JP2016098785A - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料噴射ノズルは、ノズルボディの内外を連通する噴孔5の噴孔入口7の長軸方向を、ノズルボディの中心線方向に延びるノズル中心軸(CL)方向に対してスワール流と同一方向に所定の角度(θ)分だけ傾けることにより、ニードルの挙動(ニードルリフト量)に合わせて、燃料の噴射期間中に噴孔出口8から燃焼室R内へ噴射される燃料の噴射方向が変化するが、その燃料噴霧の噴射方向の変動幅は小さくなり、シリンダヘッド壁面やピストン壁面への燃料の衝突が減少する。
したがって、直噴エンジンの燃焼室壁面に付着する燃料量を減らすことができるので、スモークやHC等の有害物質を低減することができる。
【選択図】 図6
Description
従来より、燃料噴射ノズルとして、直接噴射式の内燃機関(直噴エンジン)の気筒に形成される燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射ノズルが周知である。
この燃料噴射ノズルは、ニードルおよびノズルボディを備え、ノズルボディの中心軸方向の先端側に、燃料を噴射する複数の噴孔を有している。
燃料噴射ノズルの各噴孔は、噴孔径が一定のストレート噴孔や、噴孔出口の孔径よりも噴孔入口の孔径を大きくしたテーパ噴孔となっている。テーパ噴孔は、ストレート噴孔と比べて、噴孔入口における燃料流れの剥離に伴う圧力低下を緩和できるので、噴孔の流量係数が向上する効果を備えている。
[数1]
Q=A・V
V=Cd・√(2ΔP/ρ)
Q=Cd・A・√(2ΔP/ρ)
なお、Qは、単一の噴孔から燃焼室内に噴射される燃料の噴射量である。また、Aは、噴孔出口の開口断面積である。また、Vは、燃料の流速である。また、ΔPは、噴孔前後の差圧である。また、ρは、燃料の密度である。
すなわち、流量係数が大きい噴孔は、燃料の流速(V)が速く、燃料の噴射量(流量)が多く、燃料が流れ易い形状の噴孔となる。
この場合には、ノズルボディの内壁の周方向に隣接する噴孔入口間の距離が極端に短くなってしまうので、ニードルの弁部がシートするノズルシート側の内壁の強度を保てなくなる可能性がある。
そこで、流量係数を上げつつ、隣接する噴孔入口間の距離を離すことで、ノズルボディの強度を保つという目的で、噴孔形状を改善した燃料噴射ノズル(例えば、特許文献1参照)が公知である。
この燃料噴射ノズルの各噴孔は、ノズルボディの先端側に、長孔形状(例えば長円形状)の開口断面を有する噴孔入口から、この噴孔入口とは反対側の外壁で開口する円形状の開口断面を有する噴孔出口まで噴孔軸方向に延びる噴孔流路を備えている。
ところが、特許文献1に記載の燃料噴射ノズルにおいては、図14に示したように、噴孔入口の長軸方向とノズル中心軸方向とが一致しているため、燃料噴射ノズル100の噴孔から燃焼室101内に噴射される燃料噴霧の噴射期間中において噴孔入口における燃料流れの剥離量が変わることで、噴孔出口から燃焼室101内への燃料の噴射方向が、シリンダヘッド102の壁面やピストン103の頭頂部など燃焼室の垂直断面内で大きく変化する懸念がある。特に、直噴エンジンの燃焼室101内において空間が少ない垂直方向に燃料の噴射方向が大きく変動する懸念がある。
ここで、噴射期間中とは、ニードルがノズルシートからリフトしている期間、つまりニードルの開弁期間のことである。
この燃料噴射ノズルの噴孔は、ノズルボディの内外を連通する噴孔流路を有している。この噴孔流路は、ノズルボディの内壁で開口した噴孔入口からノズルボディの外壁で開口した噴孔出口まで噴孔軸方向に延伸されている。
そして、噴孔入口は、短軸と長軸が互いに直交する長孔形状の開口断面を有している。また、噴孔入口の長軸方向(長孔長軸方向)は、ノズル中心軸方向に対して、スワール流と同一(回転)方向に所定の角度分だけ傾斜している。
燃料噴射初期に相当するニードル低リフト時には、噴孔入口の上流側部分に剥離が発生し、ノズルシートよりも燃料流れ方向の下流側の燃料流路から噴孔入口を介して噴孔流路内に流入した燃料は、噴孔流路の下流側部分の噴孔壁面に沿うようにして噴孔出口から燃焼室内に噴射される。
一方、ニードル高リフト時になると、ノズルシートよりも燃料流れ方向の下流側の燃料流路から噴孔入口を介して噴孔流路内に流入する燃料の流速が小さくなり、噴孔入口の上流側部分での剥離が少なくなるため、噴孔出口の手前では、噴孔流路の上流側部分の噴孔壁面に沿ってきた燃料流れと、噴孔流路の下流側部分の噴孔壁面に沿ってきた燃料流れとが合成する角度で、噴孔出口から燃焼室内へ燃料が噴射される。
