JP2016086759A - ピリピロペン類生合成遺伝子発現植物体 - Google Patents
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Abstract
【課題】殺虫作用を有するピリピロペン類の生合成能を有する害虫抵抗性植物体の提供。
【解決手段】ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入することにより、ピリピロペン類の生合成に関与する酵素をコードする遺伝子が導入された植物体を取得することができる。
【選択図】なし
【解決手段】ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入することにより、ピリピロペン類の生合成に関与する酵素をコードする遺伝子が導入された植物体を取得することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ピリピロペン類生合成遺伝子発現植物体に関する。
ピリピロペンAは、Applied and Environmental Microbiology(1995),61(12),4429-35(非特許文献1)、WO2004/060065号(特許文献1)に開示されているように、アメリカタバコガ幼虫に対し殺虫活性を有すること、ピリピロペンAがコナガ幼虫およびチャイロコメノゴミムシダマシに対して殺虫活性を有することが記載されている。また、これまでに多くの耐害虫性の遺伝子導入植物が報告されているが、その多くは殺虫性のタンパク質、ペプチド等の遺伝子を導入して得られているものであり、複数の生合成工程を経て殺虫性の低分子を発現させた植物を開示しているものはほとんど無い。
一方、ピリピロペンAの生産菌として、特開平4−360895号公報(特許文献2)には、アスペルギルス フミガタスFO-1289株、Applied and Environmental Microbiology(1995),61(12),4429-35.(非特許文献1)には、ユーペニシリウム レティキュロスポラムNRRL-3446株、WO2004/060065号公報(特許文献1)には、ペニシリウム グリセオフルバムF1959株、および公開技報2008−500997号(特許文献3)には、ペニシリウム コピロビウムPF1169株が開示されている。
また、ピリピロペンAの生合成ルートとして、Journal of Organic Chemistry(1996), 61,882-886.(非特許文献2)およびChemical Review(2005), 105, 4559-4580.(非特許文献3)には、アスペルギルス フミガタスFO-1289株での推定生合成ルートが開示されており、アスペルギルス フミガタスFO-1289株においてポリケチド合成酵素およびプレニルトランスフェラーゼのそれぞれによって合成された部分構造が結合され、環化酵素によりピリピロペンAが合成されることが開示されている。
さらに、WO2013/173689号(特許文献4)には、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体が開示されている。しかしながら、この文献では、酵素レベルでの発現は確認されておらず、ピリピロペンAの生合成に関与するポリヌクレオチド等が導入された植物体において実際にピリピロペン類が発現するかはこれまで明確ではなかった。また、特許文献4には、ピリピロペンA生合成に関与する遺伝子として、ピリピロペンA生合成経路の中間体合成に関与する遺伝子を導入した植物体が記載されるのみであり、実際に強い殺虫作用を有するピリピロペン類を生合成できる植物体は確認されていない。
Applied and Environmental Microbiology(1995),61(12),4429-35.
Journal of Organic Chemistry(1996), 61,882-886.
Chemical Review(2005), 105, 4559-4580.
本発明者らは、今般、強い殺虫作用を有するピリピロペン類、特にピリピロペンA、OまたはEを生合成する、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体の作出に成功した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
従って、本発明の目的は、強い殺虫作用を有するピリピロペン類、好ましくはピリピロペンA、OまたはE、特にピリピロペンAを生合成する植物体を提供することにある。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(I)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(2) 植物体が、デアセチルピリピロペンEを発現または含んでなる、上記(1)に記載の植物体。
(3) ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(II)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(4) 植物体が、11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を発現または含んでなる、上記(3)に記載の植物体。
(5) 植物体が害虫抵抗性植物体である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の植物体。
(6) 植物体がタバコまたはイネである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の植物体。
(7) 植物体の製造方法であって、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(I)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(8) デアセチルピリピロペンEを植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、上記(7)に記載の製造方法。
(9) 植物体の製造方法であって、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(II)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(10) 11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、上記(9)に記載の製造方法。
(11) 植物体が害虫抵抗性植物体である、上記(7)〜(10)のいずれかに記載の植物体の製造方法。
(12) 植物体がタバコまたはイネである、上記(7)〜(11)のいずれかに記載の植物体の製造方法。
(1)ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(I)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(2) 植物体が、デアセチルピリピロペンEを発現または含んでなる、上記(1)に記載の植物体。
(3) ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(II)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(4) 植物体が、11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を発現または含んでなる、上記(3)に記載の植物体。
(5) 植物体が害虫抵抗性植物体である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の植物体。
(6) 植物体がタバコまたはイネである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の植物体。
(7) 植物体の製造方法であって、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(I)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(8) デアセチルピリピロペンEを植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、上記(7)に記載の製造方法。
(9) 植物体の製造方法であって、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(II)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(10) 11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、上記(9)に記載の製造方法。
(11) 植物体が害虫抵抗性植物体である、上記(7)〜(10)のいずれかに記載の植物体の製造方法。
(12) 植物体がタバコまたはイネである、上記(7)〜(11)のいずれかに記載の植物体の製造方法。
本発明によれば、ピリピロペン類の生合成に関与する酵素をコードする遺伝子が導入された植物体を製造することができ、特に、強い殺虫作用を有するピリピロペンA生合成植物体を用いれば、害虫抵抗性を有する植物体の産生に多大な貢献をなすものである。
微生物の寄託
プラスミドpCC1−PP1で形質転換された大腸菌(Escherichia coli EPI300TM-T1R)は、2008年10月9日(原寄託日)付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(旧名称:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11133(国内寄託FERM P−21704より移管)(寄託者が付した識別のための表示:Escherichia coli EPI300TM-T1R/pCC1-PP1)として寄託されている。
