JP2016097771A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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健 伊藤
平田 淳一
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Abstract

【課題】 モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤の漏洩を抑制し、高品質で耐久性に優れたインホイールモータ駆動装置を提供する。【解決手段】 モータ部と、減速機部と、車輪用軸受部と、モータ部および減速機部を収容するケーシングとを備え、モータ部のモータ回転軸24の回転を減速機部の減速機入力軸25に伝達し、その減速機入力軸25の回転を減速機部のサイクロイド減速機で減速して車輪用軸受部に伝達するインホイールモータ駆動装置であって、サイクロイド減速機は、弾性支持機能を有する回り止め手段によってフローティング状態でケーシングに支持された構造をなし、モータ回転軸24と減速機入力軸25とをすきま嵌めでスプライン嵌合し、そのスプライン嵌合部70に半固体潤滑剤71を充填し、スプライン嵌合部70の両端部にシール手段としてのOリング72およびリング状部材73を設ける。【選択図】 図7

Description

本発明は、例えば、電動モータの出力軸と車輪用軸受とを減速機を介して連結したインホイールモータ駆動装置に関する。
従来のインホイールモータ駆動装置は、例えば、特許文献1に開示された構造のものがある。この特許文献1に開示されたインホイールモータ駆動装置は、モータにより駆動力を発生させるモータ部と、車輪に接続される車輪用軸受部と、モータ部と車輪用軸受部との間に配置され、モータの回転を減速機により減速して車輪用軸受部に伝達する減速機部とを備えている。モータおよび減速機がケーシングに収容されている。このケーシングは、懸架装置(サスペンション)を介して車体に取り付けられる。
前述の構成からなるインホイールモータ駆動装置において、装置のコンパクト化の観点から、モータ部には低トルクで高回転の小型モータが採用されている。一方、車輪用軸受部で車輪を駆動するために大きなトルクが必要となることから、減速機部には、コンパクトで高い減速比が得られるサイクロイド減速機が採用されている。
このサイクロイド減速機は、一対の偏心部を有し、モータ部のモータ回転軸の回転が伝達される減速機入力軸と、この減速機入力軸の偏心部の外周に回転自在に保持された一対の曲線板と、その曲線板の外周面に係合して曲線板に自転運動を生じさせる複数の外ピンと、曲線板の貫通孔の内周面に係合して曲線板の自転運動を減速機出力軸に伝達する複数の内ピンとで主要部が構成されている。
このインホイールモータ駆動装置では、モータ部および減速機部に潤滑油を供給する潤滑機構が設けられている。潤滑機構は、モータ部に設けられ、潤滑油を圧送する回転ポンプと、ケーシングの下部に設けられ、潤滑油を貯溜する油タンクと、モータ部、減速機部およびケーシングに設けられた油路とを備え、潤滑油がモータ部および減速機部の内部を循環する構造を有する。
減速機部のサイクロイド減速機は、弾性支持機能を有する回り止め手段によってフローティング状態でケーシングに支持された構造をなす。このフローティング構造により、車両の旋回や急加減速などによって生じる大きなラジアル荷重やモーメント荷重を吸収することにより、サイクロイド減速機で発生する振動がインホイールモータ駆動装置全体へ伝達されることを抑制するようにしている。
このように、サイクロイド減速機をフローティング構造としているため、モータ部のモータおよび減速機部のサイクロイド減速機のアライメントを維持することが困難となっている。そのため、モータ部のモータ回転軸と減速機部の減速機入力軸とをスプライン嵌合させた構造において、スプラインの嵌め合いをすきま嵌めとしている。
このようなすきま嵌めによりスプライン嵌合構造とすることで、モータ回転軸と減速機入力軸とを軸方向に摺動可能に連結している。また、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合構造では、潤滑機構において、モータ回転軸の油路と減速機入力軸の油路とを連通させた軸芯給油構造としている。
特開2013−148198号公報
ところで、前述したように、従来のインホイールモータ駆動装置では、弾性支持機能を有する回り止め手段によってフローティング状態でケーシングに支持された構造をなすサイクロイド減速機を採用している。このように、サイクロイド減速機がフローティング構造となっているため、モータ部のモータおよび減速機部のサイクロイド減速機のアライメントを維持することが困難となっている。
そのため、モータ部のモータ回転軸と減速機部の減速機入力軸とをスプライン嵌合させた構造では、スプラインの嵌め合いをすきま嵌めとすることで、モータ回転軸と減速機入力軸とを軸方向に摺動可能に連結している。このようなすきま嵌めによるスプライン嵌合構造では、運転時のサイクロイド減速機に発生する軸方向の振動によって、モータ回転軸に対して減速機入力軸が軸方向に摺動し、スプライン歯面の摩耗が発生する。
このサイクロイド減速機のフローティング構造に基づくスプライン歯面の摩耗を抑制する手段として、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に、グリース等の半固体潤滑剤を塗布するようにしている。このように、スプライン嵌合部に半固体潤滑剤を充填することにより、モータ回転軸に対する減速機入力軸の摺動抵抗を低減し、スプライン歯面の摩耗を抑制するようにしている。
