JP2016088906A - 架橋剤、Fcγ受容体発現細胞集積剤、分子標的免疫治療薬、標識試薬、Fcγ受容体発現細胞集積方法および分子標的免疫治療方法 - Google Patents
架橋剤、Fcγ受容体発現細胞集積剤、分子標的免疫治療薬、標識試薬、Fcγ受容体発現細胞集積方法および分子標的免疫治療方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】抗体医薬を用いずに、抗体医薬と同様にADCC活性やCDC活性を誘導し得る化合物を目的とする。【解決手段】架橋剤は、標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる。Fcγ受容体発現細胞集積剤および分子標的免疫治療薬は、前記架橋剤を含有する。標識試薬は、さらに標識物質(D)を有する前記架橋剤を含有する。Fcγ受容体発現細胞集積方法および分子標的免疫治療方法は、前記架橋剤を用いることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、分子標的免疫治療薬として用いられる、標的分子と免疫グロブリンを架橋する架橋剤、および、抗体医薬にかえて当該架橋剤を用いて、エフェクター細胞による細胞傷害を誘導する方法に関する。
抗体医薬は、腫瘍細胞等の病原化した細胞や細菌やウイルス等の感染症を引き起こす外来病原体等を攻撃する、分子標的免疫治療薬のひとつである。
抗体医薬は、以下の機序により作用する。
まず投与した抗体医薬は体内を循環し、その可変領域(Fab領域)により、標的細胞の細胞表面に有する抗原分子を認識し、相互作用する。次いで、該抗体は、その定常領域(以下、「Fc領域」ともいう。)を介して、ナチュラルキラー細胞やマクロファージ等のFcγ受容体(FcγR)を発現するエフェクター細胞を、標的細胞に集積させる。さらにFc領域に結合したエフェクター細胞により、抗体依存性細胞傷害(ADCC)や補体依存性細胞傷害(CDC)等の細胞障害が誘導され、その結果、標的細胞を殺傷する。
まず投与した抗体医薬は体内を循環し、その可変領域(Fab領域)により、標的細胞の細胞表面に有する抗原分子を認識し、相互作用する。次いで、該抗体は、その定常領域(以下、「Fc領域」ともいう。)を介して、ナチュラルキラー細胞やマクロファージ等のFcγ受容体(FcγR)を発現するエフェクター細胞を、標的細胞に集積させる。さらにFc領域に結合したエフェクター細胞により、抗体依存性細胞傷害(ADCC)や補体依存性細胞傷害(CDC)等の細胞障害が誘導され、その結果、標的細胞を殺傷する。
抗体医薬は、抗体が有する抗原特異性を利用しているため、正常細胞を標的にしにくく、副作用が少ない。また、抗体医薬は、内在性のIgG(免疫グロブリンG)と同様の構造を有し、血中安定性が高く、薬効が持続しやすい。
一方で、抗体医薬は、低分子化合物医薬に比べ分子量が大きいため、必要投与量が多くなり、さらに、投与時間が長くなる。そのため、抗体医薬を用いた治療は、患者に対して経済的および生理学的な負荷が大きい。
また、抗体医薬は、タンパク質製剤であるため、製造プロセスにおいて細胞培養を要する。細胞培養は、無菌操作を要するため煩雑であり、細胞増殖が安定しないため生産が安定しないことがある。抗体を大量に生産しようとすると巨大な細胞培養設備を要するため、生産コストがかかる。
また、抗体医薬は、タンパク質製剤であるため、製造プロセスにおいて細胞培養を要する。細胞培養は、無菌操作を要するため煩雑であり、細胞増殖が安定しないため生産が安定しないことがある。抗体を大量に生産しようとすると巨大な細胞培養設備を要するため、生産コストがかかる。
近年、癌細胞抗原に結合することができる結合ドメインポリペプチドと免疫グロブリンの融合タンパク質が、抗体医薬のようにADCC活性やCDC活性を誘導し得ることが示されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の融合タンパク質は、抗体の改変体であり、依然分子量が大きく、この融合タンパク質を用いた治療では、患者に対する負荷を軽減できず、また、細胞培養を要するため生産コストが高い。
そこで本発明は、抗体医薬を用いずに、抗体医薬と同様にADCC活性やCDC活性を誘導し得る化合物を目的とする。
そこで本発明は、抗体医薬を用いずに、抗体医薬と同様にADCC活性やCDC活性を誘導し得る化合物を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討したところ、生体内に高濃度で存在する内在性IgG(約10g/L)を標的分子に架橋し得る架橋剤を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[20]の態様を有する。
[1]標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる架橋剤。
[2]さらに連結部(C)を有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが、前記連結部(C)を介して結合してなる、[1]に記載の架橋剤。
[1]標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる架橋剤。
[2]さらに連結部(C)を有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが、前記連結部(C)を介して結合してなる、[1]に記載の架橋剤。
[3]前記Fc認識部(B)が、前記Fc領域における、Fcγ受容体を認識する部分を認識しない、[1]または[2]に記載の架橋剤。
[4]前記Fc認識部(B)が、Fc領域を認識するペプチド、アプタマー、低分子化合物、またはこれらの改変体により形成されてなる、[1]〜[3]のいずれかに記載の架橋剤。
[4]前記Fc認識部(B)が、Fc領域を認識するペプチド、アプタマー、低分子化合物、またはこれらの改変体により形成されてなる、[1]〜[3]のいずれかに記載の架橋剤。
[5]前記標的分子が、細胞またはウイルスの表面に存在する、タンパク質、糖鎖、脂質、またはこれらの複合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の架橋剤。
[6]前記標的認識部(A)が、低分子化合物、糖類、アプタマー、ペプチド若しくはタンパク質、または、標的分子を認識するこれらの改変体により形成されてなる、[1]〜[5]のいずれかに記載の架橋剤。
[7]前記標的認識部(A)が、葉酸、または葉酸レセプターを認識する葉酸改変体により形成されてなる、[1]〜[6]のいずれかに記載の架橋剤。
[6]前記標的認識部(A)が、低分子化合物、糖類、アプタマー、ペプチド若しくはタンパク質、または、標的分子を認識するこれらの改変体により形成されてなる、[1]〜[5]のいずれかに記載の架橋剤。
[7]前記標的認識部(A)が、葉酸、または葉酸レセプターを認識する葉酸改変体により形成されてなる、[1]〜[6]のいずれかに記載の架橋剤。
[8]前記連結部(C)が、親水性および屈曲性を有する、[2]に記載の架橋剤。
[9]前記連結部(C)が、分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素、ポリエチレングリコール、ペプチド、ヌクレオチド、またはこれらの改変体により形成されてなる、[2]または[8]に記載の架橋剤。
[9]前記連結部(C)が、分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素、ポリエチレングリコール、ペプチド、ヌクレオチド、またはこれらの改変体により形成されてなる、[2]または[8]に記載の架橋剤。
[10]前記標的分子と内在性IgGとを架橋するための、[1]〜[9]のいずれかに記載の架橋剤。
[11]下式(1)で表される化合物からなる、[1]〜[10]のいずれかに記載の架橋剤。
[11]下式(1)で表される化合物からなる、[1]〜[10]のいずれかに記載の架橋剤。
[12]さらに標識物質(D)を有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の架橋剤。
[13]下式(2)で表される化合物からなる、[12]に記載の架橋剤。
[13]下式(2)で表される化合物からなる、[12]に記載の架橋剤。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を含有し、免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子の存在下で用いることを特徴とし、前記標的分子と前記Fc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに前記Fc領域ペプチドを有する分子を介して、前記標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させる、Fcγ受容体発現細胞集積剤。
[15][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を含有する、分子標的免疫治療薬。
[16]抗腫瘍薬、抗感染症薬、または抗ウイルス薬である、[15]に記載の分子標的免疫治療薬。
[15][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を含有する、分子標的免疫治療薬。
[16]抗腫瘍薬、抗感染症薬、または抗ウイルス薬である、[15]に記載の分子標的免疫治療薬。
[17][12]または[13]に記載の架橋剤を含有する、標識試薬。
[18]手術中に前記標的分子を有する組織を標識するための、[17]に記載の標識試薬。
[18]手術中に前記標的分子を有する組織を標識するための、[17]に記載の標識試薬。
