JP2016092492A - 画像読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの読取結果から複数の画像データを生成する画像読取装置に関して,無駄な後処理を低減し,処理負荷を軽減できる技術を提供すること。【解決手段】MFP100は,読取ヘッド21と,読み取りを伴うタスクと読み取りを伴わないタスクとの両方に対応するCPU31を含む制御部とを備える。MFP100は,色種別が異なる複数の画像データを並行して生成する処理と,読み取った画像の色種別を判定する処理とを実行する。さらに,MFP100は,生成した複数の画像データのそれぞれに対する1または複数の後処理のうち,CPU31によって実行される後処理の1つである特定後処理を,色種別の判定結果に該当する画像データに対して,色種別の判定完了後に実行開始する。【選択図】図5
Description
本発明は,画像読取装置に関する。さらに詳細には,原稿の画像を読み取り,その読取結果から複数の画像データを生成し,それら複数の画像データから原稿の画像の色種別に応じた画像データを出力する画像読取装置に関する技術である。
従来から,原稿を読み取る画像読取装置であって,原稿の画像を読み取り,その読取結果から複数の画像データを生成し,それら複数の画像データから原稿の画像の色種別に応じた画像データを出力する技術が知られている。
前記の技術を開示した文献としては,例えば,特許文献1がある。特許文献1には,カラー複写機であって,カラー画像データを生成する処理と,モノクロ画像データを生成する処理とを実行し,さらにそれらの処理と並行してカラーかモノクロかを判定する処理を実行し,判定結果に応じてカラー画像データとモノクロ画像データとの一方を外部装置に転送する技術が開示されている。
画像読取装置は,読取結果に基づいて生成された画像データに対して圧縮処理等の後処理を行う。画像読取装置は,後処理を原稿の画像の色種別が得られる前から実行することで,画像データを早期に出力できる。しかしながら,結果として,原稿の色種別に不適合な画像データに対して後処理を実行することもあり,後処理が無駄になり易い。また,実行される後処理の数が多くなると,処理負荷が高くなり,他のタスクへの影響が懸念される。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,1つの読取結果から複数の画像データを生成する画像読取装置に関して,無駄な後処理を低減し,処理負荷を軽減できる技術を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた画像読取装置は,原稿の画像を読み取る読取部と,前記読取部による読み取りを伴うタスクである読取タスクと,前記読取部による読み取りを伴わないタスクである非読取タスクと,の両方に対応する演算装置を含む制御部とを備え,前記制御部は,前記読取部での読取結果に基づいて,色種別が異なる複数の画像データを並行して生成する生成処理と,前記読取部での読取結果に基づいて,前記読取部にて読み取られた画像の色種別を判定する判定処理とを実行し,前記生成処理によって生成された複数の画像データのそれぞれに対する1または複数の後処理のうち,前記演算装置によって実行される後処理の1つである特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定結果に該当する画像データに対して,前記判定処理による色種別の判定完了後に実行開始することを特徴としている。
本明細書に開示される画像読取装置は,制御部に,読取部による読み取りを伴うタスクである読取タスクと,読取部による読み取りを伴わないタスクである非読取タスクと,の両方に対応する演算装置が含まれる。各タスクは,全部が上記の演算装置によって実行されてもよいし,一部が上記の演算装置以外であって制御部に含まれる装置によって実行されてもよい。そして,制御部は,読取部での読取結果に基づいて,色種別が異なる複数の画像データを並行して生成し,読み取られた画像の色種別を判定する。さらに,生成された複数の画像データのそれぞれに対する後処理のうち,演算装置にて実行される特定後処理を,色種別の判定結果に応じて判定完了後に実行開始する。
すなわち,本明細書に開示される画像読取装置では,制御部が実行する後処理のうち,特定後処理を,色種別の判定完了後に実行開始する。これにより,特定後処理を判定完了前から実行開始する場合と比較して,実行された後処理が無駄な処理となる可能性が低い。また,画像読取装置は,判定結果が得られることで特定後処理を実行開始する,換言すると,所定の判定結果が得られないと特定後処理は実行されないことから,特定後処理の実行機会が低減し,その結果として処理負荷が軽減される。
また,前記制御部は,前記生成処理にて生成された第1の色種別の画像データに対しては,第1の圧縮方式による圧縮処理である前記特定後処理を実行し,前記生成処理にて生成された前記第1の色種別とは異なる第2の色種別の画像データに対しては,前記第1の圧縮方式とは異なる第2の圧縮方式による圧縮処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前に実行開始するとよい。色種別によって,好適な圧縮方式がある。また,圧縮方式によって,演算装置にての実行に好適なものとそうではないものとがある。そのため,圧縮方式によって,色種別判定が完了する前から実行するか否かを決定する方が好ましい。
また,前記特定後処理は,前記複数の画像データのうち特定の画像データに対する後処理であるとよい。判定完了後に実行開始する後処理を多くするほど,処理の無駄や処理負荷は軽減されるが,画像データの出力が遅くなる。そこで,特定の画像データに対する後処理を色種別の判定完了後に実行開始することで,特定の画像データ以外の画像データを出力する場合には早期に出力できる。
また,前記制御部は,前記判定処理での判定結果を記憶する記憶処理と,前記記憶処理にて記憶された過去の判定結果に基づいて,前記特定後処理の実行対象の色種別である特定色種別と判定される頻度が高いか否かを判断する頻度判断処理とを実行し,前記頻度判断処理にて前記特定色種別と判定される頻度が高いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。過去の色種別の判定結果から,特定後処理の実行対象である特定色種別と判定される頻度が高いと判断された場合には,判定完了を待たずに特定後処理を実行開始しても当該処理が無駄になる可能性は低い。そして,特定後処理を判定完了前に実行開始することで,画像データの早期の出力が期待できる。
また,前記制御部は,読取解像度と原稿のサイズとに基づいて,前記特定後処理の実行に要する時間が長いか否かを判断する予測時間判断処理を実行し,前記予測時間判断処理にて前記特定後処理の実行に要する時間が長いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。特定後処理の実行に要する時間は,画像データのデータサイズに比例する傾向にあり,データサイズは読取解像度と原稿のサイズとから推測できる。そして,特定後処理の実行に要する時間が長いと推測される場合には,特定後処理の実行を早期に開始することで,画像データの出力の遅延を抑制できる。
