JP2016097385A - 原料粉砕装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粉砕室の気流を回転中心へスムーズに誘導することで、エネルギー損失を抑制し、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えることが可能な構成の原料粉砕装置を提供する。【解決手段】第1回転翼11側の投入口2に原料が投入されると粉砕室にて粉砕されて第2回転翼12側の排出口9から粉砕された原料が排出される構成とされ、第1回転翼11と第2回転翼12との間には案内部材32が配置されている。前記案内部材32は粉砕室を区画して第1回転翼11と第2回転翼12とを隔てる円形状の隔壁321に偏心穴322が開いている構造となっており、前記回転翼の回転に伴って発生する気流が、回転軸13の方向に導いて吸込まれる気流A10となり、押し出される気流A11となるので気流を回転中心へ誘導することができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、回転翼によって、原料を粉砕する原料粉砕装置に関する。
塗料やセメント等の工業用材料、コメや小麦等の農産物、稲藁や木材等のバイオマス、医薬原料、化粧材料、電子部品材料、鉱物など、有機無機を問わずミクロンオーダーに粉砕する原料粉砕装置の需要が高まっている。
原料を粉砕する原料粉砕装置としては、回転軸に取付けられた回転翼を粉砕室内に配し、駆動手段によって前記回転軸を駆動することで前記回転翼を回転させて原料を粉砕する原料粉砕装置が知られている。
前記回転翼は、インペラ、羽根車、ロータとも呼称される。本明細書では、回転軸の周方向に羽を配列した回転体を総称して回転翼と定義する。
特許文献1には、ケーシング内の粉砕室にて向かい合って配された第1回転翼及び第2回転翼と、これら回転翼を同一方向に回転させる回転軸と、前記回転軸を駆動する駆動手段が備わっている構成の粉砕機が記載されている(その段落0047、その図5等を参照)。
特許文献2には、前記ケーシングを、第1回転翼側の第1側方ケーシング部材と、第2回転翼側の第2側方ケーシング部材と、両側方ケーシング部材を接続する中間ケーシング部材とに分割可能とし、尚且つ、第1側方ケーシング部材の内周面には中間ケーシング部材に向かって次第に拡径する第1傾斜内周面を、第2側方ケーシング部材の内周面には中間ケーシング部材に向かって次第に拡径する第2傾斜内周面を形成し、第1側方ケーシング部材の内周面には、投入口に連通する投入口連通開口を、第2側方ケーシング部材の内周面には、排出口に連通する排出口連通開口をそれぞれ開設し、第1側方ケーシング部材の第1傾斜内周面の拡径端部と中間ケーシング部材の内周面との境界部分、または第2側方ケーシング部材の第2傾斜内周面の拡径端部と中間ケーシング部材の内周面との境界部分の少なくとも一方に、排出口連通開口よりも小さな開口を有する補助排出口を開設し、上記中間ケーシング部材の内周面に、補助排出口よりも大きな開口を有する副補助排出口を開設し、上記補助排出口および副補助排出口にシャッターをそれぞれ設けて開閉可能とし、上記補助排出口に補助吸引装置を連通するとともに、副補助排出口に副補助吸引装置を連通し、粉砕作業半ばでシャッターを開閉するとともに補助吸引装置または副補助吸引装置の吸引力を調整することにより、粉砕室内で粉砕途中の原料を補助排出口または副補助排出口から排出可能とした粉砕機が記載されている(その請求項1、その図2等を参照)。
特許文献3には、垂直方向に配された1つの回転軸に一対の回転翼が所定間隔で取付けられてケーシング内に配置されている構成の粉砕機が記載されている。
特開2013−000702号公報 特開2003−071307号公報(特許第3701632号公報) 特開2006−026530号公報
原料を粉砕し混合する処理量を増加させるためには、前記回転翼の径を大きくする必要がある。また、原料を微粒化しつつ、その粒子径をシャープな粒度分布とするためには、前記回転翼を高速回転する必要がある。また、1つの回転軸に一対の回転翼が所定間隔で取付けられてケーシング内に配置されている構成は、駆動手段が1つで済み、コンパクトで合理的な構成となる。
しかしながら、1つの回転軸に一対の回転翼が所定間隔で取付けられてケーシング内に配置されている構成の場合、ケーシング内の粉砕室にて向かい合って配された第1回転翼と第2回転翼を回転軸回りで同一方向に回転させることから、粉砕室内の気流の乱れによって渦が生じてしまう。前記気流の乱れによる渦はエネルギー損失となり、前記気流の乱れによって生じた渦と構成部材との摩擦によって装置内部が発熱するという問題点がある。