一方、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合構造により、潤滑機構において、モータ回転軸の油路と減速機入力軸の油路とを連通させた軸芯給油構造としている。この軸芯給油構造において、モータ回転軸の油路から減速機入力軸の油路への潤滑油の流れに対して、スプライン嵌合部が下流側に位置するため、そのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が潤滑油によって洗い流されて保持することが困難となる。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤の漏洩を抑制することにより、高品質で耐久性に優れたインホイールモータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、モータ部と、減速機部と、車輪用軸受部と、モータ部および減速機部を収容するケーシングとを備え、モータ部のモータ回転軸の回転を減速機部の減速機入力軸に伝達し、その減速機入力軸の回転を減速機部のサイクロイド減速機で減速して車輪用軸受部に伝達するインホイールモータ駆動装置であって、サイクロイド減速機は、弾性支持機能を有する回り止め手段によってフローティング状態でケーシングに支持された構造をなし、モータ回転軸と減速機入力軸とをすきま嵌めでスプライン嵌合し、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に半固体潤滑剤を充填し、スプライン嵌合部の端部にシール手段を設けたことを特徴とする。
本発明では、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部の端部にシール手段を設けたことにより、すきま嵌めのスプライン嵌合部のスプライン歯面の摩耗を抑制するためにモータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が、モータ回転軸の油路から減速機入力軸の油路へ流れる潤滑油によって洗い流されることをシール手段で抑制することができる。
本発明におけるシール手段は、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部の減速機部側に位置する端部に配されたOリングとすることが望ましい。このようにすれば、スプライン嵌合部の減速機部側に位置する端部の開口部をOリングで閉塞することができるので、そのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が潤滑油により減速機外部へ洗い流されることを抑制することができる。
本発明におけるシール手段は、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部のモータ部側に位置する端部に配されたリング状部材とすることが望ましい。このようにすれば、スプライン嵌合部のモータ部側に位置する端部の開口部をリング状部材で閉塞することができるので、そのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が潤滑油により減速機入力軸の油路へ洗い流されることを抑制することができる。また、シール手段をリング状部材としたことで、そのリング状部材の組み付けが容易である。
本発明におけるリング状部材は、軸方向に沿って同一の内径を有する構造が望ましい。このようにすれば、単純形状の円筒状部材でリング状部材を構成することができ、シール手段を採用する上でコスト低減が図れる。
また、本発明におけるリング状部材は、その内周面が、減速機入力軸の油路開口部に向けて縮径する断面テーパ状をなす構造が望ましい。このようにすれば、リング状部材の内部を流通する潤滑油がリング状部材の断面テーパ状の内周面で誘導されるので、その潤滑油がモータ回転軸の油路から減速機入力軸の油路へスムーズに流入する。その結果、スプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が潤滑油で洗い流されることを確実に抑制することができる。
さらに、本発明におけるリング状部材は、断面テーパ状の内周面に、モータの回転方向に応じた減速機入力軸の油路開口部に向く螺旋状溝が形成されている構造が望ましい。このようにすれば、リング状部材の内部を流通する潤滑油がリング状部材の内周面の螺旋状溝で誘導されるので、その潤滑油がモータ回転軸の油路から減速機入力軸の油路へより一層スムーズに流入する。その結果、スプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が潤滑油で洗い流されることをより一層確実に抑制することができる。
本発明によれば、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部の端部にシール手段を設けたことにより、すきま嵌めのスプライン嵌合部のスプライン歯面の摩耗を抑制するためにモータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に充填された半固体潤滑剤が、モータ回転軸の油路から減速機入力軸の油路へ流れる潤滑油によって洗い流されることをシール手段で抑制することができる。その結果、高品質で耐久性に優れたインホイールモータ駆動装置を実現することができる。
本発明の実施形態で、インホイールモータ駆動装置の全体構成を示す縦断面図である。 図1のP−P線に沿う断面図である。 図1のサイクロイド減速機を示す要部拡大断面図である。 図1の曲線板に作用する荷重を示す説明図である。 図1の回転ポンプを示す横断面図である。 図1のQ部の拡大で、Oリングの使用例を示す断面図である。 図1のQ部の拡大で、円筒形状を有するリング状部材の使用例を示す断面図である。 図1のQ部の拡大で、内周面が断面テーパ状を有するリング状部材の使用例を示す断面図である。 図1のQ部の拡大で、内周面に螺旋状溝が形成されたリング状部材の使用例を示す断面図である。 インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略構成を示す平面図である。 図10の電気自動車を示す後方断面図である。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図10は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図11は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。図10に示すように、電気自動車11は、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。図11に示すように、後輪14は、シャシー12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャシー12の下部に固定されている。
