まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
図1に示すように、遊技盤2は、ベニヤ板等の非透光性部材にて正面見略四角形状に構成され、前面である遊技盤面に障害釘(図示略)やガイドレール2b等が設けられた盤面板にて構成されている。尚、本実施例では、遊技盤2はベニヤ板にて構成されていたが、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂材にて形成され、前面である遊技盤面(図示略)に障害釘(図示略)等が植設される盤面板(図示略)と、該盤面板の背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材(図示略)と、から構成されていてもよい。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。例えば、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を変動表示する。尚、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
一例として、演出表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rが配置されている。特図ゲームにおける変動表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、演出図柄の変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。尚、例えば特別図柄や演出図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、演出図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して変動表示を終了させることである。
「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される演出図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。演出図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。尚、演出図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやはずれとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。本実施例では、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の白色表示とし、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を同様に丸型の白色表示とする。
図1に示す例では、第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上方位置に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。尚、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第2保留表示器25Bの上方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(変動表示)する。このような普通図柄の変動表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域10における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置(図示略)が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。
下皿を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取付けられている。スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、トリガボタンに対する押引操作などによる所定の指示操作を検出するトリガセンサが内蔵されていればよい。
スティックコントローラ31Aの下部における下皿の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検出するコントローラセンサユニット35Aが設けられていればよい。例えば、コントローラセンサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側から見て操作桿の中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側から見て操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組合せた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
上皿を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下動作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下動作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン31Bに対してなされた遊技者による押下動作を検出するプッシュセンサ35Bが設けられていればよい。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を通過した遊技球が図2に示すゲートスイッチ21によって検出されたことといった、普通図柄表示器20にて普通図柄の変動表示を実行するための普図始動条件が成立した後に、例えば前回の普図ゲームが終了したことといった、普通図柄の変動表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。
この普図ゲームでは、普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過すると、普通図柄の変動表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字といった、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字以外の数字や記号といった、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、特図変動時間としての変動表示時間が経過すると、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が確定特別図柄として停止表示されれば「はずれ」となる。尚、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されるようにしても良く、これら所定表示結果としての所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示される場合には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御すれば良い。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
本実施例におけるパチンコ遊技機1では、一例として、「3」、「5」、「7」の数字を示す特別図柄を大当り図柄とし、「−」の記号を示す特別図柄をはずれ図柄としている。尚、小当り図柄を停止表示する場合には、例えば、「2」の数字を示す特別図柄を小当り図柄とすれば良い。尚、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームにおける大当り図柄やはずれ図柄といった各図柄は、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームにおける各図柄とは異なる特別図柄となるようにしてもよいし、双方の特図ゲームにおいて共通の特別図柄が大当り図柄やはずれ図柄となるようにしてもよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「3」、「5」、「7」の数字を示す大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。尚、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(例えば大入賞口に遊技球が入賞しなかったことなど)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。
