JP2016088964A - ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体 - Google Patents

ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016088964A
JP2016088964A JP2014221577A JP2014221577A JP2016088964A JP 2016088964 A JP2016088964 A JP 2016088964A JP 2014221577 A JP2014221577 A JP 2014221577A JP 2014221577 A JP2014221577 A JP 2014221577A JP 2016088964 A JP2016088964 A JP 2016088964A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
layer
barrier laminate
film
polyvinylidene chloride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014221577A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6433758B2 (ja
Inventor
中村 修
Osamu Nakamura
修 中村
戸田 欽一
Kinichi Toda
欽一 戸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Tohcello Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Tohcello Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Tohcello Inc filed Critical Mitsui Chemicals Tohcello Inc
Priority to JP2014221577A priority Critical patent/JP6433758B2/ja
Publication of JP2016088964A publication Critical patent/JP2016088964A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6433758B2 publication Critical patent/JP6433758B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れるガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体を提供すること。【解決手段】本発明のガスバリア性フィルム10は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成されたものである。また、本発明のガスバリア性積層体100はガスバリア性フィルム10からなる第一ガスバリア層104が基材フィルム層101の少なくとも一方の面に積層されているものである。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体に関する。
ガスバリア性積層体として、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層体が知られている。
このようなガスバリア性積層体に関する技術としては、例えば、特許文献1(特開平08−39718号公報)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、高分子フィルム基材(A)の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜(B)が形成され、さらに、該蒸着膜(B)の上に、ポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)が積層されていることを特徴とする複合蒸着フィルムが記載されている。
特許文献1には、このような複合蒸着フィルムはガスバリア性および耐屈曲疲労性が優れると記載されている。
特開平08−39718号公報
本発明者らの検討によれば、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けたガスバリア性積層体は、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能が優れているものであっても、高温・高湿度下に曝された際にバリア性能が低下してしまう場合があることが明らかになった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れるガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体を提供するものである。
本発明によれば、以下に示すガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体が提供される。
[1]
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成された、ガスバリア性フィルム。
[2]
23℃、50%RHの環境下での表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/□以下である、上記[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3]
上記[1]または[2]に記載のガスバリア性フィルムからなる第一ガスバリア層が基材フィルム層の少なくとも一方の面に積層されている、ガスバリア性積層体。
[4]
無機物層が上記基材フィルム層の少なくとも一方の面に積層されている、上記[3]に記載のガスバリア性積層体。
[5]
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により形成されたものである、上記[4]に記載のガスバリア性積層体。
[6]
上記基材フィルム層が熱可塑性樹脂を含む、上記[3]乃至[5]いずれか一つに記載のガスバリア性積層体。
[7]
上記基材フィルム層と、無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成された第二ガスバリア層と、上記第一ガスバリア層と、がこの順に積層された、上記[3]乃至[6]いずれか一つに記載のガスバリア性積層体。
[8]
上記第二ガスバリア層が、シランカップリング剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の接着剤を含む、上記[7]に記載のガスバリア性積層体。
[9]
以下の手順(a)〜(d)により測定される高温・高湿度安定率Rが10.0以下である、上記[3]乃至[8]いずれか一つに記載のガスバリア性積層体。
(a)40℃、90%RHの条件下で、当該ガスバリア性積層体の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
(b)上記ガスバリア性積層体を40℃、90%RHの環境下で168時間保管する
(c)40℃、90%RHの条件下で、手順(b)による保管後の上記ガスバリア性積層体の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
(d)R=X/Xを算出する
[10]