懸架装置12bは、左右に延びるサスペンションアームによって後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時などの車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられている。懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上させ、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式としている。
電気自動車11は、ホイールハウジング12aの内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
そこで、この実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。図1はインホイールモータ駆動装置21の概略構成を示す縦断面図、図2は図1のP−P線に沿う断面図、図3はサイクロイド減速機32を示す拡大断面図、図4は曲線板26aに作用する荷重を示す説明図、図5は回転ポンプ51を示す横断面図である。なお、この実施形態の特徴的な構成を説明する前にインホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。
図1に示すように、インホイールモータ駆動装置21は、モータ20により駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ20の回転をサイクロイド減速機32により減速して出力する減速機部Bと、サイクロイド減速機32からの出力を駆動輪としての後輪14(図10および図11参照)に伝達する車輪用軸受部Cとを備え、モータ20とサイクロイド減速機32はケーシング22に収納されて、電気自動車11のホイールハウジング12a(図11参照)内に取り付けられる。ケーシング22は、モータ20が収容されたモータハウジングとサイクロイド減速機32が収容された減速機ハウジングとからなる分割構造で、ボルトにより締結一体化されている。
モータ20は、ケーシング22に固定されたステータ23aと、ステータ23aの径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ23bと、ロータ23bの径方向内側に配置されてロータ23bと一体回転するモータ回転軸24とを備えたラジアルギャップモータである。ステータ23aは磁性体コア23cの外周にコイル23dを巻回することによって構成され、ロータ23bは永久磁石または磁性体で構成されている。
モータ回転軸24は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部24dによりロータ23bが保持されている。このホルダ部24dは、ロータ23bが嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸24は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受36aに、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受36bによって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速機入力軸25は、その軸方向一方側略中央部(図1の右側)が転がり軸受37aに、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受37bによって、減速機出力軸28に対して回転自在に支持されている。この減速機入力軸25は、2つの偏心部25a,25bを有する。2つの偏心部25a,25bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うために、180°位相をずらして設けられている。減速機入力軸25と前述のモータ回転軸24とは、スプライン嵌合(セレーション嵌合も含む。以下、同じ)によって連結されてモータ20の駆動力がサイクロイド減速機32に伝達される。
サイクロイド減速機32は、減速機入力軸25の偏心部25a,25bに回転自在に保持される曲線板26a,26bと、その曲線板26a,26bの外周部に係合する複数の外ピン27と、曲線板26a,26bの自転運動を減速機出力軸28に伝達する運動変換機構と、偏心部25a,25bに隣接して減速機入力軸25に設けられたカウンタウェイト29とを備える。
減速機出力軸28は、フランジ部28aと軸部28bとを有する。フランジ部28aには、減速機出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に複数の内ピン31が等間隔に固定されている。また、軸部28bは車輪用軸受部Cの内方部材としてのハブ輪33aにスプライン嵌合によってトルク伝達可能に連結され、サイクロイド減速機32の出力を後輪14(図10および図11参照)に伝達する。この減速機出力軸28は、転がり軸受46によって外ピンハウジング60に回転自在に支持されている。
