JP2016087247A - 音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブ、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡ならびに音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法 - Google Patents

音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブ、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡ならびに音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低い音響波減衰量を維持したまま、シリコーン樹脂の硬度及び機械強度を大幅に向上させる音響波プローブ用組成物、音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブ、音響波測定装置及び超音波診断装置並びに音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法及びcMUT(容量性マイクロマシン超音波振動子)を超音波診断用トランスデューサとして用いる超音波プローブ、光音響波測定装置及び超音波内視鏡における感度を向上する、音響波プローブ用組成物及び音響波プローブ用シリコーン樹脂を提供する。【解決手段】ポリシロキサン混合物中に、ポリシロキサン、有機過酸化物および平均一次粒子径が12nm未満のシリカを少なくとも含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、音響波プローブ用組成物ならびにこれを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブに関する。さらに、本発明は、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡に関する。また、本発明は音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法に関する。
音響波測定装置においては、音響波を対象物に照射し、その反射波(エコー)を受信して信号を出力する音響波プローブが用いられる。この音響波プローブで受信した反射波から変換された電気信号に基づき、画像として表示することにより、対象物内部が映像化して観察される。
音響波としては、超音波や光音響波など、被検対象や測定条件などに応じて適切な周波数が選択される。
例えば、超音波診断装置は、被検体内部に向けて超音波を送信し、被検体内部の組織で反射された超音波を受信し、画像として表示する。光音響波測定装置は、光音響効果によって被検体内部から放射される音響波を受信し、画像として表示する。光音響効果とは、可視光、近赤外光、マイクロ波等の電磁波パルスを被検体に照射した際に、被検体が電磁波を吸収して発熱し熱膨張することにより、音響波(典型的には超音波)が発生する現象である。
音響波測定装置は、生体との間で音響波の送受信を行うため、生体との音響インピーダンスの整合性や、低い音響波減衰量といった要件を満たすことが求められる。
例えば、音響波プローブの一種である超音波診断装置用探触子(超音波プローブとも称される)は、超音波を送受信する圧電素子と生体に接触する部分である音響レンズを備える。圧電素子から発せされた超音波は音響レンズを透過して生体に入射される。音響レンズの音響インピーダンス(密度×音速)と生体の音響インピーダンスとの差が大きいと、超音波が生体表面で反射されるため、効率良く生体内に入射されず、高い分解能を得ることが困難である。また、超音波を高感度で送受信するためには、音響レンズの超音波減衰量は小さいことが望まれる。
このため、音響レンズの材料として、生体の音響インピーダンス(1.4〜1.7×10kg/m/sec)に近く、超音波減衰量の小さいシリコーン樹脂が主に用いられている(特許文献1参照)。
また、音響レンズは、被検体に当接して使用するものであるため、長期使用に耐え得る機械強度が求められる。そのため、特許文献2においては、音響レンズ特性(音響インピーダンス、超音波減衰量、機械強度等)を満たす音響レンズ用組成物として、シリコーンゴム、シリカで被膜された金属酸化物粒子を含む組成物が提案されている。
特開昭62−089765号公報 特開2011−072702号公報
シリコーン樹脂は、単独では柔らかく機械強度が低いため、硬度および機械強度の向上を目的として、両末端ビニルシリコーン樹脂の分子量を大きくしつつ、シリカ等の無機フィラー(無機充填剤とも称される)やビニル基含有レジン(補強剤とも称される)を配合することが行われている。しかしながら、必要とされる機械強度を達成しようとすると、シリコーン樹脂に対する無機フィラーやビニル基含有レジンの添加量は必然的に多くなり、逆に音響波減衰量の大きいシリコーン樹脂になってしまうという問題があった。
そのため、これまでのシリコーン樹脂は、高い樹脂硬度および機械強度ならびに低い音響波減衰量のいずれをも高いレベルで満足することは困難であった。
従って、本発明では、上記事情に鑑みて、低い音響波減衰量を維持したまま、シリコーン樹脂の硬度および機械強度を大幅に向上させることができる音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブ、音響波測定装置および超音波診断装置ならびに音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
また、感度が不十分である容量性マイクロマシン超音波振動子(cMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)を超音波診断用トランスデューサアレイとして用いる超音波プローブ、光音響波によって発生する超音波量が僅かであるため感度が低く、人体深部の観察が困難である光音響波測定装置、および、信号線ケーブルが体表用と比べて長いために感度が低く、構造・物理特性・プロセス適性上感度向上が困難である超音波内視鏡において、感度を向上させることが可能な、音響波プローブ用組成物および音響波プローブ用シリコーン樹脂を提供することも課題とする。
本発明者らは、シリコーン樹脂に添加するシリカについての検討を行った結果、特定の粒子径のシリカ粒子を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>ポリシロキサン混合物中に、ポリシロキサン、有機過酸化物および平均一次粒子径が12nm未満のシリカを少なくとも含有する音響波プローブ用組成物。
<2>ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、平均一次粒子径が12nm未満のシリカを0.1〜30質量部含有する<1>に記載の音響波プローブ用組成物。
<3>ポリシロキサンが、ビニル基含有ポリシロキサンである<1>または<2>に記載の音響波プローブ用組成物。
<4>平均一次粒子径が12nm未満のシリカが、シラン化合物で表面処理されたものである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<5>平均一次粒子径が12nm未満のシリカが、トリメチルシリル化剤で表面処理されたものである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<6>ポリシロキサンの質量平均分子量が、20,000〜1,000,000である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<7>ポリシロキサンの質量平均分子量が、40,000〜300,000である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物を硬化してなる音響波プローブ用シリコーン樹脂。
<9> <8>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズおよび/または音響整合層を有する音響波プローブ。
