JP2016100322A - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返して荷重を受けても酸化チタン層の電気抵抗を低く維持可能なセパレータを提供する。
【解決手段】燃料電池スタックを構成する燃料電池単セル用のセパレータの製造方法は、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン層12が表面に形成されたチタン基材11を準備する工程と、酸化チタン層12が表面に形成されたチタン基材11を、500〜700℃の温度で、真空中で熱処理する工程と、を備える燃料電池用のセパレータの製造方法。酸化チタン層12が表面に形成されたチタン基材11を準備する工程は、チタン基材11を硫酸水溶液に浸漬してエッチングする工程と、前記エッチングされたチタン基材11を、空気中で熱処理することにより、チタン基材11の表面に酸化チタン層12を形成する工程と、を備える、燃料電池用のセパレータの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
燃料電池スタックを構成する燃料電池単セル用のセパレータの製造方法であって、チタン基材の表面に貴金属層を形成する工程と、貴金属層が形成されたチタン基材を300℃以上、800℃以下の温度下、1.33Pa(1×10−2Torr)以下の酸素分圧で熱処理する工程と、を備える、燃料電池単セル用のセパレータの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
燃料電池スタックでは、セパレータが膜電極接合体の両側に組み付けられることにより燃料電池単セルが形成されており、燃料電池単セルで生じた電流は膜電極接合体のガス拡散層及びセパレータを介して外部へ取り出される。したがって、ガス拡散層とセパレータとの接触抵抗はできるだけ小さくする必要がある。一方、セパレータは、燃料電池環境、すなわち強い酸性雰囲気に対して腐食されないように耐食性を有する必要がある。
チタンを基材に用いたセパレータでは、不動態皮膜である酸化チタン層が表面に形成されることにより耐食性が得られるが、酸化チタン層の電気抵抗が高いために接触抵抗が高くなってしまう。そこで、特許文献1では、耐食性を有し、電気抵抗の低い貴金属層が酸化チタン層の代わりにセパレータの表面に形成される。それにより、耐食性に優れ、接触抵抗の低いセパレータが得られる。また、貴金属層とチタン基材との間に酸化チタン層が存在したり、貴金属層のピンホールにチタン基材の一部が露出して酸化チタン層が形成されたりした場合でも、上記の熱処理の工程により、それら酸化チタン層が電気抵抗の低いルチル型又はブルッカイト型の酸化チタン層に変換される。それにより、不動態皮膜の電気抵抗が低くなり、耐食性に優れ、接触抵抗の低いセパレータが得られる。
特開2010−045038号公報
特許文献1のセパレータを用いた燃料電池システムでは、システムの運転条件の変動が繰り返されるのに伴い、燃料電池スタック内の温度や圧力の変動が繰り返される。それに伴い、チタン基材上の酸化チタン層は繰り返し様々な荷重を受けるので、酸化チタン層に割れが生じるおそれがある。割れが生じた場合、酸化チタン層の下方のチタン基材が表面に露出するため、露出したチタン基材に酸化剤ガスなどが反応して、新たに酸化チタン層が形成される。しかし、このようにして形成された酸化チタン層は非晶質であり高い電気抵抗を有するため、セパレータ上の酸化チタン層の電気抵抗が増加することになり、結果として接触抵抗が増加してしまう。繰り返して荷重を受けても、酸化チタン層の電気抵抗を低く維持可能なセパレータを提供し得る技術が望まれる。
本発明によれば、燃料電池スタックを構成する燃料電池単セル用のセパレータの製造方法であって、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程と、前記酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を、500℃以上、1000℃以下の温度下、真空中で熱処理する工程と、を備える、燃料電池用のセパレータの製造方法が提供される。
繰り返して荷重を受けても酸化チタン層の電気抵抗を低く維持可能なセパレータを提供できる。
