JP2016087820A - サファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル - Google Patents

サファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル Download PDF

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Abstract

【課題】サファイア単結晶などの硬脆性材料(単結晶ブール)から、円柱状のインゴットを削孔装置によって削孔し取り出すのに使用され、削孔作業時に摩擦抵抗を低減させることができ、また、削孔により発生するスラッジの排出性が良いサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルを提供する。
【解決手段】側面に螺旋状の溝30を形成した有底円筒型コアビット20の先端に被削孔物を切削するためのセグメントチップ50を複数個均等間隔で固着したサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル10であって、前記セグメントチップ50は、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有し、かつ、周方向には前記コアビットの螺旋状溝に向う溝が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、サファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルに関し、さらに詳しくは、サファイア単結晶などの硬脆性材料(単結晶ブール)から、円柱状のインゴットを削孔装置によって削孔し取り出すのに使用され、削孔作業時に摩擦抵抗を低減させることができ、また、削孔により発生するスラッジの排出性が良いサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルに関する。
サファイア基板となるウェハは、通常、サファイア単結晶ブールから切削加工した円柱状のインゴットを一定の厚みにスライスすることにより得られる。サファイア単結晶の育成は、通常CZ法(チョクラルスキー法)で行われるが、育成速度や得られる単結晶の品質面からa軸方向で育成されるため、c軸の円柱状ブロックを得るには、出来上がったa軸のブールを横方向から削孔する必要がある(例えば特許文献1参照)。
単結晶を加工するにはサファイア単結晶に限らず、削孔にはコアドリルを用いるのが一般的である。このコアドリルの円筒部はコアビットと呼ばれ、その先端には、被削孔物に切り込むためのセグメントチップが取り付けられており、セグメントチップの表面には、切削性を良くするためにダイヤモンド粒が固着されている。
ところが、従来のセグメントチップは、被削孔物であるサファイア単結晶ブールと接触する面が平坦で接触面積が広いため、図4(A)に示すように、ブールへの切り込み性が悪く横滑りしてしまったり、接触抵抗が大きいため、削孔速度が上げられないなどの問題があった。また、削孔時に発生するスラッジが削孔溝とコアドリルの間に詰まり、更にコアドリルの回転抵抗が大きくなり削孔中にコアドリルが過負荷で停止してしまう場合が多々あり、その都度、人手によりスラッジを排出して、削孔を再開させる必要があった。
このためコアドリルの先端に取り付けられているセグメントチップの接触抵抗を低減する技術や、スラッジを排出させる手段が適用された装置を使用することが考えられている。例えば、特許文献2には、コアドリルの円筒状のコアビットにスラッジを排出するための螺旋状の溝を設け、セグメントチップにもコアビットの螺旋状溝に向かって溝を設け、切削中にセグメントチップの溝からコアビットの溝へ、更にコアビットの溝から外部へスラッジが排出される方法が開示されている。
特許文献2に開示されたコアドリルを用いれば、削孔屑の詰まりや接触抵抗の問題は大きく改善されるが、セグメントチップは、接触抵抗を小さくするため、テーパー形状にして先端を細くしているために、セグメントチップ先端はダイヤモンド粒の固着性が悪く、磨耗も早いため、早期に切削性が低下してしまう。
そのため、頻繁にコアドリルを交換することになり、コアドリルの購入費用と交換の作業工数が増えて、コスト面で大きな問題を抱えており、当業界では、削孔性と切削屑排出性が高く、削孔性が長期で維持されるサファイア単結晶ブール切削加工用のコアドリルが必要とされている。
特開2008−971号公報 特開2002−239823号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、サファイア単結晶などの硬脆性材料(単結晶ブール)から、円柱状のインゴットを削孔装置によって削孔し取り出すのに使用され、削孔作業時に摩擦抵抗を低減させることができ、また、削孔により発生するスラッジの排出性が良いサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルを提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、コアビット先端に固着されるセグメントチップの形状と配置を種々検討する中で、セグメントチップの被削孔物と接触する切削面が平坦であると、削孔時の接触抵抗が大きくなることを究明し、切削面を曲面にすることで削孔時の接触抵抗を低減でき、かつ、特定の曲率半径を有すれば十分な接触面積があってダイヤモンド粒の固着性を損なわないので、セグメントチップを長寿命化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、側面に螺旋状の溝を形成した円筒型コアビットの先端に、被削孔物を切削するためのセグメントチップを複数個均等間隔で固着したサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルであって、