図2および図3に示すように、曲線板26a,26bは、外周部にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形を有し、一方側端面から他方側端面に貫通する貫通孔30a,30bを有する。貫通孔30aは、曲線板26a,26bの自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、前述の内ピン31を受け入れる。また、貫通孔30bは、曲線板26a,26bの中心に設けられており、偏心部25a,25bに嵌合する。曲線板26a,26bは、転がり軸受41によって偏心部25a,25bに対して回転自在に支持されている。
外ピン27は、減速機入力軸25の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に設けられている。曲線板26a,26bが公転運動すると、曲線形状の波形と外ピン27とが係合して、曲線板26a,26bに自転運動を生じさせる。外ピン27は、針状ころ軸受27aによって外ピンハウジング60に回転自在に保持され、この外ピンハウジング60がケーシング22に回り止めされ、フローティング状態で支持されている。
カウンタウェイト29は、略扇形状で、減速機入力軸25と嵌合する貫通孔を有し、曲線板26a,26bの回転によって生じる不釣合い慣性偶力を打ち消すために、偏心部25a,25bと隣接する位置に偏心部25a,25bと180°位相をずらして配置される。2枚の曲線板26a,26b間の回転軸心方向の中心点をG(図3参照)とすると、その中心点Gの右側について、中心点Gと曲線板26aの中心との距離をL1、曲線板26a、転がり軸受41および偏心部25aの質量の和をm1、曲線板26aの重心の回転軸心からの偏心量をε1とし、中心点Gとカウンタウェイト29との距離をL2、カウンタウェイト29の質量をm2、カウンタウェイト29の重心の回転軸心からの偏心量をε2とすると、L1×m1×ε1=L2×m2×ε2を満たす関係となっている。L1×m1×ε1=L2×m2×ε2の関係は、不可避的に生じる誤差を許容する。中心点Gの左側の曲線板26bとカウンタウェイト29との間にも同様の関係が成立する。
運動変換機構は、減速機出力軸28に保持されて軸方向に延びる複数の内ピン31と、曲線板26a,26bに設けられた貫通孔30aとで構成されている。内ピン31は、減速機出力軸28の回転軸心を中心とする円周上に等間隔に設けられており、その軸方向一方側端部が減速機出力軸28のフランジ28aに固定されている。また、曲線板26a,26bとの摩擦抵抗を低減するために、曲線板26a,26bの貫通孔30aの内壁面に当接する位置に針状ころ軸受31aが設けられている。貫通孔30aは、複数の内ピン31それぞれに対応する位置に設けられ、貫通孔30aの内径寸法は、内ピン31の外径寸法(針状ころ軸受31aを含む最大外径)より所定寸法大きく設定されている。
内ピン31の軸方向他方側端部には、スタビライザ31bが設けられている。スタビライザ31bは、円環形状の円環部31cと、円環部31cの内周面から軸方向に延びる円筒部31dとを含む。複数の内ピン31の軸方向他方側端部は、円環部31cに固定されている。曲線板26a,26bから一部の内ピン31に負荷される荷重はフランジ部28aおよびスタビライザ31bを介して全ての内ピン31によって支持されるため、内ピン31に作用する応力を低減させ、耐久性を向上させることができる。
曲線板26a,26bに作用する荷重の状態を図4に基づいて説明する。偏心部25aの軸心O2は減速機入力軸25の軸心Oから偏心量eだけ偏心している。偏心部25aの外周には、曲線板26aが取り付けられ、偏心部25aは曲線板26aを回転自在に支持するので、軸心O2は曲線板26aの軸心でもある。曲線板26aの外周は波形曲線で形成され、径方向に窪んだ波形の凹部26cを周方向等間隔に有する。曲線板26aの周囲には、凹部26cと係合する外ピン27が、軸心Oを中心として周方向に複数配設されている。
図4において、減速機入力軸25と共に偏心部25aが紙面上で反時計周りに回転すると、偏心部25aは軸心Oを中心とする公転運動を行うので、曲線板26aの凹部26cが、外ピン27と周方向に順次当接する。この結果、矢印で示すように、曲線板26aは、複数の外ピン27から荷重Fiを受けて、時計回りに自転する。
また、曲線板26aには貫通孔30aが軸心O2を中心として周方向に複数配設されている。各貫通孔30aには、軸心Oと同軸に配置された減速機出力軸28と結合する内ピン31が挿通する。貫通孔30aの内径は、内ピン31の外径よりも所定寸法大きいため、内ピン31は曲線板26aの公転運動の障害とはならず、内ピン31は曲線板26aの自転運動を取り出して減速機出力軸28を回転させる。このとき、減速機出力軸28は、減速機入力軸25よりも高トルクかつ低回転数になり、図4に矢印で示すように、曲線板26aは、複数の内ピン31から荷重Fjを受ける。これら複数の荷重Fi,Fjの合力Fsが減速機入力軸25にかかる。
合力Fsの方向は、曲線板26aの波形形状、凹部26cの数などの幾何学的条件や遠心力の影響により変化する。具体的には、自転軸心O2と軸心Oとを結ぶ直線Yと直角であって自転軸心O2を通過する基準線Xと、合力Fsとの角度αは概ね30°〜60°で変動する。複数の荷重Fi、Fjは、減速機入力軸25が1回転(360°)する間に荷重の方向や大きさが変り、その結果、減速機入力軸25に作用する合力Fsも荷重の方向や大きさが変動する。減速機入力軸25が反時計周りに1回転すると、曲線板26aの波形の凹部26cが減速されて1ピッチ時計回りに回転して図4の状態になり、これを繰り返す。
図1に示すように、車輪用軸受部Cの車輪用軸受33は、減速機出力軸28にトルク伝達可能に連結されたハブ輪33aと、ハブ輪33aの外周面に嵌合された内輪33bと、ケーシング22に嵌合固定された外輪33cと、ハブ輪33aおよび内輪33bと外輪33cとの間に配置された複数の玉33dと、複数の玉33dを保持する保持器33eとを備えた複列アンギュラ玉軸受である。車輪用軸受33の軸方向両端部にはシール部材33fが設けられている。この車輪用軸受33のハブ輪33aにボルト34で後輪14(図10および図11参照)が連結される。