また,前記制御部は,ジョブ中に先行して読み取られた画像に基づく前記特定後処理の実行に要した時間が所定時間よりも長いか否かを判断する実測時間判断処理を実行し,前記実測時間判断処理にて前記特定後処理の実行に要した時間が所定時間よりも長いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。同じジョブ中の読み取りでは,先行する画像に対する特定後処理と後続する画像に対する特定後処理とで,実行に要する時間の違いが小さい傾向にある。そのため,先行する画像に対する特定後処理に要した時間が長ければ,後続する画像に対する特定後処理に要する時間も長いと推測できる。そして,特定後処理の実行に要する時間が長いと推測される場合には,特定後処理の実行を早期に開始することで,画像データの出力の遅延を抑制できる。
また,前記制御部は,ジョブ中の最終原稿か否かを判断する最終判断処理を実行し,前記最終判断処理にて最終原稿と判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。ジョブ中の最終原稿であれば,特定後処理の完了の遅れが読取ジョブの完了の遅れを招く。そのため,最終原稿では,特定後処理の実行を早期に開始し,画像データの出力の遅延を抑制する方が好ましい。
また,前記制御部は,前記非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ないか否かを判断するタスク判断処理を実行し,前記タスク判断処理にて非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ないと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ない場合には,判定結果を待たずに特定後処理を実行開始しても当該特定後処理が非読取タスクに与える影響は小さい。そのため,非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ない場合では,特定後処理の実行を早期に開始し,画像データの出力の遅延を抑制する方が好ましい。
また,前記制御部は,前記特定後処理を前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始した後,前記非読取タスクを受け付けた量が規定量よりも多くなった場合に,実行中の特定後処理を中断するとよい。特定後処理の開始後に非読取タスクを受け付けた量が多くなった場合には,当該特定後処理を中断し,処理負荷を軽減する方が好ましい。
また,前記制御部は,前記複数の後処理の1つまたは組合せであって,前記読取部による原稿の画像の読み取り開始から次の原稿の画像の読み取り開始までの期間内に処理が完了する後処理または後処理の組合せを決定する決定処理を実行し,前記決定処理にて決定された後処理または後処理の組合せを,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始し,前記特定後処理は,前記決定処理にて決定された後処理または後処理の組合せ以外の後処理であるとよい。次の原稿の読取開始までに完了する後処理または後処理の組合せは,判定結果を待たずに実行開始しても当該処理が他のタスクに与える影響は小さい。そのため,そのような後処理の実行を早期に開始し,画像データの出力の遅延を抑制する方が好ましい。
また,前記制御部は,前記判定処理が完了したタイミングで,実行開始中の後処理のうち判定結果に該当しない画像データに対する後処理を終了し,前記複数の画像データのうち判定結果に該当しない画像データを削除するとよい。判定結果が得られた時点で,判定結果に該当しない画像データは不要となる。そのため,不要と判定された画像データに対する後処理を終了させることで,処理負荷をより軽減できる。さらに当該画像データを削除することで,メモリの負荷もより軽減できる。
また,前記制御部は,前記生成処理によって生成された画像データに対する後処理のうち,前記演算装置以外の特定の演算装置によって実行され,前記特定後処理以外の後処理の1つである非特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始するとよい。特定の演算装置によって実行される後処理であれば,他のタスクへの影響が少ない。そのため,非特定後処理を判定完了前に実行開始し,画像データの早期の出力を図る方が好ましい。
上記画像読取装置の機能を実現するための制御方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。
本発明によれば,1つの読取結果から複数の画像データを生成する画像読取装置に関して,無駄な後処理を低減し,処理負荷を軽減できる技術が実現される。
以下,本発明にかかる画像読取装置を具体化した第1の実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像読取機能を備えたMFP(複合機)に本発明を適用したものである。
まず,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34とを含むコントローラ30を備えている。また,MFP100は,画像形成部10と,画像読取部20と,ネットワークIF37と,USBIF38と,電話回線IF39と,操作パネル40とを備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。さらに,画像読取部20には,読取ヘッド21と,ADF(原稿搬送装置)22と,ASIC23とが含まれる。
画像形成部10は,用紙に画像を印刷するための構成である。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
画像読取部20は,原稿の画像を読み取るための構成である。読取ヘッド21は,原稿に光を照射して反射光を受光し,受光量に対応する信号を出力する。ADF22は,読取ヘッド21に対向する位置を原稿が通過するように,原稿を搬送する。ASIC23は,読取ヘッド21の出力信号に基づいて,各種の画像データの生成と,画像の色種別に応じた信号の出力とを行う専用処理回路である。ASIC23の詳細については,後述する。なお,MFP100の画像読取部20は,カラー読み取りが可能なものである。読取方式は,CCD方式であってもCIS方式であってもよい。読取ヘッド21は,読取部の一例である。
また,ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは,データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素を制御する。
