JP2016093794A - セラミックフィルタ - Google Patents

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正則 勝
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【課題】ガラスシール層の剥離をより抑制する。
【解決手段】セラミックフィルタ10は、被処理流体の流路となる複数のセル12を形成する隔壁部14と、隔壁部14の端部16に設けられたガラスシール層18と、隔壁部14とガラスシール層18との間に設けられた剥離防止層20と、を備えている。隔壁部14は、多孔質アルミナ基材22と、多孔質アルミナ基材22の内表面24に設けられた濾過膜26と、を備えている。セラミックフィルタ10の外周面28では、セラミックフィルタ10の端面30からガラスシール層18の形成端18aまでの長さをLg(mm)、セラミックフィルタ10の端面30から剥離防止層20の形成端20aまでの長さをLp(mm)、としたときに、α=(Lg−Lp)/Lgで表されるαが、0より大きく0.7以下の範囲にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックフィルタに関する。
従来、セラミックフィルタとしては、流体の流路となる複数の貫通セルを形成するアルミナ基材の端面に、ガラスシール層を形成したものが知られている。例えば、特許文献1では、アルカリ成分含有率が15%以下のシリカ−ジルコニア系ガラスでガラスシール層を構成し、ガラスシール層とアルミナ基材との間に表面剥離防止層を設けてガラスシール層とアルミナ基材との直接接触を回避したセラミックフィルタを提案している。こうしたものでは、アルカリ成分含有率が15%以下のシリカ−ジルコニア系のガラスでガラスシール層を構成することにより、高濃度のアルカリを用いた膜洗浄において、アルカリによるガラスシール層の溶出を効果的に抑制できるとしている。一方、こうしたガラスシール層と基材との間にはネフェリンが生じ、生じたネフェリン中の成分が膜洗浄に用いるアルカリと反応することによりガラスシール層と基材との境界面が徐々に侵食され、ガラスシール層が剥離することがある。しかし、表面剥離防止層によってガラスシール層と基材との直接接触が回避されるため、ガラスシール層の剥離を抑制できるとしている。
特開2012−176367号公報
しかしながら、特許文献1のセラミックフィルタでは、ガラスシール層の剥離を抑制できるが、まだ十分でないことがあった。このため、ガラスシール層の剥離をより抑制できるセラミックフィルタが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ガラスシール層の剥離をより抑制できるセラミックフィルタを提供することを主目的とする。
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、ガラスシール層と基材との直接接触をできるだけ回避しつつ、表面剥離防止層の露出を抑制すると、ガラスシール層の剥離をより抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のセラミックフィルタは、
流体の流路となる1以上のセルを有するセラミックフィルタであって、
多孔質アルミナ基材を有し、前記セルを形成する隔壁部と、
アルカリ成分を含むガラスで形成され、前記隔壁部の端部に設けられたガラスシール層と、
前記隔壁部と前記ガラスシール層との間に設けられた剥離防止層と、
を備え、
前記セラミックフィルタの外周面では、前記セラミックフィルタの端面から前記ガラスシール層の形成端までの長さをLg(mm)、前記セラミックフィルタの端面から前記剥離防止層の形成端までの長さをLp(mm)、としたときに、α=(Lg−Lp)/Lgで表されるαが、0より大きく0.7以下の範囲にあるものである。
このセラミックフィルタでは、ガラスシール層の剥離をより抑制できる。こうした効果が得られる理由は以下のように推察される。例えば、このセラミックフィルタでは、アルカリ耐性の比較的高いガラスシール層が剥離防止層の全体を覆う(αが0より大きい)ため、剥離防止層の腐食をより抑制し、剥離防止層の腐食によるガラスシール層の剥離をより抑制することができると推察される。また、ガラスシール層と隔壁部とが直接接触する領域が十分に少ないため、ガラスシール層と隔壁部との間に生じるネフェリンの量をより抑制し、ネフェリンと膜洗浄に用いるアルカリとの反応によるガラスシール層の剥離をより抑制することができると推察される。