プラスミドpCC1−PP1で形質転換された大腸菌(Escherichia coli EPI300TM-T1R)は、2008年10月9日(原寄託日)付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(旧名称:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11133(国内寄託FERM P−21704より移管)(寄託者が付した識別のための表示:Escherichia coli EPI300TM-T1R/pCC1-PP1)として寄託されている。
プラスミドpPP7で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年12月21日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(旧名称:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11219(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP7)として寄託されている。
プラスミドpPP9で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年12月21日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(旧名称:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11220(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP9)として寄託されている。
植物体
本発明の植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体である。ピリピロペンAの生合成経路は、WO2011/093185号公報のスキーム1に記載のとおりであるが、具体的には以下の通りである。
本発明の植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体である。ピリピロペンAの生合成経路は、WO2011/093185号公報のスキーム1に記載のとおりであるが、具体的には以下の通りである。
本発明において、植物体とは、特に限定されるものではないが、イネ(米)、麦類(コムギ、オオムギなど)、雑穀類(トウモロコシ、あわ、きび、ひえ、食用ソルガムなど)、果樹類(かんきつ、りんご、ぶどうなど)、野菜類(きゅうり、かぼちゃ、メロン、キャベツ、なす、トマト、いちごなど)、イモ類(ばれいしょ、かんしょ、さといもなど)、豆類(大豆、あずき、いんげんまめなど)、飼料作物(牧草、ソルガム、飼料用トウモロコシなど)、花き類、観葉植物、樹木類、茶、てんさい、さとうきび、ひまわり、ナタネ、ホップ、ワタ、タバコ、コーヒーノキ、芝、きのこ等が挙げられ、好ましくはイネ、麦類、雑穀類、野菜類、イモ類、豆類、花き類、ナタネ、ワタ、タバコ、より好ましくは、イネ、麦類、穀物類、大豆類、さらに好ましくは、イネ、タバコ、コムギ、トウモロコシまたは大豆が挙げられる。また、本発明の植物体は、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、または種子のいずれであってもよく、最終的に上述のような植物個体まで成長できることができる態様であれば、どのような態様であっても、本発明の植物体に含まれる。これらの植物体に、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入することにより、ピリピロペンAを産生させることができる。本発明の好ましい態様によれば、害虫抵抗性を獲得した植物体が提供される。
本発明の植物体が抵抗性を有する害虫としては、例えば、鱗翅目害虫(例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、アワヨトウ、アオムシ、コナガ、シロイチモジヨトウ、ニカメイガ、コブノメイガ、ハマキガ、シンクイガ、ハモグリガ、ドクガ、アグロティス属害虫(Agrotis spp)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp)、またはヘリオティス属害虫(Heliothis spp)など)、半翅目害虫(例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、Aphis fabae、トウモロコシアブラムシ、エンドウヒゲナガアブラムシ、ジヤガイモヒゲナガアブラムシ、マメアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシ、Macrosiphum avenae、Methopolophium dirhodum、ムギクビレアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、Rosy apple aphid、リンゴワタムシ、コミカンアブラムシ、またはミカンクロアブラムシなどのアブラムシ類(Aphididae、Adelgidae、またはPhy11oxeridae)、ツマグロヨコバイなどのヨコバイ類、チャノミドリヒメヨコバイなどのヒメヨコバイ類、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、またはセジロウンカなどのウンカ類、シラホシカメムシ、ミナミアオカメムシ、またはアカヒゲホソミドリカスミカメなどのカメムシ類、タバココナジラミ、またはオンシツコナジラミなどのコナジラミ類(A1eyrodidae)、クワコナカイガラムシ、ミカンコナカイガラムシ、または、アカマルカイガラムシなどのカイガラムシ類(Diaspididae、Margarodidae、Ortheziidae、Ac1erdiae、Dacty1opiidae、Kerridae、Pseudococcidae、Coccidae、Eriococcidae、Asterolecaniidae、Beesonidae、Lecanodiaspididae、またはCerococcidea)など)、ミカンキジラミなどのキジラミ類、鞘翅目害虫(例えば、イネミズゾウムシ、アズキゾウムシ、チヤイロコメノゴミムシダマシ、ウェスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドポテトハムシ、イ
ネドロオイムシ、シンクイムシ類、またはカミキリムシ類など)、ダニ目(例えば、ナミハダニ、カンザワハダニ、またはミカンハダニなど)、膜翅目害虫(例えば、ハバチ類)、直翅目害虫(例えば、バッタ類)、双翅目害虫(例えば、イエバエまたはハモグリバエ類)、アザミウマ目害虫(例えば、ミナミキイロアザミウマまたはミカンキイロアザミウマなど)、植物寄生性線虫(例えば、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、またはマツノザイセンチュウなど)、が挙げられ、好ましい虫種としては、鱗翅目、半翅目、双翅目、アザミウマ目害虫が挙げられ、特に半翅目害虫に強い抵抗性を有する。
ネドロオイムシ、シンクイムシ類、またはカミキリムシ類など)、ダニ目(例えば、ナミハダニ、カンザワハダニ、またはミカンハダニなど)、膜翅目害虫(例えば、ハバチ類)、直翅目害虫(例えば、バッタ類)、双翅目害虫(例えば、イエバエまたはハモグリバエ類)、アザミウマ目害虫(例えば、ミナミキイロアザミウマまたはミカンキイロアザミウマなど)、植物寄生性線虫(例えば、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、またはマツノザイセンチュウなど)、が挙げられ、好ましい虫種としては、鱗翅目、半翅目、双翅目、アザミウマ目害虫が挙げられ、特に半翅目害虫に強い抵抗性を有する。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体は、害虫抵抗性植物体である。「害虫抵抗性植物体」とは、植物体の体内で、殺虫活性を有するピリピロペン類、好ましくはピリピロペンA、OまたはE、特にピリピロペンAが生合成され、害虫抵抗性を有する植物体を意味する。害虫抵抗性を有するか否かは、例えば、農薬実験法 1 殺虫剤編、ソフトサイエンス社、深見順一ら、1981年、P.64〜131に従って判断することができる。また、カルスでの殺虫活性を有するか否かは、例えば、特開2004−97228号公報などに開示されているように、カルスをエサとして与えた場合の害虫死亡率/発育阻止レベルにより判断することができる。
本発明において、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドは、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドであり、好ましくは、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1:ATともいわれる)活性を有するポリペプチドまたはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)活性を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドである。