上述のとおり、原料を微粒化しつつ、その粒子径をシャープな粒度分布とするためには、前記回転翼を高速回転する必要があるが、前記回転翼を高速回転するに従い、前記回転翼の回転による摩擦抵抗に加えてケーシング内の気流の乱れによる渦が大きくなり、装置の騒音レベルが高くなる。さらに、同様に装置内部の発熱量が大きくなり、これによって、原料の温度が上昇し品質が劣化することが懸念される。
また、従来、原料粉体に働く遠心力が気流の作用よりも大きく作用して第1回転翼と第2回転翼の間で粉砕室の内壁となる位置に粉砕途中の原料が残り易いという問題点がある。
そこで本発明の目的は、粉砕室の気流を回転中心へスムーズに誘導することで、エネルギー損失を抑制し、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えることが可能な構成の原料粉砕装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、粉砕室が形成されたケーシングと、前記ケーシング内の粉砕室にて向かい合って配された第1回転翼及び第2回転翼と、これら回転翼を同一方向に回転させる回転軸と、前記回転軸を駆動する駆動手段を備え、前記第1回転翼側の投入口に原料が投入されると前記粉砕室にて粉砕されて前記第2回転翼側の排出口から粉砕された原料が排出される構成とされ、前記第1回転翼と前記第2回転翼との間には前記回転翼の回転に伴って発生する気流を回転中心へ導く案内部材が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記案内部材によって前記粉砕室の気流を回転中心へスムーズに誘導することで、エネルギー損失を抑制し、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えることができる。
前記駆動手段とは、電動モータ、油圧モータ、エンジン等である。
前記案内部材としては、例えば、前記回転軸回りの気流に対して突起部を前記粉砕室の内周に沿って設ける構造がある。その構造によって、前記突起部の斜面を介して、多方向から回転中心へ気流を誘導することができる。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の原料粉砕装置であって、前記案内部材は前記粉砕室を区画して前記第1回転翼と前記第2回転翼とを隔てる円形状の隔壁に偏心穴が開いている構造であることを特徴とする。
上記構成によれば、前記円形状の隔壁を設け、かつ、前記円形状の隔壁に偏心穴が開いていることで気流によって運ばれる原料粉体を回転中心へ誘導し、原料粉体の処理量を増大させることが容易な構造となる。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の原料粉砕装置であって、前記案内部材の偏心穴はその内周が前記隔壁に内接するか近接する円形状であって前記回転翼の根元付近が現れる大きさに設定されることを特徴とする。
上記構成によれば、遠心力によって飛ばされた原料粉体が粉砕室の内壁に残る量が激減する。上述のとおり、従来であれば前記第1回転翼と前記第2回転翼の間で粉砕室の内壁となる位置には粉砕されない原料が残っていたが、その空間をなくした分、原料が次の粉砕及び分級サイクルに再度導入され易くなっている。
前記回転軸は、垂直軸の場合と、水平軸の場合がある。装置の重心を低くして安定動作させることや、原料粉体が粉砕室の内壁に残る量を極力少なくするには、前記回転軸は垂直軸とすることが好ましい。また、前記駆動手段に対して回転軸が上向きに配されていることが好ましい。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の原料粉砕装置であって、前記回転軸は鉛直方向に配されており、前記隔壁を挟んで上下に円筒状の壁面が形成され前記粉砕室の内周壁の一部を構成していることを特徴とする。
上記構成によれば、前記第1回転翼が配された第1の粉砕室と、前記第2回転翼が配された第2の粉砕及び分級室とを、前記案内部材が区画して、気流を回転中心へ誘導する。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項2から4のいずれか一項記載の原料粉砕装置であって、前記気流は、前記回転翼の各先端付近から発生し前記偏心穴の内周が前記回転軸の中心線から遠い側から吸込まれて回転中心へ誘導され、前記偏心穴の内周が前記回転軸の中心線から近い側から吐出される構成であることを特徴とする。