大当り遊技状態におけるラウンドのうち、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とする上限時間が比較的に長い時間(例えば29秒など)となるラウンドは、通常開放ラウンドともいう。一方、特別可変入賞球装置7を第1状態(開放状態)とする上限時間が比較的に短い時間(例えば0.1秒など)となるラウンドは、短期開放ラウンドともいう。
尚、小当り図柄(例えば「2」の数字)を停止表示する場合にあっては、これら小当り図柄が確定特別図柄として導出された後に、特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御すれば良い。具体的に小当り遊技状態では、例えば、上記した、実質的には出球(賞球)が得られない短期開放大当り状態と同様に特別可変入賞球装置7において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作を実行すれば良い。
演出表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。
ここで、リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリア5L,5Rなど)では予め定められた大当り組合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が停止表示されているときに未だ停止表示していない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリア5Cなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおける全部または一部で演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
また、リーチ状態となったことに対応して、演出図柄の変動速度を低下させたり、演出表示装置5の表示領域に演出図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、演出図柄とは異なる動画像を再生表示させたり、演出図柄の変動態様を変化させたりすることで、リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、動画像の再生表示、演出図柄の変動態様の変化といった演出動作を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。尚、リーチ演出には、演出表示装置5における表示動作のみならず、スピーカ8L,8Rによる音声出力動作や、演出用LED9などの発光体における点灯動作(点滅動作)などを、リーチ状態となる以前の動作態様とは異なる動作態様とすることが含まれていてもよい。
リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ態様)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ態様では「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、変動表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、はずれ図柄となる特別図柄が停止表示(導出)される場合には、演出図柄の変動表示が開始されてから、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態とならずに、所定の非リーチ組合せとなる確定演出図柄が停止表示されることがある。このような演出図柄の変動表示態様は、変動表示結果が「はずれ」となる場合における「非リーチ」(「通常はずれ」ともいう)の変動表示態様と称される。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、はずれ図柄となる特別図柄が停止表示(導出)される場合には、演出図柄の変動表示が開始されてから、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となったことに対応して、リーチ演出が実行された後に、あるいは、リーチ演出が実行されずに、所定のリーチはずれ組合せとなる確定演出図柄が停止表示されることがある。このような演出図柄の変動表示結果は、変動表示結果が「はずれ」となる場合における「リーチ」(「リーチはずれ」ともいう)の変動表示態様と称される。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、大当り図柄となる特別図柄のうち「3」の数字を示す大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となったことに対応して、所定のリーチ演出が実行された後に、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示される。尚、リーチ演出が実行されずに、確定演出図柄として非確変大当り組合せを停止表示しても良い。
通常大当り組合せ(非確変大当り組合せ)となる確定演出図柄は、例えば演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される図柄番号が「1」〜「8」の演出図柄のうち、図柄番号が偶数「2」、「4」、「6」、「8」である演出図柄のいずれか1つが、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて所定の有効ライン上に揃って停止表示されるものであればよい。通常大当り組合せを構成する図柄番号が偶数「2」、「4」、「6」、「8」である演出図柄は、通常図柄(「非確変図柄」ともいう)と称される。
特図ゲームにおける確定特別図柄が通常大当り図柄となることに対応して、所定のリーチ演出が実行された後に、通常大当り組合せ(非確変大当り組合せ)の確定演出図柄が停止表示される演出図柄の変動表示態様は、変動表示結果が「大当り」となる場合における「非確変」(「通常大当り」ともいう)の変動表示態様(「大当り種別」ともいう)と称される。尚、リーチ演出が実行されずに、確定演出図柄として通常大当り組合せ(非確変大当り組合せ)を停止表示しても良い。「非確変」の大当り種別で変動表示結果が「大当り」となったことに基づいて、通常開放大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、後述するように普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態などとは異なる通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、大当り図柄となる特別図柄のうち、「5」、「7」の数字を示す特別図柄といった確変大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となったことに対応して、演出図柄の変動表示態様が「通常」である場合と同様のリーチ演出が実行された後に、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せとなる確定演出図柄が停止表示されることがある。尚、リーチ演出が実行されずに、確定演出図柄として確変大当り組合せを停止表示しても良い。確変大当り組合せとなる確定演出図柄は、例えば演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される図柄番号が「1」〜「8」の演出図柄のうち、図柄番号が「5」または「7」である演出図柄が、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて所定の有効ライン上に揃って停止表示されるものであればよい。確変大当り組合せを構成する図柄番号が「5」及び「7」である演出図柄は、確変図柄と称される。特図ゲームにおける確定特別図柄として確変大当り図柄が停止表示される場合に、演出図柄の変動表示結果として、通常大当り組合せとなる確定演出図柄が停止表示されることがあるようにしてもよい。