なお,図1中のコントローラ30は,CPU31等,MFP100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にMFP100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。CPU31は,演算装置の一例であり,制御部の一例である。また,ASIC23は,コントローラ30に含まれていてもよい。ASIC23は,制御部の一例である。なお,コントローラ30が制御部または演算装置であってもよい。
ネットワークIF37は,LANケーブル等を介してネットワークと通信を行うためのハードウェアである。USBIF38は,USBケーブル等を介して外部機器と通信を行うためのハードウェアである。電話回線IF39は,電話回線網に接続され,電話回線を介してFAXデータの送受信を行うためのハードウェアである。操作パネル40は,液晶ディスプレイおよびスタートキー,ストップキー,テンキー等から構成されるボタン群を備え,各種の表示と,ユーザによる指示入力の受け付けとを担う。
続いて,画像読取部20のASIC23について,図2を参照して説明する。ASIC23は,図2に示すように,YCbCr変換回路231と,色種別判定回路232と,RAM233と,二値化回路234と,JPEGエンコーダ235と,JPEGエンコーダ236とを有する。なお,JPEGエンコーダ235とJPEGエンコーダ236とは,同様の構成ではあるが,それぞれ個別の回路である。
つまり,ASIC23は,複数の専用処理回路を含むハードウェアの総称である。なお,RAM233は,コントローラ30のRAM33の領域の一部でもよいし,別のハードウェアとして設けられていてもよい。また,JPEGは,国際規格のデータ圧縮方式である。
読取ヘッド21は,受光量に基づいて,RGB形式の画像データを出力する。YCbCr変換回路231は,読取ヘッド21からRGB形式の画像データを受信し,YCbCr形式の画像データに変換する。YCbCr形式の画像データのうち,Y成分は,輝度を表す輝度成分であり,Cb成分とCr成分とは,それぞれ異なる色の色差を表す色差成分である。以下では,YCbCr形式の画像データを,YCbCrデータとする。
YCbCr変換回路231は,変換後のYCbCrデータを,色種別判定回路232とRAM233とに出力する。色種別判定回路232は,受信したYCbCrデータの各成分に基づいて,画像の色種別に応じた信号を出力する。具体的に,色種別判定回路232は,画像データ中に有彩色の成分を所定以上含む場合にカラーに対応する信号を出力し,無彩色で多階調の画像ではグレーに対応する信号を出力し,白と黒のみの二階調の画像ではモノクロに対応する信号を出力する。そして,MFP100は,色種別判定回路232の出力信号に基づいて,読み取った原稿の色種別を,カラーであるか,グレーであるか,モノクロであるかのいずれかに判定する。また,RAM233は,受信したYCbCrデータを保存する。
二値化回路234は,RAM233からYCbCrデータのY成分を読み出して,所定の閾値を用いて二値化し,二値化画像データを生成する。ASIC23にて生成される二値化画像データは,YCbCrデータのY成分を二値化した非圧縮の画像データである。なお,後述するように,色種別がモノクロと判定された場合の出力データは,この二値化画像データを圧縮したモノクロ画像データである。
JPEGエンコーダ235は,RAM233からYCbCrデータのY成分を読み出してJPEG圧縮し,グレー画像データを生成する。ASIC23にて生成されるグレー画像データは,YCbCrデータのY成分をJPEG方式にて圧縮した圧縮データである。つまり,グレー画像データは,YCbCrデータから生成されたグレースケールの圧縮済み画像データである。後述するように,色種別がグレーと判定された場合の出力データは,JPEGエンコーダ235にて生成されるグレー画像データである。なお,グレー画像データは,YCbCrデータのCb成分とCr成分とを固定値に置き換えたデータに基づいて生成されたデータであってもよい。
JPEGエンコーダ236は,RAM233からYCbCrデータの全成分を読み出してJPEG圧縮し,カラー画像データを生成する。ASIC23にて生成されるカラー画像データは,YCbCrデータの全成分をJPEG方式にて圧縮した圧縮データである。つまり,カラー画像データは,カラー情報を含む圧縮済み画像データである。後述するように,色種別がカラーと判定された場合の出力データは,JPEGエンコーダ236にて生成されるカラー画像データである。なお,生成された二値化画像データ,グレー画像データ,カラー画像データは,それぞれコントローラ30のRAM33に保存される。
続いて,MFP100における読取動作について図3と図4とを用いて説明する。本形態のMFP100は,読取指示を受け付けると,原稿の画像を読み取り,読み取った画像に基づく出力用の画像データである出力データを生成して,読取指示にて指定された出力先へ出力する。なお,図3は,読取画像の色種別がカラーと判定された場合の例であり,図4は,読取画像の色種別がモノクロと判定された場合の例である。
MFP100は,出力する画像データの色種別の指定を読取指示にて受け付けていない場合,つまり,色自動設定での読取指示を受け付けた場合,ASIC23にて,二値化画像データとグレー画像データとカラー画像データとの生成を開始させ,読み取った画像の色種別を判定させる。つまり,MFP100は,色種別の判定と,色種別の異なる複数の画像データの生成とを並行して実行する。色種別の判定と,色種別の異なる複数の画像データの生成とを並行して実行することで,出力データの出力までの所要時間の短縮が図られる。
MFP100は,ASIC23にて生成された3種類の画像データに対して,必要に応じてCPU31にて後処理を実行させる。後処理としては,例えば,画像データの上下反転処理,二値化画像データの圧縮処理であるMH圧縮処理が該当する。
上下反転処理は,画像データの上下を反転させる処理である。例えば,原稿の表裏で上下が異なる原稿の両面読み取りを実行した場合,裏面の画像データの上下反転処理が要求される場合がある。MFP100は,ユーザの要求に基づいて,画像データの上下反転処理を実行する。
MH圧縮処理は,FAXの伝送に使用される圧縮形式である,Modified Huffman符号化方式による圧縮処理である。MH圧縮処理は,RAM33に保存されている非圧縮の二値化画像データをMH方式にて圧縮することで,モノクロ画像データを生成する処理である。
MFP100は,上下反転処理およびMH圧縮処理を,専用回路ではなく,種々のタスクの処理に用いられるCPU31にて実行させる。つまり,MFP100は,上下反転処理を実行するASICも,MH圧縮処理を実行するASICも備えていない。これらの処理を実行するASICを備えないことで,装置の価格を抑制できる。一方,MFP100は,JPEGエンコーダ235,236を備え,JPEG圧縮をASIC23にて行うことで,処理の遅延を抑制できる。なお,上下反転処理およびMH圧縮処理以外に,例えば,CPU31にてのみ実行可能な処理は,CPU31にて実行する後処理としてもよい。