燃料電池スタック用の燃料電池単セルの構成例を示す分解斜視図である。 セパレータの表面領域の構成例を模式的に示す断面図である。 燃料電池用のセパレータの製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施例の試料の表面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例の試料の表面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例の試料の表面を示す光学顕微鏡写真である。 実施例の空気中熱処理後のチタン基材の表面領域のTEM写真である。 図7の(3)で示される領域のEDX分析結果である。 図7の(3)で示される領域の電子線回折パターンである。 空気中熱処理の熱処理温度と酸化チタン層の抵抗値との関係を示すグラフである。 実施例の真空中熱処理後のチタン基材の表面領域のTEM写真である。 図11の(2)で示される領域の電子線回折パターンである。 比較例の繰り返し荷重試験前後での接触抵抗の測定結果を示すグラフである。 実施例の繰り返し荷重試験前後での接触抵抗の測定結果を示すグラフである。 真空中熱処理の熱処理温度と酸化チタン層の抵抗値との関係を示すグラフである。
まず、本発明の実施の形態に係る燃料電池単セル用のセパレータの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るセパレータを用いた燃料電池単セルの構成例を示す分解斜視図である。燃料電池単セル1は、カソード極側のセパレータ4、すなわちカソードセパレータ4c及びアノード極側のセパレータ4、すなわちアノードセパレータ4aがそれぞれ膜電極接合体5のカソード極5c側及びアノード極5a側に組み付けられることにより形成される。
カソードセパレータ4cの中央付近には、カソード極側(図に示す側)に酸化剤ガス供給路用の複数の溝を有し、カソード極と逆側(図に示さない側)に冷却媒体供給路用の複数の溝を有する流路領域3cgが設けられている。図1に示すカソードセパレータ4cでは流路領域3cgの複数の溝は一方向の流路であるが、サーペンタイン型の流路であってもよい。カソードセパレータ4cの長手方向の両端付近の領域、すなわちカソードマニホールド領域3cm1、3cm2には、カソードセパレータ4cを貫通するように、酸化剤ガスマニホールド用貫通口、冷却媒体マニホールド用貫通口及び燃料ガスマニホールド用貫通口が設けられている。流路領域3cgの複数の溝は、カソードセパレータ4cの一体成型で形成される。
アノードセパレータ4aの中央付近には、アノード極側(図に示さない側)に燃料ガス供給路用の複数の溝を有し、アノード極と逆側(図に示す側)に冷却媒体供給路用の複数の溝を有する流路領域3agが設けられている。図1に示すアノードセパレータ4aでは流路領域3agの複数の溝は一方向の流路であるが、サーペンタイン型の流路であってもよい。アノードセパレータ4aの長手方向の両端付近の領域、すなわちアノードマニホールド領域3am1、3am2には、アノードセパレータ4aを貫通するように、酸化剤ガスマニホールド用貫通口、冷却媒体マニホールド用貫通口及び燃料ガスマニホールド用貫通口が設けられている。流路領域3agの複数の溝は、アノードセパレータ4aの一体成型で形成される。
膜電極接合体5の中央付近には、電解質(図示せず)と、電解質の一側、すなわちカソードセパレータ4c側(図に示さない側)に設けられたカソード極5cと、他側、すなわちアノードセパレータ4a側(図に示す側)に設けられたアノード極5a(図示せず)とが設けられている。カソード極5c及びアノード極5aはそれぞれ電極触媒層(図示せず)とガス拡散層(図示せず)とを含んでいる。カソード極5cのガス拡散層はカソードセパレータ4cの酸化剤ガス供給路用の複数の溝に接し、アノード極5aのガス拡散層はアノードセパレータ4aの燃料ガス供給路用の複数の溝に接する。膜電極接合体5におけるカソード極5c、電解質及びアノード極5aが積層された領域の外周部分は樹脂フレームで形成されている。膜電極接合体5の長手方向の両端付近の領域、すなわちセルマニホールド領域5m1、5m2には、膜電極接合体5の樹脂フレーム部分を貫通するように、酸化剤ガスマニホールド用貫通口、冷却媒体マニホールド用貫通口及び燃料ガスマニホールド用貫通口が設けられている。なお、図1のセパレータの形状は一例であり、本実施の形態はその形状に限定されるものではなく、チタン基材を用いていれば他の形状を有していてもよい。
燃料電池単セル1を形成するために、膜電極接合体5の両側にカソードセパレータ4c及びアノードセパレータ4aが組み付けられると、カソードセパレータ4c、膜電極接合体5及びアノードセパレータ4aの酸化剤ガスマニホールド用貫通口、冷却媒体マニホールド用貫通口及び燃料ガスマニホールド用貫通口が厚さ方向Sに互いに整列されることにより厚さ方向Sに延びる通路、すなわち流体貫流路としての酸化剤ガスマニホールド、冷却媒体マニホールド及び燃料ガスマニホールドが画定される。