確定演出図柄が通常大当り組合せであるか確変大当り組合せであるかにかかわらず、特図ゲームにおける確定特別図柄として確変大当り図柄が停止表示される変動表示態様は、変動表示結果が「大当り」となる場合における「確変」の変動表示態様(「大当り種別」ともいう)と称される。尚、本実施例では、「確変」の大当り種別のうち、確定特別図柄として「5」、「7」の変動表示結果にて「大当り」となったことに基づいて、通常開放大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。
これら確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果(特図表示結果)が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したときに、終了すればよい。尚、時短制御と同様に、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回や、時短回数とは異なる90回)の特図ゲームが実行されたときに、確変制御を終了してもよい。また、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたときに、確変制御を終了してもよい。
時短制御が行われるときには、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御)が行われる。このように、時短制御に伴い第2始動入賞口に遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御としては、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。
高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口は、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、時短制御が行われる期間と同一であればよい。
時短制御と高開放制御がともに行われる遊技状態は、時短状態あるいは高ベース状態ともいう。また、確変制御が行われる遊技状態は、確変状態あるいは高確状態ともいう。確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる遊技状態は、高確高ベース状態とも称される。尚、本実施例では制御される遊技状態としては設定されていないが、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない確変状態は、高確低ベース状態とも称される。また、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる遊技状態のみを、特に「確変状態」ということもあり、高確低ベース状態とは区別するために、時短付確変状態ということもある。一方、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない確変状態(高確低ベース状態)は、高確高ベース状態と区別するために、時短なし確変状態ということもある。確変制御が行われずに時短制御や高開放制御が行われる時短状態は、低確高ベース状態とも称される。確変制御や時短制御及び高開放制御がいずれも行われない通常状態は、低確低ベース状態とも称される。通常状態以外の遊技状態において時短制御や確変制御の少なくともいずれかが行われるときには、特図ゲームが頻繁に実行可能となることや、各回の特図ゲームにおける変動表示結果が「大当り」となる確率が高められることにより、遊技者にとって有利な状態となる。大当り遊技状態とは異なる遊技者にとって有利な遊技状態は、特別遊技状態とも称される。
尚、小当り図柄を停止表示する場合にあっては、前述した小当り遊技状態に制御した後には、遊技状態の変更が行われず、変動表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御すれば良い。
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド81,82に伝送するソレノイド回路111などが搭載されている。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、演出表示装置5における表示動作や、スピーカ8L,8Rからの音声出力動作の全部または一部、演出用LED9などにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、スピーカ8L,8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、演出用LED9などにおける点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。尚、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23は、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンドや、演出表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L,8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、演出用LED9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(ReadOnlyMemory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(RandomAccessMemory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(CentralProcessingUnit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Outputport)105と、を備えて構成される。
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
また、本実施例では、演出表示装置5は遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。また、遊技盤2の背面と演出表示装置5との間には演出ユニット300が設けられており、演出制御基板12には、この演出ユニット300に設けられる各種モータ、ソレノイド、センサ、発光ダイオード(LED)等の複数の電子部品が接続されている。尚、図2において、これら電子部品の図示は省略している。
尚、演出制御基板12の側においても、主基板11と同様に、例えば、予告演出等の各種の演出の種別を決定するための乱数値(演出用乱数ともいう)が設定されている。
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。
一例として、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の演出装置(例えば演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9及び装飾用LED、演出用模型など)による演出動作を制御するために使用する演出制御パターンを複数種類格納した演出制御パターンテーブルが記憶されている。演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。演出制御パターンテーブルには、例えば特図変動時演出制御パターンと、予告演出制御パターンと、各種演出制御パターン等が、格納されていればよい。
特図変動時演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、特図ゲームにおいて特別図柄の変動が開始されてから特図表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるまでの期間における、演出図柄の変動表示動作やリーチ演出、再抽選演出などにおける演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出表示動作といった、様々な演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。予告演出制御パターンは、例えば、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。
