JP2016089797A - 温度センサ異常診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の運転開始前後の環境変化に起因する誤判定を防止した温度センサ異常診断装置を提供する。
【解決手段】車両に設けられた複数の温度センサ11,12,13,21の出力値を比較して温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置を、複数の温度センサは、車両周囲の外気温を検出する外気温センサ21を含み、外気温センサと他の温度センサとの出力値の差分ΔT1が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段10を有し、故障判定手段は、外気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後所定時間経過後に検出した温度との差分ΔT2が所定の外気温変化閾値を超過している場合には故障判定の成立を禁止する構成とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両に設けられた複数の温度センサの出力値(検出温度)の相関を利用して各温度センサの異常診断(コリレーション診断)を行う温度センサ異常診断装置に関し、特に車両の運転開始前後の環境変化に起因する誤判定を防止したものに関する。
例えばエンジンを走行用動力源として搭載する乗用車等の車両においては、エンジンの運転制御等のため各種の温度センサが設けられる。
例えば、エンジンには、吸気温度、冷却水温、潤滑油温をそれぞれ検出する吸気温センサ、水温センサ、油温センサなどが設けられる。
また、他に車両周囲の外気温を検出する外気温センサが設けられる。
上述したような各種温度センサについて、各センサの検出値の相関を利用した故障診断(コリレーション診断)によって異常の有無を判定することが知られている。
例えば、あるセンサの出力値が他のセンサの出力値に対して所定値以上高温側又は低温側に乖離した場合に、当該センサのスタック異常を検出する。
一例として、車両の運転開始後、所定時間走行後における外気温センサの検出値と、運転開始時(エンジン始動時又はその直前)における水温センサの検出値との差分が予め設定された閾値を超過した場合には、外気温センサ又は水温センサの故障を判定する。
車両に設けられる温度センサの診断に関する従来技術として、例えば特許文献1には、水温センサの検出値が始動開始時の値よりも低い値となった場合に水温センサの異常を判断することが記載されている。
また、特許文献2には、イグニッションスイッチがオンされてから所定量以上の燃料が消費され、高速走行と低速走行とが所定の繰り返し回数を超えて発生した場合に、外気温センサの検出温度の最小値と最大値との差が所定値を下回っている場合に、外気温センサの故障を診断することが記載されている。
特開2006−125306号公報 特開2008−101550号公報
しかし、例えば寒冷地において、前回の運転後のソーク時に車両が戸外に対して比較的高温のガレージ内に収容されている場合、車両の運転開始時における外気温(ガレージ室温と実質的に等しい)に対して走行中の外気温が大幅に低下することがある。
このような場合に、エンジン始動時の冷却水温と所定時間走行後における外気温とを比較した場合、これらの差分が異常に大きくなり、温度センサが実際には正常であるにも関わらず誤って故障判定が成立することが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、車両の運転開始前後の環境変化に起因する誤判定を防止した温度センサ異常診断装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、前記複数の温度センサは、車両周囲の外気温を検出する外気温センサを含み、前記外気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、前記故障判定手段は、前記外気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の外気温変化閾値を超過している場合には前記故障判定の成立を禁止することを特徴とする温度センサ異常診断装置である。
請求項2に係る発明は、車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、前記複数の温度センサは、エンジンの吸気温度を検出する吸気温センサを含み、前記吸気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、前記故障判定手段は、前記吸気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の吸気温変化閾値を超過している場合には前記故障判定の成立を禁止することを特徴とする温度センサ異常診断装置である。