カソードセパレータ4c及びアノードセパレータ4aがそれぞれ膜電極接合体5のカソード極5c側及びアノード極5a側に組み付けられるとき、カソードセパレータ4cは膜電極接合体5の外周部分の樹脂フレームに接着剤により結着され、アノードセパレータ4aは膜電極接合体5の外周部分の樹脂フレームに接着剤により結着される。
図2は、セパレータ4の表面領域の構成例を模式的に示す断面図である。セパレータ4は、酸化チタン層12が表面に形成されたチタン基材11を備える。酸化チタン層12は、セパレータ4の一方の面、すなわちカソードセパレータ4cのカソード極側の面やアノードセパレータ4aのアノード極側の面だけでなく、他方の面、すなわち冷却水側の面にも形成される。酸化チタン層12は、後述される本実施の形態に係る製造方法を用いて製造され、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン(TiOx)を含有する。そのため、酸化チタン層12は、耐食性が高く、電気抵抗が低いだけでなく、繰り返して荷重を受けても割れが生じ難い、すなわち繰り返し荷重に強い。したがって、セパレータ4が燃料電池単セル1に組み付けられ、システムの運転中に繰り返して荷重を受けても、酸化チタン層12の割れが抑制され、高抵抗の酸化チタン膜の形成が抑制されるので、酸化チタン層12の電気抵抗を低く維持でき、その結果、セパレータ4とガス拡散層との接触抵抗を低く維持できる。
次に、本発明の実施の形態に係る燃料電池単セル用のセパレータの製造方法について説明する。
本発明の実施の形態に係るセパレータ4の製造方法は、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程と、酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を、500℃以上、1000℃以下の温度下、真空中で熱処理する工程と、を備えている。
酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程において、用いられるチタン基材としては、チタン、又は、それらを表面に被覆した材料が挙げられる。ただし、チタン基材は、酸化チタン層の特性に悪影響を与えない他の元素や不可避的な不純物を含み得る。チタン基材における結晶粒の粒径は、特に制限はないが、例えば1μm以上、数10μm以下が挙げられる。
また、酸化チタン層としては、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンが挙げられ、不可避的な不純物を含み得る。酸化チタンは、ルチル型の結晶構造を有していれば、絶縁体でなければ電気抵抗が多少高くてもよい。次工程の真空中の熱処理により酸素が膜中から適度に抜けて、酸素欠損が増加して、電気抵抗が低減するからである。酸化チタン層の厚みとしては、2nm以上、20nm以下であることが好ましい。厚みが薄すぎると繰り返し荷重に対して酸化チタン層に割れが発生し易くなり、厚みが厚すぎると酸化チタン層の厚み方向の電気抵抗が高くなるからである。
チタン基材を真空中で熱処理する工程において、圧力は、空気雰囲気から減圧したとき1.33×10−1Pa(1×10−3Torr)以下が好ましく、1.33×10−4Pa(1×10−6Torr)以下がより好ましい。圧力が1.33×10−1Paより高いと、加熱雰囲気中の酸素が酸化チタン中に取り込まれてルチル型の酸化チタン層の電気抵抗が高くなるからである。言い換えれば、酸素分圧が十分に低ければ必ずしも圧力が低い必要はない。例えばアルゴンのような不活性ガス雰囲気であれば、圧力は大気圧に近くてもよい。
また、熱処理の温度としては、下限は400℃より高いことが好ましく、500℃以上がより好ましい。上限はチタンの融点(1668℃)より低ければ特に制限はないが、1000℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましい。温度が400℃以下だと繰り返し荷重に対して電気抵抗を低く維持できる酸化チタンが得られず、温度が1000℃より高いと酸化チタン層としては問題ないが製造コストが増加してしまうからである。この温度範囲で熱処理を行うことにより、繰り返し荷重に対して電気抵抗を低く維持できるルチル型の酸化チタンが得られる。加熱の時間は特に制限はないが、例えば30分〜120分が挙げられる。
上記製造方法により、ルチル型の酸化チタンの繰り返し荷重に対する耐性が向上する。すなわち、繰り返して荷重を受けても酸化チタン層に割れが生じることを抑制できる。それにより、割れが生じた酸化チタン層の下方のチタン基材が表面に露出して、露出した酸化チタン層の下方のチタン基材が酸化して電気抵抗の高い酸化チタン層が形成される、ということを抑制できる。したがって、上記製造方法で製造されたセパレータを燃料電池単セルに用いたとき、セパレータが繰り返して荷重を受けても、酸化チタン層の電気抵抗を低く維持可能でき、それにより、セパレータとガス拡散層との接触抵抗を低く維持できる。