<10>超音波トランスデューサアレイとしての容量性マイクロマシン超音波振動子、および、<8>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える超音波プローブ。
<11> <9>に記載の音響波プローブを備える音響波測定装置。
<12> <9>に記載の音響波プローブを備える超音波診断装置。
<13> <8>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える光音響波測定装置。
<14> <8>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える超音波内視鏡。
<15>ポリシロキサンおよび平均一次粒子径が12nm未満のシリカを少なくとも含有するポリシロキサン混合物に、有機過酸化物を加えて音響波プローブ用組成物とした後、音響波プローブ用組成物を硬化する音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法。
本明細書の各一般式において、特に断りがない限り、複数存在する同一符号の基がある場合、これらは互いに同一であっても異なってもよく、また、各基で特定する基(例えば、アルキル基等)はさらに置換基で置換されていてもよい。
また、本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
なお、本明細書における質量平均分子量は、特に断りのない限り、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)による測定値(ポリスチレン換算)である。
本発明により、低い音響波(特に好ましくは超音波)減衰量を維持したまま、シリコーン樹脂の硬度と機械強度を大幅に向上することが可能な音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブ、音響波測定装置および超音波診断装置ならびに音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法を提供することができる。
また、cMUTを超音波診断用トランスデューサアレイとして用いる超音波プローブ、光音響波測定装置および超音波内視鏡における感度を向上させることが可能な音響波プローブ用シリコーン樹脂を提供することができる。
このような効果は、平均一次粒子径の小さいシリカが、音響波プローブ用シリコーン樹脂に機械的応力が加わった際にストッパーとして機能するためと考えられる。特に、平均一次粒子径が小さいことで粒子間距離が小さくなるため、ストッパーとしての機能をより発揮し、シリコーン樹脂の引裂強度が大幅に向上するものである。
この結果、音響波減衰量の上昇が抑制され、かつ音響波プローブ用シリコーン樹脂の硬度および機械強度が向上するものと思われる。
音響波プローブの一態様であるコンベックス型超音波プローブについての斜視透過図である。
<<音響波プローブ用組成物>>
本発明の音響波プローブ用組成物(以下、単に組成物とも称す。)は、ポリシロキサン混合物中に、ポリシロキサン(A)(以下、ポリオルガノシロキサン(A)とも称す。)、有機過酸化物(B)および平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)を少なくとも含有する。
以降、ポリオルガノシロキサン(A)、有機過酸化物(B)および平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)について順に詳細を記載する。
<ポリオルガノシロキサン(A)>
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、有機過酸化物(B)によるラジカル硬化反応で架橋されるミラブル型シリコーンであればどのようなポリオルガノシロキサンでも構わない。
ここで、ミラブル型シリコーンとは、硬化前の状態が天然ゴムまたは通常の合成ゴムの未加硫配合ゴムに類似し、練りロール機、密閉式混合機などで可塑化・混合を行なうことが可能なものの総称であり、硬化前の状態がペーストまたは液状である液状シリコーンと区別されるものである。
以下に、具体的なミラブル型シリコーンについて、直鎖状および分岐状のポリオルガノシロキサンを例に、説明する。
なお、ポリオルガノシロキサン(A)は、以下に記載するポリオルガノシロキサンに限定されるものではなく、例えば、一部に分岐状構造を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンでもよい。
[直鎖状ポリオルガノシロキサン]
直鎖状ポリオルガノシロキサンは、下記一般式(A1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016087247
一般式(A1)において、Ra1は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、Ra2およびRa3は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基または−O−Si(Ra5(Ra4)を表す。Ra4およびRa5は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。x1およびx2は各々独立に1以上の整数を表す。ここで、複数のRa1、複数のRa2、複数のRa3、複数のRa4および複数のRa5は各々において、互いに同一でも異なってもよい。また、Ra1〜Ra5の各基はさらに置換基で置換されていてもよい。
a1〜Ra5におけるアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が特に好ましい。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルへキシル、n−デシルが挙げられる。
a1〜Ra5におけるシクロアルキル基の炭素数は3〜10が好ましく、5〜10がより好ましく、5または6さらに好ましい。また、シクロアルキル基は、3員環、5員環または6員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシルが挙げられる。
a1〜Ra5におけるアルケニル基の炭素数は2〜10が好ましく、2〜4がより好ましく、2がさらに好ましい。アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、ブテニルが挙げられる。
a1〜Ra5におけるアリール基の炭素数は6〜12が好ましく、6〜10がより好ましく、6〜8がさらに好ましい。アリール基は、例えば、フェニル、トリル、ナフチルが挙げられる。
これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。このような置換基は、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基が挙げられる。
置換基を有する基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
a1は、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基またはビニル基がより好ましく、メチル基またはビニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましく、2つのRa1が共にビニル基であることが最も好ましい。
a2およびRa3は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基またはフェニル基がより好ましく、メチル基またはビニル基がさらに好ましい。
a2はなかでもメチル基が好ましい。Ra3はなかでも、Ra1がビニル基でない場合はビニル基が好ましく、2つのRa1が共にビニル基である場合はメチル基が好ましい。
−O−Si(Ra5(Ra4)で表される基は、−O−Si(CH(CH=CH)が好ましい。