これらの発明によれば、車両のソーク時と走行中の環境が著しく異なる場合には故障判定の成立を禁止することによって、実際には各温度センサが正常であるにも関わらず誤って故障判定が成立することを防止できる。
請求項3に係る発明は、車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、前記複数の温度センサは、車両周囲の外気温を検出する外気温センサを含み、前記外気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、前記故障判定手段は、前記外気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の外気温変化閾値を超過している場合には前記異常判定閾値を補正することを特徴とする温度センサ異常診断装置である。
請求項4に係る発明は、車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、前記複数の温度センサは、エンジンの吸気温度を検出する吸気温センサを含み、前記吸気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、前記故障判定手段は、前記吸気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の吸気温変化閾値を超過している場合には前記異常判定閾値を補正することを特徴とする温度センサ異常診断装置である。
これらの発明によれば、車両のソーク時と走行中の環境が著しく異なる場合には異常判定閾値を補正することによって、診断精度を確保することができる。
以上説明したように、本発明によれば、車両の運転開始前後の環境変化に起因する誤判定を防止した温度センサ異常診断装置を提供することができる。
本発明を適用した温度センサ異常診断装置の実施例の構成を示す模式図である。 実施例の温度センサ異常診断装置の動作を示すフローチャートである。 低温環境でソーク後走行した場合における水温センサ及び外気温センサの出力値の推移の一例を示す図である。 外部よりも比較的高温のガレージ内でソーク後走行した場合における水温センサ及び外気温センサの出力値の推移の一例を示す図である。
本発明は、車両の運転開始前後の環境変化に起因する誤判定を防止した温度センサ異常診断装置を提供する課題を、外気温センサ又は吸気温センサの運転開始時の検出値と、運転開始後所定時間経過後の検出値との差分が所定の異常判定閾値異常であった場合にガレージ判定を成立させ、診断をキャンセル又は診断に用いる閾値を補正することによって解決した。
以下、本発明を適用した温度センサ異常診断装置の実施例について説明する。
実施例の温度センサ異常診断装置は、例えば、エンジンを走行用動力源として搭載する乗用車等の自動車に設けられるものである。
図1は、実施例の温度センサ異常診断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、温度センサ異常診断装置は、エンジン制御ユニット(ECU)10、車両統合ユニット20、挙動制御ユニット30等を有して構成されている。
これらの各ユニットは、それぞれCPU等の情報処理装置、RAMやROM等の記憶装置、入出力インターフェイス、これらを接続するバス等を有して構成され、例えばCAN通信システム等の車載LANを介して相互に通信可能となっている。
ECU10は、図示しないエンジン及びその補器類を統括的に制御するものである。
エンジンは、例えば4ストロークガソリンエンジン等の内燃機関である。
ECU10は、図示しないアクセルペダルの操作量等に基づいてドライバ要求トルクを設定し、エンジンの実トルクがこのドライバ要求トルクに近づくよう、スロットル開度、燃料噴射量及び噴射時期、点火時期、バルブタイミング、過給圧、EGR量、可変吸気装置の状態などを切り替える。
ECU10には、水温センサ11、油温センサ12、吸気温センサ13等が接続されている。
水温センサ11は、エンジンの冷却水の温度を検出する温度センサである。
冷却水は、エンジンのクランクシャフトと連動して駆動されるウォータポンプから圧送され、シリンダヘッド及びシリンダブロックの燃焼室周囲、排気ポート周囲などに形成されたウォータジャケット内を通過してこれらを冷却した後、ラジエータコアにおいて走行風との熱交換によって冷却され、ウォータポンプに戻る。
油温センサ12は、エンジンの潤滑油の温度を検出する温度センサである。
潤滑油は、エンジンのクランクシャフトと連動して駆動されるオイルポンプから圧送され、エンジン内の各摺動部分に供給された後、オイルパンに流下してストレーナから吸い上げられ、オイルポンプに戻る。
吸気温センサ13は、エンジンが燃焼用空気(新気)として吸入する空気の温度を検出する温度センサである。
吸気温センサ13は、インテークマニホールド、インテークダクト、エアフローメータ等の吸気が通過する箇所に設けられる。