真空条件下、上記温度範囲で熱処理を行うことにより、繰り返し荷重に対して電気抵抗を低く維持できるルチル型の酸化チタンが得られる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。真空条件下での熱処理により、酸化チタンの隣り合う結晶粒同士で、結晶配向が揃うにことにより、結晶粒間の結合が強くなり、荷重に対しても強くなったのではないかと考えられる。
上記の酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程は、チタン基材を硫酸水溶液に浸漬してエッチングする工程と、エッチングされたチタン基材を、空気中で熱処理することにより、チタン基材の表面に酸化チタン層を形成する工程と、を備えることが好ましい。
チタン基材を硫酸水溶液に浸漬してエッチングする工程において、エッチング液として硫酸水溶液を用いるのは、チタン基材の表面に露出したチタンの結晶粒の境界である結晶粒界をエッチングできるだけでなく、結晶粒界の内側である結晶粒内もエッチングできるからである。結晶粒内がエッチングされることで、次工程において比較的低温でも結晶性の酸化チタン層、特にルチル型結晶構造を有する酸化チタン層を形成できると考えられる。硫酸水溶液の濃度としては、上限は60%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。下限は25%より大きいことが好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が特に好ましい。硫酸の濃度が25%以下だとエッチングがほとんど進まず、硫酸の濃度が60%より高いとエッチングが進み過ぎて、チタン基材が腐食し過ぎてしまうからである。また、エッチング温度としては、上限は、70℃未満が好ましく、65℃以下がより好ましく、60℃以下が特に好ましい。下限は、40℃より高いことが好ましく、45℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。温度が40℃以下だとエッチングが進まず、温度が70℃以上だとエッチングが進み過ぎて、チタン基材が腐食し過ぎてしまうからである。エッチングの時間は特に制限はないが、例えば30分〜120分が挙げられる。
エッチング後のチタン基材は、チタン基材の結晶粒界がエッチングされているだけでなく、結晶粒内がエッチングされている。そのとき、エッチングされたチタン基材の表面の凹凸としては、特に制限はないが、凸部の高さが50nm以上、500nm以下、凸部の間隔が100nm以上、1000nm以下が好ましい。なお、チタン基材の表面にこのような凹凸があると、次工程において比較的低温でもルチル型の酸化チタン層を形成できると考えられ、また、接着剤を介してセパレータ同士を接着するときの接着強度を高めることができる。
エッチングされたチタン基材を空気中で熱処理して酸化チタン層を形成する工程において、空気の圧力としては、チタン基材の表面を覆うように酸化チタン層が形成される圧力であれば特に制限はなく、例えば、概ね大気圧(1.01×10Pa)が挙げられる。また、空気は、チタンに不活性な他のガスを含んでいてもよい。また、チタンに不活性な他のガスと酸素ガスとを混合した疑似的な空気を空気として用いてもよい。
また、熱処理する温度としては、上限は、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下が特に好ましい。下限は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以上が特に好ましい。温度が200℃より低いとルチル型の酸化チタンが形成されず、温度が400℃より高いとルチル型の酸化チタンは形成されるが、電気抵抗が高くなりすぎて絶縁体になってしまうからである。熱処理の時間は特に制限はないが、例えば30分〜120分が挙げられる。
チタン基材を硫酸水溶液でエッチングし、エッチングされたチタン基材を空気中で熱処理することにより、比較的低温で、チタン基材上にルチル型結晶構造を有する酸化チタン層を形成することができる。この酸化チタン層は、燃料電池スタックにおける発電時の環境(燃料電池環境)に対して、耐食性が高く、電気抵抗が低い(導電率が高い)。
なお、上記酸化チタン層を形成する処理の前には、図1及び図2に示すような基本形状を予め形成しておいてもよい。例えば、所定の大きさのチタン又はチタン合金の板を用意して、プレス加工などの方法により図1及び図2に示す基本形状を形成し、各貫通口を形成する。