[19][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を用いて、前記標的分子と前記免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに前記Fc領域ペプチドを有する分子を介して、前記標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させる、Fcγ受容体発現細胞集積方法。
[20][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を、疾患を有する動物に投与することを特徴とする、分子標的免疫治療方法。
[20][1]〜[13]のいずれかに記載の架橋剤を、疾患を有する動物に投与することを特徴とする、分子標的免疫治療方法。
本発明の架橋剤は、標的分子と免疫グロブリンとを架橋する作用を有する。架橋剤がこの作用を有することにより、標的分子を有する組織にエフェクター細胞を集積することができ、抗体医薬と同様にADCC活性やCDC活性を誘導し得る。
[架橋剤]
本発明の架橋剤は、標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる。
また、架橋剤は、さらに連結部(C)を有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが、前記連結部(C)を介して結合してなることが好ましい。
また、架橋剤は、さらに標識物質(D)を有していてもよい。
本発明の架橋剤は、標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる。
また、架橋剤は、さらに連結部(C)を有し、前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが、前記連結部(C)を介して結合してなることが好ましい。
また、架橋剤は、さらに標識物質(D)を有していてもよい。
本発明の架橋剤は、分子標的免疫治療薬として用いられる場合、病原化した細胞や外来病原体等に対して、ADCC活性やCDC活性を誘導する。以下、図1を用いてその作用機序の一例を説明する。
まず、架橋剤の標的認識部(A)が病原化した細胞や外来病原体等の表面に存在する標的分子に相互作用する。また、架橋剤のFc認識部(B)が内在性のIgGと相互作用する。これにより、病原化した細胞や外来病原体等の表面に、内在性のIgGが集積する。次いで、エフェクター細胞が、該細胞が発現するFcγ受容体と集積したIgGとの相互作用を介して、病原化した細胞や外来病原体等に集積する。エフェクター細胞は、Fcγ受容体とIgGとの相互作用によりADCC活性やCDC活性が誘導され、病原化した細胞や外来病原体等を殺傷する。
まず、架橋剤の標的認識部(A)が病原化した細胞や外来病原体等の表面に存在する標的分子に相互作用する。また、架橋剤のFc認識部(B)が内在性のIgGと相互作用する。これにより、病原化した細胞や外来病原体等の表面に、内在性のIgGが集積する。次いで、エフェクター細胞が、該細胞が発現するFcγ受容体と集積したIgGとの相互作用を介して、病原化した細胞や外来病原体等に集積する。エフェクター細胞は、Fcγ受容体とIgGとの相互作用によりADCC活性やCDC活性が誘導され、病原化した細胞や外来病原体等を殺傷する。
このような作用機序は、生体内に高濃度で存在する内在性IgGを、標的分子にFcγRを発現するエフェクター細胞を集積させるために利用する点で、従来の抗体医薬の作用機序とは異なっている。架橋剤は特にIgG中の定常領域であるFc領域を利用しているため、IgG中の可変領域であるFv領域は、架橋剤とIgGとの間の相互作用に対して関連性が低い。したがって、架橋剤の作用においてFv領域の構造は重要ではないため、あらゆる内在性IgGが利用され得る。
このような作用機序により、架橋剤は、標的分子にFcγRを発現するエフェクター細胞を効率よく集積させることができるため、ADCCやCDCの活性化に優れ、病原化された細胞や病原体等に対する殺傷性に優れ、高い治療効果をもたらすことができる。
また、標的認識部(A)と病原化した細胞や外来病原体等が発現する標的分子との相互作用の特異性がより高ければ、架橋剤は交差反応性が低くなり、正常細胞を攻撃しにくくなるため、分子標的免疫治療薬による副作用はより低減される。
このような作用機序により、架橋剤は、標的分子にFcγRを発現するエフェクター細胞を効率よく集積させることができるため、ADCCやCDCの活性化に優れ、病原化された細胞や病原体等に対する殺傷性に優れ、高い治療効果をもたらすことができる。
また、標的認識部(A)と病原化した細胞や外来病原体等が発現する標的分子との相互作用の特異性がより高ければ、架橋剤は交差反応性が低くなり、正常細胞を攻撃しにくくなるため、分子標的免疫治療薬による副作用はより低減される。
以下、架橋剤の各構成について説明する。
(標的認識部(A))
標的認識部(A)は、標的分子を認識する。
標的認識部(A)は、特定の標的分子を認識する分子から形成されていれば、特に限定されない。標的認識部(A)は、水溶性であってもよく、脂溶性であってもよい。
(標的認識部(A))
標的認識部(A)は、標的分子を認識する。
標的認識部(A)は、特定の標的分子を認識する分子から形成されていれば、特に限定されない。標的認識部(A)は、水溶性であってもよく、脂溶性であってもよい。
標的分子は、細胞またはウイルスの表面に存在する化合物が好ましい。細胞またはウイルスの表面に存在する標的分子としては、タンパク質、糖鎖、脂質、またはこれらの複合体等が挙げられる。
標的分子としては、腫瘍細胞に特異的に発現することがある膜貫通タンパク質または表在性タンパク質、真菌や細菌に特異的に存在する糖鎖、ウイルスのキャプシド等が挙げられる。中でも、腫瘍細胞に特異的に発現することがある膜貫通タンパク質または表在性タンパク質が好ましい。そのような膜貫通タンパク質または表在性タンパク質としては、例えば、受容体、腫瘍マーカー、がん幹細胞マーカー等が挙げられる。受容体としては、葉酸レセプター、上皮成長因子受容体(EGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)等が挙げられ、中でも、葉酸レセプターが好ましい。
標的分子としては、腫瘍細胞に特異的に発現することがある膜貫通タンパク質または表在性タンパク質、真菌や細菌に特異的に存在する糖鎖、ウイルスのキャプシド等が挙げられる。中でも、腫瘍細胞に特異的に発現することがある膜貫通タンパク質または表在性タンパク質が好ましい。そのような膜貫通タンパク質または表在性タンパク質としては、例えば、受容体、腫瘍マーカー、がん幹細胞マーカー等が挙げられる。受容体としては、葉酸レセプター、上皮成長因子受容体(EGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)等が挙げられ、中でも、葉酸レセプターが好ましい。
標的認識部(A)を形成する化合物としては、特定の標的分子を認識することができる、低分子化合物、糖類、アプタマー、ならびに、ペプチドおよびタンパク質が挙げられる。特定の標的分子を認識することができる範囲で、低分子化合物、糖類、アプタマー、ならびに、ペプチドおよびタンパク質は、改変体とされてもよい。
標的分子を認識することができる低分子化合物としては、グルコース、グルタミン酸、グルタミン(Trends Biochem Sci, 2010, Vol.35, pp.427-433)、シスチン/グルタミン酸トランスポーター(Cancer Res, 2005, Vol.65, pp.7446-7454)、ガラクトース(Adv Funct Mater, 2007, Vol.17, pp.2291-2297)、ガラクトサミン(J Controlled Release, 2008, Vol.128, pp.32-40)、葉酸(Biomacromolecules, 2007, Vol.8, pp.650-656)、葉酸改変体(メトトレキセート)、ビオチン(J Controlled Release, 2009, Vol.136, pp.21-29)、グリチルレチン酸(Biomaterials, 2012, Vol.33, pp.2187-2196)、グリチルリジン(Biomaterials, 2012, Vol.33, pp.7594-7604)、アレンドロン酸(Biomaterials, 2012, Vol.33, pp.7164-7173)、(S,S-2-(3-(5-amino-1-carboxypentyl)-ureido)-pentanedioic acid)(Sci Transl Med, 2012, Vol.4, pp.128ra39-128ra39)等が挙げられる。
標的分子を認識することができる糖類としては、ヒアルロン酸(Bioconjugate Chem, 2008, Vol.19, pp.1319-1325)等が挙げられる。
標的分子を認識することができるアプタマーとしては、xPSM−A10(Cancer Res, 2002, Vol.62, pp.4029-4033)、AS1411(Biomaterials, 2011, Vol.32, pp.8010-8020)、GMT8(Biomaterials, 2012, Vol.33, pp.6264-6272)、Pegaptanib(Nat Rev Drug Discov, 2006, Vol.5, pp.123-132)、Sgc8c(Chem Bio Chem, 2009, Vol.10 , pp.862-868)等が挙げられる。
ペプチドおよびタンパク質としては、標的分子を認識することができる、成長因子、サイトカイン、scFvおよびF(ab’)2等が挙げられる。
標的分子を認識することができる成長因子としては、上皮成長因子(EGF)(Mol Pharmaceutics, 2007, Vol.4, pp.769-781)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)等が挙げられる。
標的分子を認識することができるサイトカインとしては、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロン等が挙げられる。