セラミックフィルタ10の構成の概略を示す説明図。
本発明のセラミックフィルタの一実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるセラミックフィルタ10の構成の概略の一例を示す説明図である。
本実施形態のセラミックフィルタ10は、図1に示すように、被処理流体の流路となる複数のセル12を形成する隔壁部14と、隔壁部14の端部16に設けられたガラスシール層18と、隔壁部14とガラスシール層18との間に設けられた剥離防止層20と、を備えている。隔壁部14は、多孔質アルミナ基材22と、多孔質アルミナ基材22の内表面24に設けられた濾過膜26と、を備えている。このセラミックフィルタ10では、セル12へ入口側から入った被処理流体のうち、濾過膜26を透過可能な成分は、濾過膜26が形成された隔壁部14を透過してセラミックフィルタ10の外周面28から透過流体として流出する。一方、濾過膜26を透過できない成分は、セル12の流路に沿って流通してセル12の出口側から流出するか、濾過膜26に捕捉される。この際、ガラスシール層18は、隔壁部14の端部を補強したり、隔壁部の端面からの流体の流入出を防いだりする。なお、被処理流体としては、2種以上の気体を含むものとしてもよいし、2種以上の液体を含むものとしてもよい。また、気体と液体とを含むものとしてもよいし、気体と固体(粉体)とを含むものとしてもよいし、液体と固体とを含むものとしてもよいし、気体と液体と固体とを含むものとしてもよい。このセラミックフィルタ10は、複数のセル12を備えたモノリス構造を有している。その外形は、特に限定されないが、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形の形状や、円形、楕円形などの流線形状、及びそれらの組み合わせとすることができる。
セル12は、セラミックフィルタ10の軸方向に伸びる流路であり、貫通孔であってもよいし、一方の端部が目封止されていてもよい。また、セル12のうちの一部のセルは、両端が目封止され、隔壁部14に外部空間と連通するスリットが形成されていてもよい。両端が目封止され、隔壁部14にスリットが形成されたセルを有するものでは、濾過膜26を透過可能な流体がスリットを介して効率よくセラミックフィルタ10の外周面28から流出する。セル12の断面形状としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形の形状や、円形、楕円形などの流線形状、及びそれらの組み合わせとすることができる。このうち、四角形以上の多角形、楕円及び円のうちの1以上であることが好ましい。セル12に鋭角の角が形成されないため、濾過ケークの除去が容易だからである。
隔壁部14において、多孔質アルミナ基材22は、主に、濾過膜26を支持する基材としての役割を果たすものであり、流体の流通を阻害しないよう、多孔質で形成されている。その気孔径は、機械的強度と濾過抵抗のバランスなどを考慮して適宜決定すればよいが、例えば、0.001μm〜数100μm程度とすることができる。なお、気孔径とは、平均細孔径を示すものとし、そのサイズに適した測定方法(例えばガス吸着法、水銀圧入法、SEM観察など)によって測定したものとすればよい。多孔質アルミナ基材22は、アルミナ(Al23)を含むものであればよく、アルミナを主成分とするものであることが好ましい。原料が入手しやすく、隔壁部14の気孔径の制御が比較的容易であり、耐食性が高い点などにおいて有利だからである。なお、アルミナを主成分とするとは、アルミナを50質量%以上の範囲で含むことをいい、アルミナを70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上がより好ましい。アルミナの含有量は、セラミックフィルタが使用される環境に応じて適宜決めればよい。