また、各工程の前には、必要に応じてチタン基材を洗浄する洗浄工程を行ってもよい。例えば、チタン基材を硫酸水溶液でエッチングする工程の前に、チタン基材の表面を硝酸水溶液により洗浄する工程を行ってもよい。チタン基材を空気中で熱処理する工程の前に、チタン基材の表面を純水により洗浄する工程を行ってもよい。
図3は、燃料電池用のセパレータの製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップ100において、チタン基材の表面が硝酸水溶液により洗浄される。これによりチタン基材の表面の油分や塵が除去される。次に、ステップ101において、チタン基材が硫酸水溶液に浸漬されてエッチングされる。これによりチタン基材の表面に露出したチタンの結晶粒界及び結晶粒内がエッチングされる。次に、ステップ102において、チタン基材の表面が純水により洗浄される。これによりチタン基材の表面のエッチング残渣が除去される。次に、ステップ103において、チタン基材が空気中で熱処理される。これによりルチル型の酸化チタン層がチタン基材の表面に形成される。次に、ステップ104において、酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材が真空中で熱処理される。これによりチタン基材の表面のルチル型の酸化チタンが、繰り返し荷重に対して電気抵抗を低く維持できるように形成される。
なお、ルチル型の酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材が準備された場合には、ステップ104のみにより、ルチル型の酸化チタンが繰り返し荷重に対して電気抵抗を低く維持できるように形成される。
次に、燃料電池用のセパレータの製造方法の実施例について説明する。
以下の説明では、図3の製造方法において次の条件を標準の条件とした。すなわち、ステップ101において、硫酸水溶液濃度を48%、エッチング温度を60℃、及び、エッチング時間を60分とした。また、ステップ103において、空気圧力を1.01×10Pa、熱処理温度を280℃、及び、熱処理時間を60分とした。また、ステップ104において、真空の圧力を1.33×10−4Pa(1×10−6Torr)、熱処理温度を700℃、及び、熱処理時間を60分とした。以下では、特に記載しない限り、ステップ101、103、104では、この標準の条件を用いるものとする。
(1)エッチング処理(ステップ101)に関する試験
(1−1)エッチング液の種類
チタン基材に対する3種類のエッチング液の適正を評価した。評価方法としては、表面状態の観察及び接着性の測定を行った。
表面状態の観察の方法については、個々のエッチング液につき同一のチタン基材を用いてステップ100〜102を行った後、そのチタン基材の表面状態を観察した。エッチング液としては、硫酸水溶液(実施例1)、硝酸水溶液にフッ酸を加えた溶液(比較例1)、及び、過酸化水素水の水溶液(比較例2)を評価対象とした。チタン基材の表面状態の観察は、光学顕微鏡及びSEM(Scanning Electron Microscope)を用いた。
図4〜図6は、エッチング処理後の実施例1、比較例1及び比較例2の各試料の表面を示す光学顕微鏡写真である。実施例1(硫酸水溶液)では、図4に示すように、結晶粒界だけでなく、結晶粒内もエッチングされていた。一方、比較例1(硝酸水溶液+フッ酸)では、図5に示すように、結晶粒界はエッチングされていたが、結晶粒内はほとんどエッチングされなかった。比較例2(過酸化水素水)では、図6に示すように、表面はほとんどエッチングされなかった。硫酸水溶液が結晶粒界だけでなく結晶粒内をもエッチングでき、好ましいことが分った。
また、図4の光学顕微鏡写真及び図示しない実施例1のチタン基材の表面のSEM写真から、結晶粒径は約1μm〜数10μmであり、また、結晶粒内での表面の凹凸は、凸部の高さが50nm以上、500nm以下であり、凸部の間隔は100nm以上、1000nm以下であった。
一方、接着性の測定の方法については、上記ステップ100〜102の後に、更にステップ103〜104を行って作製された実施例1、比較例1、2のセパレータをそれぞれ樹脂フレームに接着剤で接着して、引張り接着強さ試験で接着の強さを測定した。接着剤は、接着性の比較的低い熱可塑性接着剤である接着性オレフィンを用いた。接着の強さの指標となる破断の起こる箇所は、光学顕微鏡で特定した。
接着性を評価した結果、実施例1のセパレータではセパレータ内で破断が起きたが、比較例1及び比較例2のセパレータでは接着剤とセパレータとの界面で破断が起きた。このことから、実施例1のセパレータは、極めて高い接着性を有することが分った。