そして,MFP100は,CPU31にて実行させる後処理のうち,色種別の判定完了後に実行開始する処理を特定後処理とする。判定完了後に実行開始される特定後処理は,色種別の判定結果に該当する画像データに対して実行される処理であり,判定結果が特定後処理の実行を要求する色種別であった場合に実行される。つまり,色種別の判定結果が,後処理を必要としない色種別である場合には,MFP100は,特定後処理を実行しない。
例えば,MFP100は,ASIC23の色種別判定回路232の出力信号に基づいて,画像の色種別がカラーであると判定した場合,図3に示すように,ASIC23にて生成されたカラー画像データを出力する。さらに,MFP100は,RAM33に保存されている二値化画像データとグレー画像データとを削除する。つまり,必要な後処理がない場合には,MFP100は,ASIC23にて生成された画像データをそのまま出力する。なお,色種別がグレーであると判定した場合は,MFP100は,グレー画像データを出力し,二値化画像データとカラー画像データとを削除する。
一方,MFP100は,例えば,画像の色種別がモノクロであると判定した場合,図4に示すように,ASIC23にて生成された二値化画像データを,CPU31にてMH圧縮方式にて圧縮し,モノクロ画像データを生成して出力する。そして,CPU31は,二値化画像データに対する圧縮処理であるMH圧縮処理の実行を,色種別がモノクロであるとの判定結果が得られた後に開始する。さらに,MFP100は,RAM33に保存されているグレー画像データとカラー画像データとを削除する。
MH圧縮処理は,特定後処理の一例であり,モノクロは,第1の色種別の一例であり,MH方式は,第1の圧縮方式の一例である。一方,グレーおよびカラーは,第2の色種別の一例であり,JPEG方式は,第2の圧縮方式の一例である。そして,JPEG圧縮処理は,非特定後処理の一例である。なお,上下反転処理が必要であれば,MFP100は,判定結果に該当する画像データに対して,上下反転処理を実行する。この場合,上下反転処理は,特定後処理の一例である。
続いて,MFP100において,色自動設定にて原稿の画像を読み取り,色種別の判定結果に基づいて出力データを生成する処理である出力データ生成処理の動作手順について,図5のフローチャートを参照して説明する。本処理は,MFP100が,操作パネル40あるいはネットワークIF37を介して,色自動設定での読取実行の指示を受け付けたことを契機に,CPU31にて実行される。
出力データ生成処理では,まず,CPU31は,読取動作を開始させる(S101)。具体的には,CPU31は,ADF22に原稿を搬送させ,読取ヘッド21に原稿の画像を読み取らせる。ASIC23は,読取ヘッド21での画像の読み取り開始に伴って,色種別の判定,および,各画像データの生成を開始する。S101は,生成処理と判定処理との一例を含んでいる。
次に,CPU31は,早期開始条件を満たすか否かを判断する(S102)。早期開始条件は,二値化画像データのMH圧縮処理を色種別の判定完了前に実行開始することが好ましい条件である。早期開始条件としては,例えば,後述するモノクロ頻度条件,予測時間条件,実測時間条件,最初原稿条件,最終原稿条件,処理負荷条件がある。そして,CPU31は,早期開始条件を満たしていると判断した場合(S102:YES),色種別の判定完了前に二値化画像データの圧縮処理の実行を開始する(S103)。
前述の早期開始条件の各条件について順に説明する。モノクロ頻度条件は,過去に読み取った原稿における色種別の判定結果がモノクロであった頻度が高い条件である。CPU31は,色種別の判定が完了すると,RAM33またはNVRAM34に判定結果を記憶する。そして,S102において,CPU31は,記憶されている判定結果におけるモノクロ判定の頻度を算出し,算出した頻度が所定の頻度閾値より高い場合に,モノクロ頻度条件を満たすと判断する。なお,頻度は,回数でもよいし,割合でもよい。また,ジョブ単位でもよいし,ページ単位でもよい。直近の所定の期間内においてモノクロと判定される頻度が高いと判断された場合には,色種別の判定完了前にMH圧縮処理を開始しても,処理が無駄になる可能性は低い。このモノクロ頻度条件を採用する場合,判定結果を記憶する処理は記憶処理の一例であり,算出した頻度と頻度閾値とを比較する処理は頻度判断処理の一例である。また,モノクロは,特定色種別の一例である。
なお,CPU31は,RAM33またはNVRAM34に記憶した判定結果を適宜削除するとよい。例えば,CPU31は,1つのジョブの実行期間中に限って判定結果を記憶し,ジョブが終了したら削除する。この場合,CPU31は,1つのジョブ中の判定頻度に基づいてモノクロ頻度条件を判断する。1つのジョブ中の各原稿は,同じ色種別である可能性が高いので,1つのジョブ中における先行原稿のモノクロ頻度に基づいてMH圧縮処理を開始しても,処理が無駄になる可能性は低い。また,CPU31は,記億した時点から所定以上の期間が経過した後,判定結果を削除するとしてもよい。
早期開始条件の予測時間条件は,MH圧縮処理の実行に要すると予測される予測時間が長い条件である。MH圧縮処理の所要時間は,圧縮対象の二値化画像データのデータサイズに比例する傾向があり,二値化画像データのデータサイズは,読取解像度と原稿のサイズとから推定できる。MFP100では,例えば,図6に示すように,読取解像度と原稿のサイズとに対応する予測時間の長短を,予測時間テーブル61として予めROM32に記憶している。そして,CPU31は,読取設定における読取解像度と原稿のサイズとに基づいて,予測時間テーブル61から予測時間の長短を読み出す。
CPU31は,読み出した予測時間が長い場合,予測時間条件を満たすと判断する。つまり,CPU31は,MH圧縮処理の所要時間が長いと予測した場合,早期にMH圧縮処理を開始することで,画像データの出力の遅延を抑制する。この予測時間条件を採用する場合,予測時間テーブル61を読み出して予測時間の長短を判断する処理は,予測時間判断処理の一例である。なお,読取設定にて原稿のサイズが設定されていない場合,CPU31は,読取開始後に読み取り済み部分の読取結果に基づいて,原稿のサイズを推定してもよい。
早期開始条件の実測時間条件は,実行中のジョブ中で実行済みのMH圧縮処理に要した時間が長い条件である。例えば,CPU31は,実行中のジョブにて読み取り済みの原稿について,MH圧縮処理を実行した原稿がある場合,その所要時間が予め決めた閾値時間よりも長いか否かを判断する。同一ジョブ中の他の原稿に対するMH圧縮処理の所要時間が長い場合には,読取実行中の原稿に対するMH圧縮処理の所要時間も長いと推測される。