車両統合ユニット20は、車体に設けられる各種電装品、電子機器を統括的に制御するものである。
車両統合ユニット20には、外気温センサ21が接続されている。
外気温センサ21は、車体外装部に設けられ、車両周囲の外気温を検出する温度センサである。
挙動制御ユニット30は、制動時に車輪ロックの兆候を検出した際に当該ホイルシリンダの液圧を低下させるアンチロックブレーキ制御、アンダーステア、オーバーステア等の挙動を検出した際に左右輪の制動力差を発生させて挙動を抑制する挙動制御等を行うものである。
挙動制御ユニット30には、車速センサ31が接続されている。
車速センサ31は、各車輪のハブ部に設けられ、車輪の回転速度に比例する車速パルス信号を出力するものである。
挙動制御ユニット30は、車速パルス信号を解析して、車両の走行速度(車速)を演算可能となっている。
次に、実施例の温度センサ異常診断装置の動作について説明する。
ECU10は、水温センサ11、油温センサ12、吸気温センサ13、外気温センサ21の各検出値を相互に比較して、各温度センサの異常を診断する温度センサコリレーション診断を行う。
ECU10は、本発明にいう故障判定手段としても機能する。
図2は、実施例の温度センサ異常診断装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:規定時間ソーク後始動判断>
ECU10は、前回のエンジン停止後、予め規定されたソーク時間(エンジン停止状態での放置時間)が経過しかつエンジンが再始動されたか否かを判別する。
規定されたソーク時間(例えば6時間程度)が経過しておりかつエンジンが再始動された場合はステップS02に進み、その他の場合はステップS06に進む。
<ステップS02:ガレージ判定実行>
ECU20は、車両がガレージ内でソークされたか否かを判別するガレージ判定を実行する。
ガレージ判定は、エンジン始動時における外気温センサ21の検出温度と、エンジン始動後所定時間経過後における外気温センサ21の検出温度との差分を、予め設定されたガレージ判定閾値(外気温変化閾値)と比較することによって行う。
差分がガレージ判定閾値を超過した場合(エンジン始動後所定期間における外気温センサの検出値変化が大きい場合)には、ガレージ判定が成立したものとしてステップS06に進む。
一方、その他の場合には、ガレージ判定は不成立であるとしてステップS03に進む。
<ステップS03:診断対象センサ故障診断>
ECU10は、現在の外気温センサの検出温度と、他の温度センサの検出温度とを比較し、これらの差分が予め設定された異常判定閾値を超過した場合には、故障が検出されたものとしてステップS04に進み、その他の場合にはステップS05に進む。
例えば、エンジン始動時における水温センサ11の検出温度と、始動から現在までの外気温センサ21の検出温度の最低値との差分が、予め設定された異常判定閾値を超過した場合に、水温センサ21の故障を検出する。他のセンサについても、実質的に同様に診断を行う。
<ステップS04:故障判定成立>
ECU10は、診断対象となった温度センサの故障判定を成立させ、フェイルセーフ制御モードへの移行、警報の出力等の所定の処理を行う。
その後、一連の処理を終了する。
<ステップS05:正常判定成立>
ECU10は、各温度センサの正常判定を成立させる。
その後、一連の処理を終了する。
<ステップS06:判定保留>
ECU10は、診断をキャンセルし、故障判定、正常判定をともに成立させることなく一連の処理を終了する。
以下、実施例の温度センサ異常検出装置が設けられる車両における水温センサ及び外気温センサの出力値の推移の一例について説明する。
図3は、低温環境でソーク後走行した場合における水温センサ及び外気温センサの出力値の推移の一例を示す図である。
図4は、外部よりも比較的高温のガレージ内でソーク後走行した場合における水温センサ及び外気温センサの出力値の推移の一例を示す図である。
図3、図4において、上下方向に延在する破線よりも左側の領域は、前回エンジン停止後車両を放置しているソーク状態となっている。
破線の時点においてエンジンが再始動され、その後、車両が走行を開始し、図中に示す車速が発生する。
図3に示すように、車両が走行する環境と実質的に同じ低温環境でソークした場合には、外気温センサ21の出力値(検出温度)は、ほとんど変化を示していない。
これに対し、図4に示すように、車両が走行する環境よりも高温のガレージ内でソークした場合には、外気温センサ21の出力値(検出温度)が、車両の走行開始後の経過時間に応じて、急激かつ大幅に低下することになる。
このとき、エンジン始動時における水温センサ11の出力値(検出温度)と、走行開始後所定時間経過時における外気温センサ21の検出温度との差分ΔT1に基づいて温度センサのコリレーション診断を行った場合、差分ΔT1が異常に大きくなる結果、実際には各センサが正常であるにも関わらず故障判定が誤って成立してしまうことが懸念される。