以上の結果をまとめると、以下の表1のようになる。表中、接着性に関して、セパレータ内で破断した場合を丸印で示し、接着剤とセパレータとの界面で破断した場合を×印で示した(以下の各表において同じ)。
(1−2)硫酸水溶液の濃度、エッチングの温度及び時間
上記(1−1)の評価でエッチング液として良好であった硫酸水溶液について、硫酸水溶液の濃度、エッチングの温度及び時間を評価した。評価方法としては、上記(1−1)と同様の方法で表面状態の観察及び接着性の測定を行った。ただし、実施例1(標準の条件)に対して、実施例2では時間のみ変更し70分とした。比較例3〜6では、温度を室温(R.T.)〜40℃、70℃〜80℃とした。比較例7〜10では、硫酸水溶液の濃度を25%とし、温度を室温〜70℃とした。比較例11〜14では、硫酸水溶液の濃度を10%とし、温度を室温(R.T.)〜70℃とした。
結果を下記の表2に示す。実施例2の結果が示すように、温度が60℃、濃度が48%では時間を10分延ばしても実施例1の場合と同様の良好な結果が得られた。一方、比較例3〜6の結果が示すように、温度が室温〜40℃では温度が低くて結晶粒内がエッチングされず、温度が70℃以上では温度が高くてチタン基材全体のエッチングが進み過ぎることが分った。また、比較例7〜14の結果が示すように、濃度が10%〜25%までは濃度が低くてチタン基材がほとんどエッチングされなかった。これらのことから、エッチング温度としては40℃より高く、70℃より低いことが好ましいことが分った。また、硫酸水溶液の濃度としては25%より高いことが好ましく、例えば48%が挙げられることが分った。また、チタン基材が腐食し過ぎない観点からは、硫酸水溶液の濃度としては60%以下が好ましいと考えられる。
(1−3)エッチング処理の有無
エッチング処理の有無による接着性を評価した。評価方法としては、上記(1−1)と同様の方法で接着性の測定を行った。エッチング処理を行ったセパレータとして標準の製造方法で作製されたセパレータ(実施例3)を評価対象とし、エッチング処理を行わないセパレータとして自然酸化被層付きのセパレータ(比較例15)、及び、炭化チタン層付きのセパレータ(比較例16)を評価対象とした。ただし、接着剤としては、接着性の比較的高い熱可塑性の接着剤Aである三井化学株式会社製のアドマ−(登録商標)、及び、接着性の比較的低い熱可塑性接着剤B(上記(1−1)の接着剤と同じ)を用いた。
結果を下記の表3に示す。実施例1では接着剤A及び接着剤Bのいずれを用いても、セパレータ内で破断が起きた。しかし、比較例15及び比較例16では接着剤Aを用いるとセパレータ内で破断したが、接着性の低い接着剤Bを用いると接着剤とセパレータとの界面で破断した。このことからも、エッチング処理を有する実施例3のセパレータは、極めて強い接着性を有することが確かめられた。
(2)空気中熱処理(ステップ103)に関する試験
(2−1)ルチル型の酸化チタン層の確認
標準の条件のステップ100〜103で作製されたチタン基材上の酸化チタン層(実施例4)について、ルチル型の酸化チタン層の確認を行った。酸化チタン層の確認の方法については、TEM(Transmission Electron Microscope)及びEDX(Energy Dispersive X−ray spectrometry)を用いた。
図7は実施例4の空気中熱処理後のチタン基材の表面領域のTEM写真である。図8は図7の(3)で示される領域のEDX分析結果である。図9は図7の(3)で示される領域の電子線回折パターンである。図8に示される結果から、図7の(3)で示される箇所はTi及びOを主成分とすることが分った。また、図9で示される結果から、図7(3)で示される箇所は、ルチル型の酸化チタンの結晶であることが分った。以上のことから、実施例4の空気中熱処理におけるチタン基材には、280℃という比較的低温にもかかわらず、ルチル型の酸化チタン層(TiOx)が形成されていることが確認された。
(2−2)熱処理温度
熱処理温度によるルチル型酸化チタン層の特性の変化を評価した。評価方法としては、標準の条件のステップ100〜102を行った後、ステップ103の熱処理温度の条件を変えて酸化チタン層を作製し、その酸化チタン層の電気抵抗の測定を行った。電気抵抗の測定としては、チタン基材の一方の面に酸化チタン層を介してガス拡散層を接触させ、酸化チタン層がチタン基材とガス拡散層との間に挟まれた状態で、チタン基材とガス拡散層との間の電気抵抗を4端子法で測定した。言い換えると、セパレータとガス拡散層との間の接触抵抗を測定した。熱処理温度としては、標準の温度である280℃(実施例5)、500℃(比較例17)、及び、600℃(比較例18)を評価対象とした。