前記セグメントチップは、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有し、かつ、周方向には前記コアビットの螺旋状溝に向う溝が形成されていることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記セグメントチップ切削面の曲率半径Rが1.5〜2.5mmであることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記セグメントチップが、断面円形もしくは楕円形の円筒状または円柱状であることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1乃至3の発明において、前記セグメントチップの幅(断面円の直径で、断面が楕円なら長径)が、コアビットの縁よりも厚いことを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1乃至4の発明において、前記セグメントチップの高さ(断面円の直径で、断面が楕円なら短径)が、2.5〜5.0mmであることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1乃至5の発明において、前記セグメントチップの頂部が、平坦であることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1乃至6の発明において、前記セグメントチップ外面の溝が、前記円筒型コアビットの螺旋状の溝と連通し平行となる角度で形成されていることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルが提供される。
本発明のコアドリルは、コアビット先端のセグメントチップの切削面が所定の曲率半径の凸曲面になっているので、このコアドリルを用いれば、サファイア単結晶ブールとの接触抵抗が減少され、削孔速度が向上するとともに、ダイヤモンドの固着性も高いことから寿命が延びる。
また、コアビットの螺旋状の溝に向かうようにセグメントチップにも溝が設けられているので、このコアドリルを用いることで、削孔によって発生するスラッジが効率よく外部へ排出されるため、スラッジ詰まりによる削孔停止が無く、削孔中のスラッジ除去作業が不要になる。
本発明のコアドリルの外観を示す斜視図である。 本発明のコアドリルに固着されるセグメントチップの外観を示す斜視図であり、(A)は円筒状ネジ型、(B)は円柱型である。 コアドリルの先端をサファイア単結晶ブールの表面に当てたときの状態を模式的に示す説明図である。 図3を横方向から見たときの状態を模式的に示す説明図である。(A)は従来のコアドリルを用いた場合、(B)は本発明のコアドリルを用いた場合である。
本発明のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルについて、図面を用いて詳細に説明する。
本発明は、側面に螺旋状の溝を形成した有底円筒型コアビットの先端に被削孔物を切削するためのセグメントチップを均等間隔で複数個固着したサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルであって、前記セグメントチップは、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有し、かつ、周方向には前記コアビットの螺旋状溝に向う溝が形成されていることを特徴とする。
すなわち、図1は本発明の実施例として例示されたコアドリル10であり、スチール材から鋳造、鍛造、削穴などの作業を経て製造されたコアビット20と、その下部先端に、被削孔物を切削する複数個のセグメントチップと、他端中央にネジ固定部40とで構成されている。
1.有底円筒型コアビット
本発明のコアドリル10を構成するコアビット20は、下部が解放され、上部が閉鎖された円筒体であり、中央に切削装置に取り付けるためにネジ固定部40が形成される。
コアビット20の主要部である円筒体は、直径がサファイア単結晶ブールの直径よりも小さく、長さ(高さ)が、サファイア単結晶ブールの直径よりも大きいサイズを有しており、厚さが2〜5mmである。円筒体の直径(内径)がサファイア単結晶ブールの直径よりも大きいと、円形のウエハを得ることができず、また、長さ(高さ)が、サファイア単結晶ブールの直径よりも小さいと、サファイア単結晶ブールを切削しきれないことになる。好ましいのは、直径(内径)が100〜200mm、長さ(高さ)が、120〜250mm(ただし直径(内径)は長さ(高さ)より小さい)ものである。
また、前記ビット20の外径縁にはスラッジを排出させる螺旋形溝30が形成されている。溝の幅は特に制限されないが、セグメントチップの長さと同程度とし、例えば20〜30mmとすればよい。溝の数は特に制限されないが、セグメントチップの数と同程度とすればよく、例えば5〜10個とするのが好ましい。螺旋形溝30の幅が20mmよりも小さいか、溝の数が5個未満であるとスラッジを排出させる効果が低下することがある。