x1は200〜3000の整数が好ましく、400〜2000の整数がより好ましい。
x2は、1〜1000の整数が好ましく、40〜700の整数がより好ましい。
直鎖状ポリオルガノシロキサンは、なかでも分子鎖中に1個以上のビニル基を有することが好ましく、分子鎖中に2個以上のビニル基を有することがより好ましい。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしては、例えば、少なくとも分子鎖末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサン、または分子鎖中にビニル基もしくは−O−Si(CH(CH=CH)を少なくとも1つ有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
なかでも、少なくとも分子鎖末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサンが好ましく、少なくとも分子鎖両末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサンがより好ましい。
重合度および比重は、特に限定されるものではない。なお、得られる音響波プローブ用シリコーン樹脂(以下、単にシリコーン樹脂とも称す。)の機械的特性、硬度、化学的安定性等の向上の点から、重合度は200〜3000が好ましく、400〜2000がより好ましく、比重は0.9〜1.1が好ましい。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンの質量平均分子量は、機械的強度、硬度、加工のしやすさの点から、20,000〜1,000,000が好ましく、40,000〜300,000がより好ましく、45,000〜250,000がさらに好ましい。
質量平均分子量は、例えば、GPC装置HLC−8220(東ソー株式会社製)を用意し、溶離液としてトルエン(湘南和光純薬株式会社製)を用い、カラムとしてTSKgel(登録商標)G3000HXL+TSKgel(登録商標)G2000HXLを用い、温度23℃、流量1mL/minの条件下、RI検出器を用いて測定することができる。
25℃における動粘度は、1×10−5〜10m/sが好ましく、1×10−4〜1m/sがより好ましく、1×10−3〜0.5m/sがさらに好ましい。
少なくとも分子鎖両末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサンは、例えば、Gelest社製の商品名、DMSシリーズ(例えば、DMS−V31、DMS−V31S15、DMS−V33、DMS−35、DMS−35R、DMS−V41、DMS−V42、DMS−V46、DMS−V51、DMS−V52)、Gelest社製の商品名、PDVシリーズ(例えば、PDV−0341、PDV−0346、PDV−0535、PDV−0541、PDV−01631、PDV−01635、PDV−01641、PDV−2335、PMV−9925、PVV−3522、FMV−4031、EDV−2022)が挙げられる。
なお、DMS−V31S15は、予めフュームドシリカが配合されているため、特別な装置での混練は不要である。
[分岐状ポリオルガノシロキサン]
分岐状ポリオルガノシロキサンは、下記一般式(A2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016087247
一般式(A2)おいて、R〜Rは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基または−O−Si(R(R)を表す。RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。mは1以上の整数を表し、nは0または1〜5の整数を表す。ここで、複数のR、複数のR、複数のR、複数のR、複数のR、複数のRおよび複数のmは各々において、互いに同一でも異なってもよく、また、R〜Rの各基はさらに置換基で置換されていてもよい。
一般式(A2)おいて、nが0であるポリオルガノシロキサンは、下記一般式(a2)で表すことができる。
Figure 2016087247
一般式(a2)おいて、R〜Rは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基または−O−Si(R(R)を表す。RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。mは1以上の整数を表す。ここで、複数のR、複数のR、複数のR、複数のR、複数のRおよび複数のmは各々において、互いに同一でも異なってもよく、また、R〜Rの各基はさらに置換基で置換されていてもよい。
一般式(A2)および(a2)において、R〜Rにおける上記の各基は、一般式(A1)におけるRa2〜Ra5における対応する基と同義であり、好ましい範囲も、対応する基と同じである。
なお、複数のRおよびRのうち少なくとも2つ以上がビニル基であることが好ましく、複数のRのうち少なくとも2つ以上がビニル基であることがより好ましい。
一般式(A2)および(a2)におけるn、mおよび質量平均分子量は、特に限定されるものではなく、25℃における動粘度が生ゴム状であるミラブル型シリコーンであればよい。
具体的な動粘度の値は、直鎖状ポリオルガノシロキサンで記載した動粘度の好ましい範囲と同じである。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、分子鎖中に1個以上のビニル基を有するビニル基含有ポリシロキサンが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)がビニル基を有する場合のビニル基の含有量は、特に限定されない。なお、有機過酸化物(B)による十分なネットワークを形成する観点から、例えば、0.01〜5モル%であり、好ましくは0.05〜2モル%である。
ここで、ビニル基の含有量とは、ポリオルガノシロキサン(A)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%であり、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであるとする。
なお、ユニットとは、主鎖を構成するSi−O単位および末端のSiを言う。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、2種以下が好ましく、1種単独がより好ましい。
<有機過酸化物(B)>
本発明における有機過酸化物(B)は、分子内に−O−O−結合を有する、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタールおよびケトンパーオキサイド等の通常用いられる有機過酸化物が挙げられる。
具体的には、以下の有機過酸化物が挙げられる。
・ハイドロパーオキサイド:p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドおよびt−ブチルハイドロパーオキサイド等
・ジアルキルパーオキサイド:ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(4−クロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドおよび2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン等
・パーオキシエステル:t−ブチルパーオキシベンゾエート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキシルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ビス(ベンソイルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートおよびt−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート等