40℃、90%RHの条件下で測定される水蒸気透過度Xが1.0g/m・day以下である、上記[9]に記載のガスバリア性積層体。
本発明によれば、高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れるガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体を実現できる。
本発明に係る実施形態のガスバリア性フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態のガスバリア性積層体の構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態のガスバリア性積層体の構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態のガスバリア性積層体の構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[ガスバリア性フィルム]
図1は、本発明に係る実施形態のガスバリア性フィルム10の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係るガスバリア性フィルム10は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成されたものである。
本発明者らは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成されたバリア性フィルムは高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れることを新たに知見した。
すなわち、本実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を用いることにより、高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れるガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100を実現することができる。
この理由は必ずしも明らかではないが、以下のような理由が考えられる。
本発明者の検討によれば、従来のガスバリア性積層体は、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能が優れているものであっても、高温・高湿度下に曝された際にバリア性能が低下してしまう場合があることが明らかになった。そのため、従来のガスバリア性積層体はバリア性能の安定性に劣っていた。
一方、本実施形態に係るガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100は高温・高湿度下に曝されてもバリア性能の低下が小さく、バリア性能の安定性に優れている。この理由としては、本実施形態に係るガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100は、高温・高湿度下でもポリ塩化ビニリデン系樹脂からの脱塩酸が発生し難い構造になっているからだと考えられる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂からの塩酸の発生が少ないことにより、ガスバリア層や無機物質層の安定性を向上できたり、各層間の密着性を維持できたりすると考えられる。
以上の理由から、本実施形態に係るガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100はバリア性能の安定性に優れていると推察される。
本実施形態のポリ塩化ビニリデン系樹脂は、構成単位として、塩化ビニリデンモノマーを主に含有するものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、塩化ビニリデンの含有割合が60質量%以上99質量%以下であり、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の含有割合が1質量%以上40質量%以下である共重合体を例示することができる。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
ガスバリア性フィルム10に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスは、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等を好ましく使用することができる。
また、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスに添加する塩基としては、本発明の効果を奏することができる限り特に限定はされないが、塩基性水溶液が中和工程の容易性の観点から好適に用いられ、例えば、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液等が挙げられる。
添加する塩基の量は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のラテックスのpHが4〜11、好ましくはpHが6〜9、さらに好ましくはpHが7〜8となるように添加する。
ガスバリア性フィルム10の作製方法としては特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を基材上に塗布し、乾燥させることによりガスバリア性フィルム10を作製する方法等が挙げられる。
ガスバリア性フィルム10において、温度23℃、湿度50%RHの環境下での表面固有抵抗値が、好ましくは1.0×1014Ω/□以下であり、より好ましくは1.0×1012Ω/□以下である。
本発明者らは、上記表面固有抵抗値を上記上限値以下とすることにより、ガスバリア性フィルム10の印刷特性を向上させることができることを新たに知見した。
すなわち、上記表面固有抵抗値を上記上限値以下とすることにより、得られるガスバリア性フィルム10の印刷特性を向上させることができる。これにより、印刷特性に優れた包装用フィルムや封止用フィルムを実現できる。
なお、上記表面固有抵抗値は、ガスバリア性フィルム10の表面について測定したときの値である。
また、上記表面固有抵抗値を上記上限値以下とすることにより、ホコリ等が付着することを防止できる。これにより、食品や医薬品等の包装用フィルムとしてガスバリア性フィルム10を好適に用いることができる。
なお、上記表面固有抵抗値は、例えば、ガスバリア性フィルム10の厚みを調整することにより制御することが可能である。また、本実施形態のガスバリア性フィルム10は、表面に帯電防止層を別途設けたり、帯電防止剤を添加したりしなくとも、上記表面固有抵抗値を実現することができる。
ガスバリア性フィルム10の厚みは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、帯電防止性能、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.2μm以上50μm以下、好ましくは0.5μm以上30μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下である。
[ガスバリア性積層体100]
図2〜4は、本発明に係る実施形態のガスバリア性積層体100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
図2に示すように、ガスバリア性積層体100はガスバリア性フィルム10からなる第一ガスバリア層104が基材フィルム層101の少なくとも一方の面に積層されている。