一方、前記螺旋形溝30の角度は、スラッジを排出させる効果があれば特に制限されないが、ドリル作業の種類によって変えることが望ましい。回転速度を速くする乾式ドリル作業では、螺旋形溝30の角度を30〜60°の範囲にすることによって切削粉の排出が急速に生じるようにし、また回転速度が乾式ドリル作業より低い湿式ドリル作業では、安定的なスラッジの排出を誘導するために5〜30°の範囲にするのが好ましい。
2.セグメントチップ
セグメントチップは、被削孔物のサファイア単結晶ブールを切削するためのスチール製の部材であって、鋳造あるいは鍛造でブロック状にするか、線状体を引き延ばした後、ネジ切り、切削などの機械加工をして製造される。セグメントチップの切削面となる表面には、砥粒としてダイヤモンドを主材料とした粒子が固着され、前記有底円筒型コアビットの解放端に溶接により複数個均等間隔で固着される。
前記セグメントチップは、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有し、かつ、周方向には前記コアビットの螺旋状溝に向う溝が形成されている。切削面が従来のように平坦であると、被削孔物であるサファイア単結晶ブールと接触する面の接触面積が広いため、図4(A)に示すように、先端50’のいずれかが被削孔物100に当たらないことがあり、ブールへの切り込み性が悪く横滑りしてしまったり、接触抵抗が大きいため、削孔速度が上げられない。また、切削面の曲率半径Rが1.5mm未満では、ダイヤモンド粒子の固着性が悪く摩耗も早くなり、5.0mmを超えると切削性の割にダイヤモンド粒子の量が多くなりコスト面でも好ましくない。
本発明では前記セグメントチップ切削面の曲率半径Rが、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。切削厚さ面が、この範囲の曲率半径Rであると、図4(B)に示すように、被削孔物100に位置決めをするとき先端50が被削孔物100表面に当たり、かつ接触抵抗を減少させることができる。
前記セグメントチップの幅、すなわち断面円の直径(断面が楕円なら長径)は、コアビットの縁よりも厚いことが必要である。幅が、コアビットの縁よりも薄いと、コアビットの縁でつかえてしまい、それ以上切削が進まない。
セグメントチップ50の外観は、切削面が曲面であれば板状でもよいが、図2に示されたような、断面円形もしくは楕円形の円筒状または円柱状であることが好ましい。円筒状であると空洞部に空気あるいは冷却材が入るのでセグメントチップの過熱を抑制することができる。前記セグメントチップの頂部は、前記有底円筒型コアビットの解放端に溶接されるために、平坦であることが機械的強度を高める意味で好ましい。前記セグメントチップの高さは、2.5〜5.0mmであることが好ましい。高さが2.5mm未満であると溶接が困難になり、5.0mmを超えると機械的強度が低下することがある。
セグメントチップの長さは特に制限されないが、ビット20の溝30の長さと同程度とし、例えば20〜30mmとすればよい。セグメントチップの個数は、特に制限されないが、ビット20の溝の数と同程度とし、例えば5〜10個とすればよい。好ましいのは6〜8個である。
セグメントチップの長さが20mm未満、あるいはセグメントチップの数が5個未満であると、切削効率が低下することがあり、セグメントチップの幅が30mmを超えるか、あるいはセグメントチップの数が10個を超えると、切削効率の割にダイヤモンド粒の量が増えるのでコスト面で好ましくない。
前記螺旋状の溝付き円筒型セグメントチップ50は、ビット20の溝にあわせて一定間隔を保って固着される。すなわち、図1に示されたようにビット20には下から上に一定間隔をおいて螺旋形溝30が形成されるが、螺旋形溝30の全てのスタート点がビット20に付着されたセグメントチップ50から始まるように構成される。前記のように円筒型セグメントチップ50の先端を被削孔物100に位置決めをするとき、被削孔物100との摩擦抵抗が減少されて位置決めが容易になり、作業性を大幅に改善できるようになる。セグメントチップ50に形成された溝60の幅は、螺旋形溝30の幅と同一に設計するのが望ましいが、使用条件に応じて幅を大きくするか、小さくすることができる。
前記セグメントチップ外面の溝60が、前記円筒型コアビットの螺旋状の溝30と連通し平行となる角度で形成されていることが好ましい。本発明によれば、被削孔物100から切削される切削粉が、前記螺旋形溝30と60によって円滑に排出されるので、コアドリル10に摩擦を増加させることなく、コアドリル10の速度を安定的に維持させることができるので、作業速度を速くして作業効率を高められるようになる。
なお、円筒状あるいは円柱状側面に形成された溝60と螺旋形溝30とが互いに連結されていると、スラッジの排出がより良好になって作業性を一層改善できるようになる。
そして、前記セグメントチップの溝60の角度は、図2(A)に図示されたようにビットの螺旋形溝30と同一にするのが最も望ましい。
一方、前記螺旋形溝30の角度は、ドリル作業の種類によって異なり、回転速度を速くする乾式ドリル作業では、螺旋形溝30の角度を30〜60°の範囲にすることによって切削粉の排出が急速に生じるようにするのが望ましく、回転速度が乾式ドリル作業より低い湿式ドリル作業では、安定的なスラッジの排出を誘導するために5〜30°の範囲にするのが望ましい。