そのため、ニードルの挙動(ニードルリフト量)に合わせて、燃料の噴射期間中に噴孔出口から燃焼室内へ噴射される燃料の噴射方向が変化するが、その燃料噴霧の噴射方向の変動幅は小さくなり、内燃機関の燃焼室壁面への燃料の衝突が減少する。したがって、内燃機関の燃焼室壁面に付着する燃料量を減らすことができるので、スモーク等の有害物質を低減することができる。
その後、ニードルが更にリフトしたニードル高リフト時に、噴孔出口から燃焼室内へ噴射される燃料噴霧間の空間に、ニードル低リフト時の燃料噴霧が配置されるため、ニードル低リフト時の燃料噴霧とニードル高リフト時の燃料噴霧とが空間的に重なり難くなる。 そのため、ニードル低リフト時の燃料噴霧の着火からニードル高リフト時の燃料噴霧の着火までの着火遅れが長くなると共に、ニードル高リフト時の燃料噴霧は、ノズルボディから遠く、燃料液滴の蒸発が進み、空気との混合が進んだ箇所から着火するため、スモークやHC等の有害物質を削減することができる。
したがって、内燃機関の燃焼室から排出される排気エミッションの悪化を抑制することができる。
図1ないし図8は、本発明を適用した燃料噴射ノズルを備えたインジェクタ(実施例1)を示したものである。
インジェクタは、そのノズル中心軸方向の先端側(図示下端側)に燃料噴射ノズル1を備えている。また、インジェクタは、燃料噴射ノズル1と、この燃料噴射ノズル1のニードルバルブ(以下ニードル)2を開閉駆動する電磁弁(ソレノイドバルブ:図示せず)とが螺子締結によって一体化されて構成されている。
なお、ソレノイドバルブの詳細は、後述する。
ノズルボディ3は、ノズル中心軸(CL)方向の基端側(図示上端側)が開口し、その反対側の先端側(図示下端側)が閉塞された有底円筒形状を呈し、直噴エンジンの各気筒に形成された燃焼室R内に燃料噴霧を直接噴射するノズル噴孔部4を備えている。このノズル噴孔部4には、ノズルボディ3の内外を連通する複数の噴孔5が設けられている。
なお、ノズル中心軸(CL)とは、燃料噴射ノズル1、少なくともノズルボディ3の中心線方向に真っ直ぐに延びるノズル軸線のことである。
インジェクタは、シリンダヘッド9のシリンダ中心軸上に貫通形成されたインジェクタ取付孔Hに、少なくともノズル噴孔部4が燃焼室R内に突出するようにして各シリンダ毎に取り付けられている。
なお、インジェクタの詳細は、後述する。
各ピストン11は、対応したコネクティングロッドを介して、クランクシャフト(直噴エンジンの出力軸)に連結されている。これにより、各ピストン11は、複数のシリンダバレル10の各シリンダボア内をその往復移動する。
各ピストン11の頭頂部には、リエントラント型のキャビティ12が形成されている。このキャビティ12の底面とシリンダヘッド9の壁面との間には、燃料と吸入空気(吸気)との混合気が燃焼する燃焼室Rが形成されている。また、キャビティ12の底部中央部分は、キャビティ12の開口端側に向かって隆起している。
各吸気ポート13は、インテークマニホールドを介して吸気管に接続している。これらの吸気ポート13の燃焼室側端部には、各ポート開口部をそれぞれ開閉する吸気バルブ(吸気弁)14が設置されている。そして、各吸気ポート13は、各燃焼室R内にスワール流を発生させるヘリカルポートである。
ここで、図3、図5、図6および図7に、直噴エンジンの各シリンダ中心軸と略一致するノズル中心軸(CL)の周りを旋回する、吸気のタンブル流の回転方向を示した。
なお、各吸気ポート13やこの吸気ポート13と連通する吸気通路内に、各燃焼室R内にスワール流を発生させるスワール制御弁(SCV)が設置されていても構わない。また、1つの燃焼室Rに対して2つの第1、第2吸気ポートが連通する直噴エンジンにおいて、一方の第1吸気ポート内にスワール制御弁(SCV)が設置されていても構わない。
燃料噴射ノズル1は、ニードル2を往復移動可能に収容する有底円筒状のノズルボディ3と、コマンドピストンおよびリターンスプリングを収容する円筒状のインジェクタボディと、ノズルボディ3とインジェクタボディとの間に挟み込まれた円環状のチップパッキンとを備えている。この燃料噴射ノズル1は、チップパッキンを介して、ノズルボディ3の結合面とインジェクタボディの結合面とを円筒状のリテーニングナットの螺子締結軸力による螺子締結によって一体化されて構成されている。