このアルミナ基材22は、例えば、気孔径の大きな粗粒部の表面に気孔径の小さな細粒部が形成された二層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部の気孔径は、機械的強度と濾過抵抗のバランスなどを考慮して適宜決定すればよく、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部の気孔径は、粗粒部の気孔径に比して小さいものであればよく、例えば、気孔径が0.001μm〜1μm程度のものとすることができる。この細粒部は、例えば、精密濾過膜(MF膜)としてもよい。こうした二層構造を有するものでは、粗粒部を備えることにより、隔壁部14の全体としての気孔径が大きくなるため、濾過抵抗を低減できる。一方、細粒部を備えることにより、隔壁部14の表面が平滑になり、ガラスシール層18や剥離防止層20、濾過膜26などを均一に形成できる。なお、粗粒部と細粒部の材質は、同種のものでもよいし、異種のものでもよい。こうした二層構造を有する隔壁部14は、例えば以下のように作製することができる。まず、粗粒部を形成する。具体的には、骨材粒子、分散媒の他、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を混合し混練して坏土を得て、その坏土を成形し、乾燥し、焼成する方法によって得ることができる。気孔径は、例えば、骨材粒子の平均粒子径を調整することによって制御できる。続いて、粗粒部の表面に細粒部を形成する。具体的には、骨材粒子、分散媒の他、必要に応じて界面活性剤などの添加剤を混合することによってスラリーを調整し、そのスラリーを、粗粒部の表面に成膜し、乾燥し、焼成して形成することができる。なお、隔壁部14は、二層構造を有するものでなくてもよく、例えば、粗粒部と細粒部との間に、中間の気孔径を有する中間層を備えた三層以上の層構造を有するものとしてもよいし、気孔径が連続的に変化するような傾斜材構造を有するものとしてもよいし、単層構造を有するものとしてもよい。
隔壁部14において、濾過膜26は、処理対象となる被処理流体を濾別するものである。この濾過膜26は、例えば、限外濾過膜(UF膜)としてもよい。この濾過膜26は、多孔質アルミナ基材22の内表面24に設けられており、例えば、膜状に形成されていてもよいし、粒子層状に形成されていてもよい。濾過膜26の厚さは、例えば、1μm〜数10μm程度とすることができる。この濾過膜は、アルミナやチタニアを含むものとしてもよく、これらを主成分とするものであることが好ましい。原料が入手しやすく、濾過膜26の気孔径の制御が比較的容易であり、耐食性が高い点などにおいて有利だからである。
ガラスシール層18は、多孔質アルミナ基材22の端面を被覆するように配置された液不透過性のシール材であり、アルカリ成分を含むガラスで形成されている。このガラスシール層は、被処理流体が基材端面から基材内部に浸入することを防止する。
ガラスシール層18において、アルカリ成分としては、Li2Oや、Na2O、K2Oのようなアルカリ金属の酸化物等が挙げられる。アルカリ成分の含有率は、特に限定されないが、酸化物換算で、10質量%以上30質量%以下の範囲にあることが好ましく、10質量%以上15質量%以下がより好ましい。アルカリ成分の含有率が10質量%以上であれば、融点がより低いため、形成が容易である。また、アルカリ成分の含有率が30質量%以下であれば、耐食性がより良好であり、高濃度のアルカリを用いた膜洗浄を長期間繰り返した場合における、アルカリによるガラスシール層の溶出をより抑制できる。
ガラスシール層18は、シリカ−ジルコニア系のガラスで形成されているものとしてもよい。シリカ−ジルコニア系のガラスは、シリカ(SiO2)とジルコニア(ZrO2)とを含むものであれば特に限定されないが、シリカの含有率が45質量%以上かつシリカとジルコニアとの合計の含有率が50質量%以上の範囲にあることが好ましい。また、耐食性の観点から、シリカとジルコニアとの合計の含有率は60質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。
ガラスシール層18は、アルカリ土類金属成分を含むものとしてもよい。アルカリ土類金属成分としては、CaOやBaO、SrOのようなアルカリ土類金属の酸化物等が挙げられる。このガラスシール層18は、融点調整のため、アルミニウム成分などを含むものとしてもよい。アルミニウム成分としては、アルミナのようなアルミニウムの酸化物が挙げられる。アルミニウム成分を含む場合、その含有率は、アルミナ換算で、10質量%以下の範囲にあることが好ましい。