標的分子を認識することができるscFvとしては、ScFvEGFR(ACS Nano, 2011, Vol.5, pp.9480-9493.)等が挙げられる。
標的分子を認識することができるF(ab’)2としては、HAb18(Biomacromolecules 2010, Vol.11, pp.2422-2431)等が挙げられる。
標的分子を認識することができる成長因子としては、上皮成長因子(EGF)(Mol Pharmaceutics, 2007, Vol.4, pp.769-781)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)等が挙げられる。
標的分子を認識することができるサイトカインとしては、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロン等が挙げられる。
標的分子を認識することができるscFvとしては、ScFvEGFR(ACS Nano, 2011, Vol.5, pp.9480-9493.)等が挙げられる。
標的分子を認識することができるF(ab’)2としては、HAb18(Biomacromolecules 2010, Vol.11, pp.2422-2431)等が挙げられる。
標的分子を認識することができる、成長因子、サイトカインおよびscFv以外のペプチドおよびタンパク質としては、c(RGDfK)(Biomaterials, 2011, Vol.32, pp.5123-5133)、cRGD(Int Ed, 2004, Vol.116, pp.6483-6487)、iRGD(Science, 2010, Vol.328, pp.1031-1035)、p160(Biomaterials, 2011, Vol.32, pp.5123-5133)、ATWLPPR(Peptides, 2007, Vol.28, pp.2397-2402)、LHDH(Adv Exp Med Biol, 2008, Vol.614, pp.285-296)、SP5−2(PLoS One, 2009, Vol.4, p.e4171)、cNGR(J Control Release, 2010, Vol.143, pp.265-273)、SP94(Mol Cancer Ther, 2008, Vol.7, pp.579-89)、ファージディスプレイ等で同定された標的分子に結合し得るペプチドに関するデータベース(例えば、http://crdd.osdd.net/raghava/tumorhope/index.php)に掲載されたペプチド等のペプチド、トランスフェリン(Biomaterials, 2012, Vol.33, pp.1627-1639)、ラクトフェリン(Mol Pharmaceutics, 2010, Vol.7, pp.1995-2005)、黄体ホルモン放出ホルモン(Breast Cancer Res Treat, 2006, Vol.99, pp.163-176)等のタンパク質等が挙げられる。
標的認識部(A)および標的分子間の相互作用における解離定数は、1,000nM以下であることが好ましく、10nM以下であることがより好ましく、1nM以下であることがさらに好ましい。
該解離定数が前記上限値以下であれば、架橋剤が架橋性により優れる。
該解離定数が前記上限値以下であれば、架橋剤が架橋性により優れる。
標的認識部(A)の分子量は、100,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、1,000以下がさらに好ましい。標的認識部(A)の分子量が前記上限値以下であれば、分子標的免疫治療薬として用いた場合に、投与量を減らせ、患者に対する負荷を軽減できる。
標的認識部(A)を形成する化合物の好適例としては、水溶性ビタミン、成長因子、リガンド、腫瘍マーカー、または、標的分子を認識するこれらの改変体が挙げられる。中でも、水溶性ビタミンが好ましい。
水溶性ビタミンとしては、ビタミンB群が挙げられる。ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12等が挙げられる。中でも、腫瘍細胞が細胞表面に葉酸レセプターを高発現する場合が多く、この場合腫瘍細胞を治療標的にしやすいことから、葉酸が好ましい。葉酸は、下式(3)により表される化合物である。葉酸および葉酸レセプターの相互作用における解離定数は、0.1nMである。葉酸は、葉酸レセプターを認識する範囲で改変体とされてもよい。葉酸の改変体を使用する場合、該改変体と葉酸レセプターの相互作用における解離定数は、100nM以下であることが好ましく、10nM以下であることがより好ましい。
水溶性ビタミンとしては、ビタミンB群が挙げられる。ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12等が挙げられる。中でも、腫瘍細胞が細胞表面に葉酸レセプターを高発現する場合が多く、この場合腫瘍細胞を治療標的にしやすいことから、葉酸が好ましい。葉酸は、下式(3)により表される化合物である。葉酸および葉酸レセプターの相互作用における解離定数は、0.1nMである。葉酸は、葉酸レセプターを認識する範囲で改変体とされてもよい。葉酸の改変体を使用する場合、該改変体と葉酸レセプターの相互作用における解離定数は、100nM以下であることが好ましく、10nM以下であることがより好ましい。
(Fc認識部(B))
Fc認識部(B)は、免疫グロブリンのFc領域を認識する。
免疫グロブリンのFc領域には、ナチュラルキラー細胞やマクロファージ等のエフェクター細胞が発現するFcγ受容体を認識する部分が存在する。本明細書では、この部分を「Fcγ受容体相互作用部」と呼ぶ。
Fc認識部(B)は、Fcγ受容体相互作用部を認識しないことが好ましい。Fc認識部(B)がFcγ受容体相互作用部を認識しないことにより、架橋剤が、Fcγ受容体および免疫グロブリンの間の相互作用に対して立体障害を引き起こし難くなる。そのため、架橋剤を分子標的免疫治療薬として用いた場合、エフェクター細胞が、標的分子に相互作用した内在性の免疫グロブリンに集積しやすくなり、病原化した細胞や外来病原体等を殺傷しやすくなる。
Fc認識部(B)と免疫グロブリンとの相互作用に優れる点、エフェクター細胞の標的分子への集積が優れる点から、免疫グロブリンのFc領域は、IgGのFc領域であることが好ましい。
Fc認識部(B)は、免疫グロブリンのFc領域を認識する。
免疫グロブリンのFc領域には、ナチュラルキラー細胞やマクロファージ等のエフェクター細胞が発現するFcγ受容体を認識する部分が存在する。本明細書では、この部分を「Fcγ受容体相互作用部」と呼ぶ。
Fc認識部(B)は、Fcγ受容体相互作用部を認識しないことが好ましい。Fc認識部(B)がFcγ受容体相互作用部を認識しないことにより、架橋剤が、Fcγ受容体および免疫グロブリンの間の相互作用に対して立体障害を引き起こし難くなる。そのため、架橋剤を分子標的免疫治療薬として用いた場合、エフェクター細胞が、標的分子に相互作用した内在性の免疫グロブリンに集積しやすくなり、病原化した細胞や外来病原体等を殺傷しやすくなる。
Fc認識部(B)と免疫グロブリンとの相互作用に優れる点、エフェクター細胞の標的分子への集積が優れる点から、免疫グロブリンのFc領域は、IgGのFc領域であることが好ましい。
プロテインAを相互作用阻害物質として用いた競合阻害試験により測定した、前記Fc認識部(B)および前記Fc領域の間の相互作用に対する阻害定数Kiが、1,000nM以下であることが好ましく、100nM以下であることがより好ましく、25nM以下であることがさらに好ましい。
該阻害定数Kiが前記下限値以上であれば、架橋剤が架橋性により優れる。
該阻害定数Kiが前記下限値以上であれば、架橋剤が架橋性により優れる。
Fc認識部(B)を形成する具体的な化合物としては、Fc領域を認識するペプチド、アプタマーおよび低分子化合物等が挙げられる。Fc領域を認識できる範囲で、ペプチドおよびアプタマーは、改変体とされてもよい。
Fc領域を認識するペプチドとしては、Fc−IIIペプチド(国際公開第2001/045746号、Science, 2000, Vol.287, pp.1279-1283を参照)、HWRGWV(配列番号1)、 YYWLHH (配列番号2)、EPIHRSTLTALL(配列番号3)、AV13(GFRKYLHFRRHLL(配列番号4))およびAV15(VRLGWLLAPADLDAR(配列番号5))(米国特許第7408030号明細書)、FcRMペプチド (Chem Bio Chem, 2005, Vol.6, pp.1242-1253)、ヒスチジン(J Chromatography, 1992, Vol.604, pp.29-37)、TG19318(J Molecular Recognition, 1998, Vol.11, pp.128-133)、TG19320(J Immunological Methods, 2002, Vol.271, pp.77-88)、IMG4K6Rペプチド(国際公開第2013/027796号を参照、J Biol Chem, 2009, Vol.284, pp.9986-9993)、IgA結合ペプチド(国際公開第2011/148952号を参照、J Biol Chem, 2012, Vol.287, pp.43126-43136)、プロテインA(黄色ブドウ球菌のドメインB(B1、B2、B3、B4、B5))、プロテインG(レンサ球菌のグループCのドメインB(B1、B2)、グループGのドメインC(C1、C2、C3))等が挙げられる。
Fc領域を認識するアプタマーとしては、ヒトIgGアプタマー(国際公開第2007/004748号を参照、RNA, 2008, Vol.14, pp.1154-1163)等が挙げられる。