・ジアシルパーオキサイド:ジイソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ビス(3−カルボキシプロピオニル)パーオキサイド、ビス(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−メチルベンゾイル)パーオキサイドおよび1,6−ヘキサンジオール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)等
・パーオキシジカーボネート:ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートおよびジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等
・パーオキシケタール:1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートおよび2,2−ビス(4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等
・ケトンパーオキサイド:メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドおよびアセチルアセトンパーオキサイド等
これらの有機過酸化物のなかでも半減期分解温度が加工温度に適合することから、10時間半減期分解温度が100℃〜120℃のものが好ましく、具体的には、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ビス(ベンソイルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンまたはn−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートが好ましい。
なお、有機過酸化物は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物(B)の添加量は、ポリオルガノシロキサン(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。
添加量が上記範囲内にあることで、架橋反応が十分に進行し、シリコーン樹脂の硬度低下やゴム強度不足、圧縮永久歪増大等の物性悪化が抑制される。また、経済的にも好ましく、硬化剤の分解物の発生が抑えられることで、圧縮永久歪増大等の物性悪化や得られたシリコーン樹脂シートの変色が抑制される。
<平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)>
本発明における平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)(以下、単にシリカ粒子(C)とも称す。)は、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度の向上、特に引裂強度の向上を目的として添加される成分である。
本発明においては、シリカ粒子(C)の平均一次粒子径を12nm未満と小さくすることにより、音響波減衰量の上昇が抑制され、かつシリコーン樹脂の引裂強度を向上させることが可能になったものと思われる。
すなわち、機械的応力によるシリコーン樹脂のクラックが、微細なシリカ粒子(C)がストッパーとして機能することで抑制されていると考えられる。特に、平均一次粒子径が小さいことで粒子間距離が小さくなるため、ストッパーとしての機能をより発揮し、シリコーン樹脂の引裂強度が大幅に向上するものと推定される。
また、高分子量のビニルシリコーンを用いることで、さらに引裂強度を大幅に向上するものと推定される。
ポリシロキサン混合物の合計100質量部中の、本発明におけるシリカ粒子(C)の含有量は、0.1〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
シリカ粒子(C)としては、例えば、フュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、ビニル基含有シリコーンレジンが挙げられる。シリカ粒子(C)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるシリカ粒子(C)の平均一次粒子径は、シリコーン樹脂の音響波減衰量の上昇を抑制し、かつ引裂強度を向上させる観点から12nm未満であり、3nmを超え12nm未満が好ましく、3nmを超え10nm未満がより好ましい。なお、平均一次粒子径が小さいほど引裂強度が高く、かつ音響波感度に優れるため、好ましい。
なお、平均一次粒子径は、シリカ粒子の製造メーカーのカタログに記載されている。ただし、カタログに平均一次粒子径が記載されていないもの、または、新たに製造したものは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)により測定した粒子径を平均することで求めることができる。すなわち、TEMにより撮影した電子顕微鏡写真の1つの粒子について、短径と長径を測定し、その平均値を1つの粒子の粒子径として求める。本明細書においては、300個以上の粒子の粒子径を平均し、平均一次粒子径として求める。
本発明におけるシリカ粒子(C)は、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度の向上の点から、比表面積は50〜400m/gが好ましく、100〜400m/gがより好ましい。
本発明におけるシリカ粒子(C)は、粒子の表面が表面処理されたシリカ粒子が好ましい。表面処理としては、飽和脂肪酸やシランで処理されたシリカ粒子が好ましく、なかでもシラン処理されたシリカ粒子が好ましい。
シラン処理は、シランカップリング剤でシリカ粒子表面を処理することが好ましい。シリコーン樹脂の硬度や機械強度の向上の点から、加水分解性基を有するシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤における加水分解性基は、水により加水分解されて水酸基となり、この水酸基がシリカ粒子表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子の表面改質が行われ、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度が向上される。加水分解性基は、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
なお、シリカ粒子の表面が疎水性に表面改質されていると、シリカ粒子(C)とポリオルガノシロキサン(A)との親和性が良好となり、得られるシリコーン樹脂の硬度および機械強度が向上するため好ましい。
官能基として疎水性基を有するシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン(DDS)、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
また、官能基としてビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。
本発明におけるシリカ粒子(C)は、シラン化合物で処理されたシリカ粒子が好ましく、トリアルキルシリル化剤で処理されたシリカ粒子がより好ましく、トリメチルシリル化剤で処理されたシリカ粒子がさらに好ましい。
シラン化合物としては、例えば、上記シランカップリング剤や、シランカップリング剤における官能基がアルキル基で置換されたシランカップリング剤が挙げられる。
また、トリメチルシリル化剤としては、例えば、上記シランカップリング剤に記載のトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)や、官能基がアルキル基で置換されたシランカップリング剤であるトリメチルメトキシシランが挙げられる。
市販のシランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(商品名:HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)、Gelest社製)が挙げられる。