剥離防止層20は、特に限定されるものではないが、シリカ−バリウム系のガラスで形成されたものであることが好ましい。シリカ−バリウム系のガラスは、シリカ(SiO2)と酸化バリウム(BaO)とを含むものであれば特に限定されないが、シリカの含有率が45質量%以上かつシリカと酸化バリウムとの合計の含有率が50質量%以上の範囲にあることが好ましい。また、耐食性及び融点の観点から、シリカと酸化バリウムとの合計の含有率は60質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。剥離防止層20は、バリウム成分に代えて又は加えて、バリウム成分以外のアルカリ土類金属成分を含むものとしてもよい。この場合、アルカリ土類金属成分(バリウム成分を含む)の含有率は、バリウム成分と同様に定めることができる。
剥離防止層20は、アルカリ成分を含むものとしてもよいが、含まないことが好ましい。アルカリ成分を含む場合、その含有率は、酸化物換算で1質量%以下の範囲にあることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。アルカリ成分の含有量が少ないほど、隔壁部14と剥離防止層20との間でのネフェリンの生成をより抑制できる。アルカリ成分としては、上述したアルカリ金属の酸化物等が挙げられる。剥離防止層20は、アルカリ成分含有率が低いにもかかわらず、アルミナ基材との接着性に優れ、かつ、低融点である。
剥離防止層20は、ジルコニウム成分や、アルミニウム成分などを含むものとしてもよい。ジルコニウム成分としては、ジルコニアのようなジルコニウムの酸化物が挙げられる。ジルコニウム成分を含む場合、耐食性の観点から、その含有率は、ジルコニア換算で、1質量%以上25質量%以下の範囲にあることが好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましい。アルミニウム成分としては、アルミナのようなアルミニウムの酸化物が挙げられる。アルミニウム成分を含む場合、融点調整のため、その含有率は、アルミナ換算で10質量%以下が好ましい。
セラミックフィルタ10において、セラミックフィルタ10の外周面28では、セラミックフィルタ10の端面30からガラスシール層18の形成端18aまでの長さをLg(mm)、セラミックフィルタ10の端面30から剥離防止層20の形成端20aまでの長さをLp(mm)、としたときに、α=(Lg−Lp)/Lgで表されるαが、0より大きく0.7以下の範囲にある(図1参照)。このαは、0.07以上0.7以下の範囲にあることが好ましい。こうしたものでは、ガラスシール層の剥離をより抑制できる。同様に、セラミックフィルタ10の内表面24では、セラミックフィルタの端面30からガラスシール層18の形成端18bまでの長さをLg’(mm)、セラミックフィルタ10の端面30から剥離防止層20の形成端20bまでの長さをLp’(mm)、としたときに、β=(Lg’−Lp’)/Lg’で表されるβが、0より大きく0.75以下の範囲にあるものとしてもよい(図1参照)。なお、セラミックフィルタの内表面24では、ガラスシール層18の剥離はほとんど生じないため、βの値は、こうしたものに限定されない。
セラミックフィルタ10において、上述した長さLgは、特に限定されないが、例えば、3mm以上40mm以下の範囲にあることが好ましく、5mm以上20mm以下の範囲にあることがより好ましい。Lgが短いと、シール材となるO−リングなどが外れることがあり、長すぎると、透過流体の流出の妨げになることがあるからである。また、上述した長さLpは、1mm以上37mm以下の範囲にあることが好ましく、1.5mm以上19mm以下の範囲にあることがより好ましい。また、上述した長さLg’は、例えば2mm以上5mm以下の範囲にあるものとしてもよく、上述した長さLp’は、例えば0.5mm以上4mm以下の範囲にあるものとしてもよい。
セラミックフィルタ10において、セラミックフィルタ10の外周面28では、ガラスシール層18の厚みTgは、特に限定されないが、例えば、15μm以上250μm以下の範囲にあることが好ましく、30μm以上250μm以下がより好ましい。また、剥離防止層20の厚みTpは、特に限定されないが、例えば、15μm以上250μm以下の範囲にあることが好ましく、30μm以上250μm以下がより好ましい。Tg及びTpは、それぞれ30μm以上であれば形成が容易であるし、総厚み(Tg+Tp)が500μm以下であればセル12の出入口付近の流体の流通を阻害しにくいからである。なお、ガラスシール層18や剥離防止層20は、内表面24や端部16においても、外周面28と同様の厚みであるものとしてもよい。