3.切削装置
本発明では、切削装置として、加工対象となるサファイア単結晶ブール(インゴット)を所望の位置に固定することのできるテーブルと、サファイア単結晶ブールを削孔するための前記コアビットと、そのコアビットを回転させるためのモーターと、該モーターを上下動可能に支持する支柱とを備えるものが適用できる。
そして、コアビットとしては、前記した所定の直径と長さとを有する円筒形ビットと、前記ビットの下部に被削孔物を切削するセグメントチップが一定間隔で複数個が固着され、該セグメントチップ切削面が被削孔物との摩擦抵抗が減少されるように特定の曲率半径となり、その側面には螺旋状の溝が形成されたものを使用する。
本発明に係る切削装置によれば、前記コアビットでサファイア単結晶ブールを削孔する際に、該ブールを前記テーブル上で削孔方向に対して所定の角度をなすように固定することができ、これにより削孔の方向を設定することができる。
また、この製造装置においては、必須ではないが、テーブルに、削孔加工されるサファイア単結晶インゴットに切削水を供給する給水手段を備えることが好ましい。これは、削孔加工時のコアビット及びサファイア単結晶ブールの摩擦熱による過熱防止と、削孔加工に伴って生じる切削粉の排出のために有用である。給水手段としては、被加工物に向けられたホース及び給水ポンプが用いられる。なお、給水手段を設ける場合は、これにより洗い流される切削粉を、切削水と共に吸引する排水手段も設けることが好ましい。
更に、この切削装置においては、装置全体または少なくとも一部(所要範囲)を開閉可能なカバーで覆うようにすることが好ましい。これは、削孔作業時に切削粉を含んだ切削水の周囲への飛散を防止するのに役立つ。このカバーは、外部から削孔作業が観察できるように、透明素材で構成されるのが好ましい。
4.切削方法
本発明は、硬脆性材料であるサファイア単結晶ブールからコアドリルを用いて円筒状のブロックを削孔加工する際に、上記のように構成されている特定のコアビット20を用いて、サファイア単結晶ブールとの接触抵抗を減少させることにより、削孔加工性を向上させ、セグメントチップ50から切削されたスラッジが、セグメントチップ面に設けられた螺旋状の溝60からビット側面に設けられた螺旋状の溝30へ流れ移動することで、排出を容易にし、セグメントチップ50とサファイア単結晶ブール100との接触抵抗を抑えると共に削孔性を向上させる方法である。
本発明では、上記切削装置を用いて、サファイア単結晶ブール(インゴット)からブロックを切り出すに当たり、予め用意されたサファイア単結晶ブールを横向きに固定プレート上に固定し、ボールネジハンドル装置を適宜操作してスライドテーブルを移動させ、サファイア単結晶ブールの所定部位がコアビットの直下に来るように調整する。そして、固定ボルトを緩めた状態でレベル調整ボルトを適宜進退させ、コアビットによる削孔の方向が、サファイア単結晶ブールの結晶成長方向(結晶方位)に対して所定の角度をなすように調整した後、固定ボルトを締め付けて、サファイア単結晶ブールの取り付けを完了する。
この削孔の方向については、サファイア単結晶ブールの結晶方位と加工後の単結晶ブロックの目的とする方位との関係により定められる。例えば、a軸配向のサファイア単結晶ブールからc軸配向の単結晶ブロックを切り出す場合には、サファイア単結晶ブールの結晶成長方向に対して削孔方向が垂直となるように設定する。
こうして、スライドテーブル上にサファイア単結晶ブールを固定した後、モーターを回転制御し、ボールねじ及びフレームを介して削孔ユニットを上下動させ、コアビットの先端がサファイア単結晶ブールの頂面に隣接するよう位置決めする。このようにコアビットを位置決めした後、送り装置を操作し、コアビットを所定の速度で下降させることにより、所望の結晶方位を有するサファイア単結晶ブロックを容易に切り出すことができる。加工中、コアビット及びサファイア単結晶ブールの削孔部分に、給水管より切削水を噴射すると、この削孔部分の加熱が防止されると共に切削粉が排除され、クラック発生等の懸念がなく良好な加工精度が維持される。
サファイア単結晶ブールとしては、CZ法(チョクラルスキー法)により育成したインゴットを主に説明したが、EFG法(Edge−defined Film−fed. Growth Method)などにより育成されるリボン状のものにも適用できる。これらサファイア単結晶の育成では、原料として高純度の酸化アルミニウム粉粒を用いるが、2000℃を超える高温で溶融する時に撹拌により気泡を巻き込んだり、原料中に内在していたガスが育成される結晶にも取り込まれることがあり、微細なバブルやクラックとなることがある。これは外部から目視しても確認しにくかった。そのため、従来のタイプの先端が鋭利なセグメントチップを取り付けたコアドリルを用いると、単に外面が粗雑化するだけでなく、高速で回転させるので、結晶中の微細なバブルやクラックに対して衝撃が大きく伝わり結晶の品質を低下させやすかった。
これに対して、本発明では、前記のとおり、側面に螺旋状の溝を形成した有底円筒型コアビットの先端に、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有しているセグメントチップを、均等間隔で複数個固着したコアドリルを用いることから、回転速度も適切であり、切削された外面の粗雑化を抑えるだけでなく、結晶中の微細なバブルやクラックに対して従来よりも衝撃が伝わりにくくなるため結晶の品質低下を抑制させやすくなる。