シリカ粒子表面に存在するシラノール基(Si−OH基)は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)との反応によりトリメチルシリル基で覆われ、シリカ粒子表面が疎水性に改質される。
市販のシリカ粒子(C)としては、例えば、いずれも日本アエロジル株式会社製の疎水性フュームドシリカである、アエロジル(登録商標)R812(平均一次粒子径7nm、HMDS表面処理)、アエロジル(登録商標)R812S(平均一次粒子径7nm、HMDS表面処理)、アエロジル(登録商標)RX300(平均一次粒子径7nm、HMDS表面処理)、アエロジル(登録商標)RX380S(平均一次粒子径5nm、HMDS表面処理)、アエロジル(登録商標)R976S(平均一次粒子径7nm、DDS表面処理)や、いずれも日本アエロジル株式会社製の親水性フュームドシリカである、アエロジル(登録商標)300(平均一次粒子径7nm)、アエロジル(登録商標)300CF(平均一次粒子径7nm)、アエロジル(登録商標)380(平均一次粒子径7nm)が挙げられる。
本発明においては、シリカ粒子(C)の平均一次粒子径が小さく、ポリオルガノシロキサン(A)の隙間に密に充填されているため、ポリオルガノシロキサン(A)の分子鎖の運動は制限されている。
また、有機過酸化物(B)によりラジカル硬化反応が進行するため、分子内にビニル基を有さないポリオルガノシロキサンよりも、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いる方が、より機械強度の優れたシリコーン樹脂を得られるため好ましい。
なかでも、分子鎖末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサンが、ポリオルガノシロキサン(A)の分子鎖運動が制限された状態での反応性の点でより好ましく、高分子量のビニル基含有ポリオルガノシロキサンが、機械的強度および反応性の点でさらに好ましい。
<その他の素材>
本発明の音響波プローブ用組成物は、ポリオルガノシロキサン(A)、有機過酸化物(B)および平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)以外に、付加重合反応のための白金触媒、硬化遅延剤、溶媒、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
− 硬化遅延剤 −
硬化遅延剤は、有機過酸化物によるラジカル付加反応や白金触媒による付加重合反応を遅らせる用途で使用され、例えば、低分子量のビニルメチルシロキサンホモポリマー(商品名:VMS−005、Gelest社製)が挙げられる。
硬化遅延剤の含有量により、硬化速度、すなわち作業時間を調整することができる。
<音響波プローブ用組成物および音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法>
本発明の音響波プローブ用組成物は、公知の方法で作製することが可能である。
例えば、音響波プローブ用組成物を構成する成分を、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、2本ロールの混練装置等で混練りすることにより得ることができる。
なお、均一な音響波プローブ用組成物を得る観点からは、まず、ポリオルガノシロキサン(A)に平均一次粒子径が12nm未満のシリカ(C)を分散させ、その後、有機過酸化物(B)を添加することが好ましい。
本発明の音響波プローブ用組成物が、ポリオルガノシロキサン(A)、有機過酸化物(B)およびシリカ粒子(C)の他に、更にその他の素材を含む場合には、ポリオルガノシロキサン(A)にシリカ粒子(C)とその他の素材を分散させた混合物を得た後に、有機過酸化物(B)を添加することが好ましい。
本発明の音響波プローブ用シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサン(A)およびシリカ粒子(C)を少なくとも含有するポリシロキサン混合物に、有機過酸化物(B)を加えて本発明の音響波プローブ用組成物とした後、音響波プローブ用組成物を硬化することにより製造することができる。なお、各成分は、上記記載の方法により混練することができる。
具体的には、例えば、上記記載の方法により得られた本発明の音響波プローブ用組成物を50〜180℃で5分〜240分加熱硬化させ、さらに必要に応じて100〜220℃で1〜5時間二次架橋させることにより、音響波プローブ用シリコーン樹脂を得ることができる。
特に、本発明においては有機過酸化物(B)を使用するため、再加熱による二次架橋が、有機過酸化物(B)の分解物の加熱除去およびシリコーン樹脂特性の安定化に寄与する。
<シリコーン樹脂の機械強度および音響波特性>
以下に、シリコーン樹脂の機械強度および音響波特性について詳細に記載する。
ここで、音響波特性は、超音波特性について記載する。ただし、音響波特性は超音波特性に限定されるものではなく、被検対象や測定条件等に応じて選択される、適切な周波数の音響波特性に関するものである。
[硬度]
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6253−3(2012)に従い、タイプAデュロメータ硬さを、ゴム硬度計(例えば、エクセル社製、「RH−201A」)を用いて測定する。
柔らかすぎると音響波プローブの一部として組み込み使用する際に変形する可能性があるため、硬度は20以上が好ましく、30以上がより好ましい。なお、現実的な上限値は80以下である。
[引張試験]
厚み1mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6251(2010)に従い、ダンベル状試験片を作製し、引張破断強度および引張破断伸度(伸び)を測定する。
引張破断強度は1.0MPa以上が好ましく、1.9MPa以上がより好ましく、引張破断伸びは400%以上が好ましく、500%以上がより好ましく、600%以上がさらに好ましい。なお、現実的な上限値は、引張破断強度は10MPa以下であり、引張破断伸びは1500%以下である。
[引裂強度試験]
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6252(2007)に従い、トラウザー型試験片を作製し、引裂強度を測定する。
引裂強度は20N/cm以上が好ましく、30N/cm以上がより好ましい。なお、現実的な上限値は100N/cm以下である。
[音響インピーダンス]
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、25℃における密度をJIS K7112(1999)に記載のA法(水中置換法)の密度測定方法に準じて、電子比重計(例えば、アルファミラージュ社製、「SD−200L」)を用いて測定する。音響波の音速は、JIS Z2353(2003)に従い、シングアラウンド式音速測定装置(例えば、超音波工業株式会社製、「UVM−2型」)を用いて25℃において測定し、測定した密度と音速の積から音響インピーダンスを求める。
[音響波(超音波)減衰量、感度]
超音波発振器(例えば、岩通計測株式会社製、ファンクション・ジェネレータ「FG−350」)から出力された5MHzの正弦波信号(1波)を超音波プローブ(例えば、ジャパンプローブ株式会社製)に入力し、超音波プローブから中心周波数が5MHzの超音波パルス波を水中に発生させる。発生させた超音波が、厚み2mmのシリコーン樹脂シートを通過する前と後の振幅の大きさを超音波受信機(例えば、松下電器産業株式会社製、オシロスコープ「VP−5204A」)により、水温25℃の環境で測定し、音響波(超音波)感度を比較することで、各素材の音響波(超音波)減衰量を比較する。
なお、音響波(超音波)感度とは、超音波発振器による、半値幅50nsec以下の矩形波、スパイク波等の入力波の電圧ピーク値Vinに対し、発生させた音響波(超音波)がシートを通過し、シートの対面から反射してきた音響波(超音波)を超音波発振器が受信したときに得られる電圧値をVsとし、下記計算式で与えられる数値とする。
