドミル35の外径3mm、刃数(4)、外縁形状38の曲率半径=0.17mm)
現像スリーブ132回転数:192rpm
エンドミル35回転数 :7900rpm
エンドミル35のスリーブ長手方向の移動速度:0.5mm/rev
切込み深さの設定値 :80μm
(2)窪み40B
エンドミル35の外径3mm、刃数(4)、外縁形状38の曲率半径=0.15mm)
現像スリーブ132の回転数 :192rpm
エンドミル35の回転数 :12400rpm
エンドミル35のスリーブ長手方向の移動速度:0.5mm/rev
切込み深さの設定値 :50μm
窪み40A、窪み40Bの加工で現像スリーブ132の回転数を同じに設定した。図26に示すように、表面加工装置1’を現像スリーブ132の径方向に対向配置し、窪み40Aと窪み40Bの同時加工を実施した。
図中左側のエンドミル35Aが窪み40A用、右側のエンドミル35Bが窪み40B用である。
図26(a)における矢印SRは現像スリーブ132の回転方向を、符号dAは窪み40Aの切り込みを、dBは窪み40Bの切り込みをそれぞれ示している。
窪み40Bの加工は、エンドミルの回転方向を窪み40A側と逆回転にして、エンドミルの切込み状態を窪み40Aと同様に設定した。
図26(b)の白抜きの矢印はエンドミル35の送り方向を、符号fはエンドミル35Aとエンドミル35Bとの間における送り方向の位置ずれ(ギャップ)を示している。
窪み40Aと窪み40Bとを同時に加工することで、下記の2つの効果が挙げられる。
(1)加工時間の短縮
(2)互いのワークに作用する加工力が対向しているため、片側加工の際に発生し易いワークへの曲げ作用力を打消すことができ、振れ精度の良好な現像スリーブを加工することができる。
円周上に窪み40Aは約165個、窪み40Bは260個が等間隔に形成され、0.5/revの速度でスリーブ長手方向に移動するため、それぞれ螺旋状に全面形成される。
実際の深さ実測値は、窪み40Aが50〜55μm、窪み40Bが30〜35μmであった。窪み40Aはほぼ長手方向に水平な形状で形成され、窪み40Bはエンドミルの回転数が早いため、若干左下がりに3°程傾いた形状となった。
加工後の窪みの分布図(写真画像図)を図27に示す。
その後、実施例1で記載したブラスト加工、ta−c成膜蒸着を実施した。こうして得られた現像スリーブ132内にマグネットローラ133を収容し、現像ローラ115を製造した。
(比較例1)
外径25mmの円筒状のステンレス素管の外表面に実施例1の窪み40Aの形成条件で現像スリーブを製作した。すなわち、窪みは窪み40Aの1種類である。
窪みの分布を図29に示す。図29(a)は図23(a)と同様の展開図、(b)は(a)のN1、N2線における窪みの断面プロファイルを示す図である。窪みの分布図(写真画像図)を図30に示す。現像スリーブ全体の外観は図28と同じである。
その後、実施例1で記載したブラスト加工、ta−c成膜蒸着を実施した。こうして得られた現像スリーブ内にマグネットローラ133を収容し、現像ローラを製造した。
(比較例2)
外径25mmの円筒状のステンレス素管の外表面に、軸方向全長に亘り深さ0.2mmのV字型の溝を周方向に等間隔に50本を全長に亘って水平方向に形成した。
加工方法は刃先形状が60°、周方向に50刃(7.2°ピッチ)のダイスを用い、スリーブをダイスの内径に挿入し、溝形状を表面に転写させる冷間引き抜き工法を用いた。
その後、実施例1で記載したブラスト加工、ta−c成膜蒸着を実施した。こうして得られた現像スリーブ内にマグネットローラ133を収容し、現像ローラを製造した。
実施例1、2、比較例1、2の現像ローラを上述した画像形成装置101に組み込んで、画像濃度ムラ及び経時での画像濃度ムラを確認した。
画像形成に用いた現像剤は、フェライトを芯材として帯電調整剤を含有した樹脂コート層を有する平均体積粒径が35μmの磁性粒子と、乳化重合法により製造され、ポリエステルを主成分として帯電制御剤、色剤を混合し、その周りにシリカや酸化チタン等を外添した、平均体積粒径が5μmのトナーと、により構成されている。
トナー濃度は7wt%に調整してヘンシェルミキサーで混合したものを用いた。また、画像形成のプロセス条件は、感光体表面電位を−700V、露光電位を−150V、現像バイアス電圧を−550Vとした。
画像の濃度ムラは感光体全面を露光し、全面黒画像(ベタ画像)で評価した。現像トナーが最大出力で感光体側に電界移動するため、現像ローラの現像の搬送能力が不足の際には、現像開始部(紙面上側)から徐々に濃度低下、濃度ムラ(不均一)が生じる。