このセラミックフィルタ10は、弾性材料からなるOリングなどのシール材がガラスシール層18の外周面に装着され、セル12側と外周面28側とが隔離されるように、ハウジング内に収容して使用されるものとしてもよい。シール材の装着位置は、端面30から長さLp(mm)以下の範囲とすればよい。
このセラミックフィルタ10は、例えば、タンパク成分の除去に用いられるセラミックフィルタであるものとしてもよく、例えば、食品加工分野や医薬品加工分野で使用されるものとしてもよい。
このセラミックフィルタ10は、アルカリ洗浄されるものとしてもよい。アルカリ洗浄に用いる洗浄剤は、特に限定されないが、例えば、pHが7.5以上14以下の範囲にあるものとしてもよい。セラミックフィルタ10は、隔壁部が多孔質アルミナ基材を有するセラミックフィルタであるため、比較的高濃度のアルカリに対しても、耐久性がある。洗浄剤としては、例えば、苛性ソーダ(NaOH)や、次亜塩素酸ソーダ(NaOCl)、などを用いることができる。このうち、苛性ソーダが好ましい。苛性ソーダは、例えば、タンパク成分の除去に適している。苛性ソーダを用いる場合、その濃度は、例えば、0.01質量%以上2質量%以下の範囲としてもよいし、0.5質量%以上2質量%以下の範囲としてもよい。アルカリ洗浄の際の温度は、特に限定されないが、40℃以上70℃以下の温度範囲としてもよく、35℃以上90℃以下としてもよい。
このセラミックフィルタは、例えば、隔壁部14を用い、(A)剥離防止層原料層形成工程、(B)ガラスシール層原料層形成工程及び(C)焼成工程を含む製造方法によって製造されたものとしてもよい。このように、隔壁部14の表面に2層のガラス釉薬を重ねた後、2層のガラス層を同時に焼成処理することで、作業工程を簡略にすることができる。また、隔壁部14−剥離防止層20−ガラスシール層18の層間の物理的な接着性を向上させることができる。なお、こうした工程には、アルカリ成分含有率が10質量%以上30質量%以下のシリカ―ジルコニア系のガラスから構成されたガラスシール層18と、アルカリ成分含有率が1質量%以下のシリカ―バリウム系のガラスから構成された剥離防止層20との組合せが特に好適である。ガラスシール層18と剥離防止層20の軟化点をより適切なものに調整できるからである。
(A)剥離防止層原料層形成工程
この工程では、隔壁部14の端部16に、剥離防止層20の原料層を形成する。このとき、外周面28においては、長さLpが上述した範囲内となるように経験的に求めた範囲に、剥離防止層20の原料層を形成する。形成方法は特に限定されないが、例えば、以下のような方法により形成するものとしてもよい。まず、剥離防止層20の原料を、剥離防止層20が上述した好適な組成となるように混合し、溶融して均一化し、これを冷却した後に平均粒径10〜20μm程度となるように粉砕したフリットを用意する。次いで、そのフリットに対し、溶媒(例えば水)及び有機バインダを加えて混合することにより剥離防止層形成用スラリーを調製する。その剥離防止層形成用スラリーをセラミックフィルタの両端面に塗布、乾燥することにより、剥離防止層20の原料層を形成することができる。塗布方法は、特に限定されず、例えば上述したスラリーを所定の厚さのスポンジに含浸させてそのスポンジを隔壁部14の入口側や出口側に押しつけるスタンプにより塗布してもよい。また、上述したスラリーに、所定の深さまで隔壁部14の入口側や出口側を浸漬させるディッピングにより塗布してもよい。また、スプレーなどにより塗布してもよい。このうち、スタンプやディッピングでは、上述した長さLpを比較的容易に制御できるため、好ましい。
(B)ガラスシール層原料層形成工程
この工程では、剥離防止層20の原料層を全て覆うように、隔壁部14の端部16に、ガラスシール層18の原料層を形成する。このとき、外周面28においては、長さLgが上述した範囲内となるように経験的に求めた範囲に、ガラスシール層18の原料層を形成する。形成方法としては、上述した剥離防止層原料層形成工程で説明した方法に準ずる方法などを好適に用いることができる。
(C)焼成工程