上記構成によれば、投入された原料が残らず粉砕及び分級されて排出されることとなる。つまり、本発明によれば、粉砕及び分級の処理サイクルは、前記回転翼に原料が衝突するなどした後、原料が前記回転翼から前記偏心穴の内面に誘導されて吸い込まれ、そして、押し出された気流と遠心力によって原料が前記偏心穴の内面から外側へ飛ばされる。外側へ飛ばされた原料は、粉砕室の壁面、原料同士等と衝突し、粉砕される。その後、粉砕された粉砕物は分級されて排出され、粉砕されずに残った原料は前記粉砕及び分級の処理サイクルを繰り返す。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか一項記載の原料粉砕装置であって、前記気流は、前記回転翼の回転に伴って前記回転翼の根元の少なくとも一部から前記気流によって運ばれた原料粉体を前記案内部材の内面に吸い込ませ、そして、前記案内部材の内面から押し出された気流によって運ばれた原料粉体を遠心力によって飛ばし、その後、粉砕し分級して排出することを特徴とする。
前記ケーシングは、前記案内部材を組み込んで一体形成することができる。前記ケーシングは切削加工、鍛造加工、放電加工、その他既知の加工方法で加工される。前記ケーシングが、前記案内部材を組み込んで一体形成されていることで、構成部品の部品点数を削減し装置コストを抑えることが容易となる。
前記ケーシングは、前記回転軸方向に分解可能に組み合わさっており、前記案内部材は着脱可能に前記ケーシングに組み込まれている構成とすることができる。前記ケーシングや前記案内部材は切削加工、鍛造加工、放電加工、プレス加工、その他既知の加工方法で加工される。前記案内部材が、着脱可能に前記ケーシングに組み込まれていることで、原料の種別やその粉砕レベルに応じて前記案内部材を異ならせたものをアタッチメントとして交換して用いることができる。また、メンテナンスのためにケーシングの内部を開放する際、ケーシングの構成部材を上から順に取り外せばよいため、洗浄や部品交換等のメンテナンスが比較的簡易にできる。なお、粉砕性能そのものは、分解可能型でも一体型でも変わりない。
前記案内部材の材質は、ステンレスやアルミニウムなどの硬質金属や、セラミック等である。または、前記案内部材の材質の一部ないしは全部を透明または半透明な材質とすることで、粉砕室の様子が外部から視認できるようになり、原料の粉砕及び混合の処理状態が把握し易くなる。
前記原料としては、塗料やセメント等の工業用材料、コメや小麦やお茶等の農産物、くま笹やカニ甲羅等の健康食品、稲藁や木材等のバイオマス、医薬原料、化粧材料、電子部品材料、鉱物などが挙げられ、有機無機を問わずミクロンオーダーに粉砕及び混合する要求のある原料が被処理対象物となる。
前記第1回転翼と前記第2回転翼の役割を比較すると、それぞれ粉砕及び分級を行っているが、どちらかといえば、前記第1回転翼は、投入された原料を粉砕する役割があり、また、前記第2回転翼は、粉砕された原料を分級する役割がある。ここで、分級(classification)とは、流体力を利用して、粉砕された原料をその粒子径の大小にしたがって分離することであり、ふるい分けも含める。空気などの流体の中で運動する粉粒体の各粒子には,重力あるいは遠心力のほかに、流体による作用力が働く。この作用力、すなわち流体抗力は粒子径に依存し,また重力や遠心力とは粒子径との関係を異にするので、両者間のつりあい条件が粒子径によって左右される。
上記構成によれば、上述のように、原料に粉砕及び混合処理を施す。そして、原料の大きさ、重量、硬さなどの組み合わせによって、それぞれ要求される粒径と粒度分布の先鋭度(シャープ度合い)に応じて、条件を調整することができる。例えば、原料の種類や粒度に応じて回転数を増減させる。例えば、原料の種類や粒度に応じて前記第1回転翼と前記第2回転翼の羽のサイズを異ならせたものをアタッチメントとして交換して用いることができる。