また、経時劣化を確認するため、300,000枚(300K)後のベタ画像の確認も実施した。評価するベタ画像以外は、印刷面積約5%のパターンチャートでランニング印刷運転を実施した。
<画像濃度評価方法>
各現像スリーブについてベタ画像を10枚形成し、現像スリーブの最初の一周に相当する領域(第1領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行い、現像スリーブの最初の一周以降に相当する領域(第2領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行った。
そして、これら第1領域と第2領域とについて測定した濃度を用い、以下に示すように各評価を行った。
(画像濃度評価基準)
第1領域及び第2領域について測定した濃度の平均値、すなわち、第1領域と第2領域とを合わせた濃度の平均値を算出して、この平均値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)以上である。
×:測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)未満である。
(濃淡ムラ評価)
第1領域について測定した濃度の平均値と、第2領域について測定した濃度の平均値との差分値を算出して、この差分値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)未満である。
×:濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)以上である。
(ピッチムラ評価)
10枚のベタ画像を目視により確認して、以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:ピッチムラが確認されたベタ画像がない。
×:ピッチムラが確認されたベタ画像が1枚以上あった。
(ピッチムラ評価:現像ローラ回転周期ピッチ)
10枚のベタ画像を目視により確認して、以下の評価基準に基づき評価を行った。
○:現像ローラ回転周期ピッチムラが確認されたベタ画像がない。
×:現像ローラ回転周期ピッチムラが確認されたベタ画像が1枚以上あった。
表2に評価の結果を示す。
Figure 2016105162
表2から明らかように、実施例1、2において、画像濃度、濃淡ムラ、ピッチムラについて、経時において良好な結果が得られた。比較例1では、経時において画像濃度の低下が見られた。
現像スリーブ表面、特に窪み輪郭部の磨耗が確認され、中にはta−c膜が局所的に剥がれていることも確認された。
実施例1、2においてもta−c膜の磨耗は確認されたが、窪み数が多く、現像剤のストレスが各窪みに分散されたためか、比較例1よりも軽度の磨耗状態であった。
比較例2では、現像剤の画像濃度、現像剤の汲上げ量の経時劣化は見られなかったが、初期より溝ピッチに起因すると思われるピッチムラが発生していた。
上記のように、現像スリーブの表面上に配列周期の異なる2種類以上の窪みを円周方向、軸方向に設けることで、高い現像剤搬送能力を有する現像ローラを提供できる。
2種類以上の窪みは、現像スリーブの表面における開口面積、軸方向の縦幅、円周方向の横幅、径方向の深さ及び軸方向に対する傾斜角度のうち、少なくとも1つが異なっている構成とすることで、種々の現像仕様に適合したスリーブ形状、現像ローラを提供できる。
各窪みの一部が重なって形成、配置されていることで、窪みの重なり部でのエッジ形状が現像剤の搬送性を向上する効果を持った現像ローラを提供することができる。
各窪みの形状を異なるようにし、相対的に面積の大きい窪みは疎に、面積の小さい窪みは密に配置することで、窪みパターンの均一化を図り現像ムラの低減、濃度画質の均一化が得られる。
窪みのエッジ部に湾曲形状を施すことにより、エッジ部の現像剤のストレス集中を軽減できるため、耐摩耗性に対して効果があり、経年劣化の生じ難い現像ローラを提供できる。
現像スリーブの表面に高硬度で低摩擦の膜が設けられていることにより、耐現像剤ストレス、低摩擦によるトナー溶着に対して効果があり、経年劣化の生じ難い現像ローラを提供できる。
現像スリーブの材質がオーステナイト系ステンレス鋼材料であることにより、成膜性の向上による耐磨耗性向上、または非成膜においても耐摩耗性機能を得ることができる。
2種類以上の窪みは機械加工(旋削、転造、レーザー加工等)で形成することにより、窪み配置パターンの均質化、スリーブ振れ精度の向上による高画質化を図ることができる。