Fc領域を認識する低分子化合物としては、マンノシルエリスリトール脂質(J Biomedical Materials Res.A, 2003, Vol.65, pp.379-385)、遷移金属イオン(J Appl Polym Sci, 89, 1567-1572, J Chromatography B, 2003, Vol. 795, pp.93-103)、芳香族アミン(J Chromatography B, 2000, Vol.740, pp.1-15)、スルファメタジン(J Chromatography B, 2003, Vol.792, pp.177-185)等が挙げられる。
Fc領域を認識するアプタマーとしては、ヒトIgGアプタマー(国際公開第2007/004748号を参照、RNA, 2008, Vol.14, pp.1154-1163)等が挙げられる。
Fc領域を認識する低分子化合物としては、マンノシルエリスリトール脂質(J Biomedical Materials Res.A, 2003, Vol.65, pp.379-385)、遷移金属イオン(J Appl Polym Sci, 89, 1567-1572, J Chromatography B, 2003, Vol. 795, pp.93-103)、芳香族アミン(J Chromatography B, 2000, Vol.740, pp.1-15)、スルファメタジン(J Chromatography B, 2003, Vol.792, pp.177-185)等が挙げられる。
中でも、Fc領域との相互作用が強い点から、Fc領域を認識するペプチドが好ましく、さらに免疫原性が低い点から、FcIIIペプチドが好ましい。
FcIIIペプチドは、配列番号6で表されるペプチド中のシステイン残基中のチオール基がジスルフィド結合した、下式(4)で表される環状ペプチドであり、IgGのFc領域におけるCH2とCH3の間と相互作用する機能を有する(Science, 2000, Vol.287, pp.1279-1283)。FcIIIペプチドおよびFc領域の間の相互作用に対する阻害定数Kiは、25nMである。FcIIIペプチドは、IgGのFc領域におけるCH2とCH3の間に相互作用し得る範囲で改変体とされてもよい。FcIIIペプチドの改変体を使用する場合、該改変体とFc領域の間の相互作用に対する阻害定数Kiは、1,000nM以下であることが好ましく、100nM以下であることがより好ましい。
FcIIIペプチドは、配列番号6で表されるペプチド中のシステイン残基中のチオール基がジスルフィド結合した、下式(4)で表される環状ペプチドであり、IgGのFc領域におけるCH2とCH3の間と相互作用する機能を有する(Science, 2000, Vol.287, pp.1279-1283)。FcIIIペプチドおよびFc領域の間の相互作用に対する阻害定数Kiは、25nMである。FcIIIペプチドは、IgGのFc領域におけるCH2とCH3の間に相互作用し得る範囲で改変体とされてもよい。FcIIIペプチドの改変体を使用する場合、該改変体とFc領域の間の相互作用に対する阻害定数Kiは、1,000nM以下であることが好ましく、100nM以下であることがより好ましい。
(連結部(C))
架橋剤は、さらに連結部(C)を有していることが好ましい。
連結部(C)を有していれば、Fc認識部(B)が標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用の立体障害になりにくくなり、また、標的認識部(A)がFc認識部(B)とFc領域の間の相互作用の立体障害になりにくくなるため、架橋剤が架橋性により優れたものになる。また、連結部(C)は架橋剤の水溶性の向上に寄与する。
架橋剤は、さらに連結部(C)を有していることが好ましい。
連結部(C)を有していれば、Fc認識部(B)が標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用の立体障害になりにくくなり、また、標的認識部(A)がFc認識部(B)とFc領域の間の相互作用の立体障害になりにくくなるため、架橋剤が架橋性により優れたものになる。また、連結部(C)は架橋剤の水溶性の向上に寄与する。
連結部(C)は、生体適合性であることが好ましい。連結部(C)が生体適合性であれば、架橋剤を分子標的免疫治療薬に用いた場合に、連結部(C)に起因する副作用が抑えられる。また、さらに副作用を抑える点から、連結部(C)は免疫原性が少ないことが好ましく、免疫原性がないことがより好ましい。
また、連結部(C)は、親水性および屈曲性を有することが好ましい。連結部(C)が親水性および屈曲性を有すれば、さらにFc認識部(B)が標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用の立体障害になりにくくなり、また、標的認識部(A)がFc認識部(B)とFc領域の間の相互作用の立体障害になりにくくなる。
また、連結部(C)は、親水性および屈曲性を有することが好ましい。連結部(C)が親水性および屈曲性を有すれば、さらにFc認識部(B)が標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用の立体障害になりにくくなり、また、標的認識部(A)がFc認識部(B)とFc領域の間の相互作用の立体障害になりにくくなる。
連結部(C)は、分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素、ポリエチレングリコール、ペプチド、ヌクレオチド、またはこれらの改変体により形成されてなることが好ましい。
分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素は、特に限定されない。分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素は、炭素数が2〜24であるものが好ましい。
ポリエチレングリコールは、特に限定されず、重合度が1〜250であるものが好ましい。例えば、miniPEG(登録商標)が挙げられ、具体的には、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(「NH−(EG)−COOH」とも称する。)、12−アミノ−4,7,10−トリオキサドデカン酸(「NH−(EG)2−COOH」とも称する。)、15−アミノ−4,7,10,13−テトラオキサペンタデカン酸(「NH−(EG)3−COOH」とも称する。)、18−アミノ−4,7,10,13,16−ペンタオキサオクタデカン酸(「NH−(EG)4−COOH」とも称する。)、21−アミノ−4,7,10,13,16,19−ヘキサオキサヘンイコサン酸(「NH−(EG)5−COOH」とも称する。)等が挙げられる。
ペプチドとしては、(Gly)n,n=1−30、(Ala)n,n=1−30、(β−Ala)n, n=1−30、(Ser)n,n=1−30、(GGS)n,n=1−10等が挙げられる。
中でも、生体適合性に優れ、安価である点から、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールは、連結部としての機能が損なわれない限り、その改変体であってもよい。
分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素は、特に限定されない。分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素は、炭素数が2〜24であるものが好ましい。
ポリエチレングリコールは、特に限定されず、重合度が1〜250であるものが好ましい。例えば、miniPEG(登録商標)が挙げられ、具体的には、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(「NH−(EG)−COOH」とも称する。)、12−アミノ−4,7,10−トリオキサドデカン酸(「NH−(EG)2−COOH」とも称する。)、15−アミノ−4,7,10,13−テトラオキサペンタデカン酸(「NH−(EG)3−COOH」とも称する。)、18−アミノ−4,7,10,13,16−ペンタオキサオクタデカン酸(「NH−(EG)4−COOH」とも称する。)、21−アミノ−4,7,10,13,16,19−ヘキサオキサヘンイコサン酸(「NH−(EG)5−COOH」とも称する。)等が挙げられる。
ペプチドとしては、(Gly)n,n=1−30、(Ala)n,n=1−30、(β−Ala)n, n=1−30、(Ser)n,n=1−30、(GGS)n,n=1−10等が挙げられる。
中でも、生体適合性に優れ、安価である点から、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールは、連結部としての機能が損なわれない限り、その改変体であってもよい。
ポリエチレングリコールの分子量は、44〜10,000が好ましく、44〜5,000がより好ましく、44〜1,000がさらに好ましい。前記下限値以上であれば、立体障害が抑えられるため架橋剤が架橋性により優れる。一方、前記上限値以下であれば、生体内において、免疫原性が抑えられるため架橋剤が架橋性により優れる。
(分子量)
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を有する架橋剤の分子量は、150,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、5,000以下がさらに好ましい。
架橋剤の分子量が前記上限値以下であれば、生体に投与する場合、生体に対する負荷が軽減される。
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を有する架橋剤の分子量は、150,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、5,000以下がさらに好ましい。
架橋剤の分子量が前記上限値以下であれば、生体に投与する場合、生体に対する負荷が軽減される。
(化合物1)
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を有する架橋剤の具体的な好適例としては、下式(1)で表される化合物(本明細書では、「化合物1」ともいう。)が挙げられる。化合物1は、標的認識部(A)として葉酸、Fc認識部(B)としてFIIIペプチド、連結部(C)としてポリエチレングリコールを用いた化合物である。