そして,CPU31は,所要時間が所定の閾値時間より長い場合,実測時間条件を満たすと判断する。CPU31は,MH圧縮処理の所要時間が長いと推測した場合,早期にMH圧縮処理を開始することで,画像データの出力の遅延を抑制する。この実測時間条件を採用する場合,所要時間の長短を判断する処理は,実測時間判断処理の一例である。なお,ジョブ中にMH圧縮処理を実行した原稿が複数枚ある場合には,CPU31は,所要時間の長短を,例えば,所要時間の平均値,中央値,または最大値に基づいて判断すればよい。
早期開始条件の最初原稿条件は,読取実行中の原稿が,ジョブ中の1枚目の原稿である条件である。1枚目の原稿であれば,CPU31が先行するジョブの処理を実行中である可能性は低い。この場合には,MH圧縮処理を早期に開始しても,他の処理への影響は小さいと推測できる。そこで,CPU31は,早期にMH圧縮処理を開始することで,画像データの出力の遅延を抑制する。
早期開始条件の最終原稿条件は,読取実行中の原稿が,ジョブ中の最後の原稿である条件である。最後の原稿であれば,MH圧縮処理の完了の遅れがジョブの完了の遅れを招く可能性がある。そこで,CPU31は,早期にMH圧縮処理を開始することで,画像データの出力の遅延を抑制する。なお,CPU31は,ADF22にて原稿トレイ等に設けられたセンサの出力等に基づいて,最終原稿か否かの判断を行う。この最終原稿条件を採用する場合,最終原稿であるか否かを判断する処理は,最終判断処理の一例である。
早期開始条件の処理負荷条件は,読み取りを伴わないタスクを受け付けた量が少ない条件である。具体的に,処理負荷条件は,実行中の読み取り処理以外にMFP100にて受け付け済みのタスクであって,読取処理と並行して実行可能なタスクの処理負荷が小さい条件である。MFP100は,読み取りジョブ以外に,読み取りを伴わないジョブである非読取タスクを受け付け,受け付けた非読取タスクをCPU31を使用して実行する。
非読取タスクとしては,例えば,印刷ジョブ,FAX受信ジョブ,画像解析ジョブ,画像加工ジョブが該当する。CPU31が,これらの非読取タスクを実行中に,MH圧縮処理の実行を開始すると,実行中の非読取タスクの処理速度に影響を与える可能性がある。非読取タスクの量が少ない場合にはCPU31の処理負荷は小さく,CPU31がMH圧縮処理を早期に開始しても,影響は小さいと推測できる。
そこで,CPU31は,受け付けた非読取タスクの量が予め決めた所定量より少ない場合,処理負荷条件を満たすと判断する。タスクの受け付け量は,タスクの数としてもよいし,タスクの内容に応じて重みを加えた処理負荷量としてもよい。CPU31は,非読取タスクの受け付け量が少ない場合,早期にMH圧縮処理を開始することで,画像データの出力の遅延を抑制する。この処理負荷条件を採用する場合,非読取タスクの受け付け量を判断する処理は,タスク判断処理の一例である。
CPU31は,前述した複数の早期開始条件のうち,少なくとも1つを満たしている場合に,早期開始条件を満たしていると判断し(S102:YES),ASIC23にて生成される二値化画像データに対するMH圧縮処理を開始する(S103)。一方,CPU31は,早期開始条件を満たしていないと判断した場合(S102:NO),この時点ではMH圧縮処理を開始しない。
S102にてNOと判断した後,また,S103の後,CPU31は,色種別判定回路232の出力信号に基づいて,色種別の判定が完了したか否かを判断する(S105)。つまり,色種別判定回路232から,色種別の判定結果に対応する信号を受信したか否かを判断する。判定が完了していないと判断したら(S105:NO),CPU31は,MH圧縮処理の実行中であるか否かを判断する(S107)。
MH圧縮処理の実行中であると判断した場合(S107:YES),CPU31は,中断事由があるか否かを判断する(S108)。中断事由とは,MH圧縮処理の開始後に実行中のMH圧縮処理を中断すると判断する事由である。中断事由としては,例えば,MH圧縮処理の開始後に受け付けた非読取タスクの量が規定量よりも多くなった場合,色種別の判定結果がモノクロではないと推定された場合が該当する。そして,CPU31は,中断事由があると判断した場合(S108:YES),MH圧縮処理を中断する(S109)。
一方,圧縮処理の実行中ではない場合(S107:NO),または,中断事由がないと判断した場合(S108:NO),または,S109にてMH圧縮処理を中断した後には,CPU31は,S105に戻って,色種別の判定が完了したか否かを判断する。なお,S109にてMH圧縮処理を中断した場合,中断後に中断事由が解消したか否かをさらに判断し,解消した場合にはMH圧縮処理を再開するとしてもよい。
そして,CPU31は,色種別の判定処理が完了したと判断した場合(S105:YES),判定結果がモノクロであったか否かを判断する(S111)。色種別の判定結果がモノクロであると判断した場合(S111:YES),CPU31は,MH圧縮処理が完了しているか否かを判断する(S112)。完了していないと判断した場合(S112:NO),CPU31は,完了するまでMH圧縮処理を実行する(S113)。
つまり,S103においてMH圧縮処理を開始していない場合は,CPU31は,S113にてMH圧縮処理を開始し,完了するまで実行する。あるいは,MH圧縮処理の実行中であって完了していない場合は,CPU31は,完了するまでMH圧縮処理を継続して実行する。あるいは,S109にてMH圧縮処理を中断した場合は,CPU31は,MH圧縮処理を再開し,完了するまで実行する。色種別の判定結果がモノクロである場合には,MH圧縮処理の実行が要求されるので,CPU31は,例えば,他のタスクを受け付けていてもMH圧縮処理の実行を完了するまで継続する。
そして,CPU31は,ASIC23にて生成されたグレー画像データとカラー画像データとを削除し(S115),MH圧縮処理の完了した圧縮データを出力データとする(S116)。つまり,MFP100は,モノクロ画像データをこのページの出力データとし,RAM33に保存する。なお,MFP100は,ジョブの全ページの出力データがRAM33に保存された後,所定の形式のファイルとして指定された出力先に出力する。
さらに,CPU31は,次のページの原稿があるか否かを判断する(S118)。次のページがあると判断した場合(S118:YES),CPU31は,S102に戻って,次のページの処理を実行する。なお,MFP100にて,ADF22を使用して読み取る場合の読取動作は,ADF22にセットされた原稿が無くなるまで1枚ずつ順に行われる。次のページがないと判断した場合(S118:NO),CPU31は,出力データ生成処理を終了する。
一方,色種別の判定結果がモノクロではないと判断した場合(S111:NO),つまり,色種別がグレーまたはカラーと判定された場合,二値画像の圧縮処理であるMH圧縮処理を完了させる必要はない。そこで,CPU31は,MH圧縮処理を実行中であるか否かを判断し(S120),実行中であれば(S120:YES),当該MH圧縮処理を中止する(S121)。MH圧縮処理の中止後,または,MH圧縮処理の実行中ではないと判断した場合(S120:NO),CPU31は,色種別の判定結果がグレーであるか否かを判断する(S123)。