特図変動時演出制御パターンのうちには、例えばリーチ演出を実行する変動パターンごとに、それぞれのリーチ演出における演出態様を異ならせた複数種類のリーチ演出制御パターンが含まれてもよい。
尚、演出図柄の変動表示中において実行される予告演出としては、例えば、後述するように表示ユニット304L,304C,304Rが落下する可動予告や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作予告、所定の画像が段階的に切り替わるステップアップ予告、キャラクタが登場してセリフを喋るセリフ予告、所定の画像が割込み表示されるカットイン予告といった大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、擬似連になるか否かを予告する擬似連予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。尚、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介してゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する。
情報出力処理に続いて、主基板11の側で用いられる乱数値MR1〜MR4といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する。この後、CPU103は、特別図柄プロセス処理を実行する。特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される。CPU103は、普通図柄プロセス処理を実行することにより、普図表示結果判定用の乱数値MR4を用いて普通図柄の変動表示態様を決定し、普通図柄表示器20における表示動作(例えばセグメントLEDの点灯、消灯など)を制御して、普通図柄の変動表示や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定などを可能にする。
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU103は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる。これらの一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能とする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する。該始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値に応じた処理のいずれかを選択して実行する。
始動入賞処理では、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bによる第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を抽出して、第1始動入賞である場合には、第1特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納し、第2始動入賞である場合には、第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納する。
特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示結果に対応して、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄やはずれ図柄のいずれか)が設定される。
変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。
特別図柄通常処理や変動パターン設定処理により、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄や特別図柄及び演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、特別図柄通常処理や変動パターン設定処理は、特図表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を用いて、特別図柄や演出図柄の変動表示態様を決定する処理を含んでいる。
特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。また、特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われる。
大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間やカウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。大当り開放後処理には、大入賞口を開放状態とするラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達したか否かを判定する処理や、大入賞口開放回数最大値に達した場合に大当り終了指定コマンドを送信するための設定を行う処理などが含まれている。大当り終了処理には、演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9などといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して確変制御や時短制御を開始するための各種の設定(確変フラグや時短フラグのセット)を行う処理などが含まれている。
尚、大当り終了処理においては、遊技制御バッファ設定部(図示略)に記憶されている大当り種別バッファ値を読み出して、大当り種別が「非確変大当り」、「確変大当り」のいずれであったかを特定する。そして、特定した大当り種別が「非確変大当り」ではないと判定された場合には、確変制御を開始するための設定(確変フラグのセット)を行う。また、特定した大当り種別が「非確変大当り」である場合には、時短制御を開始するための設定(時短フラグのセットと時短制御中に実行可能な特図ゲームの上限値に対応して予め定められたカウント初期値(本実施例では「100」)を時短回数カウンタにセット)を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う。その後、演出制御用CPU120は、タイマ割込フラグの監視を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU120は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセット(オン)されていたら、演出制御用CPU120は、そのフラグをクリアし、以下の処理を実行する。
演出制御用CPU120は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理)。このコマンド解析処理において演出制御用CPU120は、受信コマンドバッファに格納されている主基板11から送信されてきたコマンドの内容を確認する。尚、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンドは、演出制御INT信号にもとづく割込処理で受信され、RAMに形成されているバッファ領域に保存されている。コマンド解析処理では、バッファ領域に保存されている演出制御コマンドがどのコマンドであるのか解析する。
次いで、演出制御用CPU120は、演出制御プロセス処理を行う。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置5の表示制御を実行する。
次いで、大当り図柄判定用乱数などの演出用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する演出用乱数更新処理を実行し、その後、タイマ割込フラグの監視処理に移行する。