次に、全体的な潤滑機構を説明する。この潤滑機構は、モータ20を冷却するためにモータ20に潤滑油を供給すると共にサイクロイド減速機32に潤滑油を供給するものである。潤滑機構は、図1に示すように、回転ポンプ51と、モータ部Aに配設された油路22a,24a,24bおよび油孔24cと、減速機部Bに配設された油路25cおよび油孔25d,25eと、ケーシング22の下方に配置された油タンク22dとを主な構成としている。前述した回転ポンプ51の吸入口55および吐出口56は、ケーシング22のモータハウジングに設けられている。また、そのケーシング22の減速機ハウジングに油タンク22dが一体的に設けられている。
ケーシング22に設けられた油路22aは、回転ポンプ51から径方向外側へ延びて屈曲した上で軸方向に延び、さらに屈曲した上で径方向内側へ延びて油路24aに接続される。油路24aは、モータ回転軸24の内部を軸線方向に沿って延びて油路25cに接続される。モータ回転軸24の油路24bは、軸線方向に沿って延びる油路24aと連通し、径方向外側に位置するホルダ部24dに向かって延びて油孔24cと連通する。油孔24cは、ホルダ部24dのインボード側およびアウトボード側の端面に形成され、モータ部Aの内部に開口する。
油路25cは、減速機入力軸25の内部を軸線方向に沿って延びている。油孔25dは、軸線方向に沿って延びる油路25cと連通し、減速機入力軸25の外周面に半径方向に向かって延びて減速機部Bの内部に開口する。油孔25eは、軸線方向に沿って延びる油路25cと連通し、減速機入力軸25の軸端から減速機部Bの内部に開口する。
モータ部Aのケーシング22の底部には、潤滑油を油タンク22dに排出するための排油孔22bが設けられ、減速機部Bのケーシング22の底部には、潤滑油を油タンク22dに排出するための排油孔22fが設けられている。また、油タンク22dから回転ポンプ51へ潤滑油を還流させるための油路22eがケーシング22に設けられている。潤滑油を強制的に循環させるための回転ポンプ51は、ケーシング22の油路22eと油路22aとの間に設けられている。
図5に示すように、回転ポンプ51は、減速機出力軸28(図1参照)の回転を利用して回転するインナロータ52と、インナロータ52の回転に伴って従動回転するアウタロータ53と、ポンプ室54と、油路22eに連通する吸入口55と、油路22aに連通する吐出口56とを備えるサイクロイドポンプである。この回転ポンプ51をケーシング22内に配置することによって、インホイールモータ駆動装置21の大型化を防止することができる。
インナロータ52は、外周面にサイクロイド曲線で構成された歯形を有する。具体的には、歯先部分52aの形状がエピサイクロイド曲線、歯溝部分52bの形状がハイポサイクロイド曲線となっている。インナロータ52は、スタビライザ31bに設けられた円筒部31d(図1および図3参照)の外周面に嵌合して減速機出力軸28と一体回転する。アウタロータ53は、内周面にサイクロイド曲線で構成された歯形を有する。具体的には、歯先部分53aの形状がハイポサイクロイド曲線、歯溝部分53bの形状がエピサイクロイド曲線となっている。アウタロータ53は、ケーシング22に回転自在に支持されている。
インナロータ52は、回転中心c1を中心として回転し、一方、アウタロータ53は、回転中心c2を中心として回転する。インナロータ52およびアウタロータ53はそれぞれ異なる回転中心c1,c2を中心として回転するので、ポンプ室54の容積は連続的に変化する。これにより、吸入口55から流入した潤滑油が吐出口56から油路22aに圧送される。
前述した構成の潤滑機構による潤滑油の流れを説明する。図1において、潤滑機構内に付した白抜き矢印は潤滑油の流れを示す。モータ20の冷却として、回転ポンプ51から圧送された潤滑油は油路22a,24aを経由し、その一部がモータ回転軸24の回転に伴う遠心力およびポンプ圧力によって油路24bを経てロータ23bを冷却する。さらに、ホルダ部24dの油孔24cから潤滑油が吐出されてステータ23aを冷却する。このようにして、モータ20の冷却が行われる。
一方、サイクロイド減速機32の潤滑として、回転ポンプ51から圧送された潤滑油は油路22a,24a,25cを経由し、その一部が減速機入力軸25の回転に伴う遠心力およびポンプ圧力によって油孔25d,25eからサイクロイド減速機32に吐出する。油孔25dから吐出した潤滑油は、曲線板26a,26bを支持する転がり軸受41の内部へ供給される。さらに、曲線板26a,26bと内ピン31および外ピン27との当接部分などを潤滑しながら、外ピンハウジング60内を径方向外側へ移動する。油孔25eから吐出した潤滑油は、減速機入力軸25を支持する転がり軸受37bなどに供給される。このようにして、サイクロイド減速機32の潤滑が行われる。
モータ20の冷却およびサイクロイド減速機32の潤滑を行った潤滑油は、ケーシング22の内壁面を伝って重力により下部へ移動する。モータ部Aの下部へ移動した潤滑油は、排油孔22bから排出されて油タンク22dに一時的に貯溜される。減速機部Bの下部へ移動した潤滑油は、外ピンハウジング60に設けられた油孔60aを経由して排油孔22fから排出されて油タンク22dに一時的に貯溜される。このように、油タンク22dが設けられているので、回転ポンプ51によって排出しきれない潤滑油が一時的に発生しても、油タンク22dに貯溜しておくことができる。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
この実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、図1に示すように、サイクロイド減速機32が、弾性支持機能を有する回り止め手段61によってフローティング状態でケーシング22に支持された構造をなしている。つまり、サイクロイド減速機32の外ピン27は、針状ころ軸受27aを介して回転自在に外ピンハウジング60に保持され、その外ピンハウジング60が弾性支持機能を有する回り止め手段61によってフローティング状態でケーシング22に支持されている。