また、図3に示すように、ガスバリア性積層体100において、無機物層102が基材フィルム層101の少なくとも一方の面に積層されていてもよい。これにより、良好な帯電防止性能を維持しながら、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能をさらに向上させることができる。
また、図4に示すように、ガスバリア性積層体100は、基材フィルム層101と、無機物層102と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成された第二ガスバリア層103と、ガスバリア性フィルム10からなる第一ガスバリア層104と、がこの順番に積層されてなることが好ましい。
これにより、低残留有機溶媒量と、良好な帯電防止性能を維持しながら、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能をより一層向上させることができる。
ガスバリア性積層体100は、以下の手順(a)〜(d)により測定される高温・高湿度安定率Rが好ましくは10.0以下であり、より好ましくは5.0以下であり、特に好ましくは2.0以下である。
(a)40℃、90%RHの条件下で、ガスバリア性積層体100の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
(b)ガスバリア性積層体100を40℃、90%RHの環境下で168時間保管する
(c)40℃、90%RHの条件下で、手順(b)による保管後のガスバリア性積層体100の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
(d)R=X/Xを算出する
高温・高湿度安定率Rは、例えば、無機物層102、第二ガスバリア層103および第一ガスバリア層104の厚み等を調整することにより達成できる。
ガスバリア性積層体100は、水蒸気バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、ガスバリア性積層体100において、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される水蒸気透過度Xは、好ましくは1.0g/m・day以下、より好ましくは0.5g/m・day以下、特に好ましくは0.3g/m・day以下である。
このような水蒸気透過度は、例えば、無機物層102、第二ガスバリア層103および第一ガスバリア層104の厚みを調整することにより達成できる。
また、ガスバリア性積層体100は、酸素バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、ガスバリア性積層体100において、JISK7126−2:2006に準拠し、温度20℃、湿度90%RHの条件で測定される酸素透過度は、好ましくは5.0ml/m・day・MPa以下であり、より好ましくは2.0ml/m・day・MPa以下である。
このような酸素透過度は、例えば、無機物層102、第二ガスバリア層103および第一ガスバリア層104の厚みを調整することにより達成できる。
ガスバリア性積層体100は、残留有機溶媒量が少なく、包装用フィルムや封止用フィルムとして優れている。具体的には、ガスバリア性積層体100中の残留有機溶媒量は、好ましくは5.0ppm以下であり、より好ましくは3.0ppm以下である。
上記残留有機溶媒量は、例えば、次のように測定することができる。まず、ガスバリア性積層体100から5cm×5cmのサンプルを3枚作製する。作製したサンプル3枚を20mLのバイアル瓶に入れ、密栓する。次いで、ヘッドスペースサンプラーを用いて90℃、30分間加熱する。次いで、加熱後のバイアル瓶中の空間ガス1mLについて、ガスクロマトグラフィーおよび水素炎イオン化型検出器を用いて分析し、空間ガス中の有機溶媒量を定量する。この有機溶媒量がガスバリア性積層体100中の残留有機溶媒量である。
なお、上記残留有機溶媒量は、例えば、第二ガスバリア層103の厚みを調整することにより制御することが可能である。
以下、ガスバリア性積層体100を構成する各部材について説明する。
(基材フィルム層)
本実施形態の基材フィルム層101は、通常、熱可塑性樹脂を含むものであり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、延伸性、透明性が良好な点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドが好ましい。
また、熱可塑性樹脂により形成されたフィルム状の基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。
また、基材フィルム層101の片面または両面に、無機物層102または第一ガスバリア層104との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
基材フィルム層101の厚さは、通常1μm以上200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下である。
(第一ガスバリア層)
本実施形態のガスバリア性積層体100において、優れたバリア性能を維持しながら、残留有機溶媒量を低下させつつ、さらに帯電防止性能を向上させる観点から、基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に、第一ガスバリア層104が設けられている。
第一ガスバリア層104は本実施形態に係るガスバリア性フィルム10からなり、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成されたものである。
第一ガスバリア層104に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスおよび塩基としては、ガスバリア性フィルム10に使用するものと同じものを使用することができる。
第一ガスバリア層104の形成方法としては、あらかじめ作製したガスバリア性フィルム10を基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に積層させることにより第一ガスバリア層104を形成する方法、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に塗布し、乾燥させることにより第一ガスバリア層104を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に塗布し、乾燥させることにより第一ガスバリア層104を形成する方法が好ましい。
第一ガスバリア層104の塗布量は、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、帯電防止性能、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.2g/m以上5.0g/m以下、好ましくは0.5g/m以上3.0g/m以下、特に好ましくは0.8g/m以上3.0g/m以下である。
第一ガスバリア層104の厚みは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、帯電防止性能、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.1μm以上3.5μm以下、好ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
(無機物層)
本実施形態の無機物層102を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物等が挙げられる。