次に、図3〜図11に基づいて、演出ユニット300について説明する。図3は、演出ユニットを示す正面図である。図4は、演出ユニットの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。図5は、演出ユニットの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。図6は、演出ユニットにおける各ギヤの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。図7は、演出ユニットにおける各ギヤの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。図8は、(A)はラックギヤを示す正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。図9は、(A)はラックギヤを右斜め前から見た状態を示す斜視図、(B)はラックギヤを右斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。図10は、(A)はラックギヤと第2ギヤ及び第3ギヤとを示す正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。図11は、(A)は図10(A)のA−A断面図、(B)は図10(A)のB−B断面図である。図12は、演出ユニットが演出位置から退避位置まで移動するまでのラックギヤと第2ギヤ及び第3ギヤとの状況を示す概略説明図である。図13は、演出ユニットが演出位置から退避位置まで移動するまでのラックギヤと第2ギヤ及び第3ギヤとの状況を示す概略説明図である。図14は、演出ユニットが演出位置から退避位置まで移動するまでのラックギヤと第2ギヤ及び第3ギヤとの状況を示す概略説明図である。図15は、退避位置におけるラックギヤと第2ギヤ及び第3ギヤとの作用を示す概略説明図である。
図3〜図5に示すように、演出ユニット300は、遊技盤2と該遊技盤2の背面側に設けられる演出表示装置5との間に、上部が若干後側に傾くように設けられ、遊技盤2の背面側に設けられるベース部材301と、該ベース部材301の前面側に上下方向に移動可能に設けられた移動体302L,302C,302Rと、ベース部材301に取付けられ移動体302L,302C,302Rの前側に配置される透光性部材からなるレンズ部材303と、各移動体302L,302C,302Rに取付けられレンズ部材303の前面側に配置される表示ユニット304L,304C,304Rと、を有する。
移動体302L,302C,302R及び表示ユニット304L,304C,304Rは、図3において実線で示すようにレンズ部材303の前面側に配置される退避位置と、該退避位置よりも下方の演出位置と、の間で斜め上下方向に往復移動可能に設けられている。表示ユニット304L,304C,304Rは、図1に示すように、退避位置において演出表示装置5の表示画面の上方に退避され、演出位置において少なくとも一部が演出表示装置5の表示画面の前面側に重複するようになっている。尚、本実施例では、退避位置において表示ユニット304L,304C,304R全体が演出表示装置5の表示画面の上方に退避されるようになっているが、一部が演出表示装置5の表示画面に重複するようになっていてもよい。
表示ユニット304L,304C,304Rは、本実施例では、セグメントLED(発光ダイオード)表示器にて構成され、時間等を表示できるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶表示器、発光装置、装飾部材等の他の演出装置を適用してもよい。
ベース部材301は、透光性部材により略板状に形成され、背面には発光ダイオード(LED)が設けられたLED基板(図示略)が設けられ、ベース部材301及びレンズ部材303を透して光を前方に出射可能とされており、特に表示ユニット304L,304C,304Rが演出位置へ移動したときにレンズ部材303を発光させる演出が可能とされている。
ベース部材301の背面における各移動体302L,302C,302Rに対応する位置には、移動体302L,302C,302Rを駆動するための演出用モータ305L,305C,305Rが駆動軸305a(図6参照)を前側に向けた状態で固設されている。また、ベース部材301の背面には、移動体302L,302C,302Rが設けられている。
次に、移動体302L,302C,302Rを駆動させる駆動機構について、図6〜図15に基づいて説明する。尚、各移動体302L,302C,302R及び対応する駆動機構はほぼ同様に構成されているため、以下においては、右側の移動体302R及び対応する駆動機構についてのみ説明し、他の移動体302L,302C及び対応する駆動機構についての説明は省略する。
図6、図7及び図11に示すように、演出用モータ305Rの駆動軸305aには第1回転ギヤ310Rが固着されており、第1回転ギヤ310Rには、ベース部材301の前面に前後方向を向く回動軸(図示略)を中心として回転可能に設けられた第2回転ギヤ311Rが噛合されている。また、第2回転ギヤ311Rの前面側には、第3回転ギヤ312Rが第2回転ギヤ311Rと同心をなすように一体化されている。
第2回転ギヤ311Rは、周面に複数の歯部311aが形成された平歯車からなり、前面側には円盤320が一体的に設けられており、該円盤320の前面における周縁近傍所定箇所には、当接部を構成するガイド軸321が突設されている。尚、円盤320は、第2回転ギヤ311Rの歯先円の直径よりも大径とされている。また、回転中心位置にはボス322が突設されており、ボス322内には、ボス322、円盤320及び第2回転ギヤ311Rを前後方向に貫通する貫通孔323が形成されている。また、ボス322の前開口の周縁には、キー溝324が形成されているとともに、ボス322の右側方にはネジ孔325が形成されている。
第3回転ギヤ312Rは、周面に複数の歯部312aが形成された平歯車からなり、背面の回転中心位置にはボス326が突設されており、貫通孔323に前側から挿入される。背面におけるボス326の周面にはキー327が形成されており、ボス326を貫通孔323に挿入したときにキー327がキー溝324に係合し、第2回転ギヤ311Rに対する第3回転ギヤ312Rの相対回転が規制されるとともに、第2回転ギヤ311Rに対する取付位置が決定されるようになっている。
また、第3回転ギヤ312Rの背面には、回転中心を中心とする円弧状部328aと直線状部328bとにより枠状に形成されたリブ328が突設されている。また、回転中心から偏心した位置には取付孔329が形成されている。このように、第3回転ギヤ312Rのボス326を貫通孔323に前側から挿入し、キー327がキー溝324に係合させて第2回転ギヤ311Rに対する第3回転ギヤ312Rの取付位置を決定し、取付孔329に取付けたネジN2を第2回転ギヤ311Rのネジ孔325に螺入することで、第3回転ギヤ312Rが第2回転ギヤ311Rに取付けられる。よって、これら第2回転ギヤ311R、第3回転ギヤ312R及び円盤320とは、互いに相対回転不能に一体化され、同一の回転軸心を中心として一緒に回転する本発明の第1ギヤを構成している。
移動体302Rは、ラックギヤ330Rと、該第1回転ギヤ310Rの前面に一体的に取付けられる取付部材350Rと、により構成され、これら移動体302Rは、ベース部材301の前面に固定される固定レール360aと、該固定レール360aに対し摺動可能に設けられた摺動レール360bと、からなる案内レール360Rによりベース部材301に対し上下方向に移動可能に案内される。また、ラックギヤ330R、取付部材350R及び固定レール360aはネジN1により一体化されている。
図8及び図9に示すように、ラックギヤ330Rは、縦長に形成された板状部331と、板状部331の前面側に右側辺に沿って上下方向に設けられる複数のギヤ歯からなる歯部332と、歯部332の右下方に設けられる正面視略円弧状の被当接面333と、板状部331の背面側に設けられるガイド溝部334と、板状部331の右側辺上部に形成される円弧状の切欠部335と、を有する。
被当接面333は、右側方に向けて開放する帯状の面からなり、第3回転ギヤ312Rのリブ328における円弧状部328aと同心円状に形成されている。また、ガイド溝部334は、第1立壁336a及び第2立壁336bとの間に第2回転ギヤ311Rのガイド軸321が摺動可能に挿入可能に形成され、第2回転ギヤ311Rの回転により移動するガイド軸321の軌跡の一部とほぼ同形をなす第1溝部334aと、第1溝部334aの下端から上方に向けて屈曲するように連設される第2溝部334bと、から構成されている。第2溝部334bの端部は右上方に向けて開口している。また、第1溝部334aにおける左側部には開口334cが形成されている。
図10に示すように、このように構成されたラックギヤ330Rは、摺動レール360bに取付けられ、表示ユニット304Rが退避位置に配置された状態において、第3回転ギヤ312Rが板状部331の前面側における歯部332の下方位置に該歯部332に噛合しないように配置されるとともに、リブ328の円弧状部328aの左側面が被当接面333に沿って当接する。また、ガイド軸321がガイド溝部334における第1溝部334aの上端部に配置される。