本発明の一つの態様によれば、(I)(i)下記の配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、(iii)各ヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(iv)各ヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(v)各ヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、から選択された少なくとも一個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド配列またはそれを含んでなる組換えベクターが導入され、形質転換された植物体が提供される。
本発明に一つの態様によれば、(II)(i)下記の配列番号1の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、(iii)各ヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(iv)各ヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(v)各ヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、から選択された少なくとも一個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド配列またはそれを含んでなる組換えベクターが導入され、形質転換された植物体が提供される。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、アセチル化酵素活性、特にアセチルトランスフェラーゼ−1(Acetyltransferase-1、AT−1:ATともいわれる)活性を有する。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、アセチル化酵素活性、特にアセチルトランスフェラーゼ−2(Acetyltransferase-2、AT−2)活性を有する。
配列番号1のヌクレオチド23205番から24773番までは、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号9に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド25824番から27178番までは、アセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号10に記載したアミノ酸配列で示される。
本発明において「実質的に同等なアミノ酸配列」とは、一つ若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入による改変を有するが、ポリペプチドの活性に影響を与えないアミノ酸配列を意味する。アミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列は、改変等される前のアミノ酸配列に対して、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに一層好ましくは98%以上の配列同一性を有することが好ましい。また、改変されるアミノ酸残基の数は、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個である。
本発明の好ましい態様によれば、配列番号9のアミノ酸配列から1〜40個(好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個)のアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、かつ該アミノ酸配列からなるポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ−1活性を有するポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体(好ましくは、イネ、タバコ、コムギ、トウモロコシ、または大豆)が提供される。
本発明の好ましい別の態様によれば、配列番号10のアミノ酸配列から1〜40個(好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個)のアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、かつ該アミノ酸配列からなるポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体(好ましくは、イネ、タバコ、コムギ、トウモロコシ、または大豆)が提供される。
本発明の好ましい別の態様によれば、配列番号9のアミノ酸配列からアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列が、改変等される前の配列番号9のアミノ酸配列に対して、90%以上(好ましくは、95%以上、より好ましくは98%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、かつ該改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ−1活性を有するポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体(好ましくは、イネ、タバコ、コムギ、トウモロコシ、または大豆)が提供される。
本発明の好ましい別の態様によれば、配列番号10のアミノ酸配列からアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列が、改変等される前の配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上(好ましくは、95%以上、より好ましくは98%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、かつ該改変されたアミノ酸配列からなるポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体(好ましくは、イネ、タバコ、コムギ、トウモロコシ、または大豆)が提供される。
そして、活性に影響を与えない改変の例としては、保存的置換が挙げられる。「保存的置換」とは、ポリペプチドの活性を実質的に変化しないように、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基によって置き換えることを意味する。例えば、ある疎水性アミノ酸残基を別の疎水性アミノ酸残基によって置換する場合、ある極性アミノ酸残基を同じ電荷を有する別の極性アミノ酸残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似したアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等が挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等が挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジン等が挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
本発明において、「厳密な条件」とは、ハイブリダイゼーション後のメンブレンの洗浄操作を、高温度低塩濃度溶液中で行うことを意味し、当業者であればその条件は適宜決定できるものであるが、例えば、2×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、0.5%SDS溶液中で、60℃、20分間の洗浄条件、0.2×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、0.1%SDS溶液中で60℃、15分間の洗浄条件、または0.2×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、0.1%SDS溶液中で65℃、15分間の洗浄条件を意味する。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本発明において、ヌクレオチド配列についての「同一性」(相同性という場合もある)とは、比較される配列間において、各々の配列を構成する塩基の一致の程度の意味で用いられる。このとき、ギャップの存在およびアミノ酸の性質が考慮される。本明細書において示した「同一性」の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。
本発明において、ヌクレオチド配列についての「同一性」は、70%以上であり、80%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。
本発明において、「ポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により、または天然に生じ得る程度の複数個のヌクレオチドの置換等により改変がなされたことを意味する。ヌクレオチドの改変の個数は、1個または複数個(例えば、1個ないし数個あるいは1、2、3、4、5、6、7、8または9個)である。
本発明において、「そ(れぞれ)のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列」とは、「そ(れぞれ)のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質」と同等な活性(例えば、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)活性またはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)活性)を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を意味する。