無機物層102を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4B族元素;セレン、テルル等の周期表6B族元素等の単体または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
さらに、上記無機物の中でも、バリア性、コスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
無機物層102は上記無機物により形成されている。無機物層102は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層102が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層102の厚さは、バリア性、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常1nm以上500nm以下、好ましくは5nm以上300nm以下、より好ましくは10nm以上150nm以下である。
本実施形態において、無機物層102の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
無機物層102の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等により基材フィルム層101の片面または両面に無機物層102を形成することができる。
(第二ガスバリア層)
本実施形態のガスバリア性積層体100において、無機物層102の保護やバリア性の向上等の観点から、無機物層102と第一ガスバリア層104との間に第二ガスバリア層103が設けられていることが好ましい。
第二ガスバリア層103は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成されたものであることが好ましい。
第二ガスバリア層103に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂は、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等を好ましく使用することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を溶解させる有機溶媒としては、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類に応じて適宜選択されるため特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;これらの混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でもテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
第二ガスバリア層103の形成方法としては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを無機物層102上に積層させることにより第二ガスバリア層103を形成する方法、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を無機物層102上に塗布し、乾燥させることにより第二ガスバリア層103を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性等の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を無機物層102上に塗布し、乾燥させることにより第二ガスバリア層103を形成する方法が好ましい。
第二ガスバリア層103の塗布量は、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.05g/m以上2.0g/m以下、好ましくは0.1g/m以上1.0g/m以下、特に好ましくは0.1g/m以上0.5g/m以下である。
第二ガスバリア層103は、無機物層102との接着性を向上させる観点から、さらに接着剤を含んでいてもよい。特に無機物層102として、酸化ケイ素により形成された層を用いる場合、第二ガスバリア層103と無機物層102との接着性が劣るため、第二ガスバリア層103はさらに接着剤を含むことが好ましい。
上記接着剤としては、シランカップリング剤;ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性樹脂;からなる群から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
第二ガスバリア層103に用いられる接着剤の配合量は、上記接着剤がシランカップリング剤の場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂とシランカップリング剤との合計を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
第二ガスバリア層103に用いられる接着剤の配合量は、上記接着剤が接着性樹脂の場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と接着性樹脂との合計を100質量%としたとき、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
接着剤の配合量が上記範囲内であると、接着性とバリア性の性能バランスに特に優れているため好ましい。
なお、ポリ塩化ビニリデン系樹脂とともに接着剤を有機溶媒に溶解して得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を用いることにより、接着剤を含む第二ガスバリア層103を形成することができる。
第二ガスバリア層103の厚みは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.02μm以上1.3μm以下、好ましくは0.05μm以上0.7μm以下である。
また、第一ガスバリア層104および第二ガスバリア層103の合計塗布量は、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、帯電防止性能、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.25g/m以上7.0g/m以下、好ましくは0.5g/m以上3.0g/m以下、特に好ましくは1.0g/m以上3.0g/m以下である。
また、第一ガスバリア層104および第二ガスバリア層103の合計厚みは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、帯電防止性能、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常0.12μm以上4.8μm以下、好ましくは0.25μm以上2.7μm以下である。
(熱融着層)
本実施形態のガスバリア性積層体100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
上記熱融着層としては、熱融着層として公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層等が挙げられる。
(その他の層)
本実施形態のガスバリア性積層体100には、例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに設けてもよい。
[ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体の用途]
本実施形態のガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100は、例えば、バリア性能、低残留有機溶媒量、帯電防止性能が要求される、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱パネル用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。
[ガスバリア性フィルムおよびガスバリア性積層体の製造方法]
本実施形態に係るガスバリア性フィルム10およびガスバリア性積層体100の製造方法は、例えば、以下の工程(1)を含み、必要に応じて工程(2)を含んでいる。
(1)基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を塗布し、乾燥することにより第一ガスバリア層104(ガスバリア性フィルム10)を形成する工程
(2)無機物層102上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を塗布し、乾燥することにより第二ガスバリア層103を形成する工程
上記(1)および(2)の工程において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液を基材フィルム層101、無機物層102、または第二ガスバリア層103上に塗布する方法や、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を無機物層102上に塗布する方法としては、特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。
上記(1)および(2)の工程において、塗布後の乾燥方法としては特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングドライヤー等の公知の乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。
乾燥温度は、通常50℃以上200℃以下、好ましくは70℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下であり、乾燥時間は、通常5秒以上10分間以下、好ましくは5秒以上3分間以下、より好ましくは5秒以上1分間以下である。
乾燥後、必要によりオーブン等によって熱処理を行うことが好ましい。例えば、上記乾燥後のフィルムを好ましくは35℃以上60℃以下、より好ましくは40℃以上50℃以下のオーブン中で、好ましくは5時間以上70時間以下、より好ましくは10時間以上50時間以下程度熱処理する。このような熱処理によりポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化が促進され、ガスバリア性積層体100のバリア性能をより一層向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例における各物性は以下の測定方法で行った。
(1) 水蒸気透過度の測定
実施例・比較例で得られたガスバリア性積層体に対して、厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、T.U.X(登録商標)FCS)に接着剤(三井化学社製、タケラック(登録商標)A−310/タケネート(登録商標)A−3=12/1(重量比))を3.0g/m塗布し、ガスバリア性積層体の基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するように積層した。
次いで得られたガスバリア性積層体を用いて、内表面積が0.01mになるように製袋し、得られた袋内に内容物として塩化カルシウムを10g入れ、袋の入り口をヒートシールした。
次いで得られた袋を温度40℃、湿度90%RHの環境下に3日間(72時間)保管した。保管前後の塩化カルシウムの重量を測定し、その差から水蒸気透過度を算出しXとした。
また、上記LLDPEフィルムが積層されたガスバリア積層体を温度40℃、湿度90%RHの環境下に7日間(168時間)放置した後、上記Xを求めた時と同様の方法で水蒸気透過度を算出してXとした。上記XおよびXからX/Xで定義される、ガスバリア性積層体の高温・高湿度安定率Rを算出した。
(2) 酸素透過度の測定
酸素透過度はJIS K7126−2:2006に準拠して測定した。
実施例・比較例で得られたガスバリア性積層体に対して、厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、T.U.X(登録商標)FCS)に接着剤(三井化学社製、タケラック(登録商標)A−310/タケネート(登録商標)A−3=12/1(重量比))を3.0g/m塗布し、ガスバリア性積層体の基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するように積層した。
次いで、酸素透過率測定機(MOCON社製:OXTRAN2/21)を使用して、得られたガスバリア性積層体の酸素透過度を温度20℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(3)表面固有抵抗の測定
表面固有抵抗は、アドバンテスト社製のR8340(デジタル超高抵抗/微小電流計)およびR12704(レジステビティ・チャンバ)を用いて、得られたガスバリア性積層体の基材フィルム層とは反対側の表面を23℃、50%RHの環境下で測定した。
(4)残留有機溶媒量の測定
得られたガスバリア性積層体の残留有機溶媒量は、以下の手順で測定した。まず、ガスバリア性積層体から5cm×5cmのサンプルを3枚作製した。作製したサンプル3枚を20mLのバイアル瓶に入れ、密栓した。次いで、ヘッドスペースサンプラー(アジレント社製のG1888)を用いて90℃、30分間加熱した。次いで、加熱後のバイアル瓶中の空間ガス1mLについて、水素炎イオン化型検出器付きガスクロマトグラフィー(アジレント社製のHP6890)を用いて分析し、空間ガス中の有機溶媒量を定量した。この有機溶媒量を積層フィルム中の残留有機溶媒量とした。
(実施例1)
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(第二ガスバリア層)、第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(第一ガスバリア層)を順次形成することによりガスバリア性積層体を得た。
ここで、第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層、第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/mになるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することにより第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
つづいて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、サランラテックスL536B)に10w/v%のアンモニア水溶液を添加し、中和することにより塗工液を調製した。ここで、アンモニア水溶液は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂水溶液のpHが7〜8になるように添加した。