この状態において、表示ユニット304Rの荷重により第3回転ギヤ312Rに下方へ負荷がかかっても、ガイド軸321とガイド溝部334との当接作用及び被当接面333と円弧状部328aとの当接作用により、ラックギヤ330Rの下方への移動が規制され、退避位置に保持されるようになっている。つまり、ガイド軸321とガイド溝部334及び被当接面333と円弧状部328aとは、ラックギヤ330Rの下方への移動を規制する規制手段(ロック手段)を構成する。
次に、表示ユニット304Rが演出位置から退避位置まで上昇して退避位置に保持される際の作用について、図12〜図14に基づいて説明する。尚、図12〜図14においては、説明の便宜上、図中左側はラックギヤ及び第2ギヤを示す正面図とし、図中右側は、ラックギヤを正面から透視して第2ギヤを見たときを示すものとする。
特に詳細な図示はしないが、表示ユニット304Rが演出位置に配置されている状態では、図示しない規制手段により固定レール360aからの摺動レール360bの逸脱が規制されていることにより、摺動レール360bが下限位置に保持される。これにより、表示ユニット304Rが退避位置の下方の演出位置に保持される。尚、ラックギヤ330Rは、表示ユニット304Rの荷重により常に下方に付勢されている。
表示ユニット304Rが演出位置に配置されている状態では、ラックギヤ330Rの歯部332の上部において第3回転ギヤ312Rの歯部312aが噛合されている。一方、ガイド溝部334はガイド軸321の下方に配置されている。
図12(A)に示すように、演出用モータ305Rにより第1回転ギヤ310Rが正面視反時計回りに回転することにより、第2回転ギヤ311R及び第3回転ギヤ312Rが第1方向(正面視時計回り)へ回転し、第3回転ギヤ312Rに噛合しているラックギヤ330Rが第1作動方向(上方向)に向けて移動していく。
図12(B)に示すように、ラックギヤ330Rが歯部332の下部位置において第3回転ギヤ312Rが噛合する位置まで上方へ移動すると、ガイド軸321がガイド溝部334の第2溝部334bに近接していく。尚、ラックギヤ330Rに噛合する第3回転ギヤ312Rは、表示ユニット304Rが演出位置から退避位置へ移動する間に1回転以上回転するようになっているが、その間、ガイド軸321はガイド溝部334に進入しない。
次いで、図13(A)に示すように、表示ユニット304Rが演出位置にあるときからラックギヤ330Rが所定量上方へ移動した後、第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとの噛合が解除される直前において、第2溝部334bの第1立壁336aがガイド軸321の移動経路を斜めに横切るように配置されることで、ガイド軸321がガイド溝部334における開口から第2溝部334b内に入り込む。一方、リブ328は板状部331に直線状部328bが対向していることで回転が阻害されず、円弧状部328aが被当接面333に近接していく。
そして、図13(B)に示すように、ガイド軸321が第2溝部334b内に入り込んだ状態で第3回転ギヤ312Rが回転を続けることで、ガイド軸321は上方の第1立壁336aに当接してラックギヤ330Rを押し上げしながら、第2溝部334bの奥側へ移動していく。ガイド軸321は、第2回転ギヤ311Rの回転軸心を中心として正面視左斜め上方に向けて移動していく。
そして、ガイド軸321が第1立壁336aに当接してラックギヤ330Rを押し上げることにより、第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとの噛合が解除されたとき、ガイド軸321は第2溝部334bに配置されていることで、ラックギヤ330Rが表示ユニット304Rの荷重により下方に移動しようとしても、ガイド軸321の上部に第1立壁336aが当接することにより、ラックギヤ330Rの下方への移動が規制される。また、ガイド軸321は、第3回転ギヤ312Rが左斜め上方に向けて移動することで第1立壁336aを上方に押し上げるため、第2溝部334bを移動する間は、第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとの噛合が解除された後もラックギヤ330Rが上昇していく。
そして、図14(A)に示すように、ガイド軸321が第2溝部334bから第1溝部334aの下端部へ移動すると、ガイド軸321の移動経路と第1溝部334aとが合致する。このとき、表示ユニット304Rの荷重によりラックギヤ330Rが下方に移動しようとするが、リブ328の円弧状部328aの周面の一部が被当接面333に当接することで、ラックギヤ330Rの下方への移動が規制される。
すなわち、ガイド軸321が第1溝部334aの下端部へ移動してガイド軸321の移動経路と第1溝部334aとが合致すると、表示ユニット304Rの荷重によりラックギヤ330Rが下方に移動しようとするが、リブ328の円弧状部328aと被当接面333との当接作用により、ラックギヤ330Rの下方への移動が規制される。このように円弧状部328aと被当接面333とは、第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとの噛合が解除された状態において作用することで、ガイド軸321が第1溝部334aの下端部へ移動したときにラックギヤ330Rが下方へ移動することを規制する。
ここで、図14(B)に示すように、ガイド軸321が第1溝部334a内を移動して該第1溝部334aの上端部に当接するまでは、リブ328の円弧状部328aと被当接面333との当接によりラックギヤ330Rの下方への移動が規制されている。そして、ガイド軸321が移動して第1溝部334aの上端部に当接したとき、被当接面333のほぼ全域に円弧状部328aが当接する。これにより、表示ユニット304Rは上方の退避位置に保持される。
ここで、図15(A)に示すように、演出用モータ305Rの駆動が停止(オフ状態)しても、被当接面333により右側に開放するように形成された凹部内に、リブ328の円弧状部328aが嵌合されていることで、表示ユニット304Rの荷重によりラックギヤ330Rに下方への力(図中白矢印参照)が作用しても、ラックギヤ330Rの下方への移動が第3回転ギヤ312Rのリブ328により規制される。
また、図15(B)に示すように、ガイド軸321が第1溝部334aを上昇して上端部に配置されたとき、演出用モータ305Rの駆動が停止(オフ状態)すると、表示ユニット304Rの荷重によりラックギヤ330Rに下方への力(図中白矢印参照)が作用してガイド軸321が下方に押されるが、ラックギヤ330Rの下方への移動に伴い、上下方向に延びる第1立壁336aがガイド軸321の移動経路を横切るように下降することで(図15(B)における点線参照)、ガイド軸321が右側の第1立壁336aに当接し、第2回転ギヤ311Rの回転軸を中心とした右斜め下方への移動、つまり、第2回転ギヤ311Rの第1方向(正面視時計回り)と反対の第2方向(正面視時計回り)への回転が阻止される。
すなわち、第1立壁336aは、ガイド軸321が第1方向(正面視時計回り)へ回動するときには、上昇することでガイド軸321の回動を妨げることはないが、ガイド軸321が第2方向(正面視反時計回り)へ回動するときには、ガイド軸321の移動経路を横切る方向へ下降し、ガイド軸321の回動を妨げる。
このように、被当接面333により右側に開放するように形成された凹部内に、リブ328の円弧状部328aが嵌合され、また、ガイド軸321と第1立壁336aとの当接により第2回転ギヤ311Rの逆回転が阻止されるため、表示ユニット304Rが上方の退避位置に保持される。
また、表示ユニット304Rを上方の退避位置から下方の演出位置へ移動させる場合、特に図示しないが、演出用モータ305Rにより第2回転ギヤ311R及び第3回転ギヤ312Rを第2方向(正面視反時計回り)に回転させることで、第2回転ギヤ311R及び第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとは、図14(B)、図14(A)、図13(B)、図13(A)、図12(B)、図12(A)の順に変化していく。尚、図13(B)及び図13(A)に示すように、ガイド軸321が第1溝部334aから第2溝部334bへ移動するとともに、リブ328の円弧状部328aが被当接面333から離脱することで、ラックギヤ330Rが下方へ移動して第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとが噛合され、ガイド軸321が第2溝部334bから逸脱することで、第3回転ギヤ312Rとラックギヤ330Rとの噛合によりラックギヤ330Rが下方へ移動することになる。