以下、本発明をより具体的な実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
まず、モリブデン製るつぼに粉末状の酸化アルミニウム原料を入れ、2100℃に加熱溶融し、CZ法(チョクラルスキー法)により直径200mmでa軸方向に育成されたサファイア単結晶ブールを準備した。
次に、厚み3.5mm、内径155mmのコアドリルを用いてc軸方向に削孔して、直径154.5mmの円柱状サファイアインゴットを作製した。
使用したコアドリルのコアビット部の内面と外面には、45°の角度で深さ2mmの螺旋状の溝がセグメントチップと同数以上形成されており、コアビットの先端には、被削孔体側に曲率半径Rが1.5mmの凸で長さ25mmの円筒状のセグメントチップ8個を等間隔で取り付けた。このセグメントチップには、コアビットの螺旋状の溝と平行になるよう45°の角度で深さ約1mmの螺旋状の溝を形成した。セグメントチップの表面には、平均粒径50μmのダイヤモンド砥粒を固着した。
このコアドリルを使用し、回転速度300rpm、送り速度1mm/minで削孔を開始し、回転数を変更しながら送り速度を上げ、過負荷でコアドリルが停止せずに削孔できた最大の送り速度とその時のコアドリルの回転数を確認した。
上記の要領で、サファイア単結晶ブールに対して、コアドリルの回転数が300rpmで、送り速度が1mm/minでの削孔を繰り返した。送り速度が1mm/minに達することが出来なくなるまでの繰り返し回数(使用可能回数)を数え、この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したが、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されなかった。
(実施例2)
被削孔体側に曲率半径Rが5.0mmの凸で長さ25mmの円筒状のセグメントチップ8個を等間隔でコアビットの先端に取り付けたコアドリルを使用した以外は、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したが、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されなかった。
(実施例3)
被削孔体側に曲率半径Rが2.5mmの凸で長さ25mmの円筒状のセグメントチップ8個を等間隔でコアビットの先端に取り付けたコアドリルを使用し、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したが、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されなかった。
(実施例4)
被削孔体側に曲率半径Rが2.5mmの凸で長さ25mmの円柱状のセグメントチップ8個を等間隔でコアビットの先端に取り付けたコアドリルを使用し、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したが、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されなかった。
(実施例5)
被削孔体側に先端の曲率半径Rが2.5mmの凸で長さ25mmの板状のセグメントチップ8個を等間隔でコアビットの先端に取り付けたコアドリルを使用し、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したが、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されなかった。
(比較例1)
特許文献1の図2aと同様の形状、すなわち厚み2.5mm、高さ10mm、幅25mmの板状で、被削孔物側の先端の厚みが0.2〜0.5mmかつ角度が35°のテーパーのセグメントチップを用いて、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したところ、その一部に結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下が確認された。
(比較例2)
特許文献1の図2eと同様の形状、すなわち厚み2.5mm、高さ10mm、幅25mmの板状で、被削孔物側の先端の厚みが0.2〜0.5mmかつ角度が35°のテーパーのセグメントチップを用いて、実施例1と同様の試験を実施した。なお、切り出したサファイア単結晶ブロックを目視したところ、その一部に結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下が確認された。
(比較例3)
セグメントチップ切削面の曲率半径を1.0mmにした以外は、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
(比較例4)
セグメントチップ切削面の曲率半径を1.0mmにした以外は、実施例5と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
(比較例5)
セグメントチップ切削面の曲率半径を5.5mmにした以外は、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
(比較例6)
セグメントチップ切削面の曲率半径を5.5mmにした以外は、実施例5と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
(比較例7)