回り止め手段61は、ケーシング22に設けた複数のブッシュ組込孔62に弾性変形可能な円筒状の弾性ブッシュ63を組み込み、外ピンハウジング60には、支持ピン64を締め付け固定し、支持ピン64を弾性ブッシュ63内に挿入している。弾性ブッシュ63は、径が異なる一対の金属リング間にゴムを加硫接着して形成されている。複数のブッシュ組込孔62は、減速機入力軸25の回転軸心を中心とする円周上の複数箇所に設けられている。
一方、モータ部Aのモータ回転軸24と減速機部Bの減速機入力軸25とは、スプライン嵌合によって連結されている。つまり、モータ回転軸24の減速機部側に位置する軸端部の内周面に(雌)スプライン24fが形成され、減速機入力軸25のモータ部側に位置する軸端部の外周面に(雄)スプライン25fが形成されている。この減速機入力軸25の軸端部をモータ回転軸24の軸端部に圧入することにより、モータ回転軸24のスプライン24fと減速機入力軸25のスプライン25fとを嵌め合わせる。
前述したように、サイクロイド減速機32がフローティング構造となっているため、モータ部Aのモータ20および減速機部Bのサイクロイド減速機32のアライメントを維持することが困難となっている。そのため、モータ回転軸24と減速機入力軸25とのスプライン嵌合構造において、スプライン24f,25fの嵌め合いをすきま嵌めとすることで、モータ回転軸24と減速機入力軸25とを軸方向に摺動可能に連結している。このようなすきま嵌めによるスプライン嵌合構造では、運転時のサイクロイド減速機32に発生する軸方向の振動によって、モータ回転軸24に対して減速機入力軸25が軸方向に摺動し、スプライン歯面の摩耗が発生するおそれがある。
このサイクロイド減速機32のフローティング構造に基づくスプライン歯面の摩耗を抑制する手段として、図6に示すように、モータ回転軸24のスプライン24fと減速機入力軸25のスプライン25fとのスプライン嵌合部70に、グリース等の半固体潤滑剤71(図中の散点部分)を塗布するようにしている。このように、スプライン嵌合部70に半固体潤滑剤71を充填することにより、モータ回転軸24に対する減速機入力軸25の摺動抵抗を低減し、すきま嵌めのスプライン嵌合部70のスプライン歯面の摩耗を抑制するようにしている。この半固体潤滑剤71としては、二硫化モリブデン、有機モリブデン等の固体潤滑剤を含有するリチウム系またはウレア系グリースが好適である。
一方、モータ回転軸24と減速機入力軸25とのスプライン嵌合構造では、潤滑機構において、モータ回転軸24の油路24aと減速機入力軸25の油路25cとを連通させた軸芯給油構造としている。この軸芯給油構造において、モータ回転軸24の油路24aから減速機入力軸25の油路25cへの潤滑油の流れに対して、スプライン嵌合部70が下流側に位置するため(図1参照)、そのスプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71が潤滑油によって洗い流されてしまうおそれがある。
そこで、この実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、図6に示すように、モータ回転軸24と減速機入力軸25とのスプライン嵌合部70の減速機部側に位置する端部に、シール手段としてのOリング72を配している。つまり、モータ回転軸24のスプライン端部に環状の凹溝73を形成し、この凹溝73にOリング72を嵌め込んで減速機入力軸25の外周面に弾圧接触させている。
このOリング72により、スプライン嵌合部70の減速機部側に位置する端部の開口部を閉塞することができる。その結果、すきま嵌めのスプライン嵌合部70のスプライン歯面の摩耗を抑制するためにモータ回転軸24と減速機入力軸25とのスプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71が、モータ回転軸24の油路24aから減速機入力軸25の油路25cへ流れる潤滑油により減速機外部へ洗い流されることを抑制することができる。
なお、この実施形態では、モータ回転軸24のスプライン端部に凹溝73を形成し、その凹溝73にOリング72を嵌め込んだシール構造としているが、減速機入力軸25のスプライン端部に凹溝を形成し、その凹溝にOリング72を嵌め込んでモータ回転軸24の内周面に弾圧接触させる構造とすることも可能である。
ここで、前述したように、スプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71は、潤滑油によって減速機外部へ洗い流されることをOリング72で抑制することができる。しかしながら、モータ回転軸24の油路24aからスプライン嵌合部70に侵入した潤滑油によって、スプライン嵌合部70に充填された半固定潤滑剤71がスプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部の開口部から押し出されて減速機入力軸25の油路25cへ洗い流されるおそれがある(図6の破線矢印参照)。
そこで、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部にOリングを配置する手段も考えられるが、その場合、モータ回転軸24の内周面にOリング装着用凹溝を形成する加工が困難であり、また、Oリングを組み付ける作業も困難となる。そのため、図7に示すように、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部に、シール手段としてのリング状部材73を配置することが有効な手段である。