色種別の判定結果がグレーであると判断した場合(S123:YES),CPU31は,ASIC23にて生成された二値化画像データとカラー画像データとを削除する(S124)。MH圧縮処理を既に開始しており,モノクロ画像データがある場合には,CPU31は,そのモノクロ画像データも削除する。そして,CPU31は,グレー画像データを出力データとして記憶する(S125)。
さらに,CPU31は,次のページの原稿があるか否かを判断する(S118)。CPU31は,次のページがあると判断した場合には(S118:YES),次のページの処理を実行し,次のページがないと判断した場合には(S118:NO),出力データ生成処理を終了する。
色種別の判定結果がグレーではないと判断した場合(S123:NO),つまり,色種別がカラーであると判定された場合,CPU31は,ASIC23にて生成された二値化画像データとグレー画像データとを削除する(S127)。MH圧縮処理を既に開始しており,モノクロ画像データがある場合には,CPU31は,そのモノクロ画像データも削除する。そして,CPU31は,カラー画像データを出力データとして記憶する(S128)。
さらに,CPU31は,次のページの原稿があるか否かを判断する(S118)。CPU31は,次のページがあると判断した場合には(S118:YES),次のページの処理を実行し,次のページがないと判断した場合には(S118:NO),出力データ生成処理を終了する。
出力データ生成処理の終了時には,ジョブの全ページの出力データが生成されている。そこで,CPU31は,例えば,全ページの出力データをPDFファイル等にまとめて,指定された出力先に出力する。なお,前述した上下反転処理が必要なページがある場合には,CPU31は,色種別の判定完了後で,出力データをファイル化する前のいずれかの時点で,上下反転処理を実行する。
以上,詳細に説明したように,第1の形態のMFP100は,画像読取部20にて取得した画像に基づいて,色種別の判定処理と,各色の画像データの生成処理とをASIC23に実行させる。一方,MFP100は,色種別の判定完了後に,判定結果がモノクロである場合に,二値化画像データの圧縮処理であるMH圧縮処理の実行を,CPU31に開始させる。つまり,判定結果がモノクロでない場合には,MFP100は,CPU31にMH圧縮処理の実行を開始させない。すなわち,特定後処理の実行開始を実行の必要性が確認された後とするので,無駄な後処理を低減し,CPU31の処理負荷を軽減できる。
続いて,本発明にかかる画像読取装置を具体化した第2の実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態のMFP200は,各色の画像データの圧縮処理をCPU31にて実行させる点で,第1の形態とは異なる。第1の形態と同様の構成については,同じ符号を付して説明を省略する。
第2の形態のMFP200は,図7に示すように,第1の形態のMFP100のASIC23に代えて,ASIC25を有している。ASIC25は,YCbCr変換回路231と,色種別判定回路232とを有する。ASIC25は,読取ヘッド21の読取結果に基づいて,色種別判定回路232にて色種別に応じた信号を出力させ,YCbCr変換回路231にYCbCrデータを生成させ,生成したYCbCrデータをRAM33に保存する。
MFP200は,ASIC25にてYCbCrデータを生成し,生成したYCbCrデータに基づいて各色の画像データを生成し,CPU31にて各種の圧縮処理を実行することにより,出力用の各色の画像データを生成する。YCbCr変換回路231にて生成されるYCbCrデータは,未圧縮のカラー画像データ,未圧縮のグレー画像データ,未圧縮のモノクロ画像データを含む。つまり,ASIC25にてYCbCrデータを生成する処理は,生成処理の一例である。
MFP200は,カラー画像生成処理と,グレー画像生成処理と,モノクロ画像生成処理とを,CPU31にて実行させる。カラー画像生成処理は,YCbCrデータの全成分に基づいて,JPEG圧縮処理により,圧縮済みのカラー画像データを生成する処理である。グレー画像生成処理は,YCbCrデータのY成分に基づいて,JPEG圧縮処理により,圧縮済みのグレー画像データを生成する処理である。
また,モノクロ画像生成処理は,二値化処理とMH圧縮処理とを含む一連の処理である。二値化処理は,YCbCrデータのY成分を二値化することにより,二値化画像データを生成する処理である。MH圧縮処理は,二値化処理にて生成された二値化画像データをMH方式にて圧縮して,モノクロ画像データを生成する処理である。
カラー画像生成処理と,グレー画像生成処理と,モノクロ画像生成処理とは,それぞれ,後処理の一例である。第2の形態のMFP200は,第1の形態のMFP100とは,カラーとグレーの圧縮処理や二値化処理を含む全ての後処理を,いずれもCPU31にて実行する点が異なるのみであり,MFP200にて生成される出力用の画像データは,MFP100にて生成される画像データと同様である。
続いて,MFP200における読取動作について説明する。MFP200は,色自動設定にて複数枚の原稿の画像を読み取る読取ジョブを受け付けると,まず,1枚目の原稿を搬送し,その画像を読取ヘッド21にて読み取らせる。MFP200は,読取ヘッド21の読取結果に基づいて,ASIC25にて,YCbCrデータを生成させ,色種別の判定処理を開始させる。さらに,MFP200は,1枚目の原稿の色種別の判定処理が完了する前に,CPU31に,YCbCrデータに基づいて,全色種別に対応する後処理,すなわち,カラー画像生成処理とグレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とを,並行して実行開始させる。
MFP200のADF22は,1枚目の原稿の画像の読み取りが終了すると,所定の紙間を設けて,自動的に2枚目の原稿の搬送を開始する。なお,ADF22による原稿の搬送速度は,読取設定によって異なる可能性がある。例えば,読取設定の読取解像度が高解像度であれば,低解像度よりも,搬送速度は遅い傾向にある。
MFP200のCPU31は,2枚目の原稿の画像の読み取りを開始するタイミングで,前述した1枚目の後処理が終了しているか否かを判断する。全て終了していれば,MFP200は,色種別の判定の完了後,色種別の判定結果に該当する画像データを出力データとして出力する。さらに,CPU31は,生成済みの他の画像データを削除する。そして,MFP200は,2枚目以降についても1枚目と同様に,CPU31に,全後処理を色種別の判定処理が完了する前に開始させる。
一方,並行して実行開始したカラー画像生成処理とグレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とのうち,2枚目の読み取り開始タイミングに終了していない処理がある場合には,CPU31は,2枚目以降では,並行して実行開始する処理を減らす。例えば,図8の「1枚目」の欄に示すように,2枚目の読み取り開始タイミングに,1枚目の後処理が終了しなかった場合には,CPU31は,2枚目からは,複数の後処理のうちの1以上で全てではない後処理を,色種別の判定処理が完了する前に開始する。