この点、本実施例においては、エンジン始動時における外気温センサ21の検出温度と、走行開始後所定時間経過後における外気温センサ21の検出温度との差分ΔT2をガレージ判定閾値と比較するガレージ判定を行ない、ガレージ判定の成立時には故障判定成立を禁止(診断キャンセル)することによって、上述した誤判定を防止することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)温度センサ異常診断装置の構成は、上述した実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、エンジンの種類、温度センサの種類や個数、コリレーション診断において故障判定を成立させる条件などは、適宜変更することが可能である。
(2)実施例においては、外部が低温でありかつガレージ内が外部より比較的高温である場合について説明したが、本発明は、例えば高温地域において冷房を備えたガレージ内で車両をソークした場合においても誤診断防止に有用である。
(3)実施例においては、ガレージ判定が成立した場合に故障判定の成立を禁止する構成としているが、これに代えて、ガレージ判定が成立した場合には、異常判定閾値を適宜補正したうえでコリレーション診断を実行する構成としてもよい。
(4)実施例においては、外気温センサの検出温度の変化によりガレージ判定を行っているが、これに代えて、吸気温センサの検出温度を用いてガレージ判定を実行してもよい。
(5)実施例においては、車両のエンジン始動後所定時間経過後にガレージ判定を実行しているが、これに代えて、車両の走行開始後(車速発生後)所定時間経過後にガレージ判定を実行してもよい。また、車速が所定値を超えた場合や、走行距離が所定値以上となった際にガレージ判定を実行してもよい。また、ガレージ判定の実行条件として、他の条件を用いてもよい。
10 エンジン制御ユニット(ECU) 11 水温センサ
12 油温センサ 13 吸気温センサ
20 車両統合ユニット 21 外気温センサ
30 挙動制御ユニット 31 車速センサ

Claims (4)

  1. 車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、
    前記複数の温度センサは、車両周囲の外気温を検出する外気温センサを含み、
    前記外気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、
    前記故障判定手段は、前記外気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の外気温変化閾値を超過している場合には前記故障判定の成立を禁止すること
    を特徴とする温度センサ異常診断装置。
  2. 車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、
    前記複数の温度センサは、エンジンの吸気温度を検出する吸気温センサを含み、
    前記吸気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、
    前記故障判定手段は、前記吸気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の吸気温変化閾値を超過している場合には前記故障判定の成立を禁止すること
    を特徴とする温度センサ異常診断装置。
  3. 車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、
    前記複数の温度センサは、車両周囲の外気温を検出する外気温センサを含み、
    前記外気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、
    前記故障判定手段は、前記外気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の外気温変化閾値を超過している場合には前記異常判定閾値を補正すること
    を特徴とする温度センサ異常診断装置。
  4. 車両に設けられた複数の温度センサの出力値を比較して前記温度センサの異常を診断する温度センサ異常診断装置であって、
    前記複数の温度センサは、エンジンの吸気温度を検出する吸気温センサを含み、
    前記吸気温センサと他の温度センサとの出力値の差分が所定の異常判定閾値を超過した場合に故障判定を成立させる故障判定手段を有し、
    前記故障判定手段は、前記吸気温センサが車両運転開始時に検出した温度と車両運転開始後に検出した温度との差分が所定の吸気温変化閾値を超過している場合には前記異常判定閾値を補正すること
    を特徴とする温度センサ異常診断装置。
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