化合物1は、分子標的免疫治療薬として用いた場合、Fcγ受容体発現細胞が標的分子に集積しやすいことから、薬効に優れる。特に、腫瘍細胞が葉酸レセプターを高発現していることが多いことから、抗腫瘍薬として用いた場合に、より効果が得られやすい。
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を有する架橋剤の具体的な好適例としては、下式(1)で表される化合物(本明細書では、「化合物1」ともいう。)が挙げられる。化合物1は、標的認識部(A)として葉酸、Fc認識部(B)としてFIIIペプチド、連結部(C)としてポリエチレングリコールを用いた化合物である。
化合物1は、分子標的免疫治療薬として用いた場合、Fcγ受容体発現細胞が標的分子に集積しやすいことから、薬効に優れる。特に、腫瘍細胞が葉酸レセプターを高発現していることが多いことから、抗腫瘍薬として用いた場合に、より効果が得られやすい。
(標識物質(D))
架橋剤は、さらに標識物質(D)を有していてもよい。該架橋剤は、標識試薬として用いることができる。
したがって、本発明の標識試薬は、さらに標識物質(D)を有する架橋剤を含有する。
架橋剤は、さらに標識物質(D)を有していてもよい。該架橋剤は、標識試薬として用いることができる。
したがって、本発明の標識試薬は、さらに標識物質(D)を有する架橋剤を含有する。
標識物質(D)は、公知のものでよく、特に限定されない。標識物質(D)としては、蛍光物質が挙げられる。
蛍光物質としては、ローダミン、フルオレセイン(以下、「FITC」ともいう。)、Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7等が挙げられる。
標識物質(D)の結合箇所は、特に限定されない。標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用、ならびにFc認識部(B)および免疫グロブリンのFc領域の間の相互作用の立体障害にならないようにする観点から、標識物質(D)は連結部(C)に結合していること、または連結部(C)内に挿入されることが好ましい。
蛍光物質としては、ローダミン、フルオレセイン(以下、「FITC」ともいう。)、Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7等が挙げられる。
標識物質(D)の結合箇所は、特に限定されない。標的認識部(A)および標的分子の間の相互作用、ならびにFc認識部(B)および免疫グロブリンのFc領域の間の相互作用の立体障害にならないようにする観点から、標識物質(D)は連結部(C)に結合していること、または連結部(C)内に挿入されることが好ましい。
標識試薬は、手術中に標的分子を有する組織を標識するために用いられることが好ましい。この場合の標的分子は、当該組織が他の組織と明瞭に区別できるものであればよく、例えば、疾患の原因となる細胞やウイルスの表面に存在するものであってもよく、正常細胞の表面に存在するものであってもよい。標的分子は、腫瘍細胞、真菌、細菌およびウイルスからなる群のうち少なくとも1種の表面に存在するものであることが好ましい。
標識試薬を手術中に用いた場合、架橋剤は、標的分子が存在する標的組織へ集積し、該標的組織を標識することができ、手術の対象となる組織を目視しやすくなる。そのため、術者は的確に手術を行うことができる。また、手術の短時間化および正常組織の無駄な切除の防止等が図られることにより、患者に対する侵襲性を低減できる。
標識試薬を手術中に用いた場合、架橋剤は、標的分子が存在する標的組織へ集積し、該標的組織を標識することができ、手術の対象となる組織を目視しやすくなる。そのため、術者は的確に手術を行うことができる。また、手術の短時間化および正常組織の無駄な切除の防止等が図られることにより、患者に対する侵襲性を低減できる。
(化合物2)
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)、連結部(C)および標識物質(D)を有する架橋剤の具体的な好適例としては、下式(2)で表される化合物(本明細書では、「化合物2」ともいう。)が挙げられる。化合物2は、標的認識部(A)として葉酸、Fc認識部(B)としてFIIIペプチド、連結部(C)としてポリエチレングリコール、標識物質(D)としてローダミンを用いた化合物である。
化合物2は、手術中に用いた場合、標的分子が存在する対象組織への集積が速く、かつ該集積が持続しやすいことから、該対象組織の標識性に優れる。特に、腫瘍細胞が葉酸レセプターを高発現していることが多いことから、腫瘍細胞を標識するための用いた場合に、より効果が得られやすい。
上述の標的認識部(A)、Fc認識部(B)、連結部(C)および標識物質(D)を有する架橋剤の具体的な好適例としては、下式(2)で表される化合物(本明細書では、「化合物2」ともいう。)が挙げられる。化合物2は、標的認識部(A)として葉酸、Fc認識部(B)としてFIIIペプチド、連結部(C)としてポリエチレングリコール、標識物質(D)としてローダミンを用いた化合物である。
化合物2は、手術中に用いた場合、標的分子が存在する対象組織への集積が速く、かつ該集積が持続しやすいことから、該対象組織の標識性に優れる。特に、腫瘍細胞が葉酸レセプターを高発現していることが多いことから、腫瘍細胞を標識するための用いた場合に、より効果が得られやすい。
(製造方法)
架橋剤は、標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)、ならびに必要に応じて標識物質(D)を構成するそれぞれの化合物から、公知の化合物の結合方法により製造することができる。
架橋剤は、標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)、ならびに必要に応じて標識物質(D)を構成するそれぞれの化合物から、公知の化合物の結合方法により製造することができる。
(用途)
架橋剤は、標的分子と免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに該Fc領域ペプチドを有する分子を介して、標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させることができる。すなわち、架橋剤は、Fcγ受容体発現細胞集積剤として用い得る。Fcγ受容体発現細胞集積剤として用いられる場合、架橋剤は免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子の存在下で用いられる。
Fc領域ペプチドを有する分子は、生体内に高濃度で存在し利用しやすい点から、内在性IgGが好ましい。したがって、架橋剤は、ヒトまたはヒト以外の動物の体内において、標的分子と内在性IgGとを架橋するために用いられることが好ましい。
架橋剤は、標的分子と免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに該Fc領域ペプチドを有する分子を介して、標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させることができる。すなわち、架橋剤は、Fcγ受容体発現細胞集積剤として用い得る。Fcγ受容体発現細胞集積剤として用いられる場合、架橋剤は免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子の存在下で用いられる。
Fc領域ペプチドを有する分子は、生体内に高濃度で存在し利用しやすい点から、内在性IgGが好ましい。したがって、架橋剤は、ヒトまたはヒト以外の動物の体内において、標的分子と内在性IgGとを架橋するために用いられることが好ましい。
架橋剤の具体的な使用態様は、標的分子に免疫グロブリンを集積することが期待されるものであれば、特に限定されない。例えば、疾患の治療で用いてもよく、病理診断で用いてもよく、試験研究で用いてもよい。治療としては、分子標的免疫治療が挙げられる。病理診断および試験研究においては、インビボ(in vivo)で用いてもよく、インビトロ(in vitro)で用いてもよい。
架橋剤は、分子標的免疫治療薬として用いられることが好ましい。また、架橋剤は、疾患を有する動物に投与することにより、分子標的免疫治療方法に用い得る。
架橋剤は、分子標的免疫治療薬として用いられることが好ましい。また、架橋剤は、疾患を有する動物に投与することにより、分子標的免疫治療方法に用い得る。
架橋剤を分子標的免疫治療薬として用いる場合、治療の標的としては病原化した細胞や病原体が挙げられる。病原化した細胞としては、例えば、腫瘍細胞等が挙げられ、病原体としては、真菌、細菌、ウイルス等が挙げられる。
分子標的免疫治療薬は、抗腫瘍薬、抗感染症薬、または抗ウイルス薬として用いられることが好ましい。中でも、分子標的免疫治療薬は、抗腫瘍薬として用いられることが好ましい。
分子標的免疫治療薬は、抗腫瘍薬、抗感染症薬、または抗ウイルス薬として用いられることが好ましい。中でも、分子標的免疫治療薬は、抗腫瘍薬として用いられることが好ましい。
分子標的免疫治療薬は、他の医薬と組合せて用いてもよい。他の医薬としては、低分子化合物、タンパク質製剤、抗体医薬等が挙げられる。
他の医薬と組合せて用いる場合、分子標的免疫治療薬と他の医薬との混合物として投与してもよく、それぞれを別々に投与してもよい。別々に投与する場合、同時に投与してもよく、対象疾患の治療期間中に時間をずらして投与してもよい。
他の医薬と組合せて用いる場合、分子標的免疫治療薬と他の医薬との混合物として投与してもよく、それぞれを別々に投与してもよい。別々に投与する場合、同時に投与してもよく、対象疾患の治療期間中に時間をずらして投与してもよい。
医薬品添加物を添加してもよい。添加剤は、薬学的に許容されるものであれば、特に限定されない。医薬品添加物としては、担体、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、安定剤、保存剤、無痛化剤、賦形剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、着香剤、溶解補助剤、着色剤、粘稠剤等が挙げられる。