本発明の好ましい態様によれば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにおいて、1〜40個(好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個)のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであって、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質がアセチルトランスフェラーゼ−1活性を有する、ポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにおいて、1〜40個(好ましくは、1〜8個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1〜2個)のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであって、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質がアセチルトランスフェラーゼ−2活性を有する、ポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの90%以上(好ましくは、95%以上、より好ましくは98%以上)の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであって、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質がアセチルトランスフェラーゼ−1活性を有する、ポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの90%以上好ましくは、95%以上、より好ましくは98%)の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドであって、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質がアセチルトランスフェラーゼ−2活性を有する、ポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチルトランスフェラーゼ−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターとが導入された植物体である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体は、植物物体に、WO2011/093185号に記載のプラスミドpCC1−PP1、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターの一種または二種以上を導入し、形質転換することによって提供できる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、本発明のピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチル化酵素活性を有するポリペプチド以外に、リガーゼ活性を有するポリペプチド、ポリケチド合成酵素活性を有するポリペプチド、プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド、オキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドおよびアデニル酸合成酵素活性を有するポリペプチドからなる群から選択される一または二種以上のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターがさらに導入されていてもよい。本発明のアセチル化酵素活性を有するポリペプチド以外のピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドは、好ましくは、リガーゼ活性を有するポリペプチド、プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドおよびオキシゲナーゼ(好ましくは水酸化酵素)活性を有するポリペプチドからなる群から選択される一または二種以上のポリペプチドであり、さらに好ましくは、水酸化酵素活性を有するポリペプチドである。
本発明の一つの態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、(i)下記の配列番号1に記載の断片である各ヌクレオチド配列、(ii)下記の配列番号2〜8および11のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、(iii)各ヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(iv)各ヌクレオチド配列において1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、(v)各ヌクレオチド配列と少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターがさらに導入されていてもよい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の3342番から5158番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、リガーゼ活性、特にCoAリガーゼ(CoA ligase)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の5382番から12777番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、ポリケチド合成酵素活性、特にLovB様ポリケチド合成酵素(LovB-like polyketide synthase)(PKS)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、オキシゲナーゼ(例えば、水酸化酵素)活性、特にシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(Cytochrome P450 monooxygenase)(1)(P450−1)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、オキシゲナーゼ(例えば、水酸化酵素)活性、特にシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(Cytochrome P450 monooxygenase)(2)(P450−2)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の18506番から19296番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、シクラーゼ(Cyclase)活性、特にシクラーゼ(IMP: Integral membrane protein)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の19779番から21389番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、オキシゲナーゼ活性、特にFAD依存性モノオキシゲナーゼ(FAD-dependent monooxygenase)(FMO)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、プレニルトランスフェラーゼ活性、特にUbiA様プレニルトランスフェラーゼ(UbiA-like prenyltransferase)(UbiAPT)活性を有することが好ましい。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列の27798番から31855番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、ATP合成酵素活性、特にCation transporting ATPase活性を有することが好ましい。
また、配列番号1のヌクレオチド3342番から5158番までは、CoAリガーゼをコードし、その対応するポリペプチドは、配列番号2に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド5382番から12777番までは、LovB様ポリケチド合成酵素(PKS)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号3に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド13266番から15144番まで(以下、このポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質をシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(1)(P450−1)とする)および16220番から18018番まで(以下、このポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質をシトクロームP450モノオキシゲナーゼ(2)(P450−2)とする)は、シトクロームP450モノオキシゲナーゼをコードし、対応するポリペプチドは、それぞれ、配列番号4、5に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド18506番から19296番までは、シクラーゼをコードし、対応するポリペプチドは、配列番号6に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド19779番から21389番までは、FAD依存性モノオキシゲナーゼ(FMO)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号7に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド21793番から22877番までは、UbiA様プレニルトランスフェラーゼ(UbiAPT)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号8に記載したアミノ酸配列で示される。