この工程では、剥離防止層20の原料層及びガラスシール層18の原料層を形成した隔壁部14を焼成する。焼成温度は、例えば900℃以上1150℃以下などとしてもよい。焼成時間は、例えば0.5時間以上5時間以下などとしてもよい。焼成雰囲気は、大気雰囲気などとしてもよい。
以上説明したセラミックフィルタ10によれば、ガラスシール層18の剥離をより抑制できる。こうした効果が得られる理由は以下のように推察される。例えば、このセラミックフィルタ10では、アルカリ耐性の比較的高いガラスシール層18で剥離防止層20を覆う(αが0より大きい)ため、剥離防止層20の腐食をより抑制し、ガラスシール層18の剥離をより抑制することができると推察される。また、ガラスシール層18と隔壁部14とが直接接触する領域が十分に少ないため、ガラスシール層18と隔壁部14との間に生じるネフェリンの量をより抑制することができる。これにより、ネフェリン中の成分(例えばNa2OやK2O)と膜洗浄に用いるアルカリとの反応によるガラスシール層の剥離をより抑制できると推察される。
また、セラミックフィルタ10は、複数のセル12を備えたモノリス形状であるため、1つのセルを備えたチューブラー形状のものに比して単位体積当たりの濾過膜26の面積が大きく、濾過効率がよい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、隔壁部14は、濾過膜26を備えたものとしたが、濾過膜を備えていなくてもよいし、濾過膜以外の膜を備えていてもよい。隔壁部14が多孔質アルミナ基材22を備えているものであれば、ガラスシール層18と隔壁部14に含まれるアルミナとの反応によりネフェリンが生成することがあり、剥離防止層20を設けることで、ガラスシール層の剥離をより抑制できる。
上述した実施形態では、隔壁部14は、多孔質アルミナ基材22の内表面24のみに濾過膜26を備えたものとしたが、外周面28側にも濾過膜を備えていてもよい。
上述した実施形態では、セラミックフィルタ10は、複数のセル12を備えたモノリス形状のものとしたが、1つのセルを備えたチューブラー形状のものとしてもよい。
以下では、本発明のセラミックフィルタを具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、実験例4〜11が本発明の実施例に相当し、実験例1〜3が比較例に相当する。
(セラミックフィルタの製造)
[実験例1]
モノリス形状(φ30(φ3×37穴)−150mm)を有し、各貫通セルの表面にMF膜を有するアルミナ質基材の流体流路方向端面側に、表1の釉薬Aの組成を有するスラリーを用いて、長さLgが15mmで、厚みTgが250μmのガラスシール層を形成し、実験例1のセラミックフィルタを得た。
Figure 2016093794
[実験例2]
ガラスシール層を形成せず、表1の釉薬Bの組成を有するスラリーを用いて、長さLpが15mmで、厚みTpが250μmの剥離防止層を形成した以外は、実験例1と同様に実験例2のセラミックフィルタを得た。
[実験例3〜11]
モノリス形状を有し、各貫通セルの表面にMF膜を有するアルミナ質基材の流体流路方向端面側に、表1の釉薬Bの組成を有するスラリーを塗布・乾燥して剥離防止層原料層を形成し、その上に、表1の釉薬Aの組成を有するスラリーを用いて、ガラスシール層を形成した。このとき、長さLp、厚みTp、長さLg及び厚みTgの値を表2に示すものとなるように調整として、実験例3〜11のセラミックフィルタを得た。
(耐蝕試験条件)
得られたセラミックフィルタを用いて、下記の条件下で、NaOH水溶液の循環を行う耐蝕試験を行った。具体的には、2質量%のNaOH水溶液を、75℃の温度条件下、線速1m/secでセル内を循環させた。このときの濾過圧力は、0.1MPaとした。そして、試験開始から、250時間後、500時間後、1000時間後、1500時間後、2500時間後、3000時間後、のそれぞれにおいて、表面の状態、及び剥離の有無を検証した。結果を表2にまとめた。
Figure 2016093794
表2に示すように、剥離防止層を形成せず、ガラスシール層のみを形成した実験例1では、ガラスシール層(ガラス層)が剥離するまでの時間が最も短く、500時間で基材とガラスシール層の界面に隙間が一様に発生し、1000時間では、ガラスシール層が完全に剥離した。これは、隔壁部のアルミナと、ガラスシール層のシリカ−ジルコニア系ガラス成分との反応によりネフェリンが生じたためと推察された。より具体的には、ネフェリン中に含有されるNa2O及びK2Oが、苛性ソーダと反応性を有し、この反応部位に僅かに空隙が生じることによって、ガラスシール層と基材との境界面が徐々に浸食されたためと推察された。