図10は、空気中熱処理後の実施例5、比較例17及び比較例18の各試料の電気抵抗を示すグラフである。図10に示すように、実施例5のルチル型の酸化チタンでは、抵抗値は約2mΩ・cmという低い値となった。一方、比較例17、18では、ルチル型の酸化チタンが形成されたと考えられるが、抵抗値が約50mΩ・cm、約100mΩ・cmという高い値となった。図10において抵抗値の最大値を約20mΩ・cmとすると、熱処理温度としては200℃以上、400℃以下が好ましいことがわかった。
(3)真空中熱処理(ステップ104)に関する試験
(3−1)ルチル型酸化チタン層の確認
標準の条件のステップ100〜104で作製されたセパレータの酸化チタン層(実施例6)について、ルチル型の酸化チタン層の確認を行った。酸化チタン層の確認の方法については、TEMを用いた。
図11は実施例6の真空中熱処理(ステップ104)後のチタン基材の表面領域のTEM写真である。図12は図11の(2)で示される領域の電子線回折パターンである。図12に示される結果から、図11の(2)で示される箇所は、ルチル型の酸化チタンの結晶であることが分った。以上のことから、実施例6の真空中熱処理におけるセパレータのチタン基材には、ルチル型の酸化チタン層が維持されていることが確認された。また、図9の電子線回折パターンの強度と比較して、図12の電子線回折パターンの強度が強くなっていることから、真空中熱処理により酸化チタン層の結晶性が向上し、結晶方位がより揃っていると考えられる。また、図11及び図示しない同様のTEM写真から酸化チタン層の厚みは5nm〜20nmであった。
(3−2)ルチル型酸化チタン層の繰り返し荷重に対する耐性
真空中熱処理の有無による、ルチル型酸化チタン層の繰り返し荷重に対する耐性を評価した。評価方法としては、セパレータに印加される面圧、すなわち荷重を繰り返し変化させつつ、電気抵抗の測定を行った。電気抵抗の測定の方法は、上記(2−2)の方法と同じである。標準の条件のステップ100〜103を行い、ステップ104の真空中熱処理を行ったセパレータ(実施例7、8)と行わなかったセパレータ(比較例19、20)を評価対象とした。
図13は比較例19、20の繰り返し荷重試験前後での接触抵抗の測定結果であり、図14は実施例7、8の繰り返し荷重試験前後での接触抵抗測定結果である。ただし、縦軸は抵抗値であり、横軸は平均面圧である。この平均面圧が、酸化チタン層に繰り返し印加される荷重に対応する。図13において、比較例19−1では、面圧を0.4MPaから0.8MPaに上げ、0.6MPaまで戻す周期の1回目において、抵抗値が約7mΩ・cmから約4mΩ・cmに下がり、約5mΩ・cmまで戻った。比較例19−10では、同周期の10回目において、抵抗値が約13mΩ・cmから約12mΩ・cmに下がり、約12.5mΩ・cmまで戻った。同様に、比較例20−1では、面圧を0.5MPaから1.7MPaに上げ、1MPaに戻す周期の1回目において、抵抗値が約7mΩ・cmから約2mΩ・cmに下がり、約3.5mΩ・cmまで戻った。また、比較例20−10のでは、同周期の10回目において、抵抗値が約12.5mΩ・cmから約10.5mΩ・cmに下がり、約11mΩ・cmまで戻った。すなわち、比較例19、20のセパレータでは、荷重の繰り返し周期の1回目と10回目とで抵抗値が大きく異なり、10回目では1回目よりも約5mΩ・cm以上増加した。
一方、図14において、実施例7−1では、面圧を0.4MPaから0.8MPaに上げ、0.6MPaまで戻す周期の1回目において、抵抗値が約7mΩ・cmから約4mΩ・cmに下がり、約5mΩ・cmまで戻った。また、実施例7−10では、同周期の10回目において、抵抗値が約6mΩ・cmから約4mΩ・cmに下がり、約5mΩ・cmまで戻った。同様に、実施例8−1では、面圧を0.5MPaから1.7MPaに上げ、1MPaまで戻す周期の1回目において、抵抗値が約6mΩ・cmから約2mΩ・cmに下がり、約3mΩ・cmまで戻った。また、実施例8−10では、同周期の10回目において、抵抗値が約5mΩ・cmから約2.5mΩ・cmに下がり、約3mΩ・cmまで戻った。すなわち、実施例7、8のセパレータでは、荷重の繰り返し周期の1回目と10回目とで抵抗値がほとんど変化しなかった。したがって、実施例7、8のセパレータでは、繰り返し荷重によっても、表面の酸化チタン層が割れることなく、その形状を維持し続けることができる。
(3−3)酸化チタン層の繰り返し荷重及び燃料電池環境に対する耐性