このリング状部材73としては、PTFE、PAおよびゴム等の耐熱性樹脂を素材とするものを使用すればよい。図7に示すリング状部材73は、軸方向に沿って同一の内径を有する単純形状の円筒状部材としている。このような単純形状のリング状部材73を使用することでコスト低減が図れる。また、このリング状部材73は、減速機入力軸25のスプライン25fでの最小外径(歯底部分での外径)よりも小さい内径を有する。リング状部材73は、モータ回転軸24の油路24aの内周面に圧入され、減速機入力軸25の軸端面に密着している。
このように、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部にリング状部材73を配置することにより、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部の開口部をリング状部材73で閉塞することができる。その結果、モータ回転軸24の油路24aからスプライン嵌合部70に侵入することをリング状部材73で抑制することができる。つまり、潤滑油によって、スプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71がスプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部から押し出されて減速機入力軸25の油路25cへ洗い流されることをリング状部材73で抑制することができる。また、リング状部材73は、モータ回転軸24の油路24aの内周面に圧入するだけで装着されることから、そのリング状部材73の組み付けが容易である。
また、図8に示すリング状部材74は、その内周面74aが、減速機入力軸25の油路開口部に向けて縮径する断面テーパ状をなす構造としている。つまり、リング状部材74の減速機部側に位置する開口部の内径を減速機入力軸25の油路25cの内径と略一致させると共に、リング状部材74のモータ部側に位置する開口部の内径をモータ回転軸24の油路24aの内径に略一致させている。このリング状部材74も、モータ回転軸24の油路24aの内周面に圧入され、減速機入力軸25の軸端面に密着している。
このように、内周面74aが断面テーパ状をなすリング状部材74を、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部に配置することにより、リング状部材74の内部を流通する潤滑油がリング状部材74の断面テーパ状の内周面74aで誘導されるので、潤滑油がモータ回転軸24の油路24aから減速機入力軸25の油路25cへスムーズに流入する。その結果、潤滑油によって、スプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71がスプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部から押し出されて減速機入力軸25の油路25cへ洗い流されることをリング状部材74で確実に抑制することができる。
さらに、図9に示すリング状部材75は、断面テーパ状をなす内周面75aに、モータの回転方向に応じた減速機入力軸25の油路開口部に向く螺旋状溝75bが形成されている構造としている。この場合も、リング状部材75の減速機部側に位置する開口部の内径を減速機入力軸25の油路25cの内径と略一致させると共に、リング状部材75のモータ部側に位置する開口部の内径をモータ回転軸24の油路24aの内径に略一致させている。このリング状部材75も、モータ回転軸24の油路24aの内周面に圧入され、減速機入力軸25の軸端面に密着している。
このように、断面テーパ状をなす内周面75aに螺旋状溝75bが形成されたリング状部材75を、スプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部に配置することにより、リング状部材75の内部を流通する潤滑油がリング状部材75の断面テーパ状内周面75aの螺旋状溝75bで誘導されるので、潤滑油がモータ回転軸24の油路24aから減速機入力軸25の油路25cへより一層スムーズに流入する。その結果、潤滑油によって、スプライン嵌合部70に充填された半固体潤滑剤71がスプライン嵌合部70のモータ部側に位置する端部から押し出されて減速機入力軸25の油路25cへ洗い流されることをリング状部材75でより一層確実に抑制することができる。図7〜図9に示す実施形態では、スプライン嵌合部70の減速機部側をOリング72で閉塞し、かつ、モータ部側をリング部材73,74,75で閉塞している。つまり、スプライン嵌合部70の両端側をシール手段(Oリング72、リング部材73,74,75)で閉塞するので、半固体潤滑剤71が流れ出るのをより効果的に防止できる。なお、図6〜図9において図中に付した白抜き矢印は潤滑油の流れを示している。
最後に、この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1〜図3に示すように、モータ20は、例えば、ステータ23aのコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石又は磁性体によって構成されるロータ23bが回転する。これにより、モータ回転軸24に連結された減速機入力軸25が回転すると、曲線板26a,26bは減速機入力軸25の回転軸心を中心として公転運動する。このとき、外ピン27が、曲線板26a,26bの曲線形状の波形と係合して、曲線板26a,26bを減速機入力軸25の回転とは逆向きに自転回転させる。
貫通孔30aに挿通する内ピン31は、曲線板26a,26bの自転運動に伴って貫通孔30aの内壁面と当接する。これにより、曲線板26a,26bの公転運動が内ピン31に伝わらず、曲線板26a,26bの自転運動のみが減速機出力軸28を介して車輪用軸受部Cに伝達される。このとき、減速機入力軸25の回転がサイクロイド減速機32によって減速されて減速機出力軸28に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ20を採用した場合でも、後輪14に必要なトルクを伝達することが可能となる。