ピストン収容孔内には、コマンドピストンおよびリターンスプリングが収容されている。このピストン収容孔には、コマンドピストンの基端側の摺動部を摺動可能に支持するピストンガイド孔が設けられている。また、ピストン収容孔の先端側に対して反対側の基端側には、高圧ポートおよび低圧ポートを有する制御室が設けられている。
リターンスプリングは、コマンドピストンに対して、ニードル2の閉弁方向に付勢する付勢力を発生させるものである。
制御室は、コマンドピストンの摺動部の基端側端面とピストン収容孔の孔壁面と制御室の天井面とで囲まれた空間である。この制御室の高圧ポートには、燃料系の高圧側に設けられるサプライポンプまたはコモンレール等の高圧発生部と接続する燃料(供給)通路が連通している。また、制御室の低圧ポートには、燃料系の低圧側に設けられる燃料タンク等と接続する燃料(排出)通路が連通している。また、制御室内に導入される燃料圧は、ニードル2に対して、ニードル2の閉弁方向に付勢する油圧力として作用する。
ソレノイドバルブは、スプールバルブを閉弁方向に駆動する電磁アクチュエータ(ソレニド)を備えている。
コイルは、電力の供給を受けると(電圧印加または通電されると)、アーマチャをステータコアの磁極面に引き寄せる磁力を発生する。すなわち、コイルへの通電時には、スプールバルブが低圧ポートを開放し、コイルへの通電停止時には、スプールバルブが低圧ポートを閉鎖する。
また、低圧ポートが閉鎖されると、燃料系の低圧側への流出が止まり、インジェクタの外部(燃料噴射ポンプまたはコモンレール)から高圧ポートを介して高圧燃料が制御室内に導入される。これにより、制御室内の燃料圧は、ニードル閉弁圧以上に素早く上昇するため、ニードル2がノズルボディ3のノズルシート16に着座(シート)するため、直噴エンジンの各気筒の燃焼室Rへの燃料噴射が終了する。
また、中径軸部24よりも先端側には、中径軸部24よりも外径が小さい弁部26を有している。
弁部26は、先端側へ向かって徐々に外径が縮径する第1、第2シール面31、32および円錐面33を有している。
第1シール面31と第2シール面32との間に形成される円環状の交差稜線(第1シートライン)は、ノズルボディ3のノズルシート16に密着する円環状のノズルシール(ニードルシール部)34としての機能を有している。
なお、ノズルシール34の代わりに、第2シール面32と円錐面33との間に形成される円環状の交差稜線(第2シートライン)を、ノズルボディ3のノズルシート16を含むノズルシート面43に密着する円環状のノズルシール(ニードルシール部)35として用いても良い。
燃料孔41は、ノズルボディ3の結合面から燃料溜まり室17へ斜めに延びる燃料通路である。また、ノズルボディ3は、ニードル2の中径軸部24の外周との間に、燃料溜まり室17からノズル噴孔部4へ真っ直ぐに延びる燃料通路(円筒状のクリアランス)42が形成されている。このクリアランス42は、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の上流側の燃料流路である。
ニードル2の弁部26とノズルボディ3のノズルシート面43との間には、ニードル2のリフト時に円環状のクリアランス44が形成される。
クリアランス44は、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の下流側の燃料流路である。なお、クリアランス44は、ニードル2のリフト時に、ニードル2の弁部26とノズルシート面43との間に形成される円環状の燃料流路である。
ここで、弁部26のノズルシール34が、ノズルシート16に接触した場合には、燃料溜まり室17およびクリアランス42とクリアランス44およびサック室45との連通状態を遮断する。
また、ニードル2のノズルシール34がノズルシート16から離脱(リフト)した場合には、燃料溜まり室17およびクリアランス42とクリアランス44およびサック室45とが連通状態となり、クリアランス42、44から噴孔5と常時連通するサック室45へ燃料が導入される。
複数の噴孔5は、ノズル噴孔部4を貫通してサック部46のサック内周壁面とサック部46のサック外周壁面とを連通する噴孔流路(内外連通孔)6を備えている。
複数の噴孔5は、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の下流側の内壁、本実施例ではサック部46のサック内周壁面で各噴孔入口7が開口している。また、複数の噴孔5は、各噴孔入口7とは反対側の外壁、本実施例ではサック部46のサック外周壁面で各噴孔出口8が開口している。
各噴孔入口7は、互いに直交する短軸と長軸を持つ長孔形状の開口断面を有している。具体的には、各噴孔入口7の開口形状は、長円形状である。