螺旋状の溝が無いコアビットを用いた以外は、実施例1と同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
(比較例8)
セグメントチップに溝を形成していないこと以外は、実施例1同様の試験を実施した。この結果を表1に示した。
Figure 2016087820
「評価」
上記表1の実施例1〜5から明らかなように、本発明のコアドリルを用いることで、3.0mm/min以上の高い送り速度でサファイアを削孔することができるので、サファイアインゴットの生産性が向上し、さらに、セグメントチップの劣化が少なく、コアドリルの寿命を長くすることできるため、経済的である。しかも、切り出したサファイア単結晶ブロックには、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下は確認されず、これを用いて得られるウエハの品質も向上しうる。
これに対して、従来のタイプのセグメントチップを取り付けたコアドリルを用いた比較例1,2では、高い送り速度でサファイアを削孔することができ回転速度も上げられるものの、サファイアインゴットの切削時にダイヤモンドが早く摩耗し、セグメントチップの劣化により、コアドリルの寿命が短くなった。しかも、切り出したサファイア単結晶ブロックには、結晶内部の微細なバブルやクラックに起因すると思われる品質の低下が確認され、これから得られるウエハの品質も低下してしまう。
また、比較例3〜6では、セグメントチップの曲率半径が本発明から外れたために、比較例1,2と同様に、サファイアインゴットの切削時にダイヤモンドが早く摩耗し、セグメントチップの劣化につながるか、曲率半径が大きすぎた場合には、回転速度を上げられず、生産性が低下している。
さらに、螺旋状の溝がないコアビットを用いた比較例7は、送り速度、回転速度共に上げられず、コアドリルの寿命も短かった。セグメントチップの切削面に溝がない比較例8は、送り速度、回転速度、コアドリルの寿命のすべてで実施例1の値より小さかった。コアビット側面の螺旋状の溝、およびセグメントチップの切削面の溝がないと、削孔を効率よく行えず、かつコアドリルの寿命も短く、生産性が著しく低いことが明らかである。
本発明のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルは、サファイア単結晶などの硬脆性材料から、円柱状の単結晶ブロックを削孔装置によって削孔し取り出すのに使用でき、削孔により得られた円柱状のブロックは、薄いウエハとして切り出すことにより発光ダイオードなどの基板として使用することができる。
10・・・コアドリル
20・・・ビット
30・・・溝
40・・・ネジ固定部
50・・・セグメントチップ
60・・・溝
100・・被削孔物(サファイア単結晶ブール)

Claims (7)

  1. 側面に螺旋状の溝を形成した有底円筒型コアビットの先端に、被削孔物を切削するためのセグメントチップを複数個均等間隔で固着したサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリルであって、
    前記セグメントチップは、曲率半径Rが1.5〜5.0mmである曲面の切削面を有し、かつ、周方向には前記コアビットの螺旋状溝に向う溝が形成されていることを特徴とするサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  2. 前記セグメントチップ切削面の曲率半径Rが、1.5〜2.5mmであることを特徴とする請求項1に記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  3. 前記セグメントチップが、断面円形もしくは楕円形の円筒状または円柱状であることを特徴とする請求項1または2に記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  4. 前記セグメントチップの幅(断面円の直径で、断面が楕円なら長径)が、コアビットの縁よりも厚いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  5. 前記セグメントチップの高さ(断面円の直径で、断面が楕円なら短径)が、2.5〜5.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  6. 前記セグメントチップの頂部が、平坦であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
  7. 前記セグメントチップ外面の溝が、前記円筒型コアビットの螺旋状の溝と連通し平行となる角度で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサファイア単結晶ブールの切削加工用コアドリル。
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WO2022001915A1 (zh) * 2020-07-01 2022-01-06 桂林创源金刚石有限公司 一种低压内供水薄壁钻头
TWI795406B (zh) * 2017-07-18 2023-03-11 瑞士商柯瑪豆股份有限公司 使用金剛線切割至少一個晶體人造剛玉的方法及其對於製造複數個鐘錶晶體的應用

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