配列番号1のヌクレオチド27798番から31855番までは、Cation transporting ATPaseをコードし、対応するポリペプチドは、配列番号11に記載したアミノ酸配列で示される。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体は、植物物体に、WO2011/093185号に記載のプラスミドpPP2、pPP3、およびpPP6からなる群より選択されるベクターの一種または二種以上をさらに導入し、形質転換することによって提供できる。
<組換えベクター>
本発明による組換えベクターは、例えば、上記に記載のポリヌクレオチドのいずれか一または二以上を、例えば、[サンブルーク(Sambrook, J.)ら著,「モレキュラー・クローニング(Molecular cloning):ア・ラボラトリー・マニュアル(a laboratory manual)」,(米国),第2版,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),1989年]に記載の遺伝子組換え技術の常法に従って目的に応じて適当な形態に修飾し、ベクターに連結することによって作製することができる。
本発明による組換えベクターは、例えば、上記に記載のポリヌクレオチドのいずれか一または二以上を、例えば、[サンブルーク(Sambrook, J.)ら著,「モレキュラー・クローニング(Molecular cloning):ア・ラボラトリー・マニュアル(a laboratory manual)」,(米国),第2版,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),1989年]に記載の遺伝子組換え技術の常法に従って目的に応じて適当な形態に修飾し、ベクターに連結することによって作製することができる。
本発明において使用される組換えベクターは、ウイルス、プラスミド、フォスミド、またはコスミドベクター等から適宜選択することができる。
使用されるプラスミドの内の少なくとも一つは、形質転換体を選抜するための選択マーカーを含むのが好ましく、選択マーカーとしては薬剤耐性遺伝子、栄養要求性を相補する遺伝子を使用することができる。その好ましい具体例としては、カナマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子などが挙げられる。
また、本発明において利用される発現ベクターとしてのDNA分子は、各遺伝子の発現に必要なDNA配列、例えばプロモーター、転写開始信号、リボソーム結合部位、翻訳停止シグナル、転写終結信号などの転写調節信号、翻訳調節信号を有しているのが好ましい。プロモーターとしては、CaMV 35S RNAプロモーター、CaMV 19S RNAプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子プロモーター、トウモロコシユビキチンプロモーター、イネアクチンプロモーター等が好ましく用いることができるものとして挙げられる。
本発明による組換えベクターは、好ましくは、プラスミドpIG6−AT−1およびpIG6−AT−2からなる群より選択される組換えベクターである。
フォスミドpCC1−PP1(寄託番号:FERM BP−11133の大腸菌を用いて作成できる)、プラスミドpPP7(寄託番号:FERM BP−11219のAspergillus oryzaeを用いて作成できる)およびプラスミドpPP9(寄託番号:FERM BP−11220)に含まれるヌクレオチド配列を鋳型として、以下に示すプライマー対を用いて、DNA断片を増幅する。
<形質転換された植物体>
本発明による単離されたポリヌクレオチドを導入する植物体は、用いるベクターの種類に応じて、適宜選択されて良い。
本発明による単離されたポリヌクレオチドを導入する植物体は、用いるベクターの種類に応じて、適宜選択されて良い。
形質転換された植物体は、後述する実施例に記載の方法により得ることができる。実施例では、植物体としてイネを用いているが、他の植物体にも同様に行うことができる。例えば、特表2010−526535号公報には、グリホサート等抵抗性遺伝子を含む植物体の製造方法が開示されており、ある活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を常法に従い組換えベクターを用いて様々な植物体(トウモロコシ、シロイヌナズナ、タバコ、ワタ、キャノーラなど)に導入すると、植物体の種類による差はなく、形質転換された植物体を得ることができたことが開示されている。
組換えベクターの植物体への導入方法としては、接合伝達、ファージによる形質導入、さらにカルシウムイオン法、リチウムイオン法、エレクトロポレーション法、PEG法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法といった形質転換の方法の中から、供試する植物体に応じて用いれば良い。
本発明において複数の遺伝子を植物体(植物細胞)に導入する場合には、各遺伝子は同一または別々のDNA分子に含まれていても良い。
本発明による植物体は、好ましくは、プラスミドpIG6−AT−1、pIG6−AT−2からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる植物体である。
本発明の好ましい態様によれば、ピリピロペンAの製造のための、プラスミドpIG6−AT−1、pIG6−AT−2からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる(形質転換された)植物体の使用が挙げられる。
本発明の一つの態様によれば、本発明の植物体は、導入されたポリヌクレオチドがコードするピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドの基質を、発現する、あるいは、含んでなる。基質は、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ−1の場合は、デアセチルピリピロペンEであり、アセチルトランスフェラーゼ−2の場合は、7−デアセチルピリピロペンAまたは11−デアセチルピリピロペンOから選択される一種である。
本発明において、「植物体が基質を含んでなる」とは、植物体内に基質が含まれる状態を意味する。このような植物体は、植物体の生育において、土壌または肥料中に、基質、または基質を発現する微生物を添加し発現させ、その基質を栄養として体内に取り込ませることによって得られる。
植物の生育方法は、土壌、肥料、温度などの条件を決定する必要がある。
本発明において、「植物体が基質を発現する」とは、植物体が体内で、導入されたポリヌクレオチドがコードするピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドの基質を発現することを意味する。このような植物体は、植物体に基質を生合成するポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入することによって得られ、例えば、ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドがアセチルトランスフェラーゼ1の場合は、シクラーゼ活性をコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入することより得られ、アセチルトランスフェラーゼ−2の場合は、P450−1活性を有するポリペプチドおよびP450−2活性を有するポリペプチドからなる群から選択される一または二種以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターをさらに植物体に導入することにより得られる。
本発明の好ましい態様において、本発明の形質転換された植物体は、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターが導入された植物体である。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターとが導入された植物体である。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターとが導入された植物体である。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、アセチルトランスフェラーゼ−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターとが導入された植物体である。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドとして、アセチルトランスフェラーゼ−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−2活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、P450−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、アセチルトランスフェラーゼ−1活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターと、シクラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターとが導入された植物体である。