各噴孔入口7の長軸の長さ(LL)が、各噴孔入口7の短軸の長さ(SL)よりも僅かでも長ければ、特許請求の範囲における「長孔形状」に含むものとする。なお、LLとは、各噴孔入口7の外形線上のA’と各噴孔入口7の外形線上のB’とを結んだ直線(長軸)の長さのことである。また、SLとは、各噴孔入口7の外形線上のC’と各噴孔入口7の外形線上のD’とを結んだ直線(短軸)の長さのことである。
各噴孔出口8は、所定の長さの直径を持ち、各噴孔入口7の開口断面積よりも小さい円形状の開口断面を有している。
複数の噴孔5の各噴孔入口7は、ノズル中心軸(CL)方向の一端側(噴孔上部)に位置する上部周縁51、およびノズル中心軸(CL)方向の他端側(噴孔下部)に位置する下部周縁52を有している。
複数の噴孔5の各噴孔出口8は、ノズル中心軸(CL)方向の一端側(噴孔上部)に位置する上部周縁53、およびノズル中心軸(CL)方向の他端側(噴孔下部)に位置する下部周縁54を有している。
第1噴孔壁面61は、ノズル中心軸(CL)に垂直な垂直面に対して第1傾斜角度分だけ傾斜した傾斜面である。この第1噴孔壁面61は、各噴孔入口7の外形線と長軸との交点から各噴孔出口8の外形線とを直線で結んでいる。
第2噴孔壁面62は、ノズル中心軸(CL)に垂直な垂直面に対して第1傾斜角度よりも緩やかな第2傾斜角度分だけ傾斜した傾斜面である。この第2噴孔壁面62は、各噴孔入口7の外形線と長軸との交点から各噴孔出口8の外形線とを直線で結んでいる。
なお、第1傾斜角度は、第2傾斜角度よりも急である。
複数の噴孔5は、各噴孔入口7の第1半円部の中心点HCC1と各噴孔出口8の円部の中心点CCとを直線で結ぶ第1仮想線CL1、および各噴孔入口7の第2半円部の中心点HCC2と各噴孔出口8の円部の中心点CCとを直線で結ぶ第2仮想線CL2を有している。
次に、本実施例の燃料噴射ノズル1を備えたインジェクタの作用を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
したがって、燃料噴射ノズル1は、ニードル2が閉弁した閉弁(全閉)状態となり、複数の噴孔5の各噴孔出口8から直噴エンジンの各気筒に形成される燃焼室R内への燃料噴射が成されない。
これによって、各噴孔入口7の上部周縁51で燃料流れの剥離が発生し、サック室45から各噴孔流路6内に流入した燃料は、図7(a)に示したように、各噴孔流路6の下側の側面(第2噴孔壁面62)に沿うようにして流れる。そして、各噴孔出口8からノズル中心軸(CL)に垂直な垂直面(図示左右方向)、あるいは噴孔軸(HL)方向に対してやや下向きとなる燃料噴孔方向で、直噴エンジンの燃焼室R内へ噴射される。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、図1および図7に示したように、ニードル2の挙動(リフト量)に合わせて、燃料の噴射期間中に燃料の噴射方向が変化する。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、往復移動可能なニードル2と、このニードル2の弁部26が着座可能なノズルシート16を有するノズルボディ3と、このノズルボディ3のノズル噴孔部4の内外を連通する複数の噴孔5とを備えている。
複数の噴孔5は、ノズル噴孔部4の内壁で開口した各噴孔入口7からノズル噴孔部4の外壁で開口した各噴孔出口8に向かって流路断面積が次第に減少するテーパ断面形状の各噴孔流路6を備えている。また、各噴孔入口7の周縁にR形状の面取り部を設けることにより、噴孔5の流量係数を上げつつ、ノズル噴孔部4の内壁において円周方向に隣接する噴孔入口7間の距離を所定の距離分だけ離すことができるので、ニードル2の弁部26がシートするノズルシート側のノズルボディ内壁の強度を保つことができる。
燃料噴射初期に相当するニードル低リフト時には、各噴孔入口7の上部周縁51で燃料流れの剥離が発生し、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の下流側の燃料流路から各噴孔入口7を介して噴孔流路6内に流入した燃料は、噴孔流路6の第2噴孔壁面62に沿うようにして各噴孔出口8から燃焼室R内に噴射される。
したがって、直噴エンジンの燃焼室壁面に付着する燃料量を減らすことができるので、スモークやHC等の有害物質を低減することができる。