このサイクロイド減速機32の減速比は、外ピン27の数をZA、曲線板26a,26bの波形の数をZBとすると、(ZA−ZB)/ZBで算出される。図2に示す実施形態では、ZA=12、ZB=11であるので、減速比は1/11と非常に大きな減速比を得ることができる。このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができるサイクロイド減速機32を採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン27および内ピン31に針状ころ軸受27a,31a(図3参照)を設けたことにより、曲線板26a,26bとの間の摩擦抵抗が低減されるので、サイクロイド減速機32の伝達効率が向上する。
この実施形態においては、油路24bをモータ回転軸24に設け、油孔25dを偏心部25a,25bに設け、油孔25eを減速機入力軸25の軸端に設けた場合を例示したが、これに限ることなく、モータ回転軸24や減速機入力軸25の任意の位置に設けることができる。また、回転ポンプ51としてサイクロイドポンプの例を示したが、これに限ることなく、減速機出力軸28の回転を利用して駆動するあらゆる回転型ポンプを採用することができる。さらに、回転ポンプ51を省略して、遠心力のみによって潤滑油を循環させるようにしてもよい。
サイクロイド減速機32の曲線板26a,26bを180°位相をずらして2枚設けた例を示したが、曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相をずらして設けるとよい。運動変換機構は、減速機出力軸28に固定された内ピン31と、曲線板26a,26bに設けられた貫通孔30aとで構成された例を示したが、これに限ることなく、サイクロイド減速機32の回転をハブ輪33aに伝達可能な任意の構成とすることができる。例えば、曲線板26a,26bに固定された内ピンと減速機出力軸28に形成された穴とで構成される運動変換機構であってもよい。
この実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから後輪14に伝達される。したがって、前述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。また、モータ部Aに電力を供給してモータ部を駆動させ、モータ部Aからの動力を後輪14に伝達させる場合を示したが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、後輪14側からの動力を減速機部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電してもよい。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させたり、車両に備えられた他の電動機器などの作動に用いてもよい。
この実施形態においては、モータ部Aにラジアルギャップモータ20を採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されるステータと、ステータの内側の軸方向の隙間を開けて対向する位置に配置されるロータとを備えるアキシャルギャップモータであってもよい。さらに、図10および図11に示した電気自動車11は、後輪14を駆動輪とした例を示したが、これに限ることなく、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
22 ケーシング
24 モータ回転軸
25 減速機入力軸
61 回り止め手段
70 スプライン嵌合部
71 半固体潤滑剤
72 シール手段(Oリング)
73,74,75 シール手段(リング状部材)
A モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部

Claims (6)

  1. モータ部と、減速機部と、車輪用軸受部と、前記モータ部および減速機部を収容するケーシングとを備え、前記モータ部のモータ回転軸の回転を前記減速機部の減速機入力軸に伝達し、前記減速機入力軸の回転を減速機部のサイクロイド減速機で減速して前記車輪用軸受部に伝達するインホイールモータ駆動装置であって、
    前記サイクロイド減速機は、弾性支持機能を有する回り止め手段によってフローティング状態で前記ケーシングに支持された構造をなし、前記モータ回転軸と前記減速機入力軸とをすきま嵌めでスプライン嵌合し、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部に半固体潤滑剤を充填し、前記スプライン嵌合部の端部にシール手段を設けたことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  2. 前記シール手段は、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部の減速機部側に位置する端部に配されたOリングとした請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記シール手段は、モータ回転軸と減速機入力軸とのスプライン嵌合部のモータ部側に位置する端部に配されたリング状部材とした請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
  4. 前記リング状部材は、軸方向に沿って同一の内径を有する請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置。
  5. 前記リング状部材は、その内周面が、減速機入力軸の油路開口部に向けて縮径する断面テーパ状をなす請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置。
  6. 前記リング状部材は、その内周面に、減速機入力軸の油路開口部に向く螺旋状溝が形成されている請求項5に記載のインホイールモータ駆動装置。
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