そのために,CPU31は,1枚の原稿の搬送時間内に処理が完了するように,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理または後処理の組合せを決定する。例えば,CPU31は,2枚目の読み取り開始タイミングにて,1枚目の後処理の残りの処理量に基づいて,図8に示すように,所要残時間ΔTを取得する。さらに,CPU31は,取得した所要残時間ΔTの長さに基づいて,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理または後処理の組合せを決定する。なお,所要残時間ΔTは,全ての後処理を完了するまでに掛かると推定される残り時間である。あるいは,1枚目の原稿については,完了するまで後処理を継続して実行し,所要時間を実測してもよい。
例えば,CPU31は,図8に示すように,所要残時間ΔTを予め決めた閾値残時間Wと比較する。そして,CPU31は,所要残時間ΔTが閾値残時間W以下であれば,例えば,グレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とを色種別の判定処理が完了する前に開始する処理の組合せに決定する。従って,カラー画像生成処理は,色種別の判定処理が完了した後,判定結果がカラーであった場合に実行開始される。ΔT≦Wであれば,2つの後処理を1枚の原稿の搬送時間中に並行して実行しても完了する可能性が高い。
この例では,カラー画像生成処理は特定後処理の一例である。なお,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理の組合せは,予め決めた組合せとしてもよいし,所要残時間ΔTの大きさに応じて決定してもよいし,各後処理の実行頻度等に基づいて決定してもよい。ただし,カラー画像生成処理およびグレー画像生成処理にて実行するJPEG圧縮処理は,モノクロ画像生成処理にて実行するMH圧縮処理よりも処理負荷が大きい可能性が高い。そこで,カラー画像生成処理またはグレー画像生成処理を特定後処理として,色種別の判定処理が完了する前に実行する処理負荷を軽減することが好ましい。
一方,CPU31は,図8に示すように,所要残時間ΔTが閾値残時間Wより大きい場合は,例えば,モノクロ画像生成処理を色種別の判定処理が完了する前に開始する処理に決定する。従って,カラー画像生成処理は,色種別の判定処理が完了した後,判定結果がカラーであった場合に実行開始される。また,グレー画像生成処理は,色種別の判定処理が完了した後,判定結果がグレーであった場合に実行開始される。ΔT>Wの場合には,例えば,図8中に二点鎖線で示すように,グレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とを並行して実行開始すると,1枚の搬送時間中に完了できない可能性が高い。
この例では,カラー画像生成処理とグレー画像生成処理とは,特定後処理の一例である。なお,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理は,予め決めた後処理としてもよいし,所要残時間ΔTの大きさに応じて決定してもよいし,各後処理の実行頻度等に基づいて決定してもよい。
なお,MFP200では,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理の数を,1枚目の所要残時間ΔTに基づいて決定する代わりに,読取設定の読取解像度に応じて決定してもよい。MFP200は,例えば,図9に示すように,読取解像度と,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理の数である後処理数との対応を示す後処理数テーブル62をROM32に記憶し,後処理数テーブル62を参照することにより,読取設定の読取解像度に対応する後処理数を取得する。そして,CPU31は,取得した後処理数に応じて,色種別の判定処理が完了する前に並行して実行開始する後処理を決定してもよい。
図9の例では,読取解像度が大きいほど後処理数は少ない。読取解像度が大きいと画像データのデータ量が大きく,CPU31の処理負荷が高い可能性が高いため,MFP200は,読取解像度が大きい場合には少ない後処理数に決定する。具体的には,例えば,読取解像度が600dpiの場合には,MFP200は,モノクロ画像生成処理のみを色種別の判定処理が完了する前に開始する。読取解像度が大きい場合には,少ない後処理数に決定することで,CPU31の処理負荷を抑制できる。一方,読取解像度が100dpiの場合には,MFP200は,カラー画像生成処理とグレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とを色種別の判定処理が完了する前に開始する。読取解像度が小さい場合には,色種別の判定処理が完了する前に開始する後処理の数が多くても,CPU31の処理負荷はさほど大きくならないと推定できる。
以上,詳細に説明したように,第2の形態のMFP200は,画像読取部20にて取得した画像に基づいて,色種別の判定処理と,YCbCrデータの生成処理とをASIC25に実行させる。また,MFP200は,カラー画像生成処理とグレー画像生成処理とモノクロ画像生成処理とのうち,色種別の判定処理が完了する前に開始すると決定した後処理または後処理の組合せを,ASIC25による処理と並行してCPU31に実行させる。さらに,MFP200は,決定した後処理または後処理の組合せ以外の後処理を,色種別の判定完了後に必要に応じて実行開始する特定後処理とする。すなわち,特定後処理の実行開始を実行の必要性が確認された後とするので,無駄な後処理を低減し,処理負荷を軽減できる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,複写機,スキャナ,FAX機等,画像読取機能を備えるものであれば適用可能である。
また,色種別は3種別に限らない。例えば,2種でもよいし,4種以上でもよい。つまり,並行して生成する画像データの数は3画像に限らず,2画像でもよいし,4画像以上でもよい。
また,第1の形態では,カラー画像の圧縮とグレー画像の圧縮とをASIC23にて実行するとし,第2の形態では,全圧縮処理をCPU31にて行うとしたが,ASICとCPUとの処理の分担はこれらに限らない。例えば,ASICにて実行する処理は,カラーとグレーの組合せに限らず,1つでもよいし,他の組合せでもよい。また,圧縮処理はすべてASICで行うとしてもよい。また,圧縮処理以外にも必要な後処理があれば,他の後処理を特定後処理としてもよい。
また,例えば,カラー画像データとグレー画像データとの圧縮方式は,JPEGに限らない。GIFでもよいし,PNGでもよいし,さらに他の方式でもよい。また,二値化画像データの圧縮方式は,MH圧縮方式に限らない。