また、第1立壁336a及び第2立壁336bからなる第2溝部334bは、右方に向けて上側に傾斜するように設けられていることで、図13(B)から図13(A)にかけてガイド軸321が第2方向(正面視反時計回り)へ移動する際に、第2溝部334bの第2立壁336bを下方に押し下げながら移動することで、ラックギヤ330Rが下方へ移動する。また、ガイド軸321は、回動中心の下方の円弧上を移動することで、回動中心の左右側方を移動する場合に比べて、回転量に対する下方への移動量が小さくなる。
このように、歯部332が歯部312aに噛合させるときにラックギヤ330L,330C,330Rの作動速度が低下するようにガイド軸321を誘導するため、噛合が解除された第3回転ギヤ312L,312C,312Rとラックギヤ330L,330C,330Rとを再度噛合させるときに、歯部332を歯部312aにスムーズに噛合させることができる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、演出用モータ305L,305C,305Rにより作動し、第1歯部としての歯部311a及び歯部312aを有する第1ギヤ(第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)と、第3回転ギヤ312L,312C,312Rの歯部312aに噛合する第2歯部としての歯部332を有する第2ギヤ(ラックギヤ330L,330C,330R)と、を有し、第1ギヤ(第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)は、歯部311a及び歯部312aとは異なる別の当接部としてのガイド軸321を有し、第2ギヤ(ラックギヤ330L,330C,330R)は、歯部332とは異なる別の被当接部としてのガイド溝部334を有し、演出用モータ305L,305C,305Rにより第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320が作動することで、歯部312aと歯部332とが作用(噛合)してラックギヤ330L,330C,330Rが第1作動方向(例えば、上方向)へ作動し(図12(A)(B)参照)、該ラックギヤ330L,330C,330Rが上方向へ所定量作動した後、ガイド軸321とガイド溝部334とが作用(当接)して歯部312aと歯部332との噛合を解除し(図13(A)(B)、図14(A)参照)、歯部312aと歯部332との噛合が解除されている状態において、ガイド軸321とガイド溝部334とが作用(当接)してラックギヤ330L,330C,330Rの上方向と反対の第2作動方向(例えば、下方向)への作動を規制する。
このように、演出用モータ305L,305C,305Rにより第2回転ギヤ311L,311C,311R及び第3回転ギヤ312L,312C,312Rを介してラックギヤ330L,330C,330Rを上方向へ作動させるだけで、歯部312aと歯部332との噛合が解除された後、ガイド軸321とガイド溝部334とが作用(当接)してラックギヤ330L,330C,330Rの下方向への移動を規制することができる。よって、表示ユニット304L,304Rは、退避位置において演出用モータ305L,305C,305Rがオフ状態となっても該退避位置に保持される。
特に、歯部312aと歯部332との噛合が解除された状態、つまり、ラックギヤ330L,330C,330Rにかかる下方への力が第1ギヤ(第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)に伝達されない状態でラックギヤ330L,330C,330Rの下方向への移動を規制することができるので、小さな力で移動を好適に規制できる。
また、第1ギヤを第1方向(正面視時計回り)、つまり、ラックギヤ330L,330C,330Rを第1作動方向(上方向)へ移動させる第1方向へ所定量以上回転させるだけでラックギヤ330L,330C,330Rの下方向への移動を規制することができるので、移動を規制するために駆動源(例えば、ソレノイド)や部材等を別個に設けなくて済むため、製造コストを低減することが可能となる。
また、第1ギヤ(第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)と第2ギヤ(ラックギヤ330L,330C,330R)とのうち一方はラックギヤであることで、第1ギヤと第2ギヤ双方を平歯車とした場合(例えば、図16参照)のように、噛合を解除するために歯部312aの一部を欠落させる必要がないので、歯部312aと歯部332との噛合区間、つまり、第2ギヤ(ラックギヤ330L,330C,330R)の作動量が制限されることを回避できる。
また、ガイド溝部334は、歯部312aと歯部332との噛合が解除された状態において、演出用モータ305L,305C,305Rによりラックギヤ330L,330C,330Rを下方向へ作動させる際に、歯部332が歯部312aに噛合されるようにガイド軸321を誘導する誘導部としての第2溝部334bを有する。
このようにすることで、噛合が解除された第3回転ギヤ312L,312C,312Rとラックギヤ330L,330C,330Rとを再度噛合させるときに、歯部332を歯部312aにスムーズに噛合させることができる。
また、第2溝部334bは、ガイド軸321を両側方から支持する一対の誘導壁部としての第1立壁336a及び第2立壁336bからなり、第1立壁336a及び第2立壁336bは、歯部332が歯部312aに噛合するときにラックギヤ330L,330C,330Rの作動速度が低下するようにガイド軸321を誘導する。このようにすることで、噛合が解除された第3回転ギヤ312L,312C,312Rとラックギヤ330L,330C,330Rとを再度噛合させるときに、歯部332を歯部312aにスムーズに噛合させることができる。
また、第1ギヤ(第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)は、歯部312a及びガイド軸321とは異なる別の第2当接部としてのリブ328の円弧状部328aを有し、ラックギヤ330L,330C,330Rは、歯部332及びガイド溝部334とは異なる別の第2被当接部としての被当接面333を有し、歯部312aと歯部332との噛合が解除された状態において、リブ328の円弧状部328aと被当接面333とが作用してラックギヤ330L,330C,330Rの下方向への作動を規制することで、歯部312aと歯部332との噛合が解除された状態において、ラックギヤ330L,330C,330Rが下方向へより作動し難くすることができる。
尚、本実施例では、第2当接部としてのリブ328の円弧状部328aと第2被当接部としての被当接面333との当接により、ラックギヤ330L,330C,330Rの下方への移動が規制されるため、図14(A)に示すように、ガイド軸321が第1溝部334a内へ移動したときでも、ラックギヤ330Rの下方へ移動しないようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第2当接部としてのリブ328の円弧状部328aと第2被当接部としての被当接面333とは、必ずしも設けられていなくてもよい。さらに、第1歯部とは異なる別の当接部としてのガイド軸321の替りにリブ328の円弧状部328aを採用するとともに、第2歯部とは異なる別の被当接部としての第1溝部334aの替りに被当接面333を採用してもよい。
また、本実施例では、図15(B)に示すように、ガイド軸321とガイド溝部334とは、歯部312aと歯部332との噛合が解除された状態において、第3回転ギヤ312L,312C,312Rの歯先円Cにおける所定点を通る接線T上にガイド軸321の中心が位置することで、歯先円Cよりも回転軸心側でガイド軸321とガイド溝部334とが当接するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に図示しないが、第1ギヤと第2ギヤとのうち一方を平歯車とし、ガイド軸321とガイド溝部334とは、第1歯部と第2歯部との噛合が解除された状態において、前記平歯車の歯先円Cにおける所定点を通る接線Tよりも回転軸心側で当接するようにすることで、ガイド軸321とガイド溝部334とは、平歯車においてモーメントが極力小さい位置で当接するので、小さな力で第2ギヤの第1作動方向への作動を規制できる。