得られた塗工液を、乾燥後の塗工量が0.9g/mになるように第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することにより第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
(実施例2)
酸化アルミニウム蒸着フィルムの代わりに以下の酸化ケイ素蒸着フィルムを用いたことと、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液にシランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403)を3質量%(ポリ塩化ビニリデン系樹脂とシランカップリング剤との合計を100質量%)配合した以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
上記酸化ケイ素蒸着フィルムは以下の手順で作製した。まず、基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、SiOを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材上に厚みが20nmになるようにSiOxを蒸着し、酸化ケイ素蒸着フィルムを得た。
(比較例1)
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスの中和をおこなわない以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
(比較例2)
第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成せず、かつ、第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の塗工量を1.1g/mとした以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。 得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
(参考例1)
第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層および第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成しない以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
(参考例2)
第一ポリ塩化ビニリデン系樹脂層および第二ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成しない以外は実施例2と同様にしてガスバリア性積層体を得た。得られたガスバリア性積層体の物性を表1および2に示す。
Figure 2016088964
Figure 2016088964
実施例1および2のガスバリア性積層体は高温・高湿度下において水蒸気透過度の経時変化が小さく、バリア性能の安定性に優れていた。また、低残留有機溶媒量、帯電防止性能の性能バランスにも優れていた。
これに対し、比較例1および2で得られたガスバリア性積層体は高温・高湿度下において水蒸気透過度の経時変化が大きく、バリア性能の安定性に劣っていた。参考例1および2のガスバリア性積層体はバリア性能が劣っていた。
10 ガスバリア性フィルム
100 ガスバリア性積層体
101 基材フィルム層
102 無機物層
103 第二ガスバリア層
104 第一ガスバリア層

Claims (10)

  1. ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塩基で中和して得られた水溶液から形成された、ガスバリア性フィルム。
  2. 23℃、50%RHの環境下での表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/□以下である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムからなる第一ガスバリア層が基材フィルム層の少なくとも一方の面に積層されている、ガスバリア性積層体。
  4. 無機物層が前記基材フィルム層の少なくとも一方の面に積層されている、請求項3に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により形成されたものである、請求項4に記載のガスバリア性積層体。
  6. 前記基材フィルム層が熱可塑性樹脂を含む、請求項3乃至5いずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  7. 前記基材フィルム層と、無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成された第二ガスバリア層と、前記第一ガスバリア層と、がこの順に積層された、請求項3乃至6いずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  8. 前記第二ガスバリア層が、シランカップリング剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の接着剤を含む、請求項7に記載のガスバリア性積層体。
  9. 以下の手順(a)〜(d)により測定される高温・高湿度安定率Rが10.0以下である、請求項3乃至8いずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
    (a)40℃、90%RHの条件下で、当該ガスバリア性積層体の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
    (b)前記ガスバリア性積層体を40℃、90%RHの環境下で168時間保管する
    (c)40℃、90%RHの条件下で、手順(b)による保管後の前記ガスバリア性積層体の水蒸気透過度を測定し、得られた測定値をXとする
    (d)R=X/Xを算出する
  10. 40℃、90%RHの条件下で測定される水蒸気透過度Xが1.0g/m・day以下である、請求項9に記載のガスバリア性積層体。
JP2014221577A 2014-10-30 2014-10-30 ガスバリア性積層体 Active JP6433758B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014221577A JP6433758B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 ガスバリア性積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014221577A JP6433758B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 ガスバリア性積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016088964A true JP2016088964A (ja) 2016-05-23
JP6433758B2 JP6433758B2 (ja) 2018-12-05

Family

ID=56017635