その後、ニードル2が更にリフトしたニードル高リフト時に、各噴孔出口8から燃焼室R内へ噴射される燃料噴霧(HF)間の空間に、ニードル低リフト時の燃料噴霧が配置されるため、ニードル低リフト時の燃料噴霧(LF)とニードル高リフト時の燃料噴霧(HF)とが空間的に重なり難くなる。
したがって、直噴エンジンの各気筒の燃焼室Rから排出される排気エミッションの悪化を防止することができる。
図9および図10は、本発明を適用した燃料噴射ノズル1(実施例2)を示したものである。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
複数の噴孔5は、実施例1と同様に、各噴孔流路6の噴孔軸方向の上流端で開口した各噴孔入口7、および各噴孔流路6の噴孔軸方向の下流端で開口した各噴孔出口8を備えている。
そして、燃料噴射ノズル1は、複数の噴孔5の各噴孔入口7が、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の上流側のクリアランス42と連通するクリアランス(環状流路)44の周囲を周方向に取り囲む円錐面形状のノズルシート面43と同一平面内で開口している。各噴孔入口7は、ノズルシート16よりも燃料流れ方向の下流側のノズルシート面43で開口している。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、実施例1と同様な効果を奏する。
図11は、本発明を適用した燃料噴射ノズル1(実施例3)を示したものである。
ここで、実施例1及び2と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
また、本実施例の各噴孔入口7は、図11(b)に示したように、互いに直交する短軸と長軸を有し、且つ角部にアール形状部を持つ長方形状(長孔形状)の開口断面を有している。
そして、各噴孔入口7の長軸(A’−B’)方向は、ノズル中心軸(CL)方向に対して吸気のスワール流の回転方向と同一方向に所定の角度(θ)分だけ傾いている。また、各噴孔入口7の短軸(C’−D’)は、各噴孔入口7の長軸(A’−B’)に対して直交している。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、実施例1及び2と同様な効果を奏する。
図12は、本発明を適用した燃料噴射ノズル1(実施例4)を示したものである。
ここで、実施例1〜3と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
また、本実施例の各噴孔入口7は、図12(b)に示したように、互いに直交する短軸と長軸を有し、且つ角部にアール形状部を持つ楕円形状(長孔形状)の開口断面を有している。
そして、各噴孔入口7の長軸(A’−B’)方向は、ノズル中心軸(CL)方向に対して吸気のスワール流の回転方向と同一方向に所定の角度(θ)分だけ傾いている。また、各噴孔入口7の短軸(C’−D’)は、各噴孔入口7の長軸(A’−B’)に対して直交している。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、実施例1〜3と同様な効果を奏する。
図13は、本発明を適用した燃料噴射ノズル1(実施例5)を示したものである。
ここで、実施例1〜4と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
図13(a)に示したような台形状の噴孔入口7を採用しても良い。
また、図13(b)に示したような長方形と2組の正方形を組み合わせた長孔形状の噴孔入口7を採用しても良い。
また、図13(c)に示したような長方形と3組の正方形を組み合わせた長孔形状の噴孔入口7を採用しても良い。
また、図13(d)に示したような長方形と2組の円を組み合わせた長孔形状の噴孔入口7を採用しても良い。
また、図13(f)に示したような三角(長孔)形状の噴孔入口7を採用しても良い。 これらの長孔形状の噴孔入口7は、いずれも噴孔入口7の長軸(X)方向が、図13(g)に示したように、ノズル中心軸(CL)方向に対して吸気のスワール流の回転方向と同一方向に所定の角度(θ)分だけ傾いている。また、噴孔入口7の短軸(Y)が、各噴孔入口7の長軸(X)に対して直交している。
以上のように、本実施例の燃料噴射ノズル1においては、実施例1〜4と同様な効果を奏する。