音響波(超音波)感度=20×Log(Vs/Vin)
本発明における評価系においては、音響波(超音波)感度は−72dB以上が好ましく、−71dB以上がより好ましい。
本発明の音響波プローブ用組成物は、医療用部材に有用であり、例えば、音響波プローブや音響波測定装置に好ましく用いることができる。なお、本発明の音響波測定装置とは、超音波診断装置や光音響波測定装置に限らず、対象物で反射または発生した音響波を受信し、画像または信号強度として表示する装置を称する。
特に、本発明の音響波プローブ用組成物は、超音波診断装置の音響レンズ、あるいは圧電素子と音響レンズの間に設けられて圧電素子と音響レンズとの間の音響インピーダンスを整合させる役割を有する音響整合層の材料、光音響波測定装置や超音波内視鏡における音響レンズの材料ならびに超音波トランスデューサアレイとして容量性マイクロマシン超音波振動子(cMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)を備える超音波プローブにおける音響レンズの材料等に好適に用いることができる。
本発明の音響波プローブ用シリコーン樹脂は、具体的には、例えば、特開2005−253751号公報、特開2003−169802号公報などに記載の超音波診断装置や、特開2013−202050号公報、特開2013−188465号公報、特開2013−180330号公報、特開2013−158435号公報、特開2013−154139号公報などに記載の光音響波測定装置などの音響波測定装置などに好ましく適用される。
<<音響波探触子(プローブ)>>
以下に、本発明の音響波プローブの構成を、図1に記載する、超音波診断装置における超音波プローブの構成に基づき、より詳細に説明する。なお、超音波プローブとは、音響波プローブにおける音響波として、特に超音波を使用するプローブである。そのため、超音波プローブの基本的な構造は音響波プローブにそのまま適用される。
− 超音波プローブ −
超音波プローブ10は、超音波診断装置の主要構成部品であって、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する機能を有するものである。超音波プローブ10の構成は、図1に示すように、先端(被検体である生体に接する面)部分から音響レンズ1、音響整合層2、圧電素子層3、バッキング材4の順に設けられている。なお、近年、高次高調波を受信することを目的に、送信用超音波振動子(圧電素子)と、受信用超音波振動子(圧電素子)を異なる材料で構成し、積層構造としたものも提案されている。
<圧電素子層>
圧電素子層3は、超音波を発生する部分であり、圧電素子の両側に電極が貼り付けられており、電圧を加えると圧電素子が伸縮と膨張を繰り返し振動することにより、超音波が発生する。
圧電素子を構成する材料としては、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した、いわゆるセラミックスの無機圧電体が広く利用されている。一般的には、変換効率のよいPZT:チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスが使用されている。
また、高周波側の受信波を検知する圧電素子には、より広い帯域幅の感度が必要である。このため、高周波、広帯域に適した圧電素子として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの有機系高分子物質を利用した有機圧電体が使用されている。
さらに、特開2011−071842号公報等には、優れた短パルス特性、広帯域特性を示し、量産性に優れ、特性ばらつきの少ないアレイ構造が得られる、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したcMUTが記載されている。
本発明においては、いずれの圧電素子材料も好ましく用いることができる。
<バッキング材>
バッキング材4は、圧電素子層3の背面に設けられており、余分な振動を抑制することにより超音波のパルス幅を短くし、超音波診断画像における距離分解能の向上に寄与する。
<音響整合層>
音響整合層2は、圧電素子層3と被検体間での音響インピーダンスの差を小さくし、超音波を効率よく送受信するために設けられる。
本発明の超音波プローブ用組成物は、生体の音響インピーダンス(1.4〜1.7×10kg/m/sec)との差が小さいことから、音響整合層の材料として好ましく用いることができる。
<音響レンズ>
音響レンズ1は、屈折を利用して超音波をスライス方向に集束し、分解能を向上させるために設けられる。また、被検体である生体と密着し、超音波を生体の音響インピーダンス(1.4〜1.7×10kg/m/sec)と整合させること、および、音響レンズ1自体の超音波減衰量が小さいことが求められている。
すなわち、音響レンズ1の材料としては、音速が人体の音速よりも十分小さく、超音波の減衰が少なく、また、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近ければ、超音波の送受信感度がよくなる。
本発明の超音波プローブ用組成物は、音響レンズ材としても、好ましく用いることができる。
このような構成の超音波プローブ10の動作を説明する。圧電素子の両側に設けられた電極に電圧を印加して圧電素子層3を共振させ、超音波信号を音響レンズから被検体に送信する。受信時には、被検体からの反射信号(エコー信号)によって圧電素子層3を振動させ、この振動を電気的に変換して信号とし、画像を得る。
特に、本発明の超音波プローブ用組成物から得られる音響レンズは、一般的な医療用超音波トランスデューサとしては、およそ5MHz以上の超音波の送信周波数で、顕著な感度改善効果を確認できる。特に10MHz以上の超音波の送信周波数で、特に顕著な感度改善効果が期待できる。
以下、本発明の超音波プローブ用組成物から得られる音響レンズが、従来の課題に対し特に機能を発揮する装置について、詳細に記載する。
なお、下記に記載する以外の装置に対しても、本発明の超音波プローブ用組成物は優れた効果を示す。
− cMUT(容量性マイクロマシン超音波振動子)を備える超音波プローブ −
特開2006−157320号公報、特開2011−71842号公報などに記載のcMUTデバイスを超音波診断用トランスデューサアレイに用いる場合、一般的な圧電セラミックス(PZT)を用いたトランスデューサと比較して、一般的には、その感度が低くなる。
しかし、本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズを用いることで、cMUTの感度不足を補うことが可能である。これにより、cMUTの感度を、従来のトランスデューサの性能に近づけることができる。
なお、cMUTデバイスはMEMS技術により作製されるため、圧電セラミックスプローブよりも量産性が高く、低コストな超音波プローブを市場に提供することができる。
− 光超音波イメージングによる光音響波測定装置 −
特開2013−158435号公報などに記載の光超音波イメージング(PAI:Photo Acoustic Imaging)は、人体内部へ光(電磁波)を照射し、照射した光によって人体組織が断熱膨張する際に発生する超音波を画像化したもの、または超音波の信号強度を表示する。
ここで、光照射によって発生する超音波の音圧は微量であるため、人体深部の観察が困難であるという課題がある。
しかし、本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズを用いることで、この課題に対して有効な効果を発揮することができる。
− 超音波内視鏡 −
特開2008−311700号公報などに記載の超音波内視鏡における超音波は、その構造上、信号線ケーブルが体表用トランスデューサと比較して長いため、ケーブル損失によるトランスデューサの感度向上が課題である。また、この課題に対しては、下記の理由により、効果的な感度向上手段がないと言われている。