本発明の原料粉砕装置によれば、前記粉砕室の気流が回転中心へスムーズに誘導され、エネルギー損失が抑制され、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えることができる。本発明によれば、前記円形状の隔壁を設け、かつ、前記円形状の隔壁に偏心穴が開いていることで気流によって運ばれる原料粉体を回転中心へ誘導し原料粉体の処理量を増大させることが容易な構造となる。つまり、粉砕及び分級の処理サイクルは、前記回転翼に原料が衝突するなどした後、原料が前記回転翼から前記偏心穴の内面に誘導されて吸い込まれ、そして、前記偏心穴の内周付近で遠心力の作用が大きく作用することによって原料が前記偏心穴の内面から外側へ飛ばされる。その後、粉砕された粉砕物は分級されて排出され、粉砕されずに残った原料は前記粉砕及び分級の処理サイクルを繰り返す。これら本発明によって、エネルギー損失を抑制し、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えた装置となり、さらには原料の処理能力の向上も期待できる。
本発明を適用した実施形態の原料粉砕装置を示す斜視図である。 上記実施形態の原料粉砕装置を正面側から見た要部断面図である。 上記実施形態の原料粉砕装置を平面側から見た要部断面図である。 上記実施形態の原料粉砕装置に係る案内部材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面側から見た断面図である。 上記実施形態の原料粉砕装置の他の例を平面側から見た要部断面図である。 上記実施形態の原料粉砕装置の他の例を正面側から見た要部断面図である。 上記実施形態の原料粉砕装置に係る案内部材の他の例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面側から見た断面図である。 本発明の原料粉砕装置に係る案内部材の他の例を模式的に示す図である。
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明を適用した実施形態の原料粉砕装置を示す斜視図である。本実施形態の原料粉砕装置1は、基台10と、基台10上に配置されたケーシング3とを備え、ケーシング3の下側には、処理前の原料201を投入する投入口2が配されており、ケーシング3の上側には、処理済の原料209を排出する排出口9が配されている(図1)。
図2は、本実施形態の原料粉砕装置1を正面側から見た要部断面図である。図2に示す例では、ケーシング3は、下から上に向かって順に、第1ケーシング31、案内部材32、第2ケーシング33が分解可能に組み合わさっている。ケーシング3には所定の粉砕室が形成されている。図2に示す例では、第1ケーシング31に形成されている空間は第1の粉砕室S1であり、第1回転翼11が配されている。案内部材32に形成されている空間は案内室S12である。第2ケーシング32に形成されている空間は第2の粉砕及び分級室S2であり、第2回転翼12が配されている。第1回転翼11と第2回転翼12とは、ひとつの回転軸13に取付けられて、駆動手段7によって同一方向に回転する(図2)。第1回転翼11と第2回転翼12は向かい合って配されており、第1回転翼11側の投入口2に原料が投入されると、粉砕及び分級されて、第2回転翼12側の排出口9から粉砕された原料が排出される構成となっている(図2)。回転軸13の中心線P1−P1は鉛直線である。
図3は、本実施形態の原料粉砕装置1を平面側から見た要部断面図であって、図2のB−B線断面図となっている。図4は、本実施形態の原料粉砕装置1に係る案内部材32を示す図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は正面側から見た断面図である。本実施形態の案内部材32は、前記回転翼11,12の回転に伴って発生する気流を回転軸13の中心線P1−P1線の方向に導くためのものである。案内部材32は前記粉砕室を第1の粉砕室S1と案内室S12と第2の粉砕及び分級室S2とに区画しており、第1回転翼11と第2回転翼12との間を隔てる円形状の隔壁321に貫通穴322が開いている構造となっている(図2、図3、図4(a)(b))。貫通穴322は偏心穴である。そして、案内部材32の偏心穴322はその内周が隔壁321の外周(符号323で示す内壁の位置)に内接するか近接する円形状であって第1回転翼11と第2回転翼12の根元の少なくとも一部が現れる大きさに設定されている(図3)。
図2に示す例では、第1の粉砕室S1は、第1回転翼11と対応する部分が円錐台形状となっており、その円錐台形状の斜面側と投入口2が挿通している。また、第2の粉砕及び分級室S2は、第2回転翼12と対応する部分が円錐台形状となっており、その円錐台形状の斜面側よりも上方の位置に排出口9が挿通している。そして、前記案内部材32は突出部321を挟んで上下に円筒状の壁面323が形成され前記粉砕室の内周壁の一部を構成している。