剤型は、特に限定されず、内用剤でもよく、外用剤でもよい。
内用剤としては、固形剤、半固形剤、液剤等が挙げられる。固形剤としては、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤・煎剤等が挙げられる。半固形剤としては、ゼリー剤、舐剤、チューインガム剤等が挙げられる。液剤としては、注射剤、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤等が挙げられる。
外用剤としては、固形剤、半固形剤、液剤等が挙げられる。固形剤としては、坐剤、パップ剤、プラスター剤等が挙げられる。半固形剤としては、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤等が挙げられる。液剤としては、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤等が挙げられる。
中でも、薬効が得られやすい点から、注射剤が好ましい。
内用剤としては、固形剤、半固形剤、液剤等が挙げられる。固形剤としては、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤・煎剤等が挙げられる。半固形剤としては、ゼリー剤、舐剤、チューインガム剤等が挙げられる。液剤としては、注射剤、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤等が挙げられる。
外用剤としては、固形剤、半固形剤、液剤等が挙げられる。固形剤としては、坐剤、パップ剤、プラスター剤等が挙げられる。半固形剤としては、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤等が挙げられる。液剤としては、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤等が挙げられる。
中でも、薬効が得られやすい点から、注射剤が好ましい。
架橋剤の含有量は、固形剤または半固形剤の場合、0.01〜100質量%が好ましく、0.1〜100質量%がより好ましい。液剤の場合、0.001〜1g/mLが好ましく、0.01〜1g/mLがより好ましい。
架橋剤の含有量が、前記下限値以上であれば、投与量を減らせ、患者に対する負荷を軽減できる。一方、前記上限値以下であれば、溶解性、分散性が良好になる。
架橋剤の含有量が、前記下限値以上であれば、投与量を減らせ、患者に対する負荷を軽減できる。一方、前記上限値以下であれば、溶解性、分散性が良好になる。
分子標的免疫治療薬の投与対象は、体内にIgGを有する動物であれば、特に限定されない。
Fc認識部(B)がFcIIIペプチドから形成されている場合、内在性のIgGとの結合性が高く、高い架橋性が得られ、優れた薬効が得られやすい点から、分子標的免疫治療薬の投与対象は、ヒトおよびヒト以外の哺乳類が好ましく、ヒトがより好ましい。
Fc認識部(B)がFcIIIペプチドから形成されている場合、内在性のIgGとの結合性が高く、高い架橋性が得られ、優れた薬効が得られやすい点から、分子標的免疫治療薬の投与対象は、ヒトおよびヒト以外の哺乳類が好ましく、ヒトがより好ましい。
分子標的免疫治療薬をヒトに投与する場合の架橋剤の投与量は、成人1日当たり0.01〜10g、小児1日当たり0.01〜2gが好ましい。
架橋剤の投与量が前記下限値以上であれば、充分な薬効が得られ、一方、前記上限値以下であれば、投与量を減らせ、患者に対する負荷を軽減できる。
架橋剤の投与量が前記下限値以上であれば、充分な薬効が得られ、一方、前記上限値以下であれば、投与量を減らせ、患者に対する負荷を軽減できる。
[作用効果]
架橋剤中の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)は、いずれも生体適合性に優れた材料とすることができるため、分子標的免疫治療薬に用いる場合、抗体医薬と同様に、生体に対して負荷が軽い。
架橋剤は、投与後、動物の体内において速やかに内在性IgGと相互作用するため、一般的な低分子化合物等とは異なり、代謝され難く、血中滞留性が良好であり、薬効が持続しやすい。
架橋剤は、標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を低分子化合物から形成することができることから全体として抗体医薬よりも低分子にすることができるため、抗体医薬に比べ投与量を少なくできる。
架橋剤は、抗体医薬の製造に要するような特殊な設備を用いることなく製造することができるため、製造が煩雑でなく安定的でありコストがかからない。
架橋剤中の標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)は、いずれも生体適合性に優れた材料とすることができるため、分子標的免疫治療薬に用いる場合、抗体医薬と同様に、生体に対して負荷が軽い。
架橋剤は、投与後、動物の体内において速やかに内在性IgGと相互作用するため、一般的な低分子化合物等とは異なり、代謝され難く、血中滞留性が良好であり、薬効が持続しやすい。
架橋剤は、標的認識部(A)、Fc認識部(B)および連結部(C)を低分子化合物から形成することができることから全体として抗体医薬よりも低分子にすることができるため、抗体医薬に比べ投与量を少なくできる。
架橋剤は、抗体医薬の製造に要するような特殊な設備を用いることなく製造することができるため、製造が煩雑でなく安定的でありコストがかからない。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されない。
[評価方法]
(蛍光顕微鏡による観察)
RPMI1640(10%FBS、葉酸不含有)培地(以下、単に「RPMI1640培地」ともいう。)を用いて、葉酸レセプター陽性のKB細胞または葉酸レセプター陰性のA549細胞を1ウェル当たり1×104細胞で96ウェルガラスボトムプレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。
その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640培地に調整済みの100nM 架橋分子、500nMヒトIgGまたは競合阻害剤として10μM 葉酸を添加し、37℃、30分培養した。PBSで各ウェルを洗浄後、RPMI1640培地を加え、蛍光顕微鏡により細胞表面の蛍光を観察した。細胞核の染色は、Hoechst(登録商標) 33342(インビトロジェン社製)を用いて行った。
[評価方法]
(蛍光顕微鏡による観察)
RPMI1640(10%FBS、葉酸不含有)培地(以下、単に「RPMI1640培地」ともいう。)を用いて、葉酸レセプター陽性のKB細胞または葉酸レセプター陰性のA549細胞を1ウェル当たり1×104細胞で96ウェルガラスボトムプレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。
その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640培地に調整済みの100nM 架橋分子、500nMヒトIgGまたは競合阻害剤として10μM 葉酸を添加し、37℃、30分培養した。PBSで各ウェルを洗浄後、RPMI1640培地を加え、蛍光顕微鏡により細胞表面の蛍光を観察した。細胞核の染色は、Hoechst(登録商標) 33342(インビトロジェン社製)を用いて行った。
(フローサイトメトリー解析)
RPMI1640培地を用いて、KB細胞を1ウェル当たり1×104細胞で96ウェルガラスボトムプレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640培地に調整済みの100nM 架橋分子、500nMヒトIgGを加え、37℃、30分培養した。PBSで各ウェルを洗浄後、PBS中に細胞を懸濁し、細胞表面の蛍光強度をフローサイトメトリーにより測定した。
RPMI1640培地を用いて、KB細胞を1ウェル当たり1×104細胞で96ウェルガラスボトムプレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640培地に調整済みの100nM 架橋分子、500nMヒトIgGを加え、37℃、30分培養した。PBSで各ウェルを洗浄後、PBS中に細胞を懸濁し、細胞表面の蛍光強度をフローサイトメトリーにより測定した。
(ADCC活性)
標的細胞としてKB細胞をRPMI1640培地に懸濁し、1ウェル当たり1×103細胞で96ウェルプレートに播種し、24時間、37℃条件下で培養した。エフェクター細胞として、健常人の血液から末梢血単核細胞を採取し、RPMI1640培地で24時間培養した。この末梢血単核細胞をエフェクター細胞とした。
その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640(1%FBS 、葉酸不含有)培地に交換した後、エフェクター細胞90×103個(標的細胞:エフェクター細胞=1:90)、ヒトIgG(100μg/mL)、化合物1(10μg/mL)を加え、37℃、4時間インキュベートした。本実施例では、対照区として、ヒトIgGを加えない対照区と、ヒトIgGおよび化合物1を加えない対照区を設けた。
ADCC活性により標的細胞が破壊されると標的細胞内からLDHが放出される。そこで、4時間インキュベートした後、各ウェルの上澄みを回収し、培地に含まれるLDHを、LDH Cytotoxicity Detection Kit(タカラバイオ社製)により測定した。
標的細胞としてKB細胞をRPMI1640培地に懸濁し、1ウェル当たり1×103細胞で96ウェルプレートに播種し、24時間、37℃条件下で培養した。エフェクター細胞として、健常人の血液から末梢血単核細胞を採取し、RPMI1640培地で24時間培養した。この末梢血単核細胞をエフェクター細胞とした。