また,例えば,第1の形態において,早期開始条件を判断するとしたが,判断しなくてもよい。つまり,S102とS103はなくてもよい。そして,モノクロのMH圧縮処理は,必ず判定完了後に実行開始するとしてもよい。
また,MFPは,早期開始条件として,実施の形態に例示したうちの1以上の条件を備えればよい。また,早期開始条件の内容は,実施の形態にて例示したものに限らない。例えば,モノクロ頻度条件の判断では,CPU31は,読取指示を送信したユーザIDや装置IDに対応付けて判定結果を記憶し,ユーザごとや装置ごとのモノクロ頻度を算出して判断してもよい。また,例えば,予測時間条件の判断では,CPU31は,予測時間テーブル61から読み出す代わりに,読取解像度と原稿のサイズとから算出される予測時間を,所定の閾値と比較することによって判断してもよい。
また,例えば,色種別の判定処理の途中で判定結果が予測できる場合には,予測結果の色種別のデータ生成処理を優先して実行し,他の色種別のデータ生成処理を中断するとしてもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
21 読取ヘッド
23,25 ASIC
31 CPU
100,200 MFP
23,25 ASIC
31 CPU
100,200 MFP
Claims (12)
- 原稿の画像を読み取る読取部と,
前記読取部による読み取りを伴うタスクである読取タスクと,前記読取部による読み取りを伴わないタスクである非読取タスクと,の両方に対応する演算装置を含む制御部と,
を備え,
前記制御部は,
前記読取部での読取結果に基づいて,色種別が異なる複数の画像データを並行して生成する生成処理と,
前記読取部での読取結果に基づいて,前記読取部にて読み取られた画像の色種別を判定する判定処理と,
を実行し,
前記生成処理によって生成された複数の画像データのそれぞれに対する1または複数の後処理のうち,前記演算装置によって実行される後処理の1つである特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定結果に該当する画像データに対して,前記判定処理による色種別の判定完了後に実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1に記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記生成処理にて生成された第1の色種別の画像データに対しては,第1の圧縮方式による圧縮処理である前記特定後処理を実行し,
前記生成処理にて生成された前記第1の色種別とは異なる第2の色種別の画像データに対しては,前記第1の圧縮方式とは異なる第2の圧縮方式による圧縮処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前に実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1または請求項2に記載する画像読取装置において,
前記特定後処理は,前記複数の画像データのうち特定の画像データに対する後処理であることを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記判定処理での判定結果を記憶する記憶処理と,
前記記憶処理にて記憶された過去の判定結果に基づいて,前記特定後処理の実行対象の色種別である特定色種別と判定される頻度が高いか否かを判断する頻度判断処理と,
を実行し,
前記頻度判断処理にて前記特定色種別と判定される頻度が高いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
読取解像度と原稿のサイズとに基づいて,前記特定後処理の実行に要する時間が長いか否かを判断する予測時間判断処理を実行し,
前記予測時間判断処理にて前記特定後処理の実行に要する時間が長いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
ジョブ中に先行して読み取られた画像に基づく前記特定後処理の実行に要した時間が所定時間よりも長いか否かを判断する実測時間判断処理を実行し,
前記実測時間判断処理にて前記特定後処理の実行に要した時間が所定時間よりも長いと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
ジョブ中の最終原稿か否かを判断する最終判断処理を実行し,
前記最終判断処理にて最終原稿と判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ないか否かを判断するタスク判断処理を実行し,
前記タスク判断処理にて非読取タスクを受け付けた量が所定量よりも少ないと判断された場合には,前記特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項4から請求項8のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記特定後処理を前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始した後,前記非読取タスクを受け付けた量が規定量よりも多くなった場合に,実行中の特定後処理を中断することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記複数の後処理の1つまたは組合せであって,前記読取部による原稿の画像の読み取り開始から次の原稿の画像の読み取り開始までの期間内に処理が完了する後処理または後処理の組合せを決定する決定処理を実行し,
前記決定処理にて決定された後処理または後処理の組合せを,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始し,
前記特定後処理は,前記決定処理にて決定された後処理または後処理の組合せ以外の後処理であることを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項10のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記判定処理が完了したタイミングで,実行開始中の後処理のうち判定結果に該当しない画像データに対する後処理を終了し,前記複数の画像データのうち判定結果に該当しない画像データを削除することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1から請求項11のいずれか1つに記載する画像読取装置において,
前記制御部は,前記生成処理によって生成された画像データに対する後処理のうち,前記演算装置以外の特定の演算装置によって実行され,前記特定後処理以外の後処理の1つである非特定後処理を,前記判定処理による色種別の判定完了前から実行開始することを特徴とする画像読取装置。
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