図2に示す例では、駆動手段7によって回転軸13を、平面視で反時計回り(矢印N1の方向)に回転させ、投入された原料に対して、粉砕及び混合を施す構成となっている。例えば、駆動手段7は電動モータであり、1分間に3,000回転〜12,000回転の間で回転軸13を回転させることで、第1回転軸11及び第2回転翼12を回転させる(図2を参照)。これら回転翼11,12の羽の枚数は、任意であるが、例えば、4〜12枚程度で設定する。回転翼11,12の材質は、任意であるが、例えば、セラミック、超硬金属、析出硬化系ステンレスなどが挙げられる。例えば、回転翼11,12をコーティングするなどして、その寿命を長寿命化させる。
本実施形態では、前記案内部材32は、円形状の隔壁321が前記粉砕室S1とS2を区画しており、偏心穴322が前記粉砕室S1とS2を挿通している(図2)。図2において、符号A10と符号A11で示す矢印は気流を示している。
原料201の粉砕処理手順は、次のとおりである。まず、原料粉砕装置1を起動させて、投入口2に原料201を投入する。投入は自然落下としてもよいし、さらに加速度を加えて落下させてもよい。粉砕及び分級の処理サイクルは、第1の粉砕室S1で原料が、原料同士、気流、第1回転翼11、処理室S1の側面などと衝突した後、第1回転翼11と第2回転翼12の間の気流は、前記回転翼11,12の根元19の少なくとも一部から前記気流によって運ばれた原料粉体が案内部材32の内面(案内室S12)に吸い込まれる気流A10となり、そして、押し出される気流A11となり、遠心力によって前記原料粉体が案内室S12から外側へ飛ばされる。その後、第2回転翼12によって粉砕された粉砕物は分級されて排出され、粉砕されずに残った原料は前記粉砕及び分級の処理サイクルを繰り返す(図2、図3)。原料209の排出は自然排出としてもよいし、別途、サイクロン装置を付設して、最終的な処理原料を吸引することもできる(図1、図2を参照)。
本実施形態によれば、気流が回転中心へスムーズに誘導され、エネルギー損失が抑制され、装置内部の発熱及び装置の騒音を効果的に抑えることができる。さらに、原料粉体が案内室S12の内壁に残る量が激減する。
図2に示す例では、回転軸13は鉛直方向に配されており、案内部材32は突出部321を挟んで上下に円筒状の壁面323が形成され粉砕室の内周壁の一部を構成している。本実施形態によれば、前記案内部材32が粉砕ゾーンを形成することとなる。また、装置を停止したときは、重力の作用によって原料粉体が落下するので、粉砕室の内壁に原料粉体が残ることはない。
図4(b)に示すように、案内部材32の偏心穴322はその内周が、円筒状の壁面323に内接するか近接する円形状である。そして、回転軸13の中心線P1−P1から壁面323までの長さをR1とし、回転軸13の中心線P1−P1から壁面322までの長さをR2と定義すると、R1はR2の1.5倍以上の値に設定される(R1≧1.5×R2)。そして、偏心穴322は前記回転翼11,12の根元の少なくとも一部が現れる大きさに設定される。前記回転翼11,12の根元19の少なくとも一部から、吸い込まれる気流A10と押し出される気流A11の良好なバランスを保つことができるからである。
(その他の実施形態)
案内部材32の構造は図4(a)(b)に示す例に限られない。例えば、図7(a)(b)に示すように、円形状の隔壁321が偏心穴322に向かう方向でテーパ形状324を設けてもよい。案内室S12の空間を確保しつつ偏心穴322の形状変更等の設計の自由度が高くなる。
上記以外の例としては、図8(a)のように、偏心穴322の内周が、円筒状の壁面323に近接しない円形状とする場合がある。原料によってはその粒度を大きくしたいときがあるからである。また、図8(b)のように、偏心穴322が楕円形状とする場合がある。
上記以外の例としては、例えば図5に示すように、案内部材32は前記回転軸回りの気流に対して障害物となる突起部325を前記粉砕室の内周に沿って複数設ける場合がある。原料によってはその処理量を大きくしたいときがあるからである。突起325は、第1回転翼11と第2回転翼12の回転中心(中心線P1−P1線)に対して回転対称となる形状で複数配置されており、前記回転翼の回転に伴って発生する気流を回転軸13の方向に導く側面がアール形状の斜面3251が形成されている。