本発明の特に好ましい態様によれば、本発明の形質転換された植物体は、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチド全てのポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる植物体である。
本発明の形質転換された植物体において、各ポリペプチドをコードする単離させたポリヌクレオチドは、一つのベクターに含ませて、植物体に導入されたものであってもよいし、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを別々のベクターに含ませて、同時期に又は別々の時期に植物体に導入されたものであってもよい。
植物体の製造方法
本発明の一つの態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、上記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法である。本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、デアセチルピリピロペンEを植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる。
本発明の一つの態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、上記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法である。本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、デアセチルピリピロペンEを植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる。
本発明の一つの態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、上記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法である。本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物体の製造方法は、11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる。
本発明の植物体の製造方法に用いられるポリヌクレオチドおよび組換えベクターは、上記の本発明の植物体に記載のポリヌクレオチドおよび組換えベクターと同じであってよく、また組換えベクターの植物体への導入方法についても上記と同様であってよい。
また、本発明の組換えベクターを導入する工程は、ピリピロペンAの生合成に関与する全てのポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、一つのベクターに含ませて、植物体に導入してもよく、ピリピロペンAの生合成に関与するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを別々のベクターに含ませて、同時期に又は別々の時期に植物体に導入してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
植物形質転換用ベクターpIG6を用いて、ピリピロペン類生合成遺伝子の内、以下のピリピロペン類生合成遺伝子を有するプラスミドを作製し、アグロバクテリウム法によりイネに導入し、得られた形質転換体を分子生物学的及び生化学的に解析した。
なお、pIG6は、pCAMBIA1390(8860bp。全塩基配列はGenbank accession number: AF234307に記載)のEcoRIと、HindIIとの間に、pUBA(Plant Physiology, 1992年, 100巻, p.1503)のトウモロコシユビキチンプロモーター、次いでSpeI-SacI-PacI-MluI-PmeI-KpneI-PvuII-Sse8387I-BamHIからなるマルチプルクローニング部位(MCS)、およびノパリンシンターゼターミネーターが導入された植物形質転換用発現ベクターであり、その構造を図1に示す。
アセチル化酵素:アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1、Acetyl-transferase-1)及びアセチル化酵素:アセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2、Acetyl-transferase-2)生合成遺伝子導入イネ
1)pIG6−AT−1の作製
フォスミドpCC1−PP1(寄託番号:FERM BP−11133の大腸菌を用いて作成できる)を鋳型として、プライマー対AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)とを用いたPCR法によりAT−1遺伝子を増幅し、精製したDNA断片を制限酵素Sse8387IとMluIとで二重切断し、pIG6の同部位にライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換することによって、図1に示すpIG6−AT−1を取得した。
1)pIG6−AT−1の作製
フォスミドpCC1−PP1(寄託番号:FERM BP−11133の大腸菌を用いて作成できる)を鋳型として、プライマー対AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)とを用いたPCR法によりAT−1遺伝子を増幅し、精製したDNA断片を制限酵素Sse8387IとMluIとで二重切断し、pIG6の同部位にライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換することによって、図1に示すpIG6−AT−1を取得した。
2)pIG6−AT−2の作製
フォスミドpCC1−PP1を鋳型として、プライマー対AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT2 R with MluI(配列番号17)とを用いたPCR法によりAT−2遺伝子を増幅し、精製したDNA断片を制限酵素Sse8387IとMluIとで二重切断し、pIG6の同部位にライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換することによって、図1に示すpIG6−AT−2を取得した。
フォスミドpCC1−PP1を鋳型として、プライマー対AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT2 R with MluI(配列番号17)とを用いたPCR法によりAT−2遺伝子を増幅し、精製したDNA断片を制限酵素Sse8387IとMluIとで二重切断し、pIG6の同部位にライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換することによって、図1に示すpIG6−AT−2を取得した。
3)pIG6−CL、pIG6−AT−1およびpIG6−AT−2を導入したアグロバクテリウムの作製
植物分子・細胞工学マニュアル(山田康之著、講談社、第1版、1992年)に記載された三者接合法により、各々のプラスミドをAgrobacterium tumefaciens(A. tumefaciens)EHA105株に導入した。プラスミドの導入が成功したか否かを、コロニーPCR法により確認した。コロニーPCR法に用いたプライマー対は、アセチルトランスフェラーゼ−1においては、AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)、アセチルトランスフェラーゼ−2においては、AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT1 R with MluI(配列番号17)を用いた。
植物分子・細胞工学マニュアル(山田康之著、講談社、第1版、1992年)に記載された三者接合法により、各々のプラスミドをAgrobacterium tumefaciens(A. tumefaciens)EHA105株に導入した。プラスミドの導入が成功したか否かを、コロニーPCR法により確認した。コロニーPCR法に用いたプライマー対は、アセチルトランスフェラーゼ−1においては、AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)、アセチルトランスフェラーゼ−2においては、AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT1 R with MluI(配列番号17)を用いた。
4)アグロバクテリウム法によるイネ形質転換
土岐の方法 (Plant Molecular Biology, 1997年, 15巻, p.16-21)に従い、宿主としてイネを用いたアグロバクテリウム感染法を実施した。すなわち、イネ(品種:日本晴)(宿主)に、A. tumefaciens EHA105株/pIG6-AT-1、A. tumefaciens EHA105株/pIG6-AT-2を各々感染させ、共存培養、ハイグロマイシン選抜を経て、目的とする形質転換体(形質転換カルス)を取得した。得られた形質転換カルスと、対照としたイネカルス(野生型イネカルス)とから、常法によりゲノムDNAアライメントを抽出し、ゲノムPCR法を用いてアセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子またはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子の導入の有無を確認した。ゲノムPCR法に用いたプライマー対は、アセチルトランスフェラーゼ−1においては、AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)、アセチルトランスフェラーゼ2においては、AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT1 R with MluI(配列番号17)であった。導入遺伝子特異的プライマー対の他に内部標準遺伝子としてアクチン遺伝子に対するアクチンプライマー対actin F(配列番号12)と、actin R(配列番号13)も使用した。