その後、PBSで各ウェルを洗浄し、RPMI1640(1%FBS 、葉酸不含有)培地に交換した後、エフェクター細胞90×103個(標的細胞:エフェクター細胞=1:90)、ヒトIgG(100μg/mL)、化合物1(10μg/mL)を加え、37℃、4時間インキュベートした。本実施例では、対照区として、ヒトIgGを加えない対照区と、ヒトIgGおよび化合物1を加えない対照区を設けた。
ADCC活性により標的細胞が破壊されると標的細胞内からLDHが放出される。そこで、4時間インキュベートした後、各ウェルの上澄みを回収し、培地に含まれるLDHを、LDH Cytotoxicity Detection Kit(タカラバイオ社製)により測定した。
[合成例1]
化合物1を以下の方法により合成した。
まず、FcIIIペプチドを、ペプチドの担体としてFmoc−NH−SAL−Resin(渡辺化学工業社製)(0.25mmol)を用い、固相ペプチド合成装置により合成した。
次いで、FcIIIペプチドを合成したペプチド担体(0.005mmol)に、Fmoc固相合成法により、Fmoc−NH−(EG)5−COOH(メルク社製)の3回、
Fmoc−Glu(OH)−tBu(渡辺化学工業社製)の1回、N10−トリフルオロアセチル プテロイン酸(シグマアルドリッチ社製)の1回、順次縮合反応させ、直鎖状ペプチドを合成した。なお、縮合反応は、アミノ酸/HBTU/ベンズアジミドール/1,1’−ジメチルトリエチルアミン(3:3:3:6(質量比))のジメチルホルムアミド液中で、15分間反応することにより行った。
化合物1を以下の方法により合成した。
まず、FcIIIペプチドを、ペプチドの担体としてFmoc−NH−SAL−Resin(渡辺化学工業社製)(0.25mmol)を用い、固相ペプチド合成装置により合成した。
次いで、FcIIIペプチドを合成したペプチド担体(0.005mmol)に、Fmoc固相合成法により、Fmoc−NH−(EG)5−COOH(メルク社製)の3回、
Fmoc−Glu(OH)−tBu(渡辺化学工業社製)の1回、N10−トリフルオロアセチル プテロイン酸(シグマアルドリッチ社製)の1回、順次縮合反応させ、直鎖状ペプチドを合成した。なお、縮合反応は、アミノ酸/HBTU/ベンズアジミドール/1,1’−ジメチルトリエチルアミン(3:3:3:6(質量比))のジメチルホルムアミド液中で、15分間反応することにより行った。
Fmoc保護基の除去は、20%ピペリジンのジメチルホルムアミド溶液で、10分間反応することにより行った。各アミノ酸の縮合と脱Fmocはカイザーテストにより確認した。
次いで、トリフルオロ酢酸/チオアニソール/水/フェノール/エタンジチオール(80:5:5:7.5:2.5(質量比))を用いて、室温、1.5時間で反応させ、ペプチドから担体と側鎖保護基を除去した。
粗ペプチドをジエチルエーテルで沈殿、洗浄した後、2M酢酸(10ml)、0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液 (5ml)に溶解した。
最終濃度が0.1mMペプチドとなるように0.1M 酢酸アンモニウム溶液中に溶解し、NH4OHによりpHを7.8に調整した後、室温、一晩の空気酸化により分子内ジスルフィド結合を形成させた。
その後、逆相HPLCにより目的物の環状ペプチド(化合物1)を分離精製し、MALDI−TOF−MSにより確認した。
次いで、トリフルオロ酢酸/チオアニソール/水/フェノール/エタンジチオール(80:5:5:7.5:2.5(質量比))を用いて、室温、1.5時間で反応させ、ペプチドから担体と側鎖保護基を除去した。
粗ペプチドをジエチルエーテルで沈殿、洗浄した後、2M酢酸(10ml)、0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液 (5ml)に溶解した。
最終濃度が0.1mMペプチドとなるように0.1M 酢酸アンモニウム溶液中に溶解し、NH4OHによりpHを7.8に調整した後、室温、一晩の空気酸化により分子内ジスルフィド結合を形成させた。
その後、逆相HPLCにより目的物の環状ペプチド(化合物1)を分離精製し、MALDI−TOF−MSにより確認した。
[合成例2]
化合物2を以下の方法により合成した。
まず、FcIIIペプチドを、合成例1と同様に合成した。
次いで、FcIIIペプチドを合成したペプチド担体(0.005mmol)に、Fmoc固相合成法により、
Fmoc−NH−(EG)5−COOH(メルク社製)を3回、Fmoc−Lys(5−TAMRA)−OH(AAT Bioquest社製)の1回、Fmoc−Glu(OH)−tBu(渡辺化学工業社製)の1回、N10−トリフルオロアセチル プテロイン酸(シグマアルドリッチ社製)の1回、順次縮合反応させ、直鎖状ペプチドを合成した。なお、縮合反応は、合成例1と同様に行った。また、Fmoc保護基の除去、分子内ジスルフィド結合の形成、環状ペプチド(化合物2)の分離精製は、合成例1と同様に行った。
化合物2を以下の方法により合成した。
まず、FcIIIペプチドを、合成例1と同様に合成した。
次いで、FcIIIペプチドを合成したペプチド担体(0.005mmol)に、Fmoc固相合成法により、
Fmoc−NH−(EG)5−COOH(メルク社製)を3回、Fmoc−Lys(5−TAMRA)−OH(AAT Bioquest社製)の1回、Fmoc−Glu(OH)−tBu(渡辺化学工業社製)の1回、N10−トリフルオロアセチル プテロイン酸(シグマアルドリッチ社製)の1回、順次縮合反応させ、直鎖状ペプチドを合成した。なお、縮合反応は、合成例1と同様に行った。また、Fmoc保護基の除去、分子内ジスルフィド結合の形成、環状ペプチド(化合物2)の分離精製は、合成例1と同様に行った。
[合成例3]
以下の下式(5)で表される化合物3(以下、単に「化合物3」ともいう。)を、以下の方法により合成した。
以下の下式(5)で表される化合物3(以下、単に「化合物3」ともいう。)を、以下の方法により合成した。
合成例2で得られた化合物2を、ヨードアセトアミド(和光純薬工業社製)を用いて処理することにより、化合物2における分子内ジスルフィド結合を開裂し、チオール基をアルキル化して、化合物3を得た。
[試験例1]
架橋剤が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用することを確認した。
蛍光顕微鏡を用いて、化合物2の細胞の表面に存在する葉酸レセプターへの相互作用を確認した結果を、図2に示す。図2中、左側が葉酸レセプター陽性のKB細胞を用いた結果、右側が葉酸レセプター陰性のA549細胞を用いた結果を示す。また、上段が化合物2を添加した場合、下段が化合物2の他、過剰の葉酸を添加した場合を示す。
図2に示すとおり、葉酸レセプター陽性のKB細胞については、ローダミンの蛍光が観察された(図2左上)。また、葉酸を過剰に添加した場合、ローダミンの蛍光が観察されなかった(図2左下)。
一方、葉酸レセプター陰性のA549細胞については、葉酸を過剰に添加しても(図2右下)、添加しなくても(図2右上)、ローダミンの蛍光が観察されなかった。
以上の結果から、架橋剤が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用することが確認された。
架橋剤が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用することを確認した。
蛍光顕微鏡を用いて、化合物2の細胞の表面に存在する葉酸レセプターへの相互作用を確認した結果を、図2に示す。図2中、左側が葉酸レセプター陽性のKB細胞を用いた結果、右側が葉酸レセプター陰性のA549細胞を用いた結果を示す。また、上段が化合物2を添加した場合、下段が化合物2の他、過剰の葉酸を添加した場合を示す。
図2に示すとおり、葉酸レセプター陽性のKB細胞については、ローダミンの蛍光が観察された(図2左上)。また、葉酸を過剰に添加した場合、ローダミンの蛍光が観察されなかった(図2左下)。
一方、葉酸レセプター陰性のA549細胞については、葉酸を過剰に添加しても(図2右下)、添加しなくても(図2右上)、ローダミンの蛍光が観察されなかった。
以上の結果から、架橋剤が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用することが確認された。
[試験例2]
細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用した架橋剤が、IgGに相互作用すること、すなわち化合物2がKB細胞にIgGを架橋したことを確認したことを確認した。
図3に示すように、KB細胞にIgG−FITCのみを添加した場合には、FITCの蛍光は観察されなかった(図3上段左から2番目)。IgG−FITCの他に、化合物2を添加した場合、FITCの蛍光(図3中段左から2番目)およびローダミンの蛍光(図3中段左から3番目)が観察された。
この結果は、化合物2が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用し、さらに、IgG−FITCが該化合物2に相互作用したことを示している。
細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用した架橋剤が、IgGに相互作用すること、すなわち化合物2がKB細胞にIgGを架橋したことを確認したことを確認した。
図3に示すように、KB細胞にIgG−FITCのみを添加した場合には、FITCの蛍光は観察されなかった(図3上段左から2番目)。IgG−FITCの他に、化合物2を添加した場合、FITCの蛍光(図3中段左から2番目)およびローダミンの蛍光(図3中段左から3番目)が観察された。
この結果は、化合物2が細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用し、さらに、IgG−FITCが該化合物2に相互作用したことを示している。