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014221577A Active JP6433758B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 ガスバリア性積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6433758B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019043660A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 三井化学東セロ株式会社 包装体
US20220227555A1 (en) * 2019-05-31 2022-07-21 Mitsui Chemicals Tohcello, Inc. Packaging film, package, and method of manufacturing laminated film

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5582649A (en) * 1978-12-18 1980-06-21 Mobil Oil Thermoplastic film capable of being thermally sealed up
JPS5727750A (en) * 1980-07-25 1982-02-15 Daicel Ltd Coating film having excellent interrupting property to oxygen gas and steam, aptitude to laminate and transparency
JPS6381109A (ja) * 1986-07-28 1988-04-12 ハ−キュルス インコ−ポレ−テッド ポリ塩化ビニリデン口部はくりラテックス
JPH0839718A (ja) * 1994-07-27 1996-02-13 Kureha Chem Ind Co Ltd 複合蒸着フィルム及びその製造方法
JPH10235778A (ja) * 1997-02-21 1998-09-08 Tousero Kk 高バリア性積層フィルム
JP2016087824A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 三井化学東セロ株式会社 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5582649A (en) * 1978-12-18 1980-06-21 Mobil Oil Thermoplastic film capable of being thermally sealed up
JPS5727750A (en) * 1980-07-25 1982-02-15 Daicel Ltd Coating film having excellent interrupting property to oxygen gas and steam, aptitude to laminate and transparency
JPS6381109A (ja) * 1986-07-28 1988-04-12 ハ−キュルス インコ−ポレ−テッド ポリ塩化ビニリデン口部はくりラテックス
JPH0839718A (ja) * 1994-07-27 1996-02-13 Kureha Chem Ind Co Ltd 複合蒸着フィルム及びその製造方法
JPH10235778A (ja) * 1997-02-21 1998-09-08 Tousero Kk 高バリア性積層フィルム
JP2016087824A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 三井化学東セロ株式会社 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019043660A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 三井化学東セロ株式会社 包装体
US20220227555A1 (en) * 2019-05-31 2022-07-21 Mitsui Chemicals Tohcello, Inc. Packaging film, package, and method of manufacturing laminated film

Also Published As

Publication number Publication date
JP6433758B2 (ja) 2018-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107969124B (zh) 具有超高阻隔性能的柔性多层包装膜
KR101159566B1 (ko) 가스 배리어성 필름 및 가스 배리어성 적층체
WO2012133687A1 (ja) バリア性蒸着フィルム
JP5245507B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
WO2017209107A1 (ja) 積層シート、包装材料、および成形品
JPH11151774A (ja) 透明ガスバリア−性フィルム
JP6433758B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP6467867B2 (ja) 透明ガスバリア性フィルム
WO2012060424A1 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6454130B2 (ja) 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法
JP2013253319A (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP2006205626A (ja) 包装材料
JP2020131676A (ja) 高層間密着性ガスバリア蒸着フィルム
JP2017114079A (ja) バリア性フィルムおよびバリア性包装体
JP6404165B2 (ja) 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法
JP6672064B2 (ja) バリア性積層フィルムおよびバリア性包装体
WO2013168739A1 (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP2018094885A (ja) ガスバリア性積層シート、包装材料および成形品
JP4449414B2 (ja) ガスバリアフィルム積層体
JP2005059537A (ja) ガスバリア性フィルムおよびその製造方法
JP4998063B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム、その製造方法、それを使用した包装用積層材、および包装袋
JP2020131674A (ja) ガスバリア性蒸着フィルム
JP6678507B2 (ja) バリア性積層フィルム、食品用包装体およびバリア性積層フィルムの製造方法
JP7486894B2 (ja) バリア性積層フィルムおよびバリア性包装体
JP7210144B2 (ja) 包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170731

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180703

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6433758

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250