土岐の方法 (Plant Molecular Biology, 1997年, 15巻, p.16-21)に従い、宿主としてイネを用いたアグロバクテリウム感染法を実施した。すなわち、イネ(品種:日本晴)(宿主)に、A. tumefaciens EHA105株/pIG6-AT-1、A. tumefaciens EHA105株/pIG6-AT-2を各々感染させ、共存培養、ハイグロマイシン選抜を経て、目的とする形質転換体(形質転換カルス)を取得した。得られた形質転換カルスと、対照としたイネカルス(野生型イネカルス)とから、常法によりゲノムDNAアライメントを抽出し、ゲノムPCR法を用いてアセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子またはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子の導入の有無を確認した。ゲノムPCR法に用いたプライマー対は、アセチルトランスフェラーゼ−1においては、AT1 F with Sse8387I(配列番号14)と、AT1 R with MluI(配列番号15)、アセチルトランスフェラーゼ2においては、AT2 F with Sse8387I(配列番号16)と、AT1 R with MluI(配列番号17)であった。導入遺伝子特異的プライマー対の他に内部標準遺伝子としてアクチン遺伝子に対するアクチンプライマー対actin F(配列番号12)と、actin R(配列番号13)も使用した。
全ての供試カルスにおいてアクチン遺伝子の増幅(285bp)がみられ、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子およびアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子を導入した形質転換カルスにおいて、それぞれアガロース電気泳動において期待される位置にバンドが確認された(図2および図3参照))。
5)酵素変換試験
形質転換カルスの酵素変換能を測定する方法としては、in vivo条件下で、ピリピロペンA生合成酵素の基質と、イネカルスとをインキュベートし、その後抽出し、LC−MS/MSを用いて代謝産物を測定する方法を採用した。
形質転換カルスの酵素変換能を測定する方法としては、in vivo条件下で、ピリピロペンA生合成酵素の基質と、イネカルスとをインキュベートし、その後抽出し、LC−MS/MSを用いて代謝産物を測定する方法を採用した。
[基質の調整]
(i)デアセチルピリピロペンEの合成および構造解析
ピリピロペンEは、特開平8−239385号公報に記載の方法で取得した。ピリピロペンE(29mg)をメタノール−水(19:1、1mL)に溶解して、炭酸カリウム(53mg)を加えた。44時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、クロロホルム−メタノール(10:1)の混合溶媒を加えた。濾過により不溶物を取り除き、減圧下で溶媒を留去することで、粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製して、デアセチルピリピロペンE(18mg)を得た。
ESI-MS;m/z 410 (M+H)+
1H-NMR (CDCL3) δ(ppm) 0.82 (3H, s), 0.92 (3H, s), 1.00-1.03 (1H, m), 1.04 (3H, s), 1.12 (1H, dt, J = 4.0, 13.2 Hz), 1.27 (3H, s), 1.41-1.53 (2H, m), 1.59-1.75 (3H, m), 1.80-1.84 (2H, m), 2.15 (1H, dt, J = 3.2, 12.4 Hz), 2.18-2.29 (1H, m), 2.54 (1H, dd, J = 3.2, 17.6 Hz), 3.25 (1H, dd, J = 4.4, 11.2 Hz), 6.43 (1H, s), 7.39 (1H, dd, J = 4.8, 8.0 Hz), 8.11 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.65 (1H, d, J = 4.8 Hz), 8.99 (1H, d, J = 1.6 Hz)
(i)デアセチルピリピロペンEの合成および構造解析
ピリピロペンEは、特開平8−239385号公報に記載の方法で取得した。ピリピロペンE(29mg)をメタノール−水(19:1、1mL)に溶解して、炭酸カリウム(53mg)を加えた。44時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、クロロホルム−メタノール(10:1)の混合溶媒を加えた。濾過により不溶物を取り除き、減圧下で溶媒を留去することで、粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製して、デアセチルピリピロペンE(18mg)を得た。
ESI-MS;m/z 410 (M+H)+
1H-NMR (CDCL3) δ(ppm) 0.82 (3H, s), 0.92 (3H, s), 1.00-1.03 (1H, m), 1.04 (3H, s), 1.12 (1H, dt, J = 4.0, 13.2 Hz), 1.27 (3H, s), 1.41-1.53 (2H, m), 1.59-1.75 (3H, m), 1.80-1.84 (2H, m), 2.15 (1H, dt, J = 3.2, 12.4 Hz), 2.18-2.29 (1H, m), 2.54 (1H, dd, J = 3.2, 17.6 Hz), 3.25 (1H, dd, J = 4.4, 11.2 Hz), 6.43 (1H, s), 7.39 (1H, dd, J = 4.8, 8.0 Hz), 8.11 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.65 (1H, d, J = 4.8 Hz), 8.99 (1H, d, J = 1.6 Hz)
(ii)11−デアセチルピリピロペンOの合成および構造解析
ピリピロペンO は、J. Antibiot. 1996, 49, 292に記載の方法で取得した。ピリピロペンO(30mg)をメタノール−水(19:1、2mL)に溶解して、炭酸カリウム(20mg)を加えた。22時間撹拌した後、酢酸(0.1ml)を加え、減圧下で溶媒を留去した。酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、1位、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(30mg)を得た。
ピリピロペンO は、J. Antibiot. 1996, 49, 292に記載の方法で取得した。ピリピロペンO(30mg)をメタノール−水(19:1、2mL)に溶解して、炭酸カリウム(20mg)を加えた。22時間撹拌した後、酢酸(0.1ml)を加え、減圧下で溶媒を留去した。酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、1位、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(30mg)を得た。
1位、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(23mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(0.4mL)に溶解してトリエチルアミン(8mg)、無水酢酸(7mg)を加えた。室温で23時間撹拌した後、水を加えて、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、1−デアセチルピリピロペンOの粗生成物(28mg)を得た。
1−デアセチルピリピロペンOの粗生成物(28mg)をトルエンに溶解して、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(20mg)を加えた。70℃で20時間撹拌した後、放冷し、酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、11−デアセチルピリピロペンOの粗生成物(20mg)を得た。
得られた粗生成物をメタノールで溶解後サンプルとし、HPLC(SHIMADZU製LC−6AD,SPD−M20A PDA,CBM−20A,Column;Waters XTerra C18 (Φ4.5x50mm、5μm)で移動相30%アセトニトリル水から25分で55%アセトニトリル水(リニアグラジエント)、流速1.0ml/分、保持時間18分〜19分を繰り返し分取し11−デアセチルピリピロペンO(4.0mg)を得た。
ESI-MS;m/z 468 (M+H) +