図2に示す例では、ケーシング3は、第1ケーシング31、案内部材32、第2ケーシング33が分解可能に組み合わさっているとしたが、この例に限られない。例えば図6に示すように、ケーシング3は、前記案内部材を組み込んで一体形成することができる。ケーシング3は切削加工、鍛造加工、放電加工、その他既知の加工方法で加工される。なお、粉砕性能そのものは、分解可能型でも一体型でも変わりない。
(実施例)
案内部材のない原料粉砕装置を従来例とした。従来例に、図3と図4に示す案内部材32(円形状の隔壁321に偏心穴322が開いている構造)を取付けたものを実施例1とした。従来例に、図5に示す案内部材32(突起325を粉砕室の内周に沿って複数設ける構造)を取付けたものを実施例2とした。それらを比較して粉砕試験を行った。原料は、市販のラクトース(乳糖)である。実験結果を次の表1に示す。
表1に示すとおり、実施例1は、従来例と比較して、粉砕された粉体のメジアン径がほぼ同じであり、原料20g処理後の粉砕室内の残留量が50分の一未満となり、排気配管表面温度がほぼ同じであり、騒音が17dB小さくなった。実施例1は、粉砕室内の残留量は大幅に削減され、騒音レベルも大幅に改善され、顕著な効果が見られた。また、表1に示すとおり、実施例2は、従来例と比較して、原料20g処理後の粉砕室内の残留量が10分の一未満となり、所定の効果が得られたが、粉砕された粉体のメジアン径は大きくなり、排気配管表面温度は上昇が見られた。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、前記回転軸13は、垂直軸であるとして説明したが、これに限定されない。前記回転軸13は、水平軸の場合があり、このときは、粉砕室内の残留量を大幅に削減するためには、案内部材32の偏心穴322は下側に偏心している構成が好ましい。厳密な温度管理が必要な場合や、原料の種類や処理条件によっては、装置1内部の発熱を抑える手段として、装置1の外部に冷却手段を付設する場合もある。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
1 原料粉砕装置、
2 投入口、
3 ケーシング、
7 駆動手段、
9 排出口、
11 第1回転翼、
12 第2回転翼、
13 回転軸、
201 原料(処理前の原料)、
209 原料(処理後の原料)、
321 突出部(円形状の隔壁)、
322 貫通穴(偏心穴)、
A10 気流(吸込まれる気流)、
A11 気流(押し出される気流)、
S1 第1の粉砕室、
S2 第2の粉砕及び分級室、
S12 案内室

Claims (6)

  1. 粉砕室が形成されたケーシングと、前記ケーシング内の粉砕室にて向かい合って配された第1回転翼及び第2回転翼と、これら回転翼を同一方向に回転させる回転軸と、前記回転軸を駆動する駆動手段を備え、前記第1回転翼側の投入口に原料が投入されると前記粉砕室にて粉砕されて前記第2回転翼側の排出口から粉砕された原料が排出される構成とされ、前記第1回転翼と前記第2回転翼との間には前記回転翼の回転に伴って発生する気流を回転中心へ導く案内部材が配置されていることを特徴とする原料粉砕装置。
  2. 前記案内部材は前記粉砕室を区画して前記第1回転翼と前記第2回転翼とを隔てる円形状の隔壁に偏心穴が開いている構造であることを特徴とする請求項1記載の原料粉砕装置。
  3. 前記案内部材の偏心穴はその内周が前記隔壁に内接するか近接する円形状であって前記回転翼の根元の少なくとも一部が現れる大きさに設定されることを特徴とする請求項2記載の原料粉砕装置。
  4. 前記回転軸は鉛直方向に配されており、前記隔壁を挟んで上下に円筒状の壁面が形成され前記粉砕室の内周壁の一部を構成していることを特徴とする請求項2または3記載の原料粉砕装置。
  5. 前記気流は、前記回転翼の各先端付近から発生し前記偏心穴の内周が前記回転軸の中心線から遠い側から吸込まれて回転中心へ導かれ、前記偏心穴の内周が前記回転軸の中心線から近い側から吐出される構成であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項記載の原料粉砕装置。
  6. 前記気流は、前記回転翼の回転に伴って前記回転翼の根元の少なくとも一部から前記気流によって運ばれた原料粉体を前記案内部材の内面に吸い込ませ、そして、前記案内部材の内面から押し出された気流によって運ばれた原料粉体を遠心力によって飛ばし、その後、粉砕し分級して排出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の原料粉砕装置。
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