次に、KB細胞にIgG−FITCおよび化合物2の他に過剰の葉酸(10μM)を添加した結果、FITCの蛍光(図3下段左から2番目)およびローダミンの蛍光(図3下段左から3番目)が観察されなかった。この結果は、過剰の葉酸の添加により、化合物2の、細胞の表面に存在する葉酸レセプターへの相互作用が競合阻害されたことによるものと推定される。
図4に示すように、KB細胞にIgG−FITCおよび化合物2の他に過剰のIgG(5μM)を添加した結果、FITCの蛍光(図4下段左)およびローダミンの蛍光(図4下段中央)が観察されなかった。この結果は、過剰のIgGの添加により、IgG−FITCの、細胞の表面に存在する葉酸レセプターに相互作用した化合物2への相互作用が競合阻害されたことによるものと推定される。
KB細胞に化合物1を100nMで添加し、さらにIgG−FITCを0.5nM、5nM、50nM、500nM、または5μMで添加して、フローサイトメトリー解析を行った。その結果、IgGの濃度依存的に蛍光強度(相互作用している分子の量)が増え、IgGが50nMで添加した際に、相互作用が飽和に達することが確認された(図5)。
この試験において飽和が観察されるのは、化学量論的に適合している。IgGの1分子には、化合物1に対して2か所の相互作用部位が存在する。すなわち、化合物1の2分子に対して、IgGの1分子が相互作用する。したがって、化合物1の濃度が100nMであることから、IgGは50nMで相互作用が飽和する。
この試験において飽和が観察されるのは、化学量論的に適合している。IgGの1分子には、化合物1に対して2か所の相互作用部位が存在する。すなわち、化合物1の2分子に対して、IgGの1分子が相互作用する。したがって、化合物1の濃度が100nMであることから、IgGは50nMで相互作用が飽和する。
[試験例3]
化合物1が、エフェクター細胞の、標的細胞に対するADCC活性を誘導し得ることを確認した。
図6の上段のパネルは、処理後の培地に含まれるLDH活性の測定結果を示す図である。図6の下段のパネルは、LDH活性の測定結果から、標的細胞を完全に破砕したときに放出されるLDH活性を100%とした際の細胞の溶解度を求めた結果を示す図である。
末梢血単核細胞、IgGおよび化合物1を加えた場合、KB細胞が溶解された。一方、末梢血単核細胞のみを加え、IgGおよび化合物1を加えない場合、ならびに、末梢血単核細胞および化合物1を加え、IgGを加えない場合、KB細胞は溶解されなかった。
この結果、化合物1が、エフェクター細胞の、標的細胞に対するADCC活性を誘導し得ることが確認された。
化合物1が、エフェクター細胞の、標的細胞に対するADCC活性を誘導し得ることを確認した。
図6の上段のパネルは、処理後の培地に含まれるLDH活性の測定結果を示す図である。図6の下段のパネルは、LDH活性の測定結果から、標的細胞を完全に破砕したときに放出されるLDH活性を100%とした際の細胞の溶解度を求めた結果を示す図である。
末梢血単核細胞、IgGおよび化合物1を加えた場合、KB細胞が溶解された。一方、末梢血単核細胞のみを加え、IgGおよび化合物1を加えない場合、ならびに、末梢血単核細胞および化合物1を加え、IgGを加えない場合、KB細胞は溶解されなかった。
この結果、化合物1が、エフェクター細胞の、標的細胞に対するADCC活性を誘導し得ることが確認された。
[試験例4]
化合物2中のジスルフィド結合がIgGとの相互作用に重要であることを、該ジスルフィド結合を切断した化合物3を用いて、蛍光顕微鏡観察により確認した。
図7に示すとおり、化合物2を用いた場合には、FITCの蛍光(図7上段左)およびローダミンの蛍光(図7上段中央)が観察された。一方、化合物3を用いた場合には、ローダミンの蛍光は観察されたものの(図7下段中央)、FITCの蛍光は観察されなかった(図7下段左)。
この結果から、化合物2中のジスルフィド結合がIgGとの相互作用に重要であることが確認された。
化合物2中のジスルフィド結合がIgGとの相互作用に重要であることを、該ジスルフィド結合を切断した化合物3を用いて、蛍光顕微鏡観察により確認した。
図7に示すとおり、化合物2を用いた場合には、FITCの蛍光(図7上段左)およびローダミンの蛍光(図7上段中央)が観察された。一方、化合物3を用いた場合には、ローダミンの蛍光は観察されたものの(図7下段中央)、FITCの蛍光は観察されなかった(図7下段左)。
この結果から、化合物2中のジスルフィド結合がIgGとの相互作用に重要であることが確認された。
本発明の架橋剤は、標的分子とIgGとを架橋するために用いられる。架橋剤は、標的分子に免疫グロブリンを集積することが期待されるあらゆる分野に適用でき、特に、分子標的免疫治療薬、標識試薬として有用である。
Claims (20)
- 標的分子を認識する標的認識部(A)と免疫グロブリンのFc領域を認識するFc認識部(B)とを有し、
前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが結合してなる架橋剤。 - さらに連結部(C)を有し、
前記標的認識部(A)と前記Fc認識部(B)とが、前記連結部(C)を介して結合してなる、請求項1に記載の架橋剤。 - 前記Fc認識部(B)が、前記Fc領域における、Fcγ受容体を認識する部分を認識しない、請求項1または2に記載の架橋剤。
- 前記Fc認識部(B)が、Fc領域を認識するペプチド、アプタマー、低分子化合物、またはこれらの改変体により形成されてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 前記標的分子が、細胞またはウイルスの表面に存在する、タンパク質、糖鎖、脂質、またはこれらの複合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 前記標的認識部(A)が、低分子化合物、糖類、アプタマー、ペプチド若しくはタンパク質、または、標的分子を認識するこれらの改変体により形成されてなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 前記標的認識部(A)が、葉酸、または葉酸レセプターを認識する葉酸改変体により形成されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 前記連結部(C)が、親水性および屈曲性を有する、請求項2に記載の架橋剤。
- 前記連結部(C)が、分岐鎖を有していてもよい直鎖状炭化水素、ポリエチレングリコール、ペプチド、ヌクレオチド、またはこれらの改変体により形成されてなる、請求項2または8に記載の架橋剤。
- 前記標的分子と内在性IgGとを架橋するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 下式(1)で表される化合物からなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の架橋剤。
- さらに標識物質(D)を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の架橋剤。
- 下式(2)で表される化合物からなる、請求項12に記載の架橋剤。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の架橋剤を含有し、
免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子の存在下で用いることを特徴とし、
前記標的分子と前記Fc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに前記Fc領域ペプチドを有する分子を介して、前記標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させる、Fcγ受容体発現細胞集積剤。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の架橋剤を含有する、分子標的免疫治療薬。
- 抗腫瘍薬、抗感染症薬、または抗ウイルス薬である、請求項15に記載の分子標的免疫治療薬。
- 請求項12または13に記載の架橋剤を含有する、標識試薬。
- 手術中に前記標的分子を有する組織を標識するための、請求項17に記載の標識試薬。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の架橋剤を用いて、前記標的分子と前記免疫グロブリン中のFc領域ペプチドを有する分子とを架橋し、さらに前記Fc領域ペプチドを有する分子を介して、前記標的分子を有する組織に、Fcγ受容体発現細胞を集積させる、Fcγ受容体発現細胞集積方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の架橋剤を、疾患を有する動物に投与することを特徴とする、分子標的免疫治療方法。
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EP3574098A4 (en) * | 2017-01-30 | 2020-11-04 | Ofer Nussbaum | APPROPRIATE CHEMICAL ENTITIES FOR THERAPY |
WO2022004805A1 (ja) | 2020-06-30 | 2022-01-06 | 株式会社ガイアバイオメディシン | Nk細胞と抗体との結合を安定化する方法、及びその利用 |
-
2014
- 2014-11-07 JP JP2014227176A patent/JP2016088906A/ja active Pending
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EP3574098A4 (en) * | 2017-01-30 | 2020-11-04 | Ofer Nussbaum | APPROPRIATE CHEMICAL ENTITIES FOR THERAPY |
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