第一に、体表用の超音波診断装置であれば、トランスデューサ先端にアンプ回路、AD変換IC等の設置が可能である。これに対して、超音波内視鏡は体内に挿入して使用するため、トランスデューサの設置スペースがなく、トランスデューサ先端への設置は困難である。
第二に、体表用の超音波診断装置におけるトランスデューサで採用されている圧電単結晶は、その物理特性・プロセス適性上、超音波の送信周波数7〜8MHz以上のトランスデューサへの適用は困難である。しかしながら、内視鏡用超音波は概して超音波の送信周波数7〜8MHz以上のプローブであるため、圧電単結晶材による感度向上も困難である。
しかし、本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズを用いることで、内視鏡超音波トランスデューサの感度を向上させることが可能である。
また、同一の超音波の送信周波数(例えば10MHz)を使用する場合でも、内視鏡用超音波トランスデューサにおいて本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズ用いる場合には、特に有効性が発揮される。
以下に本発明を、音響波として超音波を用いた実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明は超音波に限定されるものではなく、被検対象や測定条件等に応じて適切な周波数を選択してさえいれば、可聴周波数の音響波を用いてもよい。
[実施例1]
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)82質量部、フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX300」、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)18質量部を6インチのダブルロール混練り機を用いて混練りを行い、さらに2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社製、「パーヘキサ25B」)0.5質量部をロール混合して成形用コンパウンドを調製した。これを165℃で10分間プレス成形し、さらに200℃で2時間二次架橋を行い、厚みが1mmおよび2mmのシリコーン樹脂シートを各々得た。
[実施例2]
シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)R976S」、平均一次粒子径7nm、ジメチルジクロロシラン(DDS)表面処理)18質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例3]
シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)300」、平均一次粒子径7nm、表面処理なし)18質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例4]
シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX380S」、平均一次粒子径5nm、HDMS表面処理)18質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例5]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル基を含まないポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−T41」、質量平均分子量60,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例6]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル基を含まないポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−T46」、質量平均分子量115,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例7]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル基を含まないポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−T61」、質量平均分子量230,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例8]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル基を含まないポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−T63」、質量平均分子量300,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例9]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル基を含まないポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−T72」、質量平均分子量500,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例10]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V31」、質量平均分子量28,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例11]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V35」、質量平均分子量49,500)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例12]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V46」、質量平均分子量117,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例13]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V52」、質量平均分子量155,000)82質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例14]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)88質量部、シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX300」、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)12質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例15]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)76質量部、シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX300」、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)24質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例16]
有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、「パークミルD」)0.5質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[実施例17]