本実施例では、本発明の燃料噴射ノズルを、サプライポンプまたはコモンレールから導入された高圧燃料を直噴エンジンの燃焼室内に直接噴射する燃料噴射ノズル1に適用して例を説明したが、本発明の燃料噴射ノズルを、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから燃料溜まり室の内部に直接燃料が圧送され、燃料溜まり室の燃料圧(ノズル開弁力)がスプリング(バネ)の付勢力(閉弁方向の軸力:ノズル閉弁力)よりも上回るとニードルが開弁して、直接噴射式の内燃機関(直噴エンジン)の燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射ノズルに適用しても良い。
また、燃料噴射ノズル1のニードル2を、ソレノイドアクチュエータやピエゾアクチュエータの駆動力によって直接駆動しても良い。
また、ニードル2のリフト量を、ニードルリフト量が比較的小さな第1の状態と、ニードルリフト量が比較的大きな第2の状態とに変更可能なニードルリフト量可変機構を採用しても良い。
また、内燃機関の気筒(シリンダ)の中心軸からノズル中心軸(CL)がオフセット配置されていても構わない。また、シリンダ中心軸方向に対してノズル中心軸(CL)方向が傾いていても良い。
1 燃料噴射ノズル
2 ニードル
3 ノズルボディ
5 噴孔
6 噴孔流路
7 噴孔入口
8 噴孔出口
16 ノズルシート
26 ニードルの弁部
Claims (6)
- 燃焼室(R)内にスワール流が生成可能な直接噴射式の内燃機関(9〜11)に適用される燃料噴射ノズル(1)であって、
(a)ノズル中心軸(CL)方向の先端側に弁部(26)を有するニードル(2)と、 (b)このニードル(2)の弁部(26)が着座可能な環状のノズルシート(16)、およびこのノズルシート(16)よりも燃料流れ方向の下流側の内壁で噴孔入口(7)が開口した噴孔(5)を有し、
前記ニードル(2)を前記ノズル中心軸(CL)方向に往復移動可能に支持する有底筒状のノズルボディ(3)と
を備え、
前記ニードル(2)が前記ノズルシート(16)からリフトすると、前記噴孔(5)から前記燃焼室(R)内に燃料を直接噴射する燃料噴射ノズル(1)において、
前記噴孔(5)は、前記ノズルボディ(3)の内外を連通すると共に、前記噴孔入口(7)からこの噴孔入口(7)とは反対側の外壁で開口した噴孔出口(8)まで噴孔軸(HL)方向に延びる噴孔流路(6)を有し、
前記噴孔入口(7)は、互いに直交する短軸と長軸を持つ長孔形状の開口断面を有し、前記噴孔入口(7)の長軸方向が、前記ノズル中心軸(CL)方向に対して前記スワール流と同一方向に所定の角度(θ)分だけ傾いていることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1に記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記噴孔出口(8)は、円形状の開口断面を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記長孔形状の開口断面は、長方形状の開口断面、半円形状の開口断面、または楕円形状の開口断面のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記噴孔(5)は、前記ノズルボディ(3)の周方向に所定の間隔で設けられる複数の噴孔(5)であることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記噴孔入口(7)は、前記ノズルシート(16)よりも燃料流れ方向の上流側の燃料流路(42)と連通するサック室(45)の周囲を周方向に取り囲む球面形状のサック周壁面で開口していることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記噴孔入口(7)は、前記ノズルシート(16)よりも燃料流れ方向の上流側の燃料流路(42)と連通する環状流路(44)の周囲を周方向に取り囲む円錐面形状のシート面(43)で開口していることを特徴とする燃料噴射ノズル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014238525A JP6457797B2 (ja) | 2014-11-26 | 2014-11-26 | 燃料噴射ノズル |
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- 2014-11-26 JP JP2014238525A patent/JP6457797B2/ja active Active
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