剥離防止層のみを形成し、ガラスシール層を形成しなかった実験例2では、剥離防止層(ガラス層)の剥離は1000時間まで観察されないものの、剥離防止層の表面が侵食され、ザラつきが観察された。また、1500時間経過時には、剥離防止層が剥離していた。
実験例3では、1500時間経過時までは、層間に隙間や剥離が生じず、また、ガラスシール層の表面も、ほぼ無傷であったが、2500時間経過時には、剥離防止層が剥離していた。これに対して、実験例4〜11では、3000時間経過時にも、層間に隙間や剥離が生じず、表面のざらつきも生じなかった。
以上より、ガラスシール層と剥離防止層との両方を備え、α=(Lg−Lp)/Lgで表されるαが、0より大きく0.7以下の範囲にあるセラミックフィルタでは、ガラスシール層の剥離をより抑制できることがわかった。
本発明は、例えば、流体の濃縮、分離、浄化などを行う技術分野に利用可能である。
10 セラミックフィルタ、12 セル、14 隔壁部、16 端部、18 ガラスシール層、18a,18b 形成端、20 剥離防止層、20a,20b 形成端、22 多孔質アルミナ基材、24 内表面、26 濾過膜、28 外周面、30 端面。

Claims (11)

  1. 流体の流路となる1以上のセルを有するセラミックフィルタであって、
    多孔質アルミナ基材を有し、前記セルを形成する隔壁部と、
    アルカリ成分を含むガラスで形成され、前記隔壁部の端部に設けられたガラスシール層と、
    前記隔壁部と前記ガラスシール層との間に設けられた剥離防止層と、
    を備え、
    前記セラミックフィルタの外周面では、前記セラミックフィルタの端面から前記ガラスシール層の形成端までの長さをLg(mm)、前記セラミックフィルタの端面から前記剥離防止層の形成端までの長さをLp(mm)、としたときに、α=(Lg−Lp)/Lgで表されるαが、0より大きく0.7以下の範囲にある、
    セラミックフィルタ。
  2. 前記αは、0.07以上0.7以下の範囲にある、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
  3. 前記ガラスシール層は、シリカ−ジルコニア系のガラスで形成されたものである、請求項1又は2に記載のセラミックフィルタ。
  4. 前記ガラスシール層は、アルカリ成分含有率が10質量%以上30質量%以下の範囲にあるガラスで形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  5. 前記剥離防止層は、シリカ−バリウム系のガラスで形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  6. 前記剥離防止層は、アルカリ成分含有率が1質量%以下の範囲にあるガラスで形成されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  7. 前記長さLgは、3mm以上40mm以下の範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  8. 前記長さLpは、1mm以上37mm以下の範囲にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  9. 前記表面剥離防止層上の前記ガラスシール層の厚みTgは、15μm以上250μm以下の範囲にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  10. 前記剥離防止層の厚みTpは、15μm以上250μm以下の範囲にある、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
  11. 前記隔壁部は、前記多孔質アルミナ基材の表面に、チタニア質層が形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセラミックフィルタ。
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