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm); 0.68 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.21-2.21 (10H, m), 1.25 (3H, s), 2.05 (3H,s), 2.20 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.50 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.94 (1H, d, J = 12.5 Hz), 3.33 (1H, d, J = 12.5 Hz), 4.87 (1H, dd, J = 4.6, 12.2 Hz), 6.48 (1H, s), 7.57 (1H, dd, J = 5.1, 8.1 Hz), 8.29(1H, d, J = 8.3 Hz), 8.68 (1H, d, J = 4.6 Hz), 9.04 (1H, s)
ESI-MS;m/z 468 (M+H) +
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm); 0.68 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.21-2.21 (10H, m), 1.25 (3H, s), 2.05 (3H,s), 2.20 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.50 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.94 (1H, d, J = 12.5 Hz), 3.33 (1H, d, J = 12.5 Hz), 4.87 (1H, dd, J = 4.6, 12.2 Hz), 6.48 (1H, s), 7.57 (1H, dd, J = 5.1, 8.1 Hz), 8.29(1H, d, J = 8.3 Hz), 8.68 (1H, d, J = 4.6 Hz), 9.04 (1H, s)
(iii)7−デアセチルピリピロペンAの合成
7−デアセチルピリピロペンAは、特開平8−259569号公報に記載の方法で合成された。
7−デアセチルピリピロペンAは、特開平8−259569号公報に記載の方法で合成された。
[in vivo反応]
野生型、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子導入またはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子導入イネカルスを各3粒程度(約0.16g)、1.5mlのエッペンドルフチューブに量りとり、N6D液体培地1mlを加えて28〜30℃、16時間明条件、8時間暗条件の周期で2日間培養した。この際、各イネカルスには、DMSO(分子生物学用ジメチルスルホキシド,>99.9%、SIGMA社)に溶解した各基質、すなわち11−デアセチルピリピロペンO(deAcPyO)、デアセチルピリピロペンE(deAcPyE)及び7−デアセチルピリピロペンA(deAcPyA)を各10ppmとなるように加えた。
野生型、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子導入またはアセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子導入イネカルスを各3粒程度(約0.16g)、1.5mlのエッペンドルフチューブに量りとり、N6D液体培地1mlを加えて28〜30℃、16時間明条件、8時間暗条件の周期で2日間培養した。この際、各イネカルスには、DMSO(分子生物学用ジメチルスルホキシド,>99.9%、SIGMA社)に溶解した各基質、すなわち11−デアセチルピリピロペンO(deAcPyO)、デアセチルピリピロペンE(deAcPyE)及び7−デアセチルピリピロペンA(deAcPyA)を各10ppmとなるように加えた。
[酢酸エチル抽出]
カルス及び培養液1mlをマイクロチューブホモジナイザ―で粉砕し、17,700×g、10分間遠心分離した。その後、上清液を別のチューブに移し、上清:酢酸エチル=1:1の割合で混合した。これをよく撹拌し、17,700×g、10分間遠心分離した。有機層を採取し、減圧デシケーターを用いて乾燥させた。乾燥後、メタノール1mlで溶解し、カートリッジ(0.22μm)を通過させて、LC−MS/MSに供した。
カルス及び培養液1mlをマイクロチューブホモジナイザ―で粉砕し、17,700×g、10分間遠心分離した。その後、上清液を別のチューブに移し、上清:酢酸エチル=1:1の割合で混合した。これをよく撹拌し、17,700×g、10分間遠心分離した。有機層を採取し、減圧デシケーターを用いて乾燥させた。乾燥後、メタノール1mlで溶解し、カートリッジ(0.22μm)を通過させて、LC−MS/MSに供した。
[LC−MS/MS解析]
上述のサンプルは、API3200TMLC/MS/MS System(エービーサイエックス社)およびShimadzu社製HPLC(Prominence20A)により測定解析を行なった。なお、測定操作方法は、メーカーの指示に従った。溶媒は、A:20%アセトニトリル、B:100%アセトニトリルを用いた。また、カラムは、Shimadzu社製Shim−pack XR−OSD/−C8/−Phenylを用いた。
上述のサンプルは、API3200TMLC/MS/MS System(エービーサイエックス社)およびShimadzu社製HPLC(Prominence20A)により測定解析を行なった。なお、測定操作方法は、メーカーの指示に従った。溶媒は、A:20%アセトニトリル、B:100%アセトニトリルを用いた。また、カラムは、Shimadzu社製Shim−pack XR−OSD/−C8/−Phenylを用いた。
標準曲線の作成には、測定する化合物をMeOHで溶解した希釈サンプルを任意の濃度に調整して、LC−MS/MSによる測定を行い、標準曲線とした。
その結果、アセチルトランスフェラーゼ−1(AT−1)遺伝子導入カルスにおいては、デアセチルピリピロペンEからピリピロペンEへのアセチル化変換活性が確認された(図4参照)。また、アセチルトランスフェラーゼ−2(AT−2)遺伝子導入カルスにおいては、11−デアセチルピリピロペンOからピリピロペンOへのアセチル化変換活性(図5参照)、及び7−デアセチルピリピロペンAからピリピロペンAへのアセチル化変換活性(図6参照)が確認された。なお、全てにおいて野生型カルスでのアセチル化変換活性は認められなかった。
FERM BP−11133
FERM BP−11219
FERM BP−11220
FERM BP−11219
FERM BP−11220
Claims (12)
- ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(I)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。 - 植物体が、デアセチルピリピロペンEを発現または含んでなる、請求項1に記載の植物体。
- ピリピロペンAの生合成に関与する少なくとも一種のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる、植物体であって、単離されたポリヌクレオチドが、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドである、植物体:
(II)下記の(i)〜(v)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(v)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。 - 植物体が、11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を発現または含んでなる、請求項3に記載の植物体。
- 植物体が害虫抵抗性植物体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物体。
- 植物体がタバコまたはイネである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の植物体。
- 植物体の製造方法であって、下記(I)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(I)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号9のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。 - デアセチルピリピロペンEを植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、請求項7に記載の製造方法。
- 植物体の製造方法であって、下記(II)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個の単離されたポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを植物体に導入する工程を含んでなる、製造方法:
(II)下記の(i)〜(iv)に記載されたヌクレオチド配列:
(i)配列番号1で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
(iv)(i)または(ii)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。 - 11−デアセチルピリピロペンOおよび7−デアセチルピリピロペンAからなる群から選択される一種以上を植物体に発現または含ませる工程をさらに含んでなる、請求項9に記載の製造方法。
- 植物体が害虫抵抗性植物体である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の植物体の製造方法。
- 植物体がタバコまたはイネである、請求項7〜11のいずれか一項に記載の植物体の製造方法。
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