有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製、「パーブチルZ」)0.5質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[比較例1]
シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)RX200」、平均一次粒子径12nm、HMDS表面処理)18質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[比較例2]
ポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)100質量部を使用し、シリカ粒子を使用しない以外は、実施例1と同様にして有機過酸化物による熱架橋を行い、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
[比較例3]
シリカ粒子としてフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、「アエロジル(登録商標)200」、平均一次粒子径12nm、表面処理なし)18質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
<機械強度および超音波特性の評価>
実施例1〜17および比較例1〜3のシリコーン樹脂シートについて、以下の評価を行った。
[硬度]
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6253−3(2012)に従い、タイプAデュロメータ硬さを、ゴム硬度計(エクセル社製、「RH−201A」)を用いて測定した。
[引張試験]
得られた厚み1mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6251(2010)に従い、ダンベル状試験片を作製し、引張破断強度および引張破断伸びを測定した。
[引裂強度試験]
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6252(2007)に従い、トラウザー型試験片を作製し、引裂強度を測定した。
[音響インピーダンス]
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、25℃における密度をJIS K7112(1999)に記載のA法(水中置換法)の密度測定方法に準じて、電子比重計(アルファミラージュ社製、「SD−200L」)を用いて測定した。超音波音速は、JIS Z2353(2003)に従い、シングアラウンド式音速測定装置(超音波工業株式会社製、「UVM−2型」)を用いて25℃において測定し、測定した密度と音速の積から音響インピーダンスを求めた。
[音響波(超音波)感度]
超音波発振器(岩通計測株式会社製、ファンクション・ジェネレータ「FG−350」)から出力された5MHzの正弦波信号(1波)を超音波プローブ(ジャパンプローブ株式会社製)に入力し、超音波プローブから中心周波数が5MHzの超音波パルス波を水中に発生させた。発生させた超音波が、得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートを通過する前と後の振幅の大きさを超音波受信機(松下電器産業株式会社製、オシロスコープ「VP−5204A」)により、水温25℃の環境で測定し、音響波(超音波)感度を比較することで、各素材の音響波(超音波)減衰量を比較した。
なお、音響波(超音波)感度は、超音波発振器による、半値幅50nsec以下の入力波の電圧ピーク値Vinに対し、発生させた音響波(超音波)がシートを通過し、シートの対面から反射してきた音響波(超音波)を超音波発振器が受信したときに得られる電圧値をVsとし、下記計算式より算出した。
音響波(超音波)感度=20×Log(Vs/Vin)
得られた結果をまとめて、下記表1〜3に示す。
なお、下記表1〜3では、各素材の種類は商品名を記載した。なお、シリカ粒子(C)の商品名は、アエロジル(登録商標)を省略して記載した。
Figure 2016087247
Figure 2016087247
Figure 2016087247
表1〜3に示すように、実施例1〜17の音響波プローブ用シリコーン樹脂は、いずれも音響波(超音波)感度が−72dB以上を維持しつつ、高い樹脂硬度、引張破断強度、引張破断伸びおよび引裂強度を得ることができた。これに対して、比較例1〜3の音響波プローブ用シリコーン樹脂は、いずれも十分な引裂強度が得られなかった。
この結果から、本発明の音響波プローブ用組成物は、医療用部材に有用であり、本発明のシリコーン樹脂の製造方法に好適に用いることができる。また、本発明のシリコーン樹脂は、音響波プローブの音響レンズおよび/または音響整合層、ならびに、音響波測定装置および超音波診断装置にも好適に用いることができる。特に、音響波プローブ用組成物および音響波プローブ用シリコーン樹脂は、cMUTを超音波診断用トランスデューサアレイとして用いる超音波プローブ、光音響波測定装置および超音波内視鏡において、感度向上を目的として、好適に用いることができる。
1 音響レンズ
2 音響整合層
3 圧電素子層
4 バッキング材
7 筐体
9 コード
10 超音波探触子(プローブ)

Claims (15)

  1. ポリシロキサン混合物中に、ポリシロキサン、有機過酸化物および平均一次粒子径が12nm未満のシリカを少なくとも含有する音響波プローブ用組成物。
  2. 前記ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、前記平均一次粒子径が12nm未満のシリカを0.1〜30質量部含有する請求項1に記載の音響波プローブ用組成物。
  3. 前記ポリシロキサンが、ビニル基含有ポリシロキサンである請求項1または2に記載の音響波プローブ用組成物。
  4. 前記平均一次粒子径が12nm未満のシリカが、シラン化合物で表面処理されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
  5. 前記平均一次粒子径が12nm未満のシリカが、トリメチルシリル化剤で表面処理されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
  6. 前記ポリシロキサンの質量平均分子量が、20,000〜1,000,000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
  7. 前記ポリシロキサンの質量平均分子量が、40,000〜300,000である請求項1〜6のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物を硬化してなる音響波プローブ用シリコーン樹脂。
  9. 請求項8に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズおよび/または音響整合層を有する音響波プローブ。
  10. 超音波トランスデューサアレイとしての容量性マイクロマシン超音波振動子、および、請求項8に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える超音波プローブ。
  11. 請求項9に記載の音響波プローブを備える音響波測定装置。
  12. 請求項9に記載の音響波プローブを備える超音波診断装置。
  13. 請求項8に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える光音響波測定装置。
  14. 請求項8に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズを備える超音波内視鏡。
  15. ポリシロキサンおよび平均一次粒子径が12nm未満のシリカを少なくとも含有するポリシロキサン混合物に、有機過酸化物を加えて音響波プローブ用組成物とした後、該音響波プローブ用組成物を硬化する音響波プローブ用シリコーン樹脂の製造方法。
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