また、大量、高速、高画質、高耐久機能が必要なPP分野(プロダクティブ・プリンティング)の製品に搭載することができる画像形成装置を提供できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
40A、40B 窪み
106 プロセスカートリッジ
113 現像装置
115 現像ローラ
132 現像スリーブ
133 磁界発生手段としてのマグネットローラ
E1、E2、E3 エッジ部
特開2009−080447号公報

Claims (15)

  1. 磁界発生手段と、
    前記磁界発生手段を内包し、前記磁界発生手段の磁力により表面に現像剤を吸着する現像スリーブと、
    を備え、
    前記現像スリーブの表面において、該現像スリーブの円周方向に複数の凹凸形状が連なり、且つ、前記凹凸形状の連なりが前記現像スリーブの軸方向に螺旋状に存在する現像ローラ。
  2. 請求項1に記載の現像ローラにおいて、
    前記円周方向における前記凹凸形状の断面形状が、正弦波形をなす現像ローラ。
  3. 請求項1又は2に記載の現像ローラにおいて、
    前記凹凸形状の連なりが前記円周方向に周期性を有し、前記軸方向における隣り合う列では凹凸の周期が重ならない現像ローラ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像ローラにおいて、
    前記凹凸形状が切削加工により形成されている現像ローラ。
  5. 請求項4に記載の現像ローラにおいて、
    前記現像スリーブの外径面の全体が切削加工で仕上げられている現像ローラ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像ローラにおいて、
    前記凹凸形状の連なりの螺旋ピッチが、前記凹凸形状の前記軸方向の幅よりも小さい現像ローラ。
  7. 磁界発生手段と、
    前記磁界発生手段を内包し、前記磁界発生手段の磁力により表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、
    を備え、
    前記現像スリーブの表面には、配列周期が異なる2種類以上の窪みが円周方向及び軸方向に設けられている現像ローラ。
  8. 請求項7に記載の現像ローラにおいて、
    前記2種類以上の窪みは、前記現像スリーブの表面における開口面積、前記軸方向の縦幅、前記円周方向の横幅、径方向の深さ及び前記軸方向に対する傾斜角度のうち、少なくとも1つが異なっている現像ローラ。
  9. 請求項7又は8に記載の現像ローラにおいて、
    前記各窪みは、それらの一部が重なって形成、配置されている現像ローラ。
  10. 請求項8又は9に記載の現像ローラにおいて、
    前記各窪みは前記開口面積が異なり、開口面積の大きい窪みは疎に開口面積の小さい窪みは密に配置されている現像ローラ。
  11. 請求項7〜10のいずれか1つに記載の現像ローラにおいて、
    前記窪みのエッジ部又は前記窪みと窪みとの境界部が湾曲形状をなすように処理が施されている現像ローラ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つに記載の現像ローラを有する現像装置。
  13. 像担持体と、請求項12に記載の現像装置とを一体に有するプロセスカートリッジ。
  14. 請求項12に記載の現像装置又は請求項13に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置。
  15. 磁界発生手段と、前記磁界発生手段を内包し、前記磁界発生手段の磁力により表面に現像剤を吸着する現像スリーブとを備えた現像ローラの表面加工方法であって、
    前記現像スリーブに対する切削加工の切込み量を、前記現像スリーブの回転とは独立に往復駆動させることで、前記現像スリーブの表面に、該現像スリーブの円周方向に複数の凹凸形状が連なるように形成するとともに、前記現像スリーブの軸方向の切削送りにより、前記凹凸形状の連なりが前記現像スリーブの軸方向に螺旋状に存在するように形成する現像ローラの表面加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017107147A (ja) * 2015-12-03 2017-06-15 住友ゴム工業株式会社 半導電性ローラおよびその製造方法

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