また、本実施例では、第1ギヤ(例えば、第2回転ギヤ311L,311C,311R、第3回転ギヤ312L,312C,312R及び円盤320)が平歯車であり、第2ギヤがラックギヤ330L,330C,330Rとされていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ギヤ及び第2ギヤの種別は任意に変更可能である。
図16は、本発明の変形例としての第1ギヤと第2ギヤとの作用を示す概略説明図である。図16に示すように、第1ギヤ400と第2ギヤ401とが平歯車である場合でも、第1歯部と第2歯部との噛合が解除されている状態において、当接部と被当接部とが作用して第2ギヤ401の第1作動方向(正面視時計回り)と反対の第2作動方向(正面視反時計回り)への回動を規制することができる。
具体的には、第1ギヤ400と第2ギヤ401とは互いに噛合されている。第1ギヤ400は、駆動モータにより回転可能とされ、一面に当接部としてのガイド溝部410が設けられている。ガイド溝部410は、周縁近傍に開口を有し、他端側が外側に張り出すように設けられている。第1ギヤ400に噛合する第2ギヤ401は、図示しないベース部に設けられた長孔420に回転軸が軸回りに回転可能、かつ、左右方向に移動可能に支持されている。また、周縁近傍にはガイド軸411が突設されている。
このように構成された第1ギヤ400と第2ギヤ401とは、図16(A)に示すように、駆動モータにより第1ギヤ400が作動することで、第1ギヤ400の第1歯部と第2ギヤ401の第2歯部とが作用して第2ギヤ401が第1作動方向(正面視時計回り)へ回転する。そして、第2ギヤ401が第1作動方向へ所定量作動した後(図16(B)〜(D)参照)、ガイド溝部410内にガイド軸411が入り込む(ガイド溝部410とガイド軸411とが作用する)ことで、ガイド溝部410がガイド軸411を右方へ移動させる。これにより、左右方向へ移動可能な第2ギヤ401を右方へスライド移動させるため、第1歯部と第2歯部との噛合が解除される(図16(E)参照)。
このように、第1ギヤ400と第2ギヤ401とが平歯車である場合でも、第1歯部と第2歯部との噛合が解除されている状態において、ガイド溝部410とガイド軸411とが作用して第2ギヤ401の第2作動方向(例えば、正面視反時計回り)への回転が規制されるため、駆動モータにより第1ギヤ400を介して第2ギヤ401を第1作動方向へ作動させるだけで、第1歯部と第2歯部との噛合が解除された後、ガイド溝部410とガイド軸411とが作用して第2ギヤ401の第2作動方向(例えば、正面視反時計回り)への移動を規制することができる。
また、前記実施例では、第1歯部とは異なる別の当接部としてガイド軸321が適用され、第2歯部とは異なる別の被当接部としてガイド溝部334が適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、当接部としてガイド溝部334を適用し、被当接部としてガイド軸321を適用してもよい。また、当接部及び被当接部の一例として、突起部と溝部とを記載したが、これら以外の当接部及び被当接部を適用してもよい。
また、前記実施例では、第2ギヤとしてのラックギヤ330L,330C,330Rに重量物である表示ユニット304L,304C,304Rが一体に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラックギヤ330L,330C,330Rに対し第1ギヤとは別個の中間ギヤや駆動機構等を介して表示ユニット304L,304C,304Rが設けられていてもよい。また、第2ギヤには、表示ユニット304L,304C,304Rのような演出可動物だけでなく、例えば、可変入賞球装置の開閉扉などの遊技用構造物の移動体が設けられていてもよい。
また、前記実施例では、第2ギヤとしてのラックギヤ330L,330C,330Rは、重量物である表示ユニット304L,304C,304Rが一体に設けられていることで常時下方に付勢されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バネ等の付勢手段により下方に付勢されていてもよい。
また、前記実施例では、表示ユニット304L,304C,304Rは、退避位置と該退避位置の下方の演出位置との間で上下方向に移動可能とされていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、左右方向や前後方向へ移動可能とされていてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
また、本実施例では、変動時間及びリーチ演出の種類等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用CPU120に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターン指定コマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用CPU120に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、CPU103は、1つ目のコマンドでは、例えば、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用CPU120は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。
尚、CPU103の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用CPU120の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信するようにしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
また、前記実施例では、遊技球を打球発射装置により遊技領域10よりも下方から打ち出す形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記打球発射装置をパチンコ遊技機1における遊技領域10の上方位置に設けることによって、遊技球を遊技領域10の上方位置から打ち出すようにしても良い。
また、前記実施例では、始動入賞口を、第1始動入賞口と第2始動入賞口の2つとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、始動入賞口を1つのみとしても良いし、始動入賞口を3以上としても良い。
また、前記実施例では、特別図柄を、第1特図と第2特図の2つとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特別図柄を1つのみとしても良いし、特別図柄を3以上としても良い。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な変動表示装置に変動表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該変動表示装置に導出された変動表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
また、前記実施例では、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ変動表示結果となる最終停止図柄を含む複数種類の特別図柄を変動表示した後に、最終停止図柄を停止表示するようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、変動表示結果となる最終停止図柄を含めずに複数種類の特別図柄を変動表示した後に、最終停止図柄を停止表示するものであっても良い。つまり、変動表示結果となる最終停止図柄は、変動表示に用いられる特別図柄と異なる図柄であっても良い。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状の遊技球(パチンコ球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えば、メダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。