酸化チタン層の繰り返し荷重及び燃料電池環境に対する耐性を評価した。繰り返し荷重に対する耐性の評価方法としては、上記(3−2)と同じである。燃料電池環境に対する耐性の評価方法としては、燃料電池の内部を模擬した環境にセパレータを曝す前後での、酸化チタン層の電気抵抗の変化を測定した。標準の条件(製造方法A)で作製された実施例7のセパレータ、標準の条件においてステップ104の真空中熱処理を除いた製造方法(製造方法B)で作製された比較例19のセパレータ、及び、標準の条件においてステップ103の空気中熱処理を除いた製造方法(製造方法C)で作製されたセパレータ(比較例21)を評価対象とした。ただし、比較例21では、チタン基材上に酸化チタンの自然酸化被膜が形成されている。具体的な繰り返し荷重試験は、上記(3−2)のとおりである。浸漬試験は、セパレータを酸性のフッ酸水溶液中に一定時間浸漬して、所定時間経過後の電気抵抗の変化を評価した。定電位試験では、0.9Vを印加されたセパレータを酸性のフッ酸水溶液中に一定時間浸漬して、所定時間経過後の電気抵抗の変化を評価した。電気抵抗の測定の方法は、上記(2−2)の方法と同じである。
結果を下記の表4に示す。表中、抵抗値の増加が約5mΩ・cm以上の場合をバツ印で示し、抵抗値の増加が約5mΩ・cm未満の場合を丸印で示す。製造方法Aの実施例7では、繰り返し荷重試験、浸漬試験、及び、定電位試験において、抵抗値の増加が約5mΩ・cm未満であり、良好であった。しかし、製造方法Bの比較例19では、浸漬試験及び定電位試験において抵抗値の増加が約5mΩ・cm未満であり良好であったが、上記(3−2)で示したように、繰り返し荷重試験において抵抗値の増加が約5mΩ・cm以上となった。製造方法Cの比較例21では、定電位試験において抵抗値の増加が約5mΩ・cm未満であり良好であったが、浸漬試験及び繰り返し荷重試験において抵抗値の増加が約5mΩ・cm以上となった。標準の条件(製造方法A)で作製された実施例7のセパレータ、
(3−4)熱処理温度
熱処理温度によるルチル型酸化チタン層の繰り返し荷重に対する耐性を評価した。評価方法としては、標準の条件のステップ100〜103を行った後、ステップ104の熱処理温度の条件を変えてセパレータを作製し、その酸化チタン層の繰り返し荷重下における電気抵抗の測定を行った。繰り返し荷重下における電気抵抗の測定は上記(3−2)と同じである。抵抗値は繰り返し周期終了後の値を用いた。熱処理温度としては、標準の温度である700℃(実施例9)、600℃(実施例10)、500℃(実施例11)、400℃(比較例22)、280℃(比較例23)、200℃(比較例24)を評価対象とした。
その結果、図15に示すように、実施例9〜11では、電気抵抗は初期には約2〜3mΩ・cm、繰り返し荷重試験を7回行った後でも約3〜6mΩ・cmという低い値が得られた。これは、空気中の熱処理で低い電気抵抗を有するルチル型の酸化チタンが形成された後、真空中の熱処理で繰り返し荷重に対して安定な構造に変換されたためと考えられる。一方、比較例22〜24では、初期には約2〜3mΩ・cmという低い値であったが、繰り返し荷重試験を7回行った後には約11〜13mΩ・cmという高い値となった。これらのことから、熱処理する温度としては400℃より高く、チタンや酸化チタンの融点より低いことが好ましく、500℃以上、700℃以下がより好ましいことが分った。
4 セパレータ
11 チタン基材
12 酸化チタン層

Claims (3)

  1. 燃料電池スタックを構成する燃料電池単セル用のセパレータの製造方法であって、
    ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程と、
    前記酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を、500℃以上、1000℃以下の温度下、真空中で熱処理する工程と、
    を備える、
    燃料電池用のセパレータの製造方法。
  2. 前記酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を準備する工程は、
    チタン基材を硫酸水溶液に浸漬してエッチングする工程と、
    前記エッチングされたチタン基材を、空気中で熱処理することにより、前記チタン基材の表面に前記酸化チタン層を形成する工程と、
    を備える、
    請求項1に記載の燃料電池用のセパレータの製造方法。
  3. 前記酸化チタン層が表面に形成されたチタン基材を真空中で熱処理する温度は、500℃以上、700℃以下である、
    請求項1又は2に記載の燃料電池用